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JP5746833B2 - アルコール感が付与された非アルコール飲料およびその製造方法 - Google Patents

アルコール感が付与された非アルコール飲料およびその製造方法 Download PDF

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JP5746833B2 JP2010130529A JP2010130529A JP5746833B2 JP 5746833 B2 JP5746833 B2 JP 5746833B2 JP 2010130529 A JP2010130529 A JP 2010130529A JP 2010130529 A JP2010130529 A JP 2010130529A JP 5746833 B2 JP5746833 B2 JP 5746833B2
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Description

本発明は、アルコール感が付与された非アルコール飲料およびその製造方法に関する。
近年の健康志向の高まりの中でアルコール摂取量を自己管理する消費者が増加している。また、飲酒運転に対する罰則の強化など道路交通法の改正により、自動車等の運転に従事する者のアルコール摂取に対する関心が高まっている。このような中で、清涼飲料でありながらアルコール感のある飲料への需要が一段と高まっている。
特許文献1には、アルコールと有機酸を含む果汁および/または炭水化物を含む飲食品のアルコール感を増強させるために、ポリ−γ−グルタミン酸またはその塩を使用することが記載されている。しかし、特許文献1は、酸味物質と苦味物質とを組み合わせることにより非アルコール飲料にアルコール感を付与できることについては開示されていない。
特開2009−148268号公報
本発明者らは、非アルコール飲料に酸味付与物質と苦味付与物質とを特定の範囲で組み合わせて添加することにより、非アルコール飲料にアルコール感を付与できることを見出した(実施例1〜2)。すなわち、非アルコール飲料に酸味付与物質と苦味付与物質とを特定の範囲で組み合わせることにより、個々の酸味料や苦味料から感じる味からは全く想定できない「アルコール感」という味覚を付与することができた。このように非アルコール飲料にアルコール感を付与できたことは本発明者らにとって驚くべき知見であり、予想外の結果であった。これまでに、アルコールが全く含まれていない飲料にアルコール感を付与するという課題は全く想定されていなかった。本発明は、これらの知見に基づくものである。
本発明は、アルコール感が付与された非アルコール飲料とその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなるアルコール感が付与された非アルコール飲料であって、飲料中の酸味付与物質濃度が100〜5000ppmであり、飲料中の苦味付与物質濃度が0.1〜3.5ppmである、飲料。
(2)苦味付与物質と酸味付与物質との重量比が、1:100〜1:10000である、(1)に記載の飲料。
(3)酸味付与物質が、酒石酸、乳酸、酢酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、フィチン酸、グルコン酸、イタコン酸、およびα-ケトグルタル酸からなる群から選択される1種または2種以上の物質である、(1)に記載の飲料。
(4)苦味付与物質が、クワシン、ナリンジン、カフェイン、イソα酸、キニーネ、セスキテルペン、5’−デヒドロキシ−5’−メチルチオアデノシン、テオブロミン、ベルベリン、およびα−グルコシルナリンジンからなる群から選択される1種または2種以上の物質である、(1)に記載の飲料。
(5)酸味付与物質が、酒石酸、乳酸、酢酸、およびリン酸からなる群から選択される1種または2種以上の物質であり、かつ、苦味付与物質が、クワシン、ナリンジン、イソα酸、およびカフェインからなる群から選択される1種または2種以上の物質である、(1)に記載の飲料。
(6)非アルコール飲料中の酸味付与物質濃度を100〜5000ppmに調整し、また、非アルコール飲料中の苦味付与物質濃度を0.1〜3.5ppmに調整することを特徴とする、アルコール感が付与された非アルコール飲料の製造方法。
