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JP5887004B2 - 高甘味度甘味料含有飲料およびその製造方法 - Google Patents

高甘味度甘味料含有飲料およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高甘味度甘味料含有飲料およびその製造方法に関し、詳細には、高甘味度甘味料の味質が改善された高甘味度甘味料含有飲料およびその製造方法に関する。
近年の健康志向・ダイエット志向の高まりにより、低カロリー飲料が好まれるようになっている。高甘味度甘味料は、砂糖類と比較して低カロリーである等の理由から使用が増加している。しかし、高甘味度甘味料は、味の厚みの無さ、コク(ボディ感)のなさ、不自然な後残りがする甘み(不快な後味)、苦味、エグ味等、味質に問題があるため、高甘味度甘味料を使用した商品に対しては消費者の不満も多く、特に飲料においては、砂糖類の全量を高甘味度甘味料に置換することは難しい。従って、砂糖類を高甘味度甘味料に置換しながらも砂糖類を添加したもののような甘味をもつ飲料の提供が望まれている。
高甘味度甘味料の味質改善についてはこれまでに多く報告されている。高甘味度甘味料を組み合わせることで味質を改善するものとしては、例えば、特許文献1には、スクラロースと他の甘味料を組み合わせることで味質を改善できることが記載されている。特許文献2には、スクラロースの味質を特定量のアセスルファムカリウムを添加することにより改善できることが記載されている。特許文献3には、アセスルファムカリウムの味質を特定量のスクラロースを添加することにより改善できることが記載されている。しかし、いずれの報告も高甘味度甘味料の味質改善において充分に満足できるものではなかった。
高甘味度甘味料に特定の物質を添加することにより味質を改善するものとしては、例えば、特許文献4には、ルチンおよび/またはルチン誘導体が高甘味度甘味料の味質を改善することが記載されている。特許文献5には、甘味剤の味質を塩酸キニーネ、硫酸キニーネ、カフェイン、ブルシン等の苦味物質により改善することが記載されている。特許文献6には甘味剤、酸味剤、および苦味剤を含有する清涼飲料が開示されている。特許文献7には、高甘味度甘味料および甘味改善物質について記載されている。特許文献8には、植物成分に由来する強すぎるボディ感(重い口当たり)を改善する手段として高甘味度甘味料が添加された炭酸飲料が記載されている。しかし、いずれの報告も高甘味度甘味料の味質改善において充分に満足できるものではなかった。
このように、高甘味度甘味料の味質改善については、さらに新しい技術が望まれていた。
特開2009−236739号公報 特開2002−101844号公報 特開2001−333729号公報 特開平10−146165号公報 特開平09−238641号公報 特開2003−160446号公報 特表2010−508823号公報 WО2002/067702号公報
本発明者らは、高甘味度甘味料含有飲料に酸味付与物質と苦味付与物質とを組み合わせて添加することにより、高甘味度甘味料の味質を改善できることを見出した(実施例I〜VI)。本発明は、これらの知見に基づくものである。
本発明は、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善された飲料とその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、かつ、苦味付与物質が、クワシンおよび/またはイソα酸である、飲料。
(2)ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなり、酸味付与物質が酸度0.01〜0.4%であり、クワシンが0.02ppm以上0.1ppm未満である、(1)に記載の飲料。
(2’)ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなり、酸味付与物質が酸度0.01〜0.4%であり、イソα酸が0.25〜45ppmである、(1)に記載の飲料。
(3)高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせである、(1)に記載の飲料。
(4)ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを含んでなり、酸味付与物質が酸度0.01〜0.4%で存在する、(3)に記載の飲料。
(5)酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸である、(4)に記載の飲料。
(6)ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを含んでなり、クワシンが0.02ppm以上0.1ppm未満で存在する、(3)に記載の飲料。
(6’)ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを含んでなり、イソα酸が0.25〜45ppmで存在する、(3)に記載の飲料。
(7)クワシンと、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:120〜1:30000である、(3)または(6)に記載の飲料。
(7’)イソα酸と、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:0.26〜1:2400である、(3)または(6’)に記載の飲料。
(8)ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを含んでなり、酸味付与物質が酸度0.01〜0.4%であり、クワシンが0.02ppm以上0.1ppm未満である、(3)〜(7)のいずれか一項に記載の飲料。
(8’)ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを含んでなり、酸味付与物質が酸度0.01〜0.4%であり、イソα酸が0.25〜45ppmである、(3)〜(5)、(6’)および(7’)のいずれか一項に記載の飲料。
(9)飲料が、炭酸飲料である、(1)〜(8)、(2’)および(6’)〜(8’)のいずれか一項に記載の飲料。
(10)ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなる飲料中のクワシン濃度を0.02ppm以上0.1ppm未満に調整し、かつ、該飲料中の酸味付与物質濃度を酸度0.01〜0.4%に調整することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質が改善された高甘味度甘味料含有飲料の製造方法。
(10’)ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなる飲料中のイソα酸濃度を0.25〜45ppmに調整し、かつ、該飲料中の酸味付与物質濃度を酸度0.01〜0.4%に調整することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質が改善された高甘味度甘味料含有飲料の製造方法。
(11)ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなる飲料中のクワシン濃度を0.02ppm以上0.1ppm未満に調整し、かつ、該飲料中の酸味付与物質濃度を酸度0.01〜0.4%に調整することを特徴とする、高甘味度甘味料含有飲料の高甘味度甘味料の味質を改善する方法。
(11’)ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなる飲料中のイソα酸濃度を0.25〜45ppmに調整し、かつ、該飲料中の酸味付与物質濃度を酸度0.01〜0.4%に調整することを特徴とする、高甘味度甘味料含有飲料の高甘味度甘味料の味質を改善する方法。
本発明による飲料は、低カロリーである高甘味度甘味料を使用し、かつ高甘味度甘味料の味質も改善された飲料を提供できる点で有利である。
発明の具体的説明
定義
