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JP4466704B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録装置に関する。
インクを利用した画像やデータ等を記録の一つとして、インクジェット記録方式がある。インクジェット記録方式の原理は、ノズル、スリット、或いは多孔質フィルム等から液体或いは溶融固体インクを吐出し、紙、布、フィルム等に記録を行うものである。インクを吐出する方法については、静電誘引力を利用してインクを吐出させる、いわゆる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、高熱により気泡を形成、成長させることにより生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆる熱インクジェット方式等、各種の方式が提案されており、これらの方式により、極めて高精細の画像やデータの記録物が得られる。
このインクジェット記録方式も含め、インクを利用した記録方式では、浸透媒体や非浸透媒体などの多様な記録媒体に対し高画質で記録を行うために、中間転写体に記録した後、記録媒体に転写する方式が提案されている。
例えば、特許文献1には、吸水性の異なるポリマー、サイズの異なる吸水ポリマー、架橋度の異なる吸水ポリマー等、複数種の粉末混合体を中間体上に供給しつつ記録を行う方式が提案されている。
また、特許文献2には、中間体上にインクとの接触でインクを増粘させる固体粒子(多糖高分子、アルギン酸、カラギーナン等の粒子)を供給しつつ記録を行う方式が提案されている。
また、特許文献3には、中間体上に疎水性樹脂粒子層を形成し、疎水性樹脂粒子層の空隙にインク(例はSD型染料インクスロードライ型(Slow Dry型))を保持させて記録媒体に転写する方式が提案されている。
また、特許文献4には、中間体(シート)に湿式で無機粒子、親水性ポリマー等を塗布した空隙型インク吸収層を設け、そこに染料インクを噴射し、記録媒体に転写する方式が提案されている。
また、特許文献5には、熱可塑性樹脂粒子と非熱可塑性粒子とを含有し、熱可塑性樹脂粒子の最低造膜温度(MFT)以下の温度で乾燥されて形成された多孔質インク吸収層を有するインクジェット中間転写媒体が提案されている。
特許文献6には、高電気的抵抗体で液体と接触して増粘する粉体を中間転写体上に供給した後、当該粉体に液体を接触させて画像を形成し、中間転写体上の増粘した画像を転写媒体に転写する記録装置が提案されている。
特許文献7には、中間転写体上に予め液滴に対して溶解性又は膨潤性を示しかつ液滴の粘度を上昇させることができる粉末を形成しておき、液体噴射装置より噴射された液滴を中間転写体に到達させて粉末を液滴により溶解又は膨潤させ、当該粉末により高粘度化した液滴を中間転写体によって転写部まで運んで記録紙に転写させる記録装置が提案されている。
特許文献8には、印刷版上のインク又は飛翔インク滴が中間転写体に転写されるのに先だって、中間転写体の表面に液体を付着させ、その液体上にインクを付着させてから、中間転写体上のインクを液体とともに被印刷体に転写することを特徴とする記録方法が提案されている。
特許文献9には、静電界を利用して油性インクをインクジェット方式により画像保持体表面に画像を形成し、該画像保持体に形成された画像を印刷媒体上に接触転写することにより印刷物を作成することを特徴とするインクジェット式印刷方法が提案されている。
特許文献10には、中間転写体に対して、着色インクの流動性を低下させる第1材料を付与する工程と、第1材料が付与された中間転写体に対して着色インクを記録ヘッドより付与し、インク像を形成する形成工程と、インク像を記録媒体へ転写する転写工程と、転写工程の前に、画像の耐擦過性を向上させる第2材料を中間転写体に付与するインクジェット記録方法が提案されている。
特開2000−343808 特開2000−94654 特開2003−57967 特開2002−370347 特開2002−321443 特開2001−321443 特開平11−188858 特開2001−212956 特開2001−315426 特開2005−170036
本発明の課題は、非浸透媒体及び浸透媒体を問わず多様な記録媒体に対して画像形成がなされ、かつ、カール・カックルが抑制される記録装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
中間転写体と、
外部からの刺激によってカチオン硬化反応により硬化するカチオン硬化性材料を含む硬化性溶液を前記中間転写体上に供給する供給手段と、
前記中間転写体上に供給された前記硬化性溶液により形成された被硬化層に記録材を含むインクを吐出する吐出手段と、
前記インクが吐出された前記被硬化層を前記中間転写体から記録媒体に転写する転写手段と、
前記被硬化層を硬化させる刺激を供給する刺激供給手段と、
を有する記録装置である。
請求項2に係る発明は、
前記カチオン硬化性材料が、紫外線の照射によってカチオン硬化反応により硬化する紫外線カチオン硬化性材料であり、且つ前記刺激供給手段が前記被硬化層に紫外線を照射する紫外線照射手段である請求項1に記載の記録装置である。
請求項3に係る発明は、
前記カチオン硬化性材料が、電子線の照射によってカチオン硬化反応により硬化する電子線カチオン硬化性材料であり、且つ前記刺激供給手段が前記被硬化層に電子線を照射する電子線照射手段である請求項1に記載の記録装置である。
請求項4に係る発明は、
前記中間転写体が、中間転写ベルトである請求項1から3までのいずれか1項に記載の記録装置である。
請求項5に係る発明は、
前記中間転写体が、中間転写ドラムである請求項1から3までのいずれか1項に記載の記録装置である。
請求項6に係る発明は、
前記中間転写体上に形成され前記インクが吐出された前記被硬化層が、半硬化した状態で前記記録媒体に転写される請求項1から5までのいずれか1項に記載の記録装置である。
請求項7に係る発明は、
前記インクが、油性インクである請求項1から6までのいずれか1項に記載の記録装置である。
請求項8に係る発明は、
前記被硬化層が、吸油材料を含む請求項7に記載の記録装置である。
請求項9に係る発明は、
前記インクが、水性インクである請求項1から6までのいずれか1項に記載の記録装置である。
請求項10に係る発明は、
前記被硬化層が、吸水材料を含む請求項9に記載の記録装置である。
請求項1に係る発明によれば、非浸透媒体及び浸透媒体を問わず多様な記録媒体に対して画像形成がなされ、かつ、カール・カックルが抑制されるといった効果を奏する。
請求項2に係る発明によれば、外部刺激として紫外線照射を用いない場合に比べ、高速記録がなされ、特に非浸透媒体への記録に適するといった効果を奏する。
請求項3に係る発明によれば、外部刺激として電子線照射を用いない場合に比べ、材料コストが抑えられ、かつ、高画質化されるといった効果を奏する。
請求項4に係る発明によれば、中間転写体として中間転写ベルトを用いない場合に比べ、インク吐出手段と中間転写体との距離を短くでき、画像位置精度が向上され高画質化されるといった効果を奏する。
請求項5に係る発明によれば、中間転写体として中間転写ドラムを用いない場合に比べ、インク吐出手段と中間転写体との距離を短くでき、画像位置精度が向上され高画質化されると共に、長期に渡り画像形成されうるといった効果を奏する。
請求項6に係る発明によれば、半硬化させずに記録媒体に転写される場合に比べ、記録媒体への転写ズレが抑制されると共に、記録媒体転写後の中間転写体への硬化性溶液により形成された被硬化層の残存が抑制され、長期に渡り安定して高画質化されるといった効果を奏する。
請求項7に係る発明によれば、油性インクを用いた場合でも、非浸透媒体及び浸透媒体を問わず多様な記録媒体に対して画像形成がなされ、かつ、カール・カックルが抑制されるといった効果を奏する。
請求項8に係る発明によれば、被硬化層が吸油材料を含まない場合に比べ、被硬化層内におけるインクの拡散を抑制し、高画質化されるといった効果を奏する。
請求項9に係る発明によれば、水性インクを用いた場合でも、非浸透媒体及び浸透媒体を問わず多様な記録媒体に対して画像形成がなされ、かつ、カール・カックルが抑制されるといった効果を奏する。
請求項10に係る発明によれば、被硬化層が吸水材料を含まない場合に比べ、被硬化層内におけるインクの拡散を抑制するとともに、水によるカチオン硬化反応の阻害が抑制されるため、高画質化されるといった効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同じ機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
第1実施形態に係る記録装置101は、図1に示すように、例えば、中間転写ドラム10、中間転写ドラム10上に外部からの刺激(エネルギー)によってカチオン硬化反応により硬化するカチオン硬化性材料(以下、硬化性材料と称することがある)を含む硬化性溶液12Aを供給して硬化性溶液12Aにより形成された被硬化層12Bを形成する溶液供給装置12と、被硬化層12B上にインク滴14Aを吐出し画像Tを形成するインクジェット記録ヘッド14、記録媒体Pを中間転写ドラム10と重ね合わせ、圧力を加えることにより画像Tが形成された被硬化層12Bを記録媒体P上に転写する転写装置16と、記録媒体P上に転写された被硬化層12Bを硬化する刺激を供給する刺激供給装置18と、を含んで構成されている。
