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JP4782996B2 - イソボルニル(メタ)アクリレートの製造法 - Google Patents

イソボルニル(メタ)アクリレートの製造法 Download PDF

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JP4782996B2 JP2004254132A JP2004254132A JP4782996B2 JP 4782996 B2 JP4782996 B2 JP 4782996B2 JP 2004254132 A JP2004254132 A JP 2004254132A JP 2004254132 A JP2004254132 A JP 2004254132A JP 4782996 B2 JP4782996 B2 JP 4782996B2
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Description

本発明は、イソボルニル(メタ)アクリレートの製造法に関する。さらに詳しくは、例えば、印刷用インク、光硬化性塗料用バインダー、接着剤、光硬化反応希釈剤などに好適に使用しうるイソボルニル(メタ)アクリレートの製造法に関する。
イソボルニル(メタ)アクリレートの製造法として、スルホン系強カチオン樹脂触媒の存在下で(メタ)アクリル酸とカンフェンとを攪拌しながらバッチ方式で反応させる方法や、スルホン系強カチオン樹脂触媒が充填されたカートリッジ内に(メタ)アクリル酸とカンフェンを直接通過させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前者の方法には、攪拌の際に、攪拌翼と強カチオン樹脂触媒とが接触し、強カチオン樹脂触媒が破断されるので、生成した粗反応生成物を蒸留により精製する前に、あらかじめこの破断された強カチオン樹脂触媒を濾過により除去するという煩雑な操作を必要とするという欠点がある。
また、後者の方法には、カートリッジ内での空間速度が遅く、カートリッジ内での(メタ)アクリル酸とカンフェンとの反応時間が長くなるため、反応生成熱の除熱が不十分となり、カートリッジ内の強カチオン樹脂触媒の温度が大幅に上昇し、その結果、副生成物や重合物が生じる。この副生成物や重合物は、生成したイソボルニル(メタ)アクリレートを中和洗浄する際に分離不良を生じたり、蒸留している間に熱分解し、極端な場合には、イソボルニル(メタ)アクリレートを重合させるおそれがある。
他のイソボルニル(メタ)アクリレートの製造法として、(メタ)アクリル酸とカンフェンとの混合物をカートリッジに収容された陽イオン交換樹脂と接触させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この方法には、(メタ)アクリル酸とカンフェンと陽イオン交換樹脂とが接触したときの発熱量が大きいことから、その温度制御が困難なため、陽イオン交換樹脂が高温となって劣化し、その寿命が短くなったり、反応生成物を重合させるおそれのある副生成物や重合物が生じ、この副生成物や重合物は、生成したイソボルニル(メタ)アクリレートを中和洗浄する際に分離不良を生じたり、蒸留している間に熱分解し、極端な場合には、イソボルニル(メタ)アクリレートを重合させるおそれがある。
また、この方法には、反応性を高めるために(メタ)アクリル酸を増量させた場合、反応終了後の未反応の(メタ)アクリル酸は、洗浄により除去されるため、その洗浄によって除去された未反応の(メタ)アクリル酸が無駄となるという欠点がある。
特開昭58−49337号公報 特開平09−20719号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、(メタ)アクリル酸とカンフェンと触媒との接触時の発熱量が抑えられ、温度制御が容易であるとともに、高純度を有するイソボルニル(メタ)アクリレートを高収率で製造することができ、触媒の長寿命化を図ることができる方法を提供することを課題とする。本発明は、また、反応終了後の未反応の(メタ)アクリル酸を有効利用しうる方法を提供することを課題とする。
本発明は、(メタ)アクリル酸とカンフェンとを反応させることによりイソボルニル(メタ)アクリレートを製造する方法であって、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下しながら、の滴下によって得られたカンフェンと(メタ)アクリル酸との混合物を、硫酸ジルコニア又は強酸性陽イオン交換樹脂からなる固体酸触媒が充填された反応塔内に導入し、反応塔内で前記混合物と固体酸触媒とを接触させることによってカンフェンと(メタ)アクリル酸とを反応させ、カンフェンの反応率が50%以上となった時点で反応を終了し、得られた反応混合物を回収する操作を1サイクルとして、前記操作を繰り返すことを特徴とする式(I):
Figure 0004782996
(式中、R1 は水素原子またはメチル基を示す)
で表されるイソボルニル(メタ)アクリレートの製造法であって、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下するのを開始する際の反応塔の内部温度(以下、初期内部温度という)が30〜45℃であり、
(イ) カンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、反応塔の内部温度を初期内部温度よりも3〜10℃高い加熱温度(以下、第2加熱温度という)となるように調整した後、前記操作を繰り返し、
