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JP2022168574A - 光学積層体、及びその製造方法 - Google Patents

光学積層体、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学的ムラを抑制できる光学積層体を提供する。【解決手段】光学積層体1は、表示装置に用いられたときの視認側からの積層順として、反射率が1%以下である反射防止層4、透明保護フィルム層3及び偏光層2がこの順に積層されてなる。透明保護フィルム層3と偏光層2とは互いに直接積層されており、下記剥離加工方法により、透明保護フィルム層3と偏光層2とを剥離したとき、透明保護フィルム層3の剥離面の算術平均粗さRaが、0.01μm以上である。<剥離加工方法>前記偏光層側をガラス板に貼合する。前記透明保護フィルム層と、前記偏光層との間にカッター刃を入れて前記透明保護フィルム層を前記偏光層からわずかに浮上がらせ、浮き上がった前記透明保護フィルム層をピンセットで摘まんで少しずつ剥離する。【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層体及びその製造方法に関する。
液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)等の表示装置に適用される偏光板は、通常、偏光フィルムの片面又は両面に透明保護フィルム(以下、場合により「保護フィルム」という。)が貼り合わせられて成っている。また、用途に応じて位相差フィルムや反射防止フィルムが更に貼り合わせられる。近年、表示装置の薄型化、軽量化に伴って偏光板の薄型化等が進み、例えば、偏光フィルムでは厚さが3μm~5μm程度の薄型偏光フィルムが開発されてきている(特許文献1参照)。更に最近では、保護フィルムの薄膜化の検討も進んできている(非特許文献1参照)。
特開2015-207014号公報
岩上直矢ら、「超薄膜TACフィルムの開発」、KONICA MINOLTA TECHNOLOGY REPORT、VOL.11、2014年、93~96頁
反射防止フィルムは偏光板の最表面に設けられるものであり、外部光源と視認者が偏光板に対して同じ側に位置しているときに視認者に観察される表面反射光を低減することを目的としている。本発明者らの検討では、反射防止層、保護フィルム層、偏光層をこの順に備える偏光板において、保護フィルム層の厚さを例えば30μm以下にまで薄膜化したときに、当該偏光板に目視で光学的ムラが認められた。本発明は、このような光学的ムラを抑制できる光学積層体を提供することを目的とする。また、当該光学積層体の製造方法を提供することを目的とする。
一般に、保護フィルム層と偏光層との界面では、両層の屈折率の相違に起因して界面反射が生じる。この界面反射による反射光は、偏光板表面での反射光と併せて視認者に観察される。界面反射による反射光は元々弱いので、偏光板が反射防止層を備えない場合は偏光板表面での強い反射光が主に視認され、界面反射による反射光は視認されにくい。他方、偏光板が、例えば可視光に対する反射率が1%以下程度である反射防止層を備える場合は偏光板表面での反射光が防止されるため、界面反射による反射光が相対的に強くなり、視認されやすくなる。いずれの場合でも、界面反射による反射光は偏光板表面での反射光と干渉し合って視認者に届く。本発明者の検討によれば、偏光板が上記反射率の反射防止層を備える場合に界面反射による反射光が視認されやすくなること、及び、上記の光学的ムラは、保護フィルム層の厚さムラによって界面反射の光路長にばらつきが生じ、界面反射による反射光と偏光板表面での反射光との干渉に当該厚さムラに応じた差異が生じることが原因となっていることが推定された。なお、ここで「光学的ムラ」とは、偏光板表面を観察したときに複数の色で構成される縞状又は斑状の模様が認められる状態をいう。
これを解決するため、本発明は、表示装置に用いられたときの視認側からの積層順として、反射率が1%以下である反射防止層、透明保護フィルム層及び偏光層がこの順に積層されてなる光学積層体であって、透明保護フィルム層と偏光層とは互いに直接積層されており、下記剥離加工方法により、透明保護フィルム層と偏光層とを剥離したとき、透明保護フィルム層の剥離面の下記算術平均粗さRa測定で求められる算術平均粗さRaが、0.01μm以上である光学積層体を提供する。
