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JP6100876B1 - 偏光板用保護フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、偏光板のバックライトユニットに対向する側表面の傷つきを抑え、同時にコントラストの低下を抑制する偏光板用保護フィルムを提供することを目的とする。【解決手段】偏光板用保護フィルムであって、該保護フィルムの少なくとも一方の表面は、算術平均粗さRaが0.04μm以上、十点平均粗さRzが0.1μm以上、算術平均粗さRa/山谷平均間隔Smが0.0007以上であり、かつ該保護フィルムのヘイズが40%以下であり、その表面が背面側偏光板のバックライトユニット側にバックライトユニットと対向するように配置される、偏光板用保護フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板用保護フィルムに関し、特に液晶セルのバックライトユニット側に貼合される偏光板(背面側偏光板)において、そのバックライトユニット側に配置される偏光板用保護フィルムに関する。また、本発明の偏光板用保護フィルムを有する偏光板にも関する。
従来、液晶表示パネル等の各種画像表示パネルにおいて用いられている偏光板として、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素または二色性染料等の二色性色素が配向吸着された偏光フィルムの片面または両面に、接着剤層を介して、トリアセチルセルロースフィルムのような保護フィルムを積層した構成を有する偏光板が知られている(例えば、特許文献1)。このような偏光板は、必要に応じてさらに位相差フィルムや光学補償フィルム等の種々の光学層を積層した形態で、液晶セルに貼合されて液晶表示パネルを構成し、バックライトユニットと共に液晶表示装置に組み込まれて用いられる。
特開2010−211196号公報
近年、液晶表示装置に対して薄型化が要求されている。この薄型化に伴い、液晶表示装置に組み込まれる液晶表示パネルとバックライトユニットとの間の間隔も小さくすることが求められている。
しかしながら、このような薄型化によって、液晶パネルのバックライトユニット側に貼合されている偏光板(背面側偏光板)がバックライトユニットと接触しやすくなる。この接触により偏光板が傷ついた場合、バックライトユニットから入射する光が散乱してしまい、一部正面から見たときの輝度が低下したり、傷の多さや集まりによっては正常部と異常部でムラになって見えたり、また、黒表示時に斜めから見たときに光抜けが見られる等の画像表示機能に問題が生じるおそれがある。
前記特許文献1に記載の発明においては、特定の表面硬度を有し、また表面に凹凸構造を備える偏光板を用いることで傷つきを抑制している。しかしながら、前記特許文献1に記載の発明のように傷つきを抑制しつつも、同時に高いコントラストの画像を表示可能であると、さらに高品質な偏光板を提供することが可能となる。
そこで本発明は、液晶セルの背面側に貼合される偏光板のバックライトユニット側表面において特有に生じ得る前記課題を解決し、このような偏光板のバックライトユニット側表面の傷つきを抑え、同時にコントラストの低下を抑制する偏光板用保護フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、以下の好適な態様[1]〜[4]を提供するものである。
[1]偏光板用保護フィルムであって、該保護フィルムの少なくとも一方の表面は、算術平均粗さRaが0.04μm以上、十点平均粗さRzが0.1μm以上、算術平均粗さRa/山谷平均間隔Smが0.0007以上であり、かつ該保護フィルムのヘイズが40%以下であり、その表面が背面側偏光板のバックライトユニット側にバックライトユニットと対向するように配置される、偏光板用保護フィルム。
[2]少なくとも一方の表面は、ビッカース硬さHVが15〜35である、前記[1]に記載の偏光板用保護フィルム。
[3]前記[1]または[2]に記載の偏光板用保護フィルムが少なくともバックライトユニット側に配置された偏光板。
[4]長辺800mm以上の液晶表示装置に使用される、前記[3]に記載の偏光板。
本発明によれば、背面側偏光板のバックライトユニット側表面の傷つきを抑え、同時にコントラストの低下を抑制する偏光板用保護フィルムを提供することができる。
偏光板の構成および液晶表示パネルの一態様である構成を示す断面図を表す。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明は、偏光板用保護フィルムであって、該保護フィルムの少なくとも一方の表面は、算術平均粗さRaが0.04μm以上、十点平均粗さRzが0.1μm以上、算術平均粗さRa/山谷平均間隔Smが0.0007以上であり、かつ該保護フィルムのヘイズが40%以下であり、その表面が背面側偏光板のバックライトユニット側にバックライトユニットと対向するように配置される、偏光板用保護フィルム、および該保護フィルムを含む偏光板に関する。
本発明の保護フィルムの少なくとも一方の表面は、算術平均粗さRaが0.04μm以上、好ましくは0.06μm以上、より好ましくは0.1μm以上である。保護フィルムの少なくとも一方の表面の算術平均粗さRaが上記下限値以上であると、表面の凹凸構造により、保護フィルム表面の傷つきを目立たなくすることができ、画像表示装置における画質の低下が目立ちにくい。保護フィルムの少なくとも一方の表面の算術平均粗さRaが0.04μm未満であると、傷つきやこれによる画質の低下が目立ちやすい。なお、上記算術平均粗さRaは、通常2.0μm以下である。ここで、算術平均粗さRaとは、JIS B0601−1994で規定される表面の粗さを定義する指標である。これによると、算術平均粗さRaが大きいものは表面の凹凸が大きいことを示す。
本発明の保護フィルムの少なくとも一方の表面は、十点平均粗さRzが0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.3μm以上である。保護フィルムの少なくとも一方の表面の十点平均粗さRzが上記下限値以上であると、表面全体を均一に粗面化されるのではなく、凹凸の高さに差を持たせ全体の凹凸の高さがランダムとなり、傷つきをさらに目立たないものとすることができ、画像表示装置における画質の低下が目立ちにくい。保護フィルムの少なくとも一方の表面の十点平均粗さRzが0.1μm未満であると、傷つきやこれによる画質の低下が目立ちやすい。なお、上記十点平均粗さRzは、通常8.0μm以下である。ここで、十点平均粗さRzとは、JIS B0601−1994で規定される表面の粗さを定義する指標であり、最も高い山の頂点から高さが5番目までの山の頂点の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷の底から低さが5番目までの谷の底の標高の絶対値の平均値との和で表わされる値である。
本発明の保護フィルムの少なくとも一方の表面は、算術平均粗さRaを山谷平均間隔Smで割った値、すなわちRa/Smが0.0007以上、好ましくは0.0011以上、より好ましくは0.0015以上であり、好ましくは0.009以下、より好ましくは0.005以下である。保護フィルムの少なくとも一方の表面のRa/Smが上記下限値以上であると、保護フィルムの光拡散性を確保できるため、表面に傷つきが発生しても傷つきの視認性を低下させることができる。保護フィルムの少なくとも一方の表面のRa/Smが上記上限値以下であると、ヘイズを低くすることができる。保護フィルムの少なくとも一方の表面のRa/Smが0.0007未満であると、保護フィルムの光拡散性が不十分であり、傷が視認され易くなる。ここで、山谷平均間隔Smとは、JIS B0601−1994で規定される値であり、Ra/Smは、凹凸の傾斜の程度を表すものである。Smは通常10μm〜200μmである。
本発明の保護フィルムは、ヘイズが40%以下、好ましくは35%以下、さらに好ましくは20%以下、より好ましくは12%以下である。保護フィルムのヘイズが上記上限値以下であると、輝度の低下が抑えられ、コントラストが良好となる。保護フィルムのヘイズが40%より高いと、輝度の低下が大きくなりコントラストが低下する。ヘイズを低くするためには、Ra/Smを小さくする方が良く、例えばRaを小さくしたり、Smを大きくすればよい。なお、本発明の保護フィルムのヘイズは、通常4%以上である。ここで、ヘイズは、JIS K7136に準拠して測定することができる。上記所定の算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、算術平均粗さRa/山谷平均間隔Smおよびヘイズを有する表面は、液晶セルのバックライトユニット側に貼合される偏光板(背面側偏光板)において、そのバックライトユニット側表面であることが好ましい。
