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JP5824618B2 - シリコン基板 - Google Patents

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Description

本発明は、微小の四角状の凹凸が波紋形状に形成された面を有するシリコン基板に関する。
太陽電池は表面に入射した太陽光などの光エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。この電気エネルギーへの変換効率を向上させるため、従来から様々な試みがなされてきた。そのひとつに基板の表面に入射した光の反射を少なくする技術があり、入射した光の反射を低減することで電気エネルギーヘの変換効率を高めることができる。
そのため、シリコン太陽電池(光電変換素子)などにおいて、シリコン基板の受光面にテクスチャと称される凹凸形状を設けて、入射光の反射を抑え、かつシリコン基板に取り込んだ光を外部に漏らさないようにしている。
シリコン基板の表面へのテクスチャ形成は、一般的にアルカリ(KOH)水溶液をエッチャントとするウェットプロセスにより行われている(特許文献1を参照)。ウェットプロセスによるテクスチャ形成を行った後、後処理としてフッ化水素による洗浄工程や、熱処理工程などが必要とされる。
一方で、シリコン基板の表面へのテクスチャ形成をドライプロセスにて行う方法も提案されている。例えば、1)プラズマによる反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)といわれる手法を用いる方法、2)シリコン基板のある大気圧雰囲気下の反応室に、ClF3,XeF2,BrF3およびBrF5のいずれかのガスを導入することで、シリコン基板表面をエッチングする方法が提案されている(特許文献2及び特許文献3を参照)。
更に、太陽光をより効率的にシリコン基板に取りこむために、太陽光の受光面側にあった電極や電極と配線の接合部を受光面と反対側の面に配置することで、太陽電池の変換効率を向上させる方法が提案されている(特許文献4参照)。
いずれの場合も、テクスチャ形成後の基板は、フッ酸等の薬液と純水により洗浄を行っている。
特開2006−344765号公報 特開2003−197940号公報 特開平10−313128号公報 特開2008−186927号公報
近年、太陽電池の低コスト化を目指し、更に光を電気に変換する時の高変換効率化のため、シリコン基板に到達した光のさらなる利用効率の向上、テクスチャ形成含めた洗浄の低コスト化が必須となっている。
前述の通り、ウェットプロセスによりテクスチャ形成を行った場合、大量の薬液や純水を使用し、テクスチャ形成後の洗浄に大量の純水を使用するため、薬液排水処理費用がかかるため、太陽電池用の基板製造としてコスト面で不利となる場合があった。
また前述の通り、シリコン基板表面のテクスチャの形成をドライプロセスにて行う方法も提案されている。しかしながら、反応ガスがシリコン基板と過剰な発熱反応を起こし当該手法によっては、所望のテクスチャ構造が得られない場合や、またエッチング時にプラズマでガスを活性化させる環境下にシリコン基板を晒す場合に、シリコン基板表面にプラズマダメージが入り、光から電気への変換効率を十分に確保できない場合もある。
そのためダメージを回復させる工程を追加、基板洗浄は、ウェットプロセスにより実施しているため、薬液や薬液排水処理費用が高コストとなっている。
前述の通り、光の入射面と反対側に電極を設けることで、光をさえぎる部分をなくし、光の利用効率をあげる構造も提案されている。この様な裏面電極構造を形成する場合は、電極形成面に1μm以上の凹凸がある場合は、配線形成時に所望の配線幅が形成できないため、配線形成面にテクスチャエッチングマスクとして、酸化ケイ素膜や窒化珪素膜をあらかじめ形成し、その後、ウェットプロセスでテクスチャを形成後、テクスチャマスクを除去し裏面を平坦にしている。
そのため、ウェットプロセスにより実施している薬液や薬液排水処理費用が高コストとなっているのみならず、裏面が平坦なため入射した光が裏面から透過してしまい、有効に活用されない。
