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JP6825848B2 - 曲面画像表示パネル用偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、曲面画像表示パネルに用いられる偏光板、およびそれを含む曲面画像表示パネルに関する。
従来、液晶表示パネル、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示パネル等の各種画像表示パネルにおいて用いられている偏光板として、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素または二色性染料等の二色性色素が配向吸着された偏光フィルムの片面または両面に、接着層を介して、トリアセチルセルロースフィルムのような保護フィルムを積層した構成を有する偏光板が知られている(例えば、特許文献1〜3)。このような偏光板は、必要に応じてさらに位相差フィルムや光学補償フィルム等の種々の光学層を積層した形態で、液晶セルや有機EL表示素子などの画像表示素子に貼合され、画像表示パネルを構成する。
特開2010−211196号公報 特開平10−062624号公報 特開平07−134212号公報
近年、意匠性の観点から様々な形状の画像表示装置に関する検討がなされている。中でも、視聴者からの画面中央までと側端部までの距離の差が小さく、画面への没入感が得られることから、曲面液晶テレビ等の曲面画像表示装置への関心が高まっており、種々の製品開発がなされている。
曲面画像表示装置においても、平面画像表示装置と同様に偏光板を用いる必要があるが、曲面画像表示装置を製造するために、前記特許文献1〜3に開示されるような従来の偏光板を曲面表示パネルに用いた場合には、時間の経過と共に、曲面表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きが生じ得る。曲面表示パネルにおいて、偏光板の剥がれや浮きは、特に凹面側(視認側)に発生しやすく、視認領域における表示不良につながる。また、曲面表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きの発生は、高温環境下において特に顕著となる。このため、長期間の使用等により長時間光源の熱に晒される場合や、高温多湿環境となりやすい輸送時、また使用する地域によっては、より深刻な剥がれや浮きを生じる可能性がある。
したがって、本発明は、曲面画像表示パネルに用いられる偏光板において特有に生じ得る前記課題を解決し、長期間の使用および/または高温環境下における使用によっても曲面状態の表示パネルからの剥がれや浮きを抑制できる曲面画像表示パネル用の偏光板を提供することを目的とする。
本発明は、以下の好適な態様[1]〜[8]を提供するものである。
[1]平均曲率半径R(mm)、厚みH(mm)の曲面画像表示パネルに用いられ、平面状態での水平方向長さがL1(mm)である偏光板であって、
曲面画像表示パネルに貼合された際に凹面側となる偏光板厚みH1(mm)は下記式(1):
L1(H+H1)/2R≦0.4 (1)
を満たす偏光板。
[2]曲面画像表示パネルの厚みHは0.4mm以上である、前記[1]に記載の偏光板。
[3]80℃ドライ下での250時間後の寸法変化率は3%以下である、前記[1]または[2]に記載の偏光板。
[4]偏光板における偏光フィルムは、延伸・染色されたポリビニルアルコールフィルムである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光板。
[5]曲面画像表示パネルは900〜7000mmの平均曲率半径Rを有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の偏光板。
[6]平面状態での偏光板の水平方向長さL1は500mm以上である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の偏光板。
[7]凹面側偏光板および凸面側偏光板を含む曲面画像表示パネルであって、凹面側偏光板は前記[1]〜[6]のいずれかに記載の偏光板である、曲面画像表示パネル。
[8]凹面側偏光板および凸面側偏光板を含む曲面画像表示パネルであって、凹面側偏光板および凸面側偏光板は前記[1]〜[6]のいずれかに記載の偏光板である、曲面画像表示パネル。
本発明によれば、長期間の使用および/または高温環境下における使用によっても曲面状態の表示パネルからの剥がれや浮きを抑制できる曲面画像表示パネル用の偏光板を提供することができる。
平均曲率半径を説明するための曲面画像表示パネルの略図である。 偏光板を含む曲面状態の画像表示パネルの断面図を表す。 偏光板の構成および曲面画像表示パネルの一態様である構成を示す断面図を表す。 曲面画像表示装置における偏光板の吸収軸方向の一例を表す。 曲面画像表示装置における偏光板の吸収軸方向の一例を表す。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
なお、本発明において「平面状態」とは、湾曲部を含まず全体として平面である状態を意味する。また、「曲面状態」とは、1つの弧により全体が湾曲された状態、および1つまたは複数の弧による湾曲部を含み全体として曲面が形成されている場合を総じて意味する。本発明において「平均曲率半径」とは、画像表示パネルの左右両端部と中央部の3点での曲率半径の平均値である。すなわち、図1において、平均曲率半径は(R+R+R)/3により算出される値である。
本発明は、平均曲率半径R(mm)、厚みH(mm)の曲面画像表示パネルに用いられる偏光板に関する。本発明の偏光板は、平面状態において水平方向長さがL1(mm)であり、上記曲面画像表示パネルに貼合された際に凹面側となる偏光板の厚みH1(mm)は、下記式(1):
L1(H+H1)/2R≦0.4 (1)
を満たす。なお、本発明において、凹面側とは、曲面画像表示パネルの視認側に対応する側を表し、凸面側とは凹面側に対して対向する側を意味する。
ここで、平面状態での水平方向長さがL1、厚みHの画像表示パネル上に同一の水平方向長さを有し、厚みH1を有する偏光板を貼合し、平均曲率半径R(ここでのRはパネル厚みの中心までの半径と定義される)となるよう曲面化する場合(図2参照)、パネルの中心部分の長さは基準であるため変わらない。一方、曲面化した後の偏光板の水平方向の長さ(偏光板厚みの中心位置の長さと定義される)は、曲率半径{R−(H+H1)/2}の円弧の長さとして計算される。本発明者らは、L1からこの長さへの変化が本発明の課題の解決に対して重要となることを見出した。これより、本発明においては、上記変化量である以下の式:
L1−L1{R−(H+H1)/2}/R=L1(H+H1)/2R
を低く抑えること、つまり0.4以下とすることが、偏光板の剥がれや浮きを抑制するために重要である。
式(1)におけるL1(H+H1)/2Rの値は、0.40以下であり、0.38以下が好ましく、0.35以下がより好ましく、0.30以下がさらに好ましい。式(1)におけるL1(H+H1)/2Rの値が上記上限値以下であると、長期間の使用や高温環境下における使用によっても曲面状態の画像表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きがさらに生じ難い。なお、式(1)におけるL1(H+H1)/2Rの値は、通常0.01以上である。
である。
曲面画像表示パネルは通常、垂直方向(上下方向)には湾曲しておらず、水平方向(左右方向)には視聴者側が凹面となり、反対側(バックライトユニット等側)が凸面となるように湾曲した形状であって、中心軸が垂直方向(上下方向)である円筒の一部を構成する形状である。
曲面画像表示パネルは、好ましくは0.4mm以上、より好ましくは0.8mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上の厚みHを有する。曲面画像表示パネルの厚みHが上記下限値以上であると、曲面画像表示パネルに使用される部材として種々の材料を使用することができ、表示パネルを大型化する際にもハンドリングが容易となるため、工業的に有利である。なお、曲面画像表示パネルの厚みHは、通常2.0mm以下である。
曲面画像表示パネルは、好ましくは7000mm以下、より好ましくは6600mm以下、さらに好ましくは5000mm以下、さらにより好ましくは4000mm以下、特に好ましくは3000mm以下の平均曲率半径Rを有する。曲面画像表示パネルは、例えば300mm以上、好ましくは900mm以上、より好ましくは1000mm以上、さらに好ましくは1200mm以上の平均曲率半径Rを有する。曲面画像表示パネルは、好ましくは900〜7000mm、より好ましくは1000〜6600mmの平均曲率半径Rを有する。曲面画像表示パネルの平均曲率半径Rが上記上限値以下であると、視聴者からの画面中央までと画面端部までの距離の差がより小さくなり、画面への没入感をさらに得ることができる。曲面画像表示パネルの平均曲率半径Rが上記下限値以上であると、長期間の使用や高温環境下における使用による、曲面状態の画像表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きがさらに抑制される。
曲面画像表示パネルの平均曲率半径Rは、使用する機器に応じても変化する。例えば、パーソナルコンピューターやモバイル機器等の小型のディスプレイを有する機器の場合、平均曲率半径Rはより小さい(湾曲率がより大きい)場合が多い。また、曲面表示テレビ等の大型のディスプレイを有する機器も平均曲率半径Rを小さくし、より没入感を高めようとする場合もある。本発明の偏光板は、平均曲率半径Rが小さい状態における長期間および/または高温環境下での使用においても、表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きの抑制効果に優れているため、例えば900〜7000mm、特に900〜5000mm、さらには1000〜4000mmの平均曲率半径Rを有する曲面画像表示パネルに用いることができる。