本発明の保護フィルムの少なくとも一方の表面は、ビッカース硬さHVが好ましくは15〜35、より好ましくは19〜35、さらに好ましくは19〜30である。保護フィルムの少なくとも一方の表面のビッカース硬さHVが上限値以下であり、比較的軟らかい表面である場合、保護フィルムの過剰な硬度によってバックライトユニットの傷つきは抑制され、同時にRa、Rz、Ra/Smが上記範囲内にあることにより保護フィルムの傷つきを目立たなくすることができる。また、上記範囲内のビッカース硬さHVの表面を有する保護フィルムは、ハードコート層等を配置することなく製造することができ、コスト面で有利である。なお、ビッカース硬さHVは、ISO14577に準拠して測定することができ、超微小硬度計(例えば、(株)フィッシャー・インストルメンツ製の超微小硬度計HM2000)を用いて測定することができ、試料に10mNの荷重を10秒間乗せた時の値である。偏光板およびバックライトユニットの傷つき抑制の観点から、上記ビッカース硬さHVは、液晶セルのバックライトユニット側に貼合される偏光板において、そのバックライトユニット側表面が有することが好ましい。
本発明の偏光板用保護フィルムは、通常熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されない。熱可塑性樹脂は透明性、熱安定性、水分遮蔽性、等方性等に優れることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物などものポリマーが挙げられる。保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型または紫外線硬化型の樹脂による硬化層として形成することもできる。
中でも、透明性、水分遮蔽性、等方性の観点から、熱可塑性樹脂は(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましい。また、(メタ)アクリル系ポリマーは傷つきが目立ちやすいので、本発明が好ましく適用される。なお、(メタ)アクリル系ポリマーとは、(メタ)アクリル酸エステルを主体とする重合体であり、1種類の(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、(メタ)アクリル酸エステルと他の(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体であってもよい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜4程度である。また、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキル類、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリール類、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルアルキル類、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキル類を用いることもできる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」を表す。
熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系ポリマーである場合、上述した(メタ)アクリル系ポリマー以外の他のポリマーを含んでいてもよい。当該他のポリマーの含有率は、熱可塑性樹脂の全質量を基準として、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは0〜30質量%である。
前記熱可塑性樹脂は粒子を含んでもよい。この場合、該粒子の屈折率と前記熱可塑性樹脂の屈折率との屈折率差Δnが小さいことが好ましい。屈折率差Δnが大きくなると保護フィルムの内部ヘイズが大きくなり易い。また、粒子の粒子径は小さい方が好ましい。該粒子の粒子径が大きいと同様に内部ヘイズが大きくなり易い。粒子を含む場合、ヘイズを本発明で規定する範囲とするために、屈折率差Δnが小さい粒子や、粒子径が小さい粒子を用いることが望ましい。
熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系ポリマーである場合、保護フィルムの耐衝撃性や製膜性を向上させる観点から、(メタ)アクリル系ポリマーはゴム粒子を含有してもよい。ゴム粒子は、ゴム弾性を示すゴム弾性体層を含む粒子であってよく、例えばゴム弾性を示すゴム弾性体層のみからなる単層構造の粒子であってもよいし、ゴム弾性を示すゴム弾性体層とともに他の層を有する多層構造の粒子であってもよい。ゴム弾性体としては、例えば、オレフィン系弾性重合体、ジエン系弾性重合体、スチレン−ジエン系弾性共重合体、アクリル系弾性重合体などが挙げられる。中でも、耐光性および透明性の観点から、アクリル系弾性重合体が好ましく用いられる。
アクリル系弾性重合体は、アクリル酸アルキルを主体とする、すなわち、全モノマー量を基準にアクリル酸アルキル由来の構成単位を50質量%以上含む重合体であってよい。アクリル系弾性重合体は、アクリル酸アルキルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸アルキル由来の構成単位を50質量%以上と、他の重合性モノマー由来の構成単位を50質量%以下とを含む共重合体であってもよい。
アクリル系弾性重合体を構成するアクリル酸アルキルとしては通常、そのアルキル基の炭素数が4〜8のものが用いられる。上記他の重合性モノマーの例を挙げれば、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルのようなメタクリル酸アルキル;スチレン、アルキルスチレンのようなスチレン系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルのような不飽和ニトリル等の単官能モノマー、さらには、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸メタリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;マレイン酸ジアリルのような二塩基酸のジアルケニルエステル;アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステル等の多官能モノマーである。
ゴム弾性体としてアクリル系弾性重合体を含むゴム粒子は、アクリル系弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であることが好ましい。具体的には、アクリル系弾性重合体および該アクリル系弾性重合体の層の外側または内側にメタクリル酸アルキルを主体とする硬質の重合体層を有する2層構造のものや、さらに該アクリル系弾性重合体の層の内側にメタクリル酸アルキルを主体とする硬質の重合体層を有する3層構造のものが挙げられる。
アクリル系弾性重合体の層の外側および/または内側に形成される硬質の重合体層を構成するメタクリル酸アルキルを主体とする重合体におけるモノマー組成の例は、(メタ)アクリル系ポリマーの例として挙げたメタクリル酸アルキルを主体とする重合体のモノマー組成の例と同様であり、特にメタクリル酸メチルを主体とするモノマー組成が好ましく用いられる。このような多層構造のアクリル系ゴム粒子は、例えば特公昭55−27576号公報に記載の方法によって製造することができる。
ゴム粒子は、その中に含まれるゴム弾性体層(アクリル系弾性重合体の層)の外側までの径(平均粒子径)が好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上であり、好ましくは350nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは280nm以下である。
ゴム粒子におけるゴム弾性体層(アクリル系弾性重合体の層)の外側までの径(平均粒子径)は、次のようにして測定される。すなわち、このようなゴム粒子を(メタ)アクリル系ポリマーに混合してフィルム化し、その断面を酸化ルテニウムの水溶液で染色すると、ゴム弾性体層だけが着色してほぼ円形状に観察され、母層の(メタ)アクリル系ポリマーは染色されない。そこで、このようにして染色されたフィルム断面から、ミクロトーム等を用いて薄片を調製し、これを電子顕微鏡で観察する。そして、無作為に100個の染色されたゴム粒子を抽出し、各々の粒子径(ゴム弾性体層の外側までの径)を測定した後、その数平均値を上記平均粒子径とする。このような方法で測定するため、得られる上記平均粒子径は数平均粒子径である。
