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JP5777844B2 - イソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法 - Google Patents

イソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、イソボルニル(メタ)アクリレートの原料等になるカンフェンを含有するカンフェン組成物およびその製造方法に関する。また、カンフェンを原料としたイソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法に関する。
イソボルニル(メタ)アクリレートは、例えば、印刷用インク、光硬化性塗料用バインダ、接着剤、光硬化反応希釈剤などに配合される。
イソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法としては、例えば、特許文献1に、(メタ)アクリル酸とカンフェンとを強酸性イオン交換樹脂を触媒として反応させる方法が開示されている。
特許文献2には、配合タンクを用いて(メタ)アクリル酸とカンフェンとを混合し、得られた混合物を配合タンクとは独立したカートリッジ内で酸性陽イオン交換樹脂と接触させて反応させる方法が開示されている。
特許文献3には、カンフェンを(メタ)アクリル酸に滴下し、これにより得られた混合物を固体酸触媒が充填された反応塔内に導入して反応させる方法が記載されている。
特許文献4には、触媒としてリンモリブデンヘテロポリ酸を使用する製造方法が、特許文献5には、触媒としてジルコニウムをベースとした固体の超酸を使用する製造方法が記載されている。
特開昭58−49337号公報 特開平09−20719号公報 特開2006−69944号公報 特開平7−69982号公報 特開平9−67306号公報
しかしながら、特許文献1〜5に記載の製造方法では、反応時に反応液の粘度が増大したり、副生成物が生成して精製後の製品にも混入したりすることがあった。そのため、イソボルニル(メタ)アクリレートの重合性や、それを重合したポリマーの品質などに影響を与えることがあった。
本発明は、(メタ)アクリル酸と反応させた際の反応液の粘度の上昇および副生成物の生成を抑制できるカンフェン組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。また、高品質で、ポリマー製造時以外のときには重合が防止された適切な重合性を有するイソボルニル(メタ)アクリレートを製造できるイソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが、反応液の粘度上昇および副生成物生成の原因を調べたところ、カンフェンを空気中に長期間保存したり、高温下に長時間放置したりすると、カンフェンの不飽和二重結合が酸化されてエポキシ化合物を生成することを見出した。さらに、このエポキシ化合物が(メタ)アクリル酸と反応して粘度の上昇を招き、また、副生成物量を増加させることを見出した。そして、これらの知見に基づき、反応液の粘度の上昇および副生成物の生成を抑制する手段について検討した結果、以下のカンフェン組成物およびその製造方法、ならびにイソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法を発明した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] カンフェンに酸化防止剤を、カンフェンを100質量%とした際の0.0001〜1質量%添加し、加熱することによってカンフェンを溶解してカンフェン組成物を調製し、該カンフェン組成物を滴下して(メタ)アクリル酸と反応させることを特徴とするイソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法。
本発明のカンフェン組成物は、(メタ)アクリル酸と反応させた際の反応液の粘度の上昇および副生成物の生成を抑制できる。
本発明のカンフェン組成物の製造方法によれば、(メタ)アクリル酸と反応させた際の反応液の粘度の上昇および副生成物の生成を抑制できるカンフェン組成物を製造できる。
本発明のイソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法によれば、高品質で、ポリマー製造時以外のときには重合が防止された適切な重合性を有するイソボルニル(メタ)アクリレートを製造できる。
<カンフェン組成物>
本発明のカンフェン組成物は、カンフェンと、酸化防止剤とを含有するものである。
本発明における酸化防止剤とは、対象化合物(カンフェン)の酸素による酸化を抑制するために添加される化合物であり、製品または製品に含まれる不純物とは異なる化合物である。