本発明の偏光板は、平面状態での水平方向長さL1は好ましくは500mm以上、より好ましくは700mm以上、さらに好ましくは1100mm以上、さらにより好ましくは1400mm以上である。本発明の偏光板の平面状態での水平方向長さL1が上記下限値以上であると、適用可能な曲面画像表示パネルの水平方向長さが大きくなり、画面への没入感をさらに得ることができる。また、本発明の偏光板は、平面状態での水平方向長さL1が通常2500mm以下である。なお、偏光板の水平方向とは、曲面画像表示パネルを含む曲面画像表示装置の水平方向と一致し、偏光板の垂直方向とは、上記水平方向と直交する方向である。本発明の偏光板の平面状態での垂直方向長さは、水平方向長さL1および曲面画像表示パネルのアスペクト比によって決定される。
従来の偏光板を曲面画像表示パネルの製造に用いた場合において、常温環境下でも長期間の使用の場合において曲面状態の画像表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きが発生するおそれが高まり、また長時間の点灯や、高温環境下における使用によって、曲面状態の画像表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きの発生がさらに助長される。この理由は、特定の理論に拘束されるわけではないが、偏光板が曲面化することによって生じる水平方向の歪み・圧縮応力に起因すると考えられる。この歪み・圧縮応力を抑制するためには、曲面画像表示パネルの平均曲率半径R、厚みHおよび水平方向長さL1に応じて偏光板の厚みH1を変化させることが、曲面状態の画像表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きの抑制に効果があると考えている。本発明においては、上記式(1)を満たすように偏光板の厚みH1を決定するによって、偏光板の剥がれや浮きの抑制が達成される。
本発明の偏光板は、80℃ドライ下での250時間後の寸法変化率が好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。偏光板の上記寸法変化率が上記上限値以下であると、長期間の使用や高温環境下における偏光板の収縮および/または膨張を抑制することができるため、曲面状態の画像表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きがさらに生じ難くなる。また、偏光板の上記寸法変化率は、通常0%以上である。
寸法変化率は、偏光板の収縮および膨張に寄与する偏光フィルムの寸法変化を抑制することによって制御可能である。偏光フィルムの寸法変化は、例えば、偏光フィルムの延伸倍率等の製造条件や種類を変えることにより、または偏光フィルムに隣接する保護層の剛性を高くすること等により制御することができる。具体的には、延伸倍率を、好ましくは8倍以下、より好ましくは7.5倍以下、さらに好ましくは7倍以下にすることにより寸法変化を制御することができる。
なお、寸法変化率は、偏光板を100mm×100mmサイズにカットし、ガラスへ貼合せずに、初期の寸法と80℃ドライ下250時間後の寸法とを測定し、比較することで算出することができる。当然ながら粘着剤を介してガラスへ貼合した場合の寸法変化率は、上述のガラス未貼合での寸法変化率より小さくなる。なお、粘着剤の種類にもよるが、ガラス未貼合における寸法変化率は、通常1/2〜1/15程度である。
本発明の偏光板は、偏光板として通常有する機能を備えるよう構成されているものである限り、その構成は制限されるものではなく、例えば、好適な一態様において、偏光フィルム、偏光フィルムの片面または両面に接着剤を介して積層される保護層、および画像表示素子に貼合するための粘着層、ならびに場合により光学層を含む。
本発明の一実施態様においては、偏光板は、保護層、偏光フィルム、保護層および粘着層、および場合により光学層から構成される。ここで、偏光フィルムと保護層とは接着剤と介して積層される。
本発明の偏光板および曲面画像表示パネルの一実施態様における構成を図3に基づいて説明すると、本発明の偏光板は、画像表示素子(3)に隣接する層から順に、粘着層(10)、保護層(11)、偏光フィルム(12)、保護層(11)および必要に応じて光学層(図示せず)を積層してなる。なお、通常、偏光フィルム(12)と保護層(11)とは接着剤を介して積層される。また、本発明の曲面画像表示パネルは、本発明の一実施態様において、画像表示素子(3)と、粘着層(10)を介して画像表示素子(3)にそれぞれ貼合された凹面側偏光板(1)と凸面側偏光板(2)とから構成される。本発明の一実施態様において、凹面側偏光板(1)は、画像表示素子(3)に隣接する層から順に、粘着層(10)、保護層(11)、偏光フィルム(12)、保護層(11)および必要に応じて表面処理層(13)および/または光学層から構成され、凸面側偏光板(2)は、画像表示素子(3)に隣接する層から順に、粘着層(10)、保護層(11)、偏光フィルム(12)、保護層(11)および必要に応じて光学層から構成される。
以下、本発明の偏光板の各構成成分について詳細に説明する。
<粘着層>
粘着層を構成する粘着剤としては、従来公知の粘着剤を特に制限なく用いることができ、例えば、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系などのベースポリマーを有する粘着剤を用いることができる。また、エネルギー線硬化型粘着剤、熱硬化型粘着剤などであってもよい。これらの中でも、透明性、粘着力、リワーク性、耐候性、耐熱性などに優れるアクリル樹脂をベースポリマーとした粘着剤が好適である。
アクリル系粘着剤としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系ベースポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルなどを2種類以上含む共重合系ベースポリマーが好適に用いられる。さらに、これらのベースポリマー中に極性モノマーが共重合されている。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基などを有するモノマーを挙げることができる。
これらのアクリル系粘着剤は、単独で使用することもできるが、通常、架橋剤と併用される。架橋剤としては、2価または多価金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの、ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの、ポリエポキシ化合物やポリオール化合物であって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの、ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものなどが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が広く使用されている。
エネルギー線硬化型粘着剤とは、紫外線や電子線などのエネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有しており、エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルムなどの被着体に密着し、エネルギー線の照射により硬化して密着力を調整することができる性質を有する粘着剤である。エネルギー線硬化型粘着剤としては、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。エネルギー線硬化型粘着剤は、一般にはアクリル系粘着剤と、エネルギー線重合性化合物とを主成分としてなる。通常はさらに架橋剤が配合されており、また必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤などを配合することもできる。
粘着層は、上記のベースポリマーおよび架橋剤のほか、必要に応じて、粘着剤の粘着力、凝集力、粘性、弾性率、ガラス転移温度などを調整するために、例えば天然物や合成物である樹脂類、粘着性付与樹脂、酸化防止剤、耐電防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、消泡剤、腐食剤、光重合開始剤、熱重合開始剤などの添加剤を含んでいてもよい。さらに、微粒子を含有させて光散乱性を示す粘着層とすることもできる。紫外線吸収剤には、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがある。
本発明において粘着層を構成する粘着剤には、シラン系化合物を含有させることが好ましく、とりわけ、架橋剤を配合する前のアクリル樹脂にシラン系化合物を含有させておくことが好ましい。シラン系化合物はガラスに対する粘着力を向上させるため、シラン系化合物を含むことにより、ガラス基板に挟まれた画像表示素子と粘着層との密着性が向上し、表示パネルに対する高い接着力を確保することができるため、長期間および/または高温環境下での使用においても、曲面状態の表示パネルからの剥がれや浮きが発生し難くなる。
粘着層は、例えば上述したような粘着剤を有機溶剤溶液とし、それを積層しようとするフィルムまたは層(例えば偏光フィルム等)上にダイコータやグラビアコータなどによって塗布され、乾燥させる方法によって設けることができる。また、離型処理が施されたプラスチックフィルム(セパレートフィルムと呼ばれる)上に形成されたシート状粘着剤を、積層しようとするフィルムまたは層に転写する方法によっても設けることができる。粘着層の厚みについては、特に制限はないが、2〜40μmの範囲内であることが好ましく、5〜35μmの範囲内であることがより好ましく、10〜30μmの範囲内であることがさらに好ましい。粘着層の厚みが上記下限値以上であると、長期間の使用および/または高温環境下での使用による剥がれや浮きの発生をさらに抑制することができる。粘着層の厚みが上記上限値以下であると、偏光板の厚みの増加が抑えられる結果、曲面状態において粘着層が変形しにくく、長期間の使用および/または高温環境下での使用による剥がれや浮きの発生を抑制することができる。これにより、画像表示装置のフレーム周辺での表示機能の低下を抑制することができる。
