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JP4721755B2 - 錯体、光電変換素子および色素増感型太陽電池 - Google Patents

錯体、光電変換素子および色素増感型太陽電池 Download PDF

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JP4721755B2
JP4721755B2 JP2005118636A JP2005118636A JP4721755B2 JP 4721755 B2 JP4721755 B2 JP 4721755B2 JP 2005118636 A JP2005118636 A JP 2005118636A JP 2005118636 A JP2005118636 A JP 2005118636A JP 4721755 B2 JP4721755 B2 JP 4721755B2
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Description

本発明は、錯体、光電変換素子および色素増感型太陽電池に関する。
太陽光エネルギを電気エネルギに変換して利用することができる太陽電池は、21世紀に懸念される地球埋蔵エネルギである石油、石炭または天然ガスなどの化石エネルギの枯渇、化石エネルギの大量消費による二酸化炭素排出が加速する地球温暖化およびそれに起因するとされる異常気象に対処するための研究開発課題となっている。現在実用化されている太陽電池は多結晶またはアモルファスシリコンを用いたものが主流となっているが、経済コストや製造プロセスにおけるエネルギコストが高いなどの問題点がある。一方、多結晶またはアモルファスシリコンの太陽電池に代わる色素増感型太陽電池は、B.O’Regan and M.Gratzel,Nature 353,737(1991)または特許第2664194号公報に記載されているように低コストである、および構造が単純で製造が容易であるなどの長所を有する。
この色素増感型太陽電池は、色素を含む半導体層からなる光電変換素子を有する電極、対電極および液体電解質などからなるキャリア輸送層を少なくとも含んでいる。光電変換素子に用いられるTiO2層などの半導体層はバンドギャップが大きく、単独では太陽光の紫外光しか利用することができないが、半導体層に含まれる色素の増感作用により、太陽光の可視光を利用した光電変換を実現することができる。したがって、色素増感型太陽電池に用いられる色素として求められる性質としては、たとえば、
(1)広い波長範囲の太陽光を吸収することができること、
(2)励起された状態から半導体層への電子移動が効果的に起こること、
(3)電子を半導体層に渡して酸化型となった後に速やかにキャリア輸送層中の還元剤によって還元型に再生されること、および
(4)太陽光の照射下で分解などの劣化を起こさず長時間安定に存在すること、などがある。
これまで、色素増感型太陽電池用の色素として様々な化合物が報告されているが、その中でもっとも広く使われているのはシス−ジ(チオシアノ)−ビス(2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)錯体またはトリ(チオシアノ)−2,2’,2’’−ターピリジン−4,4’,4’’−トリカルボン酸)ルテニウム(II)錯体である。しかし、実用的な色素増感型太陽電池として使用するためには、より高い変換効率を実現する必要があり、そのためには、さらに広い波長範囲の太陽光を吸収することができる高性能な色素が不可欠となる。そこで、たとえば特開2002−193935号公報には、ピリジン4量体(ジ(チオシアノ)−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン−4,4’,4’’,4’’’−テトラカルボン酸)ルテニウム(II)誘導体が開示されている。しかし、特開2002−193935号公報に開示された合成方法では、ピリジン環に結合する4つの置換基がすべて同一のものしか合成することができないという問題があった。また、この色素を用いた色素増感型太陽電池の性能については記載されていなかった。
特許第2664194号公報 特開2002−193935号公報 B.O’Regan and M.Gratzel,Nature 353,737(1991)
本発明の目的は、錯体、光電変換素子および色素増感型太陽電池を提供することにある。
発明は、下記の式(IV)、(V)または(VI)で表される、錯体である。
Figure 0004721755
Figure 0004721755
Figure 0004721755
また、本発明は、半導体層を含み、半導体層は上記のいずれかの錯体を含むことを特徴とする光電変換素子である。ここで、半導体層は、酸化チタンまたは酸化スズからなることが好ましい。
さらに、本発明は、上記のいずれかの光電変換素子を含む電極と、対電極と、光電変換素子を含む電極と対電極との間に設置されたキャリア輸送層と、を含む、色素増感型太陽電池である。
本発明によれば、錯体、光電変換素子および色素増感型太陽電池を提供することができる。
(クォータピリジン誘導体)
本発明のクォータピリジン誘導体は、下記の式(I)で表され、
Figure 0004721755
式(I)において、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に−OR’、−COOR’、−CONR’、−CHO、−CH2OR’、−CN、炭素数1〜40のアルキル基、ハロゲンまたは−COONR’を表し、R’はそれぞれ独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基を表しており、式(I)において、m1およびm4はそれぞれ独立に0〜4のいずれかの整数を表し、m2およびm3はそれぞれ独立に0〜3のいずれかの整数を表しており、m1+m2+m3+m4>0であることを特徴とする。
