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JP2008155395A - 積層成形品の成形方法並びに成形装置 - Google Patents

積層成形品の成形方法並びに成形装置 Download PDF

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JP2008155395A
JP2008155395A JP2006344205A JP2006344205A JP2008155395A JP 2008155395 A JP2008155395 A JP 2008155395A JP 2006344205 A JP2006344205 A JP 2006344205A JP 2006344205 A JP2006344205 A JP 2006344205A JP 2008155395 A JP2008155395 A JP 2008155395A
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molding
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resin
gate
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Shinya Hashimoto
慎也 橋本
Masahiko Hara
正彦 原
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Kasai Kogyo Co Ltd
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Kasai Kogyo Co Ltd
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Abstract

【課題】一層目の樹脂成形品、二層目の樹脂成形品をそれぞれ順次積層成形してなる積層成形品の成形方法並びに成形装置において、成形装置の構造を簡素化して、コストダウンを図るとともに、樹脂漏れをなくし、成形性を高める。
【解決手段】可動側金型50と固定側金型60との型クリアランスを狭めた型締め状態で、かつ可動側金型50に設けたゲート開閉用入子80で二層目のゲート64を遮断したまま第1のキャビティC1内に第1の射出機70から溶融樹脂M1を射出充填して樹脂芯材21を成形する。次いで、可動側金型50を型開方向に後退動作させるとともに、ゲート開閉用入子80を後退させて二層目のゲート64を開放し、第2の射出機71から溶融樹脂M2を樹脂芯材21と可動側金型50の型面との間の第2のキャビティC2内に射出充填することで、樹脂芯材21表面に表皮22を積層一体化する。
【選択図】図6

Description

この発明は、可動側金型と固定側金型との間の型クリアランスを二段階で調整するとともに、溶融樹脂の射出充填を二段階で行なうことにより成形してなる積層成形品の成形方法並びに成形装置であって、成形時において、樹脂漏れがなく、しかも金型構造も簡素化できる積層成形品の成形方法並びに成形装置に関する。
図10はドアトリムの正面図、図11は同ドアトリムの断面図をそれぞれ示すもので、ドアトリム1は、所要形状に成形され、保形性及びドアパネルに対する取付剛性を備えた樹脂芯材2の表面に表面感触並びに表面外観に優れた表皮3を積層一体化して構成されている。樹脂芯材2は、ポリプロピレン系樹脂やフィラーを混入したポリプロピレン系樹脂等の硬質の樹脂材料を射出成形、あるいはモールドプレス成形することにより、所要形状に成形されている。一方、表皮3として、塩ビシート、TPO(サーモプラスチックオレフィン)シート等の合成樹脂シート、あるいは合成樹脂シートの裏面にポリウレタンフォーム、ポリオレフィン系樹脂フォーム等のクッション層を裏打ちしてなる積層シート材料を使用し、樹脂芯材2の成形時に表皮3を一体化している。
次いで、上記ドアトリム1の製造方法の概要について説明する。ドアトリム1の成形には、例えば、図12に示す成形装置4が使用される。この成形装置4は、可動側の成形上型5と固定側の成形下型6と、成形下型6に連設される2基の射出機7a,7bとから大略構成されている。更に詳しくは、成形上型5は、プレス機5aの駆動により所定ストローク上下動可能であるとともに、第1の射出機7aから溶融樹脂M1を成形下型6の型面に供給して、樹脂芯材2を所要形状に成形するが、その際のホットランナ6a、ゲート6bが成形下型6に設けられている。一方、表皮3を成形するために、溶融樹脂M2は、第2の射出機7bからホットランナ6c,6d(固定側ホットランナ6c、可動側ホットランナ6dと符号化する)、及び可動ゲート6eを通して供給される。
