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JP7348807B2 - 賦形フィルムおよび賦形フィルムを備える光学積層体 - Google Patents

賦形フィルムおよび賦形フィルムを備える光学積層体 Download PDF

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Description

本発明は、賦形フィルムおよび賦形フィルムを備える光学積層体に関する。
近年、画像表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置)の薄型化およびデザイン性の向上(例えば、狭ベゼル化)に対する要望が非常に強まっている。これに伴い、画像表示装置に用いられる光学部材および/または光学フィルムの一体化および/または機能の統合に対する要望も強まっている。そのような一体化または機能の統合の一例として、所定の光学部材等に光拡散フィルムを直接貼り合わせて光拡散機能を付与することが提案されている。光拡散フィルムには、輝度、輝度視野角および加工性、ならびに、当該光拡散フィルムを備える光学積層体の耐久性(特に、加湿耐久性)が求められることがあるが、直接貼り合わせ使用される光拡散フィルムにおいて、これらの特性をバランスよく満足することは困難である。
特開2012-118235号公報 特開2009-025774号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、別のフィルムと組み合わせて光学積層体を構成した際に、優れた輝度および輝度視野角を発現し得、当該光学積層体の耐久性(特に、加湿耐久性)に寄与し得、かつ、加工性に優れる賦形フィルムを提供することにある。
本発明の賦形フィルムは、基材部と、該基材部の片面に形成された凹凸部とを備える賦形フィルムであって、該凹凸部が、凸部と、該凸部に囲まれて形成されるセル構造を有する凹部を有し、該凸部の高さが、賦形フィルムの厚さに対して、5%~40%であり、該セル構造を有する凹部の平均面積が、5000μm以上であり、該賦形フィルムの端辺から500μm以内の領域に、該凸部の壁面が存在する。
1つの実施形態においては、上記基材部と上記凹凸部とが、同材料から構成される。
本発明の別の局面においては、光学積層体が提供される。この光学積層体は、上記賦形フィルムと、該賦形フィルムの片側において、該賦形フィルムの凹凸部と対抗するように配置された別のフィルムとを備え、該凹凸部分における全体の断面積Aに対する凹部の断面積Bの比率B/Aが50%以上である。
1つの実施形態においては、上記光学積層体は、上記賦形フィルムと上記別のフィルムとの間に、接着層をさらに備える。
1つの実施形態においては、上記接着層の厚みが最大となる部分が、上記賦形フィルムの凹部に対応した位置となる。
1つの実施形態においては、上記接着層が、活性エネルギー線硬化型接着剤を含む。
1つの実施形態においては、上記接着層の25℃における貯蔵弾性率が、100kPa以上である。
1つの実施形態においては、上記別のフィルムが、偏光子、波長変換フィルム、偏光反射フィルム、ガラス、または樹脂フィルムである。
1つの実施形態においては、上記光学積層体は、偏光板である。
本発明によれば、表面を特定形状の凹凸で構成することにより、別のフィルムと組み合わせて光学積層体を構成した際に、優れた輝度および輝度視野角を発現し得、当該光学積層体の耐久性(特に、加湿耐久性)に寄与し得、かつ、加工性に優れる賦形フィルムを提供することができる。
本発明の1つの実施形態による賦形フィルムの概略断面図である。 本発明の実施形態による賦形フィルムにおける凹凸表面の凸部の平面視形状の代表例を示す概略平面図である。 本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。 本発明の1つの実施形態による偏光板の概略断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。なお、図面は見やすくするために模式的に表されており、縦、横および厚みの比率、凹凸の形状および精細さ等が実際とは異なっている。
A.賦形フィルム
A-1.全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による賦形フィルムの概略断面図である。図示例の賦形フィルム100は、基材部10と、基材部10の片面に形成された凹凸部20とを有する。凹凸部20は、凸部21と凹部22とを有する。本発明の賦形フィルムは、凹凸部20を別のフィルムに貼着して用いることにより、光拡散フィルムとして機能し得る。
図2は、本発明の1つの実施形態による賦形フィルムにおける凹凸部の凸部の平面視形状の代表例を示す概略平面図である。図2に示すように、凹部22は凸部21(実質的には、凸部の壁面)に囲まれて形成されたセル構造を有し得る。セル構造を有する凹部を形成することにより、賦形フィルムを別のフィルムに積層して光学積層体を構成した際に、当該光学積層体への水分侵入を防止することができる。また、セル構造を有する凹部を形成することにより、切断部に割れ、欠け等の不具合を防止して、加工性よく裁断することが可能な賦形フィルムを得ることができる。なお、凹部のすべてがセル構造である必要はなく、例えば、賦形フィルムの端辺近傍においては、凹部が賦形フィルムの端辺側に開いていてもよい。
