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JP2014186995A - 透明色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュール - Google Patents

透明色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュール Download PDF

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JP2014186995A JP2013199051A JP2013199051A JP2014186995A JP 2014186995 A JP2014186995 A JP 2014186995A JP 2013199051 A JP2013199051 A JP 2013199051A JP 2013199051 A JP2013199051 A JP 2013199051A JP 2014186995 A JP2014186995 A JP 2014186995A
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Abstract

【課題】ヒトの眼が感じる透明性を表す視感透過率において、高い透過率を示し、且つ、優れた光電変換効率を有する色素増感太陽電池を提供する。
【解決手段】少なくとも導電性支持体、多孔性半導体層、キャリア輸送層、対極から構成される透明色素増感太陽電池であって、前記多孔性半導体層に可視光よりも短波長側に吸収極大を示す有機色素と可視光よりも長波長側に吸収極大を示す有機色素が混合吸着されていて、優れた光電変換効率とともに、高い視感透過率を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は太陽電池の製造技術に関し、より詳細には優れた光電変換効率を有する透明色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュールに関する。
近年、地球温暖化などの地球環境問題の観点から化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源として、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換できる太陽電池が注目されている。太陽光を効率よく電気に変換できる太陽電池で、現在実用化されているものとして、住宅用の単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の無機系太陽電池が挙げられる。しかし、これらの無機系太陽電池では、非常に純度の高い材料が要求され、複雑な精製工程のために製造コストが高額になる。
これに対して、新しいタイプの色素増感太陽電池が、1991年にグレッツェルらのグループにより、公開された(非特許文献1)。この太陽電池は安価な材料で構成されていて、太陽光を吸収して発電する増感色素は有機化合物であり、その分子構造をデザインすることで、光電変換特性をコントロールできる特性がある。
上記増感色素としてルテニウムピリジン錯体を用いた場合に高い光電変換効率が得られるが、そのルテニウムピリジン錯体と小分子の有機色素を半導体電極に混合吸着させることにより、増感色素の吸着量を増やし、発電に利用できる太陽光の吸収波長帯を広げて、色素増感太陽電池の公認光電変換効率(11.4%)を達成することができた(非特許文献2)。
非特許文献1および2のような色素増感太陽電池では変換効率を上げるために、酸化チタンなどの多孔性半導体層を厚くし、可視光を含む幅広い吸収帯を有する増感色素を大量に吸着させる。また、対極も導電性と触媒効果に相当する量の白金を用いている。そのために光電変換効率は高くても電池自体は不透明である。シリコン型太陽電池のように、住宅の屋根やビルの屋上、壁面、あるいは広大な土地に多数の太陽電池モジュールを設置し、小規模から大規模太陽光発電所として利用できる可能性がある。もし、この太陽電池に透明性、光透過性を付与することができたなら、透明性が必要とされる住宅、ビルなどの建造物や自動車などの採光用窓に採用できて、太陽光から発電した電気をその場所で利用できる。
実用化されているアモルファスシリコン系の太陽電池は、電池にスリット加工を施し、入射光の一部を発電には利用しないでそのまま透過させている。製造コストが安く、構造上、電池そのものを光透過性に加工できる色素増感太陽電池では、電池の構成部分を透明化する様々な先行技術が公開されているが、いずれの場合も得られる光透過性、光電変換効率はともに不充分である(特許文献1〜4)。実用に資するためには、可視光領域における光透過性、特にヒトの眼が感じる透明性と光電変換効率をバランス良く、更に向上させることが必要とされる。
特開2001−320068号公報 特開2004−207205号公報 特開2005−149814号公報 特開2005−1972041号公報 特開2000−285978号公報
B. O’Regan, M. Gratzel, Nature 353 (1991) 737-740 L. Han, et al., Energy Environ. Sci. 5 (2012) 6057-6060. J.H. Yum, et al., J. Am. Chem. Soc. 129 (2007) 10320-10321. L. Beverina, et al., ChemSusChem 2 (2009) 621-624. S.S. Pandey, et al., J. Photochem. Photobiol. A 214 (2010) 269-275. S.S. Pandey, et al., Thin Solid Films 519 (2010) 1066-1071. H. Choi, et al., J. Mater. Chem. 20 (2010) 3280-3286. T. Geiger, et al., Adv. Funct. Mater. 19 (2009) 2720-2727. D. P. Hagberg, et al., J. Am. Chem. Soc. 130 (2008) 6259-6266. G. Li, et al., J. Phys. Chem. C 112 (2008) 11591-11599. S. Hwang, et al., Chem. Commun. (2007) 4887-4889. W. H. Liu, et al., Chem. Commun. (2008) 5152-5154. W. Xu, et al., J. Phys. Chem. C 112 (2008) 874-880. M. Akhtaruzzaman, et al., J. Mater. Chem., 22 (2012) 10771-10778. L. Han, et al., Appl. Phys. Lett. 94 (2009) 013305.