好適な一態様において、本発明の偏光板の粘着層は、アクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルおよびアクリル酸の共重合体であるアクリル樹脂、シラン系化合物、および架橋剤としてイソシアネート化合物から構成される。
好適な一態様において、本発明の偏光板は粘着層を含む。前記粘着層の、23℃、50%RHでの平面状態において測定される対ガラス粘着力(以下、「対ガラス粘着力(平面、23℃)」と記載する場合がある)は好ましくは1.0N/25mm以上、より好ましくは2.0N/25mm以上である。粘着層の対ガラス粘着力(平面、23℃)が1.0N/25mm以上であると、長時間の連続使用、長期間および/または高温環境下での使用、移動および保管等において、曲面画像表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きをより効果的に抑制することができる。本発明の偏光板において、対ガラス粘着力(平面、23℃)は、さらに好ましくは3.0N/25mm以上であり、特に好ましくは4.0N/25mm以上である。
さらに本発明の偏光板は、曲面状態において測定される粘着層の対ガラス粘着力(以下、「対ガラス粘着力(曲面、23℃)」と記載する場合がある)が、1.5N/25mm以上、更には2.5N/25mm以上であることが好ましい。本発明の偏光板の対ガラス粘着力(曲面、23℃)は、より好ましくは3.5N/25mm以上であり、さらに好ましくは4.5N/25mm以上である。曲面状態において測定される対ガラス粘着力は、平面状態において測定される対ガラス粘着力と必ずしも同一になるものではなく、また、単なる比例関係等の一定の法則をもって変化するものでもない。本発明の偏光板は曲面画像表示装置に用いられるものであるため、曲面状態における対ガラス粘着力を一定の範囲内となるよう制御することは、平面状態における対ガラス粘着力のみによって偏光板の対ガラス粘着力を制御する場合と比較して、より実使用に即した状態での偏光板の画像表示素子に対する粘着力の制御につながる。特に対ガラス粘着力(曲面、23℃)が1.5N/25mm以上、更には2.5N/25mm以上であると、偏光板が曲面画像表示パネルに組み込まれた後、長期間の使用時や、長時間使用により光源の熱に晒される場合や高温多湿環境となりやすい輸送時等の過酷な環境下においても、画像表示パネルに対する十分な接着力を確保することができ、曲面状態の画像表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きが生じ難くなる。
長期間および/または高温環境下における画像表示パネルに対する接着力を十分に確保する観点からは、本発明の偏光板の対ガラス粘着力(平面、23℃)と対ガラス粘着力(曲面、23℃)がともに2.0N/25mm以上であることが好ましく、3.0N/25mm以上であることが好ましく、4.0N/25mm以上であることが特に好ましい。
一方、曲面画像表示パネルの製造工程においては、画像表示素子に偏光板を貼合する際または貼合した後に貼り損じが生じた場合、従来の平面画像表示パネルの製造工程と同様に平面状態でリワーク(すなわち、剥がしてパネルを再利用すること)することもあるが、曲面状態でリワークすることも想定される。曲面状態でリワークされる場合、曲面化された状態にあることですでに負荷されている圧縮応力に加えて、画像表示パネルから偏光板を剥離するためにはさらに圧縮応力がかかることになる。このため、曲面状態でのリワークでは平面状態でのリワークと比べて曲面画像表示パネルからの偏光板の剥離が技術的に難しくなる傾向にあり、特に偏光板の粘着力が高いほど偏光板を剥離するために負荷される圧縮応力は大きくなるため、例えば、剥離時に表示パネルを構成するガラス板が割れる等の不具合が生じやすくなる。
対ガラス粘着力が高すぎる場合には画像表示パネルから偏光板の浮きや剥れそのものが生じ得ないが、上述したようなリワーク性に問題が生じる可能性があることから、本発明の偏光板は、平面状態で測定される対ガラス粘着力(平面、23℃)が20.0N/25mm以下であることが好ましく、より好ましくは15.0N/25mm以下、さらに好ましくは10.0N/25mm以下、特に好ましくは6.0N/25mm以下である。また、対ガラス粘着力(曲面、23℃)は、好ましくは20.0N/25mm以下であり、より好ましくは15.0N/25mm以下であり、さらに好ましくは10.0N/25mm以下であり、特に好ましくは6.0N/25mm以下である。
前記各対ガラス粘着力の上限が前記範囲内である場合、曲面画像表示パネルの製造工程において、偏光板の貼り損じが発生または発見された場合に、容易に表示パネルから偏光板をリワークし易くなる。リワーク性の観点から、本発明において、対ガラス粘着力(平面、23℃)と対ガラス粘着力(曲面、23℃)がともに20.0N/25mm以下であることが好ましい。
本発明の偏光板が粘着層を含む場合、対ガラス粘着力(平面、23℃)が20.0N/25mm以下、更には15.0N/25mm以下、特には10.0N/25mm、とりわけ6.0N/25mm以下、なかんずく4.0N/25mm以下であっても、式(1)を満たすことから、浮きや剥れを抑制することができる。
前記対ガラス粘着力(平面、23℃)は、所定の大きさに切断した偏光板を、その粘着層を介して平らなガラス基板に貼り付け、オートクレーブ処理を行い、23℃、50%RH下、24時間静置した後、ガラス基板から偏光板を180°方向に所定の速度で剥離して測定される値である。対ガラス粘着力(曲面、23℃)は、対ガラス粘着力(平面、23℃)の測定方法と同様にして偏光板をガラス板に貼合した試験片を、曲率半径2500mmに加工した金属板上に試験片を沿わせるようにして固定した状態で23℃、50%RH下、24時間静置した後、偏光板を剥離して測定される値である。
対ガラス粘着力(平面、23℃)および対ガラス粘着力(曲面、23℃)のより詳細な測定方法は、後述する実施例に記載するとおりである。
本発明の偏光板において、80℃ドライ下で250時間後、平面状態において測定される粘着層の対ガラス粘着力(以下、「対ガラス粘着力(平面、80℃)」と記載する場合がある)は、7.0N/25mm以上であることが好ましく、9.0N/25mm以上であることがより好ましく、11.0N/25mm以上であることがさらに好ましい。また、本発明の偏光板において、80℃ドライ下で250時間後、曲面状態において測定される粘着層の対ガラス粘着力(以下、「対ガラス粘着力(曲面、80℃)」と記載する場合がある)は、8.0N/25mm以上であることが好ましく、10.0N/25mm以上であることがより好ましく、12.0N/25mm以上であることがさらに好ましい。さらに、粘着力が高くなることにより測定時に試験片が破断し、80℃ドライ下で250時間後に測定される前記各対ガラス粘着力を数値として測定することができない場合があり、これは本発明の特に好適な一態様である。
80℃ドライ下で250時間後に測定される各対ガラス粘着力が前記のような値である場合、長期間および/または高温環境下での使用等においても、表示パネルに対する十分な接着力を確保することができ、曲面状態の表示パネルからの剥がれや浮きが生じ難くなる。上述した一定範囲の対ガラス粘着力(平面、23℃)を有する偏光板において、80℃ドライ下で250時間後に測定される各対ガラス粘着力が前記のような値であることは本発明の偏光板にとって特に有利である。
対ガラス粘着力(平面、80℃)は、対ガラス粘着力(平面、23℃)より5.0N/25mm以上高いことが好ましく、7.0N/25mm以上高いことがより好ましく、10.0N/25mm以上高いことが特に好ましい。また、対ガラス粘着力(曲面、80℃)は、対ガラス粘着力(曲面、23℃)より5.0N/25mm以上高いことが好ましく、7.0N/25mm以上高いことがより好ましく、10.0N/25mm以上高いことが特に好ましい。上述した一定範囲の対ガラス粘着力(平面、23℃)を有する偏光板において、さらに80℃ドライ下で250時間後に測定される各対ガラス粘着力が23℃、50%RH下において測定された各対ガラス粘着力より5.0N/25mm以上高いと、画像表示素子に貼合した後の貼合初期状態においては、画像表示素子に貼合し、常温から低温環境下で使用するために必要な粘着力を確保しながらも、容易にリワークすることが可能となる。さらに、長時間光源の熱に晒される場合や高温多湿環境となりやすい輸送時、また長期間および/または高温環境下での使用においても、表示パネルに対する十分な接着力を確保することができ、曲面状態の表示パネルからの剥がれや浮きが生じ難くなる。
対ガラス粘着力(平面、80℃)と対ガラス粘着力(平面、23℃)との差、および対ガラス粘着力(曲面、80℃)と対ガラス粘着力(曲面、23℃)との差について、その上限はそれぞれ特に制限されるものではないが、通常20.0N/25mm以下である。
対ガラス粘着力(曲面、80℃)は、対ガラス粘着力(平面、23℃)より5.0N/25mm以上高いことが好ましく、7.0N/25mm以上高いことがより好ましく、10.0N/25mm以上高いことが特に好ましい。対ガラス粘着力(曲面、80℃)と対ガラス粘着力(平面、23℃)との差が前記範囲内であると、平面状態での貼合およびリワークが容易であり、曲面化後長期間および/または高温環境下での使用等においても、表示パネルに対する十分な接着力を確保することができ、曲面状態の表示パネルからの剥がれや浮きが生じ難くなる。
前記対ガラス粘着力(平面、80℃)および対ガラス粘着力(曲面、80℃)は、試験片を80℃、ドライ環境下に250時間静置する以外は、上述した対ガラス粘着力(平面、23)および対ガラス粘着力(曲面、23℃)と同様の方法により測定される。
粘着層の対ガラス粘着力は、粘着層を構成する成分の種類、その含有量比、形成条件(乾燥、活性エネルギー線照射条件)、形成後の厚み等によって変化するため、所望する対ガラス粘着力に応じて、粘着層の構成成分、含有量比、形成条件、厚み等を適宜選択すればよい。具体的には、例えば、粘着層を構成する粘着剤の構成成分としてアクリル樹脂を用いること、シラン系化合物を配合すること、および粘着層の層厚を厚くすることにより粘着層の対ガラス粘着力を高くすることができる。また、アクリル樹脂を構成する単量体の種類やその比率、シラン系化合物の種類やその含有量を変えることにより対ガラス粘着力を所望する値に制御することができる。
<偏光フィルム>