また、中間転写ドラム10の回転方向における転写装置16の下流には、中間転写ドラム10表面に残留する被硬化層12Bの残留物の除去、当該残留物以外の異物(記録媒体Pの紙粉等)等の付着物の除去を行うためのクリーニング装置20が配置されている。
中間転写ドラム10は、例えば円筒状基体と、当該基体表面に被覆される表面層と、を有する構成が挙げられる。中間転写ドラム10は、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。
円筒状基体の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等が挙げられる。
表面層の材質としては、例えば、各種の樹脂[例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、フッ素系樹脂等]、各種のゴム(例えば、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)等が挙げられる。表面層は、単層構成でもよいし、積層構成でもよい。
溶液供給装置12は、例えば、硬化性溶液12Aを収納する筐体12C内に、当該硬化性溶液12Aを中間転写ドラム10へ供給する供給ローラ12Dと、供給された硬化性溶液12Aにより形成された被硬化層12Bの層厚を規定するブレード12Eと、を含んで構成されている。
溶液供給装置12は、その供給ローラ12Dが中間転写ドラム10に連続的に接触するようにしてもよいし、中間転写ドラム10から離間する構成としてもよい。また、溶液供給装置12は、独立した溶液供給システム(図示せず)より硬化性溶液12Aを筐体12Cへ供給させ、硬化性溶液12Aの供給がとぎれないようにしてもよい。
ここで、硬化性溶液12Aは、本発明の記録用材料に相当する。また、硬化性溶液12Aに含まれる「外部からの刺激(エネルギー)によってカチオン硬化反応により硬化するカチオン硬化性材料」とは、外部からの刺激によってカチオン硬化反応により硬化し、「カチオン硬化性樹脂」となる材料を意味する。具体的には、例えば、カチオン硬化性のモノマー、カチオン硬化性のマクロマー、カチオン硬化性のオリゴマー、カチオン硬化性のプレポリマー等が挙げられる。その詳細については後述する。
溶液供給装置12は、上記構成に限られず、公知の供給法(塗布法:例えば、バーコーター塗布、スプレー方式の塗布、インクジェット方式の塗布、エアーナイフ方式の塗布、ブレード方式の塗布、ロール方式の塗布等)などを利用した装置が適用される。
インクジェット記録ヘッド14は、例えば、中間転写ドラム10の回転方向上流側から、ブラックインクを吐出するための記録ヘッド14Kと、シアンインクを吐出するための記録ヘッド14Cと、マゼンタインクを吐出するための記録ヘッド14Mと、イエローインクを吐出するための記録ヘッド14Yと、の各色の記録ヘッドを含んで構成されている。無論、記録ヘッド14の構成は上記構成に限られず、例えば、記録ヘッド14Kのみで構成してもよいし、記録ヘッド14C、記録ヘッド14M、及び記録ヘッド14Yのみで構成してもよい。
各記録ヘッド14は、例えば、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いてもよい。各記録ヘッド14のインク吐出方式は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な方式であれば制限はない。
各記録ヘッド14は、例えば、中間転写ドラム10の回転方向上流側から記録ヘッド14K、記録ヘッド14C、記録ヘッド14M、及び記録ヘッド14Yの順で直列に配置されている。
各記録ヘッド14は、中間転写ドラム10表面とヘッドのノズル面との距離が例えば0.3乃至0.7mm程度にして配置されている。また、各記録ヘッド14は、例えば、その長手方向が中間転写ドラムの回転方向と交差(望ましくは直交)して配設されている。
転写装置16は、中間転写ドラム10に対し押し当てて配置される加圧ロール16Aを含んで構成されている。加圧ロール16Aは、例えば、上記中間転写ドラム10の材料構成と同様に構成される。
刺激供給装置18は、適用する硬化性溶液12Aに含まれる硬化性材料の種類に応じて選択される。具体的には、例えば、紫外線の照射によってカチオン硬化反応により硬化する紫外線カチオン硬化性材料(以下、単に「紫外線硬化性材料」と称する場合がある)を適用する場合、刺激供給装置18としては硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に紫外線を照射する紫外線照射装置を適用する。また、電子線の照射によってカチオン硬化反応により硬化する電子線カチオン硬化性材料(以下、単に「電子線硬化性材料」と称する場合がある)を適用する場合、刺激供給装置18として硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に電子線を照射する電子線照射装置を適用する。また、加熱によって、カチオン硬化反応により硬化する熱エネルギーカチオン硬化性材料(以下、単に「熱硬化性材料」と称する場合がある)を適用する場合、刺激供給装置18としては硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に熱を供給する加熱装置を適用する。
ここで、紫外線照射装置としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV−LEDなどが適用される。
ここで、紫外線の照射条件としては、紫外線硬化性材料を含む硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)が十分に硬化される条件であれば、特に制限はなく、紫外線照射位置、紫外線硬化性材料種、被硬化層12Bの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、120W/cm出力の高圧水銀灯で2s照射等である。
また、電子線照射装置としては、例えば、走査型/カーテン型等があり、カーテン型はフィラメントで生じた熱電子を、真空チャンバー内のグリッドによって引き出し、さらに高電圧(例えば70乃至300kV)によって、一気に加速させ、電子流となり、窓箔を通過して、大気側に放出する装置である。電子線の波長は一般的に1nmより小さく、またエネルギーは大きいもので数MeVに及ぶが、電子線の波長数がpmのオーダーでエネルギーが数十乃至数百keVが適用される。
ここで、電子線の照射条件としては、電子線硬化性材料を含む硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)が十分に硬化される条件であれば、特に制限はなく、電子線照射位置、電子線硬化性材料種、被硬化層12Bの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、電子線量は5乃至100kGyレベル等である。
なお、それぞれ十分に硬化された状態とは、被硬化層12Bが刺激供給装置18により硬化された硬化層に浸透性の用紙(普通紙)を重ね、200g荷重をかけても転写がおこらない状態をいう。
記録媒体Pとしては、浸透媒体(例えば、普通紙や、コート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルムなど)、いずれも適用される。記録媒体は、これらに限られず、その他、半導体基板など工業製品も含まれる。
以下、本実施形態に係る記録装置101の画像記録プロセスにつき、説明する。
本実施形態に係る記録装置101では、中間転写ドラム10が回転駆動され、まず、溶液供給装置12により、中間転写ドラム10表面に硬化性溶液12Aを供給して、被硬化層12Bを形成する。
ここで、被硬化層12Bの厚みは、特に制限はないが、例えば、1μm以上50μm以下、望ましくは2μm以上20μm以下、より望ましくは3μm以上10μm以下の範囲が挙げられる。また、被硬化層12Bの厚みは、画像濃度が低い(インク打ち込み量が少ない(例えば0.1乃至1.5g/m))場合には、層厚を必要最小限の厚さ(例えば、1乃至5μm)とし、また、画像濃度が高い(インク打ち込み量が多い(例えば4乃至15g/m))場合には、層厚を例えば4乃至10μmとなるように制御することが望ましい。
また、例えば、被硬化層12Bの厚みをインク滴14Aが被硬化層12Bの最下層まで到達しない程度とすれば、記録媒体Pへの転写後では被硬化層12Bのうちインク滴14Aが存在する領域が露出せず、インク滴14Aが存在しない領域が硬化後には保護層として機能する。
次に、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを吐出し、中間転写ドラム10上に供給された被硬化層12Bに当該インク滴14Aを付与する。インクジェット記録ヘッド14は所定の画像情報に基づき、被硬化層12Bの所定の位置にインク滴14Aを付与する。
この際、インクジェット記録ヘッド14によるインク滴14Aの吐出は、剛体である中間転写ドラム10上で行われる。つまり、ドラム表面がたわみのない状態で被硬化層12Bにインク滴14Aの吐出がなされる。
次に、転写装置16により記録媒体Pを中間転写ドラム10と挟み込んで、被硬化層12Bに圧力を加えることで、記録媒体P上に、インク滴14Aにより画像が形成された被硬化層12Bが転写される。
次に、刺激供給装置18により、被硬化層12Bを硬化させることで、インク滴14Aによる画像Tがカチオン硬化性樹脂により記録媒体P上で定着される。これにより、インク滴14Aによる画像Tが含まれるカチオン硬化性樹脂層(画像層)が記録媒体Pに形成される。