凹凸部における凸部21の平面視形状は、任意の適切な形状が採用され得る。凸部21の平面視形状は、例えば図2に示すように、規則性を有する形状(例えば、格子状)であってもよく、不規則形状であってもよい。凸部のピッチ(凸部と凸部との間隔)は、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。凸部の平面視形状が規則性を有する場合、角度を1度~90度のバイアスを設けてもよい。凸部の平面視形状が不規則形状である場合、ピッチは平均ピッチを意味し、ピッチの平均値に対し±50%以内が5割以上となるような分布であることが好ましい。このような構成であれば、賦形フィルムが別のフィルムに積層される際に賦形フィルムと別のフィルムとの接着強度が確保され、かつ、良好な表示品位が確保され得る。また、賦形フィルムを別のフィルムに積層して光学積層体を構成した際に、当該光学積層体への水分侵入を防止し得る。
凸部21の高さHは、賦形フィルムの厚さに対して、5%~40%である。このような範囲であれば、賦形フィルムを別のフィルムに積層して光学積層体を構成した際に、賦形フィルムの凸部(実質的には、凸部の上部)のみが別のフィルムに接着され得る。なお、本明細書において、凸部のみの接着を便宜上「点接着」と称する場合がある。このような点接着により、点接着部分近傍に凹部(空気部または空隙部)による実質的な低屈折率部が規定される。その結果、良好な光拡散性能を実現するとともに輝度視野角を大きくすることができる。従来、画像表示装置において別のフィルム(例えば、偏光子(偏光板))と光拡散フィルムとは別置きされ、その結果、偏光板と光拡散フィルムとの間には空気層が介在している。当該空気層は薄型化の障害となる一方で、当該空気層による再帰反射により輝度視野角が大きく維持される。別のフィルムと光拡散フィルムとを一体化すると薄型化および機能の統合は実現できるが、上記空気層の排除により輝度視野角が小さくなる。点接着部分近傍に低屈折率部を形成することにより、空気層が存在する場合と同様に光が効率的に再帰反射される。したがって、本発明の実施形態によれば、点接着を形成することにより、所望の光拡散性能を発揮するとともに、輝度視野角を大きく(広く)維持することができる。また、凸部の高さを上記範囲とすることは、機械的強度の観点からも有利であり、これにより凹部形状が好ましく維持され、優れた光拡散性および輝度視野角を得ることができる。
凸部21の高さHは、賦形フィルムの厚さに対して、好ましくは10%~30%であり、より好ましくは10%~20%である。このような範囲であれば、上記効果が顕著となる。
凸部21の高さHは、好ましくは2.5μm~25μmであり、より好ましくは5μm~20μmである。このような範囲であれば、上記効果が顕著となる。
セル構造を有する凹部の平均面積は、5000μm以上である。このような範囲であれば、輝度低下を抑制しつつ、優れた輝度視野角を実現し得る賦形フィルムを得ることができる。セル構造を有する凹部の平均面積は、好ましくは5000μm~50000μmであり、より好ましくは7000μm~40000μmであり、さらに好ましくは8000μm~30000μmである。このような範囲であれば、上記効果は顕著となり、また、機械的強度に優れる賦形フィルムを得ることができる。セル構造を有する凹部の平均面積は、画像解析ソフトウェア(フリーソフト「ImageJ」)を用いて求めることができる。すなわち、賦形フィルム表面の2値画像の閾値により凹部の内外が決定され、凹部の外枠が特定される。特定された枠内の面積を計算し、計算した面積の平均値を算出することにより求めることができる。
1つの実施形態においては、セル構造である凹部の平面視最大長は、好ましくは300μm以上であり、より好ましくは400μm以上であり、さらに好ましくは500μm以上である。このような範囲であれば、賦形フィルムが裁断して使用される場合においても、当該賦形フィルムは、水分侵入を有効に防止して、光学積層体の端部近傍の耐久性を向上させることができる。セル構造である凹部の最大長は、当該凹部を形成する凸部の壁面間の距離が最長となる箇所の当該距離を意味する。
凹凸部を平面視したときの全体面積に対する凹部22の面積比率は、好ましくは50%以上であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上である。凹部の面積比率の上限は、例えば90%であり得る。凹部の面積比率がこのような範囲であれば、輝度視野角を広く維持しつつ賦形フィルムに良好な拡散性能が付与されるとともに、賦形フィルムが別のフィルムに積層される際に接着強度が確保され得る。
本発明の賦形フィルムにおいては、当該賦形フィルムの端辺から500μm以内の領域に、凸部21の壁面が存在する。本発明において、凸部21は、賦形フィルムを別のフィルムに積層して光学積層体を構成した際に、当該光学積層体への水分侵入を防止し得る。賦形フィルムの端辺から500μm以内の領域に、凸部21の壁面を形成することにより、水分侵入を有効に防止して、光学積層体の端部近傍の耐久性を向上させることができる。賦形フィルムの端辺から400μm以内の領域に凸部21の壁面が存在することが好ましく、賦形フィルムの端辺から300μm以内の領域に凸部21の壁面が存在することがより好ましい。好ましくは、賦形フィルムの端辺から500μm以内(好ましくは400μm以内、より好ましくは300μm以内)の領域すべてにおいて、凸部21の壁面が存在する。
凹凸部全体の断面積Aに対する凹部の断面積Bの比率B/Aは、好ましくは50%以上であり、より好ましくは50%を超えており、さらに好ましくは60%以上であり、特に好ましくは70%以上である。比率B/Aの上限は、例えば90%であり得る。比率B/Aがこのような範囲であれば、輝度視野角を広く維持しつつ賦形フィルムに良好な拡散性能が付与されるとともに、賦形フィルムが別のフィルムに積層される際に接着強度が確保され得る。なお、凹凸部全体の断面積Aは、凸部の表面を結ぶ線と凹部の底を結ぶ線とフィルム両端の上下方向の線とで囲まれた部分の面積であり(参考として、当該部分の外側を破線で囲って図1に示す)、凹部の断面積Bは、それぞれの凹部22の断面積(隣接する凸部の壁の線と凸部の表面を結ぶ線と凹部の底を結ぶ線とで囲まれた部分の面積)の合計である。