本発明の目的は、高い光透過性と優れた光電変換効率を両立した透明色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュールを提供することであり、可視光領域の外側の紫外線、赤外線を吸収して発電する増感色素を利用するため、紫外線や赤外線の遮断効果が期待される。これらの特性から透明性が必要とされる住宅、ビル、自動車等の採光用窓に、色素増感太陽電池の応用範囲を広げることができる。
本願発明者らは、透明色素増感太陽電池を創製するために鋭意研究した結果、導電性支持体、増感色素を吸着した多孔性半導体層、キャリア輸送層、対極を有する色素増感太陽電池において、ヒトの眼が感じる透明性に着目した視感透過率で、50%以上の透過率を示し、視感透過率と光電変換効率の積で表わされる性能インデックスが150以上、より好ましくは250以上になるように設計することで、目視で光透過性が充分に確認できる程の高い透明度と優れた光電変換効果を両立した色素増感太陽電池が得られることを見出した。即ち、導電性支持体、多孔性半導体層、キャリア輸送層、対極の各構成部分に関して、光透過性と機能性の両面から材料、構造等に検討を加え、増感色素に関しても比視感度曲線内の可視光を吸収しない、可視光領域の外側の紫外線、赤外線領域に吸収極大を示す色素を選択した。一般に、二種類の増感色素を多孔性半導体層に混合吸着させた場合には、色素間に相互作用が働き、増感色素を単独で吸着させた時よりも光電変換効率が低下することが多い。本発明では、二種類の色素に分子サイズの違い、分子内にアルキル側鎖の存在等の条件を設け、増感色素の組合せで、各々の色素が示す光電変換効果に相加性が現れるように増感色素を選択し、二種類の色素の混合比も調整した。本発明の色素増感太陽電池モジュールは、本発明の透明色素増感太陽電池を用いたものである。
本発明の一側面によれば、導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられた多孔性半導体層と、前記多孔性半導体層に吸着された一または複数の増感色素と、キャリア輸送層と、対極とを設けた透明色素増感太陽電池において、視感度重み付け積分透過率が50%以上であることを特徴とする透明色素増感太陽電池が与えられる。
ここで、透明色素増感太陽電池の視感度重み付け成分透過率と光電変換効率の積として定義される性能インデックスの値が150以上であってよい。
また、前記一または複数の増感色素は吸収最大波長が互いに異なる第1及び第2の有機色素を含んでよい。
また、前記一または複数の増感色素は第1及び第2の増感色素からなり、前記第1の増感色素の最大吸収波長は650から1000nmの範囲にあるとともに、前記第2の増感色素の最大吸収波長は350から450nmの範囲にあってよい。
また、前記第1及び第2の有機色素中、少なくとも一方の分子は少なくとも一つのアルキル側鎖を有するとともに、前記第1と第2の有機色素は互いに異なる分子サイズを有してよい。
また、前記アルキル側鎖の少なくとも一つが有する炭素原子の数は1から18であってよい。
また、前記第2の有機色素の分子サイズは前記第1の有機色素の分子サイズよりも小さくてもよい。
また、紫外光に対する外部量子効率が赤外光に対する外部量子効率よりも高くてもよい。
また、紫外光に対する外部量子効率が50%以上であってよい。
また、380〜780nmのヒトの可視域中での前記対極の光透過率は70%以上であってよい。
また、前記導電性支持体と前記多孔性半導体層とからなる部材の波長550nmにおけるヘイズ率が10%以下であってよい。
また、前記多孔性半導体層は酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ及び酸化モリブデンからなる群から選択された少なくとも一の半導体のナノ粒子を設け、前記ナノ粒子の直径は10から30nmの範囲であり、前記多孔性半導体層の厚さは0.1から10μmの範囲であってよい。
また、前記対極は導電性の支持部材及び白金の薄膜を設けてよい。
また、前記対極は導電性の支持部材及びポリエチレンジオキシチオフェン等のチオフェンポリマーを設けてよい。
また、前記対極はスズドープ酸化インジウムやアルミニウムドープ酸化亜鉛等の透明導電酸化物の薄膜を設けてよい。
また、前記キャリア輸送層は透明な酸化還元性電解質を含む液体電解質を設けてよい。
また、前記キャリア輸送層は低分子のアリールアミン誘導体や、アリールアミン、チオフェン、ベンゾチアジアゾール、カルバゾールのポリマーなどの有機正孔輸送材料を含む正孔輸送層を設けてよい。
また、前記第1の増感色素は下記の化1から化3の何れかで表されてよい。
(化1から化3において、R及びRは水素原子及びカルボキシル基からなる群から独立に選択されるとともに、R及びRの少なくとも一方はカルボキシル基である;R及びRは1から18個の炭素原子を含むアルキル基及びハロゲン化アルキル基からなる群から独立に選択される;Rは酸素原子、マロノニトリル、シアノ酢酸、シアノ酢酸エステル、バルビツール酸及びチオバルビツール酸からなる群から選択される;R及びRはアルキル基またはアルコキシル基で置換されることがあるフェニル基及びフルオレニル基からなる群から独立に選択される。)
また、前記第1の増感色素は化1で表され、化1中のRからRは下記の表1中の何れかの組み合わせであってよい。
ここで、表1中のRカラムにおけるAは下記のように表される。
また、前記第1の増感色素は化2で表され、化2中のRからR、及び−NRは下記の表2中の何れかの組み合わせであってよい。
また、前記第1の増感色素は化3で表され、化3中のRからRはそれぞれCOOH、C17、O、及びCであってよい。
また、前記第2の増感色素は下記の化5から化15の何れかで表されてよい。
(化4において、RからRは水素原子、1から18個の炭素原子を含むアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、及び脂環式アミノ基からなる群からそれぞれ独立して選択される)
また、化5中のπ−スペーサーは芳香族複素環基であってよい。
また、前記芳香族複素環基は置換されることがある2価のフェニレン基、チオフェン、及びチアゾールからなる群から選択されてよい。
また、前記芳香族複素環基は下記の化16中に示す任意の基であってよい。
また、前記第2の増感色素は下記の化17で表されてよい。
ここで化17中のR及びRは下記の表3中の任意の組み合わせである。
本発明の他の側面によれば、上記何れかの透明色素増感太陽電池を設けた色素増感太陽電池モジュールが与えられる。
本発明により、ヒトの眼が感じる透明性を表す視感透過率において、高い透過率を示し、且つ、優れた光電変換効率を有する色素増感太陽電池が提供される。この透明色素増感太陽電池は、住宅、ビルなどの建造物や自動車などの採光用窓として利用することができる。
本発明の透明色素増感太陽電池の構造を例示する模式図。 増感色素のI−3とII−1を混合吸着した時の分光透過率と視感透過曲線、比視感度曲線を示す図。 増感色素のI−3とII−1を混合吸着した時のIPCEと比視感度曲線を示す図。 増感色素のI−3を単独で吸着した時の分光透過率と視感透過曲線、比視感度曲線を示す図。 増感色素のI−3を単独で吸着した時のIPCEと比視感度曲線を示す図。 増感色素のII−1を単独で吸着した時の分光透過率と視感透過曲線、比視感度曲線を示す図。 増感色素のII−1を単独で吸着した時のIPCEと比視感度曲線を示す図。 本発明の透明色素増感太陽電池モジュールの断面構造の一部を例示する模式図。
