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JP5378117B2 - 発泡樹脂成形品の成形方法並びに成形装置 - Google Patents

発泡樹脂成形品の成形方法並びに成形装置 Download PDF

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JP5378117B2 JP2009200185A JP2009200185A JP5378117B2 JP 5378117 B2 JP5378117 B2 JP 5378117B2 JP 2009200185 A JP2009200185 A JP 2009200185A JP 2009200185 A JP2009200185 A JP 2009200185A JP 5378117 B2 JP5378117 B2 JP 5378117B2
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Description

この発明は、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、可動側金型を型開方向に後退操作し、発泡スペースを確保した状態で発泡反応させて発泡樹脂成形品を所要形状に成形してなる発泡樹脂成形品の成形方法並びに成形装置に係り、特に、製品キャビティ外周のシール機構部の構造を改良することで、成形サイクルを短縮化でき、かつ成形時にかかる成形金型への負荷を軽減できるとともに、外観不良を解消でき、外観性能を高めた発泡樹脂成形品の成形方法並びに成形装置に関する。
図9はドアパネル(図示せず)の室内面側に装着される自動車用ドアトリム1を示すもので、このドアトリム1は、機能性を高めるために表面中央に乗員が肘を掛けて休めるアームレスト1aが室内側に膨出するように形成されている。また、その下方には、備品を収容できるドアポケット1bが開設されており、更にそのフロント側には、スピーカグリル1cがドアトリム1と一体、あるいは別体に設けられている。そして、このドアトリム1の材質としては、軽量で耐衝撃性に優れ、かつコストも廉価なことから、ポリプロピレン(PP)樹脂内部に発泡剤を混入した発泡樹脂材料を所要形状に成形してなる発泡樹脂成形品が多用される傾向にある。
次に、この種発泡樹脂成形品を素材としたドアトリム1を所要形状に成形する従来の成形方法について説明する。まず、従来方法に使用する成形装置2は、図10に示すように、可動側金型3と固定側金型4が相互に型締め、型開き可能に配置されており、ドアトリム1の製品形状に対応するように両金型3,4間で製品キャビティCが画成される。また、固定側金型4には、製品キャビティCに発泡樹脂材料Mを供給するための樹脂供給通路4aが設定されているとともに、外部からのエア供給機構と接続するエア配管5が設けられ、エア配管5から製品キャビティC内にエアが注入され、製品キャビティC内のエア圧が適正に制御される。更に、製品キャビティCの外周には、製品キャビティCからエア漏れを防止するためにシールリング6が設けられている。
そして、図11(a)に示すように、可動側金型3が下降して、可動側金型3の下死点を基準として5mm上方位置で固定側金型4のシール用凸部4bと可動側金型3のシールリング6とが先行当接して、エアシールが開始され、その後、図11(b)に示すように、可動側金型3が下死点まで当接した時、シールリング6が5mm潰されることにより、完全シールが達成される。この時、可動側金型3からのプレス圧は固定側金型4の受圧面4cに集中する。
従って、従来のドアトリム1の成形方法をタイムチャート式に見れば、図12で示すように、発泡樹脂材料Mの射出のタイミングとしてはエア圧が溜まるまで待機させる必要がある。すなわち、可動側金型3を下降操作して、下死点を基準として5mm上方位置でシールリング6とシール用凸部4bが先行当接した後、更に5mm可動側金型3が下降して、完全シールが達成される。この時には、エア配管5を通じて製品キャビティC内にエアが注入されており、キャビティ内圧は適正値に維持される。そして、下死点で発泡樹脂材料Mが製品キャビティC内に射出充填され、その後、可動側金型3が型開方向に後退操作されて、発泡反応が行なわれ、所定厚みに調整されたドアトリム1が発泡成形される。尚、上記発泡樹脂成形品であるドアトリム1を成形する成形装置2の構造並びに成形装置2を使用したドアトリム1の成形方法の従来例については、特許文献1に詳細に示されている。
特開2005−7818号公報
