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JP3743941B2 - 電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機 - Google Patents

電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機 Download PDF

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JP3743941B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ガバナー機構付ディーゼルエンジンを搭載した乗用田植機の、圃場条件(圃場表面の硬軟や耕盤深さや水深等)に合わせてエンジンの回転数及び車速を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ディーゼルエンジンにおいて、電子ガバナー機構を具備した技術は公知とされているのである。例えば、特開昭60−256529号公報に記載の技術の如くである。
また、田植機において、植付部を昇降自在に設けて、該植付部のフロートの接地圧を検知して、圃場の硬軟に合わせて植付部を昇降させて、一定深さで植え付けるようにした技術は公知となっている。また、植付走行速度が速くなると、フロートの前部が浮き上がり、植付部を上げるように制御して植付深さが浅くなるので、その分植付深さを深くするように制御する技術も公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような従来の技術においては、植付深さの制御は行うが、エンジンの回転数や走行速度の変化に対しては随時対応しておらず、圃場の硬軟と耕盤深さと水深等が異なり、走行速度も異なると、当然植付深さや植付姿勢等も変化するが、これら変化に対して十分対応していなかったので、圃場の硬軟の変化で走行速度が変化した場合や耕盤の凹凸で走行速度が変化した場合等では、植付姿勢が乱れることがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明が解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、電子ガバナー機構付きエンジンを搭載した乗用田植機において、エンジン回転数、走行変速レバーの回動位置、アクセルレバー位置、圃場表面の硬軟、耕盤の深さ、水深をそれぞれセンサーで検知し、設定作業域内の作業時において、サンプリングボタン104を押すことにより、前記センサーの検出値をサンプリングしてコントローラに記憶し、前記センサーにより検出し記憶した値から、圃場表面の硬軟に対するエンジンの最適回転数、耕盤の深さに対するエンジンの最適回転数、水深に対するエンジンの最適回転数を演算して、設定し、同一圃場内の残った他の作業域においては、前記サンプリングボタン104を解除することにより、圃場の硬軟、耕盤深さ、水深に対応して設定された最適回転数に最も近い回転数となるように、エンジンEのラックアクチュエーターを駆動制御するものである。
【0005】
請求項2においては、電子ガバナー機構付きエンジンを搭載した乗用田植機において、エンジン回転数、走行変速レバーの回動位置、アクセルレバー位置、圃場表面の硬軟、耕盤の深さ、水深をそれぞれセンサーで検知し、設定作業域内の作業時において、サンプリングボタン104を押すことにより、前記センサーの検出値をサンプリングしてコントローラに記憶し、前記センサーにより検出し記憶した値から、圃場表面の硬軟に対する最適走行速度、耕盤の深さに対する最適走行速度、水深に対する最適走行速度を演算し、設定し、同一圃場内の残った他の作業域においては、前記サンプリングボタン104を解除することにより、圃場の硬軟、耕盤深さ、水深に対応して設定された最適走行速度に最も近い走行速度となるように、走行変速レバーのアクチュエーターを駆動制御するものである。
【0006】
