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JP3780717B2 - 車両用回生制動装置 - Google Patents

車両用回生制動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ・ジェネレータをロックアップクラッチ付き流体継手を有する変速機を介して車輪に連結し、モータ・ジェネレータにより車輪の回生制動をおこなう車両用回生制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料の燃焼によって作動するエンジンとモータ・ジェネレータとを車両走行時の動力源として備えるとともに、これら動力源と駆動輪との間に変速比を変更可能な自動変速機を配設したハイブリッド車がいろいろと開示されている。この様なハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギでモータ・ジェネレータが回転駆動されることにより、発電力に応じた所定の回生制動力を車両に作用させることが可能である。
【0003】
この様なハイブリッド車両においてモータ・ジェネレータによる回生制動時に有段の自動変速機の変速段が変更されると、エンジンの回転抵抗によるエンジンブレーキ力のみならず回生制動力も減速比の増減により増減され、車両全体の制動力が急変してショックが生じる。そこで、特開平10−73161号公報では回生制動時には自動変速機の変速を禁止することが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報は回生制動中には原則的に変速を禁止し、ダウンシフトによる減速が必要なときはそれを許可することを開示している。しかしながら、ダウンシフトが許可されダウンシフトしたときに発生するショックを防止する方法は開示していない。すなわち、回生制動中にはショックを小さくしてダウンシフトをおこなうことはできない。
本発明は上記問題に鑑み、回生制動中のダウンシフトによるショックを小さくし、かつ連続した減速感の確保をおこなうことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、モータ・ジェネレータを変速機を介して車輪に連結し、モータ・ジェネレータにより車輪の回生制動をおこなう車両用回生制動装置において、モータ・ジェネレータはロックアップクラッチ付き流体継手を介して変速機に連結されていて、ロックアップクラッチを係合しておこなう回生制動中にダウンシフトがおこなわれ場合はロックアップクラッチを解放もしくは半係合状態にし、モータ・ジェネレータの回転を増速してモータ・ジェネレータの回転数を変速機の入力軸の回転数に同期させるようにした装置が提供される。
この様に構成された車両用回生制動装置では回生制動中にダウンシフトがおこなわれ場合に、ロックアップクラッチを解放もしくは半係合状態にし、モータ・ジェネレータの回転を増速してモータ・ジェネレータの回転数を変速機の入力軸の回転数に同期させるのでショックが発生しない。
【0006】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図を参照してより具体的に説明する。図2は、この発明を適用したハイブリッド車のシステム構成を示すブロック図である。車両の動力源であるエンジン1としては、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンまたはLPGエンジンまたはガスタービンエンジン等の内燃機関が用いられる。この実施の形態のエンジン1は、燃料噴射装置および吸排気装置ならびに点火装置等を備えた公知の構造のものである。
【0007】
また、エンジン1の吸気管には電子スロットルバルブ1Bが設けられており、電子スロットルバルブ1Bの開度が電気的に制御されるように構成されている。エンジン1から出力されるトルクの一方の伝達経路にはエンジン1とトルクコンバータ2の間にモータ・ジェネレータ3が配置され、歯車変速機構4の入力側にトルクコンバータ2が接続されこれらエンジン1とモータ・ジェネレータ3とトルクコンバータ2と歯車変速機構4とが直列に配置されている。さらに、エンジン1から出力されるトルクの他方の伝達経路には、チェーン、スプロケットなどの駆動装置5を介して別のモータ・ジェネレータ6が配置されている。モータ・ジェネレータ3、6としては、例えば交流同期型のものが適用される。
【0008】
