JP2004181759A - 発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】射出成形工法を利用した発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型であって、縦壁部におけるシルバーストリークを防止して、縦壁部の外観性能を高めるとともに、強度並びに軽量化率をアップさせる。
【解決手段】可動側金型40と固定側金型50と射出機60とからなる成形金型30に製品キャビティCにおける縦壁部に板厚調整機構70を設ける。この板厚調整機構70は、樹脂充填時には製品キャビティCの縦壁部内に進入して、縦壁部の厚みを低減する進退用ブロック71をシリンダ72により進退可能とし、可動側金型40のコアバック時にこれと対応して製品キャビティCから後退駆動させることで、縦壁部の発泡スペースS2を確保し、縦壁部におけるシルバーストリークを防止して、充分な発泡密度、発泡倍率を確保する。
【選択図】 図8
【解決手段】可動側金型40と固定側金型50と射出機60とからなる成形金型30に製品キャビティCにおける縦壁部に板厚調整機構70を設ける。この板厚調整機構70は、樹脂充填時には製品キャビティCの縦壁部内に進入して、縦壁部の厚みを低減する進退用ブロック71をシリンダ72により進退可能とし、可動側金型40のコアバック時にこれと対応して製品キャビティCから後退駆動させることで、縦壁部の発泡スペースS2を確保し、縦壁部におけるシルバーストリークを防止して、充分な発泡密度、発泡倍率を確保する。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、射出成形工法を使用する発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型に係り、特に、発泡樹脂成形体の周縁フランジ等の縦壁部における強度及び外観性能を高めることができる発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
図16はドアパネル(図示せず)の室内側に装着される自動車用ドアトリム1を示すもので、このドアトリム1は、軽量で、耐衝撃性能に優れ、かつコストも廉価なことから、ポリプロピレン(PP)樹脂内部に発泡剤を混入した発泡樹脂成形体が多く使用されている。また、ドアトリム1には、室内側に向けて膨出するアームレスト部1aが一体成形され、このアームレスト部1aの下方には、ドアポケット用開口1b、スピーカグリル1c等が設けられている。
【0003】
そして、この種発泡樹脂成形体を使用したドアトリム1を所要形状に成形する従来の成形方法について、図17に示す工程説明図、図18に示す金型のタイムチャート図を基に説明する。
【0004】
すなわち、成形金型2は、キャビティ型3とコア型4とから大略構成され、キャビティ型3がコア型4に対して近接する方向に駆動して型締めが行なわれる。そして、型締め時における初期金型状態においては、図17(a)に示すように、キャビティ型3の金型位置はa1であり、製品キャビティC内での金型のクリアランスは2.0mmに設定されている。
【0005】
そして、この状態で図示しない射出機から樹脂通路を経て製品キャビティC内に発泡樹脂材料Mが射出充填される。また、射出充填時間(t1)経過後の状態を図17(b)に示す。すなわち、製品キャビティC内に発泡樹脂材料Mが充填された後、遅延時間(t2)0〜10秒経過させる。
【0006】
その後、キャビティ型3を上昇させる(図17(c)参照)。このときのキャビティ型3の金型位置はa2であり、このa2は、例えば、3.6mm程度に設定され、冷却時間(t3)経過後、金型より発泡成形が完了したドアトリム1を脱型すれば良い。
【0007】
また、図17(a)に示す射出充填工程において、金型クリアランスを所定の位置より薄く設定し、発泡樹脂材料の充填中に樹脂圧、あるいは金型の動作により金型を型開き方向に移動させて製品表面にシルバーストリーク等の外観不良が生じることを防止する工法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−120252号公報 (第9頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の発泡樹脂成形体の成形方法においては、発泡樹脂成形体の一般部(金型可動方向に対して面直な面を有する部位)については、図17(c)に示すように金型を可動させることで、発泡樹脂成形体の板厚を厚肉にして剛性を強化することができるが、縦壁部(金型可動方向に対して平行な面を有する部位)については、図19(a)に示すように、金型構造上、金型の移動により板厚を厚肉にすることができず、剛性を良好に維持することができない。この対策としては、初期の時点から板厚を確保(t=3.6)することにより対応している。
【0010】
しかしながら、図17(a)における射出充填工程において、縦壁部の板厚を厚く設定した場合、図19(b)に示すように、樹脂圧力が急激に開放されることで発泡が開始され、縦壁部でシルバーストリークの発生が顕著になり、製品外観性能を低下させる大きな要因となっている。この対策として、製品表面にシルバーストリークを隠すための塗装が必要となり、塗料費が嵩み、かつ塗料工程が付加されるなど、大幅なコストアップを招来するという欠点が指摘されている。
【0011】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、射出成形工法により発泡樹脂成形体を成形する発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型であって、発泡樹脂成形体の一般部は基より、縦壁部の強度及び外観性能を高めることができ、後塗装工程等を廃止でき、コスト的にも有利な発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この出願の請求項1に記載の発明は、可動側金型と、固定側金型との間に画成される製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填して、発泡樹脂成形体を所要形状に成形する発泡樹脂成形体の成形方法において、可動側金型をシリンダにより型締め位置まで移動させて、可動側金型と固定側金型との間に製品キャビティを画成するとともに、製品キャビティの縦壁部内に板厚調整機構の進退用ブロックを進入させて、一般部と縦壁部における製品キャビティ内の厚みをほぼ同等に調整し、射出機から固定側金型に設けた樹脂通路を通じて製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填する発泡樹脂材料の射出充填工程と、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、可動側金型を型開き方向に強制的に移動させて、製品キャビティ内に発泡スペースを所定厚み確保するとともに、板厚調整機構における進退用ブロックを製品キャビティから後退させて、縦壁部に発泡スペースを確保して、一般部と縦壁部との厚みをほぼ同等に規制して発泡樹脂材料を発泡させ、発泡樹脂成形体を所望厚みに発泡成形させる発泡樹脂成形体の発泡成形工程と、からなることを特徴とする。
【0013】
ここで、成形金型における可動側金型は、シリンダの駆動により、型締め位置と型開き位置との間で所定ストローク移動するとともに、固定側金型は、連接する射出機から発泡樹脂材料を製品キャビティ内に供給するために、マニホールド、ゲート等の樹脂通路が設けられている。更に、発泡樹脂材料としては、熱可塑性樹脂に化学発泡剤(吸熱タイプ)を混入したものを使用する。
【0014】