(ロ) カンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間が、第2加熱温度に調整した後に行った最初のサイクルにおいてカンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間よりも、1時間以上長くなった時点で、カンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量〔以下、第2(メタ)アクリル酸量という〕が初期(メタ)アクリル酸量よりも0.1〜0.5モル多くなるように、1サイクルで滴下するカンフェンの量を変更して、前記操作をさらに繰り返し、
(ハ) カンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間が、第2(メタ)アクリル酸量に調整した後に行った最初のサイクルにおいてカンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間よりも、1時間以上長くなった時点で、カンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量〔以下、第3(メタ)アクリル酸量という〕が第2(メタ)アクリル酸量よりも0.1〜0.5モル多くなるように、1サイクルで滴下するカンフェンの量を変更して、前記操作をさらに繰り返し、
(ニ) カンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間が、第3(メタ)アクリル酸量に調整した後に行った最初のサイクルにおいてカンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間よりも、1時間以上長くなった時点で、反応塔の内部温度を第2加熱温度よりも3〜10℃高い加熱温度(以下、第3加熱温度という)となるように調整した後、前記操作をさらに繰り返し、
(ホ) カンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間が、第3加熱温度に調整した後に行った最初のサイクルにおいてカンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間よりも、1時間以上長くなった時点で、反応塔の内部温度を第3加熱温度よりも3〜10℃高い加熱温度となるように調整し、かつカンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量が第3(メタ)アクリル酸量よりも0.1〜0.5モル多くなるように、1サイクルで滴下するカンフェンの量を変更して、前記操作をさらに繰り返す、
イソボルニル(メタ)アクリレートの製造法に関する。
なお、本明細書において、イソボルニル(メタ)アクリレートは、イソボルニルアクリレートおよび/またはイソボルニルメタクリレートを意味する。また、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
本発明によれば、(メタ)アクリル酸とカンフェンと固体酸触媒との接触時における発熱量が抑えられるので、その温度制御が容易であるとともに、高純度を有するイソボルニル(メタ)アクリレートを高収率で製造することができ、さらに反応塔の内部温度を一定に保つことができるので、触媒として用いられる固体酸触媒の長寿命化を図ることができるという効果が奏される。また、本発明によれば、反応終了後の未反応の(メタ)アクリル酸を回収により、有効利用することができる。
本発明においては、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下する点に、1つの大きな特徴がある。本発明では、このようにカンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下するという操作が採られているので、カンフェンと(メタ)アクリル酸と触媒との接触時における発熱量が抑えられるため、カンフェンと(メタ)アクリル酸と触媒とが接触した際の発熱量の制御が容易となる。これにより、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応温度が過度に上昇するおそれがないので、副生成物や重合物の生成が抑制され、その結果、高純度を有するイソボルニル(メタ)アクリレートが高収率で得られる。
また、本発明によれば、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応温度が過度に上昇するおそれがないので、生成したイソボルニル(メタ)アクリレートが自己重合することも抑制することができるため、その重合防止のために従来用いられている重合防止剤の使用量を低減することができることから、経費の削減を図ることもできる。
本発明においては、まず、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下する。カンフェンの量は、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応が化学量論的に進行することを考慮し、未反応の(メタ)アクリル酸量を低減させる観点から、カンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量は、0.8〜2.5モル、好ましくは1.2〜2モルであることが望ましい。
カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下する際のカンフェンの滴下速度は、その(メタ)アクリル酸の使用量によって異なるので一概には決定することができないが、通常、反応操作を迅速に行い、生産性を高める観点およびカンフェンと(メタ)アクリル酸と触媒との接触による発熱量を抑える観点から、0.3〜15g/min、好ましくは0.5〜10g/min、より好ましくは1〜7g/minであることが望ましい。
カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下する際の(メタ)アクリル酸の量は、イソボルニル(メタ)アクリレートの製造規模などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、生産性を高める観点およびカンフェンと(メタ)アクリル酸と触媒との接触による発熱量を抑える観点から、カンフェン100重量部に対して、50〜600重量部、好ましくは100〜500重量部、より好ましくは150〜400重量部であることが望ましい。
カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下するのを開始する際のカンフェンおよび(メタ)アクリル酸の温度は、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応を迅速に行い、生産性を高める観点およびカンフェンと(メタ)アクリル酸と触媒との接触による発熱量を抑える観点から、それぞれ、10〜75℃、好ましくは30〜45℃であることが望ましい。
カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下しているときの(メタ)アクリル酸の温度は、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応を迅速に行い、生産性を高める観点およびカンフェンと(メタ)アクリル酸と触媒との接触時の初期反応による発熱量を抑える観点から、10〜75℃、好ましくは35〜60℃であることが望ましい。
また、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下するのを開始する際の反応塔の内部温度は、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応を迅速に行い、生産性を高める観点およびカンフェンと(メタ)アクリル酸と触媒との接触時の初期反応による発熱量を抑える観点から、10〜75℃、好ましくは35〜45℃であることが望ましい。なお、本明細書にいう「反応塔の内部温度」は、反応塔の出口温度を意味する。
カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下する際の反応塔の内部温度は、カンフェンの滴下量やその温度などで制御することができるが、補助的に、例えば、加熱冷却コイルなどを用いて制御することもできる。
なお、前記したように(メタ)アクリル酸、カンフェンおよび反応塔の内部温度を制御し、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下した場合には、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下しているときの反応塔の内部温度を必ずしも制御しなくても、反応塔の内部温度が前記温度範囲内におさまるので、煩雑な(メタ)アクリル酸の温度制御を要しないという利点がある。
カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下するにあたり、カンフェンおよび(メタ)アクリル酸をそれぞれ溶媒に溶解させておいてもよい。かかる溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、トルエンなどの有機溶媒が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、(メタ)アクリル酸は、その濃度が2〜30重量%となるようにあらかじめ溶媒に溶解させておいた場合には、室温での凝固を回避することができる。
カンフェンの滴下は、重合防止剤の存在下で行うことができる。本発明では、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下するという方法が採られているので、重合防止剤を従来のように多量に用いなくても(メタ)アクリル酸およびカンフェンの重合を防止することができる。したがって、本発明には、従来技術と対比して重合防止剤の使用量を低減することができるという利点がある。
重合防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、フェニレンジアミン、アルキルジチオカルバミン酸銅塩、N−オキシル化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
重合防止剤の量は、該重合防止剤の使用による重合防止効果を十分に発現させる観点および該重合防止剤の使用による固体酸触媒の触媒活性の低下を抑制する観点から、カンフェン100重量部あたり、0.01〜0.50重量部、好ましくは0.05〜0.15重量部であることが望ましい。
反応塔内に充填される固体酸触媒としては、例えば、強酸性陽イオン交換樹脂、硫酸ジルコニアなどの硫酸希土類金属塩、ランタントリフレートなどの希土類金属錯体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
固体酸触媒は、水分とカンフェンおよび(メタ)アクリル酸とが反応するのを抑制する観点から、乾燥されていることが好ましい。
商業的に容易に入手しうる固体酸触媒としては、例えば、ジャパンエナジー(株)製、品番:SZA-60 などの硫酸ジルコニア形成ペレット、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas) 社製、乾燥アンバーリスト15(Amberlyst 15 DRY 、商品名)などの強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。また、例えば、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas) 社製、含水アンバーリスト(商品名)などの水分を含む強酸性陽イオン交換樹脂を用いる場合には、あらかじめこれを乾燥させておくことが好ましい。
