ところで、上述のチラー装置は、家庭用の空気調和装置の室外機に比べて極めて大きい。そのため、上記チラー装置をビルの屋上等に設置する場合には、クレーン等を用いて屋上まで引き上げなければならず、容易に搬送できないという問題があった。この問題に対し、チラー装置を複数の部分に分離して搬送し、設置現場において組み立てることが考えられる。しかしながら、特許文献1のチラー装置では、該チラー装置が複数の部分に分離可能に構成されていないため、ケーシングを設置現場で組み立て、その内部に各種の構成機器を据え付けて配管接続等を行わなければならず、組み立て工程のうちの多くの作業を設置現場において行わなければならなかった。そのため、搬送は容易化されても設置作業に手間取るという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、構成機器を設置する支持架台を有するチラー装置に関し、搬送性及び組立性の向上を図ることにある。
第1の発明は、圧縮機(30)と空冷式熱交換器(2)と膨張機構(32)と水冷式熱交換器(20,21,120)とが接続されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う複数の冷媒回路(6)と、水を搬送する水ポンプ(45)が接続されて上記水冷式熱交換器(20,21,120)と利用側装置との間において水を循環させる水回路(7)と、上記各空冷式熱交換器(2)に空気を導く複数の送風ファン(3)と、上記冷媒回路(6)と上記水回路(7)と上記送風ファン(3)とが設置される支持架台(50)とを備え、上記冷媒回路(6)と上記水回路(7)と上記送風ファン(3)とが、少なくとも上記空冷式熱交換器(2)と上記送風ファン(3)とをそれぞれ有する複数の空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)と、該複数の空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)の機器以外の機器類とから構成されたチラー装置であって、上記支持架台(50)は、分離可能な複数の架台部(51)によって構成され、上記複数の空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)の機器以外の機器類は、上記複数の架台部(51)のうちの一部の架台部(51)内のみに収容され、上記複数の空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)は、上記支持架台(50)の上部に設置されている。
第1の発明では、支持架台(50)が複数の架台部(51)に分離可能に構成され、空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)の機器以外の機器類が少なくとも1つの架台部(51)の内部に収容される一方、複数の空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)が支持架台(50)の上部に設置されている。つまり、支持架台(50)とその上部に設置される構造体とが、それぞれ複数の部分に分離可能に構成されている。そのため、支持架台とその上部に設置される構造体とを、それぞれ複数の部分に分離して設置現場へ搬送することが可能となる。
また、第1の発明は、上記構成において、同一の上記水回路(7)に接続される上記水ポンプ(45)及び上記水冷式熱交換器(20,21,120)の全てが、上記複数の架台部(51)のうちの同一の架台部(51)内に設けられている。
第1の発明では、同一の水回路(7)に接続された水ポンプ(45)と水冷式熱交換器(20,21,120)とを同一の架台部(51)に収容することとした。同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水冷式熱交換器(20,21,120)は、水回路(7)を構成する際に配管接続が必要となるが、同一の架台部(51)に設けることにより、予め配管接続した状態で設置現場へ搬送することが可能となるため、設置現場での配管接続が不要となる。
第2の発明は、第1の発明において、水冷式熱交換器(20,21,120)は、第1面(27a)に水の出入口(48,49)と冷媒の出入口(72,73)とが形成されて内部において水と冷媒とを熱交換させる本体部(27)を有し、該本体部(27)における上記第1面(27a)の裏側の第2面(27b)が上記架台部(51)の内部において該架台部(51)の一側面に沿うように配置されている。
第3の発明は、第2の発明において、上記水冷式熱交換器(20,21,120)が収容された架台部(51)の上記一側面に、他の架台部(51)が連結されている。
第2及び第3の発明では、水の出入口(48,49)と冷媒の出入口(72,73)とが同一の側面である第1面(27a)に形成された本体部(27)を有する水冷式熱交換器(20,21,120)を用いて、該水冷式熱交換器(20,21,120)を、本体部(27)の第1面(27a)の裏側の第2面(27b)が架台部(51)の内部において該架台部(51)の一側面に沿うように配置することとしている。
ところで、水冷式熱交換器(20,21,120)を、各本体部(27)の水及び冷媒の出入口(48,49,72,73)が形成された第1面(27a)が架台部(51)の内部において該架台部(51)の一側面に対向するように設ける場合、各出入口(48,49,72,73)に接続される配管が架台部(51)の外側へ延出して搬送及び設置作業を妨げるおそれがあるため、水冷式熱交換器(20,21,120)と架台部(51)の一側面との間に、各出入口(48,49,72,73)に接続される配管が収まる空間を確保しなければならない。
しかしながら、第2及び第3の発明では、上述のように、水冷式熱交換器(20,21,120)を、本体部(27)の配管が接続されない第2面(27b)が架台部(51)の一側面に沿うように設けることとしたため、水冷式熱交換器(20,21,120)と架台部(51)の一側面との間に、各出入口(48,49,72,73)に接続される配管が収まる空間を確保する必要がなくなり、当該間隔を可能な限り狭めることができる。特に、第3の発明では、架台部(51)の他の架台部(51)との連結面に、水冷式熱交換器(20,21,120)の本体部(27)の第2面(27b)が対向している。そのため、架台部(51)の連結面と水冷式熱交換器(20,21,120)との間に配管が配設されない構成となる。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、複数の電装品からなる電装品ユニット(60)を備え、上記電装品ユニット(60)は、上記水冷式熱交換器(20,21,120)が収容された架台部(51)とは異なる架台部(51)に収容されている。
第4の発明では、水分が付着すると故障するおそれのある電装品ユニット(60)が、冷媒が流通して結露するおそれのある水冷式熱交換器(20,21,120)と別個の架台部(51)に収容されている。
第5の発明は、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、上記支持架台(50)は、上記空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)の個数と同数の上記架台部(51)に分離可能に構成されている。