すなわち、成形上型5と成形下型6との間の型クリアランスが樹脂芯材2の厚みに相当する位置まで成形上型5が下降して、キャビティC1が形成され、図13に示すように、第1の射出機7aから溶融樹脂M1がホットランナ6a、ゲート6bを通してキャビティC1内に射出充填されて所要形状に樹脂芯材2が成形される。この時、二層目の溶融樹脂M2を供給する可動ゲート6eは、シリンダ8の伸長動作により上方に位置しており、かつホットランナ6c,6dは、通路が合致していないため、表皮3用の樹脂の供給は停止される。
次いで、樹脂芯材2が成形された後、成形上型5が所定ストローク上昇して、樹脂芯材2と成形上型5の型面との間に第2のキャビティC2が形成され、図14に示すように、第2の射出機7bから表皮3の素材となる溶融樹脂M2が第2のキャビティC2内に供給される。この時、シリンダ8が収縮動作するため、ホットランナ6c,6dの樹脂通路が一致するとともに、可動ゲート6eを通じてキャビティC2内に溶融樹脂M2が供給され、樹脂芯材2の表面に表皮3が積層一体化される。この成形装置4の構成、及び成形装置4を使用したドアトリム1の従来の成形方法については、特許文献1に詳細に記載されている。
特開平10−180782号公報
このように、樹脂芯材2と表皮3との積層成形品であるドアトリム1を成形する従来の成形方法においては、成形上下型5,6間の型クリアランスを狭く設定して、第1のキャビティC1を画成し、第1の射出機7aから樹脂芯材2の素材である溶融樹脂M1を第1のキャビティC1内に射出充填することで、樹脂芯材2を所要形状に成形し、その後、成形上型5を型開方向に後退動作させて、樹脂芯材2と成形上型5の型面との間に、第2のキャビティC2を形成し、第2の射出機7bから溶融樹脂M2を射出充填して、表皮3を樹脂芯材2と一体に成形している。そのために、一層目の溶融樹脂M1の射出充填時には、可動ゲート6eを上昇させて、成形上型5の型面に突き当てることで、可動ゲート6eがシールされるとともに、二層目の樹脂成形品として表皮3を成形する際は、可動ゲート6eはシリンダ8の収縮動作により、成形下型6の型面位置まで下降した状態となり、この可動ゲート6eを通じて溶融樹脂M2が第2のキャビティC2内に射出充填されることになる。
従って、従来方法においては、可動ゲート6eをシリンダ8により成形上型5の型面に押し当てて、樹脂芯材2の成形時に樹脂が入り込まないような構造が採用されているため、構造が複雑化し、金型コストの高騰化の大きな要因となっている。更に、ホットランナ6c,6dで樹脂通路を接合する際に樹脂漏れが生じ易く、樹脂漏れによる材料ロスやショートショット等の成形不良が予想される。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、可動側金型と固定側金型との間に画成されるキャビティ内に溶融樹脂を射出充填することで、一層目の樹脂成形品を成形し、その後、可動側金型を型開方向に後退動作させて、一層目の樹脂成形品と可動側金型の型面との間に第2のキャビティを形成し、溶融樹脂を第2のキャビティ内に射出充填して、二層目の樹脂成形品を一層目の樹脂成形品に積層一体化してなる積層成形品の成形方法並びに成形装置において、金型構造を簡素化することで、コストダウンを図るとともに、樹脂漏れが原因で生じるショートショットや材料ロスを防止することにより、成形性を高めた積層成形品の成形方法並びに成形装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、可動側金型と固定側金型との間に画成されるキャビティ内に溶融樹脂を射出充填して一層目の樹脂成形品を成形した後、可動側金型を型開方向に後退操作し、新たに形成したキャビティ内に溶融樹脂を射出充填して二層目の樹脂成形品を積層してなる積層成形品の成形方法において、可動側金型を下死点まで下降させるとともに、可動側金型に設けたゲート開閉用入子により二層目のゲートを塞ぎ、第1のキャビティ内に第1の射出機から溶融樹脂を射出充填して、一層目の樹脂成形品を成形する一層目の樹脂成形品の成形工程と、可動側金型を型開方向に後退動作させて一層目の樹脂成形品と可動側金型の型面との間に第2のキャビティを形成するとともに、ゲート開閉用入子をゲートから後退させて、該ゲートを開放し、上記第2のキャビティ内に第2の射出機から溶融樹脂を上記ゲートを通じて射出充填して、一層目の樹脂成形品に二層目の樹脂成形品を積層一体化する二層目の樹脂成形品の成形工程とからなることを特徴とする。