本発明の偏光板を構成し得る偏光フィルムとしては、入射する自然光から直線偏光を取り出す機能を有するフィルムであって、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものを用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)が挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常、85〜100モル%であり、98モル%以上が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、およびポリビニルブチラール等を用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1000〜10000であり、1500〜5000が好ましい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものを、偏光フィルムの原反フィルムとして用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は、特に限定されるものではないが、延伸のしやすさを考慮すれば、例えば10〜150μmであり、好ましくは15〜100μmであり、より好ましくは20〜80μmである。
ある。
偏光フィルムは、通常、このようなポリビニルアルコールフィルム等のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。これにより製造される延伸・染色されたポリビニルアルコールフィルムを偏光フィルムとして使用することが、工業上の観点から好ましい。なお、延伸・染色されたポリビニルアルコールフィルムとは、二色性色素を含む(吸着した)延伸ポリビニルアルコールフィルムであり、延伸倍率は下記の通りである。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前に行なってもよく、染色と同時に行なってもよく、または染色の後に行なってもよい。一軸延伸を染色の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行なってもよく、ホウ酸処理中に行なってもよい。これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよく、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行なう乾式延伸であってもよく、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、偏光フィルムの変形を抑制する観点から、好ましくは8倍以下、より好ましくは7.5倍以下、さらに好ましくは7倍以下である。また、延伸倍率は、偏光フィルムとしての機能を発現させる観点からは、通常4.5倍以上である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。二色性色素としては、例えば、ヨウ素または二色性染料が用いられる。二色性染料には、例えば、C.I.DIRECT RED 39などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾ化合物などからなる二色性直接染料が包含される。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に、水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100質量部あたり0.01〜1質量部であり、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100質量部あたり0.5〜20質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1800秒である。
二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100質量部あたり、通常1×10-4〜10質量部、好ましくは1×10-3〜1質量部であり、より好ましくは1×10-3〜1×10-2質量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。二色性色素として二色性染料を用いる場合、染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1800秒である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行なうことができる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100質量部あたり、通常2〜15質量部、好ましくは5〜12質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100質量部あたり、通常0.1〜15質量部、好ましくは5〜12質量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60〜1200秒、好ましくは150〜600秒、より好ましくは200〜400秒である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行なうことができる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃であり、浸漬時間は、通常1〜120秒である。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行なうことができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃、好ましくは40〜95℃、より好ましくは50〜90℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒、好ましくは120〜600秒である。
このようにポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、およびホウ酸処理が施され、偏光フィルムが得られる。偏光フィルムの厚みは、例えば5〜40μmとすることができる。
塗布型の薄膜偏光フィルムは、従来公知のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸してなる偏光フィルムと比較して寸法変化率が小さいため、塗布型の薄膜偏光フィルムを用いることにより、長期間の使用および/または高温環境下での使用における偏光板の寸法変化を抑制し得る。また偏光板の薄膜化に寄与することができ、本発明において好適である。塗布型の薄膜偏光フィルムとしては、例えば、特開2012−58381、特開2013−37115、国際公開第2012/147633、国際公開第2014/091921に例示されるようなものを用いることができる。
<保護層>
好適な一態様において、本発明の偏光板は、前記偏光フィルムの片面または両面に積層された保護層を有する。保護層は、例えば、偏光フィルムの収縮および膨張防止、温度、湿度、紫外線等による偏光フィルムの劣化防止に寄与することから、本発明の偏光板は保護層を有していることが好ましい。
保護層を形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性等に優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども保護層を形成するポリマーの例として挙げられる。保護層は、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型または紫外線硬化型の樹脂による硬化層として形成することもできる。中でもイソシアネート架橋剤との反応性を有する水酸基を有するものが好ましく、特にセルロース系ポリマーが好ましい。保護層の厚みは特に制限されるものではないが、一般には500μm以下であり、1〜300μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましく、30〜100μmであることがさらに好ましい。また、保護層は、光学補償機能を付加させた透明保護フィルム等から構成されていてもよい。なお、偏光フィルムの背面側に積層される外側保護層の厚みと、偏光フィルムの視認側に積層される内側保護層の厚みとは、同じであるか、内側保護層より外側保護層の方が厚くなることが好ましい。こうすることで特に偏光板に熱が加わったときに外側および内側保護層のカールが抑制され、または剛性が低い方へカールするため、表示パネルからの剥がれや浮きが生じにくい。これは特に凹面側で適用することが好ましい。
偏光フィルムに隣接する保護層の剛性を高めることによって、偏光フィルムの収縮を抑えることができため、保護層の剛性を制御することにより、偏光板の寸法変化を抑制することができる。ここで剛性とは、保護層に用いるフィルムの室温(23℃)下での引張弾性率(以下23℃弾性率)に膜厚を掛け合わせたもの、および80℃条件下の引っ張り弾性率(以下80℃弾性率)に膜厚を掛け合わせたものとして定義される。特に、80℃弾性率に膜厚を掛け合わせた剛性を高めることで、偏光板の高温環境下での寸法変化を抑制することができる。例えば、トリアセチルセルロースに代表されるセルロース系ポリマーは、23℃弾性率が3000〜5000MPa、80℃弾性率が2000〜4000MPaの範囲であることが好ましく、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル系ポリマーは、23℃弾性率が2000〜4000MPa、80℃弾性率が800〜2500MPaの範囲であることが好ましく、ノルボルネン構造を有するようなポリオレフィン系ポリマーは、23℃弾性率が2000〜4000MPa、80℃弾性率が1500〜3000MPaの範囲であることが好ましい。
偏光フィルムに接着されない保護層の面は表面処理層を有していてもよく、例えばハードコート層や反射防止層、スティッキング防止層や、アンチグレア層または拡散層等の光学層を有していてもよい。