第6の発明は、第5の発明において、上記各空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)の底面と上記各架台部(51)の上面とは、略等しい大きさに形成されている。
第5及び第6の発明では、支持架台(50)とその上部に設置される構造体とがそれぞれ同数の部分に分離可能に構成されている。そのため、チラー装置を同程度の大きさの複数の部分に分離させることが可能となる。特に、第6の発明では、架台部(51)の上面の面積と、該架台部(51)の上部に設置される空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)の底面の面積とが略等しくなるように構成されている。そのため、チラー装置を略等しい大きさの複数の部分に分離させて設置現場へ搬送することが可能となり、搬送作業が容易になる。
第7の発明は、第1乃至第6のいずれか1つの発明において、上記各空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)は、上記圧縮機(30)と、上記空冷式熱交換器(2)と、上記送風ファン(3)と、上記膨張機構(32)と、これらを収容するケーシング(4)とをそれぞれ有している。
第7の発明では、各空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)を、圧縮機(30)と空冷式熱交換器(2)と送風ファン(3)と膨張機構(32)とこれらを収容するケーシング(4)とをそれぞれ有するように構成することとした。つまり、各空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)は、住宅やビル等で広く用いられる空気調和装置の室外機であって、空冷式熱交換器を利用側熱交換器として有する室内機に接続される室外機と同様の構成となる。
第1の発明によれば、チラー装置(10)において、内部に構成機器の一部が収容される支持架台(50)とその上部に設置される構造体とをそれぞれ複数の部分に分離可能に構成したため、これらをそれぞれ複数の部分に分離した状態で搬送することにより、クレーン等の搬送手段を用いることなく、例えば、ビル等の設置現場に設置されているエレベータ等を搬送手段として用いることが可能となる。従って、チラー装置の設置現場への搬送作業を容易化することができる。
ところで、上述のように、支持架台(50)を複数の架台部(51)に分離して搬送することとすると、同一の水回路(7)に接続される各構成機器が異なる架台部(51)に配置されると、設置現場において架台部(51)を連結する際に、各架台部(51)に収容された水回路(7)の各構成機器の配管接続も必要となる。
第1の発明によれば、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水冷式熱交換器(20,21,120)とを同一の架台部(51)に収容することとした。そのため、必ず配管接続が必要となる同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水冷式熱交換器(20,21,120)とを予め配管接続して同一の架台部(51)に据え付けた状態で設置現場へ搬送することが可能となる。これにより、設置現場での水回路(7)の配管接続の手間を削減することができるため、チラー装置の設置作業を容易化することができる。
また、第2及び第3の発明によれば、水の出入口(48,49)と冷媒の出入口(72,73)とが同一の側面である第1面(27a)に形成された本体部(27)を有する水冷式熱交換器(20,21,120)を用いて、該水冷式熱交換器(20,21,120)を、本体部(27)の第1面(27a)の裏側の面であって配管が接続されない第2面(27b)が架台部(51)の一側面に沿うように配置することとした。そのため、水冷式熱交換器(20,21,120)と架台部(51)の側面との間に、各出入口(48,49,72,73)に接続される配管が収まる空間を確保する必要がなく、当該間隔を可能な限り狭めることができる。これにより、水冷式熱交換器(20,21,120)が設けられる架台部(51)において、該水冷式熱交換器(20,21,120)の設置面積を可能な限り小さく抑えることができる。また、水冷式熱交換器(20,21,120)の本体部(27)から、各配管が架台部(51)の内側向きに延びるように配設されるため、配管に配慮することなく架台部(51)の連結作業を容易に行うことができる。特に、第3の発明によれば、架台部(51)の一側面であって他の架台部(51)との連結面に、水冷式熱交換器(20,21,120)の本体部(27)の配管が接続されない第2面(27b)が対向することとなる。つまり、水冷式熱交換器(20,21,120)の本体部(27)に接続される配管が、架台部(51)の連結面ではなく架台部(51)の内側に向かって延びることとなるため、これらの配管に配慮することなく架台部(51)の連結作業を容易に行うことができる。
また、第4の発明によれば、電装品ユニット(60)を水回路(7)が収容された架台部(51)とは異なる架台部(51)に据え付けることにより、水冷式熱交換器(20,21,120)において発生した結露水が電装品ユニット(60)に付着することを防止することができる。
また、第5及び第6の発明によれば、支持架台(50)とその上部に設置される構造体とをそれぞれ同数の部分に分離可能に構成することとした。そのため、これらをそれぞれ複数の同程度の大きさの部分に分離した状態で搬送することにより、例えば、ビル等の設置現場に設置されている所定の内容積のエレベータ等を搬送手段として用いることが可能となる。従って、チラー装置の設置現場への搬送作業を容易化することができる。特に、第6の発明によれば、チラー装置を、水平断面の大きさが略等しい複数の部分に分離させることができる。そのため、チラー装置を複数の部分に分離して、例えば車両やエレベータ等に載置して搬送する際に、確保すべきスペースが略等しくなる。従って、チラー装置の搬送作業を単純化することができ、搬送作業をより容易に行うことができる。
また、第7の発明によれば、各空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)として、住宅やビル等で広く用いられる空気調和装置の室外機であって、冷媒回路の利用側熱交換器を有する室内機に接続される室外機を用いることができる。つまり、チラー装置を、広く普及している空気調和装置の室外機を用いて容易に構成することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係るチラー装置の一例として、マルチ式の空気調和装置の熱源側装置として用いられるチラー装置について説明する。
《発明の実施形態1》