まず、一方のトルク伝達経路の構成について具体的に説明する。図3はトルクコンバータ2および歯車変速機構4の構成を示すスケルトン図である。このトルクコンバータ2および歯車変速機構4を内蔵したケーシングの内部には、作動油としてオートマチック・トランスミッション・フルードが封入されている。
【0009】
トルクコンバータ2は、駆動側部材のトルクを流体により従動側部材に伝達するものである。このトルクコンバータ2は、ポンプインペラ7に一体化させたフロントカバー8と、タービンランナ9を一体に取付けたハブ10と、ロックアップクラッチ11とを有している。そして、ポンプインペラ7のトルクが流体を介してタービンランナ9に伝達される。また、ロックアップクラッチ11は、フロントカバー8とハブ10とを選択的に係合・解放するためのものである。なお、ロックアップクラッチ11を所定の係合圧で滑らせるスリップ制御をおこなうことも可能である。
【0010】
フロントカバー8はエンジン1のクランクシャフト12に連結されている。このフロントカバー8にはモータ・ジェネレータ3の出力トルクが入力可能とされると共に、エンジン1の出力トルクがモータ・ジェネレータ3の回転軸(図示せず)に入力可能となっている。また、ポンプインペラ7およびタービンランナ9の内周側には、ステータ13が設けられている。このステータ13は、ポンプインペラ7からタービンランナ9に伝達されるトルクを増大するためのものである。さらに、ハブ10には歯車変速機構4の入力軸14が接続されている。したがって、エンジン1のクランクシャフト12からの出力トルクはトルクコンバータ2またはロックアップクラッチ11を介して歯車変速機構4の入力軸14に伝達される。また、エンジン1のトルクをモータ・ジェネレータ3に入力する制御と、モータ・ジェネレータ3のトルクをクランクシャフト12に伝達する制御とをおこなうことも可能である。
【0011】
前記歯車変速機構4は、副変速部15および主変速部16から構成されている。副変速部15は、オーバドライブ用の遊星歯車機構17を備えており、遊星歯車機構17のキャリヤ18に対して入力軸14が連結されている。この遊星歯車機構17を構成するキャリヤ18とサンギヤ19との間には、多板クラッチC0と一方向クラッチF0とが設けられている。この一方向クラッチF0は、サンギヤ19がキャリヤ18に対して相対的に正回転、つまり、入力軸14の回転方向に回転した場合に係合するようになっている。そして、副変速部15の出力要素であるリングギヤ20が、主変速部16の入力要素である中間軸21に接続されている。また、サンギヤ19の回転を選択的に止める多板ブレーキB0が設けられている。
【0012】
したがって、副変速部15は、多板クラッチC0もしくは一方向クラッチF0が係合した状態で遊星歯車機構17の全体が一体となって回転する。このため、中間軸21が入力軸14と同速度で回転し、低速段となる。また、ブレーキB0を係合させてサンギヤ19の回転を止めた状態では、リングギヤ20が入力軸14に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0013】
他方、主変速部16は、三組の遊星歯車機構22、23、24を備えており、三組の遊星歯車機構22、23、24を構成する回転要素が、以下のように連結されている。すなわち、第1遊星歯車機構22のサンギヤ25と、第2遊星歯車機構23のサンギヤ26とが互いに一体的に連結されている。また、第1遊星歯車機構22のリングギヤ27と、第2遊星歯車機構23のキャリヤ29と、第3遊星歯車機構24のキャリヤ31とが連結されている。さらに、キャリヤ31に出力軸32が連結されている。この出力軸32はトルク伝達装置(図示せず)を介して車輪32Aに接続されている。さらにまた、第2遊星歯車機構23のリングギヤ33が、第3遊星歯車機構24のサンギヤ34に連結されている。
【0014】
この主変速部16の歯車列においては、後進側の1つの変速段と、前進側の4つの変速段とを設定することができる。このような変速段を設定するための摩擦係合装置、つまりクラッチおよびブレーキが、以下のように設けられている。先ずクラッチについて述べると、リングギヤ33およびサンギヤ34と、中間軸21との間に第1クラッチC1が設けられている。また、互いに連結されたサンギヤ25およびサンギヤ26と、中間軸21との間に第2クラッチC2が設けられている。
【0015】
つぎにブレーキについて述べると、第1ブレーキB1はハンドブレーキであって、第1遊星歯車機構22のサンギヤ25、および第2遊星歯車機構23のサンギヤ26の回転を止めるように配置されている。またこれらのサンギヤ25、26とケーシング35との間には、第1一方向クラッチF1と、多板ブレーキである第2ブレーキB2とが直列に配列されている。第1一方向クラッチF1はサンギヤ25、26が逆回転、つまり入力軸14の回転方向とは反対方向に回転しようとする際に係合するようになっている。