更に、本発明方法の好ましい実施の形態においては、前記一層目の樹脂成形品の成形工程において、ゲート開閉用入子と、固定側金型の凹部の内壁面との間は、シャー構造によりシールすることで、二層目のゲートを塞ぐようにしたことを特徴とする。
ここで、積層成形品の適用対象としては、自動車用内装部品全般、例えば、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージサイドトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等がある。また、一層目の樹脂成形品としては硬質なベース芯材としての機能を持ち、その表面に積層される二層目の樹脂成形品としては表面感触、表面風合いの優れた表皮機能を持つことが好ましい。一層目の樹脂成形品及び二層目の樹脂成形品のそれぞれの素材としては、ベース芯材に好適な一層目の樹脂成形品の素材は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等が使用でき、上記熱可塑性樹脂中にフィラー、例えばガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維やタルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子を素材とした充填剤を構成しても良い。
一方、表皮に好適な二層目の樹脂成形品の素材としては、軟質樹脂材料、例えば、軟質塩化ビニル樹脂、サーモプラスチックエラストマー樹脂、EPDM等の合成ゴム系材料、あるいは発泡性樹脂材料等の使用が可能である。
また、上記成形方法に使用する成形装置としては、可動側金型と固定側金型との間に画成されるキャビティ内に溶融樹脂を射出充填して一層目の樹脂成形品を成形した後、可動側金型を型開方向に後退操作し、新たに形成したキャビティ内に溶融樹脂を射出充填して二層目の樹脂成形品を積層してなる積層成形品を成形する積層成形品の成形装置において、前記成形装置は、相互に型開き、型締め可能な可動側金型、固定側金型とを備え、可動側金型には、シリンダ駆動によりキャビティ内に進退可能なゲート開閉用入子を設け、一層目の樹脂成形品を成形する際には、二層目のゲートを上記ゲート開閉用入子により塞ぐことを特徴とする。
従って、本発明方法は、一層目の樹脂成形品の成形工程と、一層目の樹脂成形品の表面側に一体化される二層目の樹脂成形品の成形工程と、から大略構成されている。一層目の樹脂成形品の成形工程は、可動側金型を型締め方向に可動させて、可動側金型と固定側金型の型クリアランスを狭く維持して、第1のキャビティを画成し、この第1のキャビティ内に溶融樹脂を射出充填して、一層目の樹脂成形品を所要形状に成形するが、この時、可動側金型に設けられているゲート開閉用入子は、固定側金型に設けられている二層目のゲートを塞いだ状態であり、一層目の樹脂成形品の素材である溶融樹脂は、ゲート開閉用入子を回避するように流動する。
次いで、一層目の樹脂成形品が成形された後、可動側金型を型開方向に後退動作させて一層目の樹脂成形品と可動側金型の型面との間に第2のキャビティを形成する。そして、溶融樹脂をこの第2のキャビティ内に射出充填して、一層目の樹脂成形品の表面側に二層目の樹脂成形品を一体化することができる。この時、可動側金型に設けられているゲート開閉用入子は、シリンダ駆動により二層目のゲートから外れ、可動側金型内に収容されているため、第2の射出機から溶融樹脂が樹脂通路を経て第2のキャビティ内に射出充填されて、一層目の樹脂成形品の表面側に二層目の樹脂成形品を精度良く一体化することができる。
従って、本発明方法によれば、可動側金型にシリンダ駆動するゲート開閉用入子を付設して、一層目の樹脂を射出充填する際に、二層目のゲートをゲート開閉用入子により塞ぐことができれば良く、シリンダ駆動する入子を可動側金型に設けるだけの簡単な金型構造で対応できるため、成形装置の構造を簡素化することによるコストダウンが見込める。
また、従来のように、ホットランナを継手式に設けるという構成ではないため、樹脂漏れ等が発生することがなく、ショートショットを未然に防止できるとともに、材料ロスも防止できる。更に、従来では、可動ゲートを金型に押し当てることで、金型の絞模様が損傷し、外観性能を損なうという不具合が指摘されていたが、本発明では、入子と固定側金型とはシャー構造でシールされるため、入子の絞模様が損傷を受けることがないことから、良好な製品外観が得られる。