太陽電池の高効率化には、従来の光入射面のテクスチャ構造のみでは不十分であり、より光を有効利用できるシリコン基板(詳しくは流通量の多い(100)基板)をより安価に作成することが必須となってきている。
そこで本発明は、光利用効率の向上のため、テクスチャ構造を有する基板面方位(100)のシリコン基板に、ガスエッチング法によって高品質な洗浄することで、テクスチャと反対面側に新しい形状を有するシリコン基板を安価に製造し提供することを目的とする。また、それを含む太陽電池を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、以下に示すシリコン基板に関する。
〔1〕基板面方位(100)のシリコン基板であって、一面にテクスチャを有しており、テクスチャが形成される面の反対側の他面に複数の凹凸の集合体により微小の四角状の凹凸が波紋形状に形成され、かつ、前記凹部の深さは10〜200nmである、シリコン基板。
〔2〕上記〔1〕において、波紋形状に形成される凹凸の深さが、10nm〜100nmの範囲にある、シリコン基板。
〔3〕上記〔1〕または〔2〕において、他面における前記凹凸の密度は、10〜100000個/100μm2である、シリコン基板。
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕の何れかにおいて、前記シリコン基板への入射光(波長0.5〜10μm)の吸光率が80%以上である、シリコン基板。
本発明のシリコン基板は、微小の四角状の凹凸が波紋形状に形成された面に加え、更にテクスチャ形成面を有しており、その反射率が低い。よって、テクスチャ形成面を受光面とすることで、テクスチャのみの構造より微小の四角状の凹凸が波紋形状で更に光をシリコン基板に閉じ込めることで太陽電池用のシリコン基板として好適に用いられる。
更に、本発明の微小の四角状の凹凸が波紋形状は微細構造からなるので、シリコン基板を薄くすることができ、シリコン基板の材料効率を高めることができ、加えて、デバイス設計の自由度を高めることも可能である。
本発明のシリコン基板の微小の四角状の凹凸が波紋形状面の例を示す電子顕微鏡写真 シリコン基板をドライエッチングしたが、所望の微小の四角状の凹凸が波紋形状面が得られなかった例を示す図 実施例で用いたシリコン基板製造装置の概要を示す図 (A)は、基板面方位(100)のシリコン基板においてテクスチャが形成される面とは反対の面に微小凹凸面を形成していない基板(参考例)および同シリコン基板の反対面に微小凹凸面を有する基板(実施例1)の反射率を示す図。(B)は、基板面方位(100)のシリコン基板においてテクスチャが形成される反対の面に微小凹凸面を形成していない基板(参考例)および同シリコン基板の反対面に微小凹凸面を有する基板(実施例1)における吸光率を示す図
1.テクスチャおよび微小の四角状の凹凸が波紋形状の形成面を有するシリコン基板について:
本発明のシリコン基板は、基板表面にテクスチャおよび微小の四角状の凹凸が波紋形状に形成されていることを特徴とする。テクスチャが形成された基板表面を、テクスチャ形成面、微小の四角状の凹凸が波紋形状に形成された面を微小凹凸面という。
シリコン基板は、単結晶シリコンであることが好ましく;p型ドーピングされていてもよいし、n型ドーピングされていてもよし、真性シリコンであってもよい。何れにしても、シリコン基板は、基板面方位(100)のシリコン基板である。
本発明の微小凹凸面を有するシリコン基板の特徴の一つは、シリコン基板面方位(100)であることである。これまでのウェット法による基板面方位(100)のシリコン基板の洗浄では、シリコン基板に微小の四角状の凹凸が波紋形状に形成することはできず、表面の有機成分や汚れを除去するのみであった。
微小凹凸面とは、光の低反射表面を意味する。低反射表面とは、0.5〜1.0μmの波長の光に対する鏡面の反射率を100%とした場合の反射率が、約20%以下の表面であることが好ましく、10%以下の表面であることがより好ましく、実質的に反射率が0%の表面をいう。
また、本発明の微小凹凸面を有するシリコン基板の吸光率(波長領域0.5〜1.0μm)は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。吸光率は、積分球分光光度計にて測定することができ;式「吸光率(%)=100×{入射光強度−(反射光強度+透過光強度)}/入射光強度」で求めることができる。
