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JP4135232B2 - ハードコートフィルムもしくはシート - Google Patents

ハードコートフィルムもしくはシート Download PDF

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JP4135232B2 JP30863598A JP30863598A JP4135232B2 JP 4135232 B2 JP4135232 B2 JP 4135232B2 JP 30863598 A JP30863598 A JP 30863598A JP 30863598 A JP30863598 A JP 30863598A JP 4135232 B2 JP4135232 B2 JP 4135232B2
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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラス等の光学部材に保護の目的で貼着されるプラスチックフィルム・シートに係わり、特に耐引っ掻き、擦り傷性が付与されたプラスチックフィルムに関する。具体的には、液晶表示装置、CRT表示装置、プラズマ表示装置、エレクトロクロミック表示装置、発光ダイオード表示装置、EL表示装置等、各種表示装置の画面保護に適したハードコートフィルムもしくはシートに関する。さらに、本発明のハードコートフィルムもしくはシートは、赤外吸収効果、赤外反射効果、電磁波シールド効果、帯電防止効果、紫外線吸収効果、反射防止効果、反射強調効果等の各種機能を有する無機質材を中心に構成される機能性薄膜を表面に設けたハードコートフィルムもしくはシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示装置、CRT表示装置、その他商業用のディスプレイ、レンズ、ミラー、窓ガラス、ゴーグル等の光学部材には、耐引っ掻き性、擦り傷性を有する透明性プラスチックフィルムが貼着される場合が多い。一般的にプラスチック表面を硬質化する技術としては、オルガノシロキサン系、メラミン系等の熱硬化性樹脂をコーティングしたり真空蒸着法やスパッタリング法等で金属薄膜を形成する方法、あるいは多官能アクリレート系の活性エネルギー線硬化性樹脂をコーティングする。近年このような方法の中で、大面積の加工が容易で生産性に優れる活性エネルギー線硬化性樹脂を採用する場合が多い。しかしながら、これらのいずれの方法もハードコート層と基材間の密着、フィルム折り曲げ時のクラック、フィルムのカール等が実用的に問題ない範囲内で、実現できるハードコートプラスチックフィルムもしくはシートでの鉛筆硬度値は2Hから3Hが限界となる場合が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、支持体である透明プラスチックフィルムもしくはシート基材上にハードコート層を形成したハードコートフィルムもしくはシートにおいて、ハードコート層と基材間の密着、フィルム折り曲げ時のクラック、フィルムのカール等を実用的に許容できる範囲内で、4H以上の鉛筆硬度値を有するハードコートフィルムもしくはシートを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するため、まず請求項1においては、
透明プラスチックフィルムもしくはシート基材の少なくとも一方の面に硬化樹脂被膜層を設けたハードコートフィルムであって、
前記硬化樹脂被膜層が、前記基材上に第1のハードコート層としてビッカース硬度が10から400の範囲を満たす硬化樹脂層と第2のハードコート層としてビッカース硬度が8から300の範囲を満たす硬化樹脂層とをこの順に設けた2層構成の硬化樹脂被膜層からなり、且つ、
前記第1のハードコート層のビッカース硬度が前記第2のハードコート層のビッカース硬度より大きい
ことを特徴とするハードコートフィルムもしくはシートである。
【0005】
また、請求項2記載の発明は、
請求項1記載のハードコートフィルムもしくはシートにおいて、前記第1のハードコート層及び第2のハードコート層に、無機の架橋超微粒子もしくは有機の架橋超微粒子を混入したことを特徴とする。
【0006】
また、請求項3記載の発明は、
請求項1又は2記載のハードコートフィルムもしくはシートにおいて、前記架橋超微粒子を、第1のハードコート層及び第2のハードコート層に対して5wt%から90wt%含有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項4記載の発明は、