ハードコート層は、偏光板表面の傷つき防止などを目的とするものであり、例えばアクリル系、シリコーン系等の紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を保護層の表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止層は偏光板表面での外光の反射防止を目的とするものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止層は隣接層との密着防止を目的とするものである。
また、アンチグレア層は偏光板の表面で外光が反射して、偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的とするものであり、例えば、サンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの方式により、保護層の表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成のために含有される微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性を有し得る無機系微粒子、架橋または未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が挙げられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の含有量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100質量部に対して、通常2〜50質量部であり、5〜25質量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。なお、保護層は、必要に応じて公知の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、イオントラップ剤、酸化防止剤、増感助剤、光安定剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、色素、帯電防止剤、および紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、保護層そのものに設けて一体化させることができるほか、別途光学層として保護層とは別体のものとして設けることもできる。
<接着剤層>
偏光フィルムと保護層とは、通常、接着剤を介して接着される。偏光フィルムと保護層とを接着する接着剤としては、特に限定されるものではないが、形成される接着剤層を薄くする観点から、水系のもの、すなわち、接着剤成分を水に溶解したもの、または接着剤成分を水に分散させたものが挙げられる。例えば、接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂またはウレタン樹脂を含む接着剤を用いることができる。偏光フィルムの両面に保護層を有する場合、その接着に用いられる接着剤は同じであっても、異なっていてもよい。
接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂を含む場合、ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールの他、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールなどの変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。通常、ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液として調製される。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100質量部に対して、通常1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部である。
ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする接着剤は、接着性を向上させるために、グリオキザール、水溶性エポキシ樹脂などの硬化性成分および/または架橋剤を含むことが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応で得られるポリアミドアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を好適に用いることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、「スミレーズレジン650」(住化ケムテックス(株)製)、「スミレーズレジン675」(住化ケムテックス(株)製)、「WS−525」(日本PMC(株)製)などが挙げられる。これら硬化性成分および/または架橋剤の添加量(共に添加する場合にはその合計量)は、ポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対して、通常1〜100質量部、好ましくは1〜50質量部である。上記硬化性成分および/または架橋剤の添加量が前記範囲内であると、接着性が向上し、良好な接着性を示す接着剤層を形成することができる。
また、接着剤成分としてウレタン樹脂を含む場合、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を用いることが好ましい。ここで、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その骨格内に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂それ自体は公知であり、例えば特開平7−97504号公報には、フェノール系樹脂を水性媒体中に分散させるための高分子分散剤の例として記載されており、また特開2005−70140号公報および特開2005−208456号公報には、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムにシクロオレフィン系樹脂フィルムを貼合する形態が示されている。
偏光フィルムおよび/またはこれに貼合される保護層(保護フィルム)への接着剤の塗布は、公知の方法で行うことができ、例えば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法等を用いることができる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。接着剤を塗布した後、偏光フィルムおよびこれに貼合される保護層を重ね合わせ、ニップロールなどにより挟んでフィルムの貼合を行なう。ニップロールを用いたフィルムの貼合は、例えば、接着剤を塗布した後、ロールなどで加圧して均一に押し広げる方法、接着剤を塗布した後、ロールとロールとの間に通し、加圧して押し広げる方法などを採用することができる。この場合、使用するロールの材質は金属やゴムなどであってよい。また、複数のロール間にフィルムを通し、押し広げる場合、複数のロールは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
なお、偏光フィルムと保護層との接着面には、接着性向上のため、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
上記貼合後、乾燥して接着剤を硬化させることにより偏光板を得ることができる。この乾燥処理は、例えば熱風を吹き付けることにより行なわれ、その温度は、通常40〜100℃の範囲内であり、好ましくは60〜100℃の範囲内である。また、乾燥時間は通常、20〜1200秒である。
乾燥後の接着剤により形成される接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μmであり、好ましくは0.01〜2μm、より好ましくは0.01〜1μmである。接着剤層の厚みが前記範囲内にあると、十分な接着性を確保でき、また、外観的にも好ましく、さらに偏光板の薄膜化に寄与できるため、本発明の偏光板に好適である。
上記乾燥後、室温以上の温度で少なくとも半日、好ましくは数日間以上の養生を施して十分な接着強度を得てもよい。養生温度は好ましくは30〜50℃の範囲であり、より好ましくは35〜45℃の範囲である。養生温度が前記範囲内であると、ロール巻き状態における、いわゆる「巻き締まり」が生じ難くなる。なお、養生時の湿度は特に制限されず、相対湿度が0〜70%RHの範囲にあればよい。養生時間は、通常1〜10日、好ましくは2〜7日である。
また、上記接着剤として、光硬化性接着剤を用いることもできる。光硬化性接着剤としては、例えば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤などの混合物や光硬化性アクリル樹脂と光ラジカル重合開始剤などの混合物が挙げられる。光硬化性接着剤を用いる場合には、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましい。
光硬化性接着剤への光照射強度は、光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度は好ましくは0.1〜6000mW/cm、より好ましくは10〜1000mW/cm、さらに好ましくは20〜500mW/cmである。該照射強度が前記範囲内であると、反応時間を確保でき、また、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱によるエポキシ樹脂の黄変や偏光フィルムの劣化を抑えることができる。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させる光硬化性接着剤によって適宜選択すればよく、特に制限されるものではないが、上記照射強度と照射時間との積として表される積算光量が好ましくは10〜10000mJ/m、より好ましくは50〜1000mJ/m、さらに好ましくは80〜500mJ/mとなるように設定される。光硬化性接着剤への積算光量が前記範囲内であると、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて、硬化反応をより確実に進行させることができ、また、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。