このように、従来の発泡樹脂成形品であるドアトリム1の成形方法は、可動側金型3と固定側金型4との型締めにより画成される製品キャビティC内に発泡樹脂材料Mを射出充填するが、その射出ポイントは、可動側金型3が下死点まで到達した時に限定され、成形条件の幅が狭く、かつ製品の板厚調整が難しいとともに、型クリアランスが狭いため、発泡樹脂材料Mが流れにくいことから、薄肉成形には不利である。また、製品キャビティC内のエア圧が上昇するまで待機し、その後、発泡樹脂材料Mを射出充填するため、成形サイクルが長期化し、コストアップを招来するとともに、図13に示すように、エア圧が高まるまで待機している間は可動側金型3からのプレス圧が全て固定側金型4の受圧面4cのみにかかり、金型に加わる負荷が大きく、金型の寿命に悪影響を及ぼす傾向にある。更に、発泡反応時には、エアを型外に除去するが、エアが抜けきらない場合は、発泡ムラやユズ肌(製品表面への凹凸発生による外観不良)等の外観不良を助長する不具合がある。
このように、従来方法では、可動側金型3が下死点に到達した後、射出が行なわれるため、成形条件の幅が狭く、かつ成形サイクルが長期化し、コストアップを招来するという不具合がある。また、固定側金型4の受圧面4cのみでプレス圧を受けるため、金型への負荷が大きく、金型の耐久性を低下させるとともに、発泡反応時にはエアが抜けにくいため、外観不良を誘発するという種々の欠点が指摘されている。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、型内にエアを注入した後、発泡樹脂材料を製品キャビティ内に射出充填し、その後、型内のエアを外部に排出するとともに、可動側金型を型開方向に後退操作して所定厚みの発泡樹脂成形品を成形する発泡樹脂成形品の成形方法並びに成形装置であって、可動側金型が下死点に到達する前段階において、キャビティ内圧を高圧に維持でき、成形条件の幅を拡げることができるとともに、成形サイクルを短縮化でき、しかも、金型への負荷が小さく、更に外観不良も解消できる発泡樹脂成形品の成形方法並びに成形装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明者等は、鋭意研究の結果、製品キャビティ外周に設けられる外周シール機構部を可動式構造とし、可動側金型が下死点に到達する前の上方位置で完全シールを達成し、高位置での射出を可能とすることにより、成形条件の幅を拡げ、薄肉成形を可能にするとともに、金型への負荷を低減できることに着目し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、可動側金型と固定側金型との間に画成される製品キャビティ内に前もってエアを注入し、キャビティ内圧を適正値に保った状態で発泡樹脂材料を製品キャビティ内に射出充填し、その後、可動側金型を型開方向に後退操作して発泡スペースを確保した状態で発泡樹脂材料の発泡反応を行なわせ、発泡樹脂成形品を所要形状に成形してなる発泡樹脂成形品の成形方法において、前記可動側金型と固定側金型を型締めする際、製品キャビティの外周に設けた外周シール機構部におけるシールプレートを上昇操作し、可動側金型の下降動作途中において製品キャビティ外周のシールプレートが可動側金型のシールリングに先行当接するとともに、エア供給・排出機構を通じて製品キャビティ内にエアを供給し、キャビティ内圧を迅速に所定値まで高める製品キャビティ外周のシール工程と、製品キャビティの外周をシールした状態で更に可動側金型を下降操作し、可動側金型が下死点に到達する前の任意のポイントで発泡樹脂材料を製品キャビティ内に射出充填する発泡樹脂材料の射出充填工程と、上記発泡樹脂材料を射出充填した後、外周シール機構部のシールプレートを下降操作して、製品キャビティを大気開放するとともに、可動側金型を型開方向に微小ストローク後退操作して、キャビティ内圧を低下させた状態で発泡樹脂材料の発泡反応を行なわせて、所定厚みの発泡樹脂成形品を成形する発泡工程とからなることを特徴とする。
更に、本発明方法に使用する成形装置は、ガス注入式射出成形工法に使用する発泡樹脂成形品の成形装置であって、この成形装置は、所定ストローク可動する可動側金型と、発泡樹脂材料の供給機構と連設する固定側金型と、上記両金型の外周に設けられ、製品キャビティ内にエアを供給・排出するエア供給・排出機構と、製品キャビティの外周に沿って配設され、製品キャビティのキャビティ内圧を適正値に保つための外周シール機構部とから構成され、上記外周シール機構部は、可動側金型に設けられるシールリングと、上記シールリングと対応するように固定側金型に配置され、シリンダにより上下動可能に支持されるシールプレートとからなり、可動側金型の型締め前にシールリングとシールプレートが先行当接することで、製品キャビティのキャビティ内圧を短時間で適正値に保つことができるようにしたことを特徴とする。