本発明において「低カロリー飲料」とは、20kcal/100ml以下の飲料を意味する。
本発明において「甘味」とは、5種類の味覚(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)から構成される基本味の一つであり、ショ糖(砂糖)で代表されるような甘い味をいう。
本発明において「酸味」とは、5種類の味覚(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)から構成される基本味の一つであり、酸により呈されるすっぱい味をいう。
本発明において「苦味」とは、5種類の味覚(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)から構成される基本味の一つであり、苦味付与物質により呈される味をいう。
本発明において「高甘味度甘味料の味質」とは、高甘味度甘味料を含有する飲料のコク(ボディ感)の有無や後切れの程度の点から評価される味質を意味する。
本発明において「味質が改善された」とは、高甘味度甘味料を含有する飲料が有するコク(ボディ感)の無さや後切れの悪さが改善され、ショ糖を含有する飲料に近い味質になることを意味する。
本発明において「ボディ感」とは、ショ糖を含有する飲料様の厚みを感じる味を意味する。
本発明において「後切れ」とは、甘味料を含有する飲料に独特な甘味および苦味の後残りの消失を意味する。
本願明細書において「1ppm」は、0.0001重量/容量(weight/volume)%に相当する。
本発明による飲料
本発明による飲料は、原飲料に、高甘味度甘味料と、酸味付与物質と、苦味付与物質とを添加することにより製造することができる。以下、原飲料、高甘味度甘味料、酸味付与物質、苦味付与物質について説明する。
[原飲料]
本発明による飲料を構成する原飲料は、酸味付与物質濃度と苦味付与物質濃度を調整することにより、含有する高甘味度甘味料の味質が改善されるような飲料であればよく、例えば、炭酸飲料、果汁入り飲料、野菜汁入り飲料、果汁および野菜汁入り飲料、茶飲料、牛乳、豆乳、乳飲料、ドリンクタイプのヨーグルト、コーヒー、ココア、栄養ドリンク、スポーツ飲料、飲用水(ミネラルウォーター等)、完全無アルコールビールなどの非アルコール飲料;ウイスキー、バーボン、ブランデー、スピリッツ類(ウォッカ、ジン、ラム等)、リキュール類、ワイン、果実酒、日本酒、中国酒、焼酎、ビール、アルコール度数1%以下のノンアルコールビール、発泡酒、酎ハイなどのアルコール飲料等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明において使用される原飲料は、好ましくは、非アルコール飲料であり、より好ましくは、炭酸飲料、スポーツ飲料であり、より好ましくは、炭酸飲料である。
炭酸飲料とは、飲用に適した水に二酸化炭素を圧入したもの、炭酸ガスを含む飲料を意味する。炭酸飲料には、甘味料、香料等を加えることもできる。
炭酸飲料における炭酸ガス圧は、約20℃において測定した場合、例えば、0.1〜0.4MPa、好ましくは、0.15〜0.35MPa、より好ましくは、0.2〜0.3MPaとすることができる。炭酸ガス圧は小さすぎると高甘味度甘味料の味質改善効果が小さくなり、一方で、炭酸ガス圧が大きすぎると刺激が強くなりすぎ嗜好性に欠ける場合があるからである。炭酸ガス圧は、例えば、国税庁所定の分析法に基づく、ビールのガス圧分析法によって測定できる(例えば、国税庁webページ: http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/sonota/070622/01.htm を参照)。具体的には、穿孔圧力計が使用できる容器に入った検体について、検体を時々振りながら20℃の水槽に30分間保った後、穿孔圧力計を取り付け、針を突き刺し軽く振って圧力を読むことにより測定することができる。また、市販の機械式炭酸ガス圧測定器を用いて測定することができる。例えば、ガスボリューム測定装置(GVA−500、京都電子工業株式会社製)を用いてもよい。
果汁入り飲料や果汁および野菜汁入り飲料に用いられる果物としては、例えば、リンゴ、ミカン、ブドウ、バナナ、ナシ、ウメ、グレープフルーツ、オレンジ、パインアップル、スイカ、イチゴが挙げられる。また、野菜汁入り飲料や果汁および野菜汁入り飲料に用いられる野菜としては、例えば、トマト、ニンジン、セロリ、キュウリ、キャベツ、ケール、ほうれん草、かぼちゃ、パセリ、アスパラガス、ピーマンが挙げられる。
茶飲料とは、ツバキ科の常緑樹である茶樹の葉(茶葉)、または茶樹以外の植物の葉もしくは穀類等を煎じて飲むための飲料をいい、発酵茶、半発酵茶および不発酵茶のいずれも包含される。茶飲料の具体例としては、日本茶(例えば、緑茶、麦茶)、紅茶、ハーブ茶(例えば、ジャスミン茶)、中国茶(例えば、中国緑茶、烏龍茶)、ほうじ茶等が挙げられる。
乳飲料とは、生乳、牛乳等またはこれらを原料として製造した食品を主原料とした飲料をいい、牛乳等そのもの材料とするものの他に、例えば、栄養素強化乳、フレーバー添加乳、加糖分解乳等の加工乳を原料とするものも包含される。
本発明において使用される原飲料の製造に当たっては、後述の高甘味度甘味料、酸味付与物質、苦味付与物質以外に、通常の飲料の処方設計に用いられている、香料、果汁、乳清、油脂、乳化組成物、動植物由来抽出物、酸味を呈しない酸味料、着色料、各種ビタミン、ミネラル、保存料、増粘剤、酸化防止剤、乳化剤、安定剤、消泡剤などを適宜添加することができる。本発明において使用される原飲料は、当業界に公知の製造技術を用いて製造することができ、例えば、「改訂新版ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参考とすることができる。
[高甘味度甘味料]
本発明による飲料を構成する高甘味度甘味料は、ショ糖と同量(重量)を口に含んだ際に感じる甘味がショ糖の数十倍から数千倍と高いため、少量の添加で食品に十分な甘味を付与できる物質を意味する。
本発明において使用される高甘味度甘味料は、飲料中の苦味付与物質濃度および酸味付与物質濃度を調整することにより、その味質が改善される。
高甘味度甘味料としては、天然高甘味度甘味料であっても、合成高甘味度甘味料であってもよく、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、キシリトール、D-キシロース、グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、D-ソルビトール、ステビア抽出物、ステビア末、グリシルリジン酸およびその塩、タウマチン、ブラジルカンゾウ抽出物、アブルソサイドA、シクロカリオサイドI、N-アセチルグルコサミン、L-アラビノース、オリゴ-N-アセチルグルコサミン、カンゾウ抽出物、α-グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア、酵素処理カンゾウ、酵素分解カンゾウ、L-ソルボース、ネオテーム、ラカンカ抽出物、L-ラムノース、D-リボース等が挙げられる。高甘味度甘味料は、単一成分として使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。高甘味度甘味料は、好ましくは、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせである。高甘味度甘味料を2種以上組み合わせて使用する場合の高甘味度甘味料の量は、2種以上の各高甘味度甘味料の量を合計した量で表すことができる。
本発明において使用される高甘味度甘味料は、市販されているものを入手することができる。
本発明において使用される高甘味度甘味料は、公知の方法に従って製造することもできる。
本発明において使用される高甘味度甘味料は、目的の高甘味度甘味料を含む植物等の抽出物(例えば、ステビアであればステビア抽出物)を使用することもできる。
飲料中の高甘味度甘味料濃度は、目的とする飲料に応じて適宜決定することができるが、例えば、0.5〜15重量%、好ましくは、3〜15重量%、より好ましくは5〜12重量%、さらにより好ましくは8〜10重量%のショ糖溶液の甘味と同等の甘味を有するように濃度を調整することができる。