図1及び図2に示すように、チラー装置(10)は、複数の冷媒回路(6)と、水回路(7)と、複数の送風ファン(3)と、これらが設置される支持架台(50)とを備えている。冷媒回路(6)と水回路(7)と送風ファン(3)とは、支持架台(50)の上部に設置される4台の空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)と、支持架台(50)の内部に設置される上記空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)の機器以外の機器類とから構成されている。本実施形態1では、4台の空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)の機器以外の機器類は、一纏まりの機器ユニット(5)に構成されている。各空冷ユニット(1LF〜1RR)には、上記冷媒回路(6)の後述する熱源側回路(6a)(図2参照)が設けられ、機器ユニット(5)には、後述する冷媒回路(6)の利用側回路(6b)(図2参照)と水回路(7)の室外側回路(7a)(図2参照)とが設けられている。
空冷ユニット(1LF,1LR,1RF,1RR)は、支持架台(50)の上部に、左右方向に2台、前後方向に2台、各々、所定間隔を隔てて配置され、支持架台(50)に据え付けられている。これらの空冷ユニット(1LF〜1RR)は同一に構成され、前側の2台の空冷ユニット(1LF,1RF)は、正面が前方を向くように配置される一方、後側の2台の空冷ユニット(1RF,1RR)は、正面が後方を向くように配置されている。つまり、左前側の空冷ユニット(1LF)と右後側の空冷ユニット(1RR)とは点対称な位置に設けられ、右前側の空冷ユニット(1RF)と左後側の空冷ユニット(1LR)とは点対称な位置に設けられている。
機器ユニット(5)は、支持架台(50)の内部に設置されている。本実施形態1では、機器ユニット(5)の全ての構成機器、即ち、後述する冷媒回路(6)及び水回路(7)に接続される2つの水熱交換器(水冷式熱交換器)(20,21)(図2参照)と、水回路(7)に接続される水ポンプ(45)(図2参照)とが、支持架台(50)の右前側の空冷ユニット(1RF)の下方に収容されている。
支持架台(50)は、4つの架台部(51)によって構成されている。各架台部(51)は、四角形状の2つの枠状部材(51a)と、上下に配置された2つの枠状部材(51a)の4つの角隅部をそれぞれ上下に連結する4つの連結部材(51b)とによって構成されている。支持架台(50)は、このような4つの架台部(51)を、左右方向に2つ、前後方向に2つ配列し、隣り合うものどうしを連結することによって構成されている。このような構成により、支持架台(50)は、複数(4つ)の架台部(51)に分離可能に構成されている。
<冷媒回路及び水回路の構成>
図2に示すように、チラー装置(10)は、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う4つの冷媒回路(6)と、利用側装置としての複数の室内機へ供給する水を温度調節するための水回路(7)の室外側回路(7a)とを有している。
−冷媒回路−
各冷媒回路(6)は、熱源側回路(6a)と、利用側回路(6b)とを有し、熱源側回路(6a)と利用側回路(6b)とは、液冷媒配管(25)及びガス冷媒配管(26)を介して接続されている。また、4つの冷媒回路(6)の各熱源側回路(6a)は、4つの空冷ユニット(1LF〜1RR)に1つずつ設けられ、4つの冷媒回路(6)の各利用側回路(6b)は、1つの架台部(51)に収容された機器ユニット(5)の一部を構成している。
各熱源側回路(6a)は、四路切換弁(31)と、圧縮機(30)と、空気熱交換器(空冷式熱交換器)(2)と、膨張機構としての電子式膨張弁(32)と、アキュムレータ(34)と、2つの閉鎖弁(36,37)とが冷媒配管(35)によって接続されて構成されている。
四路切換弁(31)は、第1〜第4ポート(a〜d)を有し、第1ポート(a)と第2ポート(b)とが連通し且つ第3ポート(c)と第4ポート(d)とが連通する第1の状態(図2の実線の状態)と、第1ポート(a)と第4ポート(d)とが連通し且つ第2ポート(b)と第3ポート(c)とが連通する第2の状態(図2の破線の状態)とに切り換わるように構成されている。
圧縮機(30)は、吸入側端が冷媒配管(35)を介してアキュムレータ(34)の流出側に接続される一方、吐出側端が冷媒配管(35)を介して四路切換弁(31)の第1ポート(a)に接続されている。
空気熱交換器(2)は、ガス側端が冷媒配管(35)を介して四路切換弁(31)の第2ポート(b)に接続される一方、液側端が冷媒配管(35)を介して電子式膨張弁(32)の一端に接続されている。また、空気熱交換器(2)は、所謂、フィンアンドチューブ型の熱交換器によって構成され、空気と冷媒とを熱交換させる。なお、空気熱交換器(2)の近傍には、羽根車(3a)と駆動用モータ(3b)とを有する送風ファン(3)が設けられ、該送風ファン(3)によって空気が空気熱交換器(2)に導かれる。
電子式膨張弁(32)は、上述のように一端が空気熱交換器(2)の液側端に接続される一方、他端が冷媒配管(35)を介して閉鎖弁(36)の一端に接続されている。
アキュムレータ(34)は、流入側端が四路切換弁(31)の第3ポート(c)に接続される一方、流出側端は、上述のように、冷媒配管(35)を介して圧縮機(30)の吸入側端に接続されている。
閉鎖弁(36)は、上述のように、一端が冷媒配管(35)を介して電子式膨張弁(32)に接続される一方、他端が液冷媒配管(25)に接続されている。
閉鎖弁(37)は、一端が冷媒配管(35)を介して四路切換弁(31)の第4ポート(d)に接続される一方、他端がガス冷媒配管(26)に接続されている。
一方、4つの利用側回路(6b)には、水熱交換器(20,21)が接続されている。本実施形態1では、図1の右側の2台の空冷ユニット(1RF,1RR)の各熱源側回路(6a)に接続される各利用側回路(6b)には、水熱交換器(20)が接続され、図1の左側の2台の空冷ユニット(1LF,1LR)の各熱源側回路(6a)に接続される各利用側回路(6b)には、水熱交換器(21)が接続されている。
各水熱交換器(20,21)は、第1の伝熱部(20a,21a)と、該第1の伝熱部(20a,21a)と熱交換する第2の伝熱部(20b,21b)と、上記第1の伝熱部(20a,21a)と熱交換する第3の伝熱部(20c,21c)とを有している。水熱交換器(20)は、第2の伝熱部(20b)が液冷媒配管(25)及びガス冷媒配管(26)を介して図1の右後側の空冷ユニット(1RR)の熱源側回路(6a)に接続され、第3の伝熱部(20c)が液冷媒配管(25)及びガス冷媒配管(26)を介して図1の右前側の空冷ユニット(1RF)の熱源側回路(6a)に接続されている。一方、水熱交換器(21)は、第2の伝熱部(21b)が液冷媒配管(25)及びガス冷媒配管(26)を介して図1の左後側の空冷ユニット(1LR)の熱源側回路(6a)に接続され、第3の伝熱部(21c)が液冷媒配管(25)及びガス冷媒配管(26)を介して図1の左前側の空冷ユニット(1LF)の熱源側回路(6a)に接続されている。
−水回路−