ここで、発泡樹脂成形品の用途としては、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージサイドトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等、自動車用内装部品全般に適用できる。また、発泡樹脂成形品の素材としては、合成樹脂材料中に発泡剤が混入されており、使用できる合成樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等から適宜選択して良く、合成樹脂に対して混入する発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤、あるいは重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤が使用できる。
そして、本発明方法は、製品キャビティ外周のシール工程、発泡樹脂材料の射出充填工程、発泡樹脂材料の発泡工程の3工程に大別できる。まず、製品キャビティ外周のシール工程においては、可動側金型の下降に伴ない、可動側金型が例えば下死点を基準として5〜20mm上方位置にある時、製品キャビティ外周に設けられた外周シール機構部が先行シールする。すなわち、固定側金型に設けられたシールプレートがシリンダにより上昇し、シールプレートの上端が可動側金型に設けられているシールリングに先当たりする。そして、この状態で製品キャビティ内にエア配管を通じてエアが注入される。更に、可動側金型が下降して下死点を基準として5〜15mmの位置でシールリングが変形して完全シール状態となり、この状態で製品キャビティ内にエアが継続して注入される。
その後、例えば、可動側金型の位置が下死点を基準として1〜10mm上方位置にある時、任意の位置で発泡樹脂材料が製品キャビティ内に射出充填される。この発泡樹脂材料が製品キャビティ内に射出充填される時は、キャビティ内圧が適正値を保っており、発泡樹脂材料が発泡反応を行なうことなく、カウンタープレッシャー作用により迅速にゆきわたる。
そして、製品キャビティ内に発泡樹脂材料の射出充填が完了すれば、製品キャビティ外周に配設されている外周シール機構部においてシールプレートがシリンダの収縮作用により下降して、エアが外部に抜けきるとともに、可動側金型を所定ストローク型開方向に後退操作して、型クリアランスを拡げた状態で発泡反応が行なわれ、所定厚みの発泡樹脂成形品が成形される。
以上の構成から明らかなように、本発明方法においては、製品キャビティ外周に設定される外周シール機構部は、特に固定側金型に設けた昇降式のシールプレートの動作により、可動側金型の高い位置での完全シールが達成できるため、製品キャビティ内のエア圧を短時間で所定値に高めることができることから、下死点を基準とする1〜10mmの任意の射出ポイントで成形が行なえ、射出成形における成形条件の幅を拡げることができるとともに、薄肉成形にも有利であり、造形自由度を高めることができる。また、プレス圧上昇中に射出可能であるため、プレス圧は樹脂と金型の双方で受け、金型に加わる負荷を低減できる。更に、射出完了後、エアを外周シール機構部から大気開放できるため、外観不良の要因であるエア溜まりを有効に解消できる。
以上説明した通り、本発明に係る発泡樹脂成形品の成形方法は、可動側金型を下降操作する際、製品キャビティ外周に設けた可動式の外周シール機構部の作用により、可動側金型が下死点よりも上方位置にある時、製品キャビティ外周のシール機能を達成できるため、成形条件の幅を拡げることができるとともに、型クリアランスが広い状態で射出でき、可動側金型の下降により発泡樹脂材料を押し拡げられるので、薄肉成形も可能となり、造形自由度を高めることができるという効果を有する。更に、プレス圧上昇中に発泡樹脂材料を射出できることから、プレス圧は樹脂と金型の双方で受けることができ、成形金型に加わる負荷を低減でき、成形金型の寿命を長期化できるという効果を有する。また、射出完了後、製品キャビティ内のエアをバキューム作用で外部に除去するとともに、外周シール機構部において製品キャビティ端末が大気に開放しているため、外観不良の要因であるエア溜まりがなく、発泡ムラ、ユズ肌等の外観不良を有効に解消できるという効果を有する。