式(I)において、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ互いに異なる基を表していてもよく、R1、R2、R3およびR4の2つ以上が同一の基を表していてもよい。また、式(I)において、R1、R2、R3およびR4の結合位置は、R1が左から一番目のピリジン、R2が左から二番目のピリジン、R3が右から二番目のピリジンおよびR4が右から一番目のピリジンと結合するものであれば特に限定はされない。R1、R2、R3およびR4によって表され得る−OR’、−COOR’、−CONR’、−CHO、−CH2OR’、−CNおよび−COONR’の基中の「O」は酸素を表し、「C」は炭素を表し、「N」は窒素を表し、「H」は水素を表していることは言うまでもない。また、R1、R2、R3およびR4のうち2つ以上が「R’」を含む基を表している場合、それぞれの「R’」はすべて同一のものを表していてもよく、すべて同一のものを表していなくてもよい。
また、式(I)において、m1はR1の結合数を表し、m2はR2の結合数を表し、m3はR3の結合数を表し、m4はR4の結合数を表しており、m1およびm4はそれぞれ独立に0〜4のいずれかの整数を表し、m2およびm3はそれぞれ独立に0〜3のいずれかの整数を表しているが、m1+m2+m3+m4>0の関係を有している(すなわち、m1、m2、m3およびm4はすべて同時に0を表すことはない)。また、m1が2以上の整数を表す場合には、それぞれのR1はすべて同一の基を表していてもよく、すべて同一の基を表していなくてもよく、R1は互いに結合して環を形成していてもよい。また、m2が2以上の整数を表す場合には、それぞれのR2はすべて同一の基を表していてもよく、すべて同一の基を表していなくてもよく、R2は互いに結合して環を形成していてもよい。また、m3が2以上の整数を表す場合には、それぞれのR3はすべて同一の基を表していてもよく、すべて同一の基を表していなくてもよく、R3は互いに結合して環を形成していてもよい。また、m4が2以上の整数を表す場合には、それぞれのR4はすべて同一の基を表していてもよく、すべて同一の基を表していなくてもよく、R4は互いに結合して環を形成していてもよい。
(錯体)
本発明の錯体は、下記の式(II)で表され、
ML(X1)(X2) ----------------(II)
式(II)において、Mは中心原子を表し、Lは上記の式(I)で表されるクォータピリジン誘導体を表し、X1およびX2はそれぞれ独立にCl、Br、CN、NCSまたはNCOを表すことを特徴とする。式(II)において、L、X1およびX2で表される単体または化合物はそれぞれMで表される中心原子に配位結合する配位子である。ここで、式(II)において、Mは、上記のL、X1およびX2で表される配位子とそれぞれ配位結合を可能とする観点から、Ru(ルテニウム)、Fe(鉄)、Os(オスミウム)、Cu(銅)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、Ni(ニッケル)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Co(コバルト)、Ir(イリジウム)、Rh(ロジウム)、Re(レニウム)、Mn(マンガン)またはZn(亜鉛)を表すことが好ましく、特にRu、Fe、OsまたはCuを表すことが好ましく、最も好ましくはRuを表すことが好ましい。また式(II)において、X1およびX2はそれぞれNCSを表すことが好ましい。X1およびX2がそれぞれNCSを表す場合には、式(II)で表される錯体を色素として半導体層に含有させた色素増感型太陽電池において、半導体層からの逆電流を有効に抑止することができる傾向にある。
また、本発明の錯体は、下記の式(III)で表され、
Figure 0004721755
式(III)において、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に−OR’、−COOR’、−CONR’、−CHO、−CH2OR’、−CN、炭素数1〜40のアルキル基、ハロゲンまたは−COONR’を表し、R’はそれぞれ独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基を表しており、式(III)において、m1およびm4はそれぞれ独立に0〜4のいずれかの整数を表し、m2およびm3はそれぞれ独立に0〜3のいずれかの整数を表しており、m1+m2+m3+m4>0であることを特徴とする。
式(III)において、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ互いに異なる基を表していてもよく、R1、R2、R3およびR4の2つ以上が同一の基を表していてもよい。また、式(III)において、R1、R2、R3およびR4の結合位置は、R1が左から一番目のピリジン、R2が左から二番目のピリジン、R3が右から二番目のピリジンおよびR4が右から一番目のピリジンと結合するものであれば特に限定はされない。R1、R2、R3およびR4によって表され得る−OR’、−COOR’、−CONR’、−CHO、−CH2OR’、−CNおよび−COONR’の基中の「O」は酸素を表し、「C」は炭素を表し、「N」は窒素を表し、「H」は水素を表していることは言うまでもない。また、R1、R2、R3およびR4のうち2つ以上が「R’」を含む基を表している場合、それぞれの「R’」はすべて同一のものを表していてもよく、すべて同一のものを表していなくてもよい。
また、式(III)において、m1はR1の結合数を表し、m2はR2の結合数を表し、m3はR3の結合数を表し、m4はR4の結合数を表しており、m1およびm4はそれぞれ独立に0〜4のいずれかの整数を表し、m2およびm3はそれぞれ独立に0〜3のいずれかの整数を表しているが、m1+m2+m3+m4>0の関係を有している(すなわち、m1、m2、m3およびm4はすべて同時に0を表すことはない)。また、m1が2以上の整数を表す場合には、それぞれのR1はすべて同一の基を表していてもよく、すべて同一の基を表していなくてもよく、R1は互いに結合して環を形成していてもよい。また、m2が2以上の整数を表す場合には、それぞれのR2はすべて同一の基を表していてもよく、すべて同一の基を表していなくてもよく、R2は互いに結合して環を形成していてもよい。また、m3が2以上の整数を表す場合には、それぞれのR3はすべて同一の基を表していてもよく、すべて同一の基を表していなくてもよく、R3は互いに結合して環を形成していてもよい。また、m4が2以上の整数を表す場合には、それぞれのR4はすべて同一の基を表していてもよく、すべて同一の基を表していなくてもよく、R4は互いに結合して環を形成していてもよい。また、式(III)において、MはRuを表し、X1およびX2はそれぞれNCSを表す。