水回路(7)の室外側回路(7a)には、2つの水熱交換器(20,21)と水ポンプ(45)とが接続されている。2つの水熱交換器(20,21)は、互いの第1の伝熱部(20a,21a)の一端が水配管(40)を介して直列に接続されている。水熱交換器(20)の第1の伝熱部(20a)の他端は、水配管(41)を介して水ポンプ(45)の吐出側端に接続される一方、水熱交換器(21)の第1の伝熱部(21a)の他端は、水配管(42)を介して冷温水出口(47)に接続されている。また、水ポンプ(45)の吸入側端は、水配管(43)を介して冷温水入口(46)に接続されている。このような構成により、水ポンプ(45)が駆動されると、利用側装置から冷温水入口(46)を介して水ポンプ(45)に吸入された水が該水ポンプ(45)によって水熱交換器(20)に搬送され、該水熱交換器(20)の第1の伝熱部(20a)、水熱交換器(21)の第1の伝熱部(21a)の順に通過する。各水熱交換器(20,21)の第1の伝熱部(20a,21a)を流れる水は、各第2の伝熱部(20b,21b)及び各第3の伝熱部(20c,21c)を流れる冷媒と熱交換して加熱又は冷却される。各水熱交換器(20,21)において冷媒と熱交換して加熱又は冷却された水は、冷温水出口(47)を介して利用側装置へ供給される。
このような構成により、チラー装置(10)では、冷媒回路(6)の冷媒と熱交換させて冷却した水回路(7)の水を利用側装置に供給する冷却運転と、冷媒回路(6)の冷媒と熱交換させて加熱した水回路(7)の水を利用側装置に供給する加熱運転とが行われる。
具体的には、冷却運転では、各冷媒回路(6)において、四路切換弁(31)が第1の状態に切り換えられ、冷媒が、圧縮機(30)、空気熱交換器(2)、電子式膨張弁(32)、水熱交換器(20,21)、アキュムレータ(34)の順に通過するように循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。これにより、空気熱交換器(2)が放熱器となって冷媒が空気に放熱する一方、水熱交換器(20,21)が蒸発器となって冷媒が水回路(7)の水から吸熱する。また、このとき、水回路(7)では、水ポンプ(45)により、利用側装置からの水が冷温水入口(46)から取り込まれ、水ポンプ(45)、水熱交換器(20)、水熱交換器(21)の順に通過して、冷温水出口(47)を介して利用側装置へ供給される。よって、水熱交換器(20)及び水熱交換器(21)において冷媒と熱交換して冷却された水(冷水)が利用側装置へ供給される。
一方、加熱運転では、各冷媒回路(6)において、四路切換弁(31)が第2の状態に切り換えられ、冷媒が、圧縮機(30)、水熱交換器(20,21)、電子式膨張弁(32)、空気熱交換器(2)、アキュムレータ(34)の順に通過するように循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。これにより、空気熱交換器(2)が蒸発器となって冷媒が空気から吸熱する一方、水熱交換器(20,21)が凝縮器となって冷媒が水回路(7)の水へ放熱する。また、このとき、水回路(7)では、水ポンプ(45)により、利用側装置からの水が冷温水入口(46)から取り込まれ、水ポンプ(45)、水熱交換器(20)、水熱交換器(21)の順に通過して、冷温水出口(47)を介して利用側装置へ供給される。よって、水熱交換器(20)及び水熱交換器(21)において冷媒と熱交換して加熱された水(温水)が利用側装置へ供給される。
<空冷ユニットの内部構成>
上述したように、4台の空冷ユニット(1LF〜1RR)は同一に構成されている。具体的には、各空冷ユニット(1LF〜1RR)は、四路切換弁(31)と圧縮機(30)と空気熱交換器(2)と電子式膨張弁(32)とアキュムレータ(34)とが接続された熱源側回路(6a)(図2を参照)と、送風ファン(3)と、これらを収容するケーシング(4)とを有している。各空冷ユニット(1LF〜1RR)では、ケーシング(4)の上部空間に送風ファン(3)が設置され、該送風ファン(3)の下部空間に、空冷式の空気熱交換器(2)がケーシング(4)の空気の吸込口が形成された側面に沿うように設置されている。四路切換弁(31)と圧縮機(30)と電子式膨張弁(32)とアキュムレータ(34)とは、空気熱交換器(2)の内側に配置されている。
また、本実施形態1では、各空冷ユニット(1LF〜1RR)は、住宅やビル等で広く用いられる空気調和装置の室外機であって、冷媒回路の利用側熱交換器を有する室内機に接続される室外機によって構成されている。そして、上述のように、4台の空冷ユニット(1LF〜1RR)は、支持架台(50)の上部に設置されている。具体的には、4台の空冷ユニット(1LF〜1RR)は、支持架台(50)を構成する4つの架台部(51)のそれぞれの上部に1つずつ設置されている。本実施形態1では、各空冷ユニット(1LF,1LR,1RF,1RR)の底面と各架台部(51)の上面とは、略等しい大きさに形成されている。具体的には、各架台部(51)の上側の枠状部材(51a)の外形が各空冷ユニット(1LF〜1RR)のケーシング(4)の外形と等しい又は僅かに大きい大きさに形成されている。
<機器ユニットの構成>
図1に示すように、支持架台(50)は、4台の空冷ユニット(1LF〜1RR)に対応して分離可能な4つの架台部(51)によって構成され、内部には空冷ユニット(1LF〜1RR)の機器以外の機器類が収容されている。上述したように、本実施形態1では、空冷ユニット(1LF〜1RR)の機器以外の機器類が一纏まりの機器ユニット(5)に構成され、1つの架台部(51)の内部に収容されている。
図3及び図4に示すように、本実施形態1では、機器ユニット(5)の全ての機器、即ち、2つの水熱交換器(20,21)及び水ポンプ(45)が、右前側の空冷ユニット(1RF)が設置される架台部(51)(以下、単に、右前側の架台部(51)と称する。)の内部に収容されている。具体的には、2つの水熱交換器(20,21)は、右前側の架台部(51)の内部の左後側において該架台部(51)の後側の側面に沿うように左右方向に並んで配置されている。一方、水ポンプ(45)は、右前側の架台部(51)の内部の右前側に配置されている。
ここで、2つの水熱交換器(20,21)は、上記第1〜第3の伝熱部(20a〜20c,21a〜21c)が形成されると共に、ガス冷媒の出入口(72,72)と、液冷媒の出入口(73,73)と、流入口(48)と、流出口(49)とが同一の側面である第1面(27a)(図1の前側の側面)に形成された本体部(27)を有している。具体的には、ガス冷媒の出入口(72,72)は、各本体部(27)の第1面(27a)の上端部に形成され、各水熱交換器(20,21)の第2の伝熱部(20b,21b)に連通している。一方、液冷媒の出入口(73,73)は、各本体部(27)の第1面(27a)の下端部において上下方向にガス冷媒の出入口(72,72)と対応する位置に形成され、各水熱交換器(20,21)の第3の伝熱部(20c,21c)に連通している。また、流入口(48)は、各本体部(27)の第1面(27a)の上端部におけるガス冷媒の出入口(72,72)の間に形成されて各水熱交換器(20,21)の第1の伝熱部(20a,21a)に連通している。流出口(49)は、各本体部(27)の第1面(27a)の下端部における液冷媒の出入口(73,73)の間に形成されて各水熱交換器(20,21)の第1の伝熱部(20a,21a)に連通している。