具体的に本発明の微小凹凸面は、波状の模様として観察でき(図1参照)、凹部の深さは通常10nm〜200nmであり、好ましくは10nm〜100nmである。
本発明の微小凹凸面を有するシリコン基板の特徴の一つは、テクスチャ面の反対側の面に凹凸部が構成されていて深さが10nm〜200nm以下であることである。
テクスチャエッチングマスクとして、酸化ケイ素膜や窒化珪素膜を予め形成し、その後、ウェットプロセスでテクスチャを形成後、テクスチャマスクを除去する。ウェット洗浄を行った場合、テクスチャの反対面はほぼ平坦できる。
テクスチャエッチングマスク無しでウェットエッチング法で形成された場合、例えばウェットエッチング法で形成されたテクスチャの突起部の高さは10〜20μmとなり、テクスチャ形成面と反対側に、本発明のように微小凹凸面は形成できなかった。
微小凹凸面の構造が微細であるほど、微小凹凸面での光の反射は抑制され、更に、その反対面に微小な凹凸部があれば反対面でも光の反射を抑制し光をシリコン基板内に閉じ込めることができる。例えば、微小凹凸面の加工精度を200nm以下とすれば、微小凹凸面での波長200nmの光の反射をほぼ0にすることができる。
本発明の微小凹凸面を有するシリコン基板の更なる特徴は、シリコン基板を薄くすることができることである。テクスチャを有するシリコン基板の反対面の微小凹凸面が微細であるが故に、シリコン基板厚みを低減しても基板を通過する光を反射して基板内に閉じ込めることが可能となり基板を薄くすることができる。
本発明のシリコン基板の厚みは、凹部の深さを含めて、150μm以下とすることができ、好ましくは100μm以下とすることができ、より好ましくは50μm以下である。シリコン基板の厚みの下限は特に限定されず、基板としての強度を保つことができればよく、通常は10μm以上である。
微小凹凸面における凹凸部の密度は、単位面積(100μm2)当たり10〜100000個であることが好ましい。また、シリコン基板表面の全面に微小凹凸面が形成されていてもよく、その一部に微小凹凸面が形成されていてもよい。
例えば、本発明のシリコン基板を太陽電池用のシリコン基板として用いる場合に、受光面側に配置する表面電極(コネクタ電極,バー電極,グリッド電極などを含む)を配置する領域には、微小凹凸面を形成することなく、平坦状にされていることが好ましい。
本発明の微小凹凸面を有するシリコン基板の更なる特徴は、裏面接合型太陽電池の効率を更に向上させることである。裏面接合型太陽電池は、受光面と反対側にp型電極、n型電極が配置されていて、従来の受光面に電極が配置されている太陽電池よりも、配線幅分、光を多く取り込める構造となっている。
シリコン基板にn型拡散領域とp型拡散領域を形成したり、配線工程を行う際、フォトリソや印刷方法を用いて形成するが、n型拡散領域、p型拡散領域が接触してしまうとリークが起こり、太陽電池の特性に悪影響を及ぼすので接触が起こらないように間隔を開ける。しかし、間隔を開けすぎシリコン基板の露出部分が大きくなりすぎると、これも太陽電池の特性を低下させる要因となるため、n型拡散領域とp型拡散領域は10〜200μm程度間隔を開ける必要があるため、配線側は平坦な構造が必要で、光が基板から抜け出てしまうことがあった。
しかしながら本発明のシリコン基板は配線側に、配線の加工精度を保持できるよう微小凹凸面を形成しているため、シリコン基板裏面側からも光を反射できるため、裏面電極構造太陽電池の効率を更に向上できることができる。
2.微小凹凸面を有するシリコン基板の製造方法について:
本発明のシリコン基板の製造方法は、ノンプラズマでシリコン基板を処理する点が特徴である。そのうえで、テクスチャを有する基板面方位(100)のシリコン基板を用意するステップと、シリコン基板にエッチングガスを吹き付けるステップとを含む。好ましくは、シリコン基板に冷却ガスを吹き付けるステップを更に含み;エッチングガスを吹き付けるステップと冷却ガスを吹き付けるステップとを交互に繰り返してもよい。
基板面方位(100)のシリコン基板とは、主面方位が(100)面である単結晶シリコン基板である。シリコン基板は半導体ウェハであってもよいし、他の基板に積層された半導体層であってもよい。何れにしても、主面方位である(100)面にテクスチャを形成した基板の裏面に微小凹凸面を形成する。
