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JP4743860B2 - 発泡樹脂成形品の成形方法及び成形金型 - Google Patents

発泡樹脂成形品の成形方法及び成形金型 Download PDF

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Description

本発明は、発泡樹脂材料の射出充填工程と発泡工程とで型クリアランスを可変させる成形工法を採用した発泡樹脂成形品の成形方法及び成形金型に係り、特に、開口部におけるコーナー部の正確な形状出しが可能となり、開口部近傍の外観性能並びに相手部品に対する合わせ精度を高めた発泡樹脂成形品の成形方法及び成形金型に関する。
図13は、ドアパネル(図示せず)の室内面側に装着される自動車用ドアトリム1を示すもので、このドアトリム1は、軽量でかつ剛性及び耐衝撃性能に優れ、コストも廉価なことから、ポリプロピレン(PP)発泡体等の発泡樹脂成形品が多く使用されている。上記ドアトリム1には、室内側に向けて膨出するアームレスト部1aが一体成形され、このアームレスト部1aの下方には、ドアポケット用開口1bが開設され、更にそのフロント側にスピーカグリル1cがドアトリム1と一体、あるいは別体に設けられている。
そして、この種発泡樹脂成形品を用いたドアトリム1を所要形状に成形する従来の成形方法について、図14,図15を基に説明する。図14は成形金型の概略構成、図15は金型のタイムチャート図をそれぞれ示す。成形金型2は、可動側金型3と固定側金型4とから大略構成され、可動側金型3は昇降シリンダ3aの駆動により、所定ストローク上下動可能であり、固定側金型4に対して型締めが行なわれる。また、固定側金型4には、図示しない射出機が連設されており、この射出機から供給される発泡樹脂材料Mが両金型3,4間のキャビティC内に射出充填される。
ここで、型締め時における初期金型状態においては、可動側金型3の金型位置は図15のタイムチャート図の(a1)位置であり、この状態の時、射出機から発泡樹脂材料Mが可動側金型3と固定側金型4との間に画成されるキャビティC内に射出充填される。そして、一定時間経過後、可動側金型3が型開き方向に可動して、図15のタイムチャート図の(a2)位置まで型開きし、この位置で発泡反応が行なわれ、最終製品形状のドアトリム1が成形されることになる。すなわち、金型の(a1)位置では、可動側金型3と固定側金型4との間のクリアランスが小さく設定されているため、発泡樹脂材料Mの発泡反応を抑えた状態でキャビティC内に発泡樹脂材料Mを迅速に充填することができる。充填された発泡樹脂材料Mは、可動側金型3や固定側金型4の型面と接する部位は、ソリッド状のスキン層が即座に形成されるが、内部は未発泡状態のままである。
そして、金型を(a2)位置まで型開きすれば、すなわち、可動側金型3と固定側金型4との間の型クリアランスを若干広く設定することで、発泡スペースを確保することができ、スキン層内部の発泡樹脂材料の発泡反応を円滑に行なわせることにより、発泡樹脂成形品(ドアトリム)1を最終製品形状に成形できる(類似技術として特許文献1参照。)。
特開2002−120252号公報
このように、従来の発泡樹脂成形品(ドアトリム)1の成形方法においては、可動側金型3と固定側金型4との間の型クリアランスを調整することで、精度の良い成形を行なっている。すなわち、型クリアランスを小さく設定して、発泡を抑えた状態で発泡樹脂材料Mを迅速に型内に供給できるとともに、発泡反応時には、型クリアランスを比較的大きく設定することで、発泡スペースを確保して、最終製品形状にドアトリム1を精度良く成形できる。
ここで、ドアトリム1の端末コーナー部での成形状況を図16を基に説明する。図16(a)には、発泡樹脂材料Mの射出充填前で型締め直後の状態が示され、図16(b)には、キャビティC内に発泡樹脂材料Mが射出充填される射出充填工程が示されている。そして、キャビティC内に射出充填された発泡樹脂材料Mは、型面に接する部位は発泡樹脂材料Mの外表面にスキン層aが形成される。次いで、図16(c)に示すように、可動側金型3が後退して、発泡スペースが確保され、図16(d)に示すように、スキン層aに囲まれた内部の発泡樹脂材料Mが発泡して発泡層bが形成され、所定の板厚が確保されることになる。