ここで、目的の濃度のショ糖溶液の甘味と「同等の甘味」を有するように高甘味度甘味料含有飲料の濃度を調製するためには、使用する高甘味度甘味料の甘味度を用いて濃度を算出することができる。具体的には、目的の濃度のショ糖溶液の甘味と同等の甘味を有するような高甘味度甘味料の濃度は、甘味度を1とした目的のショ糖濃度を、使用する高甘味度甘味料の甘味度で除した値として得ることができる。
ここで、「甘味度」は、ショ糖の甘味を基準とした場合の甘味の程度を意味し、一般的には、パネラー(被験者)による官能検査により、一定濃度のショ糖溶液(例えば、ショ糖10重量%溶液)と同じ甘味の強さを示す被験甘味料の濃度との比較により求めることができる。
高甘味度甘味料の甘味度は当業者に知られており、例えば「最新・ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参照することができる。例えば、ショ糖1重量%溶液の甘味度を1とした場合、アセスルファムカリウムの甘味度は約200であり、スクラロースの甘味度は約600である。よって、ショ糖1重量%溶液と同等の甘味を有するスクラロースの濃度は、1を600で除した値、すなわち0.0017重量%と計算することができる。
従って、飲料中の高甘味度甘味料濃度は、例えば、アセスルファムカリウムを使用する場合は、0.0025〜0.075重量%(25〜750ppm)とすることができる。飲料中の高甘味度甘味料(アセスルファムカリウム)濃度は、原飲料(ベース飲料)の種類によって、適宜決定することができるが、好ましくは、0.015〜0.075重量%(150〜750ppm)、より好ましくは0.025〜0.06重量%(250〜600ppm)、さらにより好ましくは0.04〜0.05重量%(400〜500ppm)となるように調製することができる。また、例えば、スクラロースを使用する場合は、0.00083〜0.025重量%(8.3〜250ppm)または0.00085〜0.025重量%(8.5〜250ppm)とすることができる。飲料中の高甘味度甘味料(スクラロース)濃度は、原飲料の種類によって、適宜決定することができるが、好ましくは、0.005〜0.025重量%(50〜250ppm)、より好ましくは0.008〜0.02重量%(80〜200ppm)、さらにより好ましくは0.013〜0.017重量%(130〜170ppm)となるように調製することができる。
高甘味度甘味料として、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを使用する場合は、それぞれの甘味度や原飲料の種類を考慮して、濃度を決定することができる。アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせの甘味度は、重量比に応じて約200〜600とすることができる。アセスルファムカリウムとスクラロースとの重量比は、5:1〜1:1、好ましくは4:1〜2:1、より好ましくは2:1とすることができる。アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを使用する場合は、0.0012〜0.06重量%(12〜600ppm)とすることができるが、好ましくは、0.007〜0.06重量%(70〜600ppm)、より好ましくは、0.01〜0.05重量%(100〜500ppm)、さらにより好ましくは、0.02〜0.04重量%(200〜400ppm)とすることができる。アセスルファムカリウムとスクラロースとが2:1の組み合わせを使用する場合は、0.0015〜0.05重量%(15〜500ppm)とすることができるが、好ましくは、0.009〜0.05重量%(90〜500ppm)、より好ましくは、0.01〜0.04重量%(100〜400ppm)、さらにより好ましくは、0.02〜0.03重量%(200〜300ppm)とすることができる。
[苦味付与物質]
本発明による飲料を構成する苦味付与物質は、対象の原飲料に苦味を付与することができる物質を意味する。
本発明において使用される苦味付与物質は、酸味付与物質と組み合わせて、飲料に含まれる高甘味度甘味料の味質を改善することができ、また、本発明による飲料に、後述するような所定の苦味付与物質濃度を与えることができる。
苦味付与物質としては、クワシン、イソα酸が挙げられる。苦味付与物質は、単一成分として使用してもよいし、2種を組み合わせて使用してもよい。苦味付与物質は、好ましくは、クワシンである。苦味付与物質を組み合わせて使用する場合の苦味付与物質の量は、各苦味付与物質の量を合計した量で表すことができる。
本発明において使用される苦味付与物質は、市販されているものを入手することができる。
本発明において使用される苦味付与物質は、公知の方法に従って製造することもできる。
本発明において使用される苦味付与物質は、目的の苦味付与物質を含む植物等の抽出物(例えば、クワシンであればニガキ抽出物)を使用することもできる。
飲料中の苦味付与物質濃度は、苦味付与物質としてクワシンを使用する場合は、0.02〜0.1ppmまたは0.02ppm以上0.1ppm未満、好ましくは、0.04〜0.1ppmまたは0.04ppm以上0.1ppm未満、より好ましくは、0.06〜0.1ppmまたは0.06ppm以上0.1ppm未満、さらに好ましくは、0.08〜0.1ppmまたは0.08ppm以上0.1ppm未満となるように調整することができる。苦味付与物質としてイソα酸を使用する場合は、0.25〜45ppm、好ましくは、0.25〜25ppm、より好ましくは、0.25〜1ppm、さらにより好ましくは、0.5〜1ppmとなるように調整することができる。特に、本発明によれば、苦味が感じられない程度の濃度(クワシンにおいては、0.02〜0.04ppm、イソα酸においては、0.25〜0.5ppm)に調整する場合であっても高甘味度甘味料の味質改善効果が得られるため、飲料製造において有利である。すなわち、本発明によれば、味覚設計上で苦味を付与しない飲料においても高甘味度甘味料の味質を改善することができる。また、苦味を苦手とする子供向け飲料への応用も可能となる。
飲料中の苦味付与物質濃度は、苦味付与物質としてクワシンを使用する場合は、ショ糖0.5〜15重量%溶液(特には、ショ糖3〜15重量%溶液)と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせに対して、クワシンが0.02〜0.1ppmまたは0.02ppm以上0.1ppm未満、好ましくは、0.04〜0.1ppmまたは0.04ppm以上0.1ppm未満、より好ましくは、0.06〜0.1ppmまたは0.06ppm以上0.1ppm未満、さらに好ましくは、0.08〜0.1ppmまたは0.08ppm以上0.1ppm未満で存在するように調整することができる。
飲料中の苦味付与物質濃度は、苦味付与物質としてクワシンを使用する場合は、クワシンと、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:120〜1:30000、好ましくは、1:120〜1:15000、より好ましくは、1:120〜1:7500となるように調整することができる。特には、クワシンと、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:700〜1:30000、好ましくは、1:700〜1:15000、より好ましくは、1:700〜1:7500となるように調整することができる。
飲料中の苦味付与物質濃度は、苦味付与物質としてクワシンを使用する場合は、クワシンと、アセスルファムカリウムとスクラロースとの2:1の組み合わせとの重量比が、1:150〜1:25000、好ましくは、1:150〜1:12500、より好ましくは、1:150〜1:6250となるように調整することができる。特には、クワシンと、アセスルファムカリウムとスクラロースとの2:1の組み合わせとの重量比が、1:900〜1:25000、好ましくは、1:900〜1:12500、より好ましくは、1:900〜1:6250となるように調整することができる。