本発明の「透明色素増感太陽電池」において、透明とは窓ガラスのように太陽電池を通して外側の風景等が充分に目視できることを示す。ヒトの眼は光の波長によって感度が異なり、波長555nmの可視光に対する感度がもっとも高く明るく見え、その前後の波長では比感度が低下して、暗く見える。ヒトの眼が明るい場所に順応した時に、ヒトの眼が最大感度となる波長555nmでの感じる明るさを1.0として、他の波長の明るさを感じる度合いを相対比で表わし、横軸に波長、縦軸に相対比でプロットした曲線が明所視標準比視感度である。透明色素増感太陽電池の透明性を評価するのに、従来のように可視光領域における分光透過率を評価するよりも、ヒトの眼が感じる透明性を重視した視感透過率で評価するのが合理的である。視感透過率(%)は380nm〜780nmの波長区間で標準光源の分光分布に比視感度関数をかけたものを分母とし、太陽電池を透過する分光透過率に比視感度関数をかけたものを分子とし、100をかけた数値で表わされる。
本願で使用する視感透過率はより厳密には視感度重み付け積分透過率と表現できる。すなわち、光の波長をλ、光源から光学媒体(ここでは太陽電池)に照射される光をS(λ)、ヒトの視感度をV(λ)、測定された透過光をT(λ)とするとき、狭い波長域[λ,λ+dλ]で考えれば、上に書いた考え方により当該波長域において視感度で重み付けした透過率TL0
と計算される。ここで、ヒトの視感度は380〜780nmの広い範囲に渡っているので、T、V、Sが波長λの関数であることを考慮して、視感度重み付け積分透過率は以下のように表される。
ここで、積分範囲は視感度関数V(λ)が0でない値を取る380〜780nmとしてよい。よって下式を得る。
本明細書では、用語「視感透過率」を上で定義した視感度重み付け積分透過率Tの意味で使用する。なお、上式には照射光S(λ)が含まれているので、本願明細書では太陽電池の測定に通常用いられるAM1.5を使用している。なお、本願においては視感透過率測定以外でも、別途明示しない限り、光源としてはAM1.5を使用するものとする。
視感透過率が50%以上の場合には、目視で充分に光透過性が認識できる程に透明性が確保されている。太陽電池の入射光側とその反対側の両面に透明基板及び透明電極膜を形成し、多孔性半導体表面には可視光よりも短波長の紫外線領域に吸収極大を示す色素と可視光よりも長波長の赤外線領域に吸収極大を示す色素を混合吸着させて、ヒトの眼に感じる透明性が高く、且つ、優れた光電変換機能を両立させた透明色素増感太陽電池を提供する。このため、透明性、赤外線・紫外線の遮蔽効果に優れた太陽電池となり、異なる二種類の増感色素の組合せや混合の割合を適宜選択することにより、高い光透過性と優れた光電変換効率のバランスのとれた調整が可能になる。
光透過性と光電変換効率のバランスを表す指標として性能指数Pを以下のように定義する。
ここで、Tは上で定義した視感透過率(%表示)であり、ηは光電変換効率を%で表したものである。性能インデックスPの値は150以上となることが望ましい。例えば、視感透過率が50%、光電変換効率が3%であれば、そのような透明色素増感太陽電池の性能指数Pは50×3=150となり、この条件を満足する。
後述する実施例においては、日本板硝子社製のフッ素ドープ酸化スズ膜付きガラスの透明導電側に、市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、Ti nanoxide T/SP)をスクリーン印刷により、5μm程度の膜厚、5mm×5mm程度の面積で、透明導電膜の上に塗布して、100℃で30分間予備乾燥した後、大気雰囲気中、500℃で2時間焼成することで、多孔性半導体層として膜厚5μmの酸化チタン膜を作製した。スクリーニングする色素を濃度2×10−4Mとデオキシコール酸を濃度2×10−2Mとなるようにエタノールに溶解して、吸着用溶液を調製した。この溶液に上記ガラス板を24時間浸漬させることにより、多孔性半導体層に色素を吸着させた。上記、ガラス基板に白金膜を蒸着することにより対極を作製し、色素を吸着させた多孔性半導体層と向かい合わせ、間に短絡防止のための熱圧縮フィルムスペーサーを挟んで密着封装した。その後、両極の隙間に電解液であるヨウ化1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム(0.6M)、ヨウ化リチウム(0.1M)、ヨウ素(0.05M)、及び4−tert−ブチルピリジン(0.1M)のアセトニトリル溶液を注入してキャリア輸送層を形成することで、太陽電池を作製した。得られた太陽電池に、100mWcm−2の強度の光(AM1.5,ソーラーシミュレーター)を照射して、電流−電圧特性を測定した。また、セルの分光透過率を、積分球付き分光光度計で計測し、得られた分光透過率に比視感度関数をかけて視感透過曲線を得た。比視感度曲線とグラフの横軸との間の面積を100としたときの、視感透過曲線と横軸との間の面積が、先に定義した視感透過率である。このようにしてセルの視感透過率を求めた。
本発明で用いる吸収極大波長の異なる二種類の増感色素の内の一方の色素(以下、増感色素Iと称する)は赤外線側に吸収極大をもつもので、吸収スペクトルの吸収極大波長が650〜1000nmの間にある色素が望ましい。また、半導体表面に強固に吸着させるために、分子内にアンカー基としてカルボキシル基を有する。増感色素Iとして、例えば、以下に示す式(1)の化合物(特許文献5、非特許文献3〜6)、式(2)の化合物(非特許文献7)、式(3)の化合物(特許文献5、非特許文献8)等が挙げられる。
式(1)
式(2)
式(3)
上式(1)〜(3)中、RとRはそれぞれ独立して、水素原子、カルボシル基を表し、少なくても何れか一方はカルボシル基である。R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜18個のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、R3は酸素原子、マロノニトリル、シアノ酢酸、シアノ酢酸エステル、バルビツール酸、あるいは、チオバルビツール酸が好ましい。また、R、Rはそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシル基で置換されていても良いフェニル基、フルオレニル基を表す。
以下に、式(1)〜(3)で表わされる増感色素Iの具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。またここに記載した色素の構造式はいくつもの取り得る共鳴構造の内の一つの極限構造に過ぎない。
式(4)
表:式(4)で表される増感色素Iの具体例
なお、表中のRカラムにおけるAは下記のとおりである。
式(5)
表:式(5)で表される増感色素Iの具体例
式(6)
表:式(6)で表される増感色素Iの具体例
また、吸収極大波長が異なる二種類の色素の内のもう一方の色素(以下、増感色素IIと称する)は紫外線側に吸収極大をもつもので、吸収スペクトルの吸収極大波長が350〜450nmの間にある色素が望ましい。増感色素IIの例として、一般式(7)で表される有機色素がある。
一般式(7)
この増感色素IIは、半導体表面に強固に吸着させるために、分子内にアンカー基としてカルボキシル基、補助基としてニトリル基を有する2−シアノアクリル酸をアクセプター部位とする、一般式(7)で表わされる[ドナー部位−(π−スペーサー)−アクセプター部位]型の有機色素で、式中R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18個のアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、脂環式アミノ基で、それぞれの官能基のアルキル側鎖部分の炭素数は4〜16個が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ヘキサデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基、イソへプチル基、イソオクチル基、ネオペンチル基、ネオヘキシル基、ネオへプチル基、ネオオクチル基、sec−ブチル基、sec−ペンチル基、sec−ヘキシル基、sec−ヘプチル基、sec−オクチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基、tert−ヘプチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基等のアルキル基が挙げられる。また、脂環式アミノ基の例としては、ピロリジン、ピペリジン等が挙げられる。また、官能基としては、アルコキシ基やジアルキルアミノ基が好ましい。