しかしながら、スキン層aが形成された後、可動側金型3の後退動作時には、スキン層aと可動側金型3の型面との間にスキが発生し、通常の一般面は内部の発泡樹脂材料Mの発泡圧により製品の板厚がアップし、剛性を確保することが可能であるが、端末部においては、スキン層aが発泡反応を抑えるため、成形品は、可動側金型3の特に型面コーナー部3bに追従することができなくなる。従って、シャープなコーナーラインが好ましいにもかかわらず、図16(d)に示すように、丸みを帯びた形状にしか成形できず、外観性能を低下させたり、また、隣接部品との合わせ精度を低下させるという問題点が指摘されている。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、相互に型締め、型開きが可能な可動側金型、固定側金型と発泡樹脂材料を供給する射出機とからなる成形金型を使用し、発泡樹脂材料の射出充填工程と発泡工程とで型クリアランスを可変させた発泡樹脂成形品の成形方法及び成形金型に係り、特に、発泡樹脂成形品におけるボス用孔やビス用孔等の開口部におけるコーナー部での形状出しが正確に行なえ、開口部付近の外観性能や相手部品に対する合わせ精度を高めることができる発泡樹脂成形品の成形方法及び成形金型を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、可動側金型と固定側金型とを型締めした後、両金型間のキャビティに発泡樹脂材料を射出充填し、その後、可動側金型を型開き方向に後退させて、発泡スペースを確保し、未発泡状態の半成形品を発泡させることで発泡樹脂成形品を成形するとともに、開口を一部に開設してなる発泡樹脂成形品の成形方法において、前記発泡樹脂成形品に開口を形成するために、可動側金型の対応部位に突起が固定側金型側に向けて突設形成され、この突起の外周面には、摩擦抵抗を増大させる微小凹凸部が設定されていることにより、可動側金型の後退時、未発泡状態の半成形品のコーナー部がこの突起の微小凹凸部に係着保持されてコーナー部でのR垂れを回避したことを特徴とする。
更に、本発明方法に使用する成形金型は、可動側金型、固定側金型、上記固定側金型に連設され、発泡樹脂材料を供給する射出機とから構成され、上記可動側金型と固定側金型とが型締めされ、射出機から発泡樹脂材料が両金型間のキャビティ内に射出充填され、その後、可動側金型が後退して、発泡スペースを確保し、未発泡状態の半成形品の発泡反応が行なわれ、発泡樹脂成形品を成形する発泡樹脂成形品の成形金型において、前記成形金型における可動側金型には、発泡樹脂成形品の開口に対応して、固定側金型側に向けて延びる突起が突設形成され、この突起の外周面には、可動側金型の後退動作と追随して、半成形品のコーナー部を係着保持するための微小凹凸部が設けられていることを特徴とする。
ここで、成形金型における可動側金型は、固定側金型に対して型締め、型開きできるように、シリンダ、あるいはプレスラム等により、所定ストローク可動できるとともに、特に、発泡樹脂材料の射出充填工程における固定側金型と可動側金型との狭い型クリアランスを確保する第1の金型位置と、第1の金型位置から所定ストローク後退させて、発泡スペースを確保する第2の金型位置とを備えるように可動側金型のストロークが制御される。
一方、固定側金型は、連設する射出機から発泡樹脂材料をキャビティ内に供給するために、ホットランナ、バルブゲート等の樹脂通路が設けられている。そして、発泡樹脂成形品に開口を形成するために、可動側金型に固定側金型側に向く突起が突設されており、この突起の形状は、発泡樹脂成形品に形成する開口の形状や寸法に対応して設定されている。そして、この突起の外側面には、絞模様等の微小凹凸部が形成されており、このことにより、可動側金型が後退して発泡スペースを確保する発泡成形工程においては、半成形品のコーナー部が突起の外周面に形成されている微小凹凸部との摩擦抵抗により、係着保持され、可動側金型の後退動作に追随して、半成形品のコーナー部が可動側金型側に引き寄せられることになり、R垂れが回避できる。
従って、本発明方法によれば、成形金型における固定側金型の突起の外側面には、絞模様等の微小凹凸部が設定されていることにより、発泡樹脂材料がキャビティ内に射出充填された後、発泡スペースを確保するために、可動側金型が一定ストローク後退する際、突起の外周面に対して半成形品の開口縁コーナー部が追従することになり、従来、R垂れが生じていた部分において正確な形状出しを行なうことができる。
以上説明した通り、本発明に係る発泡樹脂成形品の成形方法によれば、射出充填時の型クリアランスと発泡反応時の型クリアランスを可変して、発泡樹脂成形品を成形する成形方法であって、特に、可動側金型に設けられる突起の外周面に微小凹凸部が設定されているため、この突起により発泡樹脂成形品に開口を開設し、可動側金型の後退時、未発泡状態の半成形品の特に開口縁コーナー部を可動側金型の突起と追随させるようにしたから、開口縁コーナー部の形状出しを精度良く行なえ、外観性能を向上させることができるとともに、相手部品との合わせ精度を高めることができるという効果を有する。