そして、請求項1に記載の発明によれば、金型の型締め後、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填する発泡樹脂材料の射出充填工程において、発泡樹脂成形体の縦壁部に相当する部分には、板厚調整機構が設けられており、製品キャビティ内の一般部の厚みと縦壁部の厚みがほぼ等しくなるように厚みが調整されているため、発泡樹脂材料は、製品キャビティの縦壁部においても一定の高圧状態をキープしたまま流れ込み、製品端末まで達することになることから、シルバーストリーク等の外観不良が発生することがない。従って、シルバーストリーク等の外観不良を防止できるため、タッチアップ(塗装)が不要となる。
【0015】
また、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、可動側金型を型開き方向に強制的に移動させて、製品キャビティにおける一般部の厚みを大きく設定するのと同時に、シリンダを後退させて製品キャビティにおける縦壁部においても厚みを確保できるため、一般部と同等に縦壁部においても発泡スペースを確保できることから、剛性の確保及び軽量化率の向上が可能となる。
【0016】
この出願の請求項2に記載の発明は、可動側金型と、固定側金型との間に画成される製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填して、発泡樹脂成形体を所要形状に成形する発泡樹脂成形体の成形方法において、可動側金型をシリンダにより型締め位置まで移動させて、可動側金型と固定側金型との間に製品キャビティを画成するとともに、製品キャビティの縦壁部内に板厚調整機構のアウター側ブロック、インナー側ブロックを進入させて、一般部と縦壁部における製品キャビティの厚みをほぼ同等に調整し、射出機から固定側金型に設けた樹脂通路を通じて製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填する発泡樹脂材料の射出充填前半工程と、前記発泡樹脂材料の射出充填途中に、発泡樹脂材料の樹脂圧で可動側金型を所定ストローク型開き方向に移動させるとともに、アウター側ブロックを製品キャビティから後退させ、一般部と縦壁部における製品キャビティ内の内圧をほぼ同等に維持する発泡樹脂材料の射出充填後半工程と、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、可動側金型を型開き方向に強制的に移動させて一般部における発泡スペースを所定厚み確保するとともに、板厚調整機構におけるインナー側ブロックを製品キャビティから後退させて、縦壁部に発泡スペースを確保して、一般部と縦壁部との厚みをほぼ同等に規制して発泡樹脂材料を発泡させ、発泡樹脂成形体を所望厚みに発泡成形させる発泡樹脂成形体の発泡成形工程と、からなることを特徴とする。
【0017】
ここで、シリンダ駆動される進退用ブロックは、アウター側とインナー側との二重ブロックがシリンダにより独立して駆動される。そして、双方のブロックは、発泡樹脂材料の射出充填前半工程においては、製品キャビティ内の縦壁部に進入しており、アウター側ブロックは、射出充填後半工程で製品キャビティから後退するとともに、インナー側ブロックは、製品キャビティ内への発泡樹脂材料の射出充填が完了した後、可動側金型が強制的に型開き方向に移動するのに連繋して後退する。ここで、発泡樹脂材料の射出充填中に可動側金型が型開き方向に移動する方法は、発泡樹脂材料の樹脂圧により可動金型を押し上げても良く、また、シリンダ駆動により発泡樹脂材料の樹脂圧と平衡を保つように強制的に移動させるようにしても良い。
【0018】
そして、請求項2に記載の発明によれば、製品キャビティの縦壁部に進入するブロックをアウター側とインナー側の二重構造とすることで、製品キャビティの縦壁部について、充填量をこのブロックの厚みにより可変することが可能となり、発泡倍率の制御が可能となる。
【0019】
また、上記発泡樹脂成形体の成形方法に使用する成形金型は、相互に型締め、型開き可能で、製品キャビティ内に発泡樹脂材料が射出充填されて、発泡樹脂成形体を所要形状に成形する発泡樹脂成形体の成形金型において、前記成形金型は、型締め、型開き方向に所定ストローク移動可能な可動側金型と、該可動側金型との間で所望形状の製品キャビティを形成する固定側金型と、固定側金型に連結され、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を供給するための射出機と、固定側金型に設けられ、製品キャビティの縦壁部内に進入して縦壁部の厚みを可変できる板厚調整機構とから構成されていることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1,図2は本発明方法を適用して成形した発泡樹脂成形体からなる自動車用ドアトリムの正面図並びに断面図、図3は本発明に係る発泡樹脂成形体の成形金型を示す全体図、図4は同成形金型の製品キャビティにおける縦壁部の構成を示す説明図、図5は同成形金型のタイムチャート図、図6乃至図9は発泡樹脂成形体の成形方法における各工程を示す説明図である。また、図10は本発明に係る成形金型の第2実施形態の構成を示す説明図、図11は同成形金型のタイムチャート図、図12乃至図15は同成形金型を使用した発泡樹脂成形体の成形方法を示す各工程説明図である。
【0022】
図1乃至図9に基づいて、本発明の第1実施形態について説明する。図1,図2において、自動車用ドアトリム10は、所望の曲面形状に成形されたドアトリム本体11をベースとしており、このドアトリム本体11は、ウエスト部12及びアームレスト部13等の曲面部分を備えている。
【0023】
更に、ドアトリム本体11には、付属部品として、インナーハンドルエスカッション20、プルハンドル21、パワーウインドウスイッチフィニッシャー22が取り付けられており、アームレスト部13の下方には、ポケット開口23が開設され、その背面側に図示しないポケットバックカバーが取り付けられ、ポケット開口23のフロント側には、スピーカグリル24が形成されている。
【0024】
更に詳しくは、ドアトリム本体11は、発泡樹脂材料を使用し、射出成形により所望の曲面形状に成形されている。尚、本実施形態では、ポリプロピレン(PP)樹脂に分解型発泡剤を混入した材料が使用されている。
【0025】
通常好ましく使用できる合成樹脂として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂等から適宜選択されて良い。また、発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤や重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤が使用できる。
【0026】
ところで、本発明方法により所望形状に成形されたドアトリム本体11は、ウエスト部12及びアームレスト部13における縦壁部12a,13aにおいて、適切な剛性が確保できるとともに、シルバーストリーク等が生じることがなく、優れた外観性能を備えている。尚、説明の便宜上、ドアトリム本体11を成形する成形金型の型締め、型開き方向と面直となる面を有する部位を一般部と定義し、成形金型の型締め、及び型開き方向とほぼ平行となる面を有する部位を縦壁部と定義する。同様に、成形金型間に画成される製品キャビティについても、上述のように、一般部と縦壁部とが存在する。
【0027】
次いで、上記ドアトリム10におけるドアトリム本体11の成形方法について説明する前に、ドアトリム本体11を成形する成形金型30の全体構成について説明する。図3は成形金型30の全体図を示し、図4は成形金型30における縦壁部の板厚調整機構部分を示す説明図である。図面において、成形金型30は、相互に型締め、型開き可能な可動側金型40並びに固定側金型50、及び発泡樹脂材料Mを供給する固定側金型50に連接する射出機60と、金型40,50に画成される製品キャビティの縦壁部の板厚を調整する板厚調整機構70とから大略構成されている。
【0028】
更に詳しくは、可動側金型40は、製品の面形状を形造るキャビティ部41を型面に備え、昇降シリンダ42の駆動により所定ストローク上下動作を行なう。