<剥離加工方法>
偏光層側をガラス板に貼合する。透明保護フィルム層と、偏光層との間にカッター刃を入れて透明保護フィルム層を偏光層からわずかに浮上がらせ、浮き上がった透明保護フィルム層をピンセットで摘まんで少しずつ剥離する。
<算術平均粗さRa測定>
測定装置 :白色干渉計
対物レンズ :5倍(倍率)
スキャンレンジ :-30μm~10μm
視野サイズ :640μm×480μm
測定モード :Waveモード
面補正 :4次処理
剥離後の算術平均粗さRaは、透明保護フィルム層が偏光層と貼合されている状態であったときの貼合面の表面粗さを反映したものとなっている。透明保護フィルム層の当該面が適度に粗いので、光学積層体は、その反射防止層側から入射した光が当該面で透過散乱する割合が高くなる。入射光が透過散乱した分だけ界面反射が弱くなるので、生じる光学的ムラが抑制される。
算術平均粗さRaが0.1μm以下であってもよい。
透明保護フィルム層が、アクリル系樹脂又はセルロース系樹脂を含むものであってもよい。また、透明保護フィルム層の厚さは5μm~30μmであってもよい。
偏光層の厚さは5μm~20μmであってもよい。
また、本発明は、透明保護フィルムの片側表面の算術平均粗さRaが0.01μm以上となるように粗化する表面粗化工程と、粗化した透明保護フィルム層の表面を偏光層に向けて、透明保護フィルム層と偏光層とを互いに積層するように貼合する貼合工程と、を有する光学積層体の製造方法を提供する。
この製造方法では、透明保護フィルム層が樹脂からなるものであり、表面粗化工程では、樹脂が可溶な溶剤に透明保護フィルム層の表面を接触させることが好ましい。
本発明によれば、光学的ムラを抑制できる光学積層体を提供することができる。また、当該光学積層体の製造方法を提供することができる。
本実施形態の光学積層体の断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1に示されているとおり、本実施形態の光学積層体1は、偏光層2に透明保護フィルム層3と反射防止層4とが積層されてなる偏光板である。光学積層体1は表示装置に貼合されて使用されるものであり、表示装置の視認側から反射防止層4、透明保護フィルム層3、偏光層2の順の配置とされている。なお、図示はしていないが、偏光層2の視認側とは反対側の面にも透明保護フィルムが積層されていてもよい。
(偏光層)
偏光層2を構成する材料としては、従来から偏光板の製造に使用されている公知の材料を用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂等が挙げられる。なかでもポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。また、一軸延伸したフィルムにヨウ素又は二色性染料による染色を施し、ついでホウ酸処理したものであってもよい。偏光層2の厚さは、5μm~20μmであることが好ましく、3μm~15μmであることがより好ましく、2μm~10μmであることが更に好ましい。
(透明保護フィルム層)
透明保護フィルム層3は、偏光層2を保護するための保護フィルム層として機能するものである。したがって、可視光に対して透明(例えば可視光透過率が80%以上)である。透明保護フィルム層3を構成する材料としては樹脂であることが好ましく、更に、樹脂としては例えば、トリアセチルセルロースを代表例とするセルロース系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を代表例とするポリオレフィン系樹脂(「ポリオレフィン系樹脂」の範疇には、例えばノルボルネン系樹脂を代表例とする脂環式ポリオレフィン系樹脂がある)、ポリメチルメタクリレート系樹脂を代表例とするアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を代表例とするポリエステル系樹脂等が挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂又はセルロース系樹脂が好ましい。
透明保護フィルム層3の厚さは、5μm~30μmであってもよく、10μm~28μmであってもよく、15μm~25μmであってもよい。本実施形態では、このように透明保護フィルム層3の厚さを薄膜化し、表面に反射防止層を有するような偏光板であっても、光学的ムラの発生を効率的に防止できる。なお、ここでいう「透明保護フィルム層3の厚さ」とは、後述する表面粗化を行う前の厚さをいう。