【0016】
また、第1遊星歯車機構22のキャリヤ37とケーシング35との間に、多板ブレーキである第3ブレーキB3が設けられている。そして第3遊星歯車機構24はリングギヤ38を備えており、リングギヤ38の回転を止めるブレーキとして、多板ブレーキである第4ブレーキB4と、第2一方向クラッチF2とが設けられている。第4ブレーキB4および第2一方向クラッチF2は、ケーシング35とリングギヤ38との間に相互に並列に配置されている。なお、この第2一方向クラッチF2はリングギヤ38が逆回転しようとする際に係合するように構成されている。さらに、歯車変速機構4の入力回転数を検出する入力回転数センサ(タービン回転数センサ)4Aと、歯車変速機構4の出力軸32の回転数を検出する出力回転数センサ(車速センサ)4Bとが設けられている。
【0017】
上記のように構成された歯車変速機構4においては、各クラッチやブレーキなどの摩擦係合装置を、図4の作動係合表に示すように係合・解放することにより、前進5段・後進1段の変速段を設定することができる。なお、図4において○印は摩擦係合装置が係合することを示し、◎印は、エンジンブレーキ時に摩擦係合装置が係合することを示し、△印は摩擦係合装置が係合・解放のいずれでもよいこと、言い換えれば、摩擦係合装置が係合されてもトルクの伝達には無関係であることを示し、空欄は摩擦係合装置が解放されることを示している。
【0018】
また、この実施の形態では、シフトレバー4Cのマニュアル操作により、図5に示すような各種のシフトレバーポジションを設定することが可能である。すなわち、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、L(ロー)ポジションの各ポジションを設定可能になっている。ここで、Dポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、Lポジションが前進ポジションである。そして、Dポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジションが設定されている状態においては、複数の変速段同士の間で変速可能である。これに対して、Lポジション、または後進ポジションであるRポジションが設定されている状態においては、単一の変速段に固定される。
【0019】
また、図2に示された油圧制御装置39により、歯車変速機構4における変速段の設定または切り換え制御、ロックアップクラッチ11の係合・解放やスリップ制御、油圧回路のライン圧の制御、摩擦係合装置の係合圧の制御などがおこなわれる。この油圧制御装置39は電気的に制御されるもので、歯車変速機構4の変速を実行するための第1ないし第3のシフトソレノイドバルブS1、〜S3と、エンジンブレーキ状態を制御するための第4ソレノイドバルブS4とを備えている。
【0020】
さらに、油圧制御装置39は、油圧回路のライン圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLTと、歯車変速機構4の変速過渡時におけるアキュームレータ背圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLNと、ロックアップクラッチ11や所定の摩擦係合装置の係合圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLUとを備えている。
【0021】
図6は、モータ・ジェネレータ3およびモータ・ジェネレータ6の制御系統を示すブロック図である。
モータ・ジェネレータ3は入力軸14に接続されており、このモータ・ジェネレータ3は、機械エネルギを電気エネルギに変換する回生機能と、電気エネルギを機械エネルギに変換する機能とを備えている。言い換えれば、モータ・ジェネレータ3は、発電機または電動機として機能することが可能である。
【0022】
すなわち、モータ・ジェネレータ3は、クランクシャフト12から入力されるトルクにより発電をおこない、その電気エネルギをインバータ40を介してバッテリ41に充電することが可能に構成されている。また、モータ・ジェネレータ3から出力されたトルクをクランクシャフト12に伝達して、エンジン1から出力されたトルクを補助することも可能である。さらにまた、インバータ40およびバッテリ41にはコントローラ42が接続されている。このコントローラ42は、バッテリ41からモータ・ジェネレータ3に供給される電流値と、モータ・ジェネレータ3により発電される電流値とを検出する機能を備えている。また、コントローラ42は、モータ・ジェネレータ3の回転数を制御する機能と、バッテリ41の充電状態(SOC:state of charge )を検出および制御する機能と、モータ・ジェネレータ3のフェール状態や温度を検出する機能とを備えている。