ゴム粒子が、最外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体であり、その中にゴム弾性体層(アクリル系弾性重合体の層)が包み込まれているゴム粒子である場合、このゴム粒子を母体の(メタ)アクリル系ポリマーに混合すると、ゴム粒子の最外層が母体の(メタ)アクリル系ポリマーと混和する。そのため、その断面を酸化ルテニウムで染色し、電子顕微鏡で観察すると、ゴム粒子は、最外層を除いた状態の粒子として観察される。具体的には、内層がアクリル系弾性重合体であり、外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体である2層構造のゴム粒子である場合には、内層のアクリル系弾性重合体部分が染色されて単層構造の粒子として観察される。また、最内層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体であり、中間層がアクリル系弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体である3層構造のゴム粒子の場合には、最内層の粒子中心部分が染色されず、中間層のアクリル系弾性重合体部分のみが染色された2層構造の粒子として観察されることになる。
(メタ)アクリル系ポリマーがゴム粒子を含む場合、保護フィルムにおける含有量は、保護フィルムの耐衝撃性や製膜性を向上させる観点から、保護フィルムを構成する(メタ)アクリル系ポリマーとの合計質量を基準に3質量%以上、60質量%以下の割合で配合されることが好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。保護フィルムにおけるゴム粒子の粒子径や含有量が上記範囲内であれば、ヘイズの上昇を抑制することができる。なお、本発明においては、ゴム粒子として、ゴム弾性を示す層とともに他の層を有する多層構造の粒子を用いた場合は、ゴム弾性を示すゴム弾性体層とその内側の層からなる部分の質量を、ゴム粒子の質量とする。例えば、上述の3層構造のゴム粒子を用いた場合は、中間層のアクリル系弾性重合体部分と最内層のメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体部分との合計質量を、ゴム粒子の質量とする。上述の3層構造のアクリル系ゴム粒子をアセトンに溶解させると、中間層のアクリル系弾性重合体部分と最内層のメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体部分とは、不溶分として残るので、3層構造のアクリル系ゴム粒子に占める中間層と最内層の合計の質量割合は、容易に求めることができる。
(メタ)アクリル系ポリマーがゴム粒子を含む場合において、当該フィルムの作製に用いられるゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系ポリマー組成物は、(メタ)アクリル系ポリマーとゴム粒子とを溶融混練等により混合することによって得ることができるほか、まずゴム粒子を作製し、その存在下に(メタ)アクリル系ポリマーの原料となるモノマー組成物を重合させる方法によっても得ることができる。
熱可塑性樹脂には、上記粒子以外に、通常の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤等を含有させてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤として、ケミプロ化成株式会社製の「Kemisorb102」、株式会社ADEKA製の「アデカスタブLA46」「アデカスタブLAF70」、BASF社製の「TINUVIN 460」「TINUVIN 405」「TINUVIN 400」「TINUVIN 477」、サンケミカル社製の「CYASORB UV−1164」、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、株式会社ADEKA製の「アデカスタブLA31」「アデカスタブLA36」住化ケムテックス社製「スミソーブ200」「スミソーブ250」「スミソーブ300」「スミソーブ340」「スミソーブ350」、ケミプロ化成株式会社製の「Kemisorb74」「Kemisorb79」「Kemisorb279」BASF社製の「TINUVIN 99−2」「TINUVIN 900」「TINUVIN 928」等が挙げられる。
保護フィルムの面配向係数ΔPの絶対値は2.0×10−4以下であってもよい。面配向係数ΔPは、フィルムを構成する高分子の分子鎖の配向状態に関する指標となる物性値であり、フィルムの面内遅相軸方向(面内で屈折率が最大になる方向)の屈折率をnx、面内進相軸方向(面内遅相軸方向と直交する方向)の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnzとするとき、下記式:
面配向係数ΔP=(nx+ny)/2−nz
で定義される。
保護フィルムの厚みは特に制限されるものではないが、通常500μm以下、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜100μmである。また、保護フィルムは、光学補償機能を付加させた透明保護フィルム等から構成されていてもよい。
上記所定の算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、算術平均粗さRa/山谷平均間隔Smおよびヘイズを有する保護フィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えばエンボス加工方式等により製造することができる。エンボス加工方式の場合、表面を粗面化処理した成形型と平滑な表面を有する成形型との間に、熱可塑性樹脂ペレットまたは熱可塑性樹脂および上記粒子を含むペレット等を挟み、加熱下でプレス処理を行い、フィルム化することによって、所望の算術平均粗さRa、十点平均粗さRzおよび算術平均粗さRa/山谷平均間隔Smを有する保護フィルムを得ることができる。また、2枚の粗面化処理したプレートを用いることにより、両面に所望のRa、RzおよびRa/Smを有する保護フィルムを製造することもできる。ここで加熱温度は熱可塑性樹脂の溶融温度以上であれば特に特に限定されない。また、エンボス加工方式の場合では、熱可塑性樹脂の溶融押出を行い、押出された樹脂を一対のロールで挟み、フィルム化することによっても、本発明の保護フィルムを製造することができる。一対のロールは、一方のロールが表面に凹凸のあるエンボスロールであり、他方のロールはエンボスロールでもよいし、表面平滑な鏡面ロールでもよいし、ゴム製弾性ロールでもよい。エンボス加工方式の場合、エンボスロールの表面形状を適宜選択することによって、所望のRa、Rz、Smおよびヘイズを有するフィルムを得ることができる。また、事前に凹凸を付与されたフィルムを延伸してもよい。延伸することによりRa/Smを小さくすることができる。また、Ra、Rzを小さくすることもできる。
表面を粗面化処理した成形型やエンボスロールの凹凸がフィルムに転写されて本発明の保護フィルムを得ることができる。成形型やエンボスロールの凹凸は、目的とする保護フィルムのRa、Rz、およびSmに応じた形状で形成すればよい。成形型やエンボスロールの凹凸は、例えば細かな硬質の粒子を吹き付けて表面に細かな凹凸を設けるサンドブラスト法により形成することができる。例えば、粒子径を大きくすればRaが大きくなり、単位面積当たりの粒子の数を多くすればSmは小さくなる。また、粒子の硬度が高ければRa、Rzは大きくなる。
本発明の保護フィルムは、偏光フィルムに接着されない保護フィルムの面において、表面処理層を有していてもよく、例えば反射防止層等の光学層、帯電防止層、防汚層などを有していてもよい。また、本発明の保護フィルムは、ハードコート層を有してもよいが、コスト面から好ましくはハードコート層を有しない。ハードコートを有する場合、ヘイズ40%以下を達成するためにはハードコート層に粒子を含まないことが好ましい。