請求項3においては、請求項1又は請求項2記載の電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機において、それぞれの演算し設定された最適回転数に最も近い回転数又は走行速度は、それぞの回転数または走行速度の平均値、又は、何れか一つまたは二つの条件を優先した回転数または走行速度、又は上下の回転数または走行速度を除いた回転数とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図1は乗用田植機の全体側面図、図2は同じく乗用田植機の全体平面図、図3はボンネット9内に搭載したエンジンEの図面、図4は左右の機体フレーム3・3の間に配置したベルト式無段変速ケース59と、クラッチケース58と、ミッションケース4の構成を示す平面図である。
【0008】
図5は同じく、ベルト式無段変速ケース59とミッションケース4とリアアクスルケース7の部分の側面図、図6はリンク機構27と植付部15の部分を示す側面図、図7は6条用の側条施肥機36の部分の平面図、図8は6条用の側条施肥機36の部分の後面図、図9は本発明の電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機の制御機構のブロック線図である。
【0009】
図10は電子ガバナー機構を示す正面断面図と側面図、図11は本発明の電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機の制御応答図、図12は乗用田植機のアイソクロノス制御と逆ドループ制御を示す図、図13はエンジンEの許容出力制御を示す図面である。
【0010】
図14はエコモード制御を示す図、図15は乗用田植機の植付昇降兼作業走行変速レバー30の操作ガイド板を示す平面図、図16は乗用田植機の走行変速レバー29の操作ガイド板を示す図、図17はセンターフロートとサイドフロートの平面図、図18はセンターフロートの側面図である。
【0011】
本発明の電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機は、前輪6・6と後輪8・8の4輪を共に駆動する四輪駆動車輛に構成している。
ボンネット9の内部にエンジンEを配置している。また、該ボンネット9の左右に予備苗載台10・10が配置されている。また、該ボンネット9の後部のダッシュボードの部分から操向ハンドル14が突出されており、該操向ハンドル14の下方でダッシュボードの左側に主クラッチぺダル32が、操向ハンドル14の右側の下部に左右のブレーキペダル33・33が配置されている。前記主クラッチペダル32の回動基部には主クラッチが「入」か「切」かを検知するクラッチペダルスイッチ21が設けられ、ブレーキペダル33・33の回動基部にはブレーキのON・OFFを検知するブレーキスイッチ23が設けられている。
【0012】
また、操向ハンドル14の右側のダッシュボードの部分にアクセルレバー1が設けられており、該アクセルレバー1を前後に回動することにより、電子ガバナー機構のコントローラCに電気信号が送信され、該アクセルレバー1の回動基部にも、アクセルレバー位置センサ22が設けられ設定位置を検出できるようにし、該アクセルレバー位置センサ22及び前記クラッチペダルスイッチ21、ブレーキスイッチ23はコントローラCと接続されている。
【0013】
座席13の右側に、植付昇降兼作業走行変速レバー30が配置されており、該植付昇降兼作業走行変速レバー30の回動基部には位置センサー30aと電動シリンダー等からなる変速アクチュエーター30bが配置されて、レバー位置を検出し、圃場条件に合わせて減速したり増速したりするようにしている。
また、植付感度調節レバー31がその後部に配置されている。座席13の左側の部分には走行変速レバー29が配置され、該走行変速レバー29の回動基部には位置センサー29aが配置され、回動位置が検知され、該位置センサー29a・30aはコントローラCと接続されている。
【0014】
図15において、前記植付昇降兼作業走行変速レバー30は、ガイド溝43の位置で、植付部15を上げ、ガイド溝44の位置で、植付部15を昇降位置で停止する中立位置を構成している。また、ガイド溝45の位置で、植付部15の下げ位置としている。植付昇降兼作業走行変速レバー30をガイド溝46の位置に移動すると、植付クラッチ入の状態となり、ガイド溝47の位置も植付クラッチ入りであり、左右の47Lまたは47Rの位置に操作されると、操作された側のマーカーが下降するように構成している。
【0015】