また、用意するシリコン基板は、真性シリコンであってもよく、p型またはn型にドーピングされたシリコンであってもよい。太陽電池用のシリコン基板を得る場合には、p型にドーピングされたシリコン基板を用意することが多い。
シリコン基板へのエッチングガスの吹き付けは、大気圧〜80KPaの減圧条件下にて行われることが好ましい。更に30KPa以下であることが好ましく、20KPa以下であることがより好ましく、10KPa以下であることが更に好ましく、50Pa以下であってもよい。より低圧条件下でエッチングを行うほど緻密な形状が得られるが、圧力が高いほうが微細な形状が得られやすい。
エッチングガスには、少なくともClF3,XeF2,BrF3,BrF5およびNF3のうちの少なくとも一つのガス(「フッ素含有ガス」とも称する)を含む。エッチングガスに含まれるフッ素含有ガスは、これらのガスの2種以上の混合ガスであってもよい。
更に、エッチングガスには、フッ素含有ガスとともに、その分子内に酸素原子を含有するガスが含まれていることが好ましい。酸素原子を含有するガスとは、典型的には酸素ガス(O2)であるが、二酸化炭素(CO2)や二酸化窒素(NO2)などであってもよい。
フッ素含有ガスの分子は、シリコン基板の表面に物理吸着して、エッチングサイトに移動する。エッチングサイトに到達したガス分子は分解し、シリコンと反応して揮発性のフッ素化合物を生成する。それにより、テクスチャが形成されている面と反対側の面のシリコン面がエッチングされ、微小凹凸面が形成される。
エッチングガスには、フッ素含有ガスとともに、更に不活性ガスが含まれていることが好ましい。不活性ガスとは、窒素ガス、アルゴンやヘリウムなどであり、シリコンとの反応性を有さないガスであればよい。エッチングガスに含まれる不活性ガスは、2種以上のガスの混合ガスであってもよい。
エッチングガスにおける不活性ガスの合計濃度(体積濃度)は、フッ素含有ガスの合計濃度に対して、3倍以上であることが好ましく、10倍以上または20倍以上であってもよい。エッチングガスにおけるフッ素含有ガスの合計濃度が高いほど、凹凸部が大きくなる(凹部の深さが大きくなる)傾向がある。よって、凹部を小さくしたい場合には、不活性ガスの濃度を高めてフッ素含有ガスの濃度を相対的に下げることが好ましい。
エッチングガスにおける不活性ガスの濃度が低く、フッ素含有ガスの濃度が相対的に高くなると、シリコン基板表面を等方的にエッチングしやすくなる場合があり、シリコン基板表面に所望の微小凹凸面を形成しにくいことがある。
エッチングガスにおけるフッ素含有ガスの濃度(体積濃度)は、1%以上、10%以下であることが好ましく、2%以上5%以下であることがより好ましい。また、エッチングガスにおける酸素原子含有ガスの濃度(体積濃度)は、フッ素含有ガスと不活性ガスとの合計濃度に対して、4〜40%であることが好ましい。エッチングガスにおける酸素原子含有ガスの濃度(体積濃度)は、フッ素含有ガスの合計濃度の3倍〜10倍であることが好ましい。エッチングガスにおける酸素原子含有ガスの濃度が低すぎると、オーバーエッチングによって所望の微小凹凸面が得られない場合がある。
エッチングガスに酸素原子含有ガスを含ませることで、太陽電池の性能を更に向上させる微小凹凸面を、半導体基板表面に形成することができる。その理由は、特に限定されないが、例えばClF3ガスがシリコン表面に物理吸着すると、シリコンと反応してSiF4となってガス化する。このとき、シリコンネットワーク構造のダングリングボンドに酸素原子がターミネートすることで、Si−O結合が部分的に構成される。それにより、エッチングされやすい領域(Si−Si)と、エッチングされにくい領域(Si−O)とができる。そのエッチングレートの差でケミカルな反応が促進されると考えられる。
エッチングガスの基板表面への吹き付け圧力を高めると、得られる微小凹凸面の表面を、階段状にしたり、多層状にしたりすることができる場合がある。吹き付け圧力を高めるには、例えば、基板表面とエッチングガスの噴出し口との間隔を狭くしたり、吹き付けるエッチングガスの流速を高めたりすればよい。