【0023】
続いて、モータ・ジェネレータ6の制御系統について説明する。
駆動装置5は減速装置43を備えており、この減速装置43がエンジン1およびモータ・ジェネレータ6に接続されている。減速装置43は、同心状に配置されたリングギヤ44およびサンギヤ45と、このリングギヤ44およびサンギヤ45に噛み合わされた複数のピニオンギヤ46とを備えている。この複数のピニオンギヤ46はキャリヤ47により保持されており、キャリヤ47には回転軸48が連結されている。また、エンジン1のクランクシャフト12と同心状に回転軸49が設けられており、回転軸12とクランクシャフト12とを接続・遮断するクラッチ50が設けられている。そして、回転軸49と回転軸48との間で相互にトルクを伝達するチェーン51が設けられている。なお、回転軸48には、チェーン48Aを介してエアコンプレッサなどの補機48Bが接続されている。
【0024】
また、モータ・ジェネレータ6は回転軸52を備えており、回転軸52に前記サンギヤ45が取り付けられている。また、駆動装置5のハウジング53には、リングギヤ44の回転を止めるブレーキ53が設けられている。さらに、回転軸52の周囲には一方向クラッチ54が配置されており、一方向クラッチ54の内輪が回転軸52に連結され、一方向クラッチ54の外輪がリングギヤ44に連結されている。上記構成の減速装置43により、エンジン1とモータ・ジェネレータ6との間のトルク伝達、または減速がおこなわれる。そして、一方向クラッチ54はエンジン1から出力されたトルクがモータ・ジェネレータ6に伝達される場合に係合する構成になっている。
【0025】
上記モータ・ジェネレータ6は、機械エネルギを電気エネルギに変換する回生機能と、電気エネルギを機械エネルギに変換する力行機能とを備えている。言い換えれば、モータ・ジェネレータ6は、発電機または電動機として機能することが可能である。具体的には、エンジン1を始動させるスタータとしての機能と、発電機(オルタネータ)としての機能と、エンジン1の停止時に補機48Bを駆動する機能とを兼備している。
【0026】
そして、モータ・ジェネレータ6をスタータとして機能させる場合は、クラッチ50およびブレーキ53が係合され、一方向クラッチ54が解放される。また、モータ・ジェネレータ6をオルタネータとして機能させる場合は、クラッチ50および一方向クラッチ54が係合され、ブレーキ53が解放される。さらに、モータ・ジェネレータ6により補機48Bを駆動させる場合は、ブレーキ53が係合され、クラッチ50および一方向クラッチ54が解放される。
【0027】
すなわち、エンジン1から出力されたトルクをモータ・ジェネレータ6に入力して発電をおこない、その電気エネルギをインバータ55を介してバッテリ56に充電することが可能である。また、モータ・ジェネレータ6から出力されるトルクを、エンジン1または補機48Bに伝達することが可能である。さらに、インバータ55およびバッテリ56にはコントローラ57が接続されている。このコントローラ57は、バッテリ56からモータ・ジェネレータ6に供給される電流値、またはモータ・ジェネレータ6により発電される電流値を検出または制御する機能を備えている。また、コントローラ57は、モータ・ジェネレータ6の回転数を制御する機能と、バッテリ56の充電状態(SOC:state of charge )を検出および制御する機能とを備えている。
また、モータ・ジェネレータ6の回転軸52とは反対側の回転軸52Aにはクラッチ90を介して電動オイルポンプ91が結合されている。これは、エンジン1を作動させないでモータ・ジェネレータ3で走行する場合には、歯車変速機構4内のオイルポンプ(図示せず)が作動しなくなり、歯車変速機構4内の各要素を作動させる油圧の供給源がなくなってしまうためである。
【0028】
この実施の形態における自動変速機は、通常のノーマルモードの他にスポーツモードを選択することができる。
図7に示されるのはこのスポーツモードを選択するためのスポーツモードスィッチ69であって、ドライバが操作し易い場所に設置されていて、例えば、押し込んだ時にONになるようにされている。
【0029】