本発明の賦形フィルムの厚みは、好ましくは25μm~250μmであり、より好ましくは40μm~100μmである。
上記基材部の厚みは、好ましくは22.5μm~225μmであり、より好ましくは30μm~90μmである。
1つの実施形態においては、上記賦形フィルムは、光拡散性粒子を含まない。光拡散性粒子を含まずに構成することにより、加工性に優れる賦形フィルムを得ることができる。より具体的には、製膜時の破断が生じ難い賦形フィルムを得ることができる。また、得られた賦形フィルムを裁断する際には、例えば、切断部に割れ、欠け等の不具合を防止して、端面品質よく裁断することができる。光拡散性粒子を含まずとも、良好な光拡散性能を実現するとともに輝度視野角を大きくし得たことは、本発明の成果のひとつである。
凹凸部(凹凸形状)は、任意の適切な方法により形成され得る。凹凸形状は、例えば、粗面化方式、微粒子により凹凸を付与する方式により形成され得る。粗面化方式の具体例としては、エンボス加工、サンドブラストが挙げられる。凹凸部(凹凸形状)は、代表的には、溶融押出したフィルムの表面をエンボスロールで賦形することにより形成され得る。また、活性エネルギー線(例えば、紫外線)硬化型樹脂組成物から形成したフィルム前駆体表面に、凹凸形状の金型を押し当てて当該凹凸形状を転写し、その後、当該組成物を硬化させて、賦形フィルムを得てもよい。
1つの実施形態においては、基材部と凹凸部とは同じ材料から構成される。好ましくは、基材部と凹凸部とは同じ材料により一体に構成される。
A-2.構成材料
賦形フィルムを構成する樹脂としては、任意の適切な樹脂が採用され得る。賦形フィルムを構成する樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、シクロオレフィン系樹脂(例えば、ノルボルネン系樹脂)、セルロース系樹脂(例えば、トリアセチルセルロース(TAC))、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アセテート系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。光学特性、透明性および汎用性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂が好ましく、(メタ)アクリル系樹脂がさらに好ましい。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
(メタ)アクリル系樹脂としては、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂が採用され得る。なお、記載の簡略化のため、以下、(メタ)アクリル系樹脂を単にアクリル系樹脂と称する。アクリル系樹脂は、代表的には、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。アクリル系樹脂の主骨格を構成するアルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1~18のものを例示できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。さらに、アクリル系樹脂には、任意の適切な共重合モノマーを共重合により導入してもよい。このような共重合モノマーの種類、数、共重合比等は目的に応じて適切に設定され得る。アクリル系樹脂の主骨格の構成成分(モノマー単位)については、一般式(2)を参照しながら後述する。
アクリル系樹脂は、好ましくは、グルタルイミド単位、ラクトン環単位、無水マレイン酸単位、マレイミド単位および無水グルタル酸単位から選択される少なくとも1つを有していてもよい。ラクトン環単位を有するアクリル系樹脂は、例えば特開2008-181078号公報に記載されており、当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。グルタルイミド単位は、好ましくは、下記一般式(1)で表される:
Figure 0007348807000001
一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1~8のアルキル基を示し、Rは、炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、または炭素数6~10のアリール基を示す。一般式(1)において、好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して水素またはメチル基であり、Rは水素、メチル基、ブチル基またはシクロヘキシル基である。より好ましくは、Rはメチル基であり、Rは水素であり、Rはメチル基である。
上記アルキル(メタ)アクリレートは、代表的には、下記一般式(2)で表される:
Figure 0007348807000002
一般式(2)において、Rは、水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子、あるいは、置換されていてもよい炭素数1~6の脂肪族または脂環式炭化水素基を示す。置換基としては、例えば、ハロゲン、水酸基が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2-クロロエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチルが挙げられる。一般式(2)において、Rは、好ましくは、水素原子またはメチル基である。したがって、特に好ましいアルキル(メタ)アクリレートは、アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルである。