飲料中の苦味付与物質濃度は、苦味付与物質としてイソα酸を使用する場合は、ショ糖0.5〜15重量%溶液(特には、ショ糖3〜15重量%溶液)と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウム、スクラロース、またはこれらの混合物に対して、イソα酸が0.25〜45ppm、好ましくは、0.25〜25ppm、より好ましくは、0.25〜1ppm、さらにより好ましくは、0.5〜1ppmで存在するように調整することができる。
苦味付与物質としてイソα酸を使用する場合は、イソα酸と、アセスルファムカリウム、スクラロース、またはこれらの組み合わせとの重量比が、1:0.26〜1:2400、好ましくは、1:0.48〜1:2400、より好ましくは、1:12〜1:2400、さらに好ましくは、1:12〜1:1200となるように調整することができる。特には、イソα酸と、アセスルファムカリウム、スクラロース、またはこれらの組み合わせとの重量比が、1:70〜1:2400、好ましくは、1:70〜1:1200となるように調整することができる。
苦味付与物質としてイソα酸を使用する場合は、イソα酸と、アセスルファムカリウムとスクラロースとの2:1の組み合わせとの重量比が、1:0.33〜1:2000、好ましくは、1:0.6〜1:2000、より好ましくは、1:15〜1:2000、さらに好ましくは、1:15〜1:1000となるように調整することができる。特には、イソα酸と、アセスルファムカリウムとスクラロースとの2:1の組み合わせとの重量比が、1:90〜1:2000、好ましくは、1:90〜1:1000となるように調整することができる。
[酸味付与物質]
本発明による飲料を構成する酸味付与物質は、対象の原飲料に酸味を付与することができる物質を意味する。
本発明において使用される酸味付与物質は、苦味付与物質と組み合わせて、飲料に含まれる高甘味度甘味料の味質を改善することができ、また、本発明による飲料に、後述するような所定の酸味付与物質濃度を与えることができる。
酸味付与物質としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、酢酸、フィチン酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸等が挙げられる。酸味付与物質は、好ましくは、クエン酸、リン酸、またはクエン酸とリン酸との組み合わせである。酸味付与物質は、単一成分として使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において使用される酸味付与物質は、市販されているものを入手することができる。
本発明において使用される酸味付与物質は、公知の方法に従って製造することもできる。
酸味付与物質は塩の形態で使用されてもよく、高甘味度甘味料の味質を改善できる限り塩の種類は特に限定されるものではない。
飲料中の酸味付与物質濃度は、原飲料(ベース飲料)の種類によって、適宜決定することができるが、酸度として、0.01〜0.4%、好ましくは、0.05〜0.4%、より好ましくは、0.1〜0.3%、さらにより好ましくは、0.15〜0.25%となるように調整することができる。苦味付与物質としてクワシンを使用する場合は、飲料中の酸味付与物質濃度は、酸度として、好ましくは、0.05〜0.4%、より好ましくは、0.1〜0.3%、さらにより好ましくは、0.15〜0.25%となるように調整することができる。
ここで、「酸度」とは、日本農林規格(平成18年8月8日農水告第1127号)に定められた酸度の測定方法に基づいて算出されるものを意味する。具体的には、クエン酸換算値とし、以下の式で算出した百分比を酸度とすることができる。
酸度(%)=A×f×100/W×0.0064
A:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液による滴定量(ml)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の力価
W:試料重量(g)
0.0064:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液1mlに相当する無水クエン酸の重量(g)
酸度に基づいて、各酸味付与物質の添加量を決定することができる。例えば、クエン酸を使用する場合は、0.01〜0.4w/v%、好ましくは、0.05〜0.4w/v%、より好ましくは、0.1〜0.3w/v%、さらにより好ましくは、0.15〜0.25w/v%とすることができる。リン酸を使用する場合は、0.0078〜0.32w/v%、好ましくは、0.039〜0.32w/v%、より好ましくは、0.078〜0.24w/v%、さらにより好ましくは、0.11〜0.20w/v%とすることができる。
飲料中の酸味付与物質濃度は、ショ糖0.5〜15重量%溶液(特には、ショ糖3〜15重量%溶液)と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせに対して、酸度0.01〜0.4%、好ましくは、0.05〜0.4%、より好ましくは、0.1〜0.3%、さらにより好ましくは、0.15〜0.25%で存在するように調整することができる。
アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせと、酸味付与物質との重量比が、1:0.16〜1:333、好ましくは、1:0.83〜1:333、より好ましくは、1:1.66〜1:250、さらにより好ましくは、1:2.5〜1:208となるように調整することができる。特には、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせと、酸味付与物質との重量比が、1:0.83〜1:57、好ましくは、1:1.7〜1:43、より好ましくは、1:2.5〜1:36となるように調整することができる。
アセスルファムカリウムとスクラロースとの2:1の組み合わせと、酸味付与物質との重量比が、1:0.2〜1:267、好ましくは、1:1〜1:267、より好ましくは、1:2〜1:200、さらにより好ましくは、1:3〜1:167となるように調整することができる。特には、アセスルファムカリウムとスクラロースとの2:1の組み合わせと酸味付与物質との重量比が、1:1〜1:44.4、好ましくは、1:2〜1:33.3、より好ましくは、1:3〜1:27.8となるように調整することができる。
本発明による飲料の製造方法
本発明によれば、ショ糖0.5〜15重量%溶液(特には、ショ糖3〜15重量%溶液)と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなる飲料中のクワシン濃度を0.02〜0.1ppmまたは0.02ppm以上0.1ppm未満に調整し、かつ、該飲料中の酸味付与物質濃度を酸度0.01〜0.4%(特には、0.05〜0.4%)に調整することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質が改善された飲料の製造方法が提供される。本発明によれば、また、ショ糖0.5〜15重量%溶液(特には、ショ糖3〜15重量%溶液)と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなる飲料中のイソα酸を0.25〜45ppm(特には、0.25〜1ppm)に調整し、かつ、該飲料中の酸味付与物質濃度を酸度0.01〜0.4%(特には、0.05〜0.4%)に調整することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質が改善された飲料の製造方法が提供される。
飲料中の酸味付与物質濃度または苦味付与物質濃度の「調整」については、原飲料に元々含まれる酸味付与物質および苦味付与物質の濃度を考慮して、原飲料に、酸味付与物質および苦味付与物質を添加して調整することもできるし、酸味付与物質または苦味付与物質のいずれか一方を添加して調整することもできるし、酸味付与物質、苦味付与物質のいずれの物質も添加せずに調整することもできる。また、原飲料から酸味付与物質および/または苦味付与物質を除去して調整することもできる。典型的には、原飲料に、酸味付与物質および苦味付与物質を添加して調整することができる。