一方、図8の(A)に示すようにステアリングホイールの表と裏に片方の手で操作できるダウンシフト用のダウンスィッチ70aとアップシフト用のアップスィッチ70bが設けられている。前記スポーツモードスィッチ69をONにした状態でこのダウンスィッチとアップスィッチを操作することにより図8の(B)に示すようにDからLの各レンジに1段づつ切り換えることができ、より手動変速機に近いスポーティな走行が可能となる。そして、各レンジで使用可能なギヤ段は以下の通りである。
Dレンジ:1st、2nd、3rd、4th、5th
4レンジ:1st、2nd、3rd、4th
3レンジ:1st、2nd、3rd
2レンジ:1st、2nd
Lレンジ:1st
【0030】
図9は、図2および図6に示されたシステムの制御回路を示すブロック図である。電子制御装置(ECU)58は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RAM、ROM)ならびに入力・出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
【0031】
この電子制御装置58には、トルクコンバータ2のタービン回転数センサ4Aの信号、車速センサ4Bの信号、バッテリ41、56の充電状態SOCを示す信号を含むMGコントローラ42、57からの信号、エンジン回転数センサ59の信号、エンジン水温センサ60の信号、イグニッションスイッチ61の信号、クランクシャフト12の回転位置を検出するクランク位置センサ62の信号、オートマチック・トランスミッション・フルードの温度を検出する油温センサ63の信号、シフトレバー4Cの操作位置を検出するシフトポジションセンサ64の信号、運転者の停車意図を検出するサイドブレーキスイッチ65の信号、運転者の減速意図または制動意図を検出するフットブレーキスイッチ66の信号、車両加速度センサ67の信号、アクセルペダル1Aの踏み込み量を示すアクセル開度センサ68の信号、スポーツモードスィッチ69の信号、ステアリングホイールに設けられたダウンシフトスイッチ70a、アップシフトスイッチ70b、後述する減速力設定スィッチ71の信号、その他、排気管(図示せず)の途中に設けられた触媒温度センサ72の信号、ヘッドライトスィッチ73、エアコンスィッチ74、デフォッガスィッチ75の信号等が入力される。
【0032】
この電子制御装置58からは、自動変速機の歯車変速機構4の油圧制御装置39を制御する信号、MGコントローラ42、57を制御する信号、モータ・ジェネレータ6の駆動装置5のクラッチ50およびブレーキ53を制御する信号、エンジン1の点火装置80を制御する信号、エンジン1の燃料噴射装置81を制御する信号、エンジン1を自動停止した時に車両を停止させるABSアクチュエータ82を制御する信号、エンジン1で駆動していることを示すエンジン駆動インジケータ83への制御信号、モータ・ジェネレータ3で駆動していることを示すMG駆動インジケータ84への制御信号、スポーツモードの選択を表示するインジケータ85の制御信号、電動オイルポンプ91へのモータ・ジェネレータ6の駆動トルクの伝達を制御するクラッチ90への制御信号などが出力されている。このようにして、電子制御装置58に入力される各種の信号に基づいて、エンジン1の動作およびモータ・ジェネレータ3、6の動作ならびに歯車変速機構4の動作が制御される。具体的には、エンジン1の始動・停止、または出力の制御は、シフトポジションセンサ64の信号、イグニッションスイッチ61の信号、アクセル開度センサ68の信号、モータ・ジェネレータ3、6によるバッテリ41の充電量を示す信号などに基づいておこなわれる。
【0033】
ここで、電子制御装置58による歯車変速機構4および油圧制御装置39ならびにロックアップクラッチ11の制御内容を具体的に説明する。電子制御装置58には、歯車変速機構4の変速比を制御する変速線図(変速マップ)が記憶されている。この変速線図には、車両の走行状態、例えばアクセル開度と車速とをパラメータとして、所定の変速段から他の変速段に変速(アップシフトまたはダウンシフト)するための変速点が設定されている。
【0034】
そして、この変速線図に基づいて変速判断がおこなわれ、この変速判断が成立した場合は、電子制御装置58から制御信号が出力され、この制御信号が油圧制御装置39に入力される。その結果、所定のソレノイドバルブが動作し、所定の摩擦係合装置に作用する油圧が変化して、摩擦係合装置の係合・解放がおこなわれて変速が実行される。ここで、エンジントルクは、スロットル開度およびエンジン回転数をパラメータとしてマップ化され、そのマップが電子制御装置58に記憶されている。そして、変速を実行する摩擦係合装置の係合・解放のタイミング、および摩擦係合装置に作用する油圧が、エンジントルクに基づいて制御される。このように、歯車変速機構4および油圧制御装置39により、いわゆる有段式の自動変速機が構成されている。
