JP3986143B2 - シリコーン含有ポリイミド樹脂およびシリコーン含有ポリアミック酸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシリコーン含有ポリイミド樹脂およびシリコーン含有ポリアミック酸に関し、詳しくは、優れた撥水性,密着性を有するシリコーン含有ポリイミド樹脂および該ポリイミド樹脂の原料となるシリコーン含有ポリアミック酸に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド樹脂は機械特性,耐熱性等に優れていることから、成形材料,フィルム,コーティング剤として広く使用されている。しかしこのポリイミド樹脂は、成形加工性,撥水性,可とう性,溶剤溶解性に劣るという欠点を有している。これを改良するために、ソフトセグメントとして分子鎖両末端にアミノ基を有するポリオルガノシロキサンを共重合させる方法が提案されている(特開平4−36321号公報参照)。しかしこのようにして得られたシリコーン含有ポリイミド樹脂は、ポリオルガノシロキサン鎖が共重合体の分子骨格の一部となっているためにその自由度が限定され、十分な改質効果が得られないという問題点があった。これを改良すべく、ポリオルガノシロキサン鎖を側鎖にグラフト結合させたシリコーン含有ポリイミド樹脂が提案されている(特開平1−204931号公報参照)。しかしこのシリコーン含有ポリイミド樹脂であっても、ポリオルガノシロキサン鎖の運動の自由度はまだなお不十分であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の化学構造を有するポリオルガノシロキサンを共重合させることにより上記問題点を解決できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の目的は、優れた撥水性,密着性を有するシリコーン含有ポリイミド樹脂および該ポリイミド樹脂の原料となるシリコーン含有ポリアミック酸を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記構造式(1)で表わされる構成単位0.1〜35モル%と構造式(2)で表わされる構成単位99.9〜65モル%なるシリコーン含有ポリイミド樹脂、および
構造式(1):
【化11】
(式中、Ar1は下記式で示される4価の有機基から選択される基であり、
【化12】
Rはアルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、Xは炭素原子数2以上のアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基であり、Yは炭素原子数2以上のアルキレン基,アルキレンオキシアルキレン基または酸素原子であり、l,mおよびnは1〜10の整数であり、pは1〜80の整数であり、aは0または1である。)
構造式(2):
【化10】
(式中、Ar2は下記式で示される4価の有機基から選択される基であり、
【化12】
Ar3は下記式で示される2価の有機基から選択される基である。
【化10】
)、下記構造式(A)で表わされる構成単位0.1〜35モル%と構造式(B)で表わされる構成単位99.9〜65モル%からなるシリコーン含有ポリアミック酸に関する。
構造式(A):
【化11】
(式中、Ar1,R,X,Y,l,m,n,pおよびaは前記と同じである。Zは水素原子または式:−SiR3(式中、Rは前記と同じである。))
構造式(B):
【化12】
(式中、Ar2およびAr3は前記と同じである。)
【0005】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂について説明する。
本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂は、下記構造式(1)および(2)で表わされる構成単位から構成される。
構造式(1):
【化13】
構造式(2):
【化14】
上式中、Ar1およびAr2は下記式で示される4価の有機基から選択される基である。
【化12】
Ar3は下記式で示される2価の有機基から選択される基である。
【化10】
Rはアルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基,トリル基,キシリル基等のアリール基;ベンジル基,フェネチル基等のアラルキル基が例示される。Xは炭素原子数2以上のアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基であり、具体的には、エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ペンチレン基,ヘキシレン基,エチレンオキシプロピレン基,エチレンオキシブチレン基が例示される。Yは炭素原子数2以上のアルキレン基,アルキレンオキシアルキレン基または酸素原子であり、アルキレン基およびアルキレンオキシアルキレン基としてはXと同様の基が挙げられる。l,mおよびnは1〜10の整数であるが、1〜5であることが好ましい。pは1〜80の整数であるが、1〜60であることが好ましい。これは、pが80を越えると、このシリコーン含有ポリイミド樹脂を製造する際に原料の相溶性が低下して反応溶液が白濁し、その結果、反応が十分に進行しないためである。尚、このpは平均値であるので、本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂は、複数の相異なるpを含有する樹脂の混合物でもよい。aは0または1である。本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂において、上記構成単位の共重合比率は、構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位=0.1〜35:99.9〜65モル%の範囲であり、好ましくは1〜35:99〜65モル%の範囲である。またこのシリコーン含有ポリイミド樹脂の25℃における形態は固体状または溶媒に溶解させた液状である。特にその固有粘度(N−メチルピロリドン溶液の25℃における測定値)は、通常、0.1〜3.0dl/gの範囲であり、好ましくは、0.2〜2.0dl/gの範囲である。
【0006】
本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂は、例えば、下記構造式(A)で表わされる構成単位0.1〜35モル%と構造式(B)で表わされる構成単位99.9〜65モル%からなる本発明のシリコーン含有ポリアミック酸を、加熱脱水環化してイミド化することにより製造できる。
構造式(A):
【化20】
構造式(B):
【化21】
上式中、Ar1,Ar2,Ar3,R,X,Y,l,m,n,pおよびaは前記と同じである。Zは水素原子または式:−SiR3(式中、Rは前記と同じである。)で表されるシリル基である。加熱脱水環化する方法としては、該ポリアミック酸の溶液を直接基材に塗布して加熱処理してフィルム状にする方法や、該ポリアミック酸に水と相溶しない非極性の有機溶媒を配合して共沸脱水を行った後、生成した水を除去してから基材に塗布して加熱処理する方法が挙げられる。このシリコーン含有ポリアミック酸の固有粘度(N−メチルピロリドン溶液の25℃における測定値)は、通常、0.1〜3.0dl/gの範囲であり、好ましくは、0.2〜2.0dl/gの範囲である。