酸化防止剤の具体例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系酸化防止剤、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系酸化防止剤、アルキル化ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系酸化防止剤、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン系酸化防止剤、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネートなどのチオエーテル系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイトなどのリン系酸化防止剤、ビタミンC、ビタミンE、パラベンなどの酸化防止剤が挙げられる。これらの酸化防止剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの酸化防止剤の中でも、(メタ)アクリル酸に対して強い重合防止効果を有するキノン系酸化防止剤、アルキルフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が好ましい。さらに、容易に分解処理できる点から、炭素原子、水素原子、酸素原子のみで構成される酸化防止剤、具体的にはキノン系酸化防止剤、アルキルフェノール系酸化防止剤がより好ましい。
酸化防止剤の含有量は、カンフェンを100質量%とした際に0.0001〜1質量%である。酸化防止剤の含有量が0.0001質量%以上であることにより、カンフェンの酸化を防止してエポキシ化合物の生成を抑制できる。また、酸化防止剤の含有量が1質量%以下であることにより、該カンフェン組成物を原料として得たイソボルニル(メタ)アクリレートを精製する際の負荷を低減させることができる。
また、酸化防止剤の含有量は、酸化防止効果を十分に発揮する点で0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、精製時の負荷をより低減する点で0.1%質量以下が好ましく、0.05%質量%以下がより好ましい。
上述したカンフェン組成物では、酸化防止剤が特定量含まれているため、カンフェンの不飽和二重結合が酸化された下記式(1)で示されるエポキシ化合物の生成を抑制できる。したがって、本発明のカンフェン組成物を(メタ)アクリル酸と反応させた際には、前記エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応によって生じる反応液の粘度の上昇を抑制できる。また、副生成物の生成が抑制されるため、得られるイソボルニル(メタ)アクリレートの品質低下を防止できる。
Figure 0005777844
<カンフェン組成物の製造方法>
本発明のカンフェン組成物の製造方法は、カンフェンに上記酸化防止剤を添加する方法である。
この製造方法で使用するカンフェンとしては、純粋なカンフェンであってもよいし、カンフェン/トリシクレン混合物に含まれるカンフェンであってもよいが、言うまでもなく、純度の高いものが好ましい。また、カンフェンとしては、不純物であるカンフェン酸化物の生成量が少ないことから、合成後からの経過時間が短いものが好ましい。
酸化防止剤の添加方法としては、カンフェンを加熱して融解させた状態で酸化防止剤を添加する方法、カンフェンを溶媒に溶解させた状態で酸化防止剤を添加する方法、固体状態のカンフェンに酸化防止剤を降りかける方法などが挙げられる。
この製造方法における酸化防止剤の添加量は、上記カンフェン組成物中の酸化防止剤含有量と同様の理由から、カンフェンを100質量%とした際の0.0001〜1質量%である。また、酸化防止剤の添加量は0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.1%質量以下が好ましく、0.05%質量%以下がより好ましい。
本発明のカンフェン組成物の製造方法では、カンフェンに酸化防止剤を特定量添加するため、カンフェンの酸化によって生成するエポキシ化合物の生成を抑制できる。したがって、得られたカンフェン組成物を(メタ)アクリル酸と反応させた際には、前記エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応によって生じる反応液の粘度の上昇を抑制でき、得られるイソボルニル(メタ)アクリレートの品質低下を防止できる。
<イソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法>
本発明のイソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法は、上記カンフェン組成物に(メタ)アクリル酸を反応させる方法である。
この製造方法で使用する(メタ)アクリル酸としては、得られるイソボルニル(メタ)アクリレートの品質がより高くなることから、純度の高いものが好ましい。