また、式(III)で表される錯体のさらに好ましい具体例としては、下記の式(IV)、式(V)および式(VI)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004721755
Figure 0004721755
Figure 0004721755
(光電変換素子)
本発明の光電変換素子は、半導体層を含み、半導体層は上記のいずれかの錯体を含むことを特徴とする。ここで、半導体層は、たとえば導電性支持体上に形成される。この半導体層の形成方法としては特に限定されず公知の方法を用いることができ、たとえば以下の(i)〜(iv)の方法を用いることができる。
(i)半導体層を構成する半導体微粒子を含有する懸濁液を導電性支持体上に塗布し、乾燥および焼成して導電性支持体上に半導体層を形成する方法。
(ii)所望の原料ガスを用いたCVD法およびMOCVD法などにより、導電性支持体上に半導体層を形成する方法。
(iii)原料固体を用いた蒸着法またはスパッタリング法などのPVD法により、導電性支持体上に半導体層を形成する方法。
(iv)ゾルゲル法、電気化学的な酸化還元反応を利用した方法などにより、導電性支持体上に半導体層を形成する方法。
また、半導体層を構成する材質としては、たとえば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄、酸化二オブ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化亜鉛、リン化インジウムまたは銅−インジウムの硫化物(たとえばCuInS2)などの1種以上を用いることができる。なかでも、半導体層は、良好な安定性および安全性の観点から、酸化チタンまたは酸化スズからなることが好ましい。
また、半導体層を構成する半導体は単結晶または多結晶のいずれであってもよいが、安定性、結晶成長の困難さおよび製造コストの観点から、多結晶であることが好ましい。また、半導体層は、粒径が1nm〜1000nmの半導体微粒子から構成されることが好ましい。また、粒径が異なる2種以上の半導体微粒子を用いてもよい。粒径が異なる2種以上の半導体微粒子を用いる場合には、各半導体微粒子の材質は同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、半導体層は、上記の本発明の錯体を含んでいる。ここで、半導体層に本発明の錯体を含有させる方法としては、たとえば本発明の錯体を溶解した有機溶媒に半導体層を浸漬する方法または本発明の錯体を溶解した有機溶媒を半導体層に塗布する方法などがある。これらの方法を用いることによって、本発明の錯体を半導体層中に吸着させ、半導体層中に含ませることができる。
(色素増感型太陽電池)
本発明は、上記の本発明の光電変換素子を含む電極と、対電極と、光電変換素子を含む電極と対電極との間に設置されたキャリア輸送層と、を含む、色素増感型太陽電池である。ここで、本発明の光電変換素子を含む電極は、たとえば導電性支持体上に上記の本発明の光電変換素子を形成することによって得ることができる。本発明に用いられる導電性支持体としては、たとえば金属、またはSnO2(酸化スズ)、ITO、CuIあるいはZnOなどからなる透明導電膜のように導電性支持体自体が導電性を有するものを用いることができる。また、本発明で用いられる導電性支持体としては、ガラス、プラスチックまたは透明ポリマーシートなどからなる絶縁基板の表面に導電層を形成したものを用いることもできる。ここで、導電層は、たとえば金、白金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、導電性カーボン、ITOまたはSnO2などの導電性材料を公知の方法によって絶縁基板の表面に形成することによって得ることができる。なお、透明ポリマーシートとしては、たとえばテトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)またはフェノキシ樹脂などを用いることができる。
また、本発明に用いられる対電極は導電性であれば特に限定はされず、対電極としてはたとえばn型あるいはp型の半導体、金、白金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン、タンタルあるいはタングステンなどの金属、またはSnO2、ITO、CuIあるいはZnOなどの透明導電膜などを用いることができる。また、本発明に用いられる対電極としては、ガラス、プラスチックまたは透明ポリマーシートなどからなる絶縁基板の表面に導電層を形成したものを用いることもできる。ここで、導電層としては、たとえば金、白金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、導電性カーボン、ITOまたはSnO2などの導電性材料を公知の方法を用いて形成することによって得ることができる。なお、透明ポリマーシートとしては、たとえばテトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)またはフェノキシ樹脂などを用いることができる。また、対電極の導電層の表面には白金などからなる保護層を形成してもよい。