また、植付昇降兼作業走行変速レバー30がガイド溝48に回動操作されると、ベルト式無段変速ケース59の無段変速装置が低速入りとなり、低速で植付を開始する。更にガイド溝49の位置では、ベルト式無段変速装置が高速で植付を行う。
【0016】
図16は、座席13の左側の走行変速レバー29の操作ガイド溝を図示している。走行変速レバー29がガイド溝57の位置では、後進速度である。また、走行変速レバー29がガイド溝62の位置で植付状態である。この場合にはベルト式無段変速ケース59の操作で変速を行うので、走行変速レバー29は操作しない。また、ガイド溝63に回動すると、路上走行速度となる。また、走行変速レバー29がガイド溝52の位置に回動操作されると、多板摩擦式型乾式クラッチ73が切れて、苗継ぎや肥料補充の為の機体の停止位置となる。
【0017】
また、後輪8・8の上方の位置に、6条用の側条施肥機36が配置されており、前輪6・6と後輪8・8により構成された四輪駆動式走行車輛の後部に、リンク機構27を介して、植付部15が吊装されている。該リンク機構27は、図6に示すように、トップリンク25とロワーリンク26により構成されており、昇降シリンダ28の伸縮により、リンク機構27を昇降すべく構成している。植付部15は苗載台16と、2条分均平用センターフロート34と、2条分均平用サイドフロート35と、植付ケース20と植付爪17等により構成されている。
【0018】
図3はボンネット9内に搭載したエンジンEの図面、図4は左右の機体フレーム3・3の間に配置したベルト式無段変速ケース59と、クラッチケース58と、ミッションケース4の構成を示す平面図、図5は同じく、ベルト式無段変速ケース59とミッションケース4とリアアクスルケース7の部分の側面図である。該エンジンEは、前後に長く延びた機体フレーム3の上に載置されており、前方に突出したクランク軸53に、プーリー54を設け、該プーリー54からベルト55を介して、プーリー51に動力伝達している。該プーリー51は、軸50に固定されており、該軸50に軸61がジョイント結合されている。該軸61がベルト式無段変速ケース59の軸72に動力伝達している。
【0019】
該ベルト式無段変速ケース59の内部には、入出力プーリ69・70と、変速ベルト71が配置されている。また、入出力プーリ69・70の部分に、入出力カム77・78が配置されており、該入出力カム77・78を操作することにより、入出力プーリ69・70の幅が変化して、変速部71との接触径が変化して、無段変速が可能となり、無段変速装置を構成している。但し無段変速できる変速装置であれば限定するものではなく油圧式無段変速装置等でもよい。該ベルト式無段変速ケース59の後部に、クラッチケース58が装着されており、該クラッチケース58の内部に、クラッチペダル32の踏み込みにより操作される多板摩擦式型乾式クラッチ73が配置されている。60は油圧ポンプである。
【0020】
また、該クラッチケース58の後面にミッションケース4が固設されている。これらのベルト式無段変速ケース59とミッションケース4は共に、左右の機体フレーム3・3の間に配置されている。ミッションケース4において変速後の回転が、リアアクスルケース7に伝達されている。図6において、植付ケース20の上面に、左右傾斜センサ56が配置されている。また、図7において図示する如く、6条用の側条施肥機36から繰り出される肥料を下方に案内するフレキシブル搬送ホース40が設けられている。また、6条用の側条施肥機36の一端には、肥料を繰り出す為のターボブロワ41が配置されている。
【0021】
図9は本発明の電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機の制御機構のブロック線図、図10は電子ガバナー機構を示す正面断面図と側面図、図11は本発明の電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機の制御応答図である。
図9において図示する如く、電子ガバナー機構付エンジンEに、コントローラCが設けられており、該コントローラCからの信号が、電子ガバナー機構Gに操作信号を送るように構成している。該電子ガバナー機構Gの構造は、図10に示す如く構成されており、燃料噴射ポンプPの側面に取付けられている。該燃料噴射ポンプPの燃料噴射量調節ラック2を、リニアソレノイドにより構成された、ラックアクチュエータ5が左右に摺動操作するのである。