本発明の偏光板用保護フィルムは、背面側偏光板のバックライトユニット側に配置される。ここで、背面側偏光板のバックライトユニット側とは、背面側偏光板を液晶表示装置に配置する場合に、液晶表示装置中のバックライトユニットに対向する、偏光板の一方の側を表す。背面側偏光板のバックライトユニット側は視認側とは反対の側である。視認側とは背面側偏光板の両側のうち、液晶セルと対向する側である。また、本発明の偏光板用保護フィルムは、偏光板の最外層に配置される。本発明の偏光板用保護フィルムは、その少なくとも一方の表面が上記所定の算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、算術平均粗さRa/山谷平均間隔Smおよびヘイズを有し、傷つきの抑制および視認性の観点から、好ましくは少なくとも背面側偏光板のバックライトユニット側表面が上記所定の算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、算術平均粗さRa/山谷平均間隔Smおよびヘイズを有する。本発明の偏光板用保護フィルムは、背面側偏光板の視認側に配置することもできるが、コントラストの低下を抑制する観点から、背面側偏光板のバックライト側に配置されることが好ましい。
本発明の偏光板用保護フィルムを含む偏光板(以下、本発明の偏光板ともいう)の構成は、本発明の偏光板用保護フィルムが少なくとも背面側偏光板のバックライトユニット側に配置される限り、特に制限されるものでない。本発明の一実施態様においては、本発明の偏光板は、保護フィルム、偏光フィルムおよび粘着層から構成される。ここで、本発明の偏光板用保護フィルムは、液晶表示装置中のバックライトユニットと対向して近接するように、偏光フィルム表面に配置される。本発明の偏光板(特に背面側偏光板)は、粘着層を介して液晶セルの一方の側、特にバックライトユニット側に配置され、さらに本発明または別の偏光板を液晶セルの他方の表面にも配置されて、液晶表示パネルが構成される。この液晶表示パネルを例えばバックライトユニットと共に組み込んで液晶表示装置を製造することができる。
本発明の偏光板用保護フィルムを有する偏光板、およびかかる偏光板を有する液晶表示パネルの一実施態様における構成を図1に基づいて説明する。本発明の偏光板(10)は、順に本発明の保護フィルム(1)、偏光フィルム(3)、保護フィルム(2)および粘着層(4)から構成される。なお、通常、偏光フィルム(3)と保護フィルム(1)または(2)とは接着剤を介して積層される。保護フィルム(2)は保護フィルム(1)と同一または異なっていてもよい。
液晶表示パネル(100)は、本発明の一実施態様において、液晶セル(5)と、粘着層(4)を介して液晶セル(5)にそれぞれ貼合された本発明の偏光板(10)および偏光板(10’)から構成される。本発明の一実施態様において、偏光板(10’)は、偏光板(10)と同様に、順に保護フィルム(1’)、偏光フィルム(3’)、保護フィルム(2’)および粘着層(4’)から構成される。偏光板(10’)の構成は偏光板(10)と同一または異なっていてもよい。
偏光フィルムと保護フィルムとは、通常、接着剤層を介して接着される。接着剤層を構成する接着剤としては、特に限定されるものではないが、接着剤層を薄くする観点から、水系のもの、すなわち、接着剤成分を水に溶解したもの、または接着剤成分を水に分散させたものが挙げられる。例えば、接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂またはウレタン樹脂を含む接着剤を用いることができる。偏光フィルムの両面に保護フィルムを有する場合、その接着に用いられる接着剤は同じであっても、異なっていてもよい。
接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂を含む場合、ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールの他、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールなどの変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。通常、ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液として調製される。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100質量部に対して、通常1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部である。
ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする接着剤には、接着性を向上させる観点から、グリオキザール、水溶性エポキシ樹脂などの硬化性成分および/または架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応で得られるポリアミドアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を好適に用いることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、「スミレーズレジン650」(住化ケムテックス(株)製)、「スミレーズレジン675」(住化ケムテックス(株)製)、「WS−525」(日本PMC(株)製)などが挙げられる。これら硬化性成分および/または架橋剤の添加量(共に添加する場合にはその合計質量)は、ポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対して、通常1〜100質量部、好ましくは1〜50質量部である。前記硬化性成分および/または架橋剤の添加量が前記範囲内であると、接着性が向上し、良好な接着性を示す接着剤層を形成することができる。
また、接着剤成分としてウレタン樹脂を含む場合、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を用いることが好ましい。ここで、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その骨格内に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂それ自体は公知であり、例えば特開平7−97504号公報には、フェノール系樹脂を水性媒体中に分散させるための高分子分散剤の例として記載されており、また特開2005−70140号公報および特開2005−208456号公報には、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムにシクロオレフィン系樹脂フィルムを貼合する形態が示されている。
保護フィルムおよび/またはこれに貼合される偏光フィルムへの接着剤の塗布は、公知の方法で行うことができ、例えば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法等を用いることができる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。接着剤を塗布した後、保護フィルムおよびこれに貼合される偏光フィルムを重ね合わせ、ニップロールなどにより挟んでフィルムの貼合を行なう。ニップロールを用いたフィルムの貼合は、例えば、接着剤を塗布した後、ロールなどで加圧して均一に押し広げる方法、接着剤を塗布した後、ロールとロールとの間に通し、加圧して押し広げる方法などを採用することができる。この場合、使用するロールの材質は金属やゴムなどであってよい。また、複数のロール間にフィルムを通し、押し広げる場合、複数のロールは同じ材質であっても、異なる材質であってもよい。
なお、保護フィルムと偏光フィルムの接着面には、接着性向上のため、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
前記貼合後、乾燥して接着剤を硬化させることにより偏光板を得ることができる。この乾燥処理は、例えば熱風を吹き付けることにより行なわれ、その温度は、通常40〜100℃の範囲内であり、好ましくは60〜100℃の範囲内である。また、乾燥時間は、通常20〜1200秒である。
乾燥後の接着剤により形成される接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μmであり、好ましくは0.01〜2μm、より好ましくは0.01〜1μmである。接着剤層の厚みが前記範囲内にあると、十分な接着性を確保でき、また外観的にも好ましい。