そして、被硬化層12Bが記録媒体Pへ転写された後の中間転写ドラム10表面に残った被硬化層12Bの残留物や異物をクリーニング装置20により除去し、再び、中間転写ドラム10上に、溶液供給装置12により硬化性溶液12Aを供給して被硬化層12Bを形成し、画像記録プロセスが繰り返される。
以上のようにして、本実施形態に係る記録装置101では、画像記録が行われる。
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
第2実施形態に係る記録装置102は、図2に示すように、第1実施形態における中間転写ドラム10の代わりに中間転写ベルト22を配置した形態である。
中間転写ベルト22は、例えば、2つの支持ロール22A、及び加圧ロール16B(転写装置16)により内周面側から張力を掛けつつ回転可能に支持されて配設されている。
中間転写ベルト22は、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。
中間転写ベルト22は、例えば、各種の樹脂[例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、フッ素系樹脂等]、各種のゴム(例えば、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)により構成される。中間転写ベルト22は、ステンレス等の金属材料により構成してもよい。中間転写ベルト22は、単層構成でもよいし、積層構成でもよい。また、中間転写ベルト22は、フッ素樹脂・シリコーンゴム等の離型性の材料により表面層を有していてもよい。
各記録ヘッド14は、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルトにおける非屈曲領域上で、且つ中間転写ベルト22表面とヘッドのノズル面との距離が例えば0.7乃至1.5mm程度にして配置されている。
転写装置16は、中間転写ベルト22を挟んで対向配置された一対の加圧ロール16A,16Bを含んで構成されている。
本実施形態に係る記録装置102では、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを吐出し、中間転写ベルト22上に形成された被硬化層12Bに当該インク滴14Aを付与する。
この際、インクジェット記録ヘッド14によるインク滴14Aの吐出は、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルト22における非屈曲領域上で行われる。つまり、ベルト表面がたわみのない状態で被硬化層12Bにインク滴14Aの吐出がなされる。
これら以外は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
第3実施形態に係る記録装置103は、図3に示すように、第1実施形態において、インク滴14Aによる画像が形成された被硬化層12Bを記録媒体Pへ転写する前に、当該被硬化層12Bを半硬化させる刺激を供給する第2の刺激供給装置24をさらに配置した形態である。
第2の刺激供給装置24は、例えば、中間転写ドラム10の回転方向におけるインクジェット記録ヘッド14よりも下流側であって、転写装置16よりも上流側に配置されている。
第2の刺激供給装置24は、刺激供給装置18と同様に、適用する硬化性溶液12Aに含まれる硬化性材料の種類に応じて選択される。具体的には、例えば、紫外線硬化性材料を適用する場合、第2の刺激供給装置24としては硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に紫外線を照射する紫外線照射装置を適用する。また、電子線硬化性材料を適用する場合、第2の刺激供給装置24として硬化性溶液12A(これにより形成された被硬化層12B)に電子線を照射する電子線照射装置を適用する。
第2の刺激供給装置24における紫外線照射条件、電子線照射条件は、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを付与された中間転写ドラム10上の被硬化層12Bが、半硬化した状態で転写装置16により記録媒体Pに転写される条件であれば、特に制限はなく、第2の刺激供給装置24により被硬化層12Bに刺激を供給する位置、硬化性材料種、被硬化層の厚みなどに応じて選択し得る。
本実施形態においては、第2の刺激供給装置24をインクジェット記録ヘッド14よりも下流側であって転写装置16よりも上流側に配置しているが、第2の刺激供給装置24をインクジェット記録ヘッド14よりも上流側に配置してもよい。第2の刺激供給装置24をインクジェット記録ヘッド14よりも上流側に配置すると、被硬化層12Bに含まれる硬化性材料のカチオン硬化反応が開始された後に、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aが被硬化層12Bに吐出される。よって、被硬化層12Bの硬化が進行することにより粘度が上昇し、その後にインク滴14Aを受容するため、被硬化層12B内におけるインク滴14Aの拡散が抑制され高画質な画像が形成される。
また本実施形態においては、第2の刺激供給装置24及び刺激供給装置18を用いる形態としているが、第2の刺激供給装置24のみを用いる形態としてもよい。カチオン硬化反応は、条件により、刺激の供給を停止した後も硬化反応が持続する場合がある。そのような場合においては、第2の刺激供給装置24により被硬化層12Bに刺激を与えることにより、被硬化層12Bが半硬化した状態で転写装置16により記録媒体Pに転写された後もカチオン硬化反応が持続し、十分に硬化された状態に達することが出来る。
ここで、「半硬化した状態」とは、硬化性材料が、前記「十分に硬化された状態」には達していないが、中間転写体に供給した時よりも硬化され完全な液体状態ではない状態をいう。「半硬化した状態」の確認方法の1つとしては、以下の方法が挙げられる。具体的には、被硬化層12Bに浸透性の用紙(例えば普通紙)を重ねた場合、荷重をかけない時は被硬化層12Bが用紙側に全く転写されず、200g荷重をかけたときに一部転写された場合を、「半硬化した状態」と判断する。
以上説明した本実施形態に係る記録装置103では、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを吐出し、中間転写ドラム10上に供給された被硬化層12Bに当該インク滴14Aを付与した後、第2の刺激供給装置24により、当該被硬化層12Bを半硬化させる。そして、転写装置16により当該被硬化層12Bを記録媒体Pに転写する。この転写の際、被硬化層12Bは、半硬化の状態、つまりある程度剛性を持った状態で記録媒体Pに転写される。
これら以外は、第1実施形態と同様なため、説明を省略する。
上記いずれの実施形態に係る記録装置では、硬化性溶液12Aを中間転写体(中間転写ドラム10、中間転写ベルト22)に塗布して被硬化層12Bを形成する。そして、この被硬化層12Bにインクを付与して画像Tを形成した後、記録媒体Pへ転写する。その後、画像Tが形成された被硬化層12Bを完全に硬化させる。このため、記録媒体Pが非浸透媒体であるか浸透媒体であるかを問わず、多様な記録媒体Pに対して、画像形成がなされる。
また、上記いずれの実施形態に係る記録装置では、硬化性溶液12Aに含まれる硬化性材料として、「外部からの刺激によってカチオン硬化反応により硬化するカチオン硬化性材料」を適用している。カチオン硬化性材料は、硬化する際の収縮が小さい。このため、画像形成後における記録媒体のカール及びカックルが抑制される。
加えて、カチオン硬化反応は酸素による反応阻害が無いため、酸素の存在下(例えば大気中)においても効率良く硬化反応がおこり、周辺雰囲気の窒素パージ等の環境管理が不要となる。
さらにカチオン硬化反応は、上記の通り、条件によっては、外部からの刺激を停止した後も硬化反応が持続する場合がある。そのため、他の硬化反応の場合と比べて、上述したように刺激照射位置を選択できるため省スペース化を図ることができ、刺激照射量を抑えることにより省エネルギー化され、また刺激照射時間を短縮することにより高速化される。
上記第1実施形態から第3実施形態における記録装置は、中間転写体(中間転写ドラム10、中間転写ベルト22)を用いた形態(中間転写方式)を採用しているが、特に記録媒体Pとして非浸透記録媒体を用いる場合、直接記録方式を採用してもよい。具体的には、例えば、溶液供給装置12により、記録媒体P上に直接硬化性溶液12Aを供給して被硬化層12Bを形成し、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを被硬化層12Bに吐出して画像Tを形成し、刺激供給装置18により被硬化層12Bを硬化させる方式が挙げられる。
硬化性材料としては、紫外線硬化性材料、電子線硬化性材料等が挙げられる。紫外線硬化性材料は、硬化がし易く、他のものに比べ効果速度も速く、取り扱いやすい。電子線硬化性材料は、硬化反応がより早く進行するため、高速プリントが可能となり、また重合開始剤の量も少なく出来るため硬化後の着色抑制がしやすい。
また、硬化性材料を含む硬化性溶液12Aは、常温(25℃)において低揮発性又は不揮発性であることがよい。ここで、低揮発性とは大気圧下において沸点が200℃以上であることを意味する。また、不揮発性とは大気圧下において沸点が300℃以上であることを意味する。以下、同様である。