偏光層2と透明保護フィルム層3とは互いに直接積層されている。ここで「直接積層されている」とは、透明保護フィルム層3の自己粘着性によって偏光層に積層されている態様、及び、接着剤又は粘着剤を介して積層されている態様を含む。
(接着剤層、粘着剤層)
図1には示されていないが、偏光層2と透明保護フィルム層3との間には、接着剤層又は粘着剤層が介在していてもよい。接着剤層をなす接着剤としては、従来から偏光板の製造に使用されている各種の接着剤を使用することができる。例えば、アクリルアミド、アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリル系樹脂や、ポリビニルアルコール系の水系接着剤を使用することもできる。また、耐候性や屈折率、カチオン重合性等の観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ樹脂が好ましい。また、活性エネルギー線(紫外線又は熱線)の照射によって硬化するものであってもよい。接着剤層の厚さは、0.01μm~5μmであることが好ましい。
粘着剤層をなす粘着剤としては、アクリル系樹脂や、シリコーン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル等が挙げられる。偏光層2又は透明保護フィルム層3に粘着剤層を積層する方法としては、例えば、偏光層2又は透明保護フィルム層3に上記樹脂や任意の添加成分を含む溶液を塗布する方法でもよく、別途用意したセパレータ上に当該溶液で粘着剤層を形成した後にこれを偏光層2又は透明保護フィルム層3上に転写する方法でもよい。粘着剤層の厚さは、2μm~500μmであることが好ましく、5μm~200μmであることがより好ましく、10μm~50μmであることが更に好ましい。
(反射防止層)
反射防止層は、光学積層体1を観察する者にとって、光学積層体1の外光反射を弱めるための層であり、通常は、可視光に対する反射率が1%以下となる。このような反射率の反射防止層は典型的には、高い屈折率を有する高屈折率層と、低い屈折率を有する低屈折率層とからなる。これらの屈折率と各層の厚さを調整することで各層からの反射光が互いに弱め合うようにすることができ、優れた反射防止機能が奏される。
高屈折率層と低屈折率層とからなる反射防止層は、後に詳細を述べるとおり、高屈折率層及び低屈折率層のそれぞれを形成し得る塗布型組成物を用いて反射防止層を製造すると、操作が極めて簡便であるため好ましい。ここで、高屈折率層及び低屈折率層のそれぞれを形成し得る塗布型組成物の一例を挙げておく。かかる塗布型組成物は液状のものであり、適切な硬化性樹脂と、必要に応じて添加剤とを含む。高屈折率層を形成し得る塗布型組成物(高屈折率層形成用塗布液)は例えば、ウレタンアクリレートのような硬化性樹脂と、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール系、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、α-アミノアルキルフェノン系やチオキサントン系といった光重合のための開始剤(光重合開始剤)とを、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンといった溶剤に溶解してなる。塗布性をより良好とするために、レベリング剤、好ましくはフッ素系レベリング剤を含ませてもよい。また、低屈折率層を形成し得る塗布型組成物(低屈折率層形成用塗布液)としては、硬化性樹脂として、ポリエチレングリコールジアクリレートやペンタエリストール(トリ/テトラ)アクリレートのようなバインダー樹脂に、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール系、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、α-アミノアルキルフェノン系やチオキサントン系といった光重合のための開始剤(光重合開始剤)を、1-メトキシ-2-プロピルアセテートやメチルイソブチルといった溶剤に溶解してなる溶液にシリカ粒子を分散させてなる。塗布性をより良好とするために、フッ素系レベリング剤を含ませてもよい。なお、ここで挙げた高屈折率層及び低屈折率層のそれぞれを形成し得る塗布型組成物はあくまで一例であり、形成しようとする反射防止層の特性に応じて、高屈折率層形成用塗布液及び低屈折率層形成用塗布液をそれぞれ最適化することが好ましい。