反応塔は、一般に用いられているものであればよく、特に限定がない。また、反応塔内に充填される固体酸触媒の量にも特に限定がない。反応塔内には、外部に固体酸触媒が漏出しないように充填される。カンフェンと(メタ)アクリル酸との混合物と、固体酸触媒との接触効率を高める観点および反応塔内での前記混合物の流速を高める観点から、通常、固体酸触媒の充填率は、70〜90%であることが好ましい。
なお、固体酸触媒に付着している水分を十分に除去する観点から、反応前に、例えば、メタノールなどの有機溶媒で反応塔内をあらかじめ洗浄し、さらにノルマルヘキサンで置換しておくことが好ましい。
また、反応効率を高める観点から、反応塔と配合タンクとの間で(メタ)アクリル酸が循環するように反応塔と接続された配合タンク内に(メタ)アクリル酸を仕込み、該(メタ)アクリル酸を配合タンクと反応塔との間で循環させながら、配合タンク内の(メタ)アクリル酸にカンフェンを滴下することが好ましい。
カンフェンと(メタ)アクリル酸との混合物と、固体酸触媒とを接触させる際の温度は、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応を迅速に進行させるとともに、重合体が副生するのを抑制する観点から、10〜75℃、好ましくは35〜60℃であることが望ましい。
かくして、カンフェンと(メタ)アクリル酸との混合物と、固体酸触媒とを接触させることにより、イソボルニル(メタ)アクリレートが高収率で得られるが、得られたイソボルニル(メタ)アクリレートの反応率をガスクロマトグラフィーで調べ、例えば、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となった時点で、その反応を終了することが、イソボルニル(メタ)アクリレートの生産性の観点から好ましい。
しかし、本発明においては、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下しながら、該(メタ)アクリル酸の滴下によって得られたカンフェンと(メタ)アクリル酸との混合物を固体酸触媒が充填された反応塔内に導入し、反応塔内で前記混合物と固体酸触媒とを接触させることによってカンフェンと(メタ)アクリル酸とを反応させ、得られた反応混合物を回収する操作を1サイクルとして、当該操作を繰り返すことが、固体酸触媒が有する触媒活性を効率よく利用し、該固体酸触媒の長寿命化を図る観点から好ましい。
前記操作を行う場合、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下するのを開始する際の反応塔の内部温度(以下、初期内部温度という)は、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応を迅速に行い、生産性を高める観点およびカンフェンと(メタ)アクリル酸と触媒との接触時の発熱量を抑える観点から、60〜75℃、好ましくは35〜45℃であることが望ましい。
また、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下する際のカンフェンの量(以下、カンフェン滴下量という)は、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応が化学量論的に進行する点、および未反応の(メタ)アクリル酸量を低減させる点から、(メタ)アクリル酸の量がカンフェン1モルあたり、0.8〜1.5モル、好ましくは1.0〜1.3モルとなるように調整することが望ましい。
前記操作を繰り返して行い、イソボルニル(メタ)アクリレートの生産性を高める観点から、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間が3〜30時間、好ましくは20〜30時間となった時点で、前記操作を終了することにより、反応を終了することができる。
しかし、この段階で前記操作を終了するのではなく、固体酸触媒が有する触媒活性を効率よく利用し、該固体酸触媒の長寿命化を図る観点から、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、反応塔の内部温度を初期内部温度よりも3〜10℃高い加熱温度(以下、第2加熱温度という)となるように調整した後、前記操作を繰り返すことが好ましい。
前記操作を行った場合には、固体酸触媒が有する触媒活性を有効に利用することができるので、該固体の長寿命化を図ることができる。このときのカンフェン滴下量は、前記と同様に、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応が化学量論的に進行する点、および未反応の(メタ)アクリル酸量を低減させる点から、(メタ)アクリル酸の量〔以下、初期(メタ)アクリル酸量という〕がカンフェン1モルあたり、0.8〜1.5モル、好ましくは1.0〜1.3モルとなるように調整することが望ましい。
前記操作を繰り返して行い、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、前記操作を終了することが、イソボルニル(メタ)アクリレートの生産性を高める観点から好ましい。
しかし、この段階で前記操作を終了するのではなく、固体酸触媒が有する触媒活性を効率よく利用し、該固体酸触媒の長寿命化を図る観点から、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、カンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量〔以下、第2(メタ)アクリル酸量という〕が初期(メタ)アクリル酸量よりも0.1〜0.5モル多くなるようにカンフェンを滴下させた後、前記操作をさらに繰り返すことが好ましい。このときの反応塔の内部温度は、固体酸触媒が有する触媒活性を効率よく利用し、該固体酸触媒の長寿命化を図る観点から、前記第2反応塔内部温度と同様であることが好ましい。