本発明において提供される飲料の製造に当たっては、当業界に公知の製造技術を用いて製造することができ、例えば、「改訂新版ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参考とすることができる。
高甘味度甘味料の添加は、原飲料の製造中、または原飲料の製造後に添加してもよい。酸味付与物質や苦味付与物質と、一緒に添加しても、別々に添加してもよく、別々に添加される場合にはいずれを先に添加してもよい。複数の高甘味度甘味料を添加する場合も、各成分を一緒に添加しても、別々に添加してもよく、別々に添加される場合にはいずれを先に添加してもよい。
酸味付与物質および/または苦味付与物質の添加について、酸味付与物質および/または苦味付与物質は、原飲料の製造中、または原飲料の製造後に添加してもよい。酸味付与物質と、苦味付与物質とは、一緒に添加しても、別々に添加してもよく、別々に添加される場合にはいずれを先に添加してもよい。複数の酸味付与物質を添加する場合や、複数の苦味付与物質を添加する場合も、各成分を一緒に添加しても、別々に添加してもよく、別々に添加される場合にはいずれを先に添加してもよい。なお、酸味付与物質および苦味付与物質の添加に当たっては原飲料に元々含まれる酸味付与物質および苦味付与物質の濃度を考慮して添加の要否や添加量を決定できることはいうまでもない。
また、酸味付与物質、苦味付与物質以外に、通常の飲料の処方設計に用いられている、香料、果汁、乳清、油脂、乳化組成物、動植物由来抽出物、酸味を呈しない酸味料、着色料、各種ビタミン、ミネラル、保存料、増粘剤、酸化防止剤、乳化剤、消泡剤、安定剤などを適宜添加することができる。これらの添加剤は、原飲料の製造中、または原飲料の製造後に添加してもよい。複数の添加剤を添加する場合も、各成分を一緒に添加しても、別々に添加してもよく、別々に添加される場合にはいずれを先に添加してもよい。
高甘味度甘味料は、ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとして、原飲料に、例えば、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせの濃度が、0.0012〜0.06重量%(12〜600ppm)となるように添加することができる。特には、高甘味度甘味料は、ショ糖3〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとして、原飲料に、例えば、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせの濃度が、0.007〜0.06重量%(70〜600ppm)、好ましくは、0.01〜0.05重量%(100〜500ppm)、より好ましくは、0.02〜0.04重量%(200〜400ppm)となるように添加することができる。
苦味付与物質は、クワシンを使用する場合は、原飲料に、例えば、ショ糖0.5〜15重量%溶液(特には、ショ糖3〜15重量%溶液)と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせに対して、飲料中の苦味付与物質濃度が0.02〜0.1ppmまたは0.02ppm以上0.1ppm未満、好ましくは、0.04〜0.1ppmまたは0.04ppm以上0.1ppm未満、より好ましくは、0.06〜0.1ppmまたは0.04ppm以上0.1ppm未満、さらに好ましくは、0.08〜0.1ppmまたは0.08ppm以上0.1ppm未満となるように添加することができる。イソα酸を使用する場合は、原飲料に、例えば、ショ糖0.5〜15重量%溶液(特には、ショ糖3〜15重量%溶液)と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせに対して、飲料中の苦味付与物質濃度が0.25〜45ppm、好ましくは、0.25〜25ppm、より好ましくは、0.25〜1ppm、さらにより好ましくは、0.5〜1ppmとなるように添加することができる。
酸味付与物質は、原飲料に、例えば、ショ糖0.5〜15重量%溶液(特には、ショ糖3〜15重量%溶液)と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせに対して、飲料中の酸味付与物質濃度が酸度として0.01〜0.4%、好ましくは、0.05〜0.4%、より好ましくは、0.1〜0.3%、さらにより好ましくは、0.15〜0.25%となるように添加することができる。
本発明による飲料において、飲料中の高甘味度甘味料と、苦味付与物質と、酸味付与物質とは、高甘味度甘味料としてショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを使用し、苦味付与物質としてクワシンを使用する場合は、クワシンと、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:120〜1:30000、好ましくは、1:120〜1:15000、より好ましくは、1:120〜1:7500となるように添加し、かつ、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせと、酸味付与物質との重量比が、1:0.16〜1:333、好ましくは、1:0.83〜1:333、より好ましくは、1:1.66〜1:250、さらにより好ましくは、1:2.5〜1:208となるように添加することができる。本発明による飲料において、飲料中の高甘味度甘味料と、苦味付与物質と、酸味付与物質とは、高甘味度甘味料としてショ糖3〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを使用し、苦味付与物質としてクワシンを使用する場合は、クワシンと、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:700〜1:30000、好ましくは、1:700〜1:15000、より好ましくは、1:700〜1:7500となるように添加し、かつ、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせと、酸味付与物質との重量比が、1:0.83〜1:57、好ましくは、1:1.7〜1:43、より好ましくは、1:2.5〜1:36となるように添加することができる。
本発明による飲料において、飲料中の高甘味度甘味料と、苦味付与物質と、酸味付与物質とは、高甘味度甘味料としてショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを使用し、苦味付与物質としてイソα酸を使用する場合は、イソα酸と、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:0.26〜1:2400、好ましくは、1:0.48〜1:2400、より好ましくは、1:12〜1:2400、さらに好ましくは、1:12〜1:1200となるように添加し、かつ、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせと、酸味付与物質との重量比が、1:0.16〜1:333、好ましくは、1:0.83〜1:333、より好ましくは、1:1.66〜1:250、さらにより好ましくは、1:2.5〜1:208となるように添加することができる。本発明による飲料において、飲料中の高甘味度甘味料と、苦味付与物質と、酸味付与物質とは、高甘味度甘味料としてショ糖3〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを使用し、苦味付与物質としてイソα酸を使用する場合は、イソα酸と、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:70〜1:2400、好ましくは、1:70〜1:1200となるように添加し、かつ、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせと、酸味付与物質との重量比が、1:0.83〜1:57、好ましくは、1:1.7〜1:43、より好ましくは、1:2.5〜1:36となるように添加することができる。