なお、反射防止層を形成し得る高屈折率層及び低屈折率層のうち、最表面に来るものが適度な表面強度を有するとき、その層はハードコート層としても機能する。上記に例示した、ウレタンアクリレートのような硬化性樹脂を含む高屈折率層形成用塗布液は、ハードコート層形成用の塗布型組成物としても有用である。
反射防止層の反射率に関し、反射率はいわゆる視感度反射率であり、その測定手段は、以下のとおりである。黒色のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと、反射防止層を付与した透明フィルムとを、適当な粘着剤を用いて反射防止層、透明フィルム、粘着剤、黒色のPETフィルムの順となるように貼り付ける。続いて、被測定物である反射防止層側に入射角度5度の光を照射し、反射防止層で反射された正反射方向の反射光を受光して、380nm~780nmの波長範囲の反射率を測定する。最後に、測定値に比視感度値を乗じて視感度反射率を算出できる。測定のための装置は市販の紫外可視近赤外分光光度計(例えば、島津製作所製「UV-2450」)が使用できる。
(算術平均粗さRa)
本実施形態の透明保護フィルム層3は、偏光層2と貼合する側の面3aの算術平均粗さRaに特徴がある。偏光層2に貼合する前の算術平均粗さRaは、0.01μm~0.1μmであってもよく、0.02μm~0.08μmであってもよい。また、貼合された透明保護フィルム層3と偏光層2とを剥離した後の透明保護フィルム層3の当該面3aの算術平均粗さRaは、0.01μm~0.1μmであってもよく、0.02μm~0.095μmであってもよい。
剥離後の算術平均粗さRaを測定するに際し、光学積層体1から透明保護フィルム層3と偏光層2とを剥離するための剥離加工方法は以下のとおりとする。すなわち、偏光層2側をガラス板に粘着剤を用いて貼合する。透明保護フィルム層3と偏光層2との間にカッター刃を入れて透明保護フィルム層3を偏光層2からわずかに浮上がらせ、浮き上がった透明保護フィルム層3をピンセットで摘まんで少しずつ剥離する。
算術平均粗さRaの測定に用いる装置及び条件は、以下のとおりとする。
測定装置 :白色干渉計
対物レンズ :5倍(倍率)
スキャンレンジ :-30μm~10μm
視野サイズ :640μm×480μm
測定モード :Waveモード
面補正 :4次処理
(光学積層体の製造方法)
光学積層体1の製造方法は、少なくとも表面粗化工程と貼合工程とを有する。表面粗化工程では、樹脂からなる透明保護フィルム層3を用意し、その片面表面に対して、当該樹脂が可溶な溶剤を接触させる。溶剤としては例えばメチルエチルケトンが挙げられ、接触方法としてはバーコーターによる塗布が挙げられる。所定時間経過後に水洗いする。この表面粗化は、処理面の算術平均粗さRaが0.01μm以上となるまで行うことが好ましい。
例えば、光学フィルム等の製造で用いられる透明保護フィルム層は、その表面凹凸が極めて小さく、かかる透明保護フィルム層と偏光層とを貼り合わせてから反射防止層を貼り合わせても、本実施形態の透明保護フィルム層において、本実施形態の特定の算術平均粗さRaを達成することはできない。本実施形態の表面粗化工程によって透明保護フィルム層を処理し、偏光層と貼合する側の、透明保護フィルム層の表面3aの算術平均粗さRaを特定の範囲とすることで、光学的ムラの防止が実現された。かかる効果の発現は、市販の透明保護フィルム層をそのまま貼り合わせてなる偏光板の製造からは、当業者であっても導き出せるものではなく、本発明者の独自の知見に基づくものである。
表面粗化工程は、溶剤と透明保護フィルム層とを接触させて、当該透明保護フィルム層の算術表面粗さRaを上記の範囲とすることが、操作が簡便で好ましいが、溶剤と透明保護フィルムとの接触時間があまり長くなると、処理後の透明保護フィルム層の可視光に対する透明性が損なわれることがある。そのため、処理する透明保護フィルム層に含まれる樹脂と、当該樹脂を溶解し得る溶媒種とから、最適な処理時間を求めることが好ましい。最適な処理時間を求めるために、適当な予備実験を行うこともできる。
次に貼合工程として、偏光層2を用意し、粗化した透明保護フィルム層3の表面3aを偏光層2側に向けて、透明保護フィルム層3と偏光層2とを互いに貼合する。