前記操作を繰り返して行い、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、前記操作を終了することが、イソボルニル(メタ)アクリレートの生産性を高める観点から好ましい。
しかし、この段階で前記操作を終了するのではなく、固体酸触媒が有する触媒活性を効率よく利用し、該固体酸触媒の長寿命化を図る観点から、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、カンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量〔以下、第3(メタ)アクリル酸量という〕が第2(メタ)アクリル酸量よりも0.1〜0.5モル多くなるように、カンフェンの量を調整してカンフェンを滴下させた後、前記操作をさらに繰り返すことが好ましい。このときの反応塔の内部温度は、固体酸触媒が有する触媒活性を効率よく利用し、該固体酸触媒の長寿命化を図る観点から、前記第2反応塔内部温度と同様であることが好ましい。
前記操作を繰り返して行い、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、前記操作を終了することが、イソボルニル(メタ)アクリレートの生産性を高める観点から好ましい。
しかし、この段階で前記操作を終了するのではなく、固体酸触媒が有する触媒活性を効率よく利用し、該固体酸触媒の長寿命化を図る観点から、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、反応塔の内部温度を第2反応塔内部温度よりも3〜10℃高い加熱温度(以下、第3加熱温度という)に調整し、前記操作をさらに繰り返すことが好ましい。このときのカンフェンの滴下量は、前記第2カンフェン滴下量と同様であることが好ましい。
前記操作を繰り返して行い、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、前記操作を終了することが、イソボルニル(メタ)アクリレートの生産性を高める観点から好ましい。
しかし、この段階で前記操作を終了するのではなく、固体酸触媒が有する触媒活性を効率よく利用し、該固体酸触媒の長寿命化を図る観点から、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、反応塔の内部温度を第3加熱温度よりも3〜10℃高い加熱温度となるように調整し、かつカンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量が第3(メタ)アクリル酸量よりも0.1〜0.5モル多くなるように、カンフェンの滴下量を調整した後、前記操作をさらに繰り返すことが好ましい。
前記操作を繰り返して行い、カンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上、好ましくは80%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、前記操作を終了することにより、反応を終了することが、イソボルニル(メタ)アクリレートの生産性を高める観点から好ましい。
なお、前記した各操作は、カンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量が2.5モル、好ましくは2モルを超えない範囲内で繰り返して行うことが、イソボルニル(メタ)アクリレートの生産性の観点から好ましい。
かくして前記した各操作を繰り返して行った場合には、固体酸触媒が有する触媒活性を効率よく利用し、該固体酸触媒の長寿命化を図ることができるのみならず、触媒の取替えという煩雑な操作も不要となるので、イソボルニル(メタ)アクリレートの生産性をより一層高めることができるという利点がある。
なお、反応終了後には、生成したイソボルニル(メタ)アクリレートは、得られた反応混合物から減圧蒸留などにより単離することができる。単離したイソボルニル(メタ)アクリレートを必要により精製することにより、高純度を有するイソボルニル(メタ)アクリレートを得ることができる。
反応混合物から減圧蒸留などによりイソボルニル(メタ)アクリレートを単離した後の留分には、未反応のカンフェンと(メタ)アクリル酸が含まれている。したがって、この留分は、カンフェンと(メタ)アクリル酸の有効利用を図る観点から、カンフェンと(メタ)アクリル酸とを反応させる際の原料化合物として利用することができる。
以上説明したように、本発明においては、固体酸触媒の反応塔内部の温度変化を最小限に制御することができる。このことから、本発明によれば、反応の際に使用した固体酸触媒の長寿命化を図ることができるので、固体酸触媒を繰り返して使用することができるという利点がある。
さらに、前記操作を繰り返し、反応率が所定値となるのに要する時間が所定の時間となった時点で前記操作を終了するのではなく、前記したように、反応塔の内部温度またはカンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量を適切に調整した場合には、固体酸触媒を繰り返して使用することができるので、固体酸触媒が有する触媒活性を効率よく利用し、該固体酸触媒のさらなる長寿命化を図ることができる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1(参考例)
滴下漏斗および攪拌機が設けられた1L容の配合タンクと、乾燥した強酸性陽イオン交換樹脂〔ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas) 社製、商品名:乾燥アンバーリスト15 (Amberlyst 15 DRY) 〕17.0gを充填した50mL容の反応塔とを内溶液が循環するように接続した。
配合タンク内にアクリル酸271.0gを仕込み、アクリル酸の液温を25℃に調整し、アクリル酸を配合タンクと反応塔との間で循環させた。なお、反応塔内でのアクリル酸と強酸性陽イオン交換樹脂との接触時間は0.1分間であった。
