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JP2005263716A - シアノアルコキシ化合物の製造方法 - Google Patents

シアノアルコキシ化合物の製造方法 Download PDF

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JP2005263716A
JP2005263716A JP2004080218A JP2004080218A JP2005263716A JP 2005263716 A JP2005263716 A JP 2005263716A JP 2004080218 A JP2004080218 A JP 2004080218A JP 2004080218 A JP2004080218 A JP 2004080218A JP 2005263716 A JP2005263716 A JP 2005263716A
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cyanoalkoxy
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unsaturated nitrile
producing
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Masashi Yamaguchi
正志 山口
Hisahide Takamoto
尚英 高本
Hiroyoshi Endou
浩悦 遠藤
Jun Takahara
潤 高原
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】 シアノアルコキシ化合物を、高収率で且つ工業的に安全な方法で製造する方法を提供することにある。
【解決手段】 三個以上の水酸基を有するポリオールとα,β−不飽和ニトリルとを反応させてシアノアルコキシ化合物を製造する方法において、反応溶液中のα,β−不飽和ニトリルの濃度を30重量%以下に維持しながら反応を行う。
【選択図】 なし




Description

本発明はシアノアルコキシ基を有する化合物の製造方法に関する。詳しくは、水酸基を三個以上有するポリオールとα,β−不飽和ニトリルとを反応させてシアノアルコキシ化合物を製造する反応を、高収率で且つ安全に行う方法に関するものである。
シアノアルコキシ化合物は、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂の原料モノマーであるアミノアルコキシ化合物の原料として利用されている。
シアノアルコキシ化合物の製造方法として一般的なものは、シアノエチレーションと呼ばれるアルコール水酸基のα,β−不飽和ニトリルへのマイケル付加による方法である。
この反応は大きな発熱を伴うことから、一般的に塩基触媒を含むアルコール溶液にα,
β−不飽和ニトリルを少量ずつ添加することにより行われる。また、反応中にα,β−不
飽和ニトリルが重合しやすいことから、比較的低温(室温〜30℃)で反応を行うことが多い。特許文献1には種々のポリオールに対するシアノエチレーションの例が開示されているが、何れのポリオールに対しても20〜30℃において1〜2時間かけてα,β−不飽和ニトリルを滴下して反応を行っている。
米国特許発明第2401607号明細書
一方、本発明者らが、種々のポリオールを原料として特許文献1記載と同様の反応条件にて反応を行ったところ、水酸基を二個有するジオール(例えばエチレングリコール)を原料とした場合には反応が穏やかに進行し、記載の通り反応液の温度を常に30℃以下に保つことが可能であったが、水酸基を三個以上有するポリオールを原料とした場合には、滴下終了から暫くした(30分〜1時間)ところで大きな発熱が生じ、反応液の温度が急上昇する(20℃以上も上がる)という現象が観測された。さらに、温度上昇と同時にα,β−不飽和ニトリルの重合物生成による反応液の着色が観測された。シアノアルコキシ化合物を工業的に生産する場合、このような短時間における大きな発熱は暴走反応の原因となり危険であるばかりでなく、α,β不飽和ニトリルの重合に伴う製品の品質悪化、さらに反応収率低下にもつながることから、反応を徐々に進行させることにより単位時間当たりの発熱量を低減させる必要がある。
本発明の目的は、着色の少ない高品質のシアノアルコキシ化合物を、高収率・高選択率で且つ工業的に安全に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、かかる上記問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、水酸基を三つ以上有するポリオールを原料とした場合、水酸基を二つ有するジオールを原料とした時と比較してα,β−不飽和ニトリルとの反応速度が非常に遅く、その結果として滴下したα,β−不飽和ニトリルがほとんど反応せずに溶液中に残っていることをつきとめた。さらに、反応を続けると突然爆発的に反応が始まり、溶液中に存在するα,β−不飽和ニトリルのほとんど全てが短時間に反応し、これが急激な温度上昇の原因であることをつきとめた。
これらの結果を基に検討を重ねた結果、シアノアルコキシ化合物を製造する際、反応溶液中のα,β−不飽和ニトリルの濃度を特定の範囲に維持しながら反応させることにより、高品質のシアノアルコキシ化合物を、工業的に安全な方法で製造できることを見出し、