また、本発明に用いられるキャリア輸送層としては、たとえばポリビニルカルバゾールあるいはトリフェニルアミンなどのホール輸送材料、テトラニトロフロレノンなどの電子輸送材料、ポリチオフェンあるいはポリピロールなどの導電性ポリマー、液体電解質あるいは高分子電解質などのイオン導電体、ヨウ化銅またはチオシアン酸銅などを用いることができる。なかでも、本発明に用いられるキャリア輸送層としてはイオン導電体を用いることが好ましく、酸化還元性電解質を含む液体電解質を用いることがより好ましい。ここで、酸化還元性電解質としては、たとえばI-/I3-系、Br2-/Br3-系、Fe2+/Fe3+系またはキノン/ハイドロキノン系などの酸化還元種を含有させたものなどを用いることができる。酸化還元種としては、たとえば、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)あるいはヨウ化カルシウム(CaI2)などの金属ヨウ化物とヨウ素(I2)との組み合わせ、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)あるいはテトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)などのテトラアルキルアンモニウム塩とヨウ素との組み合わせ、または臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)あるいは臭化カルシウム(CaBr2)などの金属臭化物と臭素との組み合わせが好ましく、これらの中でもLiIとI2との組み合わせが特に好ましい。また、液体電解質中の電解質濃度は、0.1〜1.5モル/リットルの範囲が好ましく、0.1〜0.7モル/リットルの範囲が特に好ましい。
また、液体電解質の溶媒としては、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、水、または非プロトン極性物質などを用いることができるが、これらの中でもカーボネート化合物および/またはニトリル化合物を用いることが特に好ましい。また、これらの溶媒は2種以上を混合して用いることもできる。
また、液体電解質には添加剤を添加してもよい。ここで、添加剤としては、たとえばt−ブチルピリジン(TBP)などの窒素含有芳香族化合物、またはジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)あるいはヘキシルメチルイミダゾールアイオダイド(HMII)などのイミダゾール塩などを用いることができる。
また、高分子電解質としては、たとえばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンサクシネート、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィドなどの高分子化合物またはそれらの架橋体、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルキレンオキサイドなどの高分子官能基に、ポリエーテルセグメントまたはオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として付加したものまたはそれらの共重合体などが挙げられ、その中でもオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として有するものやポリエーテルセグメントを側鎖として有するものが好ましい。
図1に、本発明の色素増感型太陽電池の好ましい一例の模式的な拡大断面図を示す。本発明の色素増感型太陽電池は、絶縁基板8上に透明導電膜7が形成されてなる導電性支持体9と、複数の半導体粒子6からなる半導体層と、半導体粒子6の表面に吸着している本発明の錯体5と、キャリア輸送層4と、絶縁基板1上に透明導電膜2および白金層3が順次形成された対電極12と、を含んでいる。ここで、本発明の錯体5と、複数の半導体粒子6からなる半導体層と、から本発明の光電変換素子10が形成され、この光電変換素子10と導電性支持体9とから光電変換素子を含む電極11が形成されている。
このような構成の本発明の色素増感型太陽電池に太陽光が入射すると、錯体5は太陽光を吸収して励起する。この励起によって発生する電子は半導体粒子6に移動し、次いで、透明導電膜7から外部回路を通って対電極12の透明導電膜2に移動する。そして、電子は透明導電膜2から白金層3を通ってキャリア輸送層4中の酸化還元系を還元する。一方、半導体粒子6に電子を移動させた錯体5は、酸化体の状態になっているが、この酸化体は、キャリア輸送層4中の酸化還元系によって還元されて、もとの状態に戻る。このようなプロセスにおける電子の流れを介して、光エネルギが連続的に電気エネルギに変換される。
(実施例1)
(1)錯体の合成
(a)2−トリブチルスタンニル−4−ピコリンの合成
Figure 0004721755
2−ブロモピコリン(20.0g、116.3ミリモル)の無水THF溶液(200mL、−78℃)に、1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(72.6mL、116.3ミリモル)を滴下して加えた。この反応系を−78℃にて30分間攪拌した後、トリブチル塩化スズ(31.6mL、116.3ミリモル)を添加し、さらに60分間攪拌した後、室温まで温めた。この反応系にNH4Cl飽和水溶液(100mL)を加えて、相を分離した。水相をジエチルエーテル(200mL)で3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。生じた油状物をアルミナカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル/へキサン=1/20(V/V))により精製した。収率:83%。分析した結果は次のとおりである。C1833NSn:計算値:C,56.57;H,8.70;N,3.67;実測値:C,56.42;H,8.72;N,3.44。MS(ESIMS):m/z:383。
(b)6−ブロモ−4’−メチル−2,2’−ビピリジンの合成
Figure 0004721755
2−トリブチルスタンニル−4−ピコリン(6.23g、16.3ミリモル)、2,6−ジブロモピリジン(9.08g、38.7ミリモル)およびPd(PPh34(0.613g、0.003当量)をトルエン(150mL)中アルゴン雰囲気下で72時間還流した。室温まで冷却した際、反応系を濃縮し、6MのHCl(50mL)を添加して塩化メチレン(100mL)で3回抽出することによって、原料2,6−ジブロモピリジンと副成分ターピリジンなどの成分を取り除いた。合わせた水相をアンモニア水溶液(28%)を加えることにより中和した。続いて、過剰量のNiCl2・6H2Oを加えるとともに、塩化メチレン(100mL)で3回抽出すると褐色溶液が得られた。この褐色溶液をNa2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去することによって褐色油状物が得られた。この褐色油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル/へキサン=1/4(V/V))により精製した。収率:69%。C1192Br:計算値:C,53.04;H,3.64;N,11.25;実測値:C,53.12;H,3.62;N,11.21。MS(ESIMS):m/z:250。