次に、配合タンク内のアクリル酸を攪拌しながら、反応塔内の内部温度が45〜50℃となるように温度調節をしながら、滴下漏斗からカンフェン420.0gを滴下速度5g/minで配合タンク内に滴下した。カンフェンの滴下終了後も液温を45〜50℃に調整しながら循環を継続し、得られた反応混合物の反応率をガスクロマトグラフィーで調べ、その反応率が80%以上となったところで反応を終了した。
得られた反応混合物から未反応のアクリル酸を減圧蒸留により回収し、次の反応に使用した。その後、得られたイソボルニルアクリレートをアルカリ水および水で洗浄し、蒸留により精製した。その結果、イソボルニルアクリレート495.7gが得られ(収率:96.5%)、そのガスクロマトグラフィーによる純度は、99.9%であった。
前記で用いた反応塔を取り替えずに前記と同様の操作を繰り返したところ、反応率が80%以上となるのに要する時間が24時間以上となるまで、前記操作を連続して12回行うことができた。
以上の結果から、実施例1によれば、高純度を有するイソボルニルアクリレートを収率よく製造することができることがわかる。また、イソボルニルアクリレートを製造する操作を連続して12回繰り返してイソボルニルアクリレートを製造することができることがわかる。
実施例2(参考例)
実施例1において、アクリル酸271.0gの代わりにメタクリル酸323.8gを用いた以外は、実施例1と同様にしてイソボルニルメタクリレートを製造した。その結果、イソボルニルメタクリレート488.0gが得られ(収率:95.0%)、そのガスクロマトグラフィーによる純度は、99.8%であった。
前記で用いた反応塔を取り替えずに前記と同様の操作を繰り返したところ、反応率が80%以上となるのに要する時間が24時間以上となるまで、前記操作を連続して12回行うことができた。
以上の結果から、実施例2によれば、高純度を有するイソボルニルメタクリレートを収率よく製造することができることがわかる。また、イソボルニルメタクリレートを製造する操作を連続して12回繰り返してイソボルニルメタクリレートを製造することができることがわかる。
比較例1
滴下漏斗および攪拌機が設けられた1L容の配合タンクにアクリル酸271.0gを仕込み、アクリル酸の液温を25℃に調整した後、カンフェン420.0gを配合タンク内に仕込んだ。
得られた混合液を、乾燥した強酸性陽イオン交換樹脂〔ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas) 社製、商品名:乾燥アンバーリスト15 (Amberlyst 15 DRY) 〕17.0gを充填した50mL容の反応塔内に、反応塔内の内部温度が45〜50℃となるように温度調節をしながら通液した。反応塔内でのアクリル酸と強酸性陽イオン交換樹脂との接触時間は、0.2分間であった。
得られた反応混合物から未反応のアクリル酸を減圧蒸留により回収した後、得られたイソボルニルアクリレートをアルカリ水および水で洗浄し、蒸留により精製した。その結果、イソボルニルアクリレート399.7gが得られ(収率:77.8%)、そのガスクロマトグラフィーによる純度は、98.3%であった。
前記で用いた反応塔を取り替えずに、上記と同様の操作を連続して4回行った時点で、反応塔内に重合副生成物が発生し、通液の循環が困難な状態となった。
以上の結果から、比較例1によれば、イソボルニルアクリレートを得ることができるが、その純度が低く、収率も低いことがわかる。また、反応塔内の強酸性陽イオン交換樹脂の寿命が、実施例1〜2と対比していちじるしく短いことがわかる。
実施例3(参考例)
実施例1において、滴下漏斗および攪拌機が設けられた1L容の配合タンクと、固体酸触媒として硫酸ジルコニア成形ペレット〔ジャパンエナジー(株)製、品番:SZA-60 〕59.1gを充填した150mL容の反応塔とを内溶液が循環するように接続した以外は、実施例1と同様にして、イソボルニルアクリレートを得た。得られたイソボルニルアクリレートの収量は494.2g、収率は96.2%、そのガスクロマトグラフィーによる純度は、99.9%であった。
前記で用いた反応塔を取り替えずに、前記と同様の操作を繰り返したところ、反応率が80%以上となるのに要する時間が24時間以上となるまで、前記操作を連続して12回行うことができた。
以上の結果から、実施例3によれば、高純度を有するイソボルニルアクリレートを収率よく製造することができることがわかる。また、イソボルニルアクリレートを製造する操作を連続して12回繰り返してイソボルニルアクリレートを製造することができることがわかる。
実施例4
(操作1)
滴下漏斗および攪拌機が設けられた1L容の配合タンクと、乾燥した強酸性陽イオン交換樹脂〔ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas) 社製、商品名:乾燥アンバーリスト15 (Amberlyst 15 DRY) 〕8.5gを充填した50mL容の反応塔とを内溶液が循環するように接続した。配合タンク内には、重合防止剤として、ハイドロキノン0.5gを入れ、配合タンクの底部より少量の空気を導入した。
(操作2)
次に、配合タンク内にアクリル酸271.0gを仕込み、アクリル酸の液温を32〜38℃に調整し、配合タンク内のアクリル酸を攪拌し、反応塔内の内部温度が38〜42℃となるように温度調節をしながら、滴下漏斗からカンフェン394.0gを滴下速度5g/minで配合タンク内に滴下した。カンフェンの滴下終了後も反応塔内の内部温度を38〜42℃に調整しながら循環を継続し、得られた反応混合物の反応率をガスクロマトグラフィーで調べ、その反応率が50%に到達した時点で反応を終了し、得られた反応混合物を回収した。反応時間は、約4時間であった。