請求項1乃至3記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシートにおいて、, 前記架橋超微粒子の平均粒子径が、0.01μm以上、5.0μm以下であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項5記載の発明は、
請求項1乃至4記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシートにおいて、前記第1のハードコート層の膜厚が、3.0μm以上、30μm以下、第2のハードコート層の膜厚が、1.0μm以上、20μm以下であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項6記載の発明は、
請求項1乃至5記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシートにおいて、前記第1のハードコート層及び第2のハードコート層の硬化樹脂被膜層が、紫外線もしくは電子線照射により架橋されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項7記載の発明は、
請求項1乃至6記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシートの表面に、機能性無機薄膜を設けたことを特徴とするハードコートフィルムもしくはシートである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
本発明に使用する透明プラスチックフィルムもしくはシート基材は、特に限定されるものではなく、公知の透明プラスチックフィルムもしくはシートの中から適宜選択して用いることができる。
具体例としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、アクリル、ナイロン、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン等のフィルムもしくはシートを挙げることができるが、本発明においては、特にトリアセチルセルロース、及び一軸延伸ポリエステルが透明性に優れていることに加えて、光学的に異方性が無い点で好ましい。
【0013】
また、本発明で用いられる硬化樹脂被膜層を形成する硬化型樹脂は、加工速度の速さ、支持体への熱のダメージの少なさから、特に活性エネルギー線(紫外線や電子線)硬化型樹脂を用いることが好ましい。このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等から合成されるような多官能性ウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。さらに、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も必要に応じて好適に使用することができる。
【0014】
また、上記樹脂の反応性希釈剤としては、比較的低粘度であるヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上のモノマー及びオリゴマー並びに単官能モノマー、例えばN−ビニルピロリドン、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びそのカプロラクトン変性物等の誘導体、あるいは、スチレン、α―メチルスチレン、アクリル酸等及びそれらの混合物、等を使用することができる。
【0015】
本発明において、上記樹脂を硬化する活性エネルギー線が紫外線である場合には、光増感剤(ラジカル重合開始剤)を添加する必要が有り、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及びアゾ化合物等が有る。これらは単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体などの光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。
上記の光増感剤(ラジカル重合開始剤)や光開始助剤の使用量は、前記樹脂組成物の重合性成分100重量部に対して0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部である。
【0016】