(c)6−ブロモ−4’−カルボキシ−2,2’−ビピリジンの合成
Figure 0004721755
濃硫酸(30mL)に、6−ブロモ−4’−メチル−2,2’−ビピリジン(13.5g、40.1ミリモル)を添加し、十分攪拌するとともに溶液を0℃まで冷却した。続いて、この溶液に二クロム酸カリウム(41.6g、120.3ミリモル)を少量ずつ添加した。その後、70〜80℃で4時間維持した。室温まで冷却してからさらに10時間反応させた。反応後、反応系を氷水(1L)に注いで、白色固体を析出させた。この懸濁液をろ過し、水で洗浄することによって薄黄色固体を得た。この薄黄色固体を水に添加し、激しく攪拌しながら、完全に溶液が塩基性になるまで懸濁液に固体の水酸化カリウムを加えた。この懸濁液をろ過し、ろ液を濃塩酸で酸化すると再び白色固体が沈殿した。懸濁液をメンブレンでろ過し、水、メタノールおよびエーテルで洗浄した。収率:90.6%。C1372BrO2:計算値:C,47.34;H,2.53;N,11.47;実測値:C,47.44;H,2.47;N,11.23。MS(ESIMS):m/z:279。
(d)6−ブロモ−4’−エトキシカルボニル−2,2’−ビピリジンの合成
Figure 0004721755
無水エタノール溶液(200mL)中の6−ブロモ−4’−カルボキシ−2,2’−ビピリジン(8.8g、31.5ミリモル)の懸濁液に、20mLの濃硫酸を添加した。この混合物を4時間還流し、透明な溶液を得た後、室温まで冷却した。次いで、25%のアンモニア水をpH>7になるまで添加した。続いて、過剰量のNiCl2・6H2Oを加えるとともに、塩化メチレン(100mL)で3回抽出することによって、薄褐色溶液を得た。この薄褐色溶液をNa2SO4で乾燥し、ろ紙でろ過し、ろ液を減圧下で濃縮することによって薄褐色固体を得た。さらに、エタノールで再結晶化することにより精製した。収率:90%。分析した結果は次のとおりである。C1311BrN22:計算値:C,50.84;H,3.61;N,9.12;実測値:C,50.65;H,3.92;N,9.33。MS(ESIMS):m/z:307.0。
(e)4,4’’’−ジエトキシカルボニル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジンの合成
Figure 0004721755
NiBr2(PPh32(100mg、0.144ミリモル)、Zn(120mg、1.89ミリモル)およびn−Bu4NI(86mg、0.233ミリモル)の混合物に20mLのTHF溶液を加え、緑色溶液から黒色溶液になった時点で6−ブロモ−4’−エトキシカルボニル−2,2’−ビピリジン(70mg、0.229ミリモル)およびTHF溶液(20mL)を加えて、50℃で16時間反応させた。25%アンモニア水溶液(60mL)を加えるとすぐ無色溶液になった。合わせた有機相を水(100mL)3回と飽和NaCl水溶液(100mL)1回で洗浄した。そして、有機相をさらにNa2SO4で乾燥した後、濃縮した。残液を濃塩酸(20mL)で溶かし、塩化メチレン(50mL)で抽出することによって、未反応の原料を取り除いた。そして、未反応の原料の除去後の濃塩酸を合わせた水相をNa2CO3で中和し、塩化メチレン(100mL)で抽出した。続いて、有機相をNa2SO4で乾燥し、濃縮することによって白色固体が得られた。さらにヘキサン/酢酸エチル(4/1、v/v)を用いるシリカのカラムクロマトグラフィにより精製した。収率:38.6%。分析した結果は次のとおりである。C262244:計算値:C,68.71;H,4.88;N,12.33;実測値:C,68.67;H,4.70;N,12.33。MS(FABMS):m/z:454.5。
(f)Ru(4,4’’’−ジエトキシカルボニル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン)Cl2の合成
Figure 0004721755
アルゴン雰囲気下でエタノール溶液(20mL)を加熱しながら[Ru(p−cymene)Cl2]2(21.6mg、0.035ミリモル)を溶かした後、4,4’’’−ジエトキシカルボニル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン(32mg、0.070ミリモル)を添加し、反応系を6時間にて還流することによって黒色懸濁液を得た。これを室温まで冷却した後にろ過し、エタノールで洗浄することによって、精製した。収率:98%。分析した結果は次のとおりである。C26224Cl24Ru:計算値:C,49.85;H,3.54;N,8.94;Cl,11.32;実測値:C,49.84;H,3.70;N,8.93;Cl,11.50。MS(ESIMS):m/z:626.5。
(g)Ru(2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン−4,4’’’−ジカルボン酸)(NCS)2の合成
Figure 0004721755
Ru(4,4’’’−ジエトキシカルボニル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン)Cl2(43.2mg、0.069ミリモル)と過剰量NH4SCN(350mg、4.6ミリモル)をDMF(35mL)と水(15mL)の混合溶媒下で3時間還流した後、トリエチルアミン(10mL)を添加し、さらに反応系を24時間還流させた。室温まで冷却した際、反応系を濃縮し、0.5Mの塩酸で再沈殿することによって精製した。収率:85%。分析した結果は次のとおりである。C241464RuS2:計算値:C,46.82;H,2.29;N,13.65;実測値:C,46.67;H,2.35;N,13.33。MS(ESIMS):m/z:615.6。
