JP4421813B2 - 電子部品の接合材料および電子部品実装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品の外部接続用の電極を回路電極に半田接合する電子部品の接合材料およびこの接合材料を用いた電子部品実装方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子や回路基板などの電子部品を相互に接合する方法として、半田接合が広く用いられており、この半田接合の方法としては、半田ペーストなどのペースト状の接合材料を用いる方法が一般的である。このようなペースト状の接合材料は、予め印刷などの方法によって基板の電極を覆って供給され、この接合材料の上に電子部品が搭載される。そして電子部品が搭載された基板をリフロー装置まで搬送する間、電子部品は接合材料の粘着性によって基板上で正しい位置に保持される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記ペースト状の接合材料を用いる電子部品実装方法においては、電子部品の微小化に伴い、以下のようなペーストの粘度に起因する不具合が生じていた。まず、ペーストを基板の電極に印刷した後には、ペーストが電極上で型くずれするダレが生じやすい。このとき、電極間のピッチが狭いファインピッチ部品を対象とする場合には、電子部品の搭載後に隣接する電極間でペーストが連続するブリッジを生じやすく、このような状態でリフローを行うと半田ブリッジを誘発する場合がある。
【0004】
また、吸着ノズルに保持された電子部品をペースト上に着地させる搭載動作時においては、ペーストの粘度が小さいとペーストによる電子部品の保持力が充分でなく、電子部品が吸着ノズルに保持されたままの状態で上昇する「持ち帰り部品」が発生しやすい。これに対し、このような不具合を防止するためペーストの組成を変更して粘度を増加させると、リフロー時の半田流動性が阻害され良好な半田接合性の確保が困難であった。このように、従来の電子部品実装方法には、接合材料として使用されるペーストの性状に起因して、半田ブリッジや持ち帰り部品などの実装不具合の防止と、半田接合性の確保を両立させることが難しいという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、半田ブリッジや持ち帰り部品などの実装不具合を減少させるとともに良好な半田接合性を確保することができる電子部品の接合材料およびこの接合材料を用いた電子部品実装方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電子部品実装方法は、電子部品の外部接続用の電極を基板の回路電極に接合する電子部品実装方法であって、樹脂接着材成分と、準硬化温度まで加熱されることによって前記樹脂接着材成分の粘度を一旦増加させその後軟化温度まで再加熱されることによって前記粘度を低下させる第1の硬化剤であるフェノール系の化合物と、熱硬化温度まで加熱されることによって樹脂接着材成分の硬化を促進する第2の硬化剤であるアミン系の化合物と、前記準硬化温度、軟化温度のいずれよりも高い融点温度を有する半田成分を含有する電子部品の接合材料を、基板の回路電極に供給する接合材料供給工程と、前記接合材料が供給された基板を前記準硬化温度まで加熱することにより前記樹脂接着材成分の粘度を一旦増加させる準硬化工程と、準硬化工程後の基板に前記電子部品を搭載する部品搭載工程と、部品が搭載された基板を前記軟化温度以上に加熱することにより前記樹脂接着材成分の粘度を低下させる樹脂軟化工程と、樹脂接着材成分が軟化した状態の基板をさらに加熱して前記半田成分を溶融させて前記電極を回路電極に半田接合するとともに前記樹脂接着材成分を熱硬化温度まで加熱して熱硬化を促進する半田接合工程とを含む。
【0010】