(7)非アルコール飲料中の酸味付与物質濃度を100〜5000ppmに調整し、また、非アルコール飲料中の苦味付与物質濃度を0.1〜3.5ppmに調整することを特徴とする、非アルコール飲料にアルコール感を付与する方法。
本発明によれば、アルコール感が付与された非アルコール飲料とその製造方法が提供される。本発明による飲料は、アルコールゼロ飲料であるにもかかわらず、アルコール感が感じられることから、アルコールゼロ飲料でありながらアルコール感のある飲料への需要に応えることができる点で有利である。
発明の具体的説明
定義
本発明において「非アルコール飲料」とは、酒税法上アルコール飲料とみなされない、アルコール度数1度未満の飲料を意味する。「非アルコール飲料」のうち、アルコールが全く含まれない、すなわち、アルコール含量が0重量%である飲料については特に「完全無アルコール」と表現することができる。
本発明において「酸味」とは、5種類の味覚(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)から構成される基本味の一つであり、酸により呈されるすっぱい味をいう。
本発明において「苦味」とは、5種類の味覚(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)から構成される基本味の一つであり、苦味付与物質により呈される味をいう。
本発明において「アルコール感」とは、アルコール飲料を飲んだ時に感じる後味の苦さや、アルコール特有の味の厚み等が、口中に広がり、味わいを感じる状態をいう。
本発明において「アルコール感が付与された飲料」とは、非アルコール飲料であっても「アルコール感」がある飲料を意味する。例えば、チューハイ風飲料、ワイン風飲料や、その他アルコール飲料との代替性がある飲料をいう。
本願明細書において「1ppm」は、0.0001重量/容量(weight/volume)%に相当する。
本発明による飲料
本発明による飲料は、典型的には、原飲料に、酸味付与物質と、苦味付与物質とを添加することにより製造することができる。本発明による飲料によれば、アルコールを含まない原飲料を使用することにより、アルコール成分を含まないが、アルコール感が付与された飲料を提供することができる。以下、原飲料、酸味付与物質、苦味付与物質について説明する。
[原飲料]
本発明による飲料を構成する原飲料は、非アルコール飲料でありながらアルコール感が付与された飲料を提供するという観点から、非アルコール飲料である。原飲料は、酸味付与物質濃度と苦味付与物質濃度を調整することによりアルコール感が付与されるような飲料であればよく、例えば、炭酸飲料、果汁入り飲料、野菜汁入り飲料、果汁および野菜汁入り飲料、茶飲料、牛乳、豆乳、乳飲料、ドリンクタイプのヨーグルト、コーヒー、ココア、栄養ドリンク、スポーツ飲料、飲用水(ミネラルウォーター等)等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。原飲料は、麦芽を使用しない非麦芽飲料であってもよい。麦芽とホップを使用しない非ビール様飲料であってもよい。
本発明において使用される原飲料は、好ましくは、炭酸飲料、果汁入り飲料である。
炭酸飲料とは、飲用に適した水に二酸化炭素を圧入したもの、すなわち、炭酸ガスを含む飲料を意味する。炭酸飲料には、甘味料、香料等を加えることもできる。
炭酸飲料における炭酸ガス圧は、20℃において測定した場合、例えば、0.1〜0.3MPa、好ましくは、0.13〜0.3MPaとすることができる。炭酸ガス圧は、例えば、国税庁所定の分析法に基づく、ビールのガス圧分析法によって測定できる(例えば、国税庁webページ: http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/sonota/070622/01.htm を参照)。具体的には、穿孔圧力計が使用できる容器に入った検体について、検体を時々振りながら20℃の水槽に30分間保った後、穿孔圧力計を取り付け、針を突き刺し軽く振って圧力を読むことにより測定することができる。また、市販の機械式炭酸ガス圧測定器を用いて測定することもできる。例えば、ガスボリューム測定装置(GVA-500、京都電子工業株式会社製)を用いてもよい。