本発明のシリコン基板の製造方法では、エッチング中のシリコン基板の温度を低温に維持することが重要である。シリコン基板の温度は、50℃以上150℃の範囲にすることが好ましい。更に130℃以下に維持することが好ましく、100℃以下に維持することがより好ましく、80℃以上に維持することが更に好ましい。シリコン基板の温度を低温に維持するために、シリコン基板を載置するステージの温度を室温程度(25℃)以下に維持することが好ましい。
前記の通り、本発明のシリコン基板の製造方法は、シリコン基板に冷却ガスを吹き付けるステップを含んでいてもよい。冷却ガスとは、前述の不活性ガスと同様であり、窒素ガス、アルゴンやヘリウムなどを意味する。エッチングガスとの反応によって発熱したシリコン基板に冷却ガスを吹き付けることによって、発熱した基板を冷却する。
本発明のシリコン基板の製造方法において、シリコン基板にエッチングガスを吹き付けるステップと、冷却ガスを吹き付けるステップとを交互に繰り返してもよい。シリコン基板にエッチングガスを吹き付けるステップのプロセス時間を制御することで、基板温度を低温に維持する。プロセス時間は特に限定されないが、1分間〜10分間程度であればよい。シリコン基板にエッチングガスを吹き付けるステップの後に、冷却ガスを吹き付けて基板温度を低下させて、再びシリコン基板にエッチングガスを吹き付ければよい。
エッチングガスによって、シリコン基板表面に微小凹凸面が形成されたら、シリコン基板に残存したエッチングガスまたはその分解物を除去することが好ましい。例えば、シリコン基板を水素ガス雰囲気下において、残留したフッ素成分を除去してもよい。
テクスチャが形成された面と反対面に微小凹凸面が形成されたシリコン基板を、フッ硝酸の溶液で洗浄することで、シリコン表面(テクスチャ面および微小凹凸面)の酸化膜がエッチングされ、更に表面が活性化されたシリコン基板を形成してもよい。洗浄液はアルカリ溶液でも可能で例えば水酸化ナトリウムを使用することができる。
3.テクスチャおよび微小の四角状の凹凸が波紋形状の形成面を有するシリコン基板の用途について:
このように、本発明のシリコン基板は、太陽電池用のシリコン基板として用いられることが好ましい。太陽電池用のシリコン基板とするには、シリコン基板のテクスチャ形成面にエミッタ層を形成してpn接合を形成することが好ましい。
例えば、p型シリコン基板にテクスチャ形成面を形成した場合には、オキシ塩化リンガス雰囲気中でテクスチャ形成面を加熱して、テクスチャ形成面にn型エミッタ層を形成し、pn接合を形成する。更に、エミッタ層に反射防止層を積層することで、太陽電池としての反射率を更に低下させることができ、光電変換率が向上する。反射防止層とは、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化チタン膜などでありうる。
更に、テクスチャ形成面である受光面に表面電極を配置し、非受光面の微小凹凸面に裏面電極を配置することで、太陽電池が得られる。もちろん、太陽電池の態様が上述したものに限定されるわけではない。
図3には、実施例で用いた微小凹凸面形成装置の概要が示される。
図3Aは、微小凹凸面形成装置10の外観斜視図であり;図3Bは、減圧チャンバ20内を透視した斜視図である。図3ABに示される微小凹凸面形成装置10は、減圧チャンバ20内に、エッチングガスを噴出するノズル30と、冷却ガスを噴出するノズル40と、シリコン基板100を載置するためのステージ50と、を有する。
ノズル30は、エッチングガス供給配管31に接続しており;ノズル40は、冷却ガス供給配管41に接続している。ステージ50に載置されたシリコン基板100に、エッチングガスと冷却ガスとを吹き付けることで、微小凹凸面形成面を有するシリコン基板を製造した。
[実施例1]
図3に示される微小凹凸面形成装置10のステージ50に、テクスチャが形成された基板面方位(100)のシリコン基板100を載置した。
ノズル30とシリコン基板100との間隔を10mmにセットした。テクスチャが形成された基板面方位(100)のシリコン基板100の基板面の面積は、125mm×125mmである。ステージ50の温度を25℃に設定した。減圧チャンバ20内の圧力を90KPaに調整した後、ノズル30からのエッチングガスを3分間かけて、テクスチャが形成された基板面方位(100)のシリコン基板100のテクスチャと反対面に吹き付けた。