本発明による飲料は、pHを、例えば、2.3〜4.6、好ましくは、3.0〜4.6と調整することができる。本発明による飲料に、酸味付与物質を使用する場合は、pHは酸味付与物質の使用量により調節することができる。すなわち、使用する酸味付与物質の種類や、使用量により調節することができる。また本発明による飲料に、果実やその由来成分、果汁などを使用する場合には、それらも利用してpHを調整することができる。なお飲料のpHは市販のpHメーター(例えば、東亜電波工業株式会社製pHメーター)を使用して容易に測定することができる。
本発明による飲料は、調整後に殺菌処理に付すことができる。殺菌条件は、例えば、65〜120℃で4〜30分間行うことができる。
本発明による飲料は、飲用時に飲食店やカップベンダー機器で調製されるものでもよいし、工業的に製造される容器詰飲料やカップベンダー機器用シロップでもよい。
本発明による飲料は、低カロリー飲料として提供することができる。
本発明は、製造された非アルコール飲料に適宜アルコール類を添加して酒税法上のアルコール類として提供するような態様をも含むものとする。
本発明の好ましい態様によれば、酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、かつ、高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせであり、苦味付与物質が、クワシンおよび/またはイソα酸であり、酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸である飲料およびその製造方法が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、かつ、高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせであり、苦味付与物質が、クワシンであり、酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせの濃度が12〜600ppmであり、飲料中のクワシン濃度が0.02ppm以上0.1ppm未満であり、飲料中のクエン酸および/またはリン酸濃度が酸度で0.01〜0.4%である飲料(好ましくは、炭酸飲料)およびその製造方法が提供される。本発明の好ましい態様によれば、また、酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、かつ、高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせであり、苦味付与物質が、クワシンであり、酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの混合物の濃度が70〜600ppmであり、飲料中のクワシン濃度が0.02ppm以上0.1ppm未満であり、飲料中のクエン酸および/またはリン酸濃度が酸度で0.05〜0.4%である飲料(好ましくは、炭酸飲料)およびその製造方法が提供される。
本発明のより好ましい態様によれば、酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、かつ、高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせであり、苦味付与物質が、クワシンであり、酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせの濃度が12〜600ppmであり、飲料中のクワシン濃度が0.02ppm以上0.1ppm未満であり、飲料中のクエン酸および/またはリン酸濃度が酸度で0.01〜0.4%であり、飲料中のクワシンと、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:120〜1:30000であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせと、クエン酸および/またはリン酸との重量比が1:0.16〜1:333である飲料(好ましくは、炭酸飲料)およびその製造方法が提供される。本発明の好ましい態様によれば、また、酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、かつ、高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせであり、苦味付与物質が、クワシンであり、酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせの濃度が70〜600ppmであり、飲料中のクワシン濃度が0.02ppm以上0.1ppm未満であり、飲料中のクエン酸および/またはリン酸濃度が酸度で0.05〜0.4%であり、飲料中のクワシンと、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:700〜1:30000であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせと、クエン酸および/またはリン酸との重量比が1:0.83〜1:57である飲料(好ましくは、炭酸飲料)およびその製造方法が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、かつ、高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせであり、苦味付与物質が、イソα酸であり、酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせの濃度が12〜600ppmであり、飲料中のイソα酸濃度で0.25〜45ppmであり、飲料中のクエン酸および/またはリン酸濃度が酸度で0.01〜0.4%である飲料(好ましくは、炭酸飲料)およびその製造方法が提供される。本発明の好ましい態様によれば、また、酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、かつ、高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせであり、苦味付与物質が、イソα酸であり、酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせの濃度が70〜600ppmであり、飲料中のイソα酸濃度で0.25〜1ppmであり、飲料中のクエン酸および/またはリン酸濃度が酸度で0.05〜0.4%である飲料(好ましくは、炭酸飲料)およびその製造方法が提供される。