このようなアルキル側鎖は色素間の会合を防ぎ、また、半導体表面とキャリア輸送層の間に疎水性の層が形成され、キャリア輸送層中の電解質が侵潤しにくくなることで、半導体とキャリア輸送層の間に流れる逆電流を抑制することができる。
π−スペーサー部分は置換されていても良い2価のフェニレン基、チオフェン、チアゾール等の芳香族複素環基を表す。その具体例を以下式(8)に示す。
式(8)
上記、一般式(7)で表わされる増感色素IIは、分子サイズが小さく、分子サイズの大きい色素(つまり増感色素I)が半導体表面に吸着してできる隙間を埋めて吸着できるほどに分子サイズを小さくすることができる。また、色素のLUMOがカルボキシル基の近位、アクリル酸部分にあり、HOMOは末端のフェニル基部分にある。従って、励起状態での電子分布は、カルボキシル基の近位で電子密度が最高になり、励起電子が半導体に効率的に注入される。また、開放電圧が高い色素では、LUMO準位、HOMO準位と半導体の伝導帯準位とのエネルギーギャップが大きくなり、色素から半導体に注入された励起電子が色素のLUMOやHOMOに戻る逆電流を防止できる。また、分子サイズの異なる二種類の色素を半導体に吸着すると、サイズの大きい色素が吸着した隙間に小さい色素がはまり込む形で吸着されるために、半導体表面の色素で被膜されていない部分が減少し、色素から注入された励起電子が半導体表面からキャリア輸送層に流れる逆電流が抑制される。更に、分子内のカルボキシル基から離れた末端のフェニル基上に疎水性のアルキル側鎖を結合すると、半導体表面とキャリア輸送層との間にアルキル側鎖による疎水性の層が形成され、水溶性の電解質は半導体表面に侵潤しづらくなり、逆電流が抑制される。
また、一般式(7)で表わされる色素の合成方法に特に制限はないが、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基で置換されたベンゼンのボロン酸と5−ブロモチオフェン−2−カルボアルデヒドとを、鈴木反応によりクロスカップリングさせ、次に、Knoevenagel反応でアルデヒドとシアノ酢酸を縮合させることにより合成できる。または、前記の置換ベンゼンのブロム化体と2−チオフェンボロン酸とを、鈴木反応によりクロスカップリングさせ、次に、Vilsmeier反応でホルミル基を導入し、最後に、Knoevenagel反応でアルデヒドとシアノ酢酸を縮合させても合成できる(非特許文献2)。
以下式(9)に、式(7)で表わされる増感色素IIの具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。
式(9)
表:式(9)で表される増感色素IIの具体例
また、吸収スペクトルの吸収極大波長が350〜450nmの間にある増感色素IIの例として、例えば、以下に示す式(10)の化合物(非特許文献9)、式(11)の化合物(非特許文献9)、式(12)の化合物(非特許文献10)、式(13)の化合物(非特許文献10)、式(14)の化合物(非特許文献11)、式(15)の化合物(非特許文献12)、式(16)の化合物(非特許文献13)、式(17)の化合物(非特許文献14)、式(18)の化合物(非特許文献14)、式(19)の化合物(非特許文献14)等が挙げられる。
式(10)
式(11)
式(12)
式(13)
式(14)
式(15)
式(16)
式(17)
式(18)
式(19)
次に、本発明の色素増感太陽電池の各構成要素について説明する。
本発明の色素増感太陽電池は、導電性支持体上に、増感色素を吸着した多孔性半導体層、キャリア輸送層、対極が順次積層されて構成され、前記増感色素は異なる二種類の色素からなり、多孔性半導体は酸化チタンからなることを特徴とする。
(透明導電性支持体について)
本発明で用いられる導電性支持体としては、表面に導電層を有するガラス、プラスチック等の支持体を利用することもできる。導電層の好ましい導電材料としては、金、白金、銀、銅、アルミニウム、インジウム等の金属、導電性カーボン、またはインジウム−スズ酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等があり、これらの導電材料を用いて導電層を支持体上に通常の方法で形成することができる。これらの導電層の膜厚は0.02〜5μm程度が好ましい。導電性支持体としては表面抵抗が低い程良く、表面抵抗は40Ω/sq以下であることが好ましい。また、導電性支持体の膜厚は、光電変換層に適当な強度を付与することができるものであれば特に限定されない。これらの点および機械的な強度を考慮すると、酸化スズにフッ素をドープしたものからなる導電層をソーダ石灰フロートガラスからなる透明性基板上に積層したものを代表的な支持体として使用できる。
また、コストや柔軟性等を考慮する場合には、透明ポリマーシート上に上記導電層を設けたものを用いても良い。透明ポリマーシートとしては、テトラアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、フェノキシ樹脂等がある。また、透明性基板の抵抗を下げるために金属リード線を加えても良い。金属リード線の材質としては、白金、銅、アルミニウム、インジウム、ニッケル等が好ましい。金属リード線は透明基板にスパッタ、蒸着等で設置し、その上に酸化スズ、FTO、ITO等の透明導電膜を設けても良い。
透明導電性支持体は実質的に透明であることが必要であり、380〜780nmの波長範囲において、分光透過率が80%以上であるのが好ましい。
(半導体層)
多孔性半導体層は半導体微粒子の集合体からなり、半導体微粒子としては、一般に光電変換材料に使用されるものであればどのようなものでも使用できる。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、銅−インジウム硫化物等の単独又は組み合わせが挙げられる。その中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズが好ましく、安定性及び安全性の点から、酸化チタンが特に好ましい。また、酸化チタンの形状としては、ナノ微粒子、ナノロッド、ナノワイヤー、ナノチューブ、あるいはメソポーラス酸化チタンが好ましい。
後述する本発明の実施例では、半導体微粒子の材料として、酸化チタンを使用した。結晶酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型の二種類の結晶形があり、その製法や熱履歴により何れの形も取り得るが、これらの混合体が一般的である。半導体微粒子の材料としては、光触媒活性の点からアナターゼ型のほうが好ましく、混合体でもアナターゼ型の含有率が90%以上のものが好ましい。アナターゼ型酸化チタンは市販の粉末、ゾル、スラリーでもよいし、あるいは、各種文献に記載されている公知の方法によって所定の粒径のものを作製しても良い。半導体微粒子の粒径に特に制限はないが、粒径が小さくなると粒子間の隙間が狭くなり、電解液が移動しにくくなる。また、粒径が大きくなると色素を吸着する有効表面積が小さくなり多孔性半導体層の坦持色素量が低下する。従って、半導体微粒子の平均粒径は10〜30nmが好ましく、特に好ましくは20〜25nmである。
多孔性半導体層の形成方法としては、特に限定されず、公知の方法を利用して良い。例えば、透明導電膜上に半導体微粒子を含有する縣濁液を塗布し、乾燥および焼成する方法が挙げられる。半導体微粒子を縣濁する溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、イソプロピルアルコール、イソプロピルアルコール−トルエン混合溶媒、水等が挙げられる。また、縣濁液の代わりに、市販の酸化チタンペーストを用いても良い。基板への塗布は、公知のディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷など様々な方法により行うことができる。乾燥および焼成の温度、時間、雰囲気等は、基板と半導体微粒子の種類に応じて、それぞれ調整できる。通常は、大気圧下、40〜700℃で、10分〜10時間程度で行われる。また、塗布、乾燥、焼成の工程を2回以上繰り返しても良い。