【0029】
一方、固定側金型50は、可動側金型40のキャビティ部41と協働して製品キャビティCを画成するコア部51を備え、射出機60から供給される発泡樹脂材料Mの樹脂通路として、マニホールド52、ゲート53が設けられている。
【0030】
そして、可動側金型40が下死点まで下降して、可動側金型40と固定側金型50とが型締め状態にあるとき、高圧状態で発泡樹脂材料Mを製品キャビティC内に射出充填できるように、型間クリアランスが非常に小さく設定され、その後、充分な発泡スペースを確保できるように、可動側金型40が所定ストローク上昇する動作を行なうが、本発明は、それに加えて、製品キャビティCの一般部の厚み調整に加えて、製品キャビティCの縦壁部においても板厚調整を可能にしたことが本発明に係る成形金型30の構造上の特徴である。
【0031】
すなわち、図4で明らかなように、固定側金型50には、板厚調整機構70として、進退用ブロック71と、この進退用ブロック71を上下動作可能に支持する油圧シリンダ等のシリンダ72が設けられている。
【0032】
すなわち、発泡樹脂材料Mの射出充填時には、製品キャビティCの縦壁部内に進退用ブロック71が進入して、縦壁部におけるキャビティ厚みを薄肉に調整し、発泡工程において可動側金型40が上昇して、一般部において厚みを確保するときには、進退用ブロック71がシリンダ72の収縮動作により製品キャビティCの縦壁部から後退することで、縦壁部においても充分な厚みを確保することができる。
【0033】
以下、ドアトリム本体11の成形工程について、図5のタイムチャート図、及び図6乃至図9に示す工程説明図を基に詳細に説明する。図5のタイムチャート図では、可動側金型40と板厚調整機構70における進退用ブロック71の動作を示す。
【0034】
まず、図6に示すように、可動側金型40は、昇降シリンダ42の動作により、型締め位置まで所定ストローク下降動作を行ない、この型締め位置にて射出充填が行なわれ、その後、発泡スペースを確保するために所定ストローク上昇した後、上昇位置で発泡反応が行なわれ、成形が完了すれば型開きが行なわれる。
【0035】
それに対して、板厚調整機構70における進退用ブロック71は、通常は上方位置にあり、可動側金型40が下死点まで下降したときには、固定側金型50のコア部51の外周面に位置しており、可動側金型40が上昇するまで進退用ブロック71が上方位置に位置決めされている。
【0036】
そして、可動側金型40が発泡スペースを充分に確保するように上昇するのに連れて、板厚調整機構70のシリンダ72が収縮動作することで進退用ブロック71は、製品キャビティCから後退し、縦壁部においては、充分な厚みが確保される。また、可動側金型40が型開きされるときには、進退用ブロック71はまた上方位置に上昇する。
【0037】
図6は可動側金型40が下死点まで下降した状態を示すもので、このときの可動側金型40のキャビティ部41と固定側金型50のコア部51との間で画成される製品キャビティCの型間クリアランスは2±0.5mmに設定されている。
【0038】
そして、この状態においては、図7に示すように、板厚調整機構70における進退用ブロック71も最上方に位置しており、製品キャビティCにおける一般部と縦壁部はほぼ同等の厚みに調整されている。従って、射出機60を通じて発泡樹脂材料Mを製品キャビティC内に射出充填するときには、一般部は基より、縦壁部においても高圧状態を保ったまま発泡樹脂材料Mを射出充填できるため、製品端末まで良好に充填することができる。
【0039】
次いで、発泡樹脂材料Mの射出充填後半期においては、発泡樹脂材料Mに充分な発泡スペースS1,S2を確保するために、図8に示すように、可動側金型40が所定ストローク上昇し、一般部における発泡スペースS1を確保できるように、約3.6mmの型間クリアランスを維持する。このとき、板厚調整機構70におけるシリンダ72が収縮動作することで、進退用ブロック71は、図示するように下降することで、製品キャビティCにおける縦壁部においても、発泡スペースS2を確保できるように厚みが3.6mmに保たれる。
【0040】
そして、図9に示すように、一般部は基より縦壁部においても、発泡樹脂材料Mの発泡反応が誘起され、一般部及び縦壁部においてほぼ同等の発泡密度、発泡倍率をもつ発泡樹脂成形体(ドアトリム本体11)を成形することができる。
【0041】
従って、従来、厚み調整が不可能であった縦壁部においても板厚調整機構70を付設することで、射出充填時には、縦壁部の厚みを薄く調整し、発泡段階においては縦壁部の厚みを厚くすることができることから、縦壁部にシルバーストリーク等の外観不良が生じることがなく、しかも、良好な発泡成形が行なわれるため、縦壁部における強度及び軽量化率等の向上が見込める。
【0042】
次いで、図10乃至図15に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態に使用する成形金型の要部構成を示すもので、成形金型30の基本構成は、第1実施形態と同一であるため詳しい説明は省略する。
【0043】
この第2実施形態における板厚調整機構70は、進退用ブロック71がアウター側ブロック71aとインナー側ブロック71bのように製品キャビティCの厚み方向に沿う二重構造となっており、シリンダ72よりアウター側ブロック71aとインナー側ブロック71bが独立して駆動できる構成である。
【0044】
図11は、第2実施形態における発泡樹脂成形体の成形方法における可動側金型40及び板厚調整機構70におけるアウター側ブロック71a、インナー側ブロック71bの動作を示すタイムチャート図である。
【0045】
簡単に説明すると、可動側金型40は、昇降シリンダ42の駆動により下死点(型締め位置)まで下降動作し、その後、発泡樹脂材料Mが射出充填されるが、そのときの樹脂圧により可動側金型40が型開き方向、すなわち上方に押し上げられ、可動側金型40の型締め力と樹脂圧との平衡により停止した時点で一定時間経過させ、その後、発泡スペースを確保するために可動側金型40は強制的に所定ストローク上昇して、発泡反応が開始され、発泡反応が終了すれば、可動側金型40が型開きして、元位置に復元する。
【0046】
一方、第2実施形態における板厚調整機構70は、アウター側ブロック71a及びインナー側ブロック71bとも初期状態、すなわち、発泡樹脂材料Mの射出充填前半時において、可動側金型40が下死点まで下降して型締めが行なわれるときには最上方に位置しており、製品キャビティC内に進入しているため、製品キャビティCにおける縦壁部は非常に薄肉な状態に規制されている。
【0047】
そして、発泡樹脂材料Mが射出充填される後半時においては、可動側金型40が樹脂圧により上方に押し上げられるのに連動して、アウター側ブロック71aが後退して、一般部の厚みと縦壁部の厚みがほぼ同等となるように板厚が調整される。
【0048】
その後、可動側金型40が強制的に上昇して製品キャビティCにおける一般部において発泡スペースS1を確保するときには、インナー側ブロック71bもシリンダ72により駆動されて製品キャビティCから後退するため、一般部に等しい厚みを縦壁部においても発泡スペースS2として確保することができる。
【0049】
以下、図12乃至図15に基づいて説明すると、可動側金型40が下死点まで降下した状態では、図12に示すように、製品キャビティCの厚みは0.8〜1.4mmのように非常に薄肉に設定されている。
【0050】
このとき、図示するように、製品キャビティCは一般部の厚みに対して縦壁部の厚みについてもアウター側ブロック71a及びインナー側ブロック71bが共に製品キャビティC内に進入しているため、縦壁部についても非常に薄肉に調整されていることから、発泡樹脂材料Mが射出充填されるとき(射出充填前半期)、高圧状態で縦壁部内に流れ込むため、シルバーストリーク等の外観不良が生じることがない。
【0051】