工業的に適用可能な方法を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、三個以上の水酸基を有するポリオールとα,β−不飽和ニトリルとを反応させてシアノアルコキシ化合物を製造する方法において、反応溶液中のα,β−不飽和ニトリルの濃度を30重量%以下に維持しながら反応させることを特徴とする、シアノアルコキシ化合物の製造方法、に存する。
本発明の方法は、溶液中のα,β−不飽和ニトリルの濃度をある特定の範囲に保つことによって、急に反応が始まった場合にも溶液中のα,β−不飽和ニトリルが全て消費されたところで反応が停止するため、反応熱に伴う温度上昇を制限することが可能である。そのため、反応温度の制御が容易となり、反応が暴走する恐れが無い安全な製造法である。さらに、反応温度の制御をより厳密に行うことが可能であるため、温度上昇に伴って生成するα,β−不飽和ニトリルの重合物の生成を抑制し、高品質のシアノアルコキシ化合物を製造できる点で従来法より有利である。
本発明の方法によれば、シアノアルコキシ化合物を、高収率で且つ工業的に安全な方法で製造することができる。
<3個以上の水酸基を有するポリオール>
三個以上の水酸基を有するポリオールとしては、脂肪族、脂環式あるいは芳香族ポリオールのうち、任意のものが使用できる。具体的には、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2,8−オクタントリオール等の炭素数3以上10以下の3価脂肪族アルコール;1,2,3−シクロヘキサントリオール、1,3,5−シクロヘキサントリオール等の炭素数6以上20以下の3価脂環式アルコール;ピロガロール等の炭素数6以上20以下の3価芳香族アルコール;ペンタエリスリトール等の炭素数3以上10以下の4価脂肪族アルコール;等が挙げられる。
中でも、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが、原料を比較的安価に入手しやすい点で好ましい。
<α,β−不飽和ニトリル>
α,β−不飽和ニトリルとしては、シアノ基以外の炭素数が通常 2以上、4以下、好
ましくは3以下のものが用いられる。具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、cis−クロトノニトリル、trans−クロトノニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル、2−メチル−2−ブテンニトリル、2−ペンテンニトリル等が挙げられ、アクリロニトリル、メタクリルニトリルが好ましい。
<塩基性触媒>
塩基性触媒としては、特に制限はないが、Na、K等のアルカリ金属、水酸化ナトリウム
、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド、陰イオン交換樹脂などが例示される。
塩基性触媒の使用量は、アルカリ金属含有触媒を使用する場合、アルカリ金属の、原料アルコールの水酸基のモル数に対する比として、下限が通常、0.0005以上、好ましくは0.001以上であり、上限が通常、0.1以下、好ましくは0.01以下である。
<三個以上の水酸基を有するポリオールとα,β−不飽和ニトリルの仕込み比>
反応終了時における仕込み量の合計は、三個以上の水酸基を有するポリオールの水酸基とα,β−不飽和ニトリルのオレフィン数が同モル数に近いほどよく、どちらが小過剰であってもよい。具体的には三個以上の水酸基を有するポリオールの水酸基に対し、α,β
−不飽和ニトリルのオレフィン数の下限が、通常0.8以上、好ましくは1.0以上であり、上限が通常5.0以下、好ましくは1.5以下である。
<反応>
反応は、通常、上記塩基性触媒を含有するポリオール液相中に、α,β−不飽和ニトリルを少量ずつ添加する方法により行う。
本発明においては、反応溶液中のα,β−不飽和ニトリルの濃度が、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、上限が30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下になるよう維持することが必要である。
この量が少なすぎると反応速度が遅くなり、反応終了までの時間が長くなる傾向があり、また多すぎると短時間に反応が進行し、大きな発熱により反応液の温度制御が困難となる傾向がある。
α,β−不飽和ニトリルの濃度を上記範囲内に維持するためには、ポリオールとα,β−不飽和ニトリルとの反応速度に応じて、α,β−不飽和ニトリルの添加速度をコントロールする方法、あるいは、後述する溶媒を使用する方法などが挙げられる。
反応時の温度は、下限が通常0℃以上、好ましくは 10℃以上、上限が通常80℃以下、好ましくは70℃以下である。温度が低すぎると反応速度が遅くなる傾向があり、高すぎるとα,β−不飽和ニトリルの重合が起こり、液の着色の原因となる。
反応は液相で行い、通常、無溶媒で実施することが可能であるが、必要に応じて溶媒を使用してもよい。その場合、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数が通常6以上12以下の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の炭素数が通常6以上12以下の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等の炭素数が通常4以上12以下のエーテル類;アセトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数が通常3以上10以下のケトン類;の他、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、およびこれらの混合溶媒が用いられる。