得られた反応混合物から未反応のアクリル酸を減圧蒸留により回収した後、得られたイソボルニルアクリレートをアルカリ水および水で洗浄し、蒸留により精製した。その結果、イソボルニルアクリレート290.7gが得られ(収率:96.5%)、そのガスクロマトグラフィーによる純度は、99.9%であった。
前記操作2を12回繰り返し行ったところ、反応時間が約5時間となった。したがって、引き続いて、以下の操作3を行った。
(操作3)
前記操作2で得られた反応混合物を回収した後、配合タンク内にアクリル酸271.0gを仕込み、アクリル酸の液温を38〜43℃に調整し、配合タンク内のアクリル酸を攪拌し、反応塔内の内部温度が43〜48℃となるように温度調節をしながら、滴下漏斗からカンフェン394.0gを滴下速度5g/minで配合タンク内に滴下した。カンフェンの滴下終了後も反応塔内の内部温度を43〜48℃に調整しながら循環を継続し、得られた反応混合物の反応率をガスクロマトグラフィーで調べ、その反応率が50%に到達した時点で反応を終了し、得られた反応混合物を回収した。反応時間は、約5時間であった。
得られた反応混合物から未反応のアクリル酸を減圧蒸留により回収した後、得られたイソボルニルアクリレートをアルカリ水および水で洗浄し、蒸留により精製した。その結果、イソボルニルアクリレート289.8gが得られ(収率:96.2%)、そのガスクロマトグラフィーによる純度は、99.9%であった。
前記操作3を5回繰り返し行ったところ、反応時間が約6時間となった。したがって、引き続いて以下の操作4を行った。
(操作4)
前記操作3で得られた反応混合物を回収した後、配合タンク内にアクリル酸312.4gを仕込み、アクリル酸の液温を38〜43℃に調整し、配合タンク内のアクリル酸を攪拌し、反応塔内の内部温度が43〜48℃となるように温度調節をしながら、滴下漏斗からカンフェン394.0gを滴下速度5g/minで配合タンク内に滴下した。カンフェンの滴下終了後も反応塔内の内部温度を43〜48℃に調整しながら循環を継続し、得られた反応混合物の反応率をガスクロマトグラフィーで調べ、その反応率が50%に到達した時点で反応を終了し、得られた反応混合物を回収した。反応時間は、約5時間であった。
得られた反応混合物から未反応のアクリル酸を減圧蒸留により回収した後、得られたイソボルニルアクリレートをアルカリ水および水で洗浄し、蒸留により精製した。その結果、イソボルニルアクリレート291.0gが得られ(収率:96.6%)、そのガスクロマトグラフィーによる純度は、99.9%であった。
前記操作4を5回繰り返し行ったところ、反応時間が約6時間となった。したがって、引き続いて以下の操作5を行った。
(操作5)
前記操作4で得られた反応混合物を回収した後、配合タンク内にアクリル酸354.0gを仕込み、アクリル酸の液温を38〜43℃に調整し、配合タンク内のアクリル酸を攪拌し、反応塔内の内部温度が43〜48℃となるように温度調節をしながら、滴下漏斗からカンフェン394.0gを滴下速度5g/minで配合タンク内に滴下した。カンフェンの滴下終了後も反応塔内の内部温度を43〜48℃に調整しながら循環を継続し、得られた反応混合物の反応率をガスクロマトグラフィーで調べ、その反応率が50%に到達した時点で反応を終了し、得られた反応混合物を回収した。反応時間は、約6時間であった。
得られた反応混合物から未反応のアクリル酸を減圧蒸留により回収した後、得られたイソボルニルアクリレートをアルカリ水および水で洗浄し、蒸留により精製した。その結果、イソボルニルアクリレート291.6gが得られ(収率:96.8%)、そのガスクロマトグラフィーによる純度は、99.9%であった。
前記操作5を4回繰り返し行ったところ、反応時間が約6時間となった。したがって、引き続いて以下の操作6を行った。
(操作6)
前記操作5で得られた反応混合物を回収した後、配合タンク内にアクリル酸354.0gを仕込み、アクリル酸の液温を43〜48℃に調整し、配合タンク内のアクリル酸を攪拌し、反応塔内の内部温度が48〜53℃となるように温度調節をしながら、滴下漏斗からカンフェン394.0gを滴下速度5g/minで配合タンク内に滴下した。カンフェンの滴下終了後も反応塔内の内部温度を48〜53℃に調整しながら循環を継続し、得られた反応混合物の反応率をガスクロマトグラフィーで調べ、その反応率が50%に到達した時点で反応を終了し、得られた反応混合物を回収した。反応時間は、約5時間であった。
得られた反応混合物から未反応のアクリル酸を減圧蒸留により回収した後、得られたイソボルニルアクリレートをアルカリ水および水で洗浄し、蒸留により精製した。その結果、イソボルニルアクリレート290.1gが得られ(収率:96.3%)、そのガスクロマトグラフィーによる純度は、99.9%であった。
前記操作6を4回繰り返し行ったところ、反応時間が約6時間となった。したがって、引き続いて以下の操作7を行った。
(操作7)
前記操作6で得られた反応混合物を回収した後、配合タンク内にアクリル酸416.5gを仕込み、アクリル酸の液温を48〜53℃に調整し、配合タンク内のアクリル酸を攪拌し、反応塔内の内部温度が53〜58℃となるように温度調節をしながら、滴下漏斗からカンフェン394.0gを滴下速度5g/minで配合タンク内に滴下した。カンフェンの滴下終了後も反応塔内の内部温度を53〜58℃に調整しながら循環を継続し、得られた反応混合物の反応率をガスクロマトグラフィーで調べ、その反応率が50%に到達した時点で反応を終了し、得られた反応混合物を回収した。反応時間は、約5時間であった。
得られた反応混合物から未反応のアクリル酸を減圧蒸留により回収した後、得られたイソボルニルアクリレートをアルカリ水および水で洗浄し、蒸留により精製した。その結果、イソボルニルアクリレート293.1gが得られ(収率:97.3%)、そのガスクロマトグラフィーによる純度は、99.9%であった。
前記操作7を6回繰り返し行ったところ、反応時間が約6時間となった。したがって、前記操作7を終了した。