本発明方法を適用して成形したドアトリムアッパーを備えた自動車用ドアトリムを示す正面図である。 図1中II−II線断面図である。 本発明方法に使用する成形装置の一実施例の構成を示す全体図である。 本発明方法における可動側金型のプレスチャート並びに成形圧力、エア圧の相関関係を示すタイムチャート図である。 本発明方法における製品キャビティ外周のシール工程を示す説明図である。 本発明方法における発泡樹脂材料の射出充填工程を示す説明図である。 本発明方法における発泡樹脂材料の製品キャビティ内への充填完了時の状態を示す説明図である。 本発明方法における発泡樹脂材料の発泡工程を示す説明図である。 従来のドアトリムを示す正面図である。 従来のドアトリムの成形方法に使用する成形装置の全体図である。 従来の成形方法における外周シール機構部の作用を示す説明図である。 従来のドアトリムの成形方法における可動側金型のプレスチャート並びに成形圧力、エア圧の相関関係を示すタイムチャート図である。 従来のドアトリムの成形方法における不具合点を示す説明図である。
以下、本発明に係る発泡樹脂成形品の成形方法並びに成形装置の具体的な実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
図1乃至図8は本発明の一実施例を示すもので、図1,図2は本発明方法により成形したドアトリムを示す正面図並びに断面図、図3は本発明方法に使用する成形装置の概略構成を示す説明図、図4は本発明方法に使用する可動側金型のプレスチャート並びに成形圧力、エア圧の相関関係を示すタイムチャート図、図5乃至図8は本発明方法の各工程を示す説明図である。
図1,図2において、自動車用ドアトリム10は、ドアトリムアッパー(発泡樹脂成形品)20とドアトリムロア(樹脂成形品)30の上下二分割体から構成されている。上記ドアトリムアッパー20にはインサイドハンドルユニット11、また、乗員が肘を載せるアームレスト部にプルハンドル12やパワーウインドウスイッチフィニッシャー13が取り付けられている。一方、ドアトリムロア30には備品を収容できるポケット開口14が開設されているとともに、そのフロント側にスピーカグリル15がドアトリムロア30と一体、または別体に設けられている。
更に、上記ドアトリムアッパー20及びドアトリムロア30の構成について説明すると、ドアトリムアッパー20は本発明では所要形状に射出成形された発泡樹脂成形品が使用されており、合成樹脂中に発泡剤が混入された発泡樹脂材料を素材としている。使用できる合成樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等があり、この合成樹脂に対して、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤あるいは重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤を混入したものを使用している。
一方、ドアトリムロア30は、射出成形工法、モールドプレス成形工法により量産できる合成樹脂成形品が使用されており、素材としての合成樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等から適宜選択されて良く、また、所望により合成樹脂にタルク、クレイ、木粉等のフィラーを混入しても良い。
そして、図1,図2に示すドアトリム10は、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30との外観上のアクセント効果により、良好な製品外観が得られ、成形金型のコンパクト化を図るとともに、特に、ドアトリムアッパー20を発泡樹脂成形品から構成することで軽量化にも大きく貢献できる。
ところで、上記ドアトリムアッパー20は、軽量化に貢献できることに加えて、良好な外観性能が確保されている。以下、ドアトリムアッパー20の成形方法に使用する成形装置40の構成について図3を基に説明する。本発明方法に使用する成形装置40は、カウンタープレッシャー工法を採用した発泡樹脂成形品の成形方法に適用される。具体的には、この成形装置40は、相互に型締め、型開き可能な可動側金型50、固定側金型60と、発泡樹脂材料Mの射出充填時における製品キャビティCの内圧を高める一方、発泡樹脂材料Mの発泡反応時には製品キャビティCの内圧を低めるために、製品キャビティC内にエアを供給・排出するエア供給・排出機構70と、製品キャビティCの外周に設定される外周シール機構部80とから大略構成されている。尚、エア供給・排出機構70において使用するガスは、N2 ガス、CO2 ガスの他、工場エア等を使用することもできる。
次いで、上記成形装置40の構成を更に具体的に説明する。可動側金型50は、昇降シリンダ51により所定ストローク上下動可能であるとともに、固定側金型60には、図示しない射出機から供給される発泡樹脂材料Mの樹脂通路であるホットランナ61、ゲート62が設けられている。更に、エア供給・排出機構70は、共用配管71が固定側金型60に配設されており、この共用配管71は、外部のブロワ72とバキュームポンプ73にそれぞれ分岐接続し、切替弁74を介して共用配管71はエア供給管、あるいはエア排出管として機能する。