果汁入り飲料や果汁および野菜汁入り飲料に用いられる果物としては、例えば、リンゴ、ミカン、ブドウ、バナナ、ナシ、ウメ、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、ライムが挙げられる。また、野菜汁入り飲料や果汁および野菜汁入り飲料に用いられる野菜としては、例えば、トマト、ニンジン、セロリ、キュウリ、スイカが挙げられる。
茶飲料とは、ツバキ科の常緑樹である茶樹の葉(茶葉)、または茶樹以外の植物の葉もしくは穀類等を煎じて飲むための飲料をいい、発酵茶、半発酵茶および不発酵茶のいずれも包含される。茶飲料の具体例としては、日本茶(例えば、緑茶、麦茶)、紅茶、ハーブ茶(例えば、ジャスミン茶)、中国茶(例えば、中国緑茶、烏龍茶)、ほうじ茶等が挙げられる。
乳飲料とは、生乳、牛乳等またはこれらを原料として製造した食品を主原料とした飲料をいい、牛乳等そのもの材料とするものの他に、例えば、栄養素強化乳、フレーバー添加乳、加糖分解乳等の加工乳を原料とするものも包含される。
本発明において使用される原飲料の製造に当たっては、後述の酸味付与物質、苦味付与物質以外に、通常の飲料の処方設計に用いられている糖類、香料、果汁、食品添加剤などを適宜添加することができる。本発明において使用される原飲料は、当業界に公知の製造技術を用いて製造することができ、例えば、「改訂新版ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参考とすることができる。
[酸味付与物質]
本発明による飲料を構成する酸味付与物質は、対象の原飲料に酸味を付与することができる物質を意味する。
本発明において使用される酸味付与物質は、苦味付与物質と組み合わせて、非アルコール飲料にアルコール感を付与することができ、また、本発明による飲料に、後述するような所定の酸味付与物質濃度を与えることができる。
酸味付与物質としては、例えば、酒石酸、乳酸、酢酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、フィチン酸、グルコン酸、イタコン酸、α-ケトグルタル酸等が挙げられる。酸味付与物質は、好ましくは、酒石酸、乳酸、酢酸、およびリン酸からなる群から選択される1種または2種以上の組み合わせであり、より好ましくは、酒石酸、乳酸、および酢酸からなる群から選択される1種または2種以上の組み合わせであり、さらにより好ましくは、酒石酸もしくは乳酸またはこれらの組み合わせである。
各種酸味付与物質を、苦味付与物質と組み合わせて使用した場合のアルコール感については以下の通りである。
Figure 0005746833
酸味付与物質は、単一成分として使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。酸味付与物質はそれぞれ飲用後の味の出現時間や出現香味が微妙に異なる。従って、例えば、渋味と収斂味などの刺激のある酒石酸とやや穏やかな底味に厚みのある乳酸とを組み合わせて用いることができる。酸味付与物質を2種以上組み合わせて使用する場合の酸味付与物質の量は、2種以上の各酸味付与物質の量を合計した量で表すことができる。
本発明において使用される酸味付与物質は、市販されているものを入手することができる。
本発明において使用される酸味付与物質は、公知の方法に従って製造することもできる。
飲料中の酸味付与物質濃度は、アルコール感を付与する観点から、100〜5000ppm、好ましくは、100〜4000ppm、より好ましくは、200〜4000ppm、さらに好ましくは、300〜3000ppm、さらにより好ましくは、300〜2000ppm、特に好ましくは、400〜1000ppmとなるように調整することができる。
飲料中の酸味付与物質濃度は、アルコール感を付与する観点から、苦味付与物質と酸味付与物質との重量比が、1:100〜1:10000、好ましくは、1:200〜1:5000、より好ましくは、1:200〜1:2000、さらにより好ましくは、1:200〜1:1000、特に好ましくは、1:300〜1:1000となるように調整することができる。
[苦味付与物質]
本発明による飲料を構成する苦味付与物質は、対象の原飲料に苦味を付与することができる物質を意味する。