上記アクリル系樹脂は、単一のグルタルイミド単位のみを含んでいてもよいし、上記一般式(1)におけるR、RおよびRが異なる複数のグルタルイミド単位を含んでいてもよい。
上記アクリル系樹脂におけるグルタルイミド単位の含有割合は、好ましくは2モル%~50モル%、より好ましくは2モル%~45モル%、さらに好ましくは2モル%~40モル%、特に好ましくは2モル%~35モル%、最も好ましくは3モル%~30モル%である。含有割合が2モル%より少ないと、グルタルイミド単位に由来して発現される効果(例えば、高い光学的特性、高い機械的強度、薄型化)が十分に発揮されないおそれがある。含有割合が50モル%を超えると、例えば、耐熱性、透明性が不十分となるおそれがある。
上記アクリル系樹脂は、単一のアルキル(メタ)アクリレート単位のみを含んでいてもよいし、上記一般式(2)におけるRおよびRが異なる複数のアルキル(メタ)アクリレート単位を含んでいてもよい。
上記アクリル系樹脂におけるアルキル(メタ)アクリレート単位の含有割合は、好ましくは50モル%~98モル%、より好ましくは55モル%~98モル%、さらに好ましくは60モル%~98モル%、特に好ましくは65モル%~98モル%、最も好ましくは70モル%~97モル%である。含有割合が50モル%より少ないと、アルキル(メタ)アクリレート単位に由来して発現される効果(例えば、高い耐熱性、高い透明性)が十分に発揮されないおそれがある。上記含有割合が98モル%よりも多いと、樹脂が脆くて割れやすくなり、高い機械的強度が十分に発揮できず、生産性に劣るおそれがある。
上記アクリル系樹脂は、グルタルイミド単位およびアルキル(メタ)アクリレート単位以外の単位を含んでいてもよい。
1つの実施形態においては、アクリル系樹脂は、後述する分子内イミド化反応に関与していない不飽和カルボン酸単位を例えば0重量%~10重量%含有することができる。不飽和カルボン酸単位の含有割合は、好ましくは0重量%~5重量%であり、より好ましくは0重量%~1重量%である。含有量がこのような範囲であれば、透明性、滞留安定性および耐湿性を維持することができる。
1つの実施形態においては、アクリル系樹脂は、上記以外の共重合可能なビニル系単量体単位(他のビニル系単量体単位)を含有することができる。その他のビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、アリルグリシジルエーテル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N-ビニルジエチルアミン、N-アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N-メチルアリルアミン、2-イソプロペニル-オキサゾリン、2-ビニル-オキサゾリン、2-アクロイル-オキサゾリン、N-フェニルマレイミド、メタクリル酸フェニルアミノエチル、スチレン、α-メチルスチレン、p-グリシジルスチレン、p-アミノスチレン、2-スチリル-オキサゾリンなどがあげられる。これらは、単独で用いてもよく併用してもよい。好ましくは、スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体である。他のビニル系単量体単位の含有割合は、好ましくは0~1重量%であり、より好ましくは0~0.1重量%である。このような範囲であれば、所望でない位相差の発現および透明性の低下を抑制することができる。
上記アクリル系樹脂におけるイミド化率は、好ましくは2.5%~20.0%である。イミド化率がこのような範囲であれば、耐熱性、透明性および成形加工性に優れた樹脂が得られ、フィルム成形時のコゲの発生や機械的強度の低下が防止され得る。上記アクリル系樹脂において、イミド化率は、グルタルイミド単位とアルキル(メタ)アクリレート単位との比で表される。この比は、例えば、アクリル系樹脂のNMRスペクトル、IRスペクトル等から得ることができる。本実施形態においては、イミド化率は、HNMR BRUKER AvanceIII(400MHz)を用いて、樹脂のH-NMR測定により求めることができる。より具体的には、3.5から3.8ppm付近のアルキル(メタ)アクリレートのO-CHプロトン由来のピーク面積をAとし、3.0から3.3ppm付近のグルタルイミドのN-CHプロトン由来のピークの面積をBとして、次式により求められる。
イミド化率Im(%)={B/(A+B)}×100
上記アクリル系樹脂は、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは110℃以上、より好ましくは115℃以上、さらに好ましくは120℃以上、特に好ましくは125℃以上、最も好ましくは130℃以上である。Tgが110℃以上であれば、このような樹脂から得られた賦形フィルムを含む偏光板は、耐久性に優れたものとなりやすい。Tgの上限値は、好ましくは300℃以下、より好ましくは290℃以下、さらに好ましくは285℃以下、特に好ましくは200℃以下、最も好ましくは160℃以下である。Tgがこのような範囲であれば、成形性に優れ得る。
上記アクリル系樹脂は、例えば、以下の方法で製造することができる。この方法は、(I)一般式(2)で表されるアルキル(メタ)アクリレート単位に対応するアルキル(メタ)アクリレート単量体と、不飽和カルボン酸単量体および/またはその前駆体単量体と、を共重合して共重合体(a)を得ること;および、(II)該共重合体(a)をイミド化剤にて処理することにより、当該共重合体(a)中のアルキル(メタ)アクリレート単量体単位と不飽和カルボン酸単量体および/またはその前駆体単量体単位の分子内イミド化反応を行い、一般式(1)で表されるグルタルイミド単位を共重合体中に導入すること;を含む。