次に、製品キャビティCの外周に設けられている外周シール機構部80の構成について説明すると、可動側金型50には、溝部52が設けられ、この溝部52内にシールリング81が収容されており、可動側金型50と固定側金型60の型締め時において上記シールリング81とシールするように固定側金型60の対応箇所には、シールプレート82が配置されており、シールプレート82はシリンダ83により所定ストローク上下動可能に支持されている。そして、この外周シール機構部80の動作により、可動側金型50が下死点まで到達する前の可動側金型50の高い位置でのシール機構を迅速に達成できるとともに、発泡反応時においてはシールプレート82を下降させることで、製品キャビティCの端末を大気開放させることができる。すなわち、外周シール機構部80の作用により、製品キャビティCの外周を迅速にシールすることができるため、製品キャビティC内のエア圧を短時間で所定値まで上昇させることができ、発泡樹脂材料Mの射出ポイントを可動側金型50の下死点に到達する前の射出ポイント(1〜10mm)で発泡樹脂材料Mの射出を可能とすることができる。このことに付随して、成形サイクルの短縮化並びにプレス圧を発泡樹脂材料Mと金型(具体的には固定側金型60の受圧面63)の双方で受けることができ、成形金型の耐久性を高めることができる等の種々の効果が期待できる。
以下、図5乃至図8に基づいて、本発明方法を具体的に説明する。本発明に係るドアトリムアッパー20の成形方法は、製品キャビティ外周のシール工程、発泡樹脂材料Mの射出充填工程、発泡樹脂材料Mの発泡工程に大別できる。まず、製品キャビティ外周のシール工程については、図5に示すように、可動側金型50が昇降シリンダ51の動作により所定ストローク下降するが、可動側金型50の下死点を基準として、それより5〜20mm上方位置にある時、好ましくは20mm程度の段階で、製品キャビティCの外周に設けられた外周シール機構部80が先当たりする。具体的には、固定側金型60に設けられているシールプレート82がシリンダ83の伸長動作により上昇し、可動側金型50が5〜20mm、下死点より上方位置にある時、シールリング81とシールプレート82が当接する。また、エア供給・排出機構70については、ブロワ72から共用配管71を通して製品キャビティC内にエアが供給される。
そして、図6に示すように、可動側金型50の下降操作が継続して行なわれ、可動側金型50と固定側金型60との型クリアランスが5〜15mmで、シールリング81が偏平状に変形して完全シール状態となる。更に、可動側金型50の下降操作が継続して行なわれると同時に、ホットランナ61、ゲート62を通して製品キャビティC内に発泡樹脂材料Mが射出充填される。この発泡樹脂材料Mとしては、前述した通りポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等の合成樹脂中に発泡剤を混入した素材が使用される。従って、可動側金型50の上方位置で発泡樹脂材料Mを射出充填できるため、成形条件の幅を拡げることができるとともに、可動側金型50の下降により、発泡樹脂材料Mを押し拡げられることから、薄肉成形も可能になる等、造形自由度を高めることができる。
次いで、図7に示すように、可動側金型50が下死点まで降下すれば、発泡樹脂材料Mは製品キャビティCの隅々にまでゆきわたる。この時、可動側金型50からのプレス圧は、固定側金型60の受圧面63と発泡樹脂材料Mの双方で受けるため、成形金型50,60に加わる負荷を軽減でき、可動側金型50及び固定側金型60の寿命を長期化することができる。そして、製品キャビティC内に発泡樹脂材料Mを射出充填した後、図8に示すように、エア供給・排出機構70においては、切替弁74が切り替わり、バキュームポンプ73と共用配管71とが接続し、共用配管71を通して製品キャビティC内の余ったエアが外部に排出されるとともに、可動側金型50が微小ストローク型開方向に後退して発泡スペースが確保され、製品キャビティCの内圧が低下するため、発泡樹脂材料Mは発泡反応が有効に開始される。この時、外周シール機構部80においては、シールプレート82はシリンダ83の収縮動作により固定側金型60内に引き込まれており、製品キャビティCは大気開放されているため、エアが完全に抜けきることで、エア溜まりを有効に抑えることができ、発泡ムラやユズ肌等の外観不良を解消できる。