前記乾燥後、室温以上の温度で少なくとも半日、好ましくは数日間以上の養生を施すことによって十分な接着強度を得ることができる。養生温度は、好ましくは30〜50℃の範囲であり、より好ましくは35〜45℃の範囲である。養生温度が前記範囲内であると、ロール巻き状態における、いわゆる「巻き締まり」が生じ難くなる。なお、養生時の湿度は特に制限されず、相対湿度は0〜70%RHの範囲にあればよい。養生時間は、通常1〜10日、好ましくは2〜7日である。
また、前記接着剤として、光硬化性接着剤を用いることもできる。光硬化性接着剤としては、例えば光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤や光硬化性アクリル樹脂と光ラジカル重合開始剤などの混合物などの混合物が挙げられる。光硬化性接着剤を用いる場合には、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましい。
光硬化性接着剤への光照射強度は、光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度は好ましくは0.1〜6000mW/cm、より好ましくは10〜1000mW/cm、さらに好ましくは20〜500mW/cmである。照射強度が前記範囲内であると、適当な反応時間を確保でき、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱による樹脂の黄変や偏光フィルムの劣化を抑えることができる。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させる光硬化性接着剤によって適宜選択すればよく、特に制限されるものではないが、前記照射強度と照射時間との積として表される積算光量が好ましくは10〜10000mJ/m、より好ましくは50〜1000mJ/m、さらに好ましくは80〜500mJ/mとなるように設定される。光硬化性接着剤への積算光量が前記範囲内であると、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて、硬化反応をより確実に進行させることができ、また、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。
なお、活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、例えば、偏光フィルムの偏光度、透過率および色相、ならびに保護フィルム等を構成する各種フィルムの透明性といった、偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行なうことが好ましい。
偏光板を構成する偏光フィルムは、入射する自然光から直線偏光を取り出す機能を有するフィルムであり、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものを偏光フィルムとして用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他のモノマーとの共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)が挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常、85〜100モル%であり、98モル%以上が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、およびポリビニルブチラール等を用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1000〜10000であり、1500〜5000が好ましい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものを、偏光フィルムの原反フィルムとして用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂から構成される原反フィルムの膜厚は、特に限定されるものではないが、延伸のしやすさを考慮すれば、例えば10〜150μmであり、好ましくは15〜100μmであり、より好ましくは20〜80μmである。
偏光フィルムは、通常、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗処理を行う工程を経て製造される。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前に行なってもよく、染色と同時に行なってもよく、または染色の後に行なってもよい。一軸延伸を染色の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行なってもよく、ホウ酸処理中に行なってもよい。これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよく、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行なう乾式延伸であってもよく、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、偏光フィルムの変形を抑制する観点から、好ましくは8倍、より好ましくは7.5倍、さらに好ましくは7倍以下である。また、延伸倍率は、偏光フィルムとしての機能を発現させる観点からは、通常4.5倍以上である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。二色性色素としては、例えば、ヨウ素または二色性染料が用いられる。二色性染料には、例えば、C.I.DIRECT RED 39などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾ化合物などからなる二色性直接染料が包含される。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に、水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100質量部あたり0.01〜1質量部であり、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100質量部あたり0.5〜20質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1800秒である。
二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100質量部あたり1×10-4〜10質量部、好ましくは1×10-3〜1質量部であり、より好ましくは1×10-3〜1×10-2質量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。二色性色素として二色性染料を用いる場合、染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1800秒である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行なうことができる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の量は、水100質量部あたり、通常2〜15質量部、好ましくは5〜12質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100質量部あたり、通常0.1〜15質量部、好ましくは5〜12質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常60〜1200秒、好ましくは150〜600秒、より好ましくは200〜400秒である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行なうことができる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃であり、浸漬時間は、通常1〜120秒である。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行なうことができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃、好ましくは40〜95℃、より好ましくは50〜90℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒、好ましくは120〜600秒である。
このようにポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、およびホウ酸処理が施され、偏光フィルムが得られる。偏光フィルムの厚みは、例えば5〜40μmとすることができる。