上記アクリル系樹脂およびその製造方法の詳細については、例えば、特開2018-155812号公報および特開2018-155813号公報に記載されている。これらの公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
B.光学積層体
B-1.全体構成
図3は、本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。図示例の光学積層体200は、賦形フィルム100と賦形フィルム100の片側に配置された別のフィルム110とを備える。賦形フィルム100と別のフィルム110とは、賦形フィルム100の凹凸部20と別のフィルム110とが対向するようにして積層される。代表的には、賦形フィルム100と別のフィルム110とは、接着層120を介して積層される。
上記のとおり、賦形フィルム100の凹凸部20において、凹凸部全体の断面積Aに対する凹部の断面積Bの比率B/Aは、好ましくは50%以上であり、より好ましくは50%を超えており、さらに好ましくは60%以上であり、特に好ましくは70%以上である。比率B/Aの上限は、例えば90%であり得る。比率B/Aは空隙率に対応し得る。このような範囲であれば、良好な光拡散性能を実現するとともに輝度視野角を大きくすることができ、かつ、機械的強度に優れる光学積層体を得ることができる。
B-2.別のフィルム
別のフィルムとしては、任意の適切なフィルムが採用され得る。別のフィルムとしては、例えば、偏光子、波長変換フィルム、偏光反射フィルム等の光学フィルム;ガラス(好ましくは、薄ガラス);樹脂フィルム(例えば、保護フィルム)等が挙げられる。
1つの実施形態においては、別のフィルムとして偏光子が用いられる。この実施形態においては、上記賦形フィルムは偏光子保護フィルムとして機能し、上記光学積層体は、偏光板となり得る。偏光板の詳細は後述する。
B-3.接着層
接着層は、任意の適切な接着剤または粘着剤で構成される。接着層は、代表的には、水系接着剤(例えば、ビニルアルコール系接着剤)または硬化型接着剤(例えば、活性エネルギー線硬化型接着剤または加熱硬化型接着剤)で形成される。
1つの実施形態においては、上記接着層は、活性エネルギー線硬化型接着剤を含む。活性エネルギー線硬化型接着剤を用いて接着層を形成すれば、賦形フィルムの凹凸形状を損なうことなく、光学積層体を得ることができる。
上記活性エネルギー線硬化型接着剤としては、活性エネルギー線の照射によって硬化し得る接着剤であれば、任意の適切な接着剤が用いられ得る。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化型の具体例としては、ラジカル硬化型、カチオン硬化型、アニオン硬化型、これらの組み合わせ(例えば、ラジカル硬化型とカチオン硬化型のハイブリッド)が挙げられる。
上記活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、硬化成分として(メタ)アクリレート基や(メタ)アクリルアミド基などのラジカル重合性基を有する化合物(例えば、モノマーおよび/またはオリゴマー)を含有する接着剤が挙げられる。
上記活性エネルギー線硬化型接着剤およびその硬化方法の具体例は、例えば、特開2012-144690号公報に記載されている。当該記載は、本明細書に参考として援用される。
上記活性エネルギー線硬化型接着剤の塗布方法としては、接着剤の粘度、所望とする接着層等の厚みに応じて、任意の適切な方法が採用され得る。塗布方法としては、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーター等による塗布が挙げられる。また、デイッピング方式による塗布を採用してもよい。
上記活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。活性エネルギー線の波長、照射量等の条件は、用いる硬化性化合物の種類等に応じて、任意の適切な条件に設定され得る。
上記接着層の厚みが最大となる部分の当該厚みは、好ましくは0.5μm~10μmであり、より好ましくは0.5μm~5μmである。このような範囲であれば、形フィルムの凹凸による空隙を好ましく形成することができ、かつ、機械的強度に優れる光学積層体を得ることができる。1つの実施形態においては、接着層の厚みが最大となる部分は、賦形フィルムの凸部上面(別のフィルムに対向する面)から別のフィルムの下面(賦形フィルムに対向する面)とのギャップに相当し得る。別の実施形態においては、接着層の厚みが最大となる部分は、賦形フィルムの凹部に対応した位置となり得る(図4)。例えば、賦形フィルムの凸部の壁面の少なくとも一部を覆うようにして、接着層が形成されていてもよい。このとき、接着層は賦形フィルムの凹部面には形成されず、いわゆるメニスカス形状であることが好ましい。この実施形態においては、空隙を確保しながらも、賦形フィルムと別のフィルムとの接着性に優れる光学積層体を得ることができる。
1つの実施形態においては、賦形フィルムの凸部上面に形成された接着層の厚みTは、凸部の厚み(高さ)Hよりも薄いことが好ましい。上記厚みTと凸部の高さHとの比T/Hは、好ましくは50%以下であり、より好ましくは30%以下である。比T/Hがこのような範囲であれば、良好な点接着を実現することができる。比T/Hの下限は、例えば10%であり得る。