次いで、図13に示すように、発泡樹脂材料Mの射出充填後半期には、樹脂圧力に負けて可動側金型40が型開き方向、すなわち上方に移動して一般部における型間クリアランスがアップする。これに対応するように、縦壁部については、アウター側ブロック71aがシリンダ72の駆動により下降して、一般部と同等の厚みを縦壁部においても確保することができる。
【0052】
更に、図14に示すように、射出充填完了後、発泡樹脂材料Mの発泡スペースS1を確保するように可動側金型40が強制的に上昇して、一般部において約3.6mmの発泡スペースS1が確保されるが、このとき縦壁部においては、インナー側ブロック71bがシリンダ72の駆動により下降して製品キャビティCから後退する動作を行なうため、発泡スペースS2が形成され、縦壁部についても3.6mmの厚みが確保され、一般部と同等の発泡密度が縦壁部において得られる。従って、図15に示すように、縦壁部における強度、剛性及び軽量化率等は、一般部と同等に調整できるため、従来のように縦壁部において強度が不足したり軽量化の支障になることはなく、良好な外観を保ちつつ、強度及び良好な物性を満足することができる。
【0053】
このように、第2実施形態においても、シルバーストリーク等の外観不良が縦壁部に生じることがないため、仕上げ塗装の工程を廃止することができ、塗料費を削減でき、塗装工程を廃止することから、コストダウンを招来できるとともに、縦壁部においても充分な発泡反応を行なわせることができるため、良好な剛性を維持でき、しかも、充分な軽量化を達成することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型は、製品キャビティにおける一般部の型間クリアランスを調整する際、成形金型に設けた板厚調整機構を可動側金型の動きに合わせて機能させることで製品キャビティの縦壁部においても樹脂充填時は薄肉に、樹脂発泡時は厚肉に、その板厚調整を可能としたため、発泡樹脂成形体における縦壁部の製品表面にシルバーストリーク等の外観不良が生じることがなく、良好な外観性能が得られ、後塗装を不要とし、塗料費や塗装工程を廃止できることから、コストダウンを招来できるという効果を有する。
【0055】
更に、本発明に係る発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型によれば、製品キャビティにおける縦壁部を厚肉に設定することを可能にしたため、縦壁部において充分な発泡倍率、発泡密度が得られるため、縦壁部において適正な剛性及び軽量化を図ることができ、軽量化を達成できるとともに、初期形状を長期に亘り良好に維持できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を適用して成形した自動車用ドアトリムを示す正面図である。
【図2】図1中II−II線断面図である。
【図3】本発明に係る発泡樹脂成形体の成形金型の第1実施形態を示す全体図である。
【図4】図3に示す成形金型における要部を示す説明図である。
【図5】図3に示す成形金型を使用してドアトリム本体を成形する際の可動側金型及び板厚調整機構の動作を示すタイムチャート図である。
【図6】図3に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における成形金型の型締め状態を示す全体図である。
【図7】図3に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における発泡樹脂材料の射出充填時の状態を示す説明図である。
【図8】図3に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における可動側金型及び板厚調整機構の後退時の状態を示す説明図である。
【図9】図3に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における発泡樹脂材料の発泡成形工程を示す説明図である。
【図10】本発明に係る発泡樹脂成形体の成形金型の第2実施形態における板厚調整機構の構成を示す説明図である。
【図11】図10に示す成形金型を使用してドアトリム本体を成形する際の可動側金型と板厚調整機構の動作を示すタイムチャート図である。
【図12】図10に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における型締め時の状態を示す説明図である。
【図13】図10に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における発泡樹脂充填後半時の状態を示す説明図である。
【図14】図10に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における可動側金型及びインナー側ブロックの後退時の状態を示す説明図である。
【図15】図10に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における発泡樹脂材料の発泡成形工程を示す説明図である。
【図16】従来の自動車用ドアトリムを示す正面図である。
【図17】従来の自動車用ドアトリムの成形方法における、(a)初期金型状態、(b)樹脂充填完了後の金型状態、(c)発泡成形時の金型状態をそれぞれ示す説明図である。
【図18】従来の成形金型における金型の動作を示すタイムチャート図である。
【図19】従来の成形方法における縦壁部の不具合状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 自動車用ドアトリム
11 ドアトリム本体
12 ウエスト部
12a,13a 縦壁部
13 アームレスト部
30 成形金型
40 可動側金型
41 キャビティ部
42 昇降シリンダ
50 固定側金型
51 コア部
52 マニホールド
53 ゲート
60 射出機
70 板厚調整機構
71 進退用ブロック
71a アウター側ブロック
71b インナー側ブロック
72 シリンダ
C 製品キャビティ
M 発泡樹脂材料
S1,S2 発泡スペース
【発明の属する技術分野】
この発明は、射出成形工法を使用する発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型に係り、特に、発泡樹脂成形体の周縁フランジ等の縦壁部における強度及び外観性能を高めることができる発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
図16はドアパネル(図示せず)の室内側に装着される自動車用ドアトリム1を示すもので、このドアトリム1は、軽量で、耐衝撃性能に優れ、かつコストも廉価なことから、ポリプロピレン(PP)樹脂内部に発泡剤を混入した発泡樹脂成形体が多く使用されている。また、ドアトリム1には、室内側に向けて膨出するアームレスト部1aが一体成形され、このアームレスト部1aの下方には、ドアポケット用開口1b、スピーカグリル1c等が設けられている。
【0003】
そして、この種発泡樹脂成形体を使用したドアトリム1を所要形状に成形する従来の成形方法について、図17に示す工程説明図、図18に示す金型のタイムチャート図を基に説明する。
【0004】
すなわち、成形金型2は、キャビティ型3とコア型4とから大略構成され、キャビティ型3がコア型4に対して近接する方向に駆動して型締めが行なわれる。そして、型締め時における初期金型状態においては、図17(a)に示すように、キャビティ型3の金型位置はa1であり、製品キャビティC内での金型のクリアランスは2.0mmに設定されている。
【0005】
そして、この状態で図示しない射出機から樹脂通路を経て製品キャビティC内に発泡樹脂材料Mが射出充填される。また、射出充填時間(t1)経過後の状態を図17(b)に示す。すなわち、製品キャビティC内に発泡樹脂材料Mが充填された後、遅延時間(t2)0〜10秒経過させる。
【0006】