本発明において使用される苦味付与物質は、酸味付与物質と組み合わせて、非アルコール飲料にアルコール感を付与することができ、また、本発明による飲料に、後述するような所定の苦味付与物質濃度を与えることができる。
苦味付与物質としては、例えば、クワシン、ナリンジン、カフェイン、イソα酸、キニーネ、セスキテルペン、5’−デヒドロキシ−5’−メチルチオアデノシン、テオブロミン、ベルベリン、α−グルコシルナリンジン等が挙げられる。苦味付与物質は、好ましくは、クワシン、ナリンジン、イソα酸およびカフェインからなる群から選択される1種または2種以上の組み合わせであり、より好ましくは、クワシンもしくはナリンジンまたはこれらの組み合わせである。なお、カテキンを除いた苦味付与物質を本発明において使用してもよい。
各種苦味付与物質を、酸味付与物質と組み合わせて使用した場合のアルコール感については以下の通りである。
Figure 0005746833
苦味付与物質は、単一成分として使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。苦味付与物質はそれぞれ飲用後の味の出現時間、出現香味が微妙に異なる。従って、例えば、先苦味のナリンジンと後苦味のクワシンを組み合わせて用いることができる。苦味付与物質を2種以上組み合わせて使用する場合の苦味付与物質の量は、2種以上の各酸味付与物質の量を合計した量で表すことができる。
本発明において使用される苦味付与物質は、市販されているものを入手することができる。
本発明において使用される苦味付与物質は、公知の方法に従って製造することもできる。
本発明において使用される苦味付与物質は、目的の苦味付与物質を含む植物等の抽出物(例えば、クワシンであればニガキ抽出物)を使用することもできる。
飲料中の苦味付与物質濃度は、アルコール感を付与する観点から、0.1〜3.5ppmまたは0.1ppmより大きく3.5ppm以下、好ましくは、0.1〜2.6ppmまたは0.1より大きく2.6ppm以下、より好ましくは、0.2〜2.6ppm、さらに好ましくは、0.2〜2.0ppm、さらにより好ましくは、0.3〜2.0ppmとなるように調整することができる。
飲料中の苦味付与物質濃度は、アルコール感を付与する観点から、苦味付与物質と酸味付与物質との重量比が、1:100〜1:10000、好ましくは、1:200〜1:5000、より好ましくは、1:200〜1:2000、さらにより好ましくは、1:200〜1:1000、特に好ましくは、1:300〜1:1000となるように調整することができる。
本発明による飲料の製造方法
本発明によれば、非アルコール飲料中の酸味付与物質濃度を100〜5000ppmに調整し、また、非アルコール飲料中の苦味付与物質濃度を0.1〜3.5ppmに調整することを特徴とする、アルコール感が付与された非アルコール飲料の製造方法が提供される。
飲料中の酸味付与物質濃度または苦味付与物質濃度の「調整」については、原飲料に元々含まれる酸味付与物質および苦味付与物質の濃度を考慮して、原飲料に、酸味付与物質および苦味付与物質を添加して調整することもできるし、酸味付与物質または苦味付与物質のいずれか一方を添加して調整することもできるし、酸味付与物質、苦味付与物質のいずれの物質も添加せずに調整することもできる。また、原飲料から酸味付与物質および/または苦味付与物質を除去して調整することもできる。典型的には、原飲料に、酸味付与物質および苦味付与物質を添加して調整することができる。
本発明において提供される飲料の製造に当たっては、当業界に公知の製造技術を用いて製造することができ、例えば、「改訂新版ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参考とすることができる。
酸味付与物質および/または苦味付与物質の添加について、酸味付与物質および/または苦味付与物質は、原飲料の製造中、または原飲料の製造後に添加してもよい。酸味付与物質と、苦味付与物質とは、一緒に添加しても、別々に添加してもよく、別々に添加される場合にはいずれを先に添加してもよい。複数の酸味付与物質を添加する場合や、複数の苦味付与物質を添加する場合も、各成分を一緒に添加しても、別々に添加してもよく、別々に添加される場合にはいずれを先に添加してもよい。なお、酸味付与物質および苦味付与物質の添加に当たっては原飲料に元々含まれる酸味付与物質および苦味付与物質の濃度を考慮して添加の要否や添加量を決定できることはいうまでもない。