また、ハードコーコート層には、必要に応じて公知の一般的な塗料添加剤を配合することができる。例えばレベリング、表面スリップ性等を付与するシリコーン系、フッ素系の添加剤は硬化膜表面の傷つき防止性に効果が有ることに加えて、活性エネルギー線として紫外線を利用する場合は前記添加剤の空気界面へのブリードによって、酸素による樹脂の硬化阻害を低下させることができ、低照射強度条件下に於いても有効な硬度度合を得ることができる。上記塗料添加剤の添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対し0.01〜0.5重量部が適当である。
【0017】
本発明は、透明プラスチックフィルムもしくはシート基材の少なくとも一方の面に硬化樹脂被膜層を設けたハードコートフィルムであって、前記硬化樹脂被膜層が、前記基材上に第1ハードコート層としてビッカース硬度が10から400の範囲を満たす硬化樹脂層と第2ハードコート層としてビッカース硬度が8から300の範囲を満たす硬化樹脂層をこの順に設けてなることを特徴とする。
【0018】
第1及び第2のハードコート層を形成する方法は、特に限定されるものではないが、実用的には、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター等によるのが塗工方法によるのが、一般的である。
【0019】
本発明のおけるビッカース硬度とは、日本工業規格JIS Z 2244「ビッカース硬さ試験」において定義されているビッカース硬さを表わしている。
第1ハードコート層としてビッカース硬度が10から400の範囲を満たすことが特徴であり、ビッカース硬度が400より大きと加工適性が悪くなる。また、ビッカース硬度が10より小さいと硬化樹脂層が柔らかく、ハードコートとしての性能を発現できない。
また、第2ハードコート層としてビッカース硬度が8から300の範囲を満たすことが特徴であり、ビッカース硬度が300より大きと加工適性が悪くなる。また、ビッカース硬度が8より小さいと硬化樹脂層が柔らかく、ハードコートとしての性能を発現できない。
上記ビッカース硬度の範囲を満たすように、既に列挙した樹脂もしくは該樹脂2種以上の混合等による樹脂組成を適宜選択することによって、硬化樹脂層のビッカース硬度を調節、制御することができる。
【0020】
さらに、本発明は、第1ハードコート層及び第2ハードコート層に、無機の架橋超微粒子もしくは有機の架橋超微粒子を混入したことを特徴とする。
【0021】
上記架橋超微粒子としては、活性エネルギー線硬化樹脂中で良好な透明性を保持する微粒子であれば任意に使用することができる。
【0022】
無機微粒子としては、一般的に、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどからなる微粒子が挙げられるが、透明性の点でシリカ粒子、特に、例えばゾルゲル法によって合成された合成シリカ粒子等が好ましい。尚、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性の透明微粒子も帯電防止性の付与に係わらず必要に応じて用いることができる。
【0023】
また、有機微粒子としては、適度な架橋構造を有しており、活性エネルギー線硬化樹脂やモノマー、溶剤等による膨潤が少ない硬質な微粒子を用いることができる。例えば、粒子内部架橋タイプのスチレン系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、スチレン−イソプレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、上記の樹脂等を主成分とするミクロゲル等を使用することができる。
【0024】
また、本発明は、前記無機の架橋超微粒子もしくは有機の架橋超微粒子を、第1ハードコート層及び第2ハードコート層に対して5wt%から90wt%含有することを特徴とする。
架橋超微粒子の含有量が、5wt%より少ないと十分な硬度が得られず、また90wt%より多いと、むしろ逆に硬度が低下すると同時に、表面の平滑性が損なわれる。
【0025】
また、本発明は、前記無機の架橋超微粒子もしくは有機の架橋超微粒子の平均粒子径が、0.01μm以上、5.0μm以下であることを特徴とする。
平均粒子径が、5.0μmより大きと表面の平滑性が悪くなる。
【0026】
また、本発明は、第1ハードコート層の膜厚が、3.0μm以上、30μm以下、第2ハードコート層の膜厚が、1.0μm以上、20μm以下であることを特徴とする。
第1のハードコート層の膜厚が、3.0μm 以下の場合は、ハードコート層として必要な機械的特性(硬度、耐擦傷性)が著しく低下し、30μm 以上の場合は、密着性が著しく低下する。一方、同様に第2のハードコート層の膜厚が、1.0μm 以下の場合は、ハードコート層として必要な機械的特性(硬度、耐擦傷性)が著しく低下し、20μm 以上の場合は、密着性が著しく低下する。