その後、キャビティ型3を上昇させる(図17(c)参照)。このときのキャビティ型3の金型位置はa2であり、このa2は、例えば、3.6mm程度に設定され、冷却時間(t3)経過後、金型より発泡成形が完了したドアトリム1を脱型すれば良い。
【0007】
また、図17(a)に示す射出充填工程において、金型クリアランスを所定の位置より薄く設定し、発泡樹脂材料の充填中に樹脂圧、あるいは金型の動作により金型を型開き方向に移動させて製品表面にシルバーストリーク等の外観不良が生じることを防止する工法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−120252号公報 (第9頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の発泡樹脂成形体の成形方法においては、発泡樹脂成形体の一般部(金型可動方向に対して面直な面を有する部位)については、図17(c)に示すように金型を可動させることで、発泡樹脂成形体の板厚を厚肉にして剛性を強化することができるが、縦壁部(金型可動方向に対して平行な面を有する部位)については、図19(a)に示すように、金型構造上、金型の移動により板厚を厚肉にすることができず、剛性を良好に維持することができない。この対策としては、初期の時点から板厚を確保(t=3.6)することにより対応している。
【0010】
しかしながら、図17(a)における射出充填工程において、縦壁部の板厚を厚く設定した場合、図19(b)に示すように、樹脂圧力が急激に開放されることで発泡が開始され、縦壁部でシルバーストリークの発生が顕著になり、製品外観性能を低下させる大きな要因となっている。この対策として、製品表面にシルバーストリークを隠すための塗装が必要となり、塗料費が嵩み、かつ塗料工程が付加されるなど、大幅なコストアップを招来するという欠点が指摘されている。
【0011】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、射出成形工法により発泡樹脂成形体を成形する発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型であって、発泡樹脂成形体の一般部は基より、縦壁部の強度及び外観性能を高めることができ、後塗装工程等を廃止でき、コスト的にも有利な発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この出願の請求項1に記載の発明は、可動側金型と、固定側金型との間に画成される製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填して、発泡樹脂成形体を所要形状に成形する発泡樹脂成形体の成形方法において、可動側金型をシリンダにより型締め位置まで移動させて、可動側金型と固定側金型との間に製品キャビティを画成するとともに、製品キャビティの縦壁部内に板厚調整機構の進退用ブロックを進入させて、一般部と縦壁部における製品キャビティ内の厚みをほぼ同等に調整し、射出機から固定側金型に設けた樹脂通路を通じて製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填する発泡樹脂材料の射出充填工程と、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、可動側金型を型開き方向に強制的に移動させて、製品キャビティ内に発泡スペースを所定厚み確保するとともに、板厚調整機構における進退用ブロックを製品キャビティから後退させて、縦壁部に発泡スペースを確保して、一般部と縦壁部との厚みをほぼ同等に規制して発泡樹脂材料を発泡させ、発泡樹脂成形体を所望厚みに発泡成形させる発泡樹脂成形体の発泡成形工程と、からなることを特徴とする。
【0013】
ここで、成形金型における可動側金型は、シリンダの駆動により、型締め位置と型開き位置との間で所定ストローク移動するとともに、固定側金型は、連接する射出機から発泡樹脂材料を製品キャビティ内に供給するために、マニホールド、ゲート等の樹脂通路が設けられている。更に、発泡樹脂材料としては、熱可塑性樹脂に化学発泡剤(吸熱タイプ)を混入したものを使用する。
【0014】
そして、請求項1に記載の発明によれば、金型の型締め後、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填する発泡樹脂材料の射出充填工程において、発泡樹脂成形体の縦壁部に相当する部分には、板厚調整機構が設けられており、製品キャビティ内の一般部の厚みと縦壁部の厚みがほぼ等しくなるように厚みが調整されているため、発泡樹脂材料は、製品キャビティの縦壁部においても一定の高圧状態をキープしたまま流れ込み、製品端末まで達することになることから、シルバーストリーク等の外観不良が発生することがない。従って、シルバーストリーク等の外観不良を防止できるため、タッチアップ(塗装)が不要となる。
【0015】
また、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、可動側金型を型開き方向に強制的に移動させて、製品キャビティにおける一般部の厚みを大きく設定するのと同時に、シリンダを後退させて製品キャビティにおける縦壁部においても厚みを確保できるため、一般部と同等に縦壁部においても発泡スペースを確保できることから、剛性の確保及び軽量化率の向上が可能となる。
【0016】
この出願の請求項2に記載の発明は、可動側金型と、固定側金型との間に画成される製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填して、発泡樹脂成形体を所要形状に成形する発泡樹脂成形体の成形方法において、可動側金型をシリンダにより型締め位置まで移動させて、可動側金型と固定側金型との間に製品キャビティを画成するとともに、製品キャビティの縦壁部内に板厚調整機構のアウター側ブロック、インナー側ブロックを進入させて、一般部と縦壁部における製品キャビティの厚みをほぼ同等に調整し、射出機から固定側金型に設けた樹脂通路を通じて製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填する発泡樹脂材料の射出充填前半工程と、前記発泡樹脂材料の射出充填途中に、発泡樹脂材料の樹脂圧で可動側金型を所定ストローク型開き方向に移動させるとともに、アウター側ブロックを製品キャビティから後退させ、一般部と縦壁部における製品キャビティ内の内圧をほぼ同等に維持する発泡樹脂材料の射出充填後半工程と、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、可動側金型を型開き方向に強制的に移動させて一般部における発泡スペースを所定厚み確保するとともに、板厚調整機構におけるインナー側ブロックを製品キャビティから後退させて、縦壁部に発泡スペースを確保して、一般部と縦壁部との厚みをほぼ同等に規制して発泡樹脂材料を発泡させ、発泡樹脂成形体を所望厚みに発泡成形させる発泡樹脂成形体の発泡成形工程と、からなることを特徴とする。
【0017】
ここで、シリンダ駆動される進退用ブロックは、アウター側とインナー側との二重ブロックがシリンダにより独立して駆動される。そして、双方のブロックは、発泡樹脂材料の射出充填前半工程においては、製品キャビティ内の縦壁部に進入しており、アウター側ブロックは、射出充填後半工程で製品キャビティから後退するとともに、インナー側ブロックは、製品キャビティ内への発泡樹脂材料の射出充填が完了した後、可動側金型が強制的に型開き方向に移動するのに連繋して後退する。ここで、発泡樹脂材料の射出充填中に可動側金型が型開き方向に移動する方法は、発泡樹脂材料の樹脂圧により可動金型を押し上げても良く、また、シリンダ駆動により発泡樹脂材料の樹脂圧と平衡を保つように強制的に移動させるようにしても良い。
【0018】