上記賦形フィルムは凹凸部を有して、賦形フィルムの凸部と別のフィルムとが接着して(すなわち、点接着して)積層されているが、上記接着層は、別のフィルム上において、接着に寄与する部分の他、空隙部分にも形成されていることが好ましい。換言すると、上記接着層は、賦形フィルムの凹部(空隙部分)における別のフィルム表面の少なくとも一部(好ましくは全部)を覆うことが好ましい。このようにすれば、別のフィルムの劣化を防止することができる。このような効果は、別のフィルムが水分、外気等により劣化する場合に、特に有用であり、例えば、別のフィルムが偏光子である場合に有用である。空隙部分における接着層の厚みは、一定であってもよく、不定であってもよい。1つの実施形態においては、空隙部分の接着層はメニスカス形状を有してその厚みが不定である。空隙部分に接着層を設ける方法としては、例えば、別のフィルム上に接着前駆層を形成した後、当該別のフィルムと賦形フィルムを貼り合わせる方法が挙げられる。
上記接着層の25℃における貯蔵弾性率は、好ましくは100kPa以上であり、より好ましくは100kPa~3GPaであり、さらに好ましくはより好ましくは100kPa~1GPaである。このような範囲であれば、賦形フィルムの凹凸による空隙を好ましく形成することができ、かつ、機械的強度に優れる光学積層体を得ることができる。なお、貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定により求めることができる。動的粘弾性測定は、例えば、厚み2mm×直径8mmの粘着剤サンプルについて、Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用い、変形モード:ねじり、測定周波数:1Hz、昇温速度5℃/分、測定温度:-50℃~150℃で行うことができる。
B-4.偏光板
上記のとおり、1つの実施形態においては、上記光学積層体は偏光板である。図4は、本発明の1つの実施形態による偏光板の概略断面図である。図示例の偏光板200aは、偏光子110aと、偏光子110aに接着層120を介して積層された偏光子保護フィルム100aを備える。この実施形態における偏光子保護フィルム100aは、上記賦形フィルムに相当する。また、偏光子110aは、上記別のフィルムに相当する。偏光子保護フィルム100aは、上記凹凸部側が偏光子110a側となるよう配置されている。接着層は、上記のとおりである。実用的には、偏光子保護フィルム100aと反対側には、別の保護フィルム140が配置されている。実用的にはさらに、最外層として粘着剤層150が設けられ、偏光板の画像表示セルへの貼り付けを可能としている。なお、粘着剤層150表面にはセパレーター(図示せず)が剥離可能に仮着され、偏光板が実際に使用されるまで粘着剤層を保護するとともに、ロール形成を可能としている。本発明の実施形態による偏光板は、画像表示装置の背面側偏光板として用いられてもよく、視認側偏光板として用いられてもよい。本発明の実施形態によれば、偏光子保護フィルム自体が光拡散性能を有し光拡散フィルムを兼ねるので、空気層の排除の効果との相乗的な効果により、顕著な薄型化が実現できる。
偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
偏光子の厚みは、例えば1μm~80μmである。1つの実施形態においては、偏光子の厚みは、好ましくは1μm~20μmであり、さらに好ましくは3μm~15μmである。
偏光子保護フィルムは、好ましくは、実質的に光学的に等方性を有する。本明細書において「実質的に光学的に等方性を有する」とは、面内位相差Re(550)が0nm~10nmであることをいう。面内位相差Re(550)は、より好ましくは0nm~5nmであり、さらに好ましくは0nm~3nmであり、特に好ましくは0nm~2nmである。偏光子保護フィルムのRe(550)がこのような範囲であれば、当該偏光子保護フィルムを含む偏光板を画像表示装置に適用した場合に表示特性に対する悪影響を防止することができる。なお、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(550)は、式:Re(550)=(nx-ny)×dによって求められる。ここで、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、dはフィルムの厚み(nm)である。
偏光子保護フィルムの厚み40μmにおける380nmでの光線透過率は、高ければ高いほど好ましい。具体的には、光線透過率は、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。光線透過率がこのような範囲であれば、所望の光学特性を確保することができる。光線透過率は、例えば、ASTM-D-1003に準じた方法で測定され得る。
偏光子保護フィルムのヘイズは、好ましくは50%~99%であり、より好ましくは70%~95%である。
偏光子保護フィルムは、以下の特性を有することが好ましい。550nmでの光線透過率を100%とした時、450nmおよび650nmの光線透過率はそれぞれ、550nmでの光線透過率との差が好ましくは±5%以内であり、より好ましくは±2%以内である。
偏光子保護フィルムの輝度視野角については、輝度半値角(輝度が正面の50%となる角度)が好ましくは56°(片側28°)以上であり、より好ましくは60°~70°(片側30°~35°)である。さらに、輝度が正面の25%となる角度は、好ましくは90°(片側45°)以上であり、より好ましくは96°~120°(片側48°~60°)である。本発明の実施形態によれば、偏光子保護フィルムに優れた拡散性能を付与し、かつ、輝度視野角を広く維持することができる。