【0027】
また、本発明は、前記第1ハードコート層及び第2ハードコート層の硬化樹脂被膜層が、紫外線もしくは電子線照射により架橋されていることを特徴とする。
【0028】
活性エネルギー線源として紫外線を使用する場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が一般的に使用される。また、電子線を利用して硬化する場合にはコックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有する電子線が利用できる。
【0029】
透明プラスチックフィルムもしくはシート基材に、第1ハードコート層として硬化後の所定厚さの膜厚を形成した後、活性エネルギー線照射によって完全硬化もしくは半硬化(ハーフキュア)させる。但し、半硬化とは塗膜の物性(硬さ、耐スリキズ性等)が完全に飽和に達していない段階の架橋塗膜を指すが、少なくとも塗膜表面のタックがない程度に硬化した塗膜の状態を意味する。次いで、前記第1ハードコート層上に第2ハードコート層を硬化後の膜厚が所定の厚さとなるように塗工した後、活性エネルギー線照射を加えることによって硬化する。この場合、第1ハードコート層がすでに完全硬化しているものであれば、第2ハードコート層のみの硬化となり、第1ハードコート層が半硬化状態である場合には、第1と第2ハードコート層の同時硬化となる。
【0030】
ハードコート層を形成する加工段階で、上記したように活性エネルギー線照射によって完全硬化もしくは半硬化(ハーフキュア)させることができるが、何れの場合も、活性エネルギー線硬化性樹脂に紫外線照射もしくは電子線照射を加えることによって硬化反応が完結して完全硬化せしめ、塗膜の物性(硬さ、耐擦り傷性等)が完全に飽和に達する段階の架橋塗膜を形成せしめ、本発明は、ハードコート層を構成する上記硬化樹脂被膜層を構成する、活性エネルギー線硬化性樹脂が紫外線もしくは電子線照射によって硬化反応が完結して形成された架橋構造を有することを特徴とする。
【0031】
本発明は、ハードコートフィルムもしくはシートの上に、機能性無機薄膜を設けたことを特徴とする。
【0032】
機能性無機薄膜とは、一例として赤外吸収効果、赤外反射効果、電磁波シールド効果、帯電防止効果、紫外線吸収効果、反射防止効果、反射強調効果等の各種機能を有する無機材質を中心に構成される機能性無機薄膜(AR等)を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0033】
ハードコート層の表面に、機能性無機薄膜の一例として反射防止層を形成する場合について説明する。
高屈折率層と低屈折率層を交互に、所定の光学膜厚nd(屈折率nと膜厚dの積)となるように積層する。高屈折率層は屈折率(nH )が1.8以上、好ましくは1.95以上であれば、また低屈折率層は屈折率(nL )1.6以下、好ましくは1.5以下であれば実用的に満足する反射防止効果を発現する。
高屈折率層としては、屈折率(nH )が1.80以上のものであれば特に限定されるものではないが、実用的には金属酸化物として酸化チタン、酸化ジルコニユウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジュウム、酸化セリユウム、酸化錫、酸化ニオブ、酸化イットリュウム、酸化イッテリビュウム、インジュウム・錫酸化物の何れか、或いはこれらを主材料とする混合物質を用いる。
一方、低屈折率層としては、屈折率(nL )1.6以下のものであれば特に限定されるものではないが、酸化珪素系、 弗化マグネシウム、弗化カルシウム、弗化バリウム等が使用できる。
【0034】
機能性無機薄膜の形成方法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の真空成膜プロセスによって形成することができが、特に限定されるものではない。
赤外吸収効果、赤外反射効果、電磁波シールド効果、帯電防止効果、紫外線吸収効果、反射強調効果等のその他の各種機能を有する公知公用の材料及び形成方法によって機能性無機薄膜を設けることもできる。
【0035】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明する。
【0036】
<実施例>
以下に実施例および比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、部および%は特に断りの無い限り重量基準である。
【0037】
第1ハードコート層
架橋微粒子としてコロイダルシリカ(平均粒子径:10〜20nm)を含有する紫外線硬化型の塗料組成物を、以下の処方にて第1ハードコート樹脂液として調達した。