そして、請求項2に記載の発明によれば、製品キャビティの縦壁部に進入するブロックをアウター側とインナー側の二重構造とすることで、製品キャビティの縦壁部について、充填量をこのブロックの厚みにより可変することが可能となり、発泡倍率の制御が可能となる。
【0019】
また、上記発泡樹脂成形体の成形方法に使用する成形金型は、相互に型締め、型開き可能で、製品キャビティ内に発泡樹脂材料が射出充填されて、発泡樹脂成形体を所要形状に成形する発泡樹脂成形体の成形金型において、前記成形金型は、型締め、型開き方向に所定ストローク移動可能な可動側金型と、該可動側金型との間で所望形状の製品キャビティを形成する固定側金型と、固定側金型に連結され、製品キャビティ内に発泡樹脂材料を供給するための射出機と、固定側金型に設けられ、製品キャビティの縦壁部内に進入して縦壁部の厚みを可変できる板厚調整機構とから構成されていることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1,図2は本発明方法を適用して成形した発泡樹脂成形体からなる自動車用ドアトリムの正面図並びに断面図、図3は本発明に係る発泡樹脂成形体の成形金型を示す全体図、図4は同成形金型の製品キャビティにおける縦壁部の構成を示す説明図、図5は同成形金型のタイムチャート図、図6乃至図9は発泡樹脂成形体の成形方法における各工程を示す説明図である。また、図10は本発明に係る成形金型の第2実施形態の構成を示す説明図、図11は同成形金型のタイムチャート図、図12乃至図15は同成形金型を使用した発泡樹脂成形体の成形方法を示す各工程説明図である。
【0022】
図1乃至図9に基づいて、本発明の第1実施形態について説明する。図1,図2において、自動車用ドアトリム10は、所望の曲面形状に成形されたドアトリム本体11をベースとしており、このドアトリム本体11は、ウエスト部12及びアームレスト部13等の曲面部分を備えている。
【0023】
更に、ドアトリム本体11には、付属部品として、インナーハンドルエスカッション20、プルハンドル21、パワーウインドウスイッチフィニッシャー22が取り付けられており、アームレスト部13の下方には、ポケット開口23が開設され、その背面側に図示しないポケットバックカバーが取り付けられ、ポケット開口23のフロント側には、スピーカグリル24が形成されている。
【0024】
更に詳しくは、ドアトリム本体11は、発泡樹脂材料を使用し、射出成形により所望の曲面形状に成形されている。尚、本実施形態では、ポリプロピレン(PP)樹脂に分解型発泡剤を混入した材料が使用されている。
【0025】
通常好ましく使用できる合成樹脂として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂等から適宜選択されて良い。また、発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤や重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤が使用できる。
【0026】
ところで、本発明方法により所望形状に成形されたドアトリム本体11は、ウエスト部12及びアームレスト部13における縦壁部12a,13aにおいて、適切な剛性が確保できるとともに、シルバーストリーク等が生じることがなく、優れた外観性能を備えている。尚、説明の便宜上、ドアトリム本体11を成形する成形金型の型締め、型開き方向と面直となる面を有する部位を一般部と定義し、成形金型の型締め、及び型開き方向とほぼ平行となる面を有する部位を縦壁部と定義する。同様に、成形金型間に画成される製品キャビティについても、上述のように、一般部と縦壁部とが存在する。
【0027】
次いで、上記ドアトリム10におけるドアトリム本体11の成形方法について説明する前に、ドアトリム本体11を成形する成形金型30の全体構成について説明する。図3は成形金型30の全体図を示し、図4は成形金型30における縦壁部の板厚調整機構部分を示す説明図である。図面において、成形金型30は、相互に型締め、型開き可能な可動側金型40並びに固定側金型50、及び発泡樹脂材料Mを供給する固定側金型50に連接する射出機60と、金型40,50に画成される製品キャビティの縦壁部の板厚を調整する板厚調整機構70とから大略構成されている。
【0028】
更に詳しくは、可動側金型40は、製品の面形状を形造るキャビティ部41を型面に備え、昇降シリンダ42の駆動により所定ストローク上下動作を行なう。
【0029】
一方、固定側金型50は、可動側金型40のキャビティ部41と協働して製品キャビティCを画成するコア部51を備え、射出機60から供給される発泡樹脂材料Mの樹脂通路として、マニホールド52、ゲート53が設けられている。
【0030】
そして、可動側金型40が下死点まで下降して、可動側金型40と固定側金型50とが型締め状態にあるとき、高圧状態で発泡樹脂材料Mを製品キャビティC内に射出充填できるように、型間クリアランスが非常に小さく設定され、その後、充分な発泡スペースを確保できるように、可動側金型40が所定ストローク上昇する動作を行なうが、本発明は、それに加えて、製品キャビティCの一般部の厚み調整に加えて、製品キャビティCの縦壁部においても板厚調整を可能にしたことが本発明に係る成形金型30の構造上の特徴である。
【0031】
すなわち、図4で明らかなように、固定側金型50には、板厚調整機構70として、進退用ブロック71と、この進退用ブロック71を上下動作可能に支持する油圧シリンダ等のシリンダ72が設けられている。
【0032】
すなわち、発泡樹脂材料Mの射出充填時には、製品キャビティCの縦壁部内に進退用ブロック71が進入して、縦壁部におけるキャビティ厚みを薄肉に調整し、発泡工程において可動側金型40が上昇して、一般部において厚みを確保するときには、進退用ブロック71がシリンダ72の収縮動作により製品キャビティCの縦壁部から後退することで、縦壁部においても充分な厚みを確保することができる。
【0033】
以下、ドアトリム本体11の成形工程について、図5のタイムチャート図、及び図6乃至図9に示す工程説明図を基に詳細に説明する。図5のタイムチャート図では、可動側金型40と板厚調整機構70における進退用ブロック71の動作を示す。
【0034】
まず、図6に示すように、可動側金型40は、昇降シリンダ42の動作により、型締め位置まで所定ストローク下降動作を行ない、この型締め位置にて射出充填が行なわれ、その後、発泡スペースを確保するために所定ストローク上昇した後、上昇位置で発泡反応が行なわれ、成形が完了すれば型開きが行なわれる。
【0035】
それに対して、板厚調整機構70における進退用ブロック71は、通常は上方位置にあり、可動側金型40が下死点まで下降したときには、固定側金型50のコア部51の外周面に位置しており、可動側金型40が上昇するまで進退用ブロック71が上方位置に位置決めされている。
【0036】
そして、可動側金型40が発泡スペースを充分に確保するように上昇するのに連れて、板厚調整機構70のシリンダ72が収縮動作することで進退用ブロック71は、製品キャビティCから後退し、縦壁部においては、充分な厚みが確保される。また、可動側金型40が型開きされるときには、進退用ブロック71はまた上方位置に上昇する。
【0037】
図6は可動側金型40が下死点まで下降した状態を示すもので、このときの可動側金型40のキャビティ部41と固定側金型50のコア部51との間で画成される製品キャビティCの型間クリアランスは2±0.5mmに設定されている。
【0038】
そして、この状態においては、図7に示すように、板厚調整機構70における進退用ブロック71も最上方に位置しており、製品キャビティCにおける一般部と縦壁部はほぼ同等の厚みに調整されている。従って、射出機60を通じて発泡樹脂材料Mを製品キャビティC内に射出充填するときには、一般部は基より、縦壁部においても高圧状態を保ったまま発泡樹脂材料Mを射出充填できるため、製品端末まで良好に充填することができる。
【0039】