そして、該ラックアクチュエータ5の動きを検出するラック位置センサー11がラックアクチュエータ5の下方に配置されている。また、エンジンEの回転数センサ12と、エンジンEの潤滑油温度センサ18も、該電子ガバナー機構Gの部分に配置されている。
【0022】
このように、電子ガバナー機構Gから、ラック位置センサー11の信号と、回転数センサ12の信号と、潤滑油温度センサ18の信号が、コントローラCに送信される。また、その他に、エンジンEの冷却水温度センサ19と、クラッチペダル32のクラッチペダルスイッチ21と、ブレーキペダル33のブレーキスイッチ23と、アクセルレバー1のアクセルレバー位置センサ22と、キースイッチ24と、エコモードスイッチ37とエアヒータ38、設定器76等からの信号も入力されている。
また、コントローラCからの信号が出力される方向としては、電子ガバナー機構Gのラックアクチュエータ5を操作し、燃料噴射量調節ラック2を左右に調節する信号と、回転計39と故障表示装置42等へも信号が送信されている。
【0023】
その他に、本発明においては、乗用田植機であるので、走行変速レバー29の操作位置を、位置センサ29aにより検出して、信号をコントローラCに送信し、植付昇降兼作業走行変速レバー30の操作位置を、位置センサ30aにより検出し、信号をコントローラCに送信しているのである。
このように、センサーからの信号をコントローラCに送信し、コントローラCにおいて、所定のマップに照合して、指令信号を、各部に送信し、電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機を制御しているのである。
【0024】
電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機の制御を説明する。
図12は乗用田植機のアイソクロナス制御と逆ドループ制御を示す図面である。本発明の制御機構は、エンジンEの出力を乗用田植機のあらゆる作業において、最大に引き出せるように、電子ガバナー機構Gのマイコンにより、燃料噴射量調節ラック2と燃料噴射ポンプPを操作して、燃料噴射量を最適に制御するものである。その方法としては、エンジンEの回転を負荷の大小に関わらず、一定に保つアイソクロナス制御と、エンジンEの低速域で粘りを発揮する逆ドループ制御と、高速植付作業に適した性能を発揮するエコモード制御等を行っている。
【0025】
図12の上段に図示したアイソクロナス制御においては、ボンネット9の上で、操向ハンドル14の右側に設けた、アクセルレバー1を回動操作してエンジン回転数を設定すると、乗用田植機により植付作業を開始し、負荷が変動しても、エンジンの回転数を一定に保つのである。従って、常時一定の速度で苗の植付が行なえるのである。しかし、ブレーキペダル33によりブレーキ制動を操作を行った場合には、自動的にこの機能が解除され、通常のドループ制御に移行する、該ドループ制御は、電子ガバナー機構Gではなく、機械式のガバナーを具備した場合と同じであり、負荷が大きくなるとエンジン回転数が下がり、負荷が小さくなるとエンジン回転数が上昇する制御である。
【0026】
逆ドループ制御は、エンジンEの回転数が最大トルクとなる回転数(本実施例では1500回転)以下で植付作業を行うような場合に、植付作業負荷がエンジン出力の限界に近くなると、自動的に回転数をアップさせて、エンジンEの出力限界を高め、低速作業時の安定性を大幅に向上するものである。
図14に図示されたエコモード制御は、エコモードスイッチ37をONにすると、制御が開始される。このエコモード制御は、高速植付に適した制御機能であり、電子ガバナー機構Gの作用で、高速植付に適したエコモードの出力性能になる。即ち、図14に示す如く、エンジン回転数が高い位置で、出力が増加し、トルクも増加する制御である。エコモードスイッチ37をOFFにすると、エンジンの高速回転域では、出力が低くなり、トルクも低くなるのである。
【0027】
図13の許容出力制御について説明する。この制御は、エンジン始動後の全てのモードにおいて制御が作動している。そして、この制御は、コントローラCに、エンジン回転数毎にマップにより規定された許容出力トルクとなるように、燃料噴射量を制限するものである。
【0028】