紫外線カチオン硬化性材料を硬化することにより得られる「紫外線カチオン硬化性樹脂」としては、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリカーボナート、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、紫外線カチオン硬化性のモノマー、紫外線カチオン硬化性のマクロマー、紫外線カチオン硬化性のオリゴマー、及び紫外線カチオン硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。また、硬化性溶液12Aは、必要に応じて紫外線カチオン硬化反応を進行させるための紫外線カチオン重合開始剤を含んでいる。
ここで、紫外線カチオン硬化性のモノマーとしては、エポキシモノマー、オキセタンモノマー、ビニルエーテルモノマー、環状カーボナート類、カプロラクトン誘導体などが挙げられる。なお、紫外線カチオン硬化性のマクロマー、紫外線カチオン硬化性のオリゴマー、紫外線カチオン硬化性のプレポリマーとしては、上記紫外線カチオン硬化性のモノマーを所定の重合度で重合させたもの等が挙げられる。
紫外線カチオン重合開始剤としては、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ニトロベンジルトシレート、スルホニルアセトフェノン、アリールスルホン酸ニトロベンジルエステル、アレン-イオン錯体誘導体、ナフチルスルホニウム塩、トリアジン誘導体などが挙げられる。
電子線カチオン硬化性材料を硬化することにより得られる「電子線カチオン硬化性樹脂」としては、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリカーボナート、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、電子線カチオン硬化性のモノマー、電子線カチオン硬化性のマクロマー、電子線カチオン硬化性のオリゴマー、及び電子線カチオン硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。
ここで、電子線カチオン硬化性のモノマー、電子線カチオン硬化性のマクロマー、電子線カチオン硬化性のオリゴマー、電子線カチオン硬化性のプレポリマーとしては、紫外線カチオン硬化性の材料と同様のものが挙げられる。
上記の中でも、カール・カックルを抑制する観点から、例えば、硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、が望ましく、硬化性材料としては、シクロヘキセンエポキシド、4−ビニルシクロヘキセン−1.2−エポキシド、フェニルグリシジルエーテル、フェニル−2−メチルグリシジルエーテル、グリシジルビニルエーテル、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル−3,4−エポキシシクロへキサンカルボキシレート、3‐オキシラニル‐7‐オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1−メチル−4−2−メチルオキシラニル7−オキサビシクロ4.1.0ヘプタン、ヘキサメチレンジオキシラン、オクタメチレンジオキシラン、1,3‐ビス(グリシジルオキシ)プロパン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3‐メチル‐3‐(メトキシメチル)オキセタン、テレフタル酸ビス[(3‐エチルオキセタン‐3‐イル)メチル]が望ましい。
また硬化性溶液12Aには、インクの成分を被硬化層12B上や内部で固定化する成分(以下、「固定化成分」と称する場合がある)を含んでいてもよい。
本実施形態においては、固定化成分を予め硬化性溶液12Aに混合しているが、例えば、固定化成分を含む溶液を別途調整し、当該溶液を吐出する手段等により被硬化層12Bに吐出することにより、被硬化層12Bに固定化成分を含ませても良い。固定化成分を含む溶液を被硬化層12Bに吐出する工程は、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを被硬化層12Bに吐出する前に行うことが望ましい。
固定化成分としては、例えば、インクの成分(例えば溶媒)を吸収する成分、インクの成分(例えば色材)を吸着する成分、インクの成分(例えば色材)を凝集又は増粘させる成分等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
インクの成分(例えば溶媒)を吸収する成分としては、例えば、吸水材料、吸油材料等が挙げられる。
インクとして水性インクを用いる場合は、吸水材料を用いることが望ましい。被硬化層12Bが吸水材料を含むことにより、水性インクに含まれる水が吸水材料に吸収されることから、被硬化層12B内におけるインク滴14Aの拡散を抑制することができる。そのため水性インクが被硬化層12B内において固定化され、高画質な画像が形成される。また、水性インクに含まれる水が吸水材料に吸収されることにより、水によるカチオン硬化反応の阻害が抑制されるため、カチオン硬化反応効率が維持され、高画質な画像が形成される。
インクとして油性インクを用いる場合は、吸油材料を用いることが望ましい。被硬化層12Bが吸油材料を含むことにより、油性インクに含まれる溶媒が吸油材料に吸収されることから、被硬化層12B内におけるインク滴14Aの拡散を抑制することができる。そのため油性インクが被硬化層12B内において固定化され、高画質な画像が形成される。
上記吸水材料としては、具体的には、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、ポリマレイン酸およびその塩、スチレン−マレイン酸及びその塩から構成される共重合体等、前記それぞれの樹脂のスルホン酸変性体、それぞれの樹脂のリン酸変性体等、等が挙げられ、望ましくは、ポリアクリル酸およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸およびその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸およびその塩から構成される共重合体、が挙げられる。これら樹脂は、未架橋でも架橋されていてもよい。
また吸油材料としては、具体的には、例えば、ヒドロキシステアリン酸、コレステロール誘導体、ベンジリデンソルビトールといった低分子ゲル化剤や、ポリノルボルネン、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン共重合体、各種ロジン類等が挙げられ、望ましくは、ポリノルボルネン、ポリプロピレン、ロジン類が挙げられる。
当該成分の比率としては、硬化性溶液12A全体に対し、0乃至80質量%程度の範囲が挙げられる。
インクの成分(例えば色材)を吸着する成分としては、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどが挙げられる。当該成分の比率としては0乃至30質量%程度の範囲が挙げられる。
インクの成分(例えば色材)を凝集又は増粘させる成分としては、無機電解質、有機酸、無機酸、有機アミンなどの凝集剤が挙げられる。
無機電解質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、及び、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のアルカリ金属類の塩、及び、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオシアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩等が挙げられる。
有機酸としては、具体的にはアルギニン酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、及び、一般式(1)で表される化合物、これら化合物の誘導体などが挙げられる。
Figure 0004466704
ここで、式中、Xは、O、CO、NH、NR、S、又はSOを表す。Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH、C、COHである。Xとして望ましくは、CO、NH、NR、Oであり、より望ましくは、CO、NH、Oである。
Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH、C、COHである。なお、Rは式中に含んでいてもよいし、含んでいなくても構わない。
Mは、水素原子、アルカリ金属又はアミン類を表す。Mとして望ましくは、H、Li、Na、K、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等であり、より望ましくは、H、Na,Kであり、更に望ましくは、水素原子である。nは、3乃至7の整数である。nとして望ましくは、複素環が6員環又は5員環となる場合であり、より望ましくは、5員環の場合である。mは、1又は2である。一般式(1)で表される化合物は、複素環であれば、飽和環であっても不飽和環であってもよい。lは、1乃至5の整数である。