以上説明した通り、本発明に係る積層成形品の成形方法並びに成形装置によれば、可動側金型と固定側金型との型クリアランスを狭めて第1のキャビティを画成するとともに、二層目のゲートに対して可動側金型に設けたゲート開閉用入子で塞いだ状態にして第1のキャビティ内に溶融樹脂を射出充填して、一層目の樹脂成形品を所要形状に成形し、その後、可動側金型を型開方向に後退操作するとともに、二層目のゲートからゲート開閉用入子を離脱させて、一層目の樹脂成形品と可動側金型の型面との間に形成される第2のキャビティ内に溶融樹脂を射出充填することで、二層目の樹脂成形品を積層一体化するというものであるから、二層目のゲートを蓋するシリンダ式のゲート開閉用入子を可動側金型に設けるという簡単な構造で対応することができ、従来の可動ゲート構造、継手式ホットランナ構造等に比べ、構造を簡素化することによる大幅なコストダウンが見込めるという効果を有する。
更に、本発明に係る積層成形品の成形方法並びに成形装置によれば、継手式ホットランナによる樹脂漏れ等が生じることがないため、ショートショットや材料ロスを未然に防止でき、成形性能を高めることができるとともに、入子と固定側金型との間のシャー作用によりシールされるため、入子の絞模様に損傷を受けることがなく、絞模様を忠実に現出することで外観意匠性を良好に保つことができるという効果を有する。
以下、本発明に係る積層成形品の成形方法並びに成形装置の好適な実施例について、ツートンタイプの自動車用ドアトリムの成形方法並びにその方法に使用する成形装置を例示して説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
図1乃至図9は本発明の一実施例を示し、図1はツートンタイプの自動車用ドアトリムを示す正面図、図2は同ドアトリムの構成を示す断面図、図3は同ドアトリムにおけるドアトリムアッパーの構成を示す断面図、図4,図5は本発明に係る積層成形品の成形装置の一例を示す図4は全体図、図5は成形装置における固定側金型の平面図、図6乃至図9は同ドアトリムの成形方法を示す各工程説明図である。
図1乃至図3において、ツートンタイプの自動車用ドアトリム10は、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30との上下二分割体から構成されており、図1に示すように、製品表面側には、インサイドハンドルエスカッション11が取り付けられている。また、ドアトリム10の表面に車室内側に膨出状に形成され、乗員が肘を掛けて休めるアームレスト12が設けられ、このアームレスト12の上面には、パワーウインドウスイッチ等のスイッチ素子を収容したスイッチエスカッションパネル13や、プルハンドルユニット14が取り付けられている。更に、アームレスト12の下部側には、備品を収容できるドアポケット開口15が開設され、このドアポケット開口15の背面側には、図2に示すように、ポケットバックカバー16が取り付けられている。また、ドアポケット開口15のフロント側には、スピーカグリル17がドアトリム10と一体、あるいは別体に形成されている。
更に詳しくは、ドアトリムアッパー20は、樹脂芯材21の表面に表皮22を積層した二層積層品から構成される一方、ドアトリムロア30は、合成樹脂の単体品から構成されている。次いで、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30との接合構造は、ドアトリムロア30の上縁側裏面に取付用ボス31が立設されるとともに、ドアトリムアッパー20には、それと対応するように取付孔23が開設されている。そして、取付用ボス31を取付孔23内に差し込んだ後、取付用ボス31の先端を超音波溶着加工、あるいは熱溶着等によりカシメ加工することで、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30とが強固に固定されている。
また、図3に示すように、ドアトリムアッパー20における樹脂芯材21と表皮22の両側縁は傾斜状のフランジ20aとして形状が設定されている。このことは、後述するドアトリムアッパー20の成形方法を実施する上でこのような形状に設定することが必要となってくる。本発明では、射出成形工法を使用して、樹脂芯材21と表皮22の一体成形が行なわれるが、樹脂芯材21の素材としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等が使用できる。また、表皮22の素材としては、軟質樹脂材料、例えば、軟質塩化ビニル樹脂、サーモプラスチックエラストマー樹脂、EPDM等の合成ゴム系材料、あるいは発泡性樹脂材料等の使用が可能である。