以上の結果から、実施例4によれば、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応操作を36回も繰り返して行うことができることがわかる。したがって、実施例4の方法は、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応操作をせいぜい4回程度しか行うことができなかった従来法と対比して、用いられる触媒を効果的に活用することができるのみならず、たびたび触媒を取り替えるという煩雑な操作を必要としないので、イソボルニルアクリレートの生産性に優れていることがわかる。
本発明の製造法によって得られたイソボルニル(メタ)アクリレートは、例えば、印刷用インク、紫外線硬化性塗料用バインダー、接着剤、光硬化反応希釈剤などに使用することができる。

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル酸とカンフェンとを反応させることによりイソボルニル(メタ)アクリレートを製造する方法であって、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下しながら、その滴下によって得られたカンフェンと(メタ)アクリル酸との混合物を、硫酸ジルコニア又は強酸性陽イオン交換樹脂からなる固体酸触媒が充填された反応塔内に導入し、反応塔内で前記混合物と固体酸触媒とを接触させることによってカンフェンと(メタ)アクリル酸とを反応させ、カンフェンの反応率が50%以上となった時点で反応を終了し、得られた反応混合物を回収する操作を1サイクルとして、前記操作を繰り返すことを特徴とする式(I):
    Figure 0004782996
    (式中、R1 は水素原子またはメチル基を示す)
    で表されるイソボルニル(メタ)アクリレートの製造法であって、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下するのを開始する際の反応塔の内部温度(以下、初期内部温度という)が30〜45℃であり、
    (イ) カンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間が、前記操作の最初のサイクルを行ったときにカンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間よりも1時間以上長くなった時点で、反応塔の内部温度を初期内部温度よりも3〜10℃高い加熱温度(以下、第2加熱温度という)となるように調整した後、前記操作を繰り返し、
    (ロ) カンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間が、第2加熱温度に調整した後に行った最初のサイクルにおいてカンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間よりも、1時間以上長くなった時点で、カンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量〔以下、第2(メタ)アクリル酸量という〕が初期(メタ)アクリル酸量よりも0.1〜0.5モル多くなるように、1サイクルで滴下するカンフェンの量を変更して、前記操作をさらに繰り返し、
    (ハ) カンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間が、第2(メタ)アクリル酸量に調整した後に行った最初のサイクルにおいてカンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間よりも、1時間以上長くなった時点で、カンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量〔以下、第3(メタ)アクリル酸量という〕が第2(メタ)アクリル酸量よりも0.1〜0.5モル多くなるように、1サイクルで滴下するカンフェンの量を変更して、前記操作をさらに繰り返し、
    (ニ) カンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間が、第3(メタ)アクリル酸量に調整した後に行った最初のサイクルにおいてカンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間よりも、1時間以上長くなった時点で、反応塔の内部温度を第2加熱温度よりも3〜10℃高い加熱温度(以下、第3加熱温度という)となるように調整した後、前記操作をさらに繰り返し、
    (ホ) カンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間が、第3加熱温度に調整した後に行った最初のサイクルにおいてカンフェンの反応率が50%以上となるのに要する時間よりも、1時間以上長くなった時点で、反応塔の内部温度を第3加熱温度よりも3〜10℃高い加熱温度となるように調整し、かつカンフェン1モルあたりの(メタ)アクリル酸の量が第3(メタ)アクリル酸量よりも0.1〜0.5モル多くなるように、1サイクルで滴下するカンフェンの量を変更して、前記操作をさらに繰り返す、
    イソボルニル(メタ)アクリレートの製造法
  2. 反応塔と配合タンクとの間で(メタ)アクリル酸が循環するように反応塔と接続された配合タンク内に(メタ)アクリル酸を仕込み、該(メタ)アクリル酸を配合タンクと反応塔との間で循環させながら、配合タンク内の(メタ)アクリル酸にカンフェンを滴下する請求項1記載の製造法。
  3. 最初のサイクルで、(メタ)アクリル酸の量がカンフェン1モルあたり0.8〜2.5モルとなるように、カンフェンを滴下する請求項1または2記載の製造法。
  4. 反応終了後、得られた反応混合物に含まれている未反応(メタ)アクリル酸を回収する請求項1〜いずれか記載の製造法。
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