【0007】
本発明のシリコーン含有ポリアミック酸は、例えば、下記構造式(C)で表されるテトラカルボン酸2無水物と、構造式(D)および(E)で表される2価アミン系化合物とを重合させることにより製造することができる。
構造式(C):
【化22】
構造式(D):
【化23】
構造式(E);H2N−Ar5−NH2
上式中、Ar4は下記式で示される4価の有機基から選択される基であり、
【化9】
前記Ar1およびAr2と同じ基である。
Ar5は下記式で示される2価の有機基から選択される基であり、
【化10】
前記Ar3と同じ基である。R,X,Y,Z,l,m,n,pおよびaは前記と同じである。
【0008】
上記構造式(C)で表されるテトラカルボン酸2無水物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【化24】
【0009】
上記構造式(D)で表されるシリコーン系2価アミン系化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。下式中、Meはメチル基を意味し、Buはブチル基を意味している。
【化26】
このシリコーン系2価アミン系化合物は、例えば、式:
【化27】
(式中、R,Y,p,nおよびaは前記と同じである。)で表されるポリオルガノシロキサンとトリメチルシリルアリルアミンとを白金系触媒の存在下で付加反応させた後、脱トリメチルシリル化することにより製造することができる(特開平4−323222号公報参照)。
【0010】
上記構造式(E)で表される2価アミン系化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【化28】
【0011】
上記構造式(C)で表されるテトラカルボン酸2無水物と構造式(D)および(E)で表される2価アミン系化合物との重合反応は従来周知の方法で行うことができる。例えば、該テトラカルボン酸2無水物と2価アミン系化合物とを極性溶媒中で、低温度条件下、例えば0〜80℃の範囲で反応させる。このときの添加順序は特に限定されないが、例えば、テトラカルボン酸2無水物を極性溶媒中に投入し、次いで構造式(D)で表されるシリコーン系2価アミン系化合物を加えて反応させた後、構造式(E)で表される2価アミン系化合物をそのまま、または極性溶媒溶液として投入して反応させる方法が好ましい。上記反応において使用される極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,ジメチルスルホキシド,テトラヒドロフラン等またはそれらの混合物が用いられる。またこれらの不活性溶媒に加えて、構造式(D)で表されるシリコーン系2価アミン系化合物の溶解性を高める目的で、非極性の溶媒、例えば、トルエン,キシレン等を適宜加えてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲であれば、さらに下記構造式(F)で表されるシリコーン系2価アミン系化合物を加えてもよい。
構造式(F):
【化30】
上式中、Rおよびpは前記と同じであり、Wは炭素原子数2以上の置換もしくは非置換の2価炭化水素基である。さらに、末端停止剤あるいは分子量調節剤として、無水フタル酸等の2価カルボン酸無水物やアニリン等の1価アミン系化合物を使用してもよい。
【0012】
以上のような本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂はポリイミド樹脂本来の優れた機械特性や耐熱性を有し、かつ、撥水性,密着性,溶剤溶解性,可とう性,成形加工性が良好であるという利点を有する。このため、本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂は、コーテイング用,フィルム用,成形用,接着剤として好適に使用される。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明する。実施例中、粘度は25℃における測定値であり、Meはメチル基を意味している。
【0014】
【実施例1】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物16.11gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いで室温下、乾燥した式:
【化31】
で表されるシリコーン系2価アミン系化合物19.70gを滴下した。滴下終了後、室温下で1時間攪拌した。次いでこれに、2,2−ビス(2−ジアミノフェノキシフェニル)プロパン13.42gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解したものを、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A)および(B)で表される構成単位からなるシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化32】
上記構造式(A)で表される構成単位:構造式(B)で表される構成単位の共重合比(モル%)は35:65であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、0.32dl/gであった。
このシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をテフロン基板上に塗布して、窒素気流下で100℃から180℃まで徐々に加熱してフィルムを作成した。次いでこのフィルムをテフロン板からはがしてガラス支持台上に移し、窒素気流下で200℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)および(2)で表される構成単位からなるフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂を得た。
【化33】
上記構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位の共重合比(モル比)は35:65であった。
このようにして得られたシリコーン含有ポリイミド樹脂フィルムは均一な黄褐色透明であった。またその水に対する接触角を接触角計を用いて測定したところ、110度であった。
【0015】
【実施例2】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3,4,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物16.11gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いで室温下、乾燥した式:
【化34】
で表されるシリコーン系2価アミン系化合物3.92gを滴下した。滴下終了後、室温下で1時間攪拌した。次いでこれに、2,2−ビス(2−ジアミノフェノキシフェニル)プロパン19.11gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解したものを、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A)および(B)で表される構成単位からなるシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化35】