一般式(1)で表される化合物としては、具体的には、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。具体的には、2−ピロリドン−5−カルボン酸、4−メチル−4−ペンタノリド−3−カルボン酸、フランカルボン酸、2−ベンゾフランカルボン酸、5−メチル−2−フランカルボン酸、2,5−ジメチル−3−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、4−ブタノリド−3−カルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、2−ピロン−6−カルボン酸、4−ピロン−2−カルボン酸、5−ヒドロキシ−4−ピロン−5−カルボン酸、4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、チオフェンカルボン酸、2−ピロールカルボン酸、2,3−ジメチルピロール−4−カルボン酸、2,4,5−トリメチルピロール−3−プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−インドールカルボン酸、2,5−ジオキソ−4−メチル−3−ピロリン−3−プロピオン酸、2−ピロリジンカルボン酸、4−ヒドロキシプロリン、1−メチルピロリジン−2−カルボン酸、5−カルボキシ−1−メチルピロリジン−2−酢酸、2−ピリジンカルボン酸、3−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピリジンペンタカルボン酸、1,2,5,6−テトラヒドロ−1−メチルニコチン酸、2−キノリンカルボン酸、4−キノリンカルボン酸、2−フェニル−4−キノリンカルボン酸、4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、6−メトキシ−4−キノリンカルボン酸等の化合物が挙げられる。
有機酸としては、望ましくは、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩である。より望ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩である。さらに望ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、若しくは、これらの化合物誘導体、又は、これらの塩である。
有機アミン化合物としては、1級、2級、3級及び4級アミン及びそれらの塩のいずれであっても構わない。具体例としては、テトラアルキルアンモニウム、アルキルアミン、ベンザルコニウム、アルキルピリジウム、イミダゾリウム、ポリアミン、及び、それらの誘導体、又は、塩等が挙げられる。具体的には、アミルアミン、ブチルアミン、プロパノールアミン、プロピルアミン、エタノールアミン、エチルエタノールアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチルメチルアミン、エチルベンジルアミン、エチレンジアミン、オクチルアミン、オレイルアミン、シクロオクチルアミン、シクロブチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジ2−エチルヘキシルアミン、ジエチレントリアミン、ジフェニルアミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、ジヘキシルアミン、ジペンチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルエチレンジアミン、ジメチルオクチルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ジメチルヘキシルアミン、アミノ−ブタノール、アミノ−プロパノール、アミノ−プロパンジオール、N−アセチルアミノエタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)−エタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチルアミン、セチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリイソペンチルアミン、トリエタノールアミン、トリオクチルアミン、トリチルアミン、ビス(2−アミノエチル)1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ビス(トリメチルシリル)アミン、ブチルアミン、ブチルイソプロピルアミン、プロパンジアミン、プロピルジアミン、ヘキシルアミン、ペンチルアミン、2−メチル−シクロヘキシルアミン、メチル−プロピルアミン、メチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、ラウリルアミン、ノニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレシジアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムク口ライド、ステアラミドメチルビリジウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン重合体、モノアリルアミン重合体等が挙げられる。
より望ましくは、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン、プロパンジアミン、プロピルアミンなどが使用される。
これら凝集剤の中でも、多価金属塩(Ca(NO)、Mg(NO)、Al(OH)、ポリ塩化アルミニウム等が好適に用いられる。
凝集剤は単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。また、凝集剤の含有量としては、0.01質量%以上30質量%以下の範囲が挙げられる。
また、硬化性溶液には、上記硬化反応に寄与する主成分(モノマー、マクロマー、オリゴマー、及びプレポリマー、重合開始剤等)を溶解又は分散するための有機溶媒を含んでいてもよい。但し、当該主成分の比率が例えば30質量%以上、望ましくは60質量%以上、より望ましくは90質量%以上の範囲が挙げられる。
また、硬化性溶液は、硬化後の層を着色制御を行う目的で各種色材を含んでいてもよい。
また、硬化性溶液の粘度は、5mPa・s以上10000mPa・s以下が望ましく、より望ましくは10mPa・s以上1000mPa・s以下、さらに望ましくは15mPa・s以上500mPa・s以下の範囲が挙げられる。また、硬化性溶液の粘度は、インクの粘度よりも高いことがよい。
硬化性溶液は、前述の第一実施態様から第三実施態様に示される記録装置において用いられるのが、効果発現の点で良好であるが、特に非浸透記録媒体へ記録する場合、記録媒体上に直接硬化性溶液を塗布し、記録媒体上に形成された被硬化層上に記録剤を含むインクを吐出し、前記被硬化層を硬化させる刺激を供給し、被硬化層を硬化させ画像形成してもよい。
以下、上記実施形態に適用されるインクについて説明する。
インクとしては、溶媒として水性溶媒を含む水性インク、溶媒として油性溶媒を含む油性インクのいずれも使用される。本実施形態においては、水性インク又は油性インクを用い、記録媒体として非浸透媒体を用いた場合でも、ヒーター等により溶媒を揮発させることなく良い画像定着性が得られる。
また、インクとしては、紫外線硬化型インクも使用される。紫外線硬化型インクを用いることにより、耐久性の高い画像が形成される。
水性インクとしては、例えば、記録材として水溶性染料又は顔料を水性溶媒に分散又は溶解したインクが挙げられる。また、油性インクとしては、例えば、記録材として油溶性染料を油性溶媒に溶解したインク、記録材として染料又は顔料を逆ミセル化して分散したインクが挙げられる。
油性インクを用いる場合は、低揮発性又は不揮発性の溶媒を用いた油性インクを用いることが望ましい。油性インクの溶媒が低揮発性又は不揮発性であることにより、ヘッドノズル端部において、溶媒揮発によるインク状態変化が起きにくいため、ヘッドノズル耐目詰まり性が良い。また油性インクの溶媒が低揮発性又は不揮発性であることにより、インク滴を受容した被硬化層が記録媒体に転写された後に、油性インクの溶媒が記録媒体に浸透しても、カール・カックルが生じにくい。さらに油性インクの溶媒は、カチオン硬化性のものであってもよい。
まず、記録材について説明する。記録材としては、主に色材が挙げられる。色材としては、染料、顔料のいずれも用いられるが、耐久性の点で顔料であること望ましい。顔料としては有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料ではファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。また、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
また、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等を顔料として使用する方法もある。
黒色顔料の具体例としては、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シアン色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
黄色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、色材として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが望ましい。使用される顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、縮合系重合体と付加重合体とが使用される。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いられる。
親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