請求項2記載の電子部品実装方法は、電子部品の外部接続用の電極を基板の回路電極に接合する電子部品実装方法であって、樹脂接着材成分と、準硬化温度まで加熱されることによって前記樹脂接着材成分の粘度を一旦増加させその後軟化温度まで再加熱されることによって前記粘度を低下させる第1の硬化剤であるフェノール系の化合物と、熱硬化温度まで加熱されることによって樹脂接着材成分の硬化を促進する第2の硬化剤であるアミン系の化合物とを含む電子部品の接合材料を、予め半田部が形成された基板の回路電極に供給する接合材料供給工程と、前記接合材料が供給された基板を前記準硬化温度まで加熱することにより前記樹脂接着材成分の粘度を一旦増加させる準硬化工程と、準硬化工程後の基板に前記電子部品を搭載する部品搭載工程と、部品が搭載された基板を前記軟化温度以上に加熱することにより前記樹脂接着材成分の粘度を低下させる樹脂軟化工程と、樹脂接着材成分が軟化した状態の基板をさらに加熱して前記半田部を溶融させて前記電極を回路電極に半田接合するとともに前記樹脂接着材成分を熱硬化温度まで加熱して熱硬化を促進する半田接合工程とを含む。
【0011】
本発明によれば、接合材料が供給された基板を準硬化温度まで加熱することにより樹脂接着材成分の粘度を一旦増加させ、この状態で電子部品を搭載することによって接合材料の型くずれを防止するとともに電子部品を充分な保持力で保持し、部品が搭載された基板を軟化温度以上に加熱して樹脂接着材成分の粘度を低下させることによって、半田接合時の半田流動性を妨げることなく良好な半田接合性を確保することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1、図2は本発明の一実施の形態の電子部品の接合材料を用いた電子部品実装方法の工程説明図、図3は本発明の一実施の形態の電子部品実装方法における加熱プロファイルを示すグラフである。
【0013】
まず電子部品実装方法について説明する。図1(a)において、基板1の上面には複数の回路電極2が相互に近接した並列状態で形成されている。回路電極2の上面には、図1(b)に示すように、接合材料である半田ペースト3が印刷により供給される(接合材料供給工程)。半田ペースト3は以下に説明する成分組成を有するペースト状材料であり、半田接合による電子部品実装において用いられる。
【0014】
半田ペースト3は粒子状半田などの半田成分をエポキシ樹脂などの樹脂接着材成分に含有させたものである。この樹脂接着材成分は、主剤としてのエポキシ樹脂(40〜45wt%)に、硬化剤(40〜45wt%)および活性剤(20wt%以下)を混入したものであり、ここでは硬化剤として、第1の硬化剤と第2の硬化剤の2種類を含むようにしている。2種類の硬化剤を用いることにより、3つの異なる特定温度(準硬化温度T1、軟化温度T2、熱硬化温度T3・・・図3参照)によって、半田ペースト3の粘性・流動性の性状を変化させることができ、電子部品実装作業の各工程において接合材料として望ましい性状が実現されるようになっている。
【0015】
準硬化温度T1(50℃〜150℃)は、ペースト状の半田ペースト3の流動性が低下してゲル状に変化する温度であり、軟化温度T2(150℃〜200℃)は、ゲル状に変化した半田ペースト3が一旦冷却された後再加熱によって再び流動性を回復する温度である。熱硬化温度T3は、半田ペースト3中の樹脂接着材成分が最終的に硬化する温度である。
【0016】
これらの特定温度と、硬化剤との関係について説明する。第1の硬化剤は、準硬化温度T1まで加熱されることによって樹脂接着材成分の粘度を一旦増加させ、その後軟化温度T2まで再加熱されることによって粘度を低下させる。ここで粘度は、E型粘度計により室温(25℃程度)、5回転/分の条件で測定する。第2の硬化剤は、使用される半田の融点温度よりも高く設定される熱硬化温度T3まで加熱されることによって、樹脂接着材成分の硬化を促進する。第1の硬化剤としては、酸無水物系やフェノール系の化合物が用いられ、第2の硬化剤としては、アミン系の化合物が用いられる。
【0017】
また活性剤としては、熱可塑性の活性剤であるロジンが用いられる。前述の第1の硬化剤自体も活性作用を有しているので、活性剤としてのロジンの添加は必ずしも必須ではない。しかしながら、ロジンを含む方が半田接合性をより向上させることができることから、また熱可塑性分を含む方が再加熱時の流動性が向上することから、本実施の形態に示すように半田ペースト3に準硬化・再軟化の特性を持たせることを目的とする場合には、ロジンの添加が望ましい。そして、接着材成分に混入される半田成分としては、上述の準硬化温度、軟化温度のいずれよりも高く、かつ熱硬化温度T3よりも低い融点温度を有するものを用いる。