本発明において、イソボルニル(メタ)アクリレートとは、イソボルニルアクリレートおよび/またはイソボルニルメタクリレートを意味する。また、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
カンフェンと(メタ)アクリル酸の混合量は、カンフェン1モルに対して(メタ)アクリル酸の量が0.8〜2.5モルであることが好ましく、1.2〜2モルであることがより好ましい。カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応は化学量論的に進行するが、前記の混合割合であれば、未反応の(メタ)アクリル酸量を低減させることができる。
カンフェンと(メタ)アクリル酸を混合する際の温度は、カンフェンと(メタ)アクリル酸とを迅速に混合して生産性を高める観点から、10〜75℃であることが好ましく、40〜50℃であることがより好ましい。
カンフェンと(メタ)アクリル酸を混合する際には、あらかじめカンフェンおよび(メタ)アクリル酸をそれぞれ溶媒に溶解させてもよい。溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、トルエンなどの有機溶媒が挙げられる。
(メタ)アクリル酸を溶媒に溶解させる場合には、(メタ)アクリル酸の濃度を2〜30質量%にすることが好ましい。(メタ)アクリル酸の濃度が2質量%以上であれば、カンフェンと反応させた際に短時間で十分な量のイソボルニル(メタ)アクリレートを得ることができ、30質量%以下であれば、室温での凝固を容易に回避できる。
カンフェンと(メタ)アクリル酸は、重合防止剤の存在下で混合してもよい。
重合防止剤の具体例としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系重合防止剤、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系重合防止剤、アルキル化ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系重合防止剤、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−ピペリジニルオキシ フリーラジカルなどのヒンダートアミン系重合防止剤、金属銅、硫酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系重合防止剤などが挙げられる。これらの重合防止剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、重合防止剤は、カンフェンに添加した酸化防止剤と同一のものであってもよいし、異なるものであってもよいが、同一のものが好ましい。重合防止剤が、カンフェンに添加した酸化防止剤と同一のものであれば、重合防止剤(酸化防止剤)の使用量を少なくできる。
酸化防止剤と重合防止剤とが同一である場合には、さらに同じ化合物を追加して添加してもよいし、混合物中からこの化合物を除去してもよい。もちろん重合防止剤を添加しなくてもよい。
酸化防止剤および重合防止剤を複数種使用する場合には、酸化防止剤の品種数と重合防止剤の品種数が同一であってもよいし、異なってもよい。
重合防止剤の使用量は、(メタ)アクリル酸を100質量%とした際の0.0001〜1質量%であることが好ましい。重合防止剤の使用量が0.0001質量%以上であれば、(メタ)アクリル酸または得られるイソボルニル(メタ)アクリレートの重合を十分に防止でき、1質量%以下であれば、イソボルニル(メタ)アクリレートを精製する際の負荷を低減させることができる。
また、重合防止剤の使用量は、重合防止効果を十分に発揮する点で0.001質量%以上がより好ましく、0.005質量%以上が特に好ましく、精製時の負荷をより低減する点で0.1%質量以下がより好ましく、0.05%質量%以下が特に好ましい。
また、カンフェン組成物と(メタ)アクリル酸とを含む混合物に、酸素を含むガスを気泡状に添加することによっても、重合防止効果を向上させることができる。
カンフェン組成物と(メタ)アクリル酸とを反応させる際には、固体酸触媒を用いることができる。固体酸触媒としては、例えば、強酸性陽イオン交換樹脂、硫酸ジルコニアなどの硫酸希土類金属塩、ランタントリフレートなどの希土類金属錯体などが挙げられる。
固体酸触媒は、水分とカンフェンおよび(メタ)アクリル酸とが反応するのを抑制する観点から、乾燥されていることが好ましい。
固体酸触媒の使用量は、触媒活性および目的反応率などにより決定されるが、使用反応成分の合計量を100質量%とした際の0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。固体酸触媒使用量が0.1質量%以上であれば、十分に反応を促進させることができる。しかし、10質量%を超えて固体酸触媒を使用しても、使用量に応じて反応を促進させることができないため、無益である。