高分子分散剤として用いられる、望ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
上記高分子分散剤としては、例えば重量平均分子量で2000乃至50000のものが挙げられる。
これら顔料分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。顔料分散剤の添加量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、一般に顔料に対し、合計で0.1乃至100質量%が挙げられる。
色材として水に自己分散可能な顔料も用いられる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
また、水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、Cab−o−jet−260M、Cab−o−jet−250C、Cab−o−jet−270Y、Cab−o−jet−1027R、Cab−o−jet−554B、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用される。
自己分散顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料であることが望ましい。より望ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料である。
更に、樹脂により被覆された顔料等も使用される。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料だけでなく、本発明のために試作されたマイクロカプセル顔料等も使用される。
また、高分子物質を上記顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も用いられる。
記録材としては、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェライトやマグネタイトに代表される強磁性体等の磁性体類、酸化チタン、酸化亜鉛に代表される半導体や光触媒類、その他有機、無機の電子材料粒子類などが挙げられる。
記録材の含有量(濃度)は、例えばインクに対して5乃至30質量%の範囲が挙げられる。
記録材の体積平均粒径は、例えば10nm以上1000nm以下の範囲が挙げられる。
記録材の体積平均粒径とは、記録材そのものの粒径、又は記録材に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒度分析計 9340 (Leeds&Northrup社製)を用いた。その測定は、インク4mlを測定セルに入れ、所定の測定法に従って行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度は記録材の密度とした。
次に水性溶媒について説明する。水性溶媒としては、水が挙げられ、特にイオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することがよい。また、水性溶媒と共に、水溶性有機溶媒を用いてもよい。水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
水溶性有機溶媒の具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール類、キシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類等が挙げられる。
多価アルコール類誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も用いられる。
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用してもよい。水溶性有機溶媒の含有量としては、例えば1質量%以上70質量%以下の範囲が挙げられる。
次に、油性溶媒について説明する。油性溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、グリコール類、含窒素溶媒、植物油等の有機溶媒が使用される。脂肪族炭化水素の例として、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルヘキサン、n−オクタン、メチルヘプタン、ジメチルヘキサン、ノナン、デカン等が挙げられ、アイソパーなどのn−パラフィン系溶剤、iso−パラフィン系溶剤、シクロパラフィン系溶剤などのパラフィン系溶剤でも構わない。また、芳香族炭化水素としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル等が挙げられる。エーテル類としては、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエータル等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。その他、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル等のグリコール誘導体を溶媒として用いても良い。植物油としては、乾性油、半乾性油、不乾性油などが挙げられる。乾性油としては、荏の油、アマニ油、桐油、ケシ油、くるみ油、紅花油、ひまわり油などが挙げられ、半乾性油としては菜種油、不乾性油としては、ヤシ油が挙げられる。上記溶媒は単独もしくは二種以上併用しても良い。
次に、その他の添加剤について説明する。インクには、その他、必要に応じて、界面活性材が添加される。
これら界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、望ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が用いられる。
以下、界面活性剤の具体例を列挙する。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が使用でき、望ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等が用いられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物等が挙げられ、望ましくは、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物が用いられる。
その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用される。
これらの界面活性剤は単独で使用しても混合して使用してもよい。また界面活性剤の親水性/疎水性バランス(HLB)は、溶解性等を考慮すると例えば3乃至20の範囲が挙げられる。
これらの界面活性剤の添加量は、例えば0.001乃至5質量%、望ましくは0.01乃至3質量%の範囲が挙げられる。
また、インクには、その他、浸透性を調整する目的で浸透剤、インク吐出性改善等の特性制御を目的でポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調整するために水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加される。
次に、インクの好適な特性について説明する。まず、インクの表面張力は、例えば20乃至45mN/mの範囲が挙げられる。
ここで、表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
インクの粘度は、1.5mPa・s以上30mPa・s以下、望ましくは1.5mPa・s以上20mPa・s以下の範囲が挙げられる。ヘッド吐出性の観点からは、インクの粘度は20mPa・s以下が望ましい。また、インクの粘度は、上記硬化性溶液の粘度に比べ低いことがよい。
ここで、粘度としては、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定した値を採用した。
なお、インクは、上記構成に限定されるものではない。記録材以外に、例えば、液晶材料、電子材料など機能性材料を含むものであってもよい。
以上、実施形態においては、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ヘッド14から画像データに基づいて選択的にインク滴14Aが吐出されてフルカラーの画像が記録媒体Pに記録されるようになっているが、記録媒体上への文字や画像の記録に限定されるものではない。すなわち、工業的に用いられる液滴吐出(噴射)装置全般に対して、本発明に係る装置が適用される。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
上記第1実施形態と同様な構成の記録装置(図1及び図2参照)を用いて、溶液供給装置により硬化性溶液を中間転写ドラムに供給して被硬化層を形成し、その被硬化層上に記録ヘッドにより各インクを吐出して画像を形成した。そして、転写装置により記録媒体へ被硬化層を転写した後、刺激供給装置により刺激を供給し被硬化層を硬化させて、プリントし、評価を行った。条件は以下の通りである。
・中間転写ドラム:外径500mmの鋼製パイプにフッ素系樹脂を被覆したもの(ドラム(プロセス速度):400mm/s)
・溶液供給装置:グラビアロールコーター(被硬化層の層厚10μm)
・各記録ヘッド:ピエゾ方式の記録ヘッド(解像度解像度600dpi(dpi:1インチ当たりのドット数、以下同様である))