本発明のより好ましい態様によれば、酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、かつ、高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせであり、苦味付与物質が、イソα酸であり、酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせの濃度が12〜600ppmであり、飲料中のイソα酸濃度が0.25〜45ppmであり、飲料中のクエン酸および/またはリン酸濃度が酸度で0.01〜0.4%であり、飲料中のイソα酸と、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:0.26〜1:2400であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせと、クエン酸および/またはリン酸との重量比が、1:0.16〜1:330である飲料(好ましくは、炭酸飲料)およびその製造方法が提供される。本発明の好ましい態様によれば、また、酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、かつ、高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせであり、苦味付与物質が、イソα酸であり、酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせの濃度が70〜600ppmであり、飲料中のイソα酸濃度が0.25〜1ppmであり、飲料中のクエン酸および/またはリン酸濃度が酸度で0.05〜0.4%であり、飲料中のイソα酸と、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:70〜1:2400であり、飲料中のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせと、クエン酸および/またはリン酸との重量比が、1:0.83〜1:57である飲料(好ましくは、炭酸飲料)およびその製造方法が提供される。
本発明によれば、ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなる飲料中のクワシン濃度を0.02ppm以上0.1ppm未満に調整し、かつ、該飲料中の酸味付与物質濃度を酸度0.01〜0.4%に調整することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質を改善する方法が提供される。特には、本発明によれば、ショ糖3〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなる飲料中のクワシン濃度を0.02ppm以上0.1ppm未満に調整し、かつ、該飲料中の酸味付与物質濃度を酸度0.05〜0.4%に調整することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質を改善する方法が提供される。
本発明によれば、ショ糖0.5〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなる飲料中のイソα酸が0.25〜45ppmに調整し、かつ、該飲料中の酸味付与物質濃度をクエン酸酸度0.01〜0.4%に調整することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質を改善する方法が提供される。特には、本発明によれば、ショ糖3〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなる飲料中のイソα酸が0.25〜1ppmに調整し、かつ、該飲料中の酸味付与物質濃度をクエン酸酸度0.05〜0.4%に調整することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質を改善する方法が提供される。
本発明によれば、以下の発明も提供される。
(1)酸味付与物質と苦味付与物質とを含んでなる、高甘味度甘味料含有飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、かつ、苦味付与物質が、クワシンおよび/またはイソα酸である、飲料。
(2)ショ糖3〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度で高甘味度甘味料を含んでなり、酸味付与物質が酸度0.05〜0.4%であり、クワシンが0.02ppm以上0.1ppm未満である、(1)に記載の飲料。
(3)高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせである、(1)に記載の飲料。
(4)ショ糖3〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを含んでなり、酸味付与物質が酸度0.05〜0.4%で存在する、(3)に記載の飲料。
(5)酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸である、(4)に記載の飲料。
(6)ショ糖3〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを含んでなり、クワシンが0.02ppm以上0.1ppm未満で存在する、(3)に記載の飲料。
(7)クワシンと、アセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせとの重量比が、1:700〜1:30000である、(3)または(6)に記載の飲料。
(8)ショ糖3〜15重量%溶液と同等の甘味を有する濃度のアセスルファムカリウムとスクラロースとの組み合わせを含んでなり、酸味付与物質が酸度0.05〜0.4%であり、クワシンが0.02ppm以上0.1ppm未満である、(3)〜(7)のいずれかに記載の飲料。
(9)飲料が、炭酸飲料である、(1)〜(8)のいずれかに記載の飲料。
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例I:苦味付与物質および酸味付与物質の高甘味度甘味料の味質改善効果
(1)飲料の調製
飲料の調製には、全イオン交換水を使用した。飲料に、表1に示す割合で高甘味度甘味料(アセスルファムK(商品名サネット(ニュートリノヴァ社製))およびスクラロース(商品名スクラロース(三栄原エフ・エフ・アイ社製)))、酸味付与物質(クエン酸および/またはリン酸)、苦味付与物質(クワシン、イソα酸、ナリンジン、カフェイン、トリブチルシトレートとトリエチルシトレートの混合物)を添加し、各サンプル飲料を調製した。各サンプル飲料は殺菌処理を行わなかった。
(2)飲料の評価
(1)で調製された各サンプル飲料を、官能評価試験に供した。具体的には、良く訓練され、飲料の評価に熟練したパネル5名により、以下の基準で官能評価を行った。
[味質の評価]
ボディ感
++++:ボディ感が極めて強い。
+++:ボディ感が非常に強い。
++:ボディ感が強い。
+:ボディ感がある。
±:ボディ感が少し弱い。
−:ボディ感が弱い。
後切れ
++++:後切れが極めて強い。
+++:後切れが非常に強い。
++:後切れが強い。
+:後切れがある。
±:後切れが少し弱い。
−:後切れが弱い。
(各パネルがディスカッションを行いながら決定した。)
官能評価試験の結果は以下の通りであった。
Figure 0005887004
高甘味度甘味料を含んでなる飲料に、苦味付与物質としてクワシンを0.02〜0.1ppmで添加した場合、ボディ感が増し、後引きが少なくなったことから、高甘味度甘味料の味質が改善されたことが確認された(実施例7、9、11、13)。また、苦味付与物質としてイソα酸を0.25〜1ppmで添加した場合も、ボディ感が増し、後引きが少なくなったことから、高甘味度甘味料の味質が改善されたことが確認された(実施例25、27、29)。味質改善の程度は苦味付与物質濃度依存的に増加した。
苦味付与物質としてクワシンとイソα酸を混合した場合も、ボディ感が増し、後引きが少なくなったことから、高甘味度甘味料の味質が改善されたことが確認された(実施例39〜42)。
一方、苦味付与物質として、ナリンジン、カフェイン、トリブチルシトレートとトリエチルシトレートの混合物を添加しても、高甘味度甘味料の味質改善効果は認められなかった(実施例15〜22および31〜38)。
高甘味度甘味料を含んでなる飲料に、酸味付与物質としてリン酸を添加した場合、ボディ感が増し、後引きが少なくなったことから、高甘味度甘味料の味質が改善されたことが確認された(実施例1)。酸味付与物質としてクエン酸を添加した場合、味質の改善がわずかに認められた(実施例43)。
高甘味度甘味料を含んでなる飲料に、苦味付与物質としてクワシンを添加し、さらに酸味付与物質としてクエン酸を添加した場合、クワシン単独で添加するよりも、味質改善の程度が増加した(実施例10、12、14)。苦味付与物質としてイソα酸を添加し、さらに酸味付与物質としてクエン酸を添加した場合も、イソα酸単独で添加するよりも、味質改善の程度が増加した(実施例26、28、30)。なお、苦味付与物質の効果が認められない濃度においては、酸味付与物質の添加による効果は認められなかった(実施例8、24)。