以下、本発明に係る発泡樹脂成形品の成形方法及び成形金型の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
図1乃至図12は本発明の一実施例を示すもので、図1は本発明に係る発泡樹脂成形品をドアトリムロアに適用した上下二分割構造のドアトリムを示す正面図、図2は同ドアトリムの構成を示す断面図、図3,図4は同ドアトリムにおけるドアトリムロアのボス用孔及びビス用孔を示す要部断面図、図5は同ドアトリムにおけるドアトリムロアの成形に使用する成形金型の構成を示す概要図、図6は同成形金型における発泡樹脂成形品の孔部を形成するための突起を示す側面図並びに外観図、図7は図5に示す成形金型における可動側金型のタイムチャート図、図8乃至図12は同ドアトリムロアの成形工程を示す各説明図である。
図1,図2において、自動車用ドアトリム10は、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30の上下二分割体から構成されている。上記ドアトリムアッパー20には、インサイドハンドルエスカッション11、また、乗員が肘を載せるアームレスト部にはプルハンドル12やパワーウインドウスイッチフィニッシャー13が取り付けられている。一方、ドアトリムロア30には、備品を収容できるドアポケット用開口14が開設されているとともに、そのフロント側にスピーカグリル15が一体、または別体に設けられている。尚、ドアポケット用開口14の背面側には、ポケットバックカバー16が取り付けられている。
更に、上記ドアトリムアッパー20及びドアトリムロア30の構成については、図2に示すように、ドアトリムアッパー20は、樹脂芯材21の表面に表皮22を貼付してなる積層構造体から構成されており、樹脂芯材21の素材となる合成樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等から適宜選択されて良く、また、所望により合成樹脂にタルク、クレイ、木粉等のフィラーを混入しても良い。一方、表皮22は、TPO(サーモプラスチックオレフィン)に代表される熱可塑性エラストマー樹脂等の合成樹脂シート、あるいはTPOシート裏面にポリエチレンフォーム等のクッション層を裏打ちした積層シート材料等の合成樹脂シートが使用できる。
また、ドアトリムアッパー20を所望形状に成形するには、射出成形工法、モールドプレス成形工法が量産性を考慮した場合好適である。すなわち、成形金型内に表皮22をセットし、型締め後、あるいは型締め直前に溶融樹脂に射出充填することで、樹脂芯材21を所望の曲面形状に成形するとともに、樹脂芯材21の表面側に表皮22を一体貼着することができる。一方、ドアトリムロア30は、本発明では発泡樹脂成形品が使用されており、合成樹脂中に発泡剤が混入されている。例えば、使用できる合成樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等から適宜選択される。尚、合成樹脂に対して、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤、あるいは重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤を混入したものを使用している。
そして、図1,図2に示すドアトリム10は、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30との外観上のアクセント効果により、良好な製品外観が得られるとともに、成形金型のコンパクト化を図るとともに、特に、ドアトリムロア30を発泡樹脂成形品から構成することで、軽量化にも大きく貢献している。尚、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30の接合構造としては、ドアトリムアッパー20に取付孔23が幅方向に所定ピッチ間隔で開設されており、この取付孔23に対応してドアトリムロア30の上縁裏面側に取付用ボス31がパネル側に向けて突設され、取付用ボス31を取付孔23内に挿通させた後、取付用ボス31の先端に超音波溶着カシメ、熱カシメ等のカシメ加工を施すことにより、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30とが一体化されている。また、本発明方法により製造されるドアトリムロア30は、図3に示すように、ポケットバックカバー16の溶着用ボス16aがドアトリムロア30のボス用孔32内に挿通された後、先端がカシメ加工されているが、このボス用孔32のコーナー部32aの形状出しが精度良く行なわれ、位置規制等に何等問題が生じることがない。同様に、図4に示すように、ビス17を差し込むために、ドアトリムロア30に開設されているビス用孔33についても、コーナー部33aの形状出しが精度良く行なわれており、コーナー部33aが意匠面として外部に露出しても何等問題が生じない。