ところで、本発明は、二層積層品であるドアトリムアッパー20を成形する際、成形装置40の構造を簡素化することで、コストダウンを図るとともに、樹脂漏れやショートショット等が発生することがなく、成形性を高め、かつ意匠性においても優れたドアトリムアッパー20を成形することができる。
図4,図5において、成形装置40の大略構成について説明する。成形装置40は、ドアトリムアッパー20の製品面側に位置する可動側金型50と、樹脂芯材21の裏面側に位置する固定側金型60と、樹脂芯材21や表皮22の素材を供給する2基の射出機70,71と、可動側金型50に設けられ、二層目のゲートを開閉できるゲート開閉用入子80とから大略構成されている。
更に詳しくは、可動側金型50は、昇降シリンダ51により所定ストローク上下動可能に構成されているとともに、固定側金型60には、2基の射出機70,71からの溶融樹脂の樹脂通路として、一層目の樹脂成形品(樹脂芯材21)の素材の通路となるホットランナ61、ゲート62が設けられているとともに、二層目の樹脂成形品(表皮22)の素材の通路となるホットランナ63、ゲート64が設けられており、特に、二層目のゲート64近辺には、ゲート開閉用入子80と、シャー作用によりゲート64をシールできる凹部65が環状に設けられている。尚、このゲート開閉用入子80は、シリンダ81の伸縮動作により、図4中矢印方向に動作して、二層目のゲート64を開閉させる機能を持つ。
次いで、図6乃至図9に基づいて、ドアトリムアッパー20の成形方法について説明する。まず、図6に示すように、可動側金型50は、昇降シリンダ51の駆動により、下死点まで下降して、可動側金型50と、固定側金型60との型クリアランスが樹脂芯材21の厚みに相当するまで両金型50,60は型締めされ、第1のキャビティC1が画成される。この時、ゲート開閉用入子80は、シリンダ81の伸長作用により、下方に突出しており、固定側金型60における二層目のゲート64の周囲凹部65の内壁面とゲート開閉用入子80の外周縁とがシャー作用によりシールされている。
更に、この状態で、第1の射出機70から樹脂芯材21の素材である溶融樹脂M1がホットランナ61、ゲート62を通じて第1のキャビティC1内に射出充填されて樹脂芯材21が所要形状に成形される。溶融樹脂M1の射出充填工程において、ゲート開閉用入子80は、図7に示すように、二層目のゲート64近傍の凹部65の内壁面と、シャー作用によりシールされているため、溶融樹脂M1の樹脂漏れを可及的に防止できるとともに、ゲート開閉用入子80の絞模様80aが損傷することがない。
そして、一層目の樹脂成形品である樹脂芯材21が所要形状に成形された後、図8,図9に示すように、可動側金型50が型開方向に後退操作され、樹脂芯材21と可動側金型50の型面との間に第2のキャビティC2が形成されるとともに、ゲート開閉用入子80のシリンダ81が収縮動作することで、ゲート開閉用入子80は上昇して、可動側金型50の型面と面一となる。そして、この状態で、第2の射出機71から表皮22の素材である軟質樹脂の溶融樹脂M2がホットランナ63、ゲート64を通じて第2のキャビティC2に射出充填されて、樹脂芯材21の表面側に表皮22が一体化されることで、ドアトリムアッパー20が精度良く成形される。
このように、本発明方法においては、可動側金型50にゲート開閉用入子80を設けるという簡単な構成で樹脂芯材21と表皮22との積層成形品であるドアトリムアッパー20を簡単かつ廉価に成形することができるため、成形装置40の構造を簡素化することにより、大幅なコストダウンが見込めるとともに、従来のように、可動ゲート構造、継手式ホットランナ構造を廃止したため、樹脂漏れがなく、ショートショットや材料ロスを未然に防止できるという効果もある。また、ゲート開閉用入子80は、金型型面と突き当てる構成ではないため、ゲート開閉用入子80の下面に設けた絞模様80aが損傷を受けないため、良好な外観性能を長期に亘り維持することができる。
実施例においては、上下二分割タイプのドアトリム10におけるドアトリムアッパー20に本発明方法を適用したが、ベースとなる樹脂芯材21と、軟質性の表皮22とからなる二層積層品であれば、ドアトリムに限らず、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージサイドトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等、自動車用内装部品全般に適用することができる。