偏光子保護フィルム全体としての屈折率nは、好ましくは1.3~1.8であり、より好ましくは1.4~1.6である。偏光子保護フィルムの屈折率がこのような範囲であれば、偏光板において偏光子との点接着により規定される低屈折率部との屈折率差を所望の範囲とすることができる。
偏光子保護フィルムの透湿度は、好ましくは300g/m・24hr以下、より好ましくは250g/m・24hr以下、さらに好ましくは200g/m・24hr以下、特に好ましくは150g/m・24hr以下、最も好ましくは100g/m・24hr以下である。偏光子保護フィルムの透湿度がこのような範囲であれば、耐久性および耐湿性に優れた偏光板が得られ得る。
C.画像表示装置
上記偏光板は、画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明は、そのような偏光板を用いた画像表示装置も包含する。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置が挙げられる。画像表示装置は業界で周知の構成が採用されるので、詳細な説明は省略する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。各特性の測定方法は以下の通りである。なお、特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は重量基準である。
(1)賦形フィルムの厚さ、凸部の高さ
実施例および比較例で得られた賦形フィルムの断面を走査型電子顕微鏡で観察し、その画像から賦形フィルムの高さおよび凸部の高さを測定した。
(2)セルサイズ
実施例および比較例で得られた賦形フィルムの表面を、走査型電子顕微鏡で観察し、その画像から、画像解析ソフトウェア(フリーソフト「ImageJ」)により凹部の平均面積を求めた。より詳細には、表面2値画像の閾値により凹部の内外を決定し、凹部の外枠を特定し、特定された枠内の面積を計算し、計算した面積の平均値を算出し、これを凹部の平均面積とした。
(3)賦形フィルムの端辺から最外側凸部までの距離
実施例および比較例で得られた賦形フィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察し、その画像から賦形フィルムの端辺から最外側凸部までの距離を測定した。なお、当該距離は、賦形フィルムの全周にわたって測定し、表1にはその最大値を示す。
(4)点接着評価
偏光子の表面に接着剤を1μmで塗工後、当該偏光子と、実施例および比較例で得られた賦形フィルム(偏光子保護フィルム)の凹凸面とを貼り合わせ、その後、UV照射し、接着剤を硬化させて、賦形フィルム(偏光子保護フィルム)/接着層/偏光子からなる偏光板を得た。その後、当該偏光板の顕微鏡観察を行い、賦形凹部の埋まり具合を確認し、以下の基準で評価した。
○:凹部(空隙部)100個中、80個以上が良好(凹部の60面積%以上が接着剤で埋まっていない)
△:凹部(空隙部)100個中、30個~79個が良好
×:凹部(空隙部)100個中、良好な箇所が30個未満
(5)加湿耐久性
上記(4)と同様にして偏光板を得た。
当該偏光板の賦形フィルム(偏光子保護フィルム)と、ガラス板とをアクリル系粘着剤を介して積層した。得られた積層体を、温度60℃湿度90%の環境下で500時間、放置した。その後、積層体の透過率を積分球付き吸光光度計(日本分光社製の「V7100」)により測定した。
加温加湿前の透過率に対して、加温加湿後の透過率が10%以上変化した場合を不合格(×)、変化が10%未満である場合を合格(○)とした。
(6)輝度
上記(4)と同様にして偏光板を得た。
LG社製SJ8000を分解し、偏光板付液晶パネルを取り出し、バックライト側偏光板として、上記光板を実装した。また、当該製品のバックライトユニットに設けられていた光拡散フィルムについては、実装箇所のみ切り抜き、組みなおした。このようにして得られた実装品について、ELDIM社製Ezconstrastを用いて正面方向の輝度を測定した。測定した輝度は、偏光板と光拡散フィルムを別置きした場合の正面輝度を100としたときの比率(%)として表した。
(7)加工性
実施例および比較例で得られた賦形フィルムを、レバー式裁断機により切断した。切断後のフィルム端部に割れ/欠けがフィルム端部から中心に向かって300μm以上生じた場合を不合格(×)、生じなかった場合を合格(○)とした。
<実施例1>
メタクリル系樹脂(クラレ社製、製品名「パラペットHR-S」)を単軸押出機に投入し、260℃で溶融押出しながら、エンボスロールで一方の表面に凹凸形状を賦形し、賦形フィルム(厚さ:50μm、凸部高さ:10μm、セルサイズ:15000μm)を得た。
得られた賦形フィルムを上記評価(1)~(7)に供した。結果を表1に示す。
<実施例2>
エンボスロールを変更したこと以外は、実施例1と同様にして、賦形フィルム(厚さ:46μm、凸部高さ:5μm、セルサイズ:5000μm)を得た。
得られた賦形フィルムを上記評価(1)~(7)に供した。結果を表1に示す。
<実施例3>
メタクリル系樹脂(クラレ社製、製品名「パラペットHR-S」)を単軸押出機に投入し、260℃で溶融押出しし、略フラットな厚さ55μmのフィルムを得た。このフィルムの表面に、ウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、商品名「NKオリゴU-108A」)95重量部に光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製、商品名「イルガキュアー184」5重量部を添加してなるUV硬化樹脂を塗工し、塗工面に凹凸形状を転写した後、UV硬化樹脂を硬化させて賦形フィルム(厚さ:55μm、凸部高さ:5μm、セルサイズ:10000μm)を得た。