上記構造式(A)で表される構成単位:構造式(B)で表される構成単位の共重合比(モル%)は7:93であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、0.45dl/gであった。
このシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をテフロン基板上に塗布して、窒素気流下で100℃から180℃まで徐々に加熱してフィルムを作成した。次いでこのフィルムをテフロン板からはがしてガラス支持台上に移し、窒素気流下で200℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)および(2)で表される構成単位からなるフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂を得た。
【化36】
上記構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位の共重合比(モル比)は7:93であった。
このようにして得られたフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂の水に対する接触角を接触角計を用いて測定し、引張弾性率を引張試験機を用いて測定した。また、このシリコーン含有ポリイミド樹脂フィルムを2枚の鉄板間に挟み、加熱プレスを用いて300℃〜350℃の条件下で加熱圧着した。このようにして作成した接着体を引張り試験機を用いて剥がし、その接着強度を測定した。これらの結果を表1に示し、総合評価を併記した。
【0016】
【実施例3】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物16.11gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いで室温下、乾燥した式:
【化37】
で表されるシリコーン系2価アミン系化合物3.97gを滴下した。滴下終了後、室温下で1時間攪拌した。次いでこれに、2,2−ビス(2−ジアミノフェノキシフェニル)プロパン19.58gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解したものを、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A)および(B)で表される構成単位からなるシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化38】
上記構造式(A)で表される構成単位:構造式(B)で表される構成単位の共重合比(モル比)は5:95であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、0.42dl/gであった。
このシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をテフロン基板上に塗布して、窒素気流下で100℃から180℃まで徐々に加熱してフィルムを作成した。次いでこのフィルムをテフロン板からはがしてガラス支持台上に移し、窒素気流下で200℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)および(2)で表される構成単位からなるフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂を得た。
【化39】
このようにして得られたフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂の水に対する接触角,引張弾性率および接着強度を実施例2と同様にして測定した。これらの結果を表1に示し、総合評価を併記した。
【0017】
【実施例4】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物16.11gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いで室温下、乾燥した式:
【化40】
で表されるシリコーン系2価アミン系化合物3.90gを滴下した。滴下終了後、室温下で1時間攪拌した。次いでこれに、2,2−ビス(2−ジアミノフェノキシフェニル)プロパン19.00gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解したものを、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A)および(B)で表される構成単位からなるシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化41】
上記構造式(A)で表される構成単位:構造式(B)で表される構成単位の共重合比(モル比)は7:93であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、0.43dl/gであった。
このシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をテフロン基板上に塗布して、窒素気流下で100℃から180℃まで徐々に加熱してフィルムを作成した。次いでこのフィルムをテフロン板からはがしてガラス支持台上に移し、窒素気流下で200℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)および(2)で表される構成単位からなるフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂を得た。
【化42】
上記構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位の共重合比(モル比)は7:93であった。
このようにして得られたフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂の水に対する接触角,引張弾性率および接着強度を実施例2と同様にして測定した。これらの結果を表1に示し、総合評価を併記した。
【0018】
【比較例1】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物16.11gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いで、室温下にて、式:
【化43】
で表されるシリコーン系2価ジアミン3.86gを徐々に滴下した。滴下終了後、1時間攪拌した。次いでこれに、2,2−ビス(2−ジアミノフェノキシフェニル)プロパン18.64gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解したものを、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A)および(B)で表される構成単位からなるシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化44】