なお、活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、例えば、偏光フィルムの偏光度、透過率および色相、ならびに保護層および光学層を構成する各種フィルムの透明性といった偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行なうことが好ましい。
<光学層>
本発明の偏光板は、必要に応じて、さらに、位相差フィルム、視角補償フィルムおよび輝度向上フィルム等の光学層を積層していてもよい。
位相差フィルムとしては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどが挙げられる。延伸処理は、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法などにより行うことができる。延伸倍率は、一軸延伸の場合には1.1〜3倍が一般的である。位相差フィルムの厚みは特に制限されるものではないが、通常10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
高分子素材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ノルボルネン構造を有するポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などが挙げられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の種々のポリマーが挙げられる。主鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどが挙げられる。側鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどが挙げられる。これら液晶ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
位相差フィルムは、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差フィルムを積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に対してやや斜めの方向から見た場合であっても、画像が比較的鮮明に見えるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償フィルムとしては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどがある。通常の位相差フィルムは、その面方向に一軸延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差フィルムには、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルム、面方向に一軸に延伸され、厚み方向にも延伸された、厚み方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルム等が用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して、加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理または/および収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差フィルムの素材原料ポリマーとしては、先の位相差フィルムで説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視野角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的としたものを適宜選択して用いることができる。
また、良視認の広い視野角を達成する観点から、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した視角補償フィルムが好適に用いられる。
偏光板と輝度向上フィルムとを貼合した偏光板は、通常、液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得るとともに、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光をさらにその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部または全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図るとともに、偏光フィルムに吸収させにくい偏光を供給して、液晶画像表示等に利用し得る光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光フィルムを通して光を入射した場合には、偏光フィルムの偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光フィルムに吸収されてしまい、偏光フィルムを透過してこない。すなわち、用いた偏光フィルムの特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光フィルムに吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光フィルムに吸収されるような偏光方向を有する光を偏光フィルムに入射させずに、輝度向上フィルムでいったん反射させ、さらにその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光フィルムを通過しうるような偏光方向になった偏光のみを透過させて偏光フィルムに供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
本発明の偏光板は、例えば、偏光フィルムに保護層を接着剤により貼合し、画像表示素子と貼合される側の保護層の表面に粘着層を形成することにより製造することができる。本発明の偏光板が光学層をさらに含む場合、例えば、保護層に光学層を構成する各種フィルムを接着剤により貼合し、保護層と接着した面と反対側の面に粘着層を形成すればよい。偏光板を構成する各フィルムおよび層を積層して得られる偏光板を、画像表示素子と貼合する前に所望の曲率半径となるように曲面化することにより本発明の偏光板を得ることができる。また、画像表示素子と貼合した後に曲面化を行うこともできる。
画像表示素子との貼合に関しては、例えば曲面液晶表示パネルに用いる場合には、本発明の偏光板を、粘着層を介して画像表示素子である液晶セルに貼合すればよい。また、曲面有機ELパネルに用いる場合には、本発明の偏光板を、画像表示素子である有機EL表示素子の視認側表示面に粘着層を介して貼合すればよい。
偏光板の曲面化は、例えば、液晶表示パネルの場合においては、前記のように作製した画像表示素子と凹面側および凸面側偏光板の積層体を所定の曲率半径で曲げた状態でフレームに固定し、バックライトユニット上に載せる方法、または所定の曲率半径で曲面化されたバックライトユニット上に前記積層体を載せ、その上からフレームで押さえる方法により行うことができる。
本発明の偏光板は、曲面液晶パネルや曲面有機ELパネル等の曲面画像表示パネルの偏光板、特に曲面液晶表示パネルの偏光板として用いることができる。曲面画像表示パネルにおいては、画像表示パネルが湾曲していることにより常に圧縮応力が生じている。圧縮応力は凹面側(視認側)でより大きくなるため、凹面側に位置する偏光板では寸法変化が生じやすい一方で、偏光板を貼合する画像表示素子は一般的にガラス基板で挟まれているため寸法変化が生じ難く、凹面側偏光板と画像表示素子との間には収縮率の差が発生しやすいと考えられる。このため、曲面画像表示パネルの凹面側では特に偏光板の剥がれや浮きが発生しやすくなる。本発明の偏光板は、曲面画像表示パネルを構成する凹面側偏光板および凸面側偏光板のいずれとしても使用することができるが、曲面状態における剥がれや浮きに対して高い抑制効果を有するため、特に、画像表示パネルの凹面側に組み込まれる凹面側偏光板として好適である。即ち、本発明の一実施態様においては、凹面側偏光板および凸面側偏光板を含む曲面画像表示パネルであって、凹面側偏光板が本発明の偏光板である曲面画像表示パネルが提供される。また、本発明の別の実施態様においては、凹面側偏光板および凸面側偏光板を含む曲面画像表示パネルであって、凹面側偏光板および凸面側偏光板が本発明の偏光板である曲面画像表示パネルが提供される。
なお、本発明の偏光板を液晶表示パネルにおいて用いる場合、凸面側偏光板と凹面側偏光板とは、これら偏光板に含まれる各偏光フィルムの吸収軸方向(延伸方向)が互いに直交するように配置される。例えば、図4に示されるように、凹面側偏光板に含まれる偏光フィルムの吸収軸方向が水平方向であると、凸面側偏光板に含まれる偏光フィルムの吸収軸方向は垂直方向である。また、図5に示されるように、凹面側偏光板に含まれる偏光フィルムの吸収軸方向が垂直方向であると、凸面側偏光板に含まれる偏光フィルムの吸収軸方向は水平方向である。凹面側偏光板に含まれる偏光フィルムの吸収軸方向は、垂直方向であっても、水平方向であっても、水平方向に対して45°の角度方向であってもよい。画像表示パネルの製品の多くでは、凹面側偏光板に含まれる偏光フィルムの吸収軸方向は水平方向であり、特にこの場合において、偏光板の収縮等の変形が生じ易く、偏光板の剥がれや浮きが生じやすいことが本発明において見出されている。本発明の偏光板によれば、吸収軸の方向が水平方向であっても偏光板表面の傷つきを抑制することができ、上記課題を解決することが可能となる。