次いで、発泡樹脂材料Mの射出充填後半期においては、発泡樹脂材料Mに充分な発泡スペースS1,S2を確保するために、図8に示すように、可動側金型40が所定ストローク上昇し、一般部における発泡スペースS1を確保できるように、約3.6mmの型間クリアランスを維持する。このとき、板厚調整機構70におけるシリンダ72が収縮動作することで、進退用ブロック71は、図示するように下降することで、製品キャビティCにおける縦壁部においても、発泡スペースS2を確保できるように厚みが3.6mmに保たれる。
【0040】
そして、図9に示すように、一般部は基より縦壁部においても、発泡樹脂材料Mの発泡反応が誘起され、一般部及び縦壁部においてほぼ同等の発泡密度、発泡倍率をもつ発泡樹脂成形体(ドアトリム本体11)を成形することができる。
【0041】
従って、従来、厚み調整が不可能であった縦壁部においても板厚調整機構70を付設することで、射出充填時には、縦壁部の厚みを薄く調整し、発泡段階においては縦壁部の厚みを厚くすることができることから、縦壁部にシルバーストリーク等の外観不良が生じることがなく、しかも、良好な発泡成形が行なわれるため、縦壁部における強度及び軽量化率等の向上が見込める。
【0042】
次いで、図10乃至図15に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態に使用する成形金型の要部構成を示すもので、成形金型30の基本構成は、第1実施形態と同一であるため詳しい説明は省略する。
【0043】
この第2実施形態における板厚調整機構70は、進退用ブロック71がアウター側ブロック71aとインナー側ブロック71bのように製品キャビティCの厚み方向に沿う二重構造となっており、シリンダ72よりアウター側ブロック71aとインナー側ブロック71bが独立して駆動できる構成である。
【0044】
図11は、第2実施形態における発泡樹脂成形体の成形方法における可動側金型40及び板厚調整機構70におけるアウター側ブロック71a、インナー側ブロック71bの動作を示すタイムチャート図である。
【0045】
簡単に説明すると、可動側金型40は、昇降シリンダ42の駆動により下死点(型締め位置)まで下降動作し、その後、発泡樹脂材料Mが射出充填されるが、そのときの樹脂圧により可動側金型40が型開き方向、すなわち上方に押し上げられ、可動側金型40の型締め力と樹脂圧との平衡により停止した時点で一定時間経過させ、その後、発泡スペースを確保するために可動側金型40は強制的に所定ストローク上昇して、発泡反応が開始され、発泡反応が終了すれば、可動側金型40が型開きして、元位置に復元する。
【0046】
一方、第2実施形態における板厚調整機構70は、アウター側ブロック71a及びインナー側ブロック71bとも初期状態、すなわち、発泡樹脂材料Mの射出充填前半時において、可動側金型40が下死点まで下降して型締めが行なわれるときには最上方に位置しており、製品キャビティC内に進入しているため、製品キャビティCにおける縦壁部は非常に薄肉な状態に規制されている。
【0047】
そして、発泡樹脂材料Mが射出充填される後半時においては、可動側金型40が樹脂圧により上方に押し上げられるのに連動して、アウター側ブロック71aが後退して、一般部の厚みと縦壁部の厚みがほぼ同等となるように板厚が調整される。
【0048】
その後、可動側金型40が強制的に上昇して製品キャビティCにおける一般部において発泡スペースS1を確保するときには、インナー側ブロック71bもシリンダ72により駆動されて製品キャビティCから後退するため、一般部に等しい厚みを縦壁部においても発泡スペースS2として確保することができる。
【0049】
以下、図12乃至図15に基づいて説明すると、可動側金型40が下死点まで降下した状態では、図12に示すように、製品キャビティCの厚みは0.8〜1.4mmのように非常に薄肉に設定されている。
【0050】
このとき、図示するように、製品キャビティCは一般部の厚みに対して縦壁部の厚みについてもアウター側ブロック71a及びインナー側ブロック71bが共に製品キャビティC内に進入しているため、縦壁部についても非常に薄肉に調整されていることから、発泡樹脂材料Mが射出充填されるとき(射出充填前半期)、高圧状態で縦壁部内に流れ込むため、シルバーストリーク等の外観不良が生じることがない。
【0051】
次いで、図13に示すように、発泡樹脂材料Mの射出充填後半期には、樹脂圧力に負けて可動側金型40が型開き方向、すなわち上方に移動して一般部における型間クリアランスがアップする。これに対応するように、縦壁部については、アウター側ブロック71aがシリンダ72の駆動により下降して、一般部と同等の厚みを縦壁部においても確保することができる。
【0052】
更に、図14に示すように、射出充填完了後、発泡樹脂材料Mの発泡スペースS1を確保するように可動側金型40が強制的に上昇して、一般部において約3.6mmの発泡スペースS1が確保されるが、このとき縦壁部においては、インナー側ブロック71bがシリンダ72の駆動により下降して製品キャビティCから後退する動作を行なうため、発泡スペースS2が形成され、縦壁部についても3.6mmの厚みが確保され、一般部と同等の発泡密度が縦壁部において得られる。従って、図15に示すように、縦壁部における強度、剛性及び軽量化率等は、一般部と同等に調整できるため、従来のように縦壁部において強度が不足したり軽量化の支障になることはなく、良好な外観を保ちつつ、強度及び良好な物性を満足することができる。
【0053】
このように、第2実施形態においても、シルバーストリーク等の外観不良が縦壁部に生じることがないため、仕上げ塗装の工程を廃止することができ、塗料費を削減でき、塗装工程を廃止することから、コストダウンを招来できるとともに、縦壁部においても充分な発泡反応を行なわせることができるため、良好な剛性を維持でき、しかも、充分な軽量化を達成することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型は、製品キャビティにおける一般部の型間クリアランスを調整する際、成形金型に設けた板厚調整機構を可動側金型の動きに合わせて機能させることで製品キャビティの縦壁部においても樹脂充填時は薄肉に、樹脂発泡時は厚肉に、その板厚調整を可能としたため、発泡樹脂成形体における縦壁部の製品表面にシルバーストリーク等の外観不良が生じることがなく、良好な外観性能が得られ、後塗装を不要とし、塗料費や塗装工程を廃止できることから、コストダウンを招来できるという効果を有する。
【0055】
更に、本発明に係る発泡樹脂成形体の成形方法及び成形金型によれば、製品キャビティにおける縦壁部を厚肉に設定することを可能にしたため、縦壁部において充分な発泡倍率、発泡密度が得られるため、縦壁部において適正な剛性及び軽量化を図ることができ、軽量化を達成できるとともに、初期形状を長期に亘り良好に維持できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を適用して成形した自動車用ドアトリムを示す正面図である。
【図2】図1中II−II線断面図である。
【図3】本発明に係る発泡樹脂成形体の成形金型の第1実施形態を示す全体図である。
【図4】図3に示す成形金型における要部を示す説明図である。
【図5】図3に示す成形金型を使用してドアトリム本体を成形する際の可動側金型及び板厚調整機構の動作を示すタイムチャート図である。
【図6】図3に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における成形金型の型締め状態を示す全体図である。
【図7】図3に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における発泡樹脂材料の射出充填時の状態を示す説明図である。
【図8】図3に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における可動側金型及び板厚調整機構の後退時の状態を示す説明図である。