そして、図17、図18に示すように、前記センターフロート34の後部上面にブラケット90を設け、前記植付ケース20に回動自在に支持する植付深さ調節支点軸91に、植付深さ調節リンク92の基端を固設し、該植付深さ調節リンク92先端に前記ブラケット90を支点軸93介して前記ブラケット90を枢支して、センターフロート34を回動自在に支持している。
【0029】
そして、前記植付ケース20側に固定支持する支軸94にリンク95の中間を回動自在に枢支し、前記植付深さ調節支点軸91に基端を固設したアーム96の先端に前記リンク95の後部を枢結している。該植付深さ調節支点軸91には植深レバー85を固設して植付深さを設定できるようにしている。前記リンク95の側面にはポテンショメーター等の角度センサーよりなる硬軟検出センサー97が配置され、該リンク95の前端には結合ピンを設けてセンサーリンク98の長孔内に挿入し、該センサーリンク98の上端にはセンサーワイヤー99が連結され、該センサーワイヤー99の他端は前記植付感度調節レバー31と連結されている。そして、センサーリンク98より突出ピンが前記硬軟検出センサー97の長孔内に挿入している。こうして、植付部15を下降して田面にフロートを下ろしたとき、前部が沈めば軟らかく、持ち上げられれば硬いことが判る。
【0030】
また、センターフロート34の前端に水深センサー100が設けられており、該水深センサー100は超音波センサー等よりなり、水面と泥上面との反射距離の差から検出している。また、図6に示すように、ロワーリンク26の前端にアーム101が固定され、一方、機体フレーム3後部上にポテンショメーター等からなる角度センサー102が設けられ、該角度センサー102のセンサーアーム103先端の長孔が前記アーム101と連結されている。この角度センサー102によって植付部15の高さを検知するとともに、後輪8下端からフロートの下面までの高さが演算でき、耕盤深さを検知することができるのである。
【0031】
そして、コントローラCには圃場の硬軟、水深、耕盤深さ、乾田・湿田、耕盤の凹凸等に対して、それぞれ最適のエンジン回転数と走行速度が記憶されて、植付作業を行うときには、それぞれの最適回転数が最も近い回転数、それぞれの走行速度が最も近い走行速度となるように制御して作業を行い最適条件で作業ができるようにしている。
ただし、それぞの回転数または走行速度を平均値で作業を行うこともでき、何れか一つまたは二つの条件を優先した回転数または走行速度としたり、上下の回転数または走行速度を除いた回転数としたりすることもできる。例えば、圃場表面の硬度毎に最適エンジン回転数と最適走行速度が設定されてマップとして記憶されている。従って、軟らか過ぎたり、硬過ぎたりするとその硬度に合わせて回転を高めて、または逆ドループ制御し、最適の走行速度となる低速で走行して、負荷に対応してトルクを高めるようにする。また、水深が深いと、フロートの通過に伴う水の流れがが大きくなり、苗を流して浮苗となるので、低速走行するようにする。また、耕盤が深いと泥部分が多いので走行抵抗が大きくなるので、逆ドループ制御し、低速走行するようにする。
【0032】
また、オペレーターによっては、作業速度や植付深さ等の好みが異なり、天候や圃場の状態で水深や圃場表面の硬軟も異なるので、圃場内に田植機を入れて、畦際を植え付けた後に、サンプリングボタン104を押して、オペレーターが好みの速度及び回転数で、または最適であると思う速度及び回転数で、一定距離を作業する。このとき一定時間毎に硬軟検出センサー97で圃場の硬軟を、水深センサー100で水深を、角度センサー102で耕盤深さを検知し、更に、そのときのエンジン回転数を回転数センサー12で検知する。そして、次に、サンプリングを解除して作業を開始すると、サンプリングした作業速度に合わせて作業が行われ、このとき、サンプリングしたデータに沿って回転数及び走行速度が制御されて作業が行われる。
【0033】
また、コントローラCには低騒音モード切換手段として、騒音モード切換スイッチ105が設けられ、該騒音モード切換スイッチ105を低騒音モード側に切り換えた時は、エンジンの回転数を低回転とし、変速位置を中・高速位置に変速する。このように回転数と変速を変更することで、騒音が減少して、静かに作業ができ、このとき、トルクが若干不足するので、エンジンEを逆ドループ制御して、エンストが生じないようにしている。
【0034】