多孔性半導体層は多くの色素を吸着できるように、表面積が大きく、半導体層の厚みも大きい方が、坦持色素量が増えて好ましい。しかしこの表面積が大きくなると、注入した電子の拡散距離が増すため、電荷再結合によるロスも大きくなる。また、半導体層の厚みが10μmよりも大きくなると、光透過性が低下する。従って、表面積は、10〜200m/g程度で、厚さは0.1〜10μm程度が好ましく、より好ましいのは4〜6μmである。
多孔性半導体層の透明性には、光透過性とともに拡散透過光を抑え、直進透過光の割合を大きくすることが重要である。透明導電性支持体上に多孔性半導体層を形成したものに、波長550nmの可視光を照射し、ヘイズメータで測定したヘイズ率が10%以下になるのが好ましい。
(増感色素の吸着法)
増感色素を多孔性半導体に吸着させる方法としては、増感色素を溶解した溶液中に半導体電極を浸漬させる方法が一般的である。色素溶液の溶媒としては、アルコール、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤が挙げられ、溶解性を上げるために、二種類以上の溶剤を混合しても良い。溶媒中の色素濃度は、増感色素や溶媒の種類に応じて適宣調整するが、0.01〜10mM程度が好ましい。また、必要に応じて、色素分子の会合を低減するためにデオキシコール酸などを添加しても良い。浸漬時間は使用する増感色素、溶媒の種類、溶液の濃度等に応じて適宣調整するが、2〜50時間が好ましく、浸漬の際の温度としては10〜50℃が好ましい。浸漬は、一回でも良いし、複数回行っても良い。また、色素の吸着量が多い場合、半導体に直接結合していない色素は太陽電池のキャリア輸送層に遊離してきて光電変換効率の低下の原因になるので、色素溶液に浸漬した後、有機溶剤で洗浄して、未吸着の色素を除去するのが好ましい。洗浄剤としては、比較的揮発性の高いメタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。また、洗浄により余分な色素を除去した後、色素の吸着状態をより安定にするために半導体の表面を有機塩基性化合物で処理して、未吸着色素の除去を促進しても良い。有機塩基性化合物としては、ピリジン、キノリンなどの誘導体が挙げられる。これらの化合物が液体の場合にはそのまま用いても良いが、固体の場合には色素溶液と同じ溶剤に溶解して用いても良い。
本発明においては、多孔性半導体に二種類の色素を混合吸着させるが、吸着方法としては、二種類の色素を同一の溶媒に溶解させた色素溶液を調製し、半導体電極を浸漬させる方法、一種類の色素を溶解した色素溶液に半導体電極を浸漬させた後に、もう一つの色素を溶解した色素溶液に浸漬する方法等がある。
(キャリア輸送層)
キャリア輸送層は、電子、正孔、イオンを輸送できる導電性材料を含有する。このような導電性材料としては、例えば、低分子のアリールアミン誘導体や、アリールアミン、チオフェン、ベンゾチアジアゾール、カルバゾールのポリマーなどの有機正孔輸送材料、テトラニトロフロレノン等の電子輸送材料、液体電解質、高分子電解質等のイオン導電体、ヨウ化銅、チオシアン酸銅などの無機P型半導体が挙げられる。
上記の導電性材料の中でも、イオンを輸送できるイオン導電体が好ましく、更には酸化還元性電解質を含む液体電解質が特に好ましい。このような酸化還元性電解質としては、一般に、電池や太陽電池等において使用することができるものであれば特に限定されない。具体的には、I/I 系、Br/Br 系、Co2+/Co3+系、Fe2+/Fe3+系、キノン/ハイドロキノン系等の酸化還元種を含有させたものなどがある。例えば、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウムなどの金属ヨウ化物とヨウ素との組合せ、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージドなどのテトラアルキルアンモニウム塩とヨウ素との組合せ、並びに臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウムなどの金属臭化物と臭素との組合せが好ましく、これらの中でもヨウ化リチウムとヨウ素との組合せが特に好ましい。
キャリア輸送層に液体電解質を使用する場合、その溶剤としては、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、水や非プロトン極性物質などを使用することができるが、これらのなかでも、カーボネート化合物やニトリル化合物が特に好ましい。また、これらの溶剤は二種類以上混合して用いることもできる。また、液体電解質中の電解質濃度は0.1〜1.5Mが好ましく、特に0.1〜0.7Mが好ましい。
また、液体電解質には、種々の添加剤が含まれていても良い。添加剤としては、従来から用いられている4−tert−ブチルピリジン等の含窒素芳香族化合物、あるいはジメチルプロピルイミダゾリウムヨージド等のイミダゾリウム塩が挙げられ、これらの添加剤を0.1〜1.5M程度の濃度で液体電解質に添加しても良い。
また、透明キャリア輸送層には、低分子のアリールアミン誘導体や、アリールアミン、チオフェン、ベンゾチアジアゾール、カルバゾールのポリマーなどの有機正孔輸送材料を利用することができる。例えば、spiro−MeOTAD、PTAA、P3HT、PCPDTBTやPCDTBTが好ましい。
(透明対極)
対極は色素増感半導体電極とともに一対の電極を構成し得るものであり、通常、支持基板上に導電層、触媒層が半導体電極側に向かって積層されて形成される。支持基板としては、太陽電池の基板として使用できる透明のガラス板やポリエチレンテレフタラートなどのフィルム基板が挙げられる。導電層の材料としては、FTO、ITO、SnO、ZnO、アルミニウムがドープされたZnO等の透明導電材料が挙げられる。これらの導電層は常法により支持基板上に形成でき、膜厚は0.001〜1.0μm程度が適当である。好ましい表面抵抗の範囲としては80Ω/sq以下であり、さらに好ましくは20Ω/sq以下である。触媒層の材料としては、白金、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられる。白金の場合、スパッタリング、塩化白金酸の熱分解、電着等の方法により、導電層の上に形成できる。また、酸化還元の触媒効果を向上させる目的で、半導体電極に面している側は微細構造で表面積が増大していることが好ましく、例えば、白金であれば白金黒状態に、カーボンであれば多孔質状態になっていることが好ましい。また、透明導電成膜材料として、導電性高分子のポリチオフェンを利用することができる。例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やPEDOT/PSSや銀のナノワイヤーをスプレー・ディポジットしたPEDOT/PSSが好ましい。
また、キャリア輸送層に正孔輸送材を利用する場合、正孔輸送層の上に、スズドープ酸化インジウムやアルミニウムドープ酸化亜鉛等の透明導電酸化物をスパッタリング法により、対極を形成することが好ましい。
透明対極は実質的に透明であることが必要とされるが、対極としての有効な触媒機能を考慮すると、380〜780nmの波長範囲において、分光透過率が70%以上であるのが好ましく、80%以上であれば更に好ましい。
(スペーサー)
対極と多孔性半導体層との接触を防止するために、その間にスペーサーを挿入しても良い。スペーサーとしては、ポリエチレン等の高分子フィルムが用いられる。このフィルムの膜厚は30μm程度が適当である。
次に、本発明の透明色素増感太陽電池のモジュールについて説明する。
(透明色素増感太陽電池モジュール)