(2)光電変換素子を含む電極および色素増感型太陽電池の製造
まず、市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名Ti-Nanoxide D、平均粒径13nm)を、ドクターブレード法により、透明導電膜であるSnO2膜が蒸着されたガラス基板(日本板硝子社製)の表面に塗布し、100℃で10分間予備乾燥した後に500℃で30分間焼成して膜厚16μmの酸化チタン膜からなる半導体層を形成した。
次に、実施例1において得られた錯体(上記の式(IV)で表される錯体)を5×10-4mol/Lの濃度となるようにエタノールに溶解して溶液を調製した。次いで、上記の酸化チタン膜を形成したガラス板をこの溶液中に5時間浸漬し、実施例1において得られた錯体を色素として酸化チタン膜に吸着させて、図1に示す構成の光電変換素子を含む電極を作製した。
上記と同じ構成のSnO2膜が蒸着されたガラス基板に白金膜を300nm蒸着して対電極を形成した。この対電極と上記の光電変換素子を含む電極との間に液体電解質を注入し、それらの側面を樹脂でシールした。液体電解質は、アセトニトリル(アルドリッチ社製)に、0.1MのLiI(アルドリッチ社製)、0.05MのI2(アルドリッチ社製)、0.5Mのt−ブチルピリジン(アルドリッチ社製)および0.6Mのヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム(四国化成社製)を溶解させたものを用いた。その後、各電極にリード線を取付けて、図1に示す構成の色素増感型太陽電池を得た。
(実施例2)
(1)錯体の合成
(a)2,6−ジヒドロキシ−4−メチル−ピリジンの合成
Figure 0004721755
2,6−ジヒドロキシ−4−メチル−3−ピリジンカルボニトリル(8.65g、57.6ミリモル)、濃H2SO4(24mL)および水(20mL)の混合物を、還流下で5時間加熱した。この混合物を氷で冷却し、固体NaHCO3で中和した。沈殿物をろ過し、水およびEt2Oで洗浄し、減圧下で乾燥して、2,6−ジヒドロキシ−4−メチル−ピリジンの混合物および遊離酸(脱カルボキシル化されていない)を得た。この混合物を次の反応ステップのためにさらなる精製をせずに用いた。収率:85%。分析した結果は次のとおりである。C2137NO2:計算値:C,75.17;H,11.12;N,4.17;O,9.54;実測値:C,75.03;H,11.09;N,4.25;O,9.38。MS(ESIMS):m/z:335.3。
(b)2,6−ジブロモ−4−メチル−ピリジンの合成
Figure 0004721755
2,6−ジヒドロキシ−4−メチル−ピリジン(2.48g、20.0ミリモル)およびPOBr3(8.60g、30.0ミリモル)を粉状にし、オートクレーブで180〜190℃の温度で5時間一緒に溶融した。冷却後、混合物を水で失活させ、ろ過した。合わせたろ液を塩化メチレン(100mL)で3回抽出した。塩化メチレン中ソックスレー抽出装置を用いる抽出を24時間行うことにより黄色溶液が得られた。この黄色溶液をNa2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をヘキサン/EtOAc(4/1、v/v)を用いるシリカのカラムクロマトグラフィにより精製した。収率:76.7%。分析した結果は次のとおりである。C65Br2N:計算値:C,28.72;H,2.01;Br,63.69;N,5.58;実測値:C,28.84;H,2.00;Br,69.50;N,5.70。MS(ESIMS):m/z:251.2。
(c)6−ブロモ−4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジンの合成
Figure 0004721755
2,6−ジブロモピリジンを2,6−ジブロモ−4−メチル−ピリジンに変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(b)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:60%。C12112Br:計算値:C,54.77;H,4.21;N,10.65;実測値:C,54.80;H,3.92;N,11.00。MS(ESIMS):m/z:263.1。
(d)6−ブロモ−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸の合成
Figure 0004721755
6−ブロモ−4’−メチル−2,2’−ビピリジンを6−ブロモ−4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジンに変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(c)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:85%。C1272BrO4:計算値:C,44.61;H,2.18;N,8.67;実測値:C,44.44;H,2.18;N,8.57。MS(FABMS):m/z:323.1。
(e)6−ブロモ−4,4’−ジエトキシカルボニル−2,2’−ビピリジンの合成
Figure 0004721755
6−ブロモ−4’−カルボキシ−2,2’−ビピリジンを6−ブロモ−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸に変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(d)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:95%。分析した結果は次のとおりである。C1615BrN24:計算値:C,50.68;H,3.99;N,7.39;実測値:C,50.65;H,3.89;N,7.33。MS(FABMS):m/z:379.0。
(f)6−トリブチルスタンニル−4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジンの合成
Figure 0004721755