得られた賦形フィルムを上記評価(1)~(7)に供した。結果を表1に示す。
<実施例4>
使用した金型を変更した以外は実施例3と同様にして、賦形フィルム(厚さ:55μm、凸部高さ:20μm、セルサイズ:10000μm)を得た。
得られた賦形フィルムを上記評価(1)~(7)に供した。結果を表1に示す。
<比較例1>
エンボスロールを変更したこと以外は、実施例1と同様にして、賦形フィルム(厚さ:42μm、凸部高さ:2μm、セルサイズ:10000μm)を得た。
得られた賦形フィルムを上記評価(1)~(7)に供した。結果を表1に示す。
<比較例2>
エンボスロールを変更したこと以外は、実施例1と同様にして、賦形フィルム(厚さ:40μm、凸部高さ:1μm、セルサイズ:12000μm)を得た。
得られた賦形フィルムを上記評価(1)~(7)に供した。結果を表1に示す。
<比較例3>
エンボスロールを変更したこと以外は、実施例1と同様にして、賦形フィルム(厚さ:50μm、凸部高さ:4μm、セルサイズ:10000μm)を得た。
得られた賦形フィルムを上記評価(1)~(7)に供した。結果を表1に示す。
<比較例4>
使用した金型を変更した以外は実施例3と同様にして、賦形フィルム(厚さ:50μm、凸部高さ:25μm、セルサイズ:11000μm)を得た。
得られた賦形フィルムを上記評価(1)~(7)に供した。結果を表1に示す。
<比較例5>
使用した金型を変更した以外は実施例3と同様にして、賦形フィルム(厚さ:50μm、凸部高さ:5μm、セルサイズ:3000μm)を得た。
得られた賦形フィルムを上記評価(1)~(7)に供した。結果を表1に示す。
<比較例6>
使用した金型を変更した以外は実施例3と同様にして、賦形フィルム(厚さ:233μm、凸部高さ:50μm)を得た。当該賦形フィルムは、プリズム形状であり、セル構造の凹部は有していなかった。
得られた賦形フィルムを上記評価(1)、(5)および(7)に供した。結果を表1に示す。
<比較例7>
実施例3と同様にして、メタクリル系樹脂を押し出し成形してフィルムを得た。このフィルムの表面に、ウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、商品名「NKオリゴU-108A」)95重量部に光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製、商品名「イルガキュアー184」5重量部を添加してなるUV硬化樹脂100重量部と、粒子(シリコーン粒子、モメンティブ社製、商品名「トスパール1110」、平均粒子径:11μm)10重量部との混合物をワイヤーバーで塗工した。その後、塗工層をUV硬化して、フィルム(厚さ:199μm、凸部高さ:11μm)を得た。当該賦形フィルムは、セル構造の凹部は有していなかった。
得られた賦形フィルムを上記評価(1)、(5)および(7)に供した。結果を表1に示す。
Figure 0007348807000003
<評価>
表1から明らかなように、本発明の賦形フィルムを用いて構成された偏光板は、優れた輝度を発現し得、加湿耐久性に優れる。また、本発明の賦形フィルムは、加工性に優れる。
本発明の賦形フィルムは、光拡散機能を付与し得るフィルムとして種々の分野で用いられ得る。例えば、本発明の賦形フィルムは、偏光板に好適に用いられる。本発明の偏光板は、画像表示装置に好適に用いられる。本発明の画像表示装置は、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯ゲーム機などの携帯機器;パソコンモニター,ノートパソコン,コピー機などのOA機器;ビデオカメラ、テレビ、電子レンジなどの家庭用電気機器;バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオなどの車載用機器;デジタルサイネージ、商業店舗用インフォメーション用モニターなどの展示機器;監視用モニターなどの警備機器;介護用モニター、医療用モニターなどの介護・医療機器;などの各種用途に用いることができる。
10 基材部
20 凹凸部
21 凸部
22 凹部
100 賦形フィルム
110 別のフィルム
120 接着層
200 光学積層体

Claims (7)

  1. 基材部と、該基材部の片面に形成された凹凸部とを備える賦形フィルムであって、
    該凹凸部が、凸部と、該凸部に囲まれて形成されるセル構造を有する凹部を有し、
    該凸部の高さが、賦形フィルムの厚さに対して、5%~40%であり、
    該セル構造を有する凹部の平均面積が、5000μm 以上であり、
    該賦形フィルムの端辺から500μm以内の領域に、該凸部の壁面が存在する、
    賦形フィルムと;
    該賦形フィルムの片側において、該賦形フィルムの凹凸部と対抗するように配置された偏光子とを備え、
    該凹凸部分における全体の断面積Aに対する凹部の断面積Bの比率B/Aが50%以上である、
    偏光板
  2. 前記賦形フィルムと前記別のフィルムとの間に、接着層をさらに備える、請求項に記載の偏光板
  3. 前記接着層の厚みが最大となる部分が、前記賦形フィルムの凹部に対応した位置となる、請求項に記載の偏光板
  4. 前記接着層が、活性エネルギー線硬化型接着剤を含む、請求項またはに記載の偏光板
  5. 前記接着層の25℃における貯蔵弾性率が、100kPa以上である、請求項からのいずれかに記載の偏光板
  6. 前記基材部と前記凹凸部とが、同材料から構成される、請求項1から5のいずれかに記載の偏光板。
  7. 前記賦形フィルムが、該偏光子保護フィルムである、請求項1から6のいずれかに記載の偏光板
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