また、本発明の偏光板は、種々の画面サイズを有する曲面画像表示パネルに好適に用いることができる。例えば、5インチ(水平方向長さ:100〜150mm)、10インチ(水平方向長さ:200〜250mm)、17インチ(水平方向長さ:320〜400mm)、32インチ(水平方向長さ:680〜720mm)、40インチ(水平方向長さ:860〜910mm)、46インチ(水平方向長さ:980〜1030mm)、55インチ(水平方向長さ:1180〜1230mm)、65インチ(水平方向長さ:1400〜1450mm)、75インチ(水平方向長さ:1600〜1700mm)、85インチ(水平方向長さ:1800〜1900mm)の画面サイズを有する曲面画像表示パネルに用いることができる。画面サイズが大きい程、各構成部材のサイズも大きくなり、曲面状態において凹面側偏光板に圧縮応力が働くとともに、偏光板と画像表示素子との寸法の不一致が生じることで、偏光板の剥がれや浮きが特に生じ易い。さらに、画面の縦横比(垂直方向長さ:水平方向長さ)が3:4である画像表示装置においては、偏光板の剥がれや浮きは生じ難いが、画面の縦横比が9:13〜9:23、好ましくは9:15以上、より好ましくは9:19以下であり、例えば9:16または9:21である横長の画像表示パネルでは、曲面化時において凹面側偏光板に圧縮応力が働くとともに、偏光板と画像表示素子との寸法の不一致が生じることで、偏光板の剥がれや浮きが特に生じ易いことも本発明者らにより見出されている。本発明の偏光板は、曲面状態における剥がれや浮きに対して高い抑制効果を有するため、上記のような種々の画面サイズ、特に比較的大きな画面サイズや横長の曲面画像表示パネル用の偏光板として好適に使用することができる。
本発明の偏光板を含む本発明の曲面画像表示パネルは、長期間および/または高温環境下、画像表示パネルからの偏光板の剥がれや浮きを抑制する効果に優れる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
1.偏光フィルムの作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上である厚み60μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製の商品名「VF−PE#6000」)を、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.02/2/100である水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100である水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き、8℃の純水を用いてフィルムを洗浄した後、80℃で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向した偏光フィルムを得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理中において行い、トータル延伸倍率は6.0倍であった。こうして得られた偏光フィルムの厚みは22μmであった。
2.保護層(保護フィルム)の作製・準備
次のように、種々の保護層(保護フィルム)を作製または準備した。
(1)アクリル樹脂フィルム(2−A)
メタクリル系樹脂70質量%およびゴム粒子30質量%をスーパーミキサーで混合しつつ、その混合物100質量%に対してベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2質量%を加えて、二軸押出機で溶融混練してペレットとした。このペレットを、65mmφ一軸押出機に投入し、設定温度275℃のT型ダイを介して押し出し、鏡面を有する二本のポリシングロールでフィルムを挟むことにより冷却して、厚み80μmのアクリル樹脂フィルム(2−A)を得た。
なお、上記メタクリル系樹脂として、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96%/4%(質量比)の共重合体を用いた。また、上記ゴム粒子として、最内層がメタクリル酸メチルに少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された硬質の重合体からなり、中間層がアクリル酸ブチルを主成分とし、さらにスチレンおよび少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質の弾性体からなり、最外層がメタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質の重合体からなる三層構造の弾性体粒子であって、中間層である弾性体までの平均粒径が240nmのものを用いた。なお、このゴム粒子において、最内層と中間層との合計質量は、粒子全体の70%であった。
(2)ハードコート層を有するアクリル樹脂フィルム(2−B)
上記のアクリル樹脂フィルム(2−A)上において、ハードコート処理を行った。ハードコート処理は、処理溶液(ペンタエリスリトールトリアクリレート:42.5質量部、イルガキュア184:0.25質量部、シリコーン(レベリング剤):0.1質量部、シリカ(平均粒径1μm):12質量部、表面メタクリロイル基修飾シリカ(表面有機成分:4.05×10−3g/m):7.5質量部、トルエン:34質量部)を塗布し、乾燥した後、紫外線照射器を用いて紫外線を照射することによって行った。こうして、厚み5μmのハードコート層を有するアクリル樹脂フィルム(2−B)(全体厚み:85μm)を得た。
(3)TACフィルム(2−C)
コニカミノルタオプト(株)製のトリアセチルセルロースフィルム「KC6UAW」(厚み:60μm)をTACフィルム(2−C)とした。
(4)TACフィルム(2−D)
上記(2−C)TACフィルム上において、(2−B)と同様に、ハードコート処理を行った。こうして、厚み5μmのハードコート層を有するTACフィルム(2−D)(全体厚み:65μm)を得た。
(5)COPフィルム(2−E)
日本ゼオン(株)の環状ポリオレフィン系2軸延伸樹脂フィルム「ゼオノアフィルム ZB12」(厚み52μm)をCOPフィルム(2−E)とした。
3.接着剤の調製
次の配合成分を混合して得られた無溶剤型の紫外線硬化性接着剤を接着剤として用いた。なお%は、接着剤全体を100質量%としたときの含有量(質量%)を示す。
・3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学工業(株)製の「セロキサイド2021P」):80%
・1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル:19%
・トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートを主成分とする光カチオン重合開始剤(CPI−100P:トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートを主成分とする有効成分50%のプロピレンカーボネート溶液、サンアプロ(株)製の「CPI−100P」):1%
4.粘着剤の調製
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル81.8質量部、アクリル酸ブチル70.8質量部、アクリル酸メチル20.0質量部、アクリル酸2−フェノキシエチル8.0質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1.0質量部およびアクリル酸0.6質量部を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら、内温を55℃に上げた。その後、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.14質量部を酢酸エチル10質量部に溶かした溶液を全量添加した。重合開始剤の添加後1時間、この温度を保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら、酢酸エチルを添加速度17.3質量部/時間で反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35質量%となった時点で酢酸エチルの添加を止めた。さらに酢酸エチルの添加開始から12時間が経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えて、アクリル樹脂の濃度が20質量%となるように調節した。これをアクリル樹脂とした。
得られたアクリル樹脂の重量平均分子量および数平均分子量を以下の方法に従って測定した。GPC装置に、カラムとして東ソー(株)製の「TSKgel XL」を4本と昭和電工(株)製で昭光通商(株)から販売されている「Shodex GPC KF−802」を1本、計5本を直列につないで配置し、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて、試料濃度5mg/mL、試料導入量100μL、温度40℃、流速1mL/分の条件で、標準ポリスチレン換算により測定した。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量Mwは142万、Mw/Mnは4.1であった。
上記で調製したアクリル樹脂(20質量%酢酸エチル溶液)の固形分100質量部に対して、シラン系化合物として0.5質量部のグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(液体)(信越化学工業(株)製KBM−403)、架橋剤として0.6質量部のコロネートHXR(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、有効成分ほぼ100質量%の液体、日本ポリウレタン(株)製)、および3.0質量部のN−オクチル−4−メチルピリジニウム ヘキサフルオロホスフェートを混合した。次いで、固形分濃度が13質量%となるよう酢酸エチルを添加して粘着剤を得た。
実施例1
保護層であるフィルム(2−D)およびフィルム(2−E)は、コロナ処理機(春日電気株式会社製)を用いて予めコロナ処理を行い、その上に接着剤を塗布し、偏光フィルムに貼合した。その後、メタルハライドランプによって紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。フィルム(2−E)面上に20μmの粘着剤の層を形成させ、厚み0.17mm(粘着層形成に用いるセパレータ―フィルムは除く)の凹面側偏光板Aを得た。