2−ブロモピコリンを6−ブロモ−4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジンに変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(a)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:78%。分析した結果は次のとおりである。C24382Sn:計算値:C,60.91;H,8.09;N,5.92;実測値:C,60.88;H,8.02;N,5.95。MS(FABMS):m/z:473.4。
(g)4,4’−ジエトキシカルボニル−4’’,4’’’−ジメチル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジンの合成
Figure 0004721755
6−ブロモ−4’−エトキシカルボニル−2,2’−ビピリジンを6−ブロモ−4,4’−ジエトキシカルボニル−2,2’−ビピリジンに変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(e)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:54%。分析した結果は次のとおりである。C282644:計算値:C,69.69;H,5.43;N,11.61;実測値:C,69.71;H,5.62;N,11.21。MS(FABMS):m/z:483.5。
(h)Ru(4,4’−ジエトキシカルボニル−4’’,4’’’−ジメチル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン)Cl2の合成
Figure 0004721755
4,4’’’−ジエトキシカルボニル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジンを4,4’−ジエトキシカルボニル−4’’,4’’’−ジメチル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジンに変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(f)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:96%。分析した結果は次のとおりである。C28264Cl24Ru:計算値:C,51.38;H,4.00;N,8.56;Cl,10.83;実測値:C,51.84;H,3.90;N,8.53;Cl,10.70。MS(ESIMS):m/z:654.7。
(i)Ru(4’’,4’’’−ジメチル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン−4,4’−ジカルボン酸)(NCS)2の合成
Figure 0004721755
Ru(4,4’’’−ジエトキシカルボニル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン)Cl2をRu(4,4’−ジエトキシカルボニル−4’’,4’’’−ジメチル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン)Cl2に変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(g)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:88%。分析した結果は次のとおりである。C261864RuS2:計算値:C,48.52;H,2.82;N,13.06;実測値:C,48.48;H,2.85;N,13.00。MS(ESIMS):m/z:644.0。
(2)光電変換素子を含む電極および色素増感型太陽電池の製造
上記の式(IV)で表される錯体の代わりに、実施例2で得られた錯体(上記の式(V)で表される錯体)を用いたこと以外は実施例1と同様の手順で光電変換素子を含む電極および色素増感型太陽電池を作製した。
(実施例3)
(1)錯体の合成
(a)2,6−ジブロモ−4−ピリジン−カルボン酸の合成
Figure 0004721755
2,6−ジヒドロキシ−4−メチル−ピリジンを2,6−ジヒドロキシ−4−ピリジン−カルボン酸に変更したこと以外は、実施例2に記載のステップ(b)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:64%。分析した結果は次のとおりである。C63Br2NO2:計算値:C,25.65;H,1.08;Br,56.89;N,4.99;O,11.39;実測値:C,25.58;H,1.11;Br,56.87;N,5.98;O,11.35。MS(ESIMS):m/z:280.7。
(b)2,6−ジブロモ−4−エトキシカルボニル−ピリジンの合成
Figure 0004721755
6−ブロモ−4’−カルボキシ−2,2’−ビピリジンを2,6−ジブロモ−4−ピリジン−カルボン酸に変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(d)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:84%。分析した結果は次のとおりである。C87Br2NO2:計算値:C,31.10;H,2.28;Br,51.73;N,4.53;O,10.36;実測値:C,31.30;H,2.29;Br,51.87;N,4.40;O,10.39。MS(ESIMS):m/z:309.1。
(c)6−ブロモ−4’−メチル−4−エトキシカルボニル−2,2’−ビピリジンの合成
Figure 0004721755
2,6−ジブロモピリジンを2,6−ジブロモ−4−エトキシカルボニル−ピリジンに変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(b)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:60%。分析した結果は次のとおりである。C14132BrO2:計算値:C,52.36;H,4.08;Br,24.88;N,8.72;O,9.96;実測値:C,52.40;H,3.98;Br,25.00;N,8.70;O,10.00。MS(ESIMS):m/z:321.2。