以上の結果から、苦味付与物質と酸味付与物質とを添加することにより、高甘味度甘味料の味質を改善できることが確認された。
実施例II:苦味付与物質の高甘味度甘味料の味質改善効果
実施例Iにおいて、苦味付与物質としてイソα酸を添加した場合に、濃度依存的にボディ感が増し、後引きが少なくなったことから、さらに高濃度での効果を検証した。
(1)飲料の調製
飲料の調製には、全イオン交換水を使用した。飲料に、表2に示す割合で高甘味度甘味料(アセスルファムK(商品名サネット(ニュートリノヴァ社製))およびスクラロース(商品名スクラロース(三栄原エフ・エフ・アイ社製)))、酸味付与物質(リン酸)、苦味付与物質(イソα酸)を添加し、各サンプル飲料を調製した。各サンプル飲料は殺菌処理を行わなかった。
(2)飲料の評価
(1)で調製された各サンプル飲料を、官能評価試験に供した。具体的には、良く訓練され、飲料の評価に熟練したパネル6名により行った。官能評価の基準は実施例Iと同様である。
官能評価試験の結果は以下の通りであった。
Figure 0005887004
高甘味度甘味料を含んでなる飲料に、苦味付与物質としてイソα酸を10〜45ppm添加した場合、ボディ感が顕著に増し、また、後引きが顕著に少なくなったことから、高甘味度甘味料の味質が改善されたことが確認された(実施例44〜49)。
以上の結果から、イソα酸は、高濃度であっても、高甘味度甘味料の味質を改善できることが確認された。
実施例III:酸味付与物質の高甘味度甘味料の味質改善効果
実施例Iにおいて、酸味付与物質としてクエン酸および/またはリン酸を一定量添加した場合に、ボディ感が増し、後引きが少なくなったことから、さらに低濃度での効果を検証した。
(1)飲料の調製
飲料の調製は、実施例IIと同様に、表3に示す割合となるように行った。
(2)飲料の評価
(1)で調製された各サンプル飲料を、官能評価試験に供した。具体的には、良く訓練され、飲料の評価に熟練したパネル6名により行った。官能評価の基準は実施例Iと同様である。
官能評価試験の結果は以下の通りであった。
Figure 0005887004
高甘味度甘味料を含んでなる飲料に、酸味付与物質としてリン酸を100〜2000ppm添加した場合、濃度依存的にボディ感が増し、後引きが少なくなったことから、高甘味度甘味料の味質が改善されたことが確認された(実施例51〜55)。
以上の結果から、酸味付与物質は、低濃度であっても、高甘味度甘味料の味質を改善できることが確認された。
実施例IV:飲料中の高甘味度甘味料の濃度についての検討
飲料中の高甘味度甘味料が比較的低濃度であっても、本発明の効果を奏されるか否かについて検証した。
(1)飲料の調製
飲料の調製は、実施例IIと同様に、表4に示す割合となるように行った。
(2)飲料の評価
(1)で調製された各サンプル飲料を、官能評価試験に供した。具体的には、良く訓練され、飲料の評価に熟練したパネル6名により行った。官能評価の基準は実施例Iと同様である。
官能評価試験の結果は以下の通りであった。
Figure 0005887004
高甘味度甘味料としてアセスルファムKを25ppm程度のみ含有する飲料(比較例3)であっても、アセスルファムK200ppmおよびスクラロース100ppmを含有する飲料(比較例1)と同様に、ボディ感がなく、後切れが悪かった。しかし、イソα酸またはリン酸を添加すると、ボディ感および後切れともに改善される傾向がみられた(実施例56および57)。また、イソα酸およびリン酸を添加すると、ボディ感が増し、後引きが少なくなった(実施例58)。
以上の結果から、高甘味度甘味料が比較的低濃度であっても、本発明による効果が奏されることが確認された。
実施例V:炭酸飲料における効果の確認
(1)飲料の調製
飲料の調製には、全イオン交換水を使用した。飲料に、表5に示す割合で高甘味度甘味料(アセスルファムKおよびスクラロース)、酸味付与物質(クエン酸およびリン酸)、苦味付与物質(クワシン)を添加し、各サンプル飲料を調製した。高甘味度甘味料等は実施例1で使用したものと同じである。炭酸ガスの添加は高濃度炭酸水(ガス水)を用いたポストミックス法で行った。殺菌処理は、65℃10分で行った。
(2)飲料の評価
(1)で調製された各サンプル飲料を、官能評価試験に供した。官能評価試験は実施例Iと同様である。
官能評価試験の結果は以下の通りであった。
Figure 0005887004
炭酸ガスの添加により、高甘味度甘味料の味質改善効果の程度が増加することが確認された。この結果から、苦味付与物質と酸味付与物質による高甘味度甘味料の味質改善効果は、炭酸飲料でより効果が高いことがわかった。また、殺菌処理を行っても、味質改善効果に影響を与えないことが確認された。
実施例VI:完全無アルコール飲料における効果の確認
(1)飲料の調製
飲料の調製には、全イオン交換水を使用した。飲料に、表6に示す割合でモルトパウダー(商品名ピュアモルトRD34(DSP五協フード&ケミカル社製)、高甘味度甘味料(アセスルファムK)、酸味付与物質(リン酸)、苦味付与物質(イソα酸)を添加し、各サンプル飲料を調製した。高甘味度甘味料等は実施例Iで使用したものと同じである。炭酸ガスの添加は高濃度炭酸水(ガス水)を用いたポストミックス法で行った。殺菌処理は、65℃10分で行った。
(2)飲料の評価
(1)で調製された各サンプル飲料を、官能評価試験に供した。具体的には、良く訓練され、飲料の評価に熟練したパネル6名により行った。官能評価の基準は実施例Iと同様である。
官能評価試験結果は以下の通りであった。
Figure 0005887004
飲料のベースを麦芽抽出物とした場合、炭酸ガスのみの添加では、大きな効果は得られないことが確認された(実施例59)。一方、苦味付与物質および酸味付与物質を添加すること味質改善効果が得られることが確認された(実施例60)。さらに、炭酸ガスを添加することで、顕著な味質改善効果が得られることが確認された(実施例61)。殺菌処理を行っても、味質改善効果に影響を与えないことも確認された。

Claims (8)

  1. 酸味付与物質とイソα酸とを含んでなる、原料として麦芽を使用しない高甘味度甘味料含有非アルコール低カロリー炭酸飲料であって、高甘味度甘味料の味質が改善され、高甘味度甘味料としてアセスルファムカリウムおよび/またはスクラロースを含んでなり、酸味付与物質が酸度0.01〜0.4%で存在し、かつ、イソα酸が0.25〜45ppmで存在する、炭酸飲料。
  2. イソα酸と、アセスルファムカリウム、スクラロースまたはこれらの組み合わせとの重量比が、1:0.26〜1:2400である、請求項1に記載の炭酸飲料。
  3. 酸味付与物質が、クエン酸および/またはリン酸を含むものである、請求項1または2に記載の炭酸飲料。
  4. 飲料が容器詰め飲料である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭酸飲料。
  5. 飲料中のイソα酸濃度を0.25〜45ppmに調整し、かつ、飲料中の酸味付与物質濃度を酸度0.01〜0.4%に調整することを特徴とする、高甘味度甘味料の味質が改善された、原料として麦芽を使用しない高甘味度甘味料含有非アルコール低カロリー炭酸飲料の製造方法。
  6. イソα酸と、アセスルファムカリウム、スクラロースまたはこれらの組み合わせとの重量比が、1:0.26〜1:2400である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 酸味付与物質がクエン酸および/またはリン酸を含むものである、請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 飲料が容器詰め飲料である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
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