塗布型の薄膜偏光フィルムは、従来公知のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸してなる偏光フィルムと比較して寸法変化率が小さい。そのため、塗布型の薄膜偏光フィルムを用いることにより、例えば長期間の使用および/または高温環境下での使用においても偏光板の寸法変化を抑制することができ、偏光フィルムの寸法変化に伴う偏光板とバックライトユニットとの接触をさらに抑制することができる。塗布型の薄膜偏光フィルムとしては、例えば、特開2012−58381、特開2013−37115、国際公開第2012/147633、国際公開第2014/091921に例示されるようなものを用いることができる。
本発明の偏光板に含まれる粘着層は、偏光フィルムもしくは保護フィルム、または、場合により偏光フィルムもしくは保護フィルム上の種々の表面処理層に積層される。
粘着層を構成する粘着剤としては、従来公知の粘着剤を特に制限なく用いることができ、例えば、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系などのベースポリマーを有する粘着剤を用いることができる。また、エネルギー線硬化型粘着剤、熱硬化型粘着剤などであってもよい。これらの中でも、透明性、粘着力、リワーク性、耐候性、耐熱性などに優れるアクリル樹脂をベースポリマーとした粘着剤が好適である。
アクリル系粘着剤としては、特に限定されるものではないが、ブチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、イソオクチル(メタ)クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)クリレート等の(メタ)クリレートエステル系ベースポリマーや、これらの(メタ)クリレートエステルなどを2種類以上含む共重合系ベースポリマーが好適に用いられる。さらに、これらのベースポリマー中に極性モノマーが共重合されている。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)クリル酸、2−ヒドロキシプロピル(メタ)クリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)クリレート、(メタ)クリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)クリレート、グリシジル(メタ)クリレート等の、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基などを有するモノマーを挙げることができる。
これらのアクリル系粘着剤は、単独で使用することもできるが、通常、架橋剤と併用される。架橋剤としては、2価または多価金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの、ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの、ポリエポキシ化合物やポリオール化合物であって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの、ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものなどが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が広く使用されている。
エネルギー線硬化型粘着剤とは、紫外線や電子線などのエネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有しており、エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルムなどの被着体に密着し、エネルギー線の照射により硬化して密着力を調整することができる性質を有する粘着剤である。エネルギー線硬化型粘着剤としては、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。エネルギー線硬化型粘着剤は、一般にはアクリル系粘着剤と、エネルギー線重合性化合物とを主成分としてなる。通常はさらに架橋剤が配合されており、また必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤などを配合することもできる。
粘着層は、前記のベースポリマーおよび架橋剤のほか、必要に応じて、粘着剤の粘着力、凝集力、粘性、弾性率、ガラス転移温度などを調整するために、例えば天然物や合成物である樹脂類、粘着性付与樹脂、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、消泡剤、腐食剤、光重合開始剤などの添加剤を含んでいてよい。さらに、微粒子を含有させて光散乱性を示す粘着層とすることもできる。紫外線吸収剤には、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがある。
本発明において、粘着層を構成する粘着剤には、シラン系化合物を含有させることが好ましく、とりわけ、架橋剤を配合する前のアクリル樹脂にシラン系化合物を含有させておくことが好ましい。シラン系化合物はガラスに対する粘着力を向上させるため、シラン系化合物を含むことにより、ガラス基板に挟まれた液晶セルと粘着層との密着性が向上し、表示パネルに対する高い接着力を確保することができる。
粘着層は、例えば上述したような粘着剤を有機溶剤溶液とし、それを積層しようとするフィルム(例えば偏光フィルム等)上にダイコータやグラビアコータなどによって塗布され、乾燥させる方法によって設けることができる。また、離型処理が施されたプラスチックフィルム(セパレートフィルムと呼ばれる)上に形成されたシート状粘着剤を、積層しようとするフィルムまたは層に転写する方法によっても設けることができる。粘着層の厚みについては、特に制限はないが、一般に2〜40μmの範囲内であることが好ましく、5〜35μmの範囲内であることがより好ましく、10〜30μmの範囲内であることがさらに好ましい。
好適な一態様において、粘着層は、アクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルおよびアクリル酸の共重合体であるアクリル樹脂、シラン系化合物、および架橋剤としてイソシアネート化合物から構成される。
本発明の偏光板は、必要に応じて、さらに、位相差フィルムおよび視角補償フィルム等の光学層を積層していてもよい。
位相差フィルムとしては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどが挙げられる。延伸処理は、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法などにより行うことができる。延伸倍率は、一軸延伸の場合には1.1〜3倍が一般的である。位相差フィルムの厚みは特に制限されるものではないが、一般的には10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
高分子素材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ノルボルネン構造を有するポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などが挙げられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の種々のポリマーが挙げられる。主鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどが挙げられる。側鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどが挙げられる。これら液晶ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