・転写装置(加圧ロール):径30mmの鋼製パイプにフッ素系樹脂を被覆したもの(中間転写ドラムに対する押し当て力:線圧3kgf/cm)
・刺激供給装置:高圧水銀ランプ(紫外線照射強度80W/cm)
・記録媒体:アート紙(OK金藤)、普通紙(FX−P紙(富士ゼロックス社製)の2種
また、硬化性溶液、各色のインクは、以下のように作製したものを用いた。
−硬化性溶液1(カチオン硬化性液体薄層材料)−
・(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル−3,4−エポキシシクロへキサンカルボキシレート: 60質量部
・1−メチル−4−2−メチルオキシラニル7−オキサビシクロ4.1.0ヘプタン、 30質量部
上記組成に対し、トリアリールスルフォニウムヘキサフルオロホスフェイト(光重合開始剤)2質量部を加え、4−ビニルシクロヘキセン−1.2−エポキシドを加え粘度を120mPa・sになるように調整して、「硬化性溶液1」とした。
−ブラックインク1−
・Bk顔料分散液(カーボンブラックにソルスパース13940(noveon社製:分散剤)を加え、アイソパーLに分散)(顔料濃度15質量%): 40質量部
・アイソパーL(エクソンモービル社製): 20質量部
・オレイン酸エチル 26質量部
上記組成にアイソパーG(エクソンモービル社製)及びオレイルアルコール5質量部を加えて、粘度調整し「ブラックインク1」とした。粘度は6.5mPa・sであった。
−シアンインク1−
・Cyan顔料分散液(フタロシアニン顔料にソルスパース16000(noveon社製:分散剤)を加え、アイソパーMに分散)(顔料濃度10質量%): 50質量部
・アイソパーM(エクソンモービル社製): 20質量部
・大豆油: 20質量部
上記組成にアイソパーG及びオレイルアルコール8質量部を加えて、粘度調整し「シアンインク1」とした。粘度は7.5mPa・sであった。
−マゼンタインク1−
・Magenta顔料分散液(キナクリドン顔料にソルスパース34750(noveon社製:分散剤)を加え、アイソパーMに分散)(顔料濃度15質量%): 30質量部
・アイソゾール(新日本石油社製): 12質量部
・大豆油エチル: 15質量部
・オレイルアルコール: 30質量部
上記組成にアイソパーG及びオレイルアルコール10質量部を加えて、粘度調整し「マゼンタインク1」とした。粘度は8.8mPa・sであった。
−イエローインク1−
・Yellow顔料分散液(Pigment Yellow 74にDisperbyk−101(ビックケミー社製:分散剤)を加え、アイソパーGに分散)(顔料濃度18質量%): 25質量部
・アイソパーM(エクソンモービル社製): 40質量部
・オレイン酸ブチル: 15質量部
上記組成にアイソパーG及びオレイルアルコール5質量部を加えて、粘度調整し「イエローインク1」とした。粘度は6.7mPa・sであった。
「硬化性溶液1」を、グラビアロールコーターによりドラム上に塗布し、膜厚8μmの「液体薄層1」を形成後、上記4種のインクをそれぞれピエゾヘッド(解像度600dpi)にて「液体薄層1」上に印字し、さらにアート紙(OK金藤)及び普通紙(FX−P紙富士ゼロックス社製)に転写した。その後、転写されたアート紙及び普通紙に対し、80W/cmの高圧水銀ランプでUV照射を行った。
(比較例1)
実施例1と同様の各インクを用い、各記録ヘッドにより直接アート紙(OK金藤)及び普通紙(FX−P紙富士ゼロックス社製)上にインクを吐出して画像を形成し、転写工程及びUV照射工程は行わなかった。
(比較例2)
硬化性材料を含む硬化性溶液を中間転写ドラムへ供給せず、インクを直接中間転写ドラム上に吐出して画像を形成した後、アート紙(OK金藤)及び普通紙(FX−P紙富士ゼロックス社製)上に転写を行い、UV照射工程を行わなかった以外は、実施例1と同様に印字を行った。
(実施例2)
−硬化性溶液2(カチオン硬化性液体薄層材料)−
実施例1で調整した「硬化性溶液1」50質量部に、吸水材料として架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩を50質量部を加え、「硬化性溶液2」とした。
−ブラックインク2−
・カーボンブラック 5質量部
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸ブチルエステル共重合体 1.5質量部
・グリセリン 25質量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量部
・オキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
上記組成を混合し、さらに純水60質量部および水酸化ナトリウム0.1質量部を加えて、「ブラックインク2」を得た。
−シアンインク2−
・銅フタロシアニン顔料 4質量部
・エチルメタクリレート−アクリル酸共重合体 2質量部
・ジエチレングリコール 15質量部
・グリセリン 15質量部
・テトラメチルデシンジオールオキシエチレン付加物 2質量部
・1,3−ブタンジオール 4質量部
上記組成を混合し、さらに純水58質量部および水酸化ナトリウム0.15質量部を加えて、「シアンインク2」を得た。
−マゼンタインク2−
・マゼンタ顔料(C.I.Pigment Red 122) 6質量部
・スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチルヘキシルエステル共重合体 4質量部
・エチレングリコール 10質量部
・グリセリン 15質量部
・プロピレングリコール 5質量部
・テトラメチルデシンジオールオキシエチレン付加物 2.5質量部
上記組成を混合し、さらに純水65質量部および水酸化ナトリウム0.1質量部を加えて、「マゼンタインク2」を得た。
−イエローインク2−
・Yellow顔料(C.I.Pigment Yellow 74) 5質量部
・スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチルエステル共重合体 3質量部
・ジエチレングリコール 15質量部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8質量部
・1,2−ヘキサンジオール 5質量部
・オキシエチレンラウリルエーテル 0.5質量部
上記組成を混合し、さらに純水62質量部および水酸化ナトリウム0.05質量部を加えて、「イエローインク2」を得た。
「硬化性溶液1」の代わりに「硬化性溶液2」を用い、「ブラックインク1」、「シアンインク1」、「マゼンタインク1」、「イエローインク1」の代わりにそれぞれ「ブラックインク2」、「シアンインク2」、「マゼンタインク2」、「イエローインク2」を用いた以外は、実施例1と同様にして印字を行った。
(実施例3)
−硬化性溶液3(カチオン硬化性液体薄層材料)−
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン 40質量部
・1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン 30質量部
・ポリノルボルネン(多孔質、吸油材料) 30質量部
上記組成に対し、IRGACURE 250(光重合開始剤)を加え、4−ビニルシクロヘキセン−1.2−エポキシドで、粘度を90mPa・sになるように調整して、「硬化性溶液3」とした。
「硬化性溶液1」の代わりに上記「硬化性溶液3」を用いた以外は実施例1と同様の工程で印字を行った。
(参考例1)
−硬化性溶液A(ラジカル硬化性液体薄層材料)−
・ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート 50重量部
・グリセリンプロポキシトリアクリレート 30重量部
上記組成に対し、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(ラジカル光重合開始剤)およびPEG300ジアクリレートを加え、粘度を250mPa・sに調整した。
「硬化性溶液1」の代わりに上記「硬化性溶液A」を用いた以外は実施例1と同様の工程で印字を行った。
実施例1から実施例3まで、比較例1から比較例2まで、及び参考例1の評価は、以下のようにして行った。
−乾燥性の評価−
印字を行った後の乾燥速度を測定した。具体的には、印字画像の上からコート(ハイグレードGCAA0002 富士ゼロックス社製)紙を重ね、更に上から100g/cmの荷重をかけて、重ねた紙にインクが転写されなくなるまでの時間を測定した。評価基準は以下の通りであり、G1又はG2であれば実用上問題ない。その結果を表1に示す。
G1:印字後1秒未満
G2:印字後1秒以上2秒未満
G3:印字後2秒以上5秒未満
G4:印字後5秒以上
−滲みの評価−
得られた印字物の文字部について、目視により評価を行った。評価基準は以下の通りであり、G1又はG2であれば実用上問題ない。その結果を表1に示す。
G1:文字の滲みは認められなかった。
G2:文字の滲みが若干認められたが実用上問題ない。
G3:文字の滲みが著しかった。
−定着性の評価−
印字1分後に画像部を指で擦り、指の汚れを判断し、定着性を判別した。評価基準は以下の通りであり、G1又はG2であれば実用上問題ない。その結果を表1に示す。
G1:汚れがない
G2:わずかに汚れがある
G3:汚れがある。
−耐光性の評価−
印字を終了して24時間後にキセノンランプを12時間照射し、照射前後の退色度合いを官能評価した。評価基準は以下の通りであり、G1又はG2であれば実用上問題ない。その結果を表1に示す。