【0018】
上記半田ペースト3を回路電極2に印刷した後、図1(c)に示すように基板1は加熱される。すなわち基板1は、図3(a)に示す加熱プロファイルに従って半田融点温度TS(180℃〜230℃)より低い準硬化温度T1まで加熱され、所定時間この温度を保持した後に冷却される。
【0019】
これにより、図1(d)に示すように半田ペースト3中の第1の硬化剤が樹脂接着材成分中のエポキシ樹脂と反応することにより、半田ペースト3はゲル状体3aに変化する。この反応においてはゲル状までしか硬化反応が進行せず、半田ペースト3の粘度が一端増加した状態で反応が停止する(準硬化工程)。なお半田ペースト3を印刷する印刷装置に上記加熱を行う加熱手段を組み込み、上述の接合材料供給工程および準硬化工程を同一装置によって行うようにすれば、上記作業を効率よく行うことができる。
【0020】
この後、準硬化工程後の基板は電子部品実装装置に搬入され、ここで基板1に電子部品が搭載される(部品搭載工程)。すなわち図2(a)に示すように、両端に外部接合用の電極である端子4aが設けられた電子部品4を、吸着ノズル5によって保持して基板1に搭載する。そして端子4aを回路電極2にゲル状体3aを介して着地させた後、吸着ノズル5を上昇させる。
【0021】
この搭載過程において、回路電極2上のゲル状体3aは粘度が増大した状態にあることから型くずれしにくく、狭ピッチ電極を対象とする場合にあっても隣接した電極間でゲル状体3aが相互に連結するブリッジの発生が抑えられる。また、吸着ノズル5によって保持された電子部品4を着地させた後に吸着ノズル5が上昇する部品分離過程において、電子部品4は粘着性を増したゲル状体3aによってしっかり保持されていることから、電子部品4が吸着ノズル5に付着したまま上昇しする「持ち帰り部品」が発生しない。
【0022】
この後、基板1は図2(b)に示すようにリフロー工程に送られ、ここで図3(b)に示す加熱プロファイルに従って再加熱される。すなわち、基板1の温度は軟化温度T2よりも低く設定される予熱温度まで上昇した後所定時間予熱される。そしてその後さらに温度が上昇して軟化温度T2以上に加熱されることにより、第1の硬化剤とまだ反応していないエポキシ樹脂の粘度が低下し、一旦ゲル状体3aとなった半田ペースト粘度が低下する(樹脂軟化工程)。これにより、ゲル状体3aは流動性が増加して本来の半田ペースト3の性状に近くなる。
【0023】
次いで、樹脂接着材成分が軟化した状態の基板1をさらに加熱して、半田ペースト3中の半田成分を溶融させ、端子4aを溶融半田によって回路電極2に半田接合する。またこれとともに、半田ペースト3中の樹脂接着材成分を熱硬化温度T3まで加熱することにより、第2の硬化剤をエポキシ樹脂と反応させて熱硬化を促進する(半田接合工程)。
【0024】
この半田接合工程においては、熱硬化温度が半田の融点温度TSよりも高いことから、溶融半田が回路電極2の表面を濡らす際には樹脂接着材成分はまだ熱硬化を開始していない状態にある。したがって溶融半田の流動が確保され、端子4aと回路電極2とのセルフアライメントが阻害されることがない。またこのとき前述のように半田ペースト3が型くずれすることにより隣接電極間で半田ペースト3が連結するブリッジの発生が抑制されることから、リフロー時に溶融半田が相互に連結する半田ブリッジの発生が減少する。
【0025】
これにより、図2(c)に示すように、端子4aが回路電極2に半田接合されるともに、樹脂接着材によって半田接合部が補強された接合部3bが形成される。このように、上述の半田ペースト3を用いた電子部品実装においては、半田ブリッジや持ち帰り部品などの実装不具合の防止と、半田接合性の確保とを両立させることが可能となっている。
【0026】