このように、本発明方法によれば、製品キャビティCの外周に設定されている外周シール機構部80は、シールプレート82を昇降式としたため、可動側金型50の高い位置で製品キャビティCの外周をシールすることができる。その結果、発泡樹脂材料Mの射出時期を早めることが可能となり、成形サイクルの短縮化並びに薄肉成形を可能にする等、造形自由度を高めることができるという効果がある。また、可動側金型50の下降動作中に発泡樹脂材料Mを射出充填するため、プレス圧を発泡樹脂材料Mの流動性で吸収することができるため、成形金型50,60に加わる負荷を軽減でき、成形金型50,60の寿命を長期化できるとともに、発泡反応時においては、シールプレート82を下降操作することで、製品キャビティCを大気開放することにより、エア溜まりをなくし外観不良を未然に防止することができ、外観性能の優れたドアトリムアッパー20を成形することができる。
以上説明した実施例は、上下二分割構造のドアトリム10におけるドアトリムアッパー20の成形に本発明方法を適用したが、適用対象はドアトリムアッパー20に限定されることなく、発泡樹脂成形品全般に適用できる。また、本実施例では、エア供給・排出機構70を適用したが、エア供給機構のみを採用し、バキュームポンプを廃止することもできる。
10 自動車用ドアトリム
20 ドアトリムアッパー(発泡樹脂成形品)
30 ドアトリムロア(樹脂成形品)
40 成形装置
50 可動側金型
51 昇降シリンダ
52 溝部
60 固定側金型
61 ホットランナ
62 ゲート
63 受圧面
70 エア供給・排出機構
71 共用配管
72 ブロワ
73 バキュームポンプ
74 切替弁
80 外周シール機構部
81 シールリング
82 シールプレート
83 シリンダ
C 製品キャビティ
M 発泡樹脂材料

Claims (2)

  1. 可動側金型(50)と固定側金型(60)との間に画成される製品キャビティ(C)内に前もってエアを注入し、キャビティ内圧を適正値に保った状態で発泡樹脂材料(M)を製品キャビティ(C)内に射出充填し、その後、可動側金型(50)を型開方向に後退操作して発泡スペースを確保した状態で発泡樹脂材料(M)の発泡反応を行なわせ、発泡樹脂成形品(20)を所要形状に成形してなる発泡樹脂成形品(20)の成形方法において、
    前記可動側金型(50)と固定側金型(60)を型締めする際、製品キャビティ(C)の外周に設けた外周シール機構部(80)におけるシールプレート(82)を上昇操作し、可動側金型(50)の下降動作途中において製品キャビティ(C)外周のシールプレート(82)が可動側金型(50)のシールリング(81)に先行当接するとともに、エア供給・排出機構(70)を通じて製品キャビティ(C)内にエアを供給し、キャビティ内圧を迅速に所定値まで高める製品キャビティ外周のシール工程と、
    製品キャビティ(C)の外周をシールした状態で更に可動側金型(50)を下降操作し、可動側金型(50)が下死点に到達する前の任意のポイントで発泡樹脂材料(M)を製品キャビティ(C)内に射出充填する発泡樹脂材料(M)の射出充填工程と、
    上記発泡樹脂材料(M)を射出充填した後、外周シール機構部(80)のシールプレート(82)を下降操作して、製品キャビティ(C)を大気開放するとともに、可動側金型(50)を型開方向に微小ストローク後退操作して、キャビティ内圧を低下させた状態で発泡樹脂材料(M)の発泡反応を行なわせて、所定厚みの発泡樹脂成形品(20)を成形する発泡工程と、
    からなることを特徴とする発泡樹脂成形品の成形方法。
  2. ガス注入式射出成形工法に使用する発泡樹脂成形品(20)の成形装置(40)であって、この成形装置(40)は、所定ストローク可動する可動側金型(50)と、発泡樹脂材料(M)の供給機構と連設する固定側金型(60)と、上記両金型(50,60)の外周に設けられ、製品キャビティ(C)内にエアを供給・排出するエア供給・排出機構(70)と、製品キャビティ(C)の外周に沿って配設され、製品キャビティ(C)のキャビティ内圧を適正値に保つための外周シール機構部(80)とから構成され、上記外周シール機構部(80)は、可動側金型(50)に設けられるシールリング(81)と、上記シールリング(81)と対応するように固定側金型(60)に配置され、シリンダ(83)により上下動可能に支持されるシールプレート(82)とからなり、可動側金型(50)の型締め前にシールリング(81)とシールプレート(82)が先行当接することで、製品キャビティ(C)のキャビティ内圧を短時間で適正値に保つことができるようにしたことを特徴とする発泡樹脂成形品の成形装置。
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