JP2016144461A - アルコール感が付与された非アルコール飲料およびその製造方法 - Google Patents
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炭素数4または5の脂肪族アルコールを添加することにより、炭素数4または5の脂肪族アルコールの香味からは全く想定できない「アルコール感」を非アルコール飲料に付与できたことは本発明者らにとって驚くべき知見であった。本発明者らは、また、炭素数4または5の脂肪族アルコールを高濃度で添加した場合に生じる後切れの悪さを、収斂味付与物質を用いることにより、付与されたアルコール感を損なうことなく抑制することができることを見出した(実施例2〜4)。炭素数4または5の脂肪族アルコールを高濃度で添加した場合に生じる後切れの悪さを、収斂味付与物質により効果的に抑制できたことは本発明者らにとって驚くべき知見であった。本発明は、これらの知見に基づくものである。
(1)炭素数4または5の脂肪族アルコールと収斂味付与物質とを含んでなるアルコール感が付与された非アルコール飲料であって、飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度が1〜100mg/lである、飲料。
(2)収斂味付与物質が、酸味付与物質であり、飲料中の酸味付与物質濃度が、20〜800mg/lである、(1)に記載の飲料。
(3)収斂味付与物質が、苦味付与物質であり、飲料中の苦味付与物質濃度が、0.05〜5mg/lである、(1)に記載の飲料。
(4)収斂味付与物質を含んでなる飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度を1〜100mg/lに調整することを特徴とする、アルコール感が付与された非アルコール飲料の製造方法。
(5)収斂味付与物質が、酸味付与物質であり、飲料中の酸味付与物質濃度を20〜800mg/lに調整することを特徴とする、(4)に記載の製造方法。
(6)収斂味付与物質が、苦味付与物質であり、飲料中の苦味付与物質濃度を0.05〜5mg/lに調整することを特徴とする、(4)に記載の製造方法。
(7)収斂味付与物質を含んでなる飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度を1〜100mg/lに調整することを特徴とする、非アルコール飲料にアルコール感を付与する方法。
(8)収斂味付与物質が、酸味付与物質であり、飲料中の酸味付与物質濃度を20〜800mg/lに調整することを特徴とする、(7)に記載の方法。
(9)収斂味付与物質が、苦味付与物質であり、飲料中の苦味付与物質濃度を0.05〜5mg/lに調整することを特徴とする、(7)に記載の方法。
(10)炭素数4または5の脂肪族アルコールを含んでなるアルコール感が付与された非アルコール飲料であって、飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度が1〜5mg/lである、飲料。
(11)飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度を1〜5mg/lに調整することを特徴とする、アルコール感が付与された非アルコール飲料の製造方法。
(12)飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度を1〜5mg/lに調整することを特徴とする、非アルコール飲料にアルコール感を付与する方法。
本発明において「非アルコール飲料」とは、酒税法上アルコール飲料とみなされない、アルコール度数1度未満の飲料を意味する。「非アルコール飲料」のうち、アルコールが全く含まれない、すなわち、アルコール含量が0.00v/v%である飲料については特に「完全無アルコール飲料」と表現することができる。なお、ここでの「アルコール含量」はエタノールの含量を意味し、脂肪族アルコールは含まれない。
本発明による飲料は、典型的には、原飲料に、炭素数4または5の脂肪族アルコールを添加することにより製造することができる。本発明による飲料は、また、炭素数4または5の脂肪族アルコールの添加に加え、さらに収斂味付与物質を添加することにより製造することができる。本発明によれば、アルコールを含まない原飲料を使用することにより、アルコール成分を含まないが、アルコール感が付与された飲料を提供することができる。
以下、原飲料、炭素数4または5の脂肪族アルコール、収斂味付与物質について説明する。
本発明による飲料を構成する原飲料は、非アルコール飲料でありながらアルコール感が付与された飲料を提供するという観点から、非アルコール飲料である。原飲料は、炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度、さらには、収斂味付与物質の濃度を調整することによりアルコール感が付与されるような飲料であればよく、例えば、炭酸飲料、果汁入り飲料、野菜汁入り飲料、果汁および野菜汁入り飲料、果汁含有飲料、茶飲料、牛乳、豆乳、乳飲料、ドリンクタイプのヨーグルト、コーヒー、ココア、栄養ドリンク、スポーツ飲料、飲用水(ミネラルウォーター等)等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。原飲料は、麦芽を使用しない非麦芽飲料であってもよい。原飲料は、麦芽とホップを使用しない非ビール様飲料であってもよい。原飲料は、辛味付与成分を含まない飲料とすることができる。
本発明による飲料を構成する炭素数4または5の脂肪族アルコールは、対象の原飲料(非アルコール飲料)にアルコール感を付与することができ、また、本発明による飲料に、後述するような所定の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度を与えることができる。
本発明による飲料を構成する収斂味付与物質は、対象の原飲料に収斂味を付与することができる物質を意味する。
本発明において使用される酸味付与物質は、対象の原飲料に収斂味と酸味とを付与することができる物質を意味する。対象の原飲料に酸味を付与することができる物質であっても、収斂味を付与しない物質(例えば、クエン酸、リンゴ酸等)は本発明において使用される酸味付与物質には含まれない。酸味付与物質は、本発明による飲料に、後述するような所定の酸味付与物質濃度を与えることができる。
本発明において使用される苦味付与物質は、対象の原飲料に収斂味と苦味とを付与することができる物質を意味する。対象の原飲料に苦味を付与することができる物質であっても、収斂味を付与しない物質(例えば、セスキテルペン類(アブシンチン等)等)は本発明において使用される苦味付与物質には含まれない。苦味付与物質は、本発明による飲料に、後述するような所定の苦味付与物質濃度を与えることができる。