上記構造式(A)で表される構成単位:構造式(B)で表される構成単位の共重合比(モル比)は9:91であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、0.40dl/gであった。
このシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をテフロン基板上に塗布して、窒素気流下で100℃から180℃まで徐々に加熱してフィルムを作成した。次いでこのフィルムをテフロン板からはがしてガラス支持台上に移し、窒素気流下で200℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)および(2)で表される構成単位からなる黄褐色フィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂を得た。
【化45】
上記構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位の共重合比(モル比)は9:91であった。
このようにして得られたフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂の水に対する接触角,引張弾性率および接着強度を実施例2と同様にして測定した。これらの結果を表1に示し、総合評価を併記した。
【0019】
【比較例2】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物16.11gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いで、室温下にて、式:
【化46】
で表されるシリコーン系2価ジアミン3.79gを徐々に滴下した。滴下終了後、1時間攪拌した。次いでこれに、2,2−ビス(2−ジアミノフェノキシフェニル)プロパン18.00gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解したものを、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A)および(B)で表される構成単位からなるシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化47】
上記構造式(A)で表される構成単位:構造式(B)で表される構成単位の共重合比(モル比)は12:88であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、0.30dl/gであった。
このシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をテフロン基板上に塗布して、窒素気流下で100℃から180℃まで徐々に加熱してフィルムを作成した。次いでこのフィルムをテフロン板からはがしてガラス支持台上に移し、窒素気流下で200℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)および(2)で表される構成単位からなる黄褐色フィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂を得た。
【化48】
上記構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位の共重合比(モル比)は12:88であった。
このようにして得られたフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂の水に対する接触角,引張弾性率および接着強度を実施例2と同様にして測定した。これらの結果を表1に示し、総合評価を併記した。
【0020】
【比較例3】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物16.11gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いで、室温下にて、式:
【化49】
で表されるシリコーン系2価ジアミン4.06gを徐々に滴下した。滴下終了後、1時間攪拌した。次いでこれに、3−アミノフェニルサルホン20.32gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解したものを、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A)および(B)で表される構成単位からなるシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化50】
上記構造式(A)で表される構成単位:構造式(B)で表される構成単位の共重合比(モル比)は1:99であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、0.23dl/gであった。
このシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をガラス基板上に塗布し、これを窒素気流下で100℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)および(2)で表される構成単位からなる黄褐色フィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂を得た。
【化51】
上記構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位の共重合比(モル比)は1:99であった。
このようにして得られたフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂の引張弾性率および接着強度を実施例2と同様にして測定した。これらの結果を表1に示し、総合評価を併記した。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂は、上記構造式(1)および(2)で表される構成単位からなるものであり、特定の化学構造を有するポリオルガノシロキサンを共重合させているので、撥水性,密着性に優れるという特徴を有する。そしてこのポリイミド樹脂は、本発明のシリコーン含有ポリアミック酸をイミド化することにより効率よく製造できるという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1で製造したシリコーン含有ポリイミド樹脂のIRチャートである。
Claims (2)
- 下記構造式(1)で表わされる構成単位0.1〜35モル%と構造式(2)で表わされる構成単位99.9〜65モル%からなるシリコーン含有ポリイミド樹脂。
構造式(1):
構造式(2):
- 下記構造式(A)で表わされる構成単位0.1〜35モル%と構造式(B)で表わされる構成単位99.9〜65モル%からなるシリコーン含有ポリアミック酸。
構造式(A):
構造式(B):
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