(d)4’’,4’’’−ジエトキシカルボニル−4,4’−ジメチル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジンの合成
Figure 0004721755
6−ブロモ−4’−エトキシカルボニル−2,2’−ビピリジンを6−ブロモ−4’−メチル−4−エトキシカルボニル−2,2’−ビピリジンに変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(e)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:62%。分析した結果は次のとおりである。C282644:計算値:C,69.69;H,5.43;N,11.61;実測値:C,69.69;H,5.52;N,11.51。MS(FABMS):m/z:483.0。
(e)Ru(4’’,4’’’−ジエトキシカルボニル−4,4’−ジメチル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン)Cl2の合成
Figure 0004721755
4,4’’’−ジエトキシカルボニル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジンを4’’,4’’’−ジエトキシカルボニル−4,4’−ジメチル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジンに変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(f)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:94%。分析した結果は次のとおりである。C28264Cl24Ru:計算値:C,51.38;H,4.00;N,8.56;Cl,10.83;実測値:C,51.54;H,3.95;N,8.53;Cl,10.73。MS(ESIMS):m/z:654.5。
(f)Ru(4,4’’’−ジメチル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン−4,4’’−ジカルボン酸)(NCS)2の合成
Figure 0004721755
Ru(4,4’’’−ジエトキシカルボニル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン)Cl2をRu(4’’,4’’’−ジエトキシカルボニル−4,4’−ジメチル−2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’−クォータピリジン)Cl2に変更したこと以外は、実施例1に記載のステップ(g)と同様の手順により表題の化合物を合成した。収率:67%。分析した結果は次のとおりである。C261864RuS2:計算値:C,48.52;H,2.82;N,13.06;実測値:C,48.50;H,2.85;N,13.04。MS(ESIMS):m/z:644.0。
(2)光電変換素子を含む電極および色素増感型太陽電池の製造
上記の式(IV)で表される錯体の代わりに、実施例3で得られた錯体(上記の式(VI)で表される錯体)を用いたこと以外は実施例1と同様の手順で光電変換素子を含む電極および色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例1)
特開2002−193935号公報に記載の下記の式(VII)で表される錯体を色素として用いたこと以外は実施例1と同様の手順で光電変換素子を含む電極および色素増感型太陽電池を作製した。
Figure 0004721755
(電池特性試験)
電池特性試験を行ない、実施例1〜3および比較例1の色素増感型太陽電池の変換効率ηを測定した。電池特性試験はソーラシミュレータ(ワコム製)を用い、AMフィルタ(AM−1.5)を通したキセノンランプから100mV/cm2の擬似太陽光を照射することにより行なった。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、開放電圧Voc(V)、短絡電流Jsc(mA/cm2)、曲線因子F.F.および起動開始直後における変換効率η(%)を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0004721755
表1から明らかなように、実施例1〜3の色素増感型太陽電池の変換効率ηは比較例1よりも高くなった。また、比較例1の錯体の2つカルボン酸基をそれぞれメチル基に置換した錯体を色素として用いた実施例2〜3の色素増感型太陽電池ではさらに変換効率ηが高くなった。
今回開示された実施の形態、合成例および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のクォータピリジン誘導体を用いて形成された本発明のルテニウム錯体を色素増感型太陽電池の色素として用いた場合には、従来から公知のルテニウム錯体と比べてより変換効率の高い色素増感型太陽電池を作製が可能となる。
本発明の色素増感型太陽電池の好ましい一例の模式的な拡大断面図である。
符号の説明
1,8 絶縁基板、2,7 透明導電膜、3 白金層、4 キャリア輸送層、5 錯体、6 半導体粒子、9 導電性支持体、10 光電変換素子、11 光電変換素子を含む電極、12 対電極。

Claims (4)

  1. 下記の式(IV)、(V)または(VI)で表される、錯体。
    Figure 0004721755
    Figure 0004721755
    Figure 0004721755
  2. 半導体層を含み、前記半導体層は請求項に記載の錯体を含むことを特徴とする、光電変換素子。
  3. 前記半導体層は、酸化チタンまたは酸化スズからなることを特徴とする、請求項に記載の光電変換素子。
  4. 請求項またはに記載の光電変換素子を含む電極と、対電極と、前記光電変換素子を含む電極と前記対電極との間に設置されたキャリア輸送層と、を含む、色素増感型太陽電池。
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