本発明によれば、飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度を調整することを特徴とする、アルコール感が付与された非アルコール飲料の製造方法が提供される。具体的には、飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度を1〜5mg/lに調整することを特徴とする、アルコール感が付与された非アルコール飲料の製造方法が提供される。
(1)飲料の調製
イオン交換水に、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール(それぞれ試薬特級を使用)を、表1に示すような濃度で存在するように添加し、各サンプル飲料を調整した。なお、各サンプル飲料は、エタノール含量0.00v/v%である。
(1)で調製された各サンプル飲料を、官能評価試験に供した。具体的には、良く訓練され、チューハイおよびカクテル系飲料の評価に熟練したパネル4名が吐き出し法により試飲し、以下の基準でアルコール感について官能評価を行った。
[アルコール感の評価]
0:アルコール感がない。
1:アルコール感がある。
(各パネルがそれぞれ評価し、パネル4名の合計点が2点以上の場合をアルコール感が付与されたと判定した。)
脂肪族アルコールは、飲料中における使用量が多くなると、特有の後切れの悪さが認められ、飲料として好ましくない香味となることが確認された。そこで、炭素数4または5の脂肪族アルコールを高濃度で添加した場合の、収斂味付与物質のマスキング効果について確認を行った。
[マスキング効果の評価]
○:脂肪族アルコール特有の後切れの悪さが感じられない(マスキング効果がある)。
△:脂肪族アルコール特有の後切れの悪さがやや感じられる(マスキング効果がややある)。
×:脂肪族アルコール特有の後切れの悪さを感じる(マスキング効果がない)。
(各パネルがディスカッションを行いながら決定した。)
[アルコール感の評価]
○:アルコール飲料特有の味の厚みがある。
△:アルコール飲料特有の味の厚みがやや感じられる。
×:アルコール飲料特有の味の厚みが感じられない。
(各パネルがディスカッションを行いながら決定した。)
[飲料としての評価(嗜好評価)]
○:嗜好飲料として適度な香味である。
(マスキング素材そのものの香味が適度であり、かつ、十分なマスキング効果がある。)△:嗜好飲料として許容できる香味である。
(マスキング素材そのものの香味の強さが許容できる範囲であり、マスキング効果がある。)
×:嗜好飲料として不適な香味である。
(マスキング効果があっても、マスキング素材そのものの香味が強すぎて許容できない、またはマスキング効果がないため、不快な香味がある。)
また、収斂味付与物質によるマスキング効果は、3−メチル−1−ブタノール濃度が5mg/l以上の場合に特に有効であることが確認された(表2および3)。
本願発明に使用することができる酸味付与成分を検討するために、炭酸飲料(測定温度20℃で炭酸ガス圧が0.35MPaとなるように調整した水)に、3−メチル−1−ブタノール(50mg/l)と各種酸味付与物質(400mg/l)とをそれぞれ組み合わせて添加しサンプル飲料を調整した。なお、各サンプル飲料は、エタノール含量0.00v/v%である。
[アルコール感の評価]
0:アルコール感が感じられない。
1:ややアルコール感が感じられる。
2:アルコール感があり、かつ、不快な香味がない。
(各パネルがそれぞれ評価し、パネル4名の合計点が2点以上の場合をアルコール感が付与されたと判定した。)
本願発明に使用することができる苦味付与成分を検討するために、炭酸飲料(測定温度20℃で炭酸ガス圧が0.35MPaとなるように調整した水)に、3−メチル−1−ブタノール(50mg/l)と各種苦味付与物質(0.3mg/l)とをそれぞれ組み合わせて添加しサンプル飲料を調整した。なお、各サンプル飲料は、エタノール含量0.00v/v%である。
[アルコール感の評価]
0:アルコール感が感じられない。
1:ややアルコール感が感じられる。
2:アルコール感があり、かつ、不快な香味がない。
(各パネルがそれぞれ評価し、パネル4名の合計点が2点以上の場合をアルコール感が付与されたと判定した。)
Claims (12)
- 炭素数4または5の脂肪族アルコールと収斂味付与物質とを含んでなるアルコール感が付与された非アルコール飲料であって、飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度が1〜100mg/lである、飲料。
- 収斂味付与物質が、酸味付与物質であり、飲料中の酸味付与物質濃度が、20〜800mg/lである、請求項1に記載の飲料。
- 収斂味付与物質が、苦味付与物質であり、飲料中の苦味付与物質濃度が、0.05〜5mg/lである、請求項1に記載の飲料。
- 収斂味付与物質を含んでなる飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度を1〜100mg/lに調整することを特徴とする、アルコール感が付与された非アルコール飲料の製造方法。
- 収斂味付与物質が、酸味付与物質であり、飲料中の酸味付与物質濃度を20〜800mg/lに調整することを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
- 収斂味付与物質が、苦味付与物質であり、飲料中の苦味付与物質濃度を0.05〜5mg/lに調整することを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
- 収斂味付与物質を含んでなる飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度を1〜100mg/lに調整することを特徴とする、非アルコール飲料にアルコール感を付与する方法。
- 収斂味付与物質が、酸味付与物質であり、飲料中の酸味付与物質濃度を20〜800mg/lに調整することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 収斂味付与物質が、苦味付与物質であり、飲料中の苦味付与物質濃度を0.05〜5mg/lに調整することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 炭素数4または5の脂肪族アルコールを含んでなるアルコール感が付与された非アルコール飲料であって、飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度が1〜5mg/lである、飲料。
- 飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度を1〜5mg/lに調整することを特徴とする、アルコール感が付与された非アルコール飲料の製造方法。
- 飲料中の炭素数4または5の脂肪族アルコール濃度を1〜5mg/lに調整することを特徴とする、非アルコール飲料にアルコール感を付与する方法。
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