右側の水熱交換器(20)の流出口(49)と左側の水熱交換器(21)の流入口(48)とには、これらの水熱交換器(20,21)の第1の伝熱部(20a,21a)どうしを接続する水配管(40)が接続されている。また、水ポンプ(45)には、架台部(51)の前端部から冷温水入口(46)に繋がる水配管(43)が接続されると共に、右側の水熱交換器(20)の流入口(48)に接続されて水ポンプ(45)から吐出された水を右側の水熱交換器(20)の第1の伝熱部(20a)に導く水配管(41)が接続されている。さらに、左側の水熱交換器(21)の流出口(49)には、その内部の第1の伝熱部(21a)から架台部(51)の前端部を経て冷温水出口(47)に向かう水配管(42)が接続されている。
また、右側の水熱交換器(20)の2つのガス冷媒の出入口(72,72)にはそれぞれガス冷媒配管(26,26)が接続され、2つの液冷媒の出入口(73,73)にはそれぞれ液冷媒配管(25,25)が接続されている。そして、右側の液冷媒の出入口(73)及びガス冷媒の出入口(72)にそれぞれ接続された冷媒配管(25,26)は、右後側の架台部(51)まで延びて、該架台部(51)の上方に配置される空冷ユニット(1RR)内の熱源側回路(6a)の閉鎖弁(36,37)に接続されている。同様に、左側の液冷媒の出入口(73)及びガス冷媒の出入口(72)にそれぞれ接続された冷媒配管(25,26)は、右前側の架台部(51)の上方に配置される空冷ユニット(1RF)内の熱源側回路(6a)の閉鎖弁(36,37)に接続されている。
さらに、左側の水熱交換器(21)においても、2つのガス冷媒の出入口(72,72)にはそれぞれガス冷媒配管(26,26)が接続され、2つの液冷媒の出入口(73,73)にはそれぞれ液冷媒配管(25,25)が接続されている。そして、右側の液冷媒の出入口(73)及びガス冷媒の出入口(72)にそれぞれ接続された冷媒配管(25,26)は、左後側の架台部(51)まで延びて、該架台部(51)の上方に配置される空冷ユニット(1LR)内の熱源側回路(6a)の閉鎖弁(36,37)に接続される。同様に、左側の液冷媒の出入口(73)及びガス冷媒の出入口(72)にそれぞれ接続された冷媒配管(25,26)は、左前側の架台部(51)まで延びて、該架台部(51)の上方に配置される空冷ユニット(1LF)内の熱源側回路(6a)の閉鎖弁(36,37)に接続されている。
このような構成により、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とが、同一の右前側の架台部(51)の内部に収容されている。また、2つの水熱交換器(20,21)は、右前側の架台部(51)の内部の左後側において、本体部(27)の第1面(27a)の裏側の第2面(27b)が架台部(51)の後側の側面に沿うように左右方向に並んで配置される。つまり、2つの水熱交換器(20,21)は、配管が接続されない第2面(27b)が架台部(51)の他の架台部(51)と連結される所定の側面に沿うように設けられている。
また、支持架台(50)の内部には、複数の電装品からなり、本チラー装置の全体を制御する制御ユニット(電装品ユニット)(60)が、右後側の空冷ユニット(1RR)が設置される架台部(51)の内部であってその後側部分に収容されている。この制御ユニット(60)には、前方に延びる制御ケーブル(61)を介して右前側の空冷ユニット(1RF)が設置される架台部(51)の内部に収容された水ポンプ(45)が接続されている。
−搬送作業及び組立作業−
機器ユニット(5)が内部に設置された支持架台(50)と、該支持架台(50)の上部に設置される構造体(4つの空冷ユニット(1LF〜1RR))とは、同数(4つ)の部分に分離された状態で、設置現場に搬送される。本実施形態1では、各架台部(51)の上面の面積と、該架台部(51)の上部に設置される空冷ユニット(1LF〜1RR)の底面の面積とが略等しくなるように構成されている。つまり、支持架台(50)を分離した各架台部(51)と各空冷ユニット(1LF〜1RR)とは、水平断面の大きさが略等しくなる。そのため、チラー装置(10)を複数の部分、即ち、4つの架台部(51)と4つの空冷ユニット(1LF〜1RR)とに分離して、例えば車両やエレベータ等に載置して搬送する際に、確保すべきスペースが略等しくなる。よって、搬送作業が単純化されるため、容易になる。
このようにして搬送された4つの架台部(51)と4つの空冷ユニット(1LF〜1RR)とが、設置現場において組み立てられる。まず、4つの架台部(51)を上下左右に並べてそれぞれを連結した後に、4つの空冷ユニット(1LF〜1RR)を各架台部(51)の上部に1つずつ設置されるように据え付ける。このとき、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とは、予め配管接続された状態で同一の架台部(51)に収容されている。具体的には、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とは、2つの水熱交換器(20,21)が水配管(40)によって接続され、水熱交換器(20)が水配管(41)によって水ポンプ(45)に接続され、水熱交換器(21)が水配管(42)によって冷温水出口(47)に接続され、水ポンプ(45)が水配管(43)によって冷温水入口(46)に接続された状態で同一の架台部(51)に収容されている。このように、同一の水回路(7)のすべての構成機器が予め配管接続された状態で同一の架台部(51)に収容されている。そのため、設置現場において、これらの構成機器の配管接続が不要となる。
そして、4つの空冷ユニット(1LF〜1RR)の熱源側回路(6a)と機器ユニット(5)の利用側回路(6b)とが4本の液冷媒配管(25)と4本のガス冷媒配管(26)とによって接続され、組み立て作業が終了する。
−実施形態1の効果−
以上の構成により、本実施形態1によれば、内部に構成機器の一部が収容される支持架台(50)を複数の架台部(51)に分離可能に構成すると共に、支持架台(50)の上部に設置される構造体を分離可能な4つの空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)によって構成することとした。つまり、チラー装置(10)において、内部に構成機器の一部が収容される支持架台(50)とその上部に設置される構造体とをそれぞれ複数の部分に分離可能に構成したため、これらをそれぞれ複数の部分に分離した状態で搬送することにより、クレーン等の搬送手段を用いることなく、例えば、ビル等の設置現場に設置されているエレベータ等を搬送手段として用いることが可能となる。従って、チラー装置(10)の設置現場への搬送作業を容易化することができる。
ところで、上述のように、支持架台(50)を複数の架台部(51)に分離して搬送することとすると、同一の水回路(7)に接続される各構成機器が異なる架台部(51)に配置されると、設置現場において架台部(51)を連結する際に、各架台部(51)に収容された水回路(7)の各構成機器の配管接続も必要となる。
本実施形態1によれば、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とを同一の右前側の架台部(51)に収容することとした。そのため、必ず配管接続が必要となる同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とを予め配管接続して同一の架台部(51)に据え付けた状態で設置現場へ搬送することが可能となる。これにより、設置現場での配管接続の手間を削減することができるため、チラー装置(10)の設置作業を容易化することができる。