【0035】
前記ロックアップクラッチ11は、アクセル開度、車速、変速段などの条件に基づいて制御される。このため、電子制御装置58には、ロックアップクラッチ11の動作を制御するロックアップクラッチ制御マップが記憶されている。このロックアップクラッチ制御マップには、アクセル開度および車速をパラメータとして、ロックアップクラッチ11を係合または解放する領域、もしくはスリップ制御(中間状態)する領域が設定されている。また、シフトレバー4CがDポジションまたは4ポジションに設定され、かつ、歯車変速機構4で所定の高速段が設定されている場合に、ロックアップクラッチ11を係合もしくはスリップさせる制御がおこなわれる。
【0036】
上記ハイブリッド車の制御内容を簡単に説明する。イグニッションスイッチ6がオン操作されると、モータ・ジェネレータ6が作動して電動オイルポンプ91が作動する。電動オイルポンプ91の作動によって歯車変速機構4の制御油の油圧が上昇し、歯車変速機構4の油圧制御が可能な状態となる。一方モータ・ジェネレータ6のトルクがトルク伝達手段5を介してエンジン1に伝達され、エンジン1が始動する。この時エンジン1を始動する必要がない場合があるので、この場合はクラッチ50がオフされてモータ・ジェネレータ6が始動してもエンジン1が始動しない。
【0037】
そして、アクセルペダル1Aが踏み込まれると、モータ・ジェネレータ3のトルクがトルクコンバータ2を介して歯車変速機構4に伝達され、車両が発進する。車両の発進時および低速走行時のように、エンジン効率が低い領域においては、燃料噴射をおこなわず、モータ・ジェネレータ3の出力のみにより車両が走行する。また通常走行時には、自動的にエンジン1が始動され、エンジン出力により車両が走行する。高負荷走行時には、エンジン1の出力およびモータ・ジェネレータ3の出力により車両が走行することが可能である。
【0038】
車両の走行に必要なトルクは、アクセル開度および車速に基づいて演算される。そして、予め電子制御装置58に記憶されている最適燃費線に基づいてエンジン回転数が演算される。さらに、電子スロットルバルブ1Bの開度制御をおこなうとともに、歯車変速機構4の変速比に基づいてモータ・ジェネレータ3の回転数を求め、エンジン回転数を制御する。これと同時に、必要な駆動力に対して、モータ・ジェネレータ3が分担するトルクが演算される。
【0039】
車両の減速時または制動時には、車輪32Aから入力されたトルクが歯車変速機構4およびトルクコンバータ2を介してクランクシャフト12に伝達される。すると、このトルクによりモータ・ジェネレータ3が発電機として機能し、発電した電気エネルギをバッテリ41に充電する。また、バッテリ41、56は、充電量が所定の範囲になるように制御されており、充電量が少なくなった場合は、エンジン出力を増大させ、その一部をモータ・ジェネレータ3またはモータ・ジェネレータ6に伝達して発電させる。なお、車両の停止時には自動的にエンジン1が停止される。
そして、モータ・ジェネレータ3が発電機として機能するときに回生制動トルクを発生して車両の車輪に制動力があたえられるのである。この回生制動はロックアップクラッチ11を係合しておこなわれ、ダウンシフト時に前述したようなショックが発生するので、それを防止するために、本発明による後述の制御がおこなわれる。
【0040】
次に、以上のように構成され作動するこの実施の形態の本発明に係わる制御について説明する。
図1がこの制御のフローチャートであって、まずステップ20で入力信号の処理をおこなってからステップ30に進み回生制動中であるか否かを判定する。ステップ30で肯定判定された場合はステップ40に進んでダウンシフトするか否かを判定する。
なお、回生制動はロックアップクラッチ11を係合しておこなうことを前提としており、ステップ30で肯定判定されたということは当然ロックアップクラッチ11が係合中であることを意味している。
【0041】
ステップ40で肯定判定された場合はステップ50に進みロックアップクラッチ11を非係合にする指令を発し、さらにステップ60に進んでダウンシフトを実行する信号を出力する。ダウンシフトは具体的には歯車変速機構4の油圧制御装置39内の該当するシフトソレノイドを切り換える。ステップ30、40で否定判定された場合は何もせずステップ100に飛びリターンする。ステップ50の非係合指令は解放または半解放、すなわち、半係合で、運転状況に応じて予め定めておく。