カンフェンと(メタ)アクリル酸とを反応させる際の反応方式は、単一の反応器内に全ての原料を仕込んで反応を完結させる回分式でもよいし、反応器内に原料を連続的に供給して連続的に反応させる連続式でもよいし、反応器と配合タンクとを備え、反応器と配合タンクとの間で原料を循環させながら反応器で反応させる循環式であってもよい。これらの中でも、反応効率が向上することから、循環式が好ましい。
循環式での反応に際して使用する反応装置としては、例えば、固体酸触媒が充填された反応器と、(メタ)アクリル酸にカンフェン組成物を添加する配合タンクとを備え、反応器と配合タンクとの間で(メタ)アクリル酸とカンフェン組成物との混合物が循環するように、これらを接続した反応装置を用いることができる。この反応装置では、配合タンク内に仕込んだ(メタ)アクリル酸にカンフェン組成物を滴下し、カンフェン組成物と(メタ)アクリル酸とを含む混合物を、配合タンクと反応器との間で循環させながら、反応器にて反応させる。
カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応の際に使用する反応器は、反応条件、反応方式に応じて適宜選択される。反応器内には、外部に固体酸触媒が漏出しないように充填される。固体酸触媒の充填率は70〜90%であることが好ましい。固体酸触媒の充填率が70%以上であれば、カンフェンと(メタ)アクリル酸との混合物と、固体酸触媒との接触効率を高めることができ、90%以下であれば、反応器内での前記混合物の流速を高めることができる。
また、固体酸触媒に付着している水分を十分に除去する観点から、反応前に、例えば、メタノールなどの有機溶媒で反応器内をあらかじめ洗浄し、さらにヘキサンやシクロヘキサン、トルエンなどの極性の低い有機溶媒で置換しておくことが好ましい。
反応圧力は、大気圧であってもよいし、大気圧より高くてもよいし、大気圧より低くてもよい。
反応温度は10〜75℃であること好ましく、35〜45℃であることがより好ましい。反応温度が10℃以上であれば、カンフェンと(メタ)アクリル酸とを迅速に反応させて、生産性を高めることができ、75℃以下であれば、カンフェンと(メタ)アクリル酸とを触媒に接触させた際に初期反応による発熱量を抑えることができる。
反応温度は、カンフェンの滴下量やその温度などで制御することができるが、補助的に、例えば、加熱冷却コイルなどを用いて制御することもできる。
反応時間は、目的の反応率により決定されるが、回分式または循環式の場合には、1〜30時間であることが好ましい。
カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応では、適時、イソボルニル(メタ)アクリレートの反応率をガスクロマトグラフィで調べ、カンフェンが所定の反応率に達した時点で、その反応を終了させることが好ましい。反応率が高くなると、反応速度が低下するため、反応率が100%に達する前に反応を終了させることは、イソボルニル(メタ)アクリレートの生産性の点から好ましい。
所定の反応率としては、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
反応終了後、生成したイソボルニル(メタ)アクリレートを、得られた反応混合物から減圧蒸留などにより単離することができる。さらに、必要に応じて、単離したイソボルニル(メタ)アクリレートを精製することにより、高純度のイソボルニル(メタ)アクリレートを得ることができる。
反応混合物から減圧蒸留などによりイソボルニル(メタ)アクリレートを単離して残った残留留分には、未反応のカンフェンと(メタ)アクリル酸が含まれている。カンフェンおよび(メタ)アクリル酸を有効利用する点では、残留留分を、カンフェンと(メタ)アクリル酸との反応に再利用することが好ましい。
本発明のイソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法では、酸化防止剤を含むカンフェン組成物に(メタ)アクリル酸を反応させるため、カンフェンの酸化によって生成するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応が起こりにくい。したがって、反応液の粘度上昇を抑制できる上に、副生成物生成による製品の品質低下を抑制できる。したがって、本発明のイソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法によれば、高品質で、適切な重合性を有するイソボルニル(メタ)アクリレートを製造できる。
上記製造方法により得たイソボルニル(メタ)アクリレートは、例えば、印刷用インク、光硬化性塗料用バインダ、接着剤、光硬化反応希釈剤などに好適に使用できる。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
参考例1)