位相差フィルムは、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差フィルムを積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に対してやや斜めの方向から見た場合であっても、画像が比較的鮮明に見えるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償フィルムとしては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどがある。通常の位相差フィルムは、その面方向に一軸延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差フィルムには、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルム、面方向に一軸に延伸され、厚み方向にも延伸された、厚み方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルム等の二方向延伸フィルム等が用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して、加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理または/および収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差フィルムの素材原料ポリマーとしては、先の位相差フィルムで説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視野角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的としたものを適宜選択して用いることができる。
また、良視認の広い視野角を達成する観点から、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した視角補償フィルムが好適に用いられる。
本発明の偏光板は、例えば、偏光フィルムに保護フィルムを接着剤により貼合し、液晶セルと貼合される側の保護フィルムの表面に粘着層を形成することにより製造することができる。本発明の偏光板が光学層をさらに含む場合、例えば、保護フィルムに光学層を構成する各種フィルムを接着剤または粘着剤により貼合し、保護フィルムと接着した面と反対側の面に粘着層を形成すればよい。これにより、液晶セルおよび本発明の偏光板を含む液晶表示パネルを得ることができる。
また、本発明の偏光板は、種々の画面サイズを有する液晶表示パネルに好適に用いることができる。画面サイズが大きい程、各構成部材のサイズも大きくなるため、膨張や収縮等の変形量が大きくなり、その結果、偏光板への傷つきも生じ易くなると考えられる。さらに、画面の縦横比が9:16または9:21である長方形で横長の画像表示パネルにおいては、背面側偏光板のバックライトユニット側表面の傷つきが特に生じやすいことも見出されている。本発明の偏光板は、バックライトユニットとの接触による生じる傷つきを効果的に抑制することができ、またコントラストの低下を効果的に抑制することができるため、画面サイズが大きくても、偏光板の傷つきを抑制することができる。長辺が好ましくは800mm以上、より好ましくは1000mm以上、通常2000mm以下の液晶表示装置のバックライトユニットの場合、本発明の保護フィルムを含む偏光板を用いることが特に有利である。液晶表示パネルの画面サイズは、例えば、5インチ(長辺:100〜150mm)、10インチ(長辺:200〜250mm)、17インチ(長辺:320〜400mm)、32インチ(長辺:680〜720mm)、40インチ(長辺:860〜910mm)、46インチ(長辺:980〜1030mm)、55インチ(長辺:1180〜1230mm)、65インチ(長辺:1400〜1450mm)、75インチ(長辺:1600〜1700mm)、85インチ(長辺:1800〜1900mm)の画面サイズを有する液晶表示パネルに用いることができ、特に40インチ以上の画面サイズを有する液晶表示パネルに用いることが有利である。
本発明の偏光板を含む液晶表示パネルは、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは2mm以下であり、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上の厚みを有する。液晶表示パネルの厚みが前記上限値以下であると、液晶表示パネルを含む液晶表示装置の薄型化が容易となり、液晶表示パネルの厚みが前記下限値以上であると、液晶表示パネルが変形し難く、当該液晶表示パネルを構成する液晶セルと偏光板との接触が抑制されるため、偏光板の傷つきを抑制することができる。なお、液晶表示パネルの厚みは、通常0.01mm以上である。
本発明の偏光板を含む液晶表示装置は、偏光板のバックライトユニット側表面が傷つき難いため、画像表示機能に問題が生じ難く、コントラストの低下も抑制することが可能である。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
メタクリル系樹脂70質量%およびゴム粒子30質量%をスーパーミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混練してペレットとした。Raが0.05μm、Rzが0.21μm、Ra/Smが0.0015となるように表面をサンドブラストで粗面化処理したSUS板と平滑な表面を有するアルミ板との間に前記ペレットを挟み、さらにその外側を鉄板で挟んだ状態でプレス処理を行った。プレス処理には、200℃のプレス機(製造メーカ:神藤金属工業所、品番:NSF-100型単動圧縮成型機)を用い、プレス機のクリアランスは1cmとした。まず、予熱として2分間加熱し、次に、約2MPaの圧力下で1分間保持した。その後、成型したフィルムを鉄板で挟んだ状態のままプレス機から取り出し、冷却盤上で6分間冷却し、保護フィルム(1)を得た。保護フィルム(1)の厚みは270μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは4.8%であった。
なお、上記メタクリル系樹脂として、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96%/4%(質量比)の共重合体を用いた。また、上記ゴム粒子として、最内層がメタクリル酸メチルに少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された硬質の重合体からなり、中間層がアクリル酸ブチルを主成分とし、さらにスチレンおよび少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質の弾性体からなり、最外層がメタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質の重合体からなる三層構造の弾性体粒子であって、中間層である弾性体までの平均粒子径が240nmのものを用いた。なお、このゴム粒子において、最内層と中間層との合計質量は、粒子全体の70%であった。
(実施例2)
前記ペレットを直径65mmの一軸押出機に投入し、設定温度275℃のT型ダイを介して押出し、押出された樹脂を、Raが2.7μm、Rzが16μm、Ra/Smが0.015となるように粗面化したエンボスロールとゴム製弾性ロールとで挟み、保護フィルム(2)を得た。保護フィルム(2)の厚みは80μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは21.4%であった。
(実施例3)
粗面化したSUS板としてRaが0.06μm、Rzが0.29μm、Ra/Smが0.0019のものを使用した以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム(3)を得た。保護フィルム(3)の厚みは270μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは6.2%であった。
(実施例4)
粗面化したSUS板としてRaが0.28μm、Rzが1.51μm、Ra/Smが0.0042のものを使用した以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム(4)を得た。保護フィルム(4)の厚みは170μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは12.4%であった。
(実施例5)
粗面化したSUS板としてRaが0.37μm、Rzが1.91μm、Ra/Smが0.0047のものを使用した以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム(5)を得た。保護フィルム(5)の厚みは170μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは17.4%であった。
(実施例6)