また、酸味付与物質、苦味付与物質以外に、通常の飲料の処方設計に用いられている香料、色素、起泡・泡持ち向上剤などの添加剤を添加してもよい。これらの添加剤は、原飲料の製造中、または原飲料の製造後に添加してもよい。複数の添加剤を添加する場合も、各成分を一緒に添加しても、別々に添加してもよく、別々に添加される場合にはいずれを先に添加してもよい。なお、本発明による飲料から高甘味度甘味料含有飲料を除いてもよい。
酸味付与物質は、苦味付与物質と組み合わせて、アルコール感を付与する観点から、原飲料に、例えば、飲料中の酸味付与物質が100〜5000ppm、好ましくは、100〜4000ppm、より好ましくは、200〜4000ppm、さらに好ましくは、300〜3000ppm、さらにより好ましくは、300〜2000ppm、特に好ましくは、400〜1000ppmとなるように添加することができる。
苦味付与物質は、酸味付与物質と組み合わせて、アルコール感を付与する観点から、原飲料に、例えば、飲料中の酸味付与物質が0.1〜3.5ppm、好ましくは、0.1〜2.6ppm、より好ましくは、0.2〜2.6ppm、さらに好ましくは、0.2〜2.0ppm、さらにより好ましくは、0.3〜2.0ppmとなるように添加することができる。
酸味付与物質と苦味付与物質とは、アルコール感を付与する観点から、酸味付与物質と苦味付与物質との重量比が、1:100〜1:10000、好ましくは、1:200〜1:5000、より好ましくは、1:200〜1:2000、さらにより好ましくは、1:200〜1:1000、特に好ましくは、1:300〜1:1000となるように添加することができる。
酸味付与物質と苦味付与物質の組み合わせとしては、例えば、酒石酸、乳酸、酢酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、フィチン酸、グルコン酸、イタコン酸、およびα-ケトグルタル酸から選択される1種または2種以上の酸味付与物質とクワシン、ナリンジン、カフェイン、イソα酸、キニーネ、セスキテルペン、5’−デヒドロキシ−5’−メチルチオアデノシン、テオブロミン、ベルベリン、およびα−グルコシルナリンジンから選択される1種または2種以上の苦味付与物質とを組み合わせることができる。好ましくは、酒石酸、乳酸、酢酸およびリン酸から選択される1種または2種以上の酸味付与物質とクワシン、ナリンジン、イソα酸およびカフェインから選択される1種または2種以上の苦味付与物質とを組み合わせることができる。より好ましくは、酒石酸および乳酸から選択される1種または2種以上の酸味付与物質とクワシン、ナリンジン、イソα酸およびカフェインから選択される1種または2種以上の苦味付与物質とを組み合わせることができる。なお、酸味付与物質と苦味付与物質の組み合わせからリン酸とカフェインとを含む組み合わせを除いてもよい。
本発明による飲料は、pHを、例えば、2.3〜4.0、好ましくは、2.4〜3.7と調整することができる。本発明による飲料に、酸味付与物質を使用する場合は、pHは酸味付与物質の使用量により調節することができる。すなわち、使用する酸味付与物質の種類や、使用量により調節することができる。また本発明による飲料に、果実やその由来成分、果汁などを使用する場合には、それらも利用してpHを調整することができる。なお飲料のpHは市販のpHメーター(例えば、東亜電波工業株式会社製pHメーター)を使用して容易に測定することができる。
本発明による飲料は、チューハイ様の飲料(炭酸、果汁若しくは果汁フレーバーを含んでなりアルコール感のある飲料)とすることができる。
なお、本発明によって製造された非アルコール飲料に適宜アルコール類を添加して酒税法上のアルコール類として提供するような態様とすることも可能である。