色素増感太陽電池のモジュールには、セルの集積方法により、Z型とW型の二種類のモジュールが知られている(非特許文献15)。いずれも短冊型のセルを並行に並べ隣接セルと直列接続している。Z型モジュールでは、酸化チタン層と対極層をそれぞれ別の基板上に形成し、それを貼りあわすことで、モジュールを形成する。隣接するセルの間に封止材と導電材料を挟み込み、隣接するセル間を直列に接続する。W型モジュールでは、基板上に酸化チタン層と対極層を交互に形成し、酸化チタン層と対極層と重なるように、基板を張り合わせ、モジュールを形成する。隣接セルでは酸化チタン層と対極層が隣り合っているため、基板の透明導電層で直列接続ができ、セルとセルの間には封止材のみを挟み込むだけで良い。そのためセルとセルの間の非発電面積を小さくすることが可能である。発電有効面積を大きく取れることとモジュール作成後の配線工程が不要なことから、透明色素増感太陽電池モジュールにおいても、W型モジュールが適当である。
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(合成例)
本実施例の増感色素Iとして、使用する有機色素I-2、I-3、I-28、I-29は、特開2000-285978号公報に記載されている合成法を参考に合成した。
5-カルボキシ-2-[[4-ジシアノメチレン]-3-[(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-エチル-2H-インドール-2-イリデン)メチル]-2-ヒドロキシ-2-シクロブテン-1-イリデン]メチル]-3,3-ジメチル-1-オクチル-3H-インドリウム (I-2)
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ: 8.03 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.97 (dd, J = 8.4 Hz, J= 1.2 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.44 (m, 2H), 7.33 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.41 (s, 1H), 6.31 (s, 1H), 4.16 (s, 2H),4.01 (s, 2H), 1.71 (m, 12H), 1.37 (m, 2H), 1.30 (m, 5H), 1.22 (m, 8H), 0.83 (t, J = 7.2 Hz, 3H). HRMS (ESI, m/z): calcd for C40H44N4O3 [M-H]-: 627.33406; found, 627.33436.
5-カルボキシ-2-[[4-ジシアノメチレン]-3-[(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-オクチル-2H-インドール-2-イリデン)メチル]-2-ヒドロキシ-2-シクロブテン-1-イリデン]メチル]-3,3-ジメチル-1-オクチル-3H-インドリウム (I-3)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.04 (s, 1H), 7.97(d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.60 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 7.33 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 6.43 (s, 1H), 6.31 (s, 1H), 4.11 (m, 2H), 4.01 (m, 2H), 1.71 (m, 16H), 1.38 (m, 4H), 1.31-1.28 (m, 4H), 1.26-1.20 (m, 12H), 0.83 (t, J = 7.2 Hz,, 6H). HRMS (ESI, m/z): calcd for C46H56N4O3[M-H]-:712.43469; found, 711.42796.
2-[[4-(2-エトキシ-1-シアノ-2-オキソエチリデン)-3-[(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-オクチル-2H-インドール-2-イリデン)メチル]-2-ヒドロキシ-2-シクロブテン-1-イリデン]メチル]-5-カルボキシ-3,3-ジメチル-1-オクチル-3H-インドリウム (I-28)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 7.99 (s, 1H), 7.95 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.46 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.41 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.35 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.28 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 6.83 (s, 1H), 4.12 (m, 4H), 4.01 (m, 2H), 1.70 (m, 16H), 1.42 (m, 4H), 1.35-1.25 (m, 6H), 1.22 (m, 13H), 0.82 (m, 6H). HRMS (ESI, m/z): calcd for C48H60N3O5[M-H]-:758.46112; found, 758.45385.
2-[[4-(2-エトキシ-1-シアノ-2-オキソエチリデン)-3-[(5-カルボキシ-1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-オクチル-2H-インドール-2-イリデン)メチル]-2-ヒドロキシ-2-シクロブテン-1-イリデン]メチル]-5-カルボキシ-3,3-ジメチル-1-オクチル-3H-インドリウム (I-29)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.06 (s, 2H), 7.99 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.61 (s, 1H), 7.47 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 6.82 (s, 1H), 4.11 (m, 6H), 1.73 (m, 16H), 1.40 (m, 6H), 1.25 (br, 17H), 0.83 (m, 6H). HRMS (ESI, m/z): calcd for C49H61N3O7M+: 803.45095; found, 803.45040.
[実施例2]
多孔性半導体層の作製
日本板硝子社製のフッ素ドープ酸化スズ膜付きガラスの透明導電側に、市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、Ti nanoxide T/SP)をスクリーン印刷により、5μm程度の膜厚、5mm×5mm程度の面積で、透明導電膜の上に塗布した。得られた塗膜を、100℃で30分間予備乾燥した後、大気雰囲気中500℃で2時間焼成することで、多孔性半導体層として膜厚5μmの酸化チタン膜を得た。
増感色素の吸着
増感色素Iとして、増感色素I−3を濃度2×10−4M、また、増感色素IIとして、増感色素II−1を濃度2×10−4Mとなるようにエタノールに溶解した。この溶液に、デオキシコール酸を濃度2×10−2Mとなるように加えて溶解させ、増感色素IとIIとの混合吸着用溶液を調製した。この溶液に上記ガラス板を24時間浸漬させることにより、多孔性半導体層に色素を吸着させた。