G1:まったく退色しなかった。
G2:僅かに退色した
G3:退色が著しかった。
−耐ガス性の評価−
100%カバレッジパターンを印字させた印字物を作成し、その印字物をオゾン濃度1.0ppmの条件下で24時間暴露させた。暴露後の印字物の光学濃度を、X−rite 404にて測定した。評価基準は以下の通りであり、G1又はG2であれば実用上問題ない。その結果を表1に示す。
G1:初期光学濃度に対する暴露後の光学濃度の比率が90%以上
G2:初期光学濃度に対する暴露後の光学濃度の比率が80%以上
G3:初期光学濃度に対する暴露後の光学濃度の比率が80%未満
−印字直後カール評価−
記録用紙を23℃、50%RHの環境に8時間以上放置して調湿し、はがきサイズ(100×148mm)に裁断したサンプルに、余白を5mm取ってマゼンタ100%ベタ画像を印字し、印字後に装置から排出された直後に発生する印字面とは逆のハンギングカール発生量をノギスにより測定した。得られた測定値はカール曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りであり、G1又はG2であれば実用上問題ない。その結果を表1に示す。
G1:20m−1未満
G2:20m−1以上35m−1未満
G3:35m−1以上50m−1未満
G4:50m−1以上
−印字直後カックル評価−
はがきサイズ(100×148mm)に裁断した記録用紙に2cm×2cmのマゼンタ100%ベタ画像をはがきの中央に印字し、印字直後に発生する波打ちの最大高さをレーザー変位計(キーエンス社製、LK085)にて測定した。評価基準は以下の通りであり、G1又はG2であれば実用上問題ない。その結果を表1に示す。
G1:1.5mm未満
G2:1.5mm以上2mm未満
G3:2mm以上3mm未満
G4:3mm以上
−放置乾燥後カール評価−
23℃、50%RHの環境に8時間以上調湿したはがきサイズの記録紙に余白を5mm取り、マゼンタ100%ベタ画像を印字し、23℃、50%RHの環境に印字面を上に平置きに放置し、印字後50時間放置した後に発生するハンギングカール発生量を印字直後カール評価と同様にして測定した。得られた測定値はカール曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りであり、G1又はG2であれば実用上問題ない。その結果を表1に示す。
G1:20m−1未満
G2:20m−1以上35m−1未満
G3:35m−1以上50m−1未満
G4:50m−1以上
−放置乾燥後カックル評価−
はがきサイズ(100×148mm)に裁断した記録用紙に2cm×2cmのマゼンタ100%ベタ画像をはがきの中央に印字し23℃、50%RHの環境に印字面を上に平置きに放置し、印字後50時間放置した後に発生する波打ちの最大高さを、印字直後のカックル評価と同様にして測定した。評価基準は以下の通りであり、G1又はG2であれば実用上問題ない。その結果を表1に示す。
G1:1.5mm未満
G2:1.5mm以上2mm未満
G3:2mm以上3mm未満
G4:3mm以上
Figure 0004466704
(実施例4)
−硬化性溶液4(カチオン硬化性液体薄層材料)−
・3‐オキシラニル‐7‐オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン 15質量部
・オクタメチレンジオキシラン 25質量部
・テレフタル酸ビス[(3‐エチルオキセタン‐3‐イル)メチル] 35質量部
・スチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸ナトリウム塩共重合体(吸水材料) 25質量部
上記組成に対し、4‐(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(光重合開始剤)を加え、4−ビニルシクロヘキセン−1.2−エポキシドで、粘度を90mPa・sになるように調整して、「硬化性溶液4」とした。
−ブラックインク4−
・Cab−o−jet−300(自己分散顔料分散液) 30質量部
グリセリン 15質量部
ジエチレングリコール 15質量部
・サーフィノール 465 1.0質量部
上記組成を混合し、さらに純水40質量部を加えて、「ブラックインク4」を得た。
−シアンインク4−
・Cab−o−jet−250C (自己分散顔料分散液) 35質量部
・ジエチレングリコール 12質量部
・テトラエチレングリコール 10質量部
・1,2−ヘキサンジオール 4質量部
1,3−ブタンジオール 4質量部
サーフィノール 440 0.7質量部
サーフィノール 485 0.8質量部
上記組成を混合し、さらに純水37質量部を加えて、「ブラックインク4」を得た。
−マゼンタインク4−
・Cab−o−jet−260M (自己分散顔料分散液) 50質量部
・エチレングリコール 8質量部
・グリセリン 15質量部
・プロピレングリコール 3質量部
・テトラメチルデシンジオールオキシエチレン付加物 2.5質量部
上記組成を混合し、さらに純水25質量部を加えて、「マゼンタインク4」を得た。
−イエローインク4−
・Cab−o−jet−270Y (自己分散顔料分散液) 45質量部
・ジエチレングリコール 15質量部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8質量部
・1,3−ブタンジオール 4質量部
・オキシエチレンステアリルエーテル 0.9質量部
上記組成を混合し、さらに純水28質量部を加えて、「イエローインク4」を得た。
「硬化性溶液1」の代わりに「硬化性溶液4」を用い、「ブラックインク1」、「シアンインク1」、「マゼンタインク1」、「イエローインク1」の代わりにそれぞれ「ブラックインク4」、「シアンインク4」、「マゼンタインク4」、「イエローインク4」を用いた以外は、実施例1と同様にして印字を行った。
(比較例3)
実施例4と同様の各インクを用い、各記録ヘッドにより直接アート紙(OK金藤)及び普通紙(FX−P紙富士ゼロックス社製)上に吐出して画像を形成し、転写工程及びUV照射工程は行わなかった。
(実施例5)
「硬化性溶液4」を中間転写ドラムへ供給するかわりに、グラビアロールコーターによりアート紙(OK金藤)上に塗布し、膜厚10μmの「液体薄層4」を形成後、実施例4と同様のインクをそれぞれピエゾヘッド(解像度600dpi)にて「液体薄層4」上に印字し、画像を形成した後、アート紙に対し、80W/cmの高圧水銀ランプでUV照射を行った。
以上の実施例4から実施例5まで、および比較例3の評価は、前述の実施例1〜3、比較例1〜2、参考例1と同様にして行った。
結果を表2に示す。
Figure 0004466704
以上の実施例、比較例、及び参考例の結果から、実施例は比較例に比べ、非浸透媒体及び浸透媒体を問わず多様な記録媒体に対して画像が形成され、かつ、カール・カックルが抑制されることがわかる。また実施例は、参考例に比べ、カール・カックルが抑制されることがわかる。
第1実施形態に係る記録装置を示す構成図である。 第2実施形態に係る記録装置を示す構成図である。 第3実施形態に係る記録装置を示す構成図である。
符号の説明
10 中間転写ドラム
12 溶液供給装置
12A 硬化性溶液
12B 被硬化層
12C 筐体
12D 供給ローラ
12E ブレード
14 インクジェット記録ヘッド
16 転写装置
16A 加圧ロール
16B 加圧ロール
18 刺激供給装置
20 クリーニング装置
22 中間転写ベルト
22A 支持ロール
24 第2の刺激供給装置
101 記録装置
102 記録装置
103 記録装置

Claims (10)

  1. 中間転写体と、
    外部からの刺激によってカチオン硬化反応により硬化するカチオン硬化性材料を含む硬化性溶液を前記中間転写体上に供給する供給手段と、
    前記中間転写体上に供給された前記硬化性溶液により形成された被硬化層に記録材を含むインクを吐出する吐出手段と、
    前記インクが吐出された前記被硬化層を前記中間転写体から記録媒体に転写する転写手段と、
    前記被硬化層を硬化させる刺激を供給する刺激供給手段と、
    を有する記録装置。
  2. 前記カチオン硬化性材料が、紫外線の照射によってカチオン硬化反応により硬化する紫外線カチオン硬化性材料であり、且つ前記刺激供給手段が前記被硬化層に紫外線を照射する紫外線照射手段である請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記カチオン硬化性材料が、電子線の照射によってカチオン硬化反応により硬化する電子線カチオン硬化性材料であり、且つ前記刺激供給手段が前記被硬化層に電子線を照射する電子線照射手段である請求項1に記載の記録装置。
  4. 前記中間転写体が、中間転写ベルトである請求項1から3までのいずれか1項に記載の記録装置。
  5. 前記中間転写体が、中間転写ドラムである請求項1から3までのいずれか1項に記載の記録装置。
  6. 前記中間転写体上に形成され前記インクが吐出された前記被硬化層が、半硬化した状態で前記記録媒体に転写される請求項1から5までのいずれか1項に記載の記録装置。
  7. 前記インクが、油性インクである請求項1から6までのいずれか1項に記載の記録装置。
  8. 前記被硬化層が、吸油材料を含む請求項7に記載の記録装置。
  9. 前記インクが、水性インクである請求項1から6までのいずれか1項に記載の記録装置。
  10. 前記被硬化層が、吸水材料を含む請求項9に記載の記録装置。
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