本発明の好ましい態様によれば、酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなるアルコール感が付与された飲料であって、飲料中の酸味付与物質濃度が100〜4000ppmであり、飲料中の苦味付与物質濃度が0.1〜2.6ppmであり、苦味付与物質と酸味付与物質との重量比が、1:300〜1:1000である、非アルコール飲料およびその製造方法が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、さらに、酒石酸、乳酸、酢酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、フィチン酸、グルコン酸、イタコン酸、およびα-ケトグルタル酸からなる群から選択される1種または2種以上の酸味付与物質(好ましくは、酒石酸、乳酸、酢酸、およびリン酸、またはこれらの2種以上の組み合わせ)と、クワシン、ナリンジン、カフェイン、イソα酸、キニーネ、セスキテルペン、5’−デヒドロキシ−5’−メチルチオアデノシン、テオブロミン、ベルベリン、およびα−グルコシルナリンジンからなる群から選択される1種または2種以上の苦味付与物質(好ましくは、クワシン、ナリンジン、イソα酸、もしくはカフェイン、またはこれらの2種以上の組み合わせ)とを含んでなるアルコール感が付与された飲料であって、飲料中の酸味付与物質濃度が100〜4000ppmであり、飲料中の苦味付与物質濃度が0.1〜2.6ppmであり、苦味付与物質と酸味付与物質との割合が、1:300〜1:1000である、非アルコール飲料およびその製造方法が提供される。
本発明によれば、飲料中の酸味付与物質濃度を100〜5000ppmに調整し、また、飲料中の苦味付与物質濃度を0.1〜3.5ppmに調整することを特徴とする、非アルコール飲料にアルコール感を付与する方法が提供される。
本発明によれば、酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、非アルコール飲料に対するアルコール感付与剤が提供される。
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1:アルコール感が付与された飲料の製造およびその評価
(1)飲料の調製
飲料には炭酸飲料を使用した。具体的には、pH3〜4、Brix6°、炭酸ガス圧0.15MPa(測定温度20℃)にアルコールを含まないように(0.00%)調製した炭酸飲料を使用した。
炭酸飲料に、苦味付与物質と酸味付与物質とを、表1または表2で示すような濃度で存在するように苦味料と酸味料とを添加し、各サンプル飲料を調整した。
(2)飲料の評価
(1)で調製された各サンプル飲料を、官能評価試験に供した。具体的には、良く訓練され、チューハイおよびカクテル系飲料の評価に熟練したパネル5名により、以下の基準で酸味の質、苦味の質およびアルコール感について官能評価を行った。
[酸味の質の評価]
○:酸味が適度にあり、甘み、苦味等の他の香味も十分に感じられる。
△:酸味がやや強く、甘み、苦味等の他の香味はやや阻害されている。
×:酸味が非常に強く、甘み、苦味等の他の香味は阻害され、感じにくくなっている。
(各パネルがディスカッションを行いながら決定した。)
[苦味の質の評価]
○:苦味が適度にあり、甘み、酸味等の他の香味も十分に感じられる。
△:苦味がやや強く、甘み、酸味等の他の香味はやや阻害されている。
×:苦味が非常に強く、甘み、酸味等の他の香味は阻害され、感じにくくなっている。
(各パネルがディスカッションを行いながら決定した。)
[アルコール感の評価]
○:アルコール感が適度にあり、味の厚みがあり、苦味等の他の香味を十分に感じられるもの
△:アルコール感がやや強く、味の厚みがあり、苦味等の他の香味をやや阻害しているもの
×:アルコール感が非常に強く、味の厚みがあり、苦味等の他の香味を阻害し、感じられにくくさせているもの
香味の良し悪しの基準:苦味と酸味がバランスよく組み合わされることにより、アルコール様の苦味と刺激が感じられること。
(各パネルがディスカッションを行いながら決定した。)
官能評価試験の結果は以下の通りであった。
苦味と酸味のバランスの評価
Figure 0005746833
苦味と酸味の濃度の評価
Figure 0005746833
非アルコール飲料である炭酸飲料に、苦味付与物質と酸味付与物質とを、苦味付与物質と酸味付与物質との重量比が1:100〜1:10000となるように添加することにより、飲料としての味の調和感を崩すことなく非アルコール飲料にアルコール感を付与できることが認められた(表3)。また、非アルコール飲料である炭酸飲料に、苦味付与物質を0.1〜3.5ppmで、酸味物質を100〜5000ppmで、それぞれ添加することにより、飲料としての味の調和感を崩すことなく非アルコール飲料にアルコール感を付与できることが認められた(表4)。