電子ガバナー機構付きエンジンを搭載した乗用田植機において、エンジン回転数、アクセルレバー位置、変速位置をそれぞれセンサーで検知し、低騒音モード切換手段を設け、低騒音モード切換時、エンジンの回転数を低回転で、変速位置を中・高速位置に変速するように構成したので、低騒音の状態で作業ができるようになり、住宅に近い圃場で作業する場合に、回りを気にすることなく作業ができ、騒音公害を起こすことがない。
【0035】
低騒音モードでは逆ドループ制御するようにしたので、低回転作業でで負荷が増大しても逆ドループ制御によって、走行速度を維持でき、安定した植付作業を行うことができたのである。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1の如く、電子ガバナー機構付きエンジンを搭載した乗用田植機において、エンジン回転数、走行変速レバーの回動位置、アクセルレバー位置、圃場表面の硬軟、耕盤の深さ、水深をそれぞれセンサーで検知し、設定作業域内の作業時において、サンプリングボタン104を押すことにより、前記センサーの検出値をサンプリングしてコントローラに記憶し、前記センサーにより検出し記憶した値から、圃場表面の硬軟に対するエンジンの最適回転数、耕盤の深さに対するエンジンの最適回転数、水深に対するエンジンの最適回転数を演算して、設定し、同一圃場内の残った他の作業域においては、前記サンプリングボタン104を解除することにより、圃場の硬軟、耕盤深さ、水深に対応して設定された最適回転数に最も近い回転数となるように、エンジンEのラックアクチュエーターを駆動制御するので、圃場条件に合ったエンジン回転数に設定して作業ができるようになり、オペレーターは最初にサンプリングボタン104で設定するだけで、アクセル操作を殆どすることなく作業ができるようになり、運転操作を簡単することができ、疲労も軽減できたのである。
また、エンジンの回転数が圃場条件に合った最適回転数で作業ができるようになり、作業効率が向上し、植付状態も良好に保つことができるようになった。
【0037】
請求項2の如く、電子ガバナー機構付きエンジンを搭載した乗用田植機において、エンジン回転数、走行変速レバーの回動位置、アクセルレバー位置、圃場表面の硬軟、耕盤の深さ、水深をそれぞれセンサーで検知し、設定作業域内の作業時において、サンプリングボタン104を押すことにより、前記センサーの検出値をサンプリングしてコントローラに記憶し、前記センサーにより検出し記憶した値から、圃場表面の硬軟に対する最適走行速度、耕盤の深さに対する最適走行速度、水深に対する最適走行速度を演算し、設定し、同一圃場内の残った他の作業域においては、前記サンプリングボタン104を解除することにより、圃場の硬軟、耕盤深さ、水深に対応して設定された最適走行速度に最も近い最適走行速度となるように、走行変速レバーのアクチュエーターを駆動制御するので、圃場条件に合った走行速度に設定して作業ができるようになり、オペレーターは最初に設定するだけで、変速レバー操作を殆どすることなく作業ができるようになり、運転操作を簡単することができ、疲労も軽減できたのである。
また、走行速度が圃場条件に合った最適走行速度で作業ができるようになり、作業効率が向上し、植付状態も良好に保つことができるようになったのである。
【0038】
請求項3の如く、請求項1又は請求項2記載の電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機において、それぞれの演算し設定された最適回転数に最も近い回転数又は最適走行速度は、それぞの回転数または走行速度の平均値、又は、何れか一つまたは二つの条件を優先した回転数または走行速度、又は上下の回転数または走行速度を除いた回転数とするので、オペレーターによっては、作業速度や植付深さ等の好みが異なり、天候や圃場の状態で水深や圃場表面の硬軟も異なる場合も、オもレーターの好みにより、最適値を選択することが可能となったのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 乗用田植機の全体側面図。
【図2】 同じく乗用田植機の全体平面図。
【図3】 ボンネット9内に搭載したエンジンEの図面。
【図4】 左右の機体フレーム3・3の間に配置したベルト式無段変速ケース59と、クラッチケース58と、ミッションケース4の構成を示す平面図。