【0042】
ステップ70ではモータ・ジェネレータ3の回転数を増加させる信号をコントローラ42に向けて出力する。これが本発明の制御のポイントであってダウンシフトにより変速後にモータ・ジェネレータ3の回転数は変速の回転数よりも高くなるが、これをダウンシフト後に変速機側から駆動輪のトルクで強制的に引き上げられる前にモータ・ジェネレータ3側で上げてしまうのである。このようにすることにより、モータ・ジェネレータ3の出力軸と変速機の入力軸が係合する時の回転数差が解消されダウンシフトによるショックの発生が防止される。
【0043】
そして、ステップ80でモータ・ジェネレータ3の回転数が変速後の変速機の入力軸の回転数に同期したのを確認してからステップ90に進みロックアップクラッチ11を再係合してからステップ100に進みリターンする。
図12が上記の制御を説明するタイムチャートであって、ステップ50で半解放にした場合を示していて、実線が本発明の制御をした場合、一点鎖線が本発明の制御をしない場合を示している。
本発明の制御の場合ロックアップクラッチ11で機械的に連結状態とされていないのでダウンシフトに伴なうショックをトルクコンバータで緩和できる。
本発明の制御によれば、モータ・ジェネレータ3の回転数を上げるのに時間がかからずしかも同期回転数まで上げることができるので、ショック無く、且つ減速感の途切れ時間を短くすることができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、モータ・ジェネレータを変速機を介して車輪に連結し、モータ・ジェネレータにより車輪の回生制動をおこなう車両用回生制動装置において、モータ・ジェネレータはロックアップクラッチ付き流体継手を介して変速機に連結されていて、ロックアップクラッチを係合しておこなう回生制動中にダウンシフトがおこなわれ場合は、ロックアップクラッチを解放もしくは半係合状態にしてモータ・ジェネレータの回転を増速してモータ・ジェネレータの回転数を変速機の入力軸の回転数に同期せしめるので、減速感の途切れ時間を短くしながらダウンシフトのショックの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の制御のフローチャートである。
【図2】本発明が適用されたハイブリッド車のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示された歯車変速機構およびトルクコンバータの構成を示すスケルトン図である。
【図4】図3に示された歯車変速機構で各変速段を設定するための摩擦係合装置の作動状態を示す図である。
【図5】図2に示された歯車歯車変速機構を手動操作するシフトセレクタのシフトポジションを示す図である。
【図6】図2に示されたモータ・ジェネレータ3、6と他のハード構成との関係を示すブロック図である。
【図7】スポーツモードを選択するためのスポーツモードスィッチを示す図である。
【図8】(A)スポーツモードが選択された時にダウンシフト、アップシフトをおこなうためのステアリングホイールに設けられたスィッチを示す図である。
(B)(A)のスィッチで切り換えられるシフトポジションを示す図である。
【図9】ECU58に入出力される信号を示す図である。
【図10】車速に対する回生制動トルクの変化を異なる変速段について示した図である。
【図11】減速度設定スィッチを示す図である。
【図12】本発明による制御を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
1…エンジン
2…トルクコンバータ
3、6…モータ・ジェネレータ
4…歯車変速機構
12…クランクシャフト
32…出力軸
32A…タイヤ
91…電動オイルポンプ

Claims (2)

  1. モータ・ジェネレータを変速機を介して車輪に連結し、モータ・ジェネレータにより車輪の回生制動をおこなう車両用回生制動装置において、
    モータ・ジェネレータはロックアップクラッチ付き流体継手を介して変速機に連結されていて、ロックアップクラッチを係合しておこなう回生制動中にダウンシフトがおこなわれ場合はロックアップクラッチを解放もしくは半係合状態にし、モータ・ジェネレータの回転を増速してモータ・ジェネレータの回転数を変速機の入力軸の回転数に同期させることを特徴とする車両用回生制動装置。
  2. 前記ダウンシフトは自動変速機の変速制御によっておこなわれる、請求項1に記載の車両用回生制動装置。
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