粗面化したSUS板としてRaが1.01μm、Rzが4.33μm、Ra/Smが0.0083のものを使用した以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム(6)を得た。保護フィルム(6)の厚みは170μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは32.4%であった。
(実施例7)
厚み設定を80μmから60μmにした以外は、実施例2と同様にして、保護フィルム(7)を得た。保護フィルム(7)の厚みは60μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは34.1%であった。
(比較例1)
押出された樹脂を、鏡面を有する2本のポリシングロールで挟んだ以外は、実施例2と同様にして、保護フィルム(8)を得た。保護フィルム(8)の厚みは80μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは1.1%であった。
(比較例2)
粗面化したSUS板としてRaが0.03μm、Rzが0.14μm、Ra/Smが0.0003のものを使用した以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム(9)を得た。保護フィルム(9)の厚みは270μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは2.3%であった。
(比較例3)
粗面化したSUS板としてRaが0.04μm、Rzが0.19μm、Ra/Smが0.0009のものを使用した以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム(10)を得た。保護フィルム(10)の厚みは270μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは4.3%であった。
(比較例4)
粗面化したSUS板としてRaが1.38μm、Rzが5.90μm、Ra/Smが0.01のものを使用した以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム(11)を得た。保護フィルム(11)の厚みは170μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは41.8%であった。
(比較例5)
粗面化したSUS板としてRaが0.65μm、Rzが3.42μm、Ra/Smが0.0091のものを使用した以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム(12)を得た。保護フィルム(12)の厚みは170μmであった。なお、JIS K7105により測定したヘイズは50.6%であった。
次に、上記の実施例および比較例において得られた保護フィルム(1)〜(12)について、次のとおり、全光線透過率、ヘイズ、算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、山谷平均間隔Smおよびビッカース硬さHVを測定し、さらに傷つき難さおよびコントラストの評価を行った。その結果を表1に示す。
(全光線透過率、ヘイズの測定)
JIS K7361に準拠して、(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメータHM150を用いて、保護フィルム(1)〜(12)の全光線透過率をそれぞれ測定した。また、JIS K7136に準拠して、(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメータHM150を用いて、保護フィルム(1)〜(12)のヘイズをそれぞれ測定した。
(算術平均粗さRa、十点平均粗さRzおよび山谷平均間隔Smの測定)
JIS B0601−1994に準拠して、(株)東京精密製の表面粗さ形状測定機 ハンディーサーフE−35Aを用いて、保護フィルム(1)〜(12)の算術平均粗さRa、十点平均粗さRzおよび山谷平均間隔Smをそれぞれ測定した。
(ビッカース硬さHVの測定)
ISO14577に準拠して、(株)フィッシャー・インストルメンツ製の超微小硬度計HM2000を用いて測定を行い、保護フィルム(1)〜(12)にそれぞれ10mNの荷重を10秒間乗せた時の値を、ビッカース硬さHVとした。
(傷つき難さの評価)
K5600−5−4に準じて、安田精機製作所製のNo.553−M1電動鉛筆ひっかき硬度試験機を用いて測定を行った。まず、保護フィルム(1)〜(12)をそれぞれガラス板上にテープで固定し、鉛筆を45度となるようにセットし、500gの荷重をかけサンプル表面を引っかいた。同じ硬度の鉛筆を用いて、5回試験を行った。また、鉛筆の硬度を3H〜5Bまで変えて、同様の引っかき試験を行った。
表面を引っかいたフィルムを黒板に載せ、蛍光灯反射でフィルムの表面上の傷つきの有無を観察した。5回全てで傷つきが生じていない最大の鉛筆硬度を、そのフィルムの鉛筆硬度とした。3H〜5Bの鉛筆を用いた場合全てでフィルム上に傷つきが観察された場合は、「6B以下」と評価した。ここでは、表面の傷つき難さの観点から、鉛筆硬度が5B以上であることが好ましい。
(コントラストの評価)
分光放射計((株)トプコンテクノハウス製、SR−UL1)を、液晶表示装置((株)ソニー製、BRAVIA KDL−32EX550)の測定面から1m離して設置し、測定角2°視野とした状態で、デジタルビデオ信号発生器(アストロデザイン(株)製)を接続し、黒表示・白表示したテレビの黒輝度と白輝度を測定した。
測定は黒表示にしてから40分後に5回測定を行い、その平均値を黒輝度とした。その後、白表示に変え5分後に5回測定を行い、その平均値を白輝度とした。白輝度を黒輝度で割った値(7326)をコントラストとし、この値を基準値とした。
基準値を測定した後、液晶表示装置を分解し、バックライトユニットと対向する側の偏光板上に保護フィルム(1)〜(12)をそれぞれ配置し、再度液晶表示装置を組み立てた。その後、基準値を測定した時と同様の条件で白輝度と黒輝度を測定しコントラストを算出した。この算出されたコントラストおよび基準値に基づいて、コントラスト低下率を以下の式に従って算出した。
コントラスト低下率(%)={(基準値−コントラスト)/基準値}×100
なお、ここでは、コントラスト低下率が20%以下であることが好ましい。
Figure 0006100876
実施例1〜7において得られた保護フィルム(1)〜(7)では、ヘイズ、Ra、RzおよびRa/Smが所定の範囲であるが、この場合、鉛筆硬度は5B以上、コントラスト低下率は20%以下となり、表面の傷つきを抑えられ、同時にコントラストの低下が抑制される保護フィルムが得られていることが分かる。一方、比較例1〜3において得られた保護フィルム(8)〜(10)では、鉛筆硬度が低く、表面の傷つきを十分に抑制できないことが分かる。また、比較例4および5において得られた保護フィルム(11)および(12)では、コントラスト低下率が高い。そのため、保護フィルム(8)〜(12)では本発明の課題を解決できないことが分かる。
(参考例)
分解した液晶表示装置の視認側偏光板上に保護フィルム(6)を配置し、バックライトと対向する側の偏光板は当初のままの状態で再度液晶表示装置を組み立てた。その後、基準値を測定した時と同様の条件で白輝度と黒輝度を測定しコントラストを算出した。この算出されたコントラストおよび基準値に基づいて、コントラスト低下率を算出した。
その結果、コントラストは5660、コントラスト低下率は23%であった。
1、1’、2、2’:保護フィルム
3、3’:偏光フィルム
4、4’:粘着層
5:液晶セル
10、10’:偏光板
100:液晶表示パネル

Claims (3)

  1. 偏光板用保護フィルムが少なくともバックライトユニット側に配置された偏光板であって、
    該保護フィルムの少なくとも一方の表面は、算術平均粗さRaが0.04μm以上2.0以下、十点平均粗さRzが0.1μm以上8.0μm以下、算術平均粗さRa/山谷平均間隔Smが0.0007以上0.009以下であり、かつ該保護フィルムのヘイズが40%以下であり、ビッカース硬さHVが15〜35であり、その表面が背面側偏光板のバックライトユニット側にバックライトユニットと対向するように配置され
    長辺800mm以上の液晶表示装置に使用される、偏光板。
  2. 請求項に記載の偏光板および液晶セルを含む液晶表示パネル。
  3. 請求項に記載の液晶表示パネルおよびバックライトユニットを含む液晶表示装置。
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