【図9】図3に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における発泡樹脂材料の発泡成形工程を示す説明図である。
【図10】本発明に係る発泡樹脂成形体の成形金型の第2実施形態における板厚調整機構の構成を示す説明図である。
【図11】図10に示す成形金型を使用してドアトリム本体を成形する際の可動側金型と板厚調整機構の動作を示すタイムチャート図である。
【図12】図10に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における型締め時の状態を示す説明図である。
【図13】図10に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における発泡樹脂充填後半時の状態を示す説明図である。
【図14】図10に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における可動側金型及びインナー側ブロックの後退時の状態を示す説明図である。
【図15】図10に示す成形金型を使用したドアトリム本体の成形方法における発泡樹脂材料の発泡成形工程を示す説明図である。
【図16】従来の自動車用ドアトリムを示す正面図である。
【図17】従来の自動車用ドアトリムの成形方法における、(a)初期金型状態、(b)樹脂充填完了後の金型状態、(c)発泡成形時の金型状態をそれぞれ示す説明図である。
【図18】従来の成形金型における金型の動作を示すタイムチャート図である。
【図19】従来の成形方法における縦壁部の不具合状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 自動車用ドアトリム
11 ドアトリム本体
12 ウエスト部
12a,13a 縦壁部
13 アームレスト部
30 成形金型
40 可動側金型
41 キャビティ部
42 昇降シリンダ
50 固定側金型
51 コア部
52 マニホールド
53 ゲート
60 射出機
70 板厚調整機構
71 進退用ブロック
71a アウター側ブロック
71b インナー側ブロック
72 シリンダ
C 製品キャビティ
M 発泡樹脂材料
S1,S2 発泡スペース
Claims (6)
- 可動側金型(40)と、固定側金型(50)との間に画成される製品キャビティ(C)内に発泡樹脂材料(M)を射出充填して、発泡樹脂成形体(11)を所要形状に成形する発泡樹脂成形体の成形方法において、
可動側金型(40)をシリンダ(42)により型締め位置まで移動させて、可動側金型(40)と固定側金型(50)との間に製品キャビティ(C)を画成するとともに、製品キャビティ(C)の縦壁部内に板厚調整機構(70)の進退用ブロック(71)を進入させて、一般部と縦壁部における製品キャビティ(C)内の厚みをほぼ同等に調整し、射出機(60)から固定側金型(50)に設けた樹脂通路を通じて製品キャビティ(C)内に発泡樹脂材料(M)を射出充填する発泡樹脂材料の射出充填工程と、
製品キャビティ(C)内に発泡樹脂材料(M)を射出充填した後、可動側金型(40)を型開き方向に強制的に移動させて、製品キャビティ(C)内に発泡スペース(S1)を所定厚み確保するとともに、板厚調整機構(70)における進退用ブロック(71)を製品キャビティ(C)から後退させて、縦壁部に発泡スペース(S2)を確保して、一般部と縦壁部との厚みをほぼ同等に規制して発泡樹脂材料(M)を発泡させ、発泡樹脂成形体(11)を所望厚みに発泡成形させる発泡樹脂成形体の発泡成形工程と、
からなることを特徴とする発泡樹脂成形体の成形方法。 - 可動側金型(40)と、固定側金型(50)との間に画成される製品キャビティ(C)内に発泡樹脂材料(M)を射出充填して、発泡樹脂成形体(11)を所要形状に成形する発泡樹脂成形体の成形方法において、
可動側金型(40)をシリンダ(42)により型締め位置まで移動させて、可動側金型(40)と固定側金型(50)との間に製品キャビティ(C)を画成するとともに、製品キャビティ(C)の縦壁部内に板厚調整機構(70)のアウター側ブロック(71a)、インナー側ブロック(71b)を進入させて、一般部と縦壁部における製品キャビティ(C)の厚みをほぼ同等に調整し、射出機(60)から固定側金型(50)に設けた樹脂通路を通じて製品キャビティ(C)内に発泡樹脂材料(M)を射出充填する発泡樹脂材料の射出充填前半工程と、
前記発泡樹脂材料(M)の射出充填途中に、発泡樹脂材料(M)の樹脂圧で可動側金型(40)を所定ストローク型開き方向に移動させるとともに、アウター側ブロック(71a)を製品キャビティ(C)から後退させ、一般部と縦壁部における製品キャビティ(C)内の内圧をほぼ同等に維持する発泡樹脂材料の射出充填後半工程と、
製品キャビティ(C)内に発泡樹脂材料(M)を射出充填した後、可動側金型(40)を型開き方向に強制的に移動させて一般部における発泡スペース(S1)を所定厚み確保するとともに、板厚調整機構(70)におけるインナー側ブロック(71b)を製品キャビティ(C)から後退させて、縦壁部に発泡スペース(S2)を確保して、一般部と縦壁部との厚みをほぼ同等に規制して発泡樹脂材料(M)を発泡させ、発泡樹脂成形体(11)を所望厚みに発泡成形させる発泡樹脂成形体の発泡成形工程と、
からなることを特徴とする発泡樹脂成形体の成形方法。 - 請求項1又は請求項2記載の発泡樹脂成形体の成形方法により所要形状に成形され、一般部及び縦壁部における発泡密度、並びに発泡倍率が同等に調整されていることを特徴とする発泡樹脂成形体。
- 相互に型締め、型開き可能で、製品キャビティ(C)内に発泡樹脂材料(M)が射出充填されて、発泡樹脂成形体(11)を所要形状に成形する発泡樹脂成形体の成形金型(30)において、
前記成形金型(30)は、型締め、型開き方向に所定ストローク移動可能な可動側金型(40)と、該可動側金型(40)との間で所望形状の製品キャビティ(C)を形成する固定側金型(50)と、固定側金型(50)に連結され、製品キャビティ(C)内に発泡樹脂材料(M)を供給するための射出機(60)と、固定側金型(50)に設けられ、製品キャビティ(C)の縦壁部内に進入して縦壁部の厚みを可変できる板厚調整機構(70)とから構成されていることを特徴とする発泡樹脂成形体の成形金型。 - 前記板厚調整機構(70)は、製品キャビティ(C)の縦壁部内に進入して、発泡樹脂材料(M)の射出充填時においては、一般部と縦壁部の板厚をほぼ同等に保ち、可動側金型(40)が型開き方向に移動して、一般部における製品キャビティ(C)の発泡スペース(S1)を確保するときに、製品キャビティ(C)から後退して縦壁部における発泡スペース(S2)を確保する進退用ブロック(71)と、この進退用ブロック(71)を可動側金型(40)の動作と連繋して駆動させるシリンダ(72)とから構成されていることを特徴とする請求項4に記載の発泡樹脂成形体の成形金型。
- 前記板厚調整機構(70)は、固定側金型(50)に内装されるシリンダ(72)により駆動されるアウター側ブロック(71a)と、インナー側ブロック(71b)との二重ブロック構造が採用され、可動側金型(40)の型締め時においては、アウター側ブロック(71a)、インナー側ブロック(71b)共に製品キャビティ(C)の縦壁部内に進入することで、製品キャビティ(C)における一般部と縦壁部の厚みがほぼ同等に設定され、発泡樹脂材料(M)の充填途中で樹脂圧により可動側金型(40)が型開き方向に移動して、一般部のキャビティ厚みが増すに伴なって、アウター側ブロック(71a)が製品キャビティ(C)から後退するとともに、発泡樹脂材料(M)の充填後、強制的に可動側金型(40)が型開き方向に移動する際、インナー側ブロック(71b)が製品キャビティ(C)から後退することを特徴とする請求項4に記載の発泡樹脂成形体の成形金型。
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