透明色素増感太陽電池作製
図1にその構造を模式的に示す太陽電池を作成した。具体的には、先ず透明導電膜を備えたガラス基板である支持基板5上に対極導電層6として、白金膜を1nm蒸着することにより、支持基板5及び対極導電層6から構成される対極9を形成した。この対極9と上記の色素を吸着させた多孔性半導体層3、透明導電成膜2及び支持基板1からなる半導体電極とを向かい合わせ、間に短絡防止のための熱圧縮フィルムスペーサーを挟んで重ね合わせて密着封装して、図中の漏洩防止剤7で表される部材を形成した。その後、両極の隙間に電解液であるヨウ化1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム(0.6M)、ヨウ化リチウム(0.1M)、ヨウ素(0.05M)、及び4−tert−ブチルピリジン(0.2M)のアセトニトリル溶液を注入してキャリア輸送層4を形成することで、セルを作製した。
得られたセルに、100mWcm−2の強度の光(AM1.5,ソーラーシミュレーター)を照射して、電流−電圧特性を測定した。また、セルの分光透過率を、積分球付き分光光度計で計測し、得られた分光透過率に比視感度関数をかけて視感透過曲線をもとめた。比視感度曲線内を100として、視感透過曲線が占める割合をパーセントで求めセルの視感透過率とした。
得られた光電変換特性[短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、形状因子(FF)、光電変換効率(η)]の結果と視感透過率を表8に示す。また、増感剤としての色素の性能を評価するために300〜800nmの波長領域における視感透過率とIPCE(入射光子対電流効率)を測定した。その結果を図2〜図7に示す。
[実施例3]
増感色素Iとして増感色素I−2、I−3、I−27、I−28、I−29、増感色素IIとして増感色素II−1、II−3、II−5を用いて、増感色素Iと増感色素IIとを組合せ、実施例2と同様にしてセルを作製し、光電変換特性と視感透過率を測定した。その結果を表8に示す。
[実施例4]
正孔輸送層として2,2‘,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9‘−スピロビフルオレン(spiro−MeOTAD)を利用したセルの作製
フッ素ドープ酸化スズ膜付きガラス基板の導電層の一部を亜鉛末と4N塩酸を使って、エッチングする。基板の導電層を洗浄してから、450℃で酸素をキャリアガスとしたスプレー熱分解法により、コンパクトな酸化チタンの遮断層を成膜した。室温に冷却後、市販の酸化チタンペーストをスクリーン印刷によって、遮断層の上に塗布し、30分間、500℃で焼結した。塗布膜を四塩化チタンで処理し、脱イオン水、エタノールで洗浄し、風乾後、再び、500℃で30分間焼結する。
増感色素Iとして、増感色素I−28を濃度2×10−4M、また、増感色素IIとして、増感色素II−1を濃度2×10−4Mとなるようにエタノールに溶解した。この溶液に、デオキシコール酸を濃度2×10−2Mとなるように加えて溶解させ、増感色素IとIIとの混合吸着用溶液を調製した。この溶液に上記ガラス板を24時間浸漬させることにより、酸化チタンの多孔性半導体層に色素を吸着させた。
spiro−MeOTAD(180mg/mL)、t−ブチルピリジン(17.5μL/mL)とリチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(19.5mM)をクロロベンゼンに溶解する。この溶液を色素吸着させた多孔性半導体層の上にのせて、そのまま45秒間静置し、溶液を膜内に浸透させ、それから、回転数2000rpmで30秒間スピンコートした。成膜した正孔輸送層の上に、アルミニウムをドープした酸化亜鉛を、メタルマスクを用いて、スパッタリングすることにより、対極層を形成した。最後に、ガラス板とヒートシールフィルムにより、密着封装してセルを作製した。
得られたセルに関して、実施例2と同様にして、電流-電圧特性、視感透過率を測定した。その結果を表8に示す。
[実施例5]
正孔輸送層としてポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン](PTAA)を利用したセルの作製
正孔輸送層を成膜するスピンコート用の溶液を、PTAA(15mg/mL)とt−ブチルピリジン(6.8μL/mL)のトルエン溶液にリチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのアセトニトリル溶液(28.3mg/mL)を13.6μL加えて調製する以外は、実施例4と同様にしてセルを作成した。
得られたセルに関して、実施例2と同様にして、電流-電圧特性、視感透過率を測定した。その結果を表8に示す。
[比較例1]
増感色素I−2、I−3、I−27、I−28、I−29とII−1、II−3、II−5のそれぞれを濃度2×10−4M、また、デオキシコール酸を濃度2×10−2Mとなるようにエタノールに溶解して、増感色素吸着用溶液を調製した。実施例1と同様にして作製した多孔性半導体層のガラス板を、上記の吸着溶液に浸漬して、色素を吸着させ、実施例2と同様にしてセルを作製し、IPCEを測定した。表9にIPCEの最高値とその波長を示す。
[比較例2]
可視光領域に主要な吸収帯を有する増感色素D149(式20)を用いて、実施例1と同様にして、セルを作製し、光電変換特性、視感透過率とIPCEを測定した。結果を下表に示す。
式(20)
表:光電変換特性及び視感透過率(実施例2、3対比較例2)
表:IPCE(比較例1及び2)
表:光電変換特性及び視感透過率(実施例2、3対比較例2)に示す結果から、増感色素IとIIとの組合せでは、視感透過率50%以上、光電変換効率が3%以上と、バランスのとれた好結果が得られた。視感透過率50%以上の透過率がある場合は、セルを透過して反対側にある物体を充分に目視できるほどの透明度がある。また、一般に、二種類の異なる増感色素を多孔質半導体に混合吸着させた場合、色素間の相互作用により、それぞれを単独で吸着させた場合よりも光電変換性能が劣る場合が多いが、上述の増感色素IIの特性により(非特許文献2)、二種類の増感色素の特性が活かされて優れた光電変換効率を得ることができた。
増感色素Iでは、溶液状態での吸収極大波長はI−2:685nm;I−3:688nm;I−27:662nm;I−28:695nm;I−29:703nmであり、表:IPCE(比較例1及び2)に示すように、多孔質半導体に吸着させた時のIPCEのピーク波長は2〜17nm程、長波長側にシフトしている。増感色素IIでは、溶液状態での吸収極大波長はII−1:396nm;II−3:384nm;II−5:392nmで、IPCEのピーク波長は46〜58nmと大きく長波長側にシフトしている。しかし、そのピーク波長は450nm以下に納まっていて、IPCEの比視感度曲線内との重なりは最小限にコントロールされ、高いセルの視感透過率が得られた。
また、比較例2として挙げたD149を使用したセルでは、可視光領域に主要な吸収帯を有して、表:IPCE(比較例1及び2)に示すように、波長526nmでIPCEが最高になる。また、表:光電変換特性及び視感透過率(実施例2、3対比較例2)に示す結果から、D149を使用したセルは多孔性半導体層が薄い透明セルにおいても4.21%の比較的高い光電変換効率を示すが、視感透過率は2.1%と極端に低値となり、不透明なセルを与えることがわかる。
また、キャリア輸送層にspiro−MeOTADやPTAAなどの正孔輸送材を利用した場合は、良好な視感透過率を示したが、FFの値が減少し、光電変換効率に幾分の減少が認められた。
[実施例6]
透明色素増感太陽電池モジュール製造