・ペンタエリストールテトラアクリレート 60部
・Irgacure651(チバガイギー社製) 2部
・コロイダルシリカ(MEK-ST,平均粒子径:10〜20nm, 日産化学社製) 60部
・ 酢酸メチル 50部
【0038】
次に厚さ150μmのポリエステルフィルムの片面に、前記、紫外線硬化型の塗料組成物をワイヤーバーにて塗布し、溶剤分を蒸発させて厚さ8.2μmの塗布層を形成した後、塗膜側より高圧水銀ランプ(120W/cm2 )の紫外線を積算光量約200mJ/cm2 の条件で照射し、硬化処理することにより、第1ハードコート層を作製した。
【0039】
第2ハードコート層
・ペンタエリストールトリアクリレート 60部
・Irgacure651(チバガイギー社製) 2部
・コロイダルシリカ(MEK-ST,平均粒子径:10〜20nm, 日産化学社製) 60部
・酢酸メチル 50部
【0040】
次に前記、紫外線硬化した第1ハードコート層上に、上記組成の第2ハードコート層を熱乾燥後の膜厚が約8.9μmの塗布層を形成した後、塗膜側より高圧水銀UVランプ(120W/cm2 )の紫外線を積算光量約300mJ/cm2 の条件で照射し、硬化処理することによって、基材と第1及び第2ハードコートの3層から成るハードコートフィルムを得た。
【0041】
機能性無機薄膜層
機能性無機薄膜層の具体例として、導電性反射防止層を以下の構成、方法にて上記ハードコート層上に形成した。まず高屈折率層としてインジウム錫酸化物(ITO)をスパッタリング法により形成し、低屈折率層に酸化ケイ素からなる反射防止層をプラズマアシスト蒸着法により形成した。各層の屈折率、形状膜厚d、及び光学膜厚ndは、
PETフィルム (n=1.62)
ハードコート層 (n=1.52 d=約5μm)
1層目:ITO (nH=2.05 d=約58nm)
2層目:SiO2 (nL=1.46 d=約38nm)
3層目:ITO (nH=2.05 d=約125nm)
4層目:SiO2 (nL=1.46 d=約140nm)
とした。光学膜厚は、光学式の膜厚モニターにより監視し、目的光量値に達した時に成膜を止め所定の光学膜厚を得た。波長430〜680nmの範囲で反射率は1%以下であった。ハードコート層と導電性反射防止層との密着は良好であった。
【0042】
評価方法
上記の方法で得られたハードコートフィルム、及び導電性反射防止機能付きハードコートフィルムについて、下記の測定方法により評価した。
【0043】
鉛筆硬度
異なる硬度の鉛筆を用い、1Kg荷重下でJISK5400で示される試験法での傷の有無を判定した。
【0044】
耐擦傷性
#0000のスチールウールにより、ハードコート膜の表面を400gの荷重をかけながら10回摩擦し、傷の発生の有無及び傷の程度を目視により観察し、以下の判定基準に従って評価した。
A:傷の発生が全く認められない。
B:数本の細かい傷が認められる。
C:無数の傷が認められる。
【0045】
密着性
硬化被膜層表面にカッターによって1mm×1mmのクロスハッチ(升目)を100個入れ、その上にセロテープ(ニチバン社製)を貼り付けた後、該セロテープを剥がしたときに硬化被膜がフィルム基材から剥がれた升目の数を計測することで評価した。
【0046】
カール
ハードコートフィルム、及び導電性反射防止機能付きハードコートフィルムの標片を10cm角に切断し、反り及び寸法を測定して曲率半径を算出した。
【0047】
クラック
ハードコートフィルム、及び導電性反射防止機能付きハードコートフィルムを直径3cmの金属ロールに巻き付けたときのクラック発生の有無を目視により判定した。
【0048】
<比較例1>
実施例記載の第1及び第2ハードコート処方に架橋微粒子であるコロイダルシリカを配合せず、クリア樹脂分のみの組成とした。第1及び第2ハードコート層の紫外線硬化条件、機能性無機薄膜層の形成方法及び条件等は実施例と同一とした。第1及び第2ハードコート層の膜厚はそれぞれ8.1μm、8.7μmであった。
【0049】
<比較例2>
実施例記載の第2ハードコート層を設けず、第1ハードコート層のみを膜厚16.7μmとして設けた。第1ハードコート層の紫外線硬化条件、機能性無機薄膜層の形成方法及び条件等は実施例と同一とした。
【0050】
<比較例3>
実施例記載の第1ハードコート層を設けず、第2ハードコート層のみを膜厚17.0μmとして設けた。第2ハードコート層の紫外線硬化条件、機能性無機薄膜層の形成方法及び条件等は実施例と同一とした。
【0051】
評価結果
上記、実施例及び比較例のハードコート層構成、膜厚、硬度を表1にまとめて示す。