最後に、透明保護フィルム層3の他方の面上に反射防止層4を硬化性塗布型組成物により形成することで、光学積層体1が完成する。なお、光学積層体1の偏光層2側の面には、他の透明保護フィルム等を適宜設けてもよい。
ここで、上記した高屈折率層形成用塗布液及び低屈折率層形成用塗布液のそれぞれを用いて、高屈折率層や低屈折率層を形成する、具体的な手段を記載しておく。本実施形態に適用する反射防止層は、適当な透明樹脂フィルムに上に、まずは、高屈折率層を形成し、この形成した高屈折率層上に、低屈折率層を形成する。高屈折率層及び低屈折率層のそれぞれは1層ずつであってもよく、必要に応じて、高屈折率層形成と、低屈折率層形成とを交互に行って、透明樹脂フィルム上に高屈折率層の複数層と低屈折率層の複数層とが交互に積層されている反射防止層を形成し、その反射防止層を用いることもできる。透明樹脂フィルム上に形成した反射防止層は、必要に応じて、基材として用いた透明樹脂フィルムを剥離して用いることもできるし、基材である透明樹脂フィルムが付いたまま、用いることもできる。
上記のウレタンアクリレートのような硬化性樹脂を含む高屈折率層形成用塗布液から高屈折率層形成と、ポリエチレングリコールジアクリレートやペンタエリストール(トリ/テトラ)アクリレートのようなバインダー樹脂を含む低屈折率層形成用塗布液から低屈折率層形成とを含む反射防止層の形成について、簡単に示すと以下のとおりである。
透明樹脂フィルムであるトリアセチルセルロースフィルム上に、高屈折率層形成用塗布液を塗布し、70℃条件下で1分間乾燥し溶剤を揮発させる。その後、紫外線を100mJ/cmの条件で照射して、高屈折率層を形成する。続いて、この形成した高屈折率層の上に、低屈折率層形成用塗布液を塗布し、その後70℃条件下で1分間乾燥し溶剤を揮発させる。続いて、紫外線を200mJ/cmの条件で照射して、低屈折率層を形成する。このような一連の操作で、トリアセチルセルロースフィルム上に反射防止層を形成できる。ここで、最表面に例えば、ウレタンアクリレートのような硬化性樹脂を含む高屈折率層形成用塗布液から高屈折率層を形成すれば、この高屈折率層はハードコート層としても機能する。
(効果)
本実施形態の光学積層体1によれば、反射防止層4側から観察したときの光学的ムラが抑制される。一般に、透明保護フィルム層と偏光層との界面では、両層の屈折率の相違に起因して界面反射が生じる。この界面反射による反射光は、光学積層体表面での反射光と併せて視認者に観察される。界面反射による反射光は元々弱いので、光学積層体が反射防止層(反射率1%以下)を備えない場合は光学積層体表面での強い反射光が主に視認され、界面反射による反射光は視認されにくい。他方、光学積層体が反射防止層を備える場合は光学積層体表面での反射光が低減されるため、界面反射による反射光が相対的に強くなり、視認されやすくなる。いずれの場合でも、界面反射による反射光は光学積層体表面での反射光と干渉し合って視認者に届く。
本発明者の検討によれば、光学積層体が反射防止層を備える場合に界面反射による反射光が視認されやすくなること、及び、上記の光学的ムラは、透明保護フィルム層の厚さムラによって界面反射の光路長にばらつきが生じ、界面反射による反射光と光学積層体表面での反射光との干渉に当該厚さムラに応じた差異が生じることが原因となっていることが推定された。透明保護フィルム層の厚さが薄い場合には特にそのことが顕著である。
本実施形態の光学積層体1では、透明保護フィルム層3と偏光層2とを上記所定の条件で剥離したとき、透明保護フィルム層3側の剥離面3aの算術平均粗さRaが0.01μm以上である。この剥離後の算術平均粗さRaは、透明保護フィルム層3が偏光層2と貼合されている状態であったときの貼合面3aの表面粗さを反映したものとなっている。透明保護フィルム層3の当該面3aが適度に粗いので、光学積層体1は、その反射防止層4側から入射した光が当該面3aで透過散乱する割合が高くなる。入射光が透過散乱した分だけ界面反射が弱くなるので、生じる光学的ムラが抑制される。透明保護フィルム層3の厚さが例えば5μm~30μmのように薄い場合であっても、本実施形態の光学積層体1によれば光学的ムラの発生を抑制することができる。
(実験例)