図8にその構造を模式的に示す透明色素増感太陽電池モジュールを作成した。具体的には、実施例1に示したセル作製法に従い、5mm×100mmの透明色素増感太陽電池を16個並置したW型モジュールを作製した。光透過度は、一つのセルについて、3点の測定箇所を選び、それぞれについて実施例1に示した測定法に従い視感透過率を求めた。16個のセルについて測定した視感透過率を平均した値をモジュールの視感透過率とした。また、モジュール全体に、100mWcm−2の強度の光(AM1.5,ソーラーシミュレーター)を照射して、光電変換特性を測定した。増感色素としてI−3とII−1を混合吸着させた透明色素増感太陽電池モジュールの視感透過率は59%で、光電変換効率は4.5%とバランスのとれた高透明度と優れた変換効率を示した。
以上詳細に説明したように、本発明によればヒトの眼が感じる透明性を表す視感透過率において、高い透過率を示し、且つ、優れた光電変換効率を有する色素増感太陽電池が提供される。また、このような透明かつ高光電変換効率の色素増感太陽電池を作製するための増感色素の具体的な組み合わせが明らかになった。従って、本発明はこのような色素増感太陽電池の新たな応用分野に大いに利用されるものと期待される。
1 透明支持基板
2 透明導電性膜
3 多孔性半導体層
4 キャリア輸送層
5 透明支持基板
6 対極導電層
7 漏洩防止剤
8 透明導電性支持体
9 透明対極

Claims (27)

  1. 導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられた多孔性半導体層と、前記多孔性半導体層に吸着された一または複数の増感色素と、キャリア輸送層と、対極とを設けた透明色素増感太陽電池において、視感度重み付け積分透過率が50%以上であることを特徴とする透明色素増感太陽電池。
  2. 透明色素増感太陽電池の視感度重み付け積分透過率と光電変換効率の積として定義される性能インデックスの値が150以上である、請求項1に記載の透明色素増感太陽電池。
  3. 前記一または複数の増感色素は吸収最大波長が互いに異なる第1及び第2の有機色素を含む、請求項1または2に記載の透明色素増感太陽電池。
  4. 前記一または複数の増感色素は第1及び第2の増感色素からなり、前記第1の増感色素の最大吸収波長は650から1000nmの範囲にあるとともに、前記第2の増感色素の最大吸収波長は350から450nmの範囲にある、請求項3に記載の透明色素増感太陽電池。
  5. 前記第1及び第2の有機色素中、少なくとも一方の分子は少なくとも一つのアルキル側鎖を有するとともに、前記第1と第2の有機色素は互いに異なる分子サイズを有する、請求項3または4に記載の透明色素増感太陽電池。
  6. 前記アルキル側鎖の少なくとも一つが有する炭素原子の数は1から18である、請求項5に記載の透明色素増感太陽電池。
  7. 前記第1の有機色素の分子サイズは前記第2の有機色素の分子サイズよりも大きい、請求項4から6の何れかに記載の透明色素増感太陽電池。
  8. 紫外光に対する外部量子効率が赤外光に対する外部量子効率よりも高い、請求項1から7の何れかに記載の透明色素増感太陽電池。
  9. 紫外光に対する外部量子効率が50%以上である、請求項8に記載の透明色素増感太陽電池。
  10. 380〜780nmのヒトの可視域中での前記対極の光透過率は70%以上である、請求項1から9の何れかに記載の透明色素増感太陽電池。
  11. 前記導電性支持体と前記多孔性半導体層とからなる部材の波長550nmにおけるヘイズ率が10%以下である、請求項1から10の何れかに記載の透明色素増感太陽電池。
  12. 前記多孔性半導体層は酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ及び酸化モリブデンからなる群から選択された少なくとも一の半導体のナノ粒子を設け、前記ナノ粒子の直径は10から30nmの範囲であり、前記多孔性半導体層の厚さは0.1から10μmの範囲である、請求項11に記載の透明色素増感太陽電池。
  13. 前記対極は導電性の支持部材及び白金の薄膜を設けた、請求項1から12の何れかに記載の透明色素増感太陽電池。
  14. 前記対極は導電性の支持部材及びポリエチレンジオキシチオフェン等のチオフェンポリマーを設けた、請求項1から12の何れかに記載の透明色素増感太陽電池。
  15. 前記対極はスズドープ酸化インジウムやアルミニウムドープ酸化亜鉛等の透明導電酸化物の薄膜を設けた、請求項1から12の何れかに記載の透明色素増感太陽電池。
  16. 前記キャリア輸送層は透明な酸化還元性電解質を含む液体電解質を設けた、請求項1から14の何れかに記載の透明色素増感太陽電池。
  17. 前記キャリア輸送層は低分子のアリールアミン誘導体や、アリールアミン、チオフェン、ベンゾチアジアゾール、カルバゾールのポリマーなどの有機正孔輸送材料を含む正孔輸送層を設けた、請求項1から14の何れかに記載の透明色素増感太陽電池。
  18. 前記第1の増感色素は下記式(1)〜式(3)の何れかで表される、請求項4に記載の透明色素増感太陽電池。
    (上記の各式において、R及びRは水素原子及びカルボキシル基からなる群から独立に選択されるとともに、R及びRの少なくとも一方はカルボキシル基である;R及びRは1から18個の炭素原子を含むアルキル基及びハロゲン化アルキル基からなる群から独立に選択される;Rは酸素原子、マロノニトリル、シアノ酢酸、シアノ酢酸エステル、バルビツール酸及びチオバルビツール酸からなる群から選択される;R及びRはアルキル基またはアルコキシル基で置換されることがあるフェニル基及びフルオレニル基からなる群から独立に選択される。)
  19. 前記第1の増感色素は前記式(1)で表され、式(1)中のRからRは下記の表中の何れかの組み合わせである、請求項16に記載の透明色素増感太陽電池。
    (ここで、上記のRカラムにおけるAは下記式により表される。)
  20. 前記第1の増感色素は前記式(2)で表され、式(2)中のRからR、及び−NRは下記の表中の何れかの組み合わせである、請求項16に記載の透明色素増感太陽電池。
  21. 前記第1の増感色素は前記式(3)で表され、式(3)中のRからRはそれぞれCOOH、C17、O、及びCである、請求項16に記載の透明色素増感太陽電池。
  22. 前記第2の増感色素は下記の式(5)から式(15)の何れかで表される、請求項15から19の何れかに記載の透明色素増感太陽電池。
    (式(5)において、RからRは水素原子、1から18個の炭素原子を含むアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、及び脂環式アミノ基からなる群からそれぞれ独立して選択される)
  23. 前記式(5)中のπ−スペーサーは芳香族複素環基である、請求項20に記載の透明色素増感太陽電池。
  24. 前記芳香族複素環基は置換されることがある2価のフェニレン基、チオフェン、及びチアゾールからなる群から選択される、請求項21に記載の透明色素増感太陽電池。
  25. 前記芳香族複素環基は下記の式(16)中に示す任意の基である、請求項21に記載の透明色素増感太陽電池。
  26. 前記第2の増感色素は下記の式(17)で表される、請求項23に記載の透明色素増感太陽電池。
    (ここで式(17)中のR及びRは下記の表中の任意の組み合わせである。)
  27. 請求項1から24の何れかに記載の透明色素増感太陽電池を設けたことを特徴とする色素増感太陽電池モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016059410A (ja) * 2014-09-12 2016-04-25 サミー株式会社 ぱちんこ遊技機
JP2016149413A (ja) * 2015-02-10 2016-08-18 東ソー株式会社 色素増感材、その製造方法及び色素増感型太陽電池
JP2017135377A (ja) * 2016-01-22 2017-08-03 三菱ケミカル株式会社 有機薄膜太陽電池モジュール

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