表2にハードコート層のみの鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、カール、クラックの評価結果を示し、表3にハードコート層上に導電性反射防止層を設けた形態での鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、カール、クラック評価結果を示す。
【0052】
【表1】
Figure 0004135232
【0053】
【表2】
Figure 0004135232
【0054】
【表3】
Figure 0004135232
【0055】
実施例で示した架橋微粒子を含有する第1及び第2ハードコートといった2層構成では、鉛筆硬度が4Hを実現し、且つ密着、耐擦傷、カール、クラック等も実用的に問題なく満足し、硬度と他物性とのバランスが良好であった。さらに本ハードコート上に機能性無機薄膜の具体例として、導電性反射防止層を設けても性能にほとんど変化が無く、良好な機械的物性を達成した。
【0056】
比較例1では、4Hの鉛筆硬度は実現するものの、架橋微粒子の硬化収縮緩和効果がない為、密着、カール、クラックに関して満足しなかった。
【0057】
比較例2では、ビッカース硬度の高さからもわかるようにかなりの高硬度であるが、反面脆いことから鉛筆硬度が低下し、3Hの水準であった。
【0058】
比較例3では、4Hの鉛筆硬度は実現するものの、密着に関して満足しなかった。
【0059】
【発明の効果】
既に詳細に説明したように、本発明のハードコートフィルムもしくはシートにおいて、 架橋微粒子の配合による硬化収縮緩和機能有する2種のハードコート層を2層に積層することによって、ハードコートと基材間の密着、フィルム折曲げ時のクラック、フィルムのカール等を実用的に許容できる範囲内に収めることができ、且つ4H以上の鉛筆硬度値を実現し、耐引っ掻き性、耐擦り傷性の優れたハードコートフィルムもしくはシートが得られる。
さらに、上記ハードコートフィルムもしくはシートの表面に、一例として表面硬度に優れる反射防止機能等の種々の光学機能を付与する無機薄膜を形成することにより、光学分野の広い範囲の用途展開が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハードコートフィルムもしくはシートの層構成を示す断面図
【符号の説明】
1――プラスチックフィルムもしくはシート基材
2――第1ハードコート層
3――第2ハードコート層
4――無機の架橋微粒子もしくは有機の架橋微粒子

Claims (7)

  1. 透明プラスチックフィルムもしくはシート基材の少なくとも一方の面に硬化樹脂被膜層を設けたハードコートフィルムであって、
    前記硬化樹脂被膜層が、前記基材上に第1のハードコート層としてビッカース硬度が10から400の範囲を満たす硬化樹脂層と第2のハードコート層としてビッカース硬度が8から300の範囲を満たす硬化樹脂層とをこの順に設けた2層構成の硬化樹脂被膜層からなり、且つ、
    前記第1のハードコート層のビッカース硬度が前記第2のハードコート層のビッカース硬度より大きい
    ことを特徴とするハードコートフィルムもしくはシート。
  2. 前記第1のハードコート層及び第2のハードコート層に、無機の架橋超微粒子もしくは有機の架橋超微粒子を混入したことを特徴とする請求項1記載のハードコートフィルムもしくはシート。
  3. 前記架橋超微粒子を、第1のハードコート層及び第2のハードコート層に対して5wt%から90wt%含有することを特徴とする請求項1又は2記載のハードコートフィルムもしくはシート。
  4. 前記架橋超微粒子の平均粒子径が、0.01μm以上、5.0μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシート。
  5. 前記第1のハードコート層の膜厚が、3.0μm以上、30μm以下、第2のハードコート層の膜厚が、1.0μm以上、20μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシート。
  6. 前記第1ハードコート層及び第2ハードコート層の硬化樹脂被膜層が、紫外線もしくは電子線照射により架橋されていることを特徴とする請求項1乃至5記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシート。
  7. 請求項1乃至6記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシートの表面に、機能性無機薄膜を設けたことを特徴とするハードコートフィルムもしくはシート。
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