なお上記実施の形態においては、電子部品実装用の接合材料として、半田成分を含む半田ペースト3の例を示したが、半田ペースト3から半田成分を除いた構成の樹脂ペーストを接合材料として用いるようにしてもよい。この場合には、基板の回路電極上に予めプリコート半田などの半田部を形成しておき、樹脂ペーストを半田部が形成された回路電極上に供給する接合材料供給工程後に、前述の準硬化工程、部品搭載工程、樹脂軟化工程の各工程(図1,図2参照)を実行するする。
【0027】
そして樹脂軟化に引き続いて行われる半田接合工程においては、樹脂接着材成分が軟化した状態の基板1をさらに加熱して回路電極2上の半田部を溶融させ、端子4aを回路電極2に半田接合するとともに、樹脂接着材成分を熱硬化温度まで加熱して熱硬化を促進する。この方法を用いる場合においても、半田ペースト3を用いた実装方法と同様の効果を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、接合材料が供給された基板を準硬化温度まで加熱することにより樹脂接着材成分の粘度を一旦増加させ、この状態で電子部品を搭載することによって接合材料の型くずれを防止するとともに電子部品を充分な保持力で保持し、部品が搭載された基板を軟化温度以上に加熱することにより樹脂接着材成分の粘度を低下させるようにしたので、半田接合時の半田流動性を妨げることなく良好な半田接合性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法における加熱プロファイルを示すグラフ
【符号の説明】
1 基板
2 回路電極
3 半田ペースト
3a ゲル状体
3b 接合部
4 電子部品
4a 端子
Claims (2)
- 電子部品の外部接続用の電極を基板の回路電極に接合する電子部品実装方法であって、樹脂接着材成分と、準硬化温度まで加熱されることによって前記樹脂接着材成分の粘度を一旦増加させその後軟化温度まで再加熱されることによって前記粘度を低下させる第1の硬化剤であるフェノール系の化合物と、熱硬化温度まで加熱されることによって樹脂接着材成分の硬化を促進する第2の硬化剤であるアミン系の化合物と、前記準硬化温度、軟化温度のいずれよりも高い融点温度を有する半田成分を含有する電子部品の接合材料を、基板の回路電極に供給する接合材料供給工程と、前記接合材料が供給された基板を前記準硬化温度まで加熱することにより前記樹脂接着材成分の粘度を一旦増加させる準硬化工程と、準硬化工程後の基板に前記電子部品を搭載する部品搭載工程と、部品が搭載された基板を前記軟化温度以上に加熱することにより前記樹脂接着材成分の粘度を低下させる樹脂軟化工程と、樹脂接着材成分が軟化した状態の基板をさらに加熱して前記半田成分を溶融させて前記電極を回路電極に半田接合するとともに前記樹脂接着材成分を熱硬化温度まで加熱して熱硬化を促進する半田接合工程とを含むことを特徴とする電子部品実装方法。
- 電子部品の外部接続用の電極を基板の回路電極に接合する電子部品実装方法であって、樹脂接着材成分と、準硬化温度まで加熱されることによって前記樹脂接着材成分の粘度を一旦増加させその後軟化温度まで再加熱されることによって前記粘度を低下させる第1の硬化剤であるフェノール系の化合物と、熱硬化温度まで加熱されることによって樹脂接着材成分の硬化を促進する第2の硬化剤であるアミン系の化合物とを含む電子部品の接合材料を、予め半田部が形成された基板の回路電極に供給する接合材料供給工程と、前記接合材料が供給された基板を前記準硬化温度まで加熱することにより前記樹脂接着材成分の粘度を一旦増加させる準硬化工程と、準硬化工程後の基板に前記電子部品を搭載する部品搭載工程と、部品が搭載された基板を前記軟化温度以上に加熱することにより前記樹脂接着材成分の粘度を低下させる樹脂軟化工程と、樹脂接着材成分が軟化した状態の基板をさらに加熱して前記半田部を溶融させて前記電極を回路電極に半田接合するとともに前記樹脂接着材成分を熱硬化温度まで加熱して熱硬化を促進する半田接合工程とを含むことを特徴とする電子部品実装方法。
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