この場合、溶媒の使用量は、原料のポリオールに対して、通常100重量倍以下、好ましくは10重量倍以下である。
また、反応は通常、常圧で行うことができるが、加圧下または減圧下で行うこともできる。
反応雰囲気は、大気中でもまた不活性ガス中でもよい。
<反応後処理>
本発明の製造方法で得られたシアノアルコキシ化合物を水添してアミノアルコキシ化合物を製造する場合、上記方法により得られた反応液を特に精製することなく、水添反応に用いることができる。また、必要に応じて、一般の操作方法、例えば、蒸留分離、抽出、洗浄等により精製することも可能である。
<反応成績>
反応収率および水酸基基準の転化率は次式で定義される。
Figure 2005263716
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
トリメチロールプロパン20gにナトリウムメトキシド0.15gを80℃で溶解させた後、60℃に降温した。これに攪拌しながら、アクリロニトリル17gを反応混合物が55〜65℃を保つように約1時間かけて滴下した。反応液を30℃まで冷却した後、残りのアクリロニトリル7.5gを30分かけて滴下した。滴下後、室温で2時間攪拌し、1,1,1−トリス(2−シアノエトキシメチル)プロパンを得た。滴下中の反応液の温度はオイルバスの温度よりも常に1〜5℃高く、常に反応に伴う発熱が観測されたが、滴下終了後にはオイルバスの温度よりも若干低くなり、大きな発熱は観測されなかった。尚、反応中のアクリロニトリルの濃度を分析した結果、常に10重量%以下に保たれており、滴下したアクリロニトリルが短時間で反応していることが確認された。反応収率は94%であり、トリメチロールプロパンの水酸基基準の転化率は96%であった。得られた液は微黄色透明であり、メタノールで100倍希釈した溶液のAPHAは11であった。
比較例1
反応温度55〜65℃においてアクリロニトリル6.0gを30分かけて滴下し、反応液を30℃まで冷却した後、残りのアクリロニトリル18.5gを1時間かけて滴下した以外は、実施例1と同様に実施した。但し、滴下終了から30分後に大きな発熱が観測され、反応液の温度が一時的に50℃まで上昇した。尚、反応中のアクリロニトリルの濃度を分析した結果、滴下中に徐々に濃度が上昇し、滴下終了後には41重量%に達していたことから、滴下したアクリロニトリルのほとんど反応せずに残っていることが確認された。大きな発熱後はアクリロニトリルの濃度は1重量%以下であった。その結果、反応収率は76%であり、トリメチロールプロパンの水酸基基準の転化率は89%であった。得られた液は黄色でアクリロニトリルの重合物と思われる不溶物が含まれていた。メタノールで100倍希釈した液のAPHAは30であった。
実施例2
グリセロール15gにナトリウムメトキシド0.33gを80℃で溶解させた後、60℃に降温した。これに攪拌しながら、アクリロニトリル22gを反応混合物が55〜65℃を保つように約1時間かけて滴下した。反応液を30℃まで冷却した後、残りのアクリロニトリル5.0gを30分かけて滴下し、1,2,3−トリス(3−シアノエトキシ)プロパンを得た。滴下中の反応液の温度はオイルバスの温度よりも常に1〜5℃高く、常に反応に伴う発熱が観測されたが、滴下終了後にはオイルバスの温度よりも若干低くなり、大きな発熱は観測されなかった。尚、反応中のアクリロニトリルの濃度を分析した結果、常に10重量%以下に保たれており、滴下したアクリロニトリルがすぐに反応していることが確認された。反応収率は67%であり、グリセロールの水酸基基準の転化率は85%であった。得られた液は微黄色透明であり、メタノールで100倍希釈した溶液のAPHAは13であった。
比較例2
反応開始から滴下終了まで30℃に維持した以外は、実施例2と同様に実施した。滴下終了時および滴下終了後1時間後に反応液の分析を行ったところ、反応収率は0%であり、原料グリセロールの水酸基の極一部だけしか反応していないことが確認された。その際のアクリロニトリルの濃度は55重量%であった。滴下終了後2時間経過したところで、50℃に反応温度を上げたところ、急激に発熱が起こり、反応液の温度は一時的に87℃まで上昇した。発熱は短時間で終わり、その後のアクリロニトリルの濃度は1重量%以下であった。その結果、反応収率は39%であり、グリセロールの水酸基基準の転化率は71%であった。得られた液は黄色でアクリロニトリルの重合物と思われる不溶物が含まれていた。メタノールで100倍希釈した液のAPHAは20であった。
本発明の方法によれば、シアノアルコキシ化合物を、高収率で且つ工業的に安全な方法で製造することができる。

Claims (3)

  1. 三個以上の水酸基を有するポリオールとα,β−不飽和ニトリルとを反応させてシアノアルコキシ化合物を製造する方法において、反応溶液中のα,β−不飽和ニトリルの濃度を30重量%以下に維持しながら反応を行うことを特徴とするシアノアルコキシ化合物の製造方法。
  2. 反応を塩基性触媒の存在下に行う、請求項1に記載のシアノアルコキシ化合物の製造方法。
  3. 反応温度が、0℃以上80℃以下である請求項1または2に記載のシアノアルコキシ化合物の製造方法。
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