また、本実施形態1では、水の流入口(48)と、水の流出口(49)と、ガス冷媒の出入口(72,72)と、液冷媒の出入口(73,73)とが同一の側面である第1面(27a)に形成された本体部(27)を有する水熱交換器(20,21)を用いることとした。また、該水熱交換器(20,21)を、本体部(27)の第1面(27a)の裏側の第2面(27b)が架台部(51)の一側面(右前側の架台部(51)の後側の側面)に沿うように配置することとした。
ところで、各水熱交換器(20,21)を、各本体部(27)の水及び冷媒の出入口(48,49,72,73)が形成された第1面(27a)が架台部(51)の一側面に対向するように設ける場合、各出入口(48,49,72,73)に接続される配管が架台部(51)の外側へ延出して搬送及び設置作業を妨げるおそれがあるため、水熱交換器(20,21)と架台部(51)の一側面との間に、各出入口(48,49,72,73)に接続される配管が収まる空間を確保しなければならない。
しかしながら、本実施形態1によれば、上述のように、各水熱交換器(20,21)を、本体部(27)の配管が接続されない第2面(27b)が右前側の架台部(51)の後側の側面に沿うように設けることとしたため、水熱交換器(20,21)と右前側の架台部(51)の後側の側面との間に、各出入口(48,49,72,73)に接続される配管が収まる空間を確保する必要がなく、当該間隔を可能な限り狭めることができる。これにより、水熱交換器(20,21)が設けられる右前側の架台部(51)において、該水熱交換器(20,21)の設置面積を可能な限り小さく抑えることができる。また、各水熱交換器(20,21)の本体部(27)から、各配管が架台部(51)の内側向き(前側向き)に延びるように配設されるため、配管に配慮することなく架台部(51)の連結作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態1では、水熱交換器(20,21)が設けられる右前側の架台部(51)の側面であって他の架台部(51)との連結面である後側の側面に、水熱交換器(20,21)の本体部(27)の配管が接続されない第2面(27b)が対向することとなる。つまり、各水熱交換器(20,21)の本体部(27)に接続される配管が、架台部(51)の連結面ではなく架台部(51)の内側に向かって延びることとなるため、これらの配管に配慮することなく架台部(51)の連結作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態1によれば、水分が付着すると故障するおそれのある制御ユニット(60)を、冷媒が流通して結露するおそれのある水回路(7)が収容された右前側の架台部(51)とは異なる右後側の架台部(51)に据え付けている。これにより、水熱交換器(20,21)において発生した結露水が制御ユニット(60)に付着することを防止することができる。
また、本実施形態1によれば、支持架台(50)とその上部に設置される構造体とをそれぞれ同数の4つの部分に分離可能に構成することとした。そのため、これらをそれぞれ4つの同程度の大きさの部分に分離した状態で搬送することにより、例えば、ビル等の設置現場に設置されている所定の内容積のエレベータ等を搬送手段として用いることが可能となる。従って、チラー装置(10)の設置現場への搬送作業を容易化することができる。
さらに、本実施形態1によれば、各架台部(51)の上面の面積と、該架台部(51)の上部に設置される各空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)の底面の面積とが略等しくなるように構成されているため、チラー装置(10)を、水平断面の大きさが略等しい複数の部分に分離させることができる。そのため、チラー装置(10)を複数の部分に分離して、例えば車両やエレベータ等に載置して搬送する際に、確保すべきスペースが略等しくなる。従って、チラー装置(10)の搬送作業を単純化することができ、搬送作業をより容易に行うことができる。
また、本実施形態1によれば、各空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)を、住宅やビル等で広く用いられる空気調和装置の室外機であって、冷媒回路の利用側熱交換器を有する室内機に接続される室外機と同様の構成とした。そのため、チラー装置(10)を、広く普及している空気調和装置の室外機を用いて容易に構成することができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2のチラー装置(10)は、実施形態1のチラー装置(10)において、水回路(7)の構成を一部変更したものである。
具体的には、図5に示すように、実施形態2では、2つの水熱交換器(20,21)がそれぞれ別個の水回路(7)に接続されている。つまり、実施形態2では、水回路(7)が2つ設けられている。各水回路(7)には、それぞれ水ポンプ(45)が設けられている。2つの水熱交換器(20,21)が別個の水回路(7)に接続される以外の構成は実施形態1と同様であり、各水回路(7)において水ポンプ(45)が駆動されると、利用側装置から冷温水入口(46)を介して水ポンプ(45)に吸入された水が該水ポンプ(45)によって水熱交換器(20,21)に搬送され、該水熱交換器(20,21)の第1の伝熱部(20a,21a)を通過する際に、各第2の伝熱部(20b,21b)及び各第3の伝熱部(20c,21c)を流れる冷媒と熱交換して加熱又は冷却される。各水熱交換器(20,21)において冷媒と熱交換して加熱又は冷却された水は、冷温水出口(47)を介して利用側装置へ供給される。
<機器ユニットの構成>
図6に示すように、本実施形態2では、空冷ユニット(1LF〜1RR)の機器以外の機器類は、水回路(7)毎に一纏まりの機器ユニット(5a,5b)に構成されている。つまり、本実施形態2では、2つの機器ユニット(5a,5b)を有している。2つの機器ユニット(5a,5b)は、それぞれ別個の架台部(51)の内部に収容されている。言い換えると、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とが、同一の架台部(51)の内部に収容されている。
具体的には、水熱交換器(20)を有する第1機器ユニット(5a)が、右前側の架台部(51)に収容され、水熱交換器(21)を有する第2機器ユニット(5b)が、左前側の架台部(51)に収容されている。各架台部(51)において、各水熱交換器(20,21)は、架台部(51)の後側の側面に沿うように配置され、水ポンプ(45)は、架台部(51)の内部の前側に配置されている。