以上のことから、非アルコール飲料に特定の範囲で苦味付与物質と酸味付与物質とを添加することにより、飲料としての味の調和感を崩すことなくアルコール感を付与することができることが確認された。
実施例2:各種苦味付与物質と各種酸味付与物質との組み合わせについての評価
本願発明に使用することができる苦味付与物質および酸味付与物質を検討するために、実施例1で使用した炭酸飲料に、各種苦味付与物質(0.3ppm)と各種酸味付与物質(400ppm)とをそれぞれ組み合わせて添加しサンプル飲料を調整した。苦味付与物質としては、クワシン、ナリンジン、カフェイン、イソα酸を使用した。酸味付与物質としては、酒石酸、乳酸を使用した。
各サンプル飲料は、官能評価試験に供した。具体的には、良く訓練され、チューハイおよびカクテル系飲料の評価に熟練したパネル5名により、アルコール感の有無について官能評価を行った。
官能評価試験の結果は以下の通りであった。
Figure 0005746833

Claims (5)

  1. 酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなるアルコール感が付与された非アルコール飲料であって、
    飲料中の酸味付与物質濃度が100〜5000ppmであり、飲料中の苦味付与物質濃度が0.1〜3.5ppmであり、
    前記酸味付与物質が、酒石酸、乳酸、酢酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、フィチン酸、グルコン酸、イタコン酸、およびα-ケトグルタル酸からなる群から選択される1種または2種以上の物質であり、
    前記苦味付与物質が、クワシン、ナリンジン、カフェイン、イソα酸、キニーネ、セスキテルペン、5’−デヒドロキシ−5’−メチルチオアデノシン、テオブロミン、ベルベリン、およびα−グルコシルナリンジンからなる群から選択される1種または2種以上の物質である、飲料。
  2. 苦味付与物質と酸味付与物質との重量比が、1:100〜1:10000である、請求項1に記載の飲料。
  3. 酸味付与物質が、酒石酸、乳酸、酢酸、およびリン酸からなる群から選択される1種または2種以上の物質であり、かつ、苦味付与物質が、クワシン、ナリンジン、カフェインおよびイソα酸からなる群から選択される1種または2種以上の物質である、請求項1に記載の飲料。
  4. アルコール感が付与された非アルコール飲料を製造する方法であって、
    飲料中の酸味付与物質濃度を100〜5000ppmに調整し、また、飲料中の苦味付与物質濃度を0.1〜3.5ppmに調整することを特徴とし、
    前記酸味付与物質が、酒石酸、乳酸、酢酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、フィチン酸、グルコン酸、イタコン酸、およびα-ケトグルタル酸からなる群から選択される1種または2種以上の物質であり、
    前記苦味付与物質が、クワシン、ナリンジン、カフェイン、イソα酸、キニーネ、セスキテルペン、5’−デヒドロキシ−5’−メチルチオアデノシン、テオブロミン、ベルベリン、およびα−グルコシルナリンジンからなる群から選択される1種または2種以上の物質である、方法。
  5. 非アルコール飲料にアルコール感を付与する方法であって、
    飲料中の酸味付与物質濃度を100〜5000ppmに調整し、また、飲料中の苦味付与物質濃度を0.1〜3.5ppmに調整することを特徴とし、
    前記酸味付与物質が、酒石酸、乳酸、酢酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、フィチン酸、グルコン酸、イタコン酸、およびα-ケトグルタル酸からなる群から選択される1種または2種以上の物質であり、
    前記苦味付与物質が、クワシン、ナリンジン、カフェイン、イソα酸、キニーネ、セスキテルペン、5’−デヒドロキシ−5’−メチルチオアデノシン、テオブロミン、ベルベリン、およびα−グルコシルナリンジンからなる群から選択される1種または2種以上の物質である、方法。
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