実際の測定例を示す。はじめに、透明保護フィルム層としての厚さ25μmのトリアセチルセルロースフィルムを三種類用意した。すなわち、ポリビニルアルコールフィルムと貼り合わせる面について、未処理のもの(実験例1)と、メチルエチルケトンをバーコーターにより塗布して表面粗化したもの(実験例2、実験例3)との三種類を用意した。この三種類の当該面の算術平均粗さRaを測定した。
各トリアセチルセルロースフィルムに対して、偏光層として厚さ8μmのポリビニルアルコールフィルムを貼合し、反射防止層の原料として高屈折率層5μm及び低屈折率層0.15μmとが積層されているものとを積層して光学積層体を製造した。なお、このような高屈折率層5μm及び低屈折率層0.15μmとが積層されてなる反射防止層の可視光に対する反射率は1%以下程度となる。ポリビニルアルコールフィルムとトリアセチルセルロースフィルムとの貼合には水系接着剤を用いた。なお、この水系接着剤は、水100部に対して、カルボキシ基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製 クラレポバール KL318)3部と、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂1.5部(田岡化学工業株式会社製 スミレーズレジン650市販品(水溶液)の固形分濃度30%から上記の部数となるように換算)とを添加して調製した。
その後、点灯させた蛍光灯を反射防止層側にかざして、光学積層体に映り込んだ蛍光灯の像に干渉ムラ(光学的ムラ)が生じる程度を肉眼で観察した。干渉ムラの評価指標は以下のとおりである。
A…干渉ムラがほとんど認められなかった。
B…干渉ムラが僅かに認められた。
C…干渉ムラが目立った。
その後、上述した方法でトリアセチルセルロースフィルムをポリビニルアルコールフィルムから剥離し、トリアセチルセルロースフィルムの当該面の算術平均粗さRaを測定した。各測定結果を表1に示す。これらの記載から、透明保護フィルムの表面を粗化することで光学積層体の干渉ムラを抑制できることが分かる。
Figure 2022168574000002
本発明は、偏光板分野で利用することができる。
1…光学積層体、2…偏光層、3…透明保護フィルム層、3a…透明保護フィルム層の表面、4…反射防止層。

Claims (7)

  1. 表示装置に用いられたときの視認側からの積層順として、反射率が1%以下である反射防止層、透明保護フィルム層及び偏光層がこの順に積層されてなる光学積層体であって、
    前記透明保護フィルム層と前記偏光層とは互いに直接積層されており、
    下記剥離加工方法により、前記透明保護フィルム層と前記偏光層とを剥離したとき、前記透明保護フィルム層の剥離面の下記算術平均粗さRa測定で求められる算術平均粗さRaが、0.01μm以上である、光学積層体。
    <剥離加工方法>
    前記偏光層側をガラス板に貼合する。前記透明保護フィルム層と、前記偏光層との間にカッター刃を入れて前記透明保護フィルム層を前記偏光層からわずかに浮上がらせ、浮き上がった前記透明保護フィルムをピンセットで摘まんで少しずつ剥離する。
    <算術平均粗さRa測定>
    測定装置 :白色干渉計
    対物レンズ :5倍(倍率)
    スキャンレンジ :-30μm~10μm
    視野サイズ :640μm×480μm
    測定モード :Waveモード
    面補正 :4次処理
  2. 前記算術平均粗さRaが0.1μm以下である請求項1記載の光学積層体。
  3. 前記透明保護フィルム層が、アクリル系樹脂又はセルロース系樹脂を含むものである請求項1又は2記載の光学積層体。
  4. 前記透明保護フィルム層の厚さが5μm~30μmである請求項1~3のいずれか一項記載の光学積層体。
  5. 前記偏光層の厚さが5μm~20μmである請求項1~4のいずれか一項記載の光学積層体。
  6. 透明保護フィルム層の片側表面の算術平均粗さRaが0.01μm以上となるように粗化する表面粗化工程と、
    粗化した前記透明保護フィルム層の表面を偏光層に向けて、前記透明保護フィルム層と前記偏光層とを互いに積層するように貼合する貼合工程と、を有する光学積層体の製造方法。
  7. 前記透明保護フィルム層が樹脂からなるものであり、
    前記表面粗化工程では、前記樹脂が可溶な溶剤に前記透明保護フィルム層の表面を接触させる、請求項6記載の光学積層体の製造方法。

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