カンフェン50gを500mlのガラス容器に入れ、さらに10mg(カンフェンを100質量%とした際の0.02質量%)のハイドロキノンを添加し、60℃の水浴で溶解させ、均一にして、カンフェン組成物を得た。そして、得られたカンフェン組成物を室温にて保管した。保管開始前、保管開始から3ヵ月後、6ヵ月後に、その一部を測定試料として採取し、ガスクロマトグラフィ(カラム:J&B Scientific社製 DB−5、長さ30m×内径0.53mm 膜厚3μm)により分析した。各時期のカンフェン組成物中のカンフェン酸化物の含有量を表1に示す。
(比較例1)
酸化防止剤を添加せずに、参考例1と同様に保管および分析を行った。各時期のカンフェン組成物中のカンフェン酸化物の含有量を表1に示す。
Figure 0005777844
表1に示すように、ハイドロキノンを含有する参考例1のカンフェン組成物では酸化物の生成が抑制されていたが、ハイドロキノンを含有しない比較例1のカンフェン組成物では酸化物の生成が抑制されていなかった。
参考例2)
カンフェン50gを外径30mm、高さ200mmの試験管に入れ、さらに10mgのハイドロキノンを添加し、110℃で保管した。保管開始前、保管開始から12時間後、24時間後に、その一部を測定試料として採取し、ガスクロマトグラフィにより分析した。各時期のカンフェン組成物中のカンフェン酸化物含有量を表2に示す。
参考例3,4)
ハイドロキノンの代わりに、表2に示す酸化防止剤を使用したこと以外は参考例2と同様に保管および分析をおこなった。各時期のカンフェン組成物中のカンフェン酸化物含有量を表2に示す。
(比較例2)
酸化防止剤を使用せずに、参考例2と同様に保管および分析をおこなった。各時期のカンフェン中のカンフェン酸化物含有量を表2に示す。
Figure 0005777844
表2に示すように、酸化防止剤を含有する参考例2〜4のカンフェン組成物では酸化物の生成が抑制されていたが、酸化防止剤を含有しない比較例2のカンフェン組成物では酸化物の生成が抑制されていなかった。
(調製例1)
カンフェン1kgを2Lのガラス製容器に入れ、さらに200mg(カンフェンを100質量%とした際の0.02質量%)のハイドロキノンを添加し、110℃でゆっくり攪拌しながら6時間加熱して、カンフェン組成物を得た。このカンフェン組成物の一部を測定試料として採取し、ガスクロマトグラフィにより分析した結果、カンフェン組成物中のカンフェン酸化物含有量は120ppmであった。
(調製例2)
酸化防止剤を添加しない以外は調製例1と同様にしてカンフェン組成物を得た。カンフェン組成物中のカンフェン酸化物含有量は218ppmであった。
(実施例5)
滴下漏斗および攪拌機を備えた容積1Lの配合タンクと、固体酸触媒(乾燥した強酸性陽イオン交換樹脂、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)社製、商品名:乾燥アンバーリスト15(Amberlyst 15 DRY))17.0gを充填した容積50mL反応塔とを、内容液が循環するように接続した。
配合タンク内にメタクリル酸323.8gを仕込み、メタクリル酸の液温を25℃に調整し、メタクリル酸を配合タンクと反応塔との間で循環させた。その際、反応塔内でのメタクリル酸と固体酸触媒との接触時間は0.1分間とした。
次に、配合タンク内のメタクリル酸を攪拌しながら、反応塔内の内部温度が45〜50℃になるように温度を調節し、滴下漏斗から調製例1で得たカンフェン組成物420.0gを滴下速度5g/分で配合タンク内に滴下した。カンフェン組成物の滴下終了後も液温を45〜50℃に調整しながら循環を継続し、カンフェン組成物とメタクリル酸とを固体酸触媒に接触させて、イソボルニル(メタ)アクリレートを製造した。反応の際には、反応率をガスクロマトグラフィで調べ、その反応率が80%以上になったところで反応を終了した。なお、未反応のメタクリル酸は減圧蒸留により反応混合物から回収し、次の反応に使用した。
反応率が80%以上になるのに要する時間が24時間以上になるまで、上記反応塔を取り替えずに、同様の操作を繰り返したところ、連続して15回繰り返すことができた。
(比較例3)
調製例2で得たカンフェン組成物を使用した以外は実施例5と同様に実施して、イソボルニル(メタ)アクリレートを得た。
上記反応塔を取り替えずに、同様の操作を繰り返したところ、連続して5回繰り返すことができたが、6回目にて反応塔内に重合副生成物が生成し、粘度が上昇して、内容液の循環が困難になった。
実施例5および比較例3の結果より、酸化防止剤を含有するカンフェン組成物と(メタ)アクリル酸とを反応させることにより、反応液の粘度の上昇を抑制できることが判明した。

Claims (1)

  1. カンフェンに酸化防止剤を、カンフェンを100質量%とした際の0.0001〜1質量%添加し、加熱することによってカンフェンを溶解してカンフェン組成物を調製し、該カンフェン組成物を滴下して(メタ)アクリル酸と反応させることを特徴とするイソボルニル(メタ)アクリレートの製造方法。
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