各架台部(51)の内部において、各水熱交換器(20,21)は、実施形態1と同様に、水の出入口(48,49)と冷媒の出入口(72,73)とが形成された第1面(図6では前面)の裏側の第2面(図6では後面)が架台部(51)の一側面(図6では後側の側面)に沿うように配置されている。つまり、各水熱交換器(20,21)は、配管の接続されない側面が架台部(51)の一側面に対向するように設けられている。そのため、水熱交換器(20,21)と架台部(51)の一側面との間に、各出入口(48,49,72,73)に接続される配管が収まる空間を確保する必要がなく、当該間隔を可能な限り狭めることができる。また、架台部(51)の他の架台部(51)との連結面である後側の側面に、水熱交換器(20,21)の配管の接続されない側面を対向させているため、架台部(51)の連結面と水熱交換器(20,21)との間に配管が配設されることがないため、これらの配管に配慮することなく架台部(51)の連結作業を容易に行うことができる。
−搬送作業及び組立作業−
実施形態1と同様に、機器ユニット(5)が内部に設置された支持架台(50)と、該支持架台(50)の上部に設置される構造体(4つの空冷ユニット(1LF〜1RR))とは、同数(4つ)の部分に分離された状態で、設置現場に搬送され、設置現場において組み立てられる。まず、4つの架台部(51)を上下左右に並べてそれぞれを連結した後に、4つの空冷ユニット(1LF〜1RR)を各架台部(51)の上部に1つずつ設置されるように据え付ける。このとき、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とは、予め配管接続された状態で同一の架台部(51)に収容されている。具体的には、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とは、水熱交換器(20,21)が水配管(41)によって水ポンプ(45)に接続され、水熱交換器(20,21)が水配管(42)によって冷温水出口(47)に接続され、水ポンプ(45)が水配管(43)によって冷温水入口(46)に接続された状態で同一の架台部(51)に収容されている。このように、同一の水回路(7)のすべての構成機器が予め配管接続された状態で同一の架台部(51)に収容されている。そのため、設置現場において、これらの構成機器の配管接続が不要となる。
そして、4つの空冷ユニット(1LF〜1RR)の熱源側回路(6a)と機器ユニット(5)の利用側回路(6b)とが4本の液冷媒配管(25)と4本のガス冷媒配管(26)とによって接続され、組み立て作業が終了する。
このように、実施形態2では、水回路(7)が複数設けられ、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とが、同一の架台部(51)の内部に収容されている。そのため、必ず配管接続が必要となる同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とを予め配管接続して同一の架台部(51)に据え付けた状態で設置現場へ搬送することが可能となる。これにより、設置現場での水回路(7)の配管接続の手間を削減することができるため、チラー装置(10)の設置作業を容易化することができる。
《発明の実施形態3》
実施形態3のチラー装置(10)は、実施形態1のチラー装置(10)において、水回路(7)の構成を一部変更したものである。
具体的には、図7に示すように、実施形態3では、4つの冷媒回路(6)の各利用側回路(6b)に、それぞれ1つずつ水熱交換器(120)が設けられている。また、4つの水熱交換器(120)は、それぞれ別個の水回路(7)に接続されている。つまり、実施形態3では、水回路(7)が4つ設けられている。各水回路(7)には、それぞれ水ポンプ(45)が設けられている。
各水熱交換器(120)は、第1の伝熱部(120a)と、該第1の伝熱部(120a)と熱交換する第2の伝熱部(120b)とを有している。各水熱交換器(120)は、第1の伝熱部(120a)が対応する水回路(7)の室外側回路(7a)に接続され、第2の伝熱部(120b)が対応する空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)の利用側回路(6b)に接続されている。その他の構成は実施形態1と同様である。
各水回路(7)において水ポンプ(45)が駆動されると、利用側装置から冷温水入口(46)を介して水ポンプ(45)に吸入された水が該水ポンプ(45)によって各水熱交換器(120)に搬送され、該水熱交換器(120)の第1の伝熱部(120a)を通過する際に、各第2の伝熱部(120b)を流れる冷媒と熱交換して加熱又は冷却される。各水熱交換器(120)において冷媒と熱交換して加熱又は冷却された水は、冷温水出口(47)を介して利用側装置へ供給される。
<機器ユニットの構成>
図8に示すように、本実施形態3では、空冷ユニット(1LF〜1RR)の機器以外の機器類は、水回路(7)毎に一纏まりの機器ユニット(5rf,5rr,5lf,5lr)に構成されている。つまり、本実施形態3では、4つの機器ユニット(5rf,5rr,5lf,5lr)を有している。4つの機器ユニット(5rf,5rr,5lf,5lr)は、2つの架台部(51)の内部に2つずつ収容されている。これにより、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(120)とが、同一の架台部(51)の内部に収容されている。
具体的には、右前側の空冷ユニット(1RF)内の熱源側回路(6a)に接続される第1機器ユニット(5rf)と、右後側の空冷ユニット(1RR)内の熱源側回路(6a)に接続される第2機器ユニット(5rr)とが、右前側の架台部(51)に収容されている。一方、左前側の空冷ユニット(1LF)内の熱源側回路(6a)に接続される第3機器ユニット(5lf)と、左後側の空冷ユニット(1LR)内の熱源側回路(6a)に接続される第4機器ユニット(5lf)とが、左前側の架台部(51)に収容されている。
右前側の架台部(51)の内部において、第1及び第2機器ユニット(5rf,5rr)のそれぞれの水熱交換器(120)は、架台部(51)の後側の側面に沿うように左右方向に並んで配置されている。一方、第1及び第2機器ユニット(5rf,5rr)のそれぞれの水ポンプ(45)は、右前側の架台部(51)の内部の前側に配置されている。左前側の架台部(51)の内部において、第3及び第4機器ユニット(5lf,5lr)のそれぞれの水熱交換器(120)は、架台部(51)の後側の側面に沿うように左右方向に並んで配置されている。一方、第3及び第4機器ユニット(5lf,5lr)のそれぞれの水ポンプ(45)は、左前側の架台部(51)の内部の前側に配置されている。
なお、図8では、冷媒配管の図示を省略しているが、実施形態3の4つの水熱交換器(120)も、実施形態1と同様に、ガス冷媒の出入口、液冷媒の出入口、水の流入口、水の流出口とが同一の側面である第1面に形成された本体部を有している。そして、各水熱交換器(120)は、架台部(51)の内部において、第1面(図8では前面)の裏面の第2面(図8では後面)が、架台部(51)の後側の側面に沿うように配置されている。つまり、各水熱交換器(120)は、配管の接続されない側面が架台部(51)の一側面に対向するように設けられている。そのため、水熱交換器(120)と架台部(51)の一側面との間に、冷媒及び水の出入口に接続される配管が収まる空間を確保する必要がなく、当該間隔を可能な限り狭めることができる。また、架台部(51)の他の架台部(51)との連結面である後側の側面に、水熱交換器(120)の配管の接続されない側面を対向させているため、架台部(51)の連結面と水熱交換器(120)との間に配管が配設されることがないため、これらの配管に配慮することなく架台部(51)の連結作業を容易に行うことができる。