吹き付けたエッチングガスの組成は「ClF3/O2/N2=50〜1000cc/3500cc/1000〜5000cc」とした。次に、エッチングガスを吹き付けたシリコン基板をフッ硝酸溶液に5分浸漬した。
得られたシリコン基板の微小凹凸面形成面を図1に示す。図1に示される通り、その凹部の深さは、10nm〜200nmであることがわかる。
[比較例1]
図3に示される微小凹凸面形成装置10のステージ50に、テクスチャを形成された基板面方位(100)のシリコン基板100を載置した。
テクスチャが形成された基板面方位(100)のシリコン基板100の基板面の面積は、125mm×125mmである。ステージ50の温度を80℃に設定した。減圧チャンバ20内の圧力を90KPaに調整した後、ノズル30からのエッチングガスを3分間かけて、テクスチャが形成された基板面方位(100)のシリコン基板100のテクスチャと反対面に吹き付けた。吹き付けたエッチングガスの組成は「ClF3/O2/N2=500cc/0cc/2000〜5000cc」とした。
得られたテクスチャが形成された基板面方位(100)のシリコン基板の反対面の形状を、図2に示す。図2に示されるように、シリコン基板表面が粗面化されているものの、形状が乱れており、微小凹凸面を形成できていない。これは、シリコン基板の温度を低温に維持できなかったためであると考えられる。
実施例1で得られたテクスチャを有するシリコン基板の反対面に微小凹凸面を有する基板の反射率と吸光率とを測定した。また、参照例として、テクスチャを形成した基板面方位(100)のシリコン基板で反対面に微小凹凸面を形成していない基板の反射率と吸光率とを測定した。反射率および吸光率の測定は、積分球分光光度計(U4000,日立ハイテクフィールディング)で行った。
図4Aは、テクスチャを形成した基板面方位(100)のシリコン基板で反対面に微小凹凸面を形成していない基板(参考例)および実施例1で得たテクスチャを有するシリコン基板の反対面に微小凹凸面を有する基板における反射率を示すグラフである。また、図4Bは、テクスチャを形成した基板面方位(100)のシリコン基板で反対面に微小凹凸面を形成していない基板(参考例)および実施例1で得たテクスチャを有するシリコン基板の反対面に微小凹凸面を有する基板における吸光率を示すグラフである。
図4Aおよび図4Bに示されるように、実施例1のテクスチャを有するシリコン基板の反対面に微小凹凸面を有する基板の反射率(波長500nm〜1000nm)は20%以下に抑制されており、かつ吸光率(波長500nm〜1000nm)は80%以上にまで高められている。
本発明のシリコン基板はテクスチャを有するシリコン基板の反対面に微小凹凸面を有しており、その反射率が低い。しかも、テクスチャを有するシリコン基板の反対面に微小凹凸面を有するシリコン基板は、従来よりも光閉じ込め効率が高い。よって、テクスチャを有するシリコン基板の反対面に微小凹凸面を有することで、太陽電池用のシリコン基板として好適に用いられる。それにより、太陽電池の光電変換率の向上に寄与する。
10 微小凹凸面形成装置
20 減圧チャンバ
30 ノズル
31 エッチングガス供給配管
40 ノズル
41 冷却ガス供給配管
50 ステージ
100 シリコン基板

Claims (4)

  1. 基板面方位(100)のシリコン基板であって、
    光を受光する一面にテクスチャを有しており、該テクスチャが形成される面の反対側の他面に複数の凹凸の集合体により微小の四角状の凹凸部が波紋形状に形成され、かつ、
    前記凹凸部のうち凹部の深さが10〜200nmであること、
    を特徴とするシリコン基板。
  2. 前記波紋形状に形成される凹凸の深さは、10nm〜100nmの範囲にある、請求項1に記載のシリコン基板。
  3. 前記他面における前記凹凸の密度は、10〜100000個/100μm2である、請
    求項1または2に記載のシリコン基板。
  4. 前記シリコン基板への入射光(波長0.5〜10μm)の吸光率は80%以上である、請求項1〜3の何れか一項に記載のシリコン基板。
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