このように、本発明方法により作製されるドアトリムロア30は、ボス用孔32やビス用孔33等の開口におけるコーナー部32a,33aの形状出しが精度良く行なわれていることにより、相手部品との合わせが精度良く行なわれるとともに、外観意匠性に優れるという利点を備えている。
次いで、上記ドアトリムロア30を成形するために使用する成形金型の概略構成について、図5を基に説明する。この成形金型40は、可動側金型50と固定側金型60と射出機70とから大略構成されている。更に詳しくは、上記可動側金型50は、図示しない駆動シリンダの動作により、型締め位置、型開き位置に加えて、発泡位置の3つのポジションをとるように駆動される。そのためのプレスラム51が可動側金型50に連結されている。一方、固定側金型60は、射出機70から供給される溶融樹脂の樹脂通路となるホットランナ61、バルブゲート62を通じて型面に溶融樹脂が供給されるとともに、成形後の発泡樹脂成形品を突き出すためのエジェクタピン63が内装されている。
更に、可動側金型50と固定側金型60との間で画成されるキャビティC形状に沿ってドアトリムロア30が所要形状に成形されるが、ドアトリムロア30に開設されるボス用孔32やビス用孔33を形成するために、図6に示すように、可動側金型50の型面所定位置にボス用孔32やビス用孔33の形状や寸法に合致する突起52が突設形成されている。また、固定側金型60の型面には、可動側金型50の突起52の先端を受容する浅底状の凹部64が形成されている。そして、本発明方法の特徴は、この突起52の外周面について絞模様等の微小凹凸部53が設定されていることである。この微小凹凸部53の作用効果については、後述する。
次いで、図7は成形金型40における可動側金型50のタイムチャート図を示し、図8乃至図12は成形金型40を使用したドアトリムロア30の成形工程を経時的に示している。すなわち、可動側金型50は、型開き位置(図7のタイムチャート図中(a)に示すポイント)から可動側金型50が駆動シリンダの動作により可動し、下死点(図7のタイムチャート図中(b)に示すポイント)まで下降し、固定側金型60に対して一定のクリアランスを保つ地点まで可動側金型50が型締めされる。
そして、固定側金型60に対する可動側金型50の型締め後、図8に示すように、射出機70からホットランナ61、バルブゲート62を通じてキャビティC内に発泡樹脂材料Mが射出充填される。この時、図示はしないが、外部からキャビティC内にエアを強制導入し、発泡樹脂材料Mが発泡反応を行なわないようにキャビティC内に樹脂を充填するカウンタープレッシャー工法を採用することもできる。次いで、発泡樹脂材料Mの射出充填工程が完了すれば、図7のタイムチャート図中(c)〜(d)に示すように、可動側金型50が型開き方向に後退する。この可動側金型50の後退動作では、図9に示すように、一般部のクリアランスが3.6mmになるように後退ストロークの寸法が設定されている。この時、キャビティC内には、未発泡状態の半成形品Pが収容されており、可動側金型50の後退ストロークに対応する発泡スペースSが確保されることになる。
そして、図10に示すように、ドアトリムロア30に形成されるボス用孔32やビス用孔33等の開口については、突起52の外周面に微小凹凸部53が設定されているため、微小凹凸部53とドアトリムロア30の開口縁部との間の摩擦抵抗により、特にボス用孔32やビス用孔33のコーナー部32a,33aが突起52の外周面に係着保持され、可動側金型50の後退方向に移行することになる。その後、図11に示すように、未発泡状態の半成形品Pは発泡反応が誘発され、クリアランスを大きく設定したスペース内でドアトリムロア30が所望の厚みを備えるように成形される。この時、図12に示すように、ボス用孔32やビス用孔33等の開口縁部については、R垂れが生じることなく、精度の良い形状出しが行なわれる。
このように、本発明方法によれば、可動側金型50にドアトリムロア30のボス用孔32やビス用孔33に対応する寸法、形状の突起52を突設するとともに、この突起52の外周面に絞模様等の微小凹凸部53を形成するという簡単な構成でありながら、ドアトリムロア30におけるボス用孔32やビス用孔33のコーナー部32a,33aの形状出しを精度良く行なえ、外観性能に優れ、かつ相手部品との合わせ精度を向上させることができるという格別の作用効果を備えている。