−搬送作業及び組立作業−
実施形態1と同様に、機器ユニット(5)が内部に設置された支持架台(50)と、該支持架台(50)の上部に設置される構造体(4つの空冷ユニット(1LF〜1RR))とは、同数(4つ)の部分に分離された状態で、設置現場に搬送され、設置現場において組み立てられる。まず、4つの架台部(51)を上下左右に並べてそれぞれを連結した後に、4つの空冷ユニット(1LF〜1RR)を各架台部(51)の上部に1つずつ設置されるように据え付ける。このとき、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(120)とは、予め配管接続された状態で同一の架台部(51)に収容されている。具体的には、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(120)とは、水熱交換器(120)が水配管(41)によって水ポンプ(45)に接続され、水熱交換器(120)が水配管(42)によって冷温水出口(47)に接続され、水ポンプ(45)が水配管(43)によって冷温水入口(46)に接続された状態で同一の架台部(51)に収容されている。このように、同一の水回路(7)のすべての構成機器が予め配管接続された状態で同一の架台部(51)に収容されている。そのため、設置現場において、これらの構成機器の配管接続が不要となる。
そして、4つの空冷ユニット(1LF〜1RR)の熱源側回路(6a)と機器ユニット(5rf,5rr,5lf,5lr)の利用側回路(6b)とが4本の液冷媒配管(25)と4本のガス冷媒配管(26)とによって接続され、組み立て作業が終了する。
このように、実施形態3では、水回路(7)が複数設けられ、同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とが、同一の架台部(51)の内部に収容されている。そのため、必ず配管接続が必要となる同一の水回路(7)に接続される水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とを予め配管接続して同一の架台部(51)に据え付けた状態で設置現場へ搬送することが可能となる。これにより、設置現場での水回路(7)の配管接続の手間を削減することができるため、チラー装置(10)の設置作業を容易化することができる。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態1では、機器ユニット(5)に2台の水熱交換器(20,21)を配置すると共に、4台の空冷ユニット(1LF〜1RR)を設けて、1台の水熱交換器(20,21)に2台の空冷ユニット(1LF,1LR,1RF,1RR)の各熱源側回路(6a)を接続した構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、例えば、2台の水熱交換器(20,21)に各々第4の伝熱部を設けると共に、さらに2台の空冷ユニットを別途設け、上記各第4の伝熱部にその別途設けた空冷ユニットの熱源側回路を接続して、1台の水熱交換器に3台の空冷ユニットの各熱源側回路を接続する構成を採用してもよい。さらに、水熱交換器の台数も2台に制限されず、3台以上設けて同一の架台部(51)に配置し、その各水熱交換器に複数台の空冷ユニットの各熱源側回路を接続してもよい。
また、上記各実施形態では、図2,5,7に示すように、四路切換弁(31)を有する冷媒回路(6)を備えて冷却運転と加熱運転とが行われるチラー装置(10)を示したが、本発明に係るチラー装置はこれに限られず、例えば、冷媒回路(6)に四路切換弁(31)を設けず、チラー装置(10)の運転を冷却運転のみ又は加熱運転のみに制限してもよい。
さらに、上記各実施形態では、左右及び前後に合計4台の空冷ユニット(1LF〜1RR)を同数の架台部(51)に1対1に対応するように配置することとしていたが、空冷ユニット(1LF〜1RR)の個数と架台部(51)の個数とは異なっていてもよい。
また、上記各実施形態では、圧縮機(30)が各空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)に設けられていたが、圧縮機(30)を各空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)の機器以外の機器類として支持架台(50)の内部に設けることとしてもよい。例えば、図9に示すように、4つの圧縮機(30)を左前側の空冷ユニット(1LF)が設置される架台部(51)に収容することとしてもよい。つまり、複数の圧縮機(30)を同一の架台部(51)に設けることとしてもよい。例えば、複数の圧縮機(30)が互いに接続される場合、このように同一の架台部(51)に収容されることにより、複数の圧縮機(30)どうしを予め配管接続して架台部(51)に据え付けた状態で設置現場へ搬送することが可能となる。これにより、設置現場での配管接続の手間を削減することができるため、チラー装置(10)の設置作業を容易化することができる。
また、上記各実施形態では、各空冷ユニット(1LF,1RF,1LR,1RR)にアキュムレータ(34)を設けていたが、設けないこととしてももちろんよい。
また、上記実施形態1では、2つの水熱交換器(20,21)が直列に接続された水回路(7)が1つのみ設けられていたが、実施形態2,3のように、水回路(7)は複数設けられていてもよい。また、実施形態2では、水回路(7)は2つ設けられ、該2つの水回路(7)にそれぞれ水熱交換器と水ポンプとが1つずつ設けられ、各水回路(7)の機器は、各水回路(7)毎に別個の架台部(51)に設けられていたが、2つの水回路(7)の機器、即ち、2つの水熱交換器と2つの水ポンプとは、1つの架台部(51)の内部に収容することとしても勿論よい。このような配置によっても、設置現場での各水回路(7)の配管接続が不要となるため、設置作業を容易化することができる。
さらに、図10に示すように、水回路(7)が水ポンプ(45)を複数有する場合、これらの水ポンプ(45)を、同一の架台部(51)に収容することとしてもよい。このような場合であっても、互いに接続される複数の水ポンプ(45)が同一の架台部(51)に収容されることにより、複数の水ポンプ(45)どうしを予め配管接続して架台部(51)に据え付けた状態で設置現場へ搬送することが可能となる。これにより、設置現場での配管接続の手間を削減することができるため、チラー装置(10)の設置作業を容易化することができる。なお、複数の水ポンプ(45)は、複数の水熱交換器(20,21)と同一の右前側の架台部(51)に収容することがより好ましい。このような場合には、水ポンプ(45)と水熱交換器(20,21)とも搬送前に予め配管接続することができるため、設置現場での配管接続の手間を削減することができる。
また、上記各実施形態では、図2,5,7に示したように各空冷ユニット(1LF〜1RR)に閉鎖弁(36,37)を配置したが、機器ユニット側にも閉鎖弁を設けてもよい。