また、本発明方法は、型締めしてキャビティを形成した後、溶融樹脂M1,M2を各キャビティC1,C2内に射出充填するという射出成形工法を採用したが、型締め前に溶融樹脂M1,M2を射出充填するモールドプレス成形工法を利用することもできる。
本発明に係る積層成形品の成形方法を使用して製作した上下二分割タイプの自動車用ドアトリムを示す正面図である。 図1中II−II線断面図である。 図1中III −III 線断面図である。 図1に示すドアトリムにおけるドアトリムアッパーの成形に使用する成形装置の全体構成を示す説明図である。 図4に示す成形装置における固定側金型の型面形状を示す平面図である。 図4に示す成形装置を使用するドアトリムアッパーの成形方法における一層目の樹脂成形品の成形工程を示す説明図である。 図6に示す一層目の樹脂成形品の成形工程における二層目のゲート付近の構成を示す説明図である。 図4に示す成形装置を使用するドアトリムアッパーの成形方法における二層目の樹脂成形品の成形工程を示す説明図である。 図8に示す表皮の成形工程における二層目のゲート付近の構成を示す説明図である。 従来のドアトリムを示す正面図である。 図10中XI−XI線断面図である。 従来の二層成形品の成形装置の全体構成を示す説明図である。 従来の二層成形品の成形方法における一層目の樹脂成形品の成形工程を示す説明図である。 従来の二層成形品の成形方法における二層目の樹脂成形品の製造方法を示す説明図である。
符号の説明
10 ドアトリム
20 ドアトリムアッパー
21 樹脂芯材(一層目の樹脂成形品)
22 表皮(二層目の樹脂成形品)
23 取付孔
30 ドアトリムロア
31 取付用ボス
40 成形装置
50 可動側金型
51 昇降シリンダ
60 固定側金型
61,63 ホットランナ
62,64 ゲート
65 凹部
70 第1の射出機
71 第2の射出機
80 ゲート開閉用入子
80a 絞模様
81 シリンダ
C1 第1のキャビティ
C2 第2のキャビティ
M1 溶融樹脂(一層目の樹脂成形品用)
M2 溶融樹脂(二層目の樹脂成形品用)

Claims (3)

  1. 可動側金型(50)と固定側金型(60)との間に画成されるキャビティ(C1)内に溶融樹脂(M1)を射出充填して一層目の樹脂成形品(21)を成形した後、可動側金型(50)を型開方向に後退操作し、新たに形成したキャビティ(C2)内に溶融樹脂(M2)を射出充填して二層目の樹脂成形品(22)を積層してなる積層成形品(20)の成形方法において、
    可動側金型(50)を下死点まで下降させるとともに、可動側金型(50)に設けたゲート開閉用入子(80)により二層目のゲート(64)を塞ぎ、第1のキャビティ(C1)内に第1の射出機(70)から溶融樹脂(M1)を射出充填して、一層目の樹脂成形品(21)を成形する一層目の樹脂成形品(21)の成形工程と、
    可動側金型(50)を型開方向に後退動作させて一層目の樹脂成形品(21)と可動側金型(50)の型面との間に第2のキャビティ(C2)を形成するとともに、ゲート開閉用入子(80)をゲート(64)から後退させて、該ゲート(64)を開放し、上記第2のキャビティ(C2)内に第2の射出機(71)から溶融樹脂(M2)を上記ゲート(64)を通じて射出充填して、一層目の樹脂成形品(21)に二層目の樹脂成形品(22)を積層一体化する二層目の樹脂成形品(22)の成形工程と、
    からなることを特徴とする積層成形品の成形方法。
  2. 前記一層目の樹脂成形品(21)の成形工程において、ゲート開閉用入子(80)と、固定側金型(60)の凹部(65)の内壁面との間は、シャー構造によりシールすることで、二層目のゲート(64)を塞ぐようにしたことを特徴とする請求項1に記載の積層成形品の成形方法。
  3. 可動側金型(50)と固定側金型(60)との間に画成されるキャビティ(C1)内に溶融樹脂(M1)を射出充填して一層目の樹脂成形品(21)を成形した後、可動側金型(50)を型開方向に後退操作し、新たに形成したキャビティ(C2)内に溶融樹脂(M2)を射出充填して二層目の樹脂成形品(22)を積層してなる積層成形品(20)を成形する積層成形品(20)の成形装置(40)において、
    前記成形装置(40)は、相互に型開き、型締め可能な可動側金型(50)、固定側金型(60)とを備え、可動側金型(50)には、シリンダ(81)駆動によりキャビティ(C1,C2)内に進退可能なゲート開閉用入子(80)を設け、一層目の樹脂成形品(21)を成形する際には、二層目のゲート(64)を上記ゲート開閉用入子(80)により塞ぐことを特徴とする積層成形品の成形装置。
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