【図5】 同じく、ベルト式無段変速ケース59とミッションケース4とリアアクスルケース7の部分の側面図。
【図6】 リンク機構27と植付部15の部分を示す側面図。
【図7】 6条用の側条施肥機36の部分の平面図。
【図8】 6条用の側条施肥機36の部分の後面図。
【図9】 本発明の電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機の制御機構のブロック線図。
【図10】 電子ガバナー機構を示す正面断面図と側面図。
【図11】 本発明の電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機の制御応答図。
【図12】 乗用田植機のアイソクロノス制御と逆ドループ制御を示す図面。
【図13】 エンジンEの許容出力制御を示す図面。
【図14】 エコモード制御を示す図面。
【図15】 乗用田植機の植付昇降兼作業走行変速レバー30の操作ガイド板を示す平面図。
【図16】 乗用田植機の走行変速レバー29の操作ガイド板を示す図面。
【図17】 センターフロートとサイドフロートの平面図。
【図18】 センターフロートの側面図。
【符号の説明】
C コントローラ
E エンジン
G 電子ガバナー機構
P 燃料噴射ポンプ
1 アクセルレバー
2 燃料噴射量調節ラック
5 ラックアクチュエータ
8 後輪
11 ラック位置センサー
12 回転数センサ
22 アクセルレバー位置センサ
29 走行変速レバー
29a 位置センサー
30 植付昇降兼作業走行変速レバー
30a 位置センサー
30b 変速アクチュエーター
97 硬軟検出センサー
100 水深センサー
104 サンプリングボタン
105 騒音モード切換スイッチ

Claims (3)

  1. 電子ガバナー機構付きエンジンを搭載した乗用田植機において、
    エンジン回転数、走行変速レバーの回動位置、アクセルレバー位置、圃場表面の硬軟、耕盤の深さ、水深をそれぞれセンサーで検知し、
    設定作業域内の作業時において、サンプリングボタン104を押すことにより、前記センサーの検出値をサンプリングしてコントローラに記憶し、前記センサーにより検出し記憶した値から、圃場表面の硬軟に対するエンジンの最適回転数、耕盤の深さに対するエンジンの最適回転数、水深に対するエンジンの最適回転数を演算して、設定し、
    同一圃場内の残った他の作業域においては、前記サンプリングボタン104を解除することにより、圃場の硬軟、耕盤深さ、水深に対応して設定された最適回転数に最も近い回転数となるように、エンジンEのラックアクチュエーターを駆動制御することを特徴とする電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機。
  2. 電子ガバナー機構付きエンジンを搭載した乗用田植機において、
    エンジン回転数、走行変速レバーの回動位置、アクセルレバー位置、圃場表面の硬軟、耕盤の深さ、水深をそれぞれセンサーで検知し、
    設定作業域内の作業時において、サンプリングボタン104を押すことにより、前記センサーの検出値をサンプリングしてコントローラに記憶し、前記センサーにより検出し記憶した値から、圃場表面の硬軟に対する最適走行速度、耕盤の深さに対する最適走行速度、水深に対する最適走行速度を演算し、設定し、
    同一圃場内の残った他の作業域においては、前記サンプリングボタン104を解除することにより、圃場の硬軟、耕盤深さ、水深に対応して設定された最適走行速度に最も近い走行速度となるように、走行変速レバーのアクチュエーターを駆動制御することを特徴とする電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機。
  3. 請求項1又は請求項2記載の電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機において、それぞれの演算し設定された最適回転数に最も近い回転数又は走行速度は、それぞの回転数または走行速度の平均値、又は、何れか一つまたは二つの条件を優先した回転数または走行速度、又は上下の回転数または走行速度を除いた回転数とすることを特徴とする電子ガバナー機構付エンジン搭載乗用田植機。
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