以上説明した実施例は、上下二分割タイプのドアトリム10におけるドアトリムロア30の製造方法に本発明方法を適用したが、本発明方法を適用する用途は、これに限定されることなく、発泡樹脂成形品全般に本発明方法を適用することができる。また、発泡樹脂材料Mの射出充填時、キャビティ内に圧空エアを供給するカウンタープレッシャー工法を併用することも可能である。また、可動側金型50の突起52の外周面に形成する微小凹凸部53の形状としては、実施例で示す絞模様の他に、ネジ溝、ラッチ溝等でも良く、微小凹凸部53の形状は限定されない。
本発明に係る発泡樹脂成形品を適用して製作したドアトリムロアを使用した上下二分割構造のドアトリムを示す正面図である。 図1中II−II線断面図である。 図1に示すドアトリムロアにおけるポケットバックカバーの溶着用ボスを挿通させるボス用孔を示す断面図である。 図1に示すドアトリムロアにおけるビスを挿通させるビス用孔を示す断面図である。 図1に示すドアトリムロアを成形するために使用する成形金型の構成を示す概要図である。 図5に示す成形金型に設定されている突起を示す(a)側面図、(b)外観図である。 図1に示すドアトリムロアの成形方法における成形金型のタイムチャート図である。 図1に示すドアトリムロアの成形方法における発泡樹脂材料の充填工程を示す説明図である。 図1に示すドアトリムロアの成形方法における可動側金型の後退時の状態を示す説明図である。 図9に示す可動側金型の後退時におけるボス用孔付近の状態を示す説明図である。 図1に示すドアトリムロアの成形方法における発泡成形工程を示す説明図である。 図11に示す発泡成形工程におけるボス用孔部の構成を示す断面図である。 従来のドアトリムを示す正面図である。 従来のドアトリムを成形する際に使用する成形金型の概要図である。 従来のドアトリムを成形する際に使用する成形金型のタイムチャート図である。 従来の発泡樹脂成形品における製品端末の成形工程を示す説明図である。
符号の説明
10 自動車用ドアトリム
20 ドアトリムアッパー
30 ドアトリムロア
31 取付用ボス
32 ボス用孔
33 ビス用孔
40 成形金型
50 可動側金型
51 プレスラム
52 突起
53 微小凹凸部
60 固定側金型
61 ホットランナ
62 バルブゲート
63 エジェクタピン
70 射出機
C キャビティ
M 発泡樹脂材料
P 半成形品
S 発泡スペース

Claims (2)

  1. 可動側金型(50)と固定側金型(60)とを型締めした後、両金型(50,60)間のキャビティ(C)に発泡樹脂材料(M)を射出充填し、その後、可動側金型(50)を型開き方向に後退させて、発泡スペース(S)を確保し、未発泡状態の半成形品(P)を発泡させることで発泡樹脂成形品(30)を成形するとともに、開口(32)を一部に開設してなる発泡樹脂成形品(30)の成形方法において、
    前記発泡樹脂成形品(30)に開口(32)を形成するために、可動側金型(50)の対応部位に突起(52)が固定側金型(60)側に向けて突設形成され、この突起(52)の外周面には、摩擦抵抗を増大させる微小凹凸部(53)が設定されていることにより、可動側金型(50)の後退時、未発泡状態の半成形品(P)のコーナー部がこの突起(52)の微小凹凸部(53)に係着保持されてコーナー部でのR垂れを回避したことを特徴とする発泡樹脂成形品の成形方法。
  2. 可動側金型(50)、固定側金型(60)、上記固定側金型(60)に連設され、発泡樹脂材料(M)を供給する射出機(70)とから構成され、上記可動側金型(50)と固定側金型(60)とが型締めされ、射出機(70)から発泡樹脂材料(M)が両金型(50,60)間のキャビティ(C)内に射出充填され、その後、可動側金型(50)が後退して、発泡スペース(S)を確保し、未発泡状態の半成形品(P)の発泡反応が行なわれ、発泡樹脂成形品(30)を成形する発泡樹脂成形品(30)の成形金型(40)において、
    前記成形金型(40)における可動側金型(50)には、発泡樹脂成形品(30)の開口(32)に対応して、固定側金型(60)側に向けて延びる突起(52)が突設形成され、この突起(52)の外周面には、可動側金型(50)の後退動作と追随して、半成形品(P)のコーナー部を係着保持するための微小凹凸部(53)が設けられていることを特徴とする発泡樹脂成形品の成形金型。
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