また、フィルム(2−D)に代えてフィルム(2−C)を用いた以外は、上記と同様にして、厚み0.16mm(粘着層形成に用いるセパレータ―フィルムは除く)の凸面側偏光板Bを得た。
偏光板Aを、横(水平方向長さ)1215mm×縦(垂直方向長さ)683mmのサイズに切断し、このとき、偏光板Aの吸収軸方向が横方向となるように切断した。また、偏光板Bを、横1215mm×縦683mmのサイズに切断し、このとき、偏光板Bの吸収軸方向が縦方向となるように切断した。切断された偏光板Aを、横1215mm×縦683mm、厚み1.5mm厚のガラスパネルの視認側(凹面側)に貼合し、切断された偏光板Bを、このパネルの背面側(凸面側)に貼合した。その後、平均曲率半径が4000mmとなるようにガラスパネルを曲げて固定し、80℃ドライ下で250時間保持した。250時間経過後、パネルの外観を目視により観察したところ、偏光板の剥がれや浮きは発生しなかった。上記方法で測定した寸法変化率は0.8%であった。なお、この時、L1(H+H1)/2R=0.25であった。
実施例2
保護層であるフィルム(2−B)およびフィルム(2−E)は、コロナ処理機(春日電気株式会社製)を用いて、予めコロナ処理を行い、その上に接着剤を塗布し、偏光フィルムに貼合した。その後、メタルハライドランプによって紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。フィルム(2−E)面上に20μmの粘着剤の層を形成させ、厚み0.19mm(粘着層形成に用いるセパレータ―フィルムは除く)の凹面側偏光板Cを得た。
また、フィルム(2−B)に代えてフィルム(2−A)を用いた以外は、上記と同様にして、厚み0.18mmの凸面側偏光板Dを得た。
偏光板Cを、横1215mm×縦683mmのサイズに切断し、このとき、偏光板Cの吸収軸方向が横方向となるように切断した。また、偏光板Dを、横1215mm×縦683mmのサイズに切断し、このとき、偏光板Dの吸収軸方向が縦方向となるように切断した。切断された偏光板Cを、横1215mm×縦683mm、厚み1.5mm厚のガラスパネルの視認側(凹面側)に貼合し、切断された偏光板Dを、このパネルの背面側(凸面側)に貼合した。その後、平均曲率半径が4000mmとなるようにパネルを曲げて固定し、80℃ドライ下で250時間保持した。250時間経過後、パネルの外観を目視により観察したところ、偏光板の剥がれや浮きは発生しなかった。上記方法で測定した寸法変化率は1.4%であった。なお、この時、L1(H+H1)/2R=0.26であった。
実施例3
偏光板CおよびDのサイズを、横1440mm×縦810mmのサイズに切断したこと、および偏光板CおよびDを横1440mm×縦810mm、厚み1.5mm厚のガラスパネルに貼合し、平均曲率半径が6600mmとなるようにパネルを曲げて固定したこと以外は、実施例2と同様にして、曲面パネルにおける偏光板の剥がれや浮きの評価を行った。その結果、偏光板の大きな剥がれや浮きは発生しなかった。上記方法で測定した寸法変化率は1.4%であった。なお、この時、L1(H+H1)/2R=0.18であった。
比較例1
パネルの平均曲率半径を2500mmとした以外は、実施例2と同様にして、曲面パネルにおける偏光板の剥がれや浮きの評価を行った。その結果、凹面側偏光板Cの短辺において、辺端部から50mmまでガラスから浮きが発生した。上記方法で測定した寸法変化率は1.4%であった。なお、この時、L1(H+H1)/2R=0.41であった。
実施例4
偏光板CおよびDのサイズを、横1440mm×縦810mmのサイズに切断すること、および偏光板CおよびDを横1440mm×縦810mm、厚み1.5mm厚のガラスパネルに貼合すること以外は、実施例2と同様にして、曲面パネルにおける偏光板の剥がれや浮きの評価を行うと、L1(H+H1)/2R=0.30であり、偏光板の大きな剥がれや浮きの発生が抑制される。
実施例5
偏光板CおよびDのサイズを、横1660mm×縦934mmのサイズに切断すること、および偏光板CおよびDを横1660mm×縦934mm、厚み1.5mm厚のガラスパネルに貼合すること以外は、実施例2と同様にして、曲面パネルにおける偏光板の剥がれや浮きの評価を行うと、L1(H+H1)/2R=0.35であり、偏光板の大きな剥がれや浮きの発生が抑制される。
実施例6
偏光板CおよびDのサイズを、横900mm×縦506mmのサイズに切断すること、偏光板CおよびDを横900mm×縦506mm、厚み1.5mm厚のガラスパネルに貼合すること、およびパネルの平均曲率半径を2500mmとすること以外は、実施例2と同様にして、曲面パネルにおける偏光板の剥がれや浮きの評価を行うと、L1(H+H1)/2R=0.30であり、偏光板の大きな剥がれや浮きの発生が抑制される。
実施例7
偏光板CおよびDのサイズを、横508mm×縦286mmのサイズに切断すること、偏光板CおよびDを横508mm×縦286mm、厚み1.5mm厚のガラスパネルに貼合すること、およびパネルの平均曲率半径を2500mmとすること以外は、実施例2と同様にして、曲面パネルにおける偏光板の剥がれや浮きの評価を行うと、L1(H+H1)/2R=0.17であり、偏光板の大きな剥がれや浮きの発生が抑制される。
比較例2
パネルの平均曲率半径を2500mmとする以外は、実施例4と同様にして、曲面パネルにおける偏光板の剥がれや浮きの評価を行うと、L1(H+H1)/2R=0.49であり、偏光板の剥がれや浮きの発生が生じる。
比較例3
パネルの平均曲率半径を2500mmとする以外は、実施例5と同様にして、曲面パネルにおける偏光板の剥がれや浮きの評価を行うと、L1(H+H1)/2R=0.56であり、偏光板の剥がれや浮きの発生が生じる。
比較例4
パネルの平均曲率半径を1000mmとする以外は、実施例6と同様にして、曲面パネルにおける偏光板の剥がれや浮きの評価を行うと、L1(H+H1)/2R=0.76であり、偏光板の剥がれや浮きの発生が生じる。
比較例5
パネルの平均曲率半径を1000mmとする以外は、実施例7と同様にして、曲面パネルにおける偏光板の剥がれや浮きの評価を行うと、L1(H+H1)/2R=0.43であり、偏光板の剥がれや浮きの発生が生じる。
実施例8
偏光板AおよびBのサイズを、横1050mm×縦600mmのサイズに切断したこと、および偏光板AおよびBを横1050mm×縦600mm、厚み1.5mm厚のガラスパネルに貼合し、平均曲率半径が2500mmとなるようにパネルを曲げて固定したこと以外は、実施例1と同様にして、曲面パネルにおける偏光板の剥がれや浮きの評価を行った。その結果、偏光板の大きな剥がれや浮きは発生しなかった。上記方法で測定した寸法変化率は0.8%であった。なお、この時、L1(H+H1)/2R=0.35であった。
5.対ガラス粘着力の評価
(1)対ガラス粘着力の測定
(a)「対ガラス粘着力(平面、23℃)」および「対ガラス粘着力(曲面、23℃)」の測定
実施例1および実施例2で作製した平面状態および曲面状態の対ガラス粘着力測定用試験片のそれぞれ一組に、50℃、5kg/cm2(490.3kPa、ゲージ圧)で20分間のオートクレーブ処理を施した後、23℃、50%RH環境下で24時間静置し、島津製作所製オートグラフ(AGS−50NX)を用いて、ガラスパネルと偏光板とをそれぞれチャッキングし、300mm/分の速度で180°の方向に偏光板を剥離した。これにより測定された剥離強度を「対ガラス粘着力(平面、23℃)」および「対ガラス粘着力(曲面、23℃)」とした。結果を表1に示す。
(b)「対ガラス粘着力(平面、80℃)」および「対ガラス粘着力(曲面、80℃)」の測定
実施例1および実施例2で作製した平面状態および曲面状態の対ガラス粘着力測定用試験片の別の一組それぞれに、50℃、5kg/cm2(490.3kPa、ゲージ圧)で20分間のオートクレーブ処理を施した後、23℃、50%RH環境下で24時間静置し、その後、80℃ドライ環境下に250時間静置し、島津製作所製オートグラフ(AGS−50NX)を用いて、ガラスパネルと偏光板とをそれぞれチャッキングし、300mm/分の速度で180°の方向に偏光板を剥離した。これにより測定された剥離強度を「対ガラス粘着力(平面、80℃)」および「対ガラス粘着力(曲面、80℃)」とした。結果を表1に示す。
1:凹面側偏光板
2:凸面側偏光板
3:画像表示素子
10:粘着層
11:保護層
12:偏光フィルム
13:表面処理層

Claims (8)

  1. 平均曲率半径R(mm)、厚みH(mm)の曲面画像表示パネルに粘着層を介して貼合される、平面状態での水平方向長さがL1(mm)である偏光板であって、
    曲面画像表示パネルに貼合された際に凹面側となる偏光板厚みH1(mm)は下記式(1):
    L1(H+H1)/2R≦0.4 (1)
    を満たし、
    平面状態での偏光板の水平方向長さL1が500mm以上であり、
    前記粘着層の、23℃、50%RHでの平面状態で測定される対ガラス粘着力が1.0N/25mm以上であり、
    80℃ドライ下での250時間後の寸法変化率は3.0%以下である、
    偏光板。
  2. 前記対ガラス粘着力が2.0N/25mm以上である請求項1に記載の偏光板。
  3. 粘着層の、23℃、50%RHでの曲面状態で測定される対ガラス粘着力が1.5N/25mm以上である、請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 曲面画像表示パネルの厚みHは0.4mm以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
  5. 偏光板における偏光フィルムは、延伸・染色されたポリビニルアルコールフィルムである、請求項1〜のいずれかに記載の偏光板。
  6. 曲面画像表示パネルは900〜7000mmの平均曲率半径Rを有する、請求項1〜のいずれかに記載の偏光板。
  7. 凹面側偏光板および凸面側偏光板を含む曲面画像表示パネルであって、凹面側偏光板は請求項1〜のいずれかに記載の偏光板である、曲面画像表示パネル。
  8. 凹面側偏光板および凸面側偏光板を含む曲面画像表示パネルであって、凹面側偏光板および凸面側偏光板は請求項1〜のいずれかに記載の偏光板である、曲面画像表示パネル。
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