JP2017096396A - 半割軸受 - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、内燃機関におけるクランクシャフト1を例示する図である。クランクシャフト1においては、主軸受10、コンロッド軸受20、およびクランクワッシャ30が用いられる。主軸受10は、シリンダブロック(図示略)のハウジング(図示略)に装着してクランクシャフト1のジャーナルを把持し、クランクシャフト1を支える軸受である。コンロッド軸受20は、コネクティングロッド2に装着してクランクシャフト1のピンを把持し、コネクティングロッド2を支える軸受である。クランクワッシャ30は、主軸受10と組み合わせて用いられ、クランクシャフト1の軸方向の力を支える軸受である。クランクワッシャ30は、クランクシャフト1およびシリンダブロックの軸方向の位置決めをする機能も有する。
図7は、半割軸受11の製造方法を例示する図である。ステップS1において、軸受本体が半円筒形状に成形される。ステップS2において、摺動面に太溝が形成される。ステップS3において、摺動面に細溝が形成される。ステップS4において、仕上げ処理が行われる。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
図10は、変形例1に係る油溝116の構造を示す図である。この例で、細溝1162の深さは均一ではなく、細溝1162の合せ面寄りの端部の深さは、中央寄りの端部の深さよりも浅い。細溝1162は、図10(A)の例では合せ面に向かって徐々に浅くなっている。この例によれば、細溝1162の深さが均一で合せ面まで達している例と比較して合せ面からの漏れ油量を低減することができる。
図11は、変形例2に係る油溝116の構造を示す図である。この例で、細溝1162の深さは均一でなく、細溝1162は合せ面まで達していない。すなわち細溝1162は、合せ面に達する前に深さがゼロになっている(以下この状態を溝が「切り上がっている」という)。この例では、軸受本体111の中心部から見てクラッシリリーフの手前で細溝1162が切り上がっている。この例によれば、太溝1161がクラッシリリーフまで達している例と比較して合せ面からの漏れ油量を低減することができる。
図12は、変形例3に係る油溝116の構造を示す図である。この例で、細溝1162の深さは均一でなく、細溝1162は合せ面まで達していない。すなわち細溝1162は、合せ面に達する前に切り上がっている。この例では、クラッシリリーフ内で細溝1162が切り上がっている。この例によれば、細溝1162が合せ面まで達している例と比較して合せ面からの漏れ油量を低減することができる。
図13は、変形例4に係る油溝116の構造を示す図である。この例で、太溝1161の深さは均一であるが細溝1162の深さは均一でなく、細溝1162は合せ面まで達している。細溝1162は、合せ面に向かって徐々に浅くなっており、合せ面において最も浅くなっている。太溝1161と細溝1162との境界において、両者の深さは同一である。すなわち太溝1161から細溝1162まで深さは滑らかに変化している。この例によれば、細溝1162の深さが均一で合せ面まで達している例と比較して容易に加工をすることができる。
図14は、変形例5に係る油溝116の構造を示す図である。この例で、細溝1162は、クランクシャフト1の回転方向の上流側と下流側とで非対称である。より詳細には、回転方向の上流側において細溝1162は存在せず、下流側のみ細溝1162が存在する。細溝1162の深さは均一である。この例によれば、上流側の合せ面からの潤滑油の漏れを低減することができる。なお、上流側に、下流側より短い(かつ長さがゼロでない)細溝1162が形成されていてもよい。
図15は、変形例6に係る油溝116の構造を示す図である。この例で、細溝1162は、クランクシャフト1の回転方向の上流側と下流側とで非対称である。より詳細には、回転方向の上流側において細溝1162は存在せず、下流側のみ細溝1162が存在する。細溝1162の深さは均一でなく、合せ面に向かって徐々に浅くなっている。この例によれば、回転方向の上流側と下流側とで細溝1162が対称である例と比較して、上流側の合せ面からの漏れ油量を低減することができる。また、回転方向の少なくとも下流側において細溝1162が合せ面まで達していることにより、細溝1162が合せ面に達していない場合と比較して異物の排出性を向上させることができる。
太溝1161および細溝1162の少なくとも一方の溝幅は均一でなくてもよい。例えば、太溝1161は、回転方向の中心部近辺ほど太く、端部に向かって細くなっていてもよい。また、細溝1162は、合せ面に向かって細くなっていてもよい。この例によれば、細溝1162の溝幅が合せ面まで均一である例と比較して、合せ面からの漏れ油量を低減することができる。
図16は、変形例8に係る油溝116の構造を示す図である。この例で、細溝1162はクラッシリリーフの外まで延びている。太溝1161は、クラッシリリーフ以外の全域ではなく、クラッシリリーフ以外の領域の一部のみに形成されている。太溝1161は、軸方向に垂直な断面における内径円(摺動面に内接する仮想円)の中心Ccから見て軸受本体111の中心Cbを基準として少なくとも±30°の範囲に形成されていればよい。油溝116が保持する油量を確保するという観点からは太溝1161が形成される範囲は広い方が好ましく、例えば太溝1161は中心Cbを基準として少なくとも±45°の範囲に形成されていることがより好ましく、少なくとも±60°の範囲に形成されていることがさらに好ましい。
軸受本体111を構成する材料は実施形態で例示したものに限定されない。軸受本体111は、裏金およびライニング層に加え、オーバレイ層を有してもよい。オーバレイ層は、ライニング層の摩擦係数、なじみ性、耐腐食性、および異物埋収性(異物ロバスト性)等の特性を改善するための層である。オーバレイ層は、例えば、少なくともバインダー樹脂を含む。バインダー樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂が用いられる。具体的には、バインダー樹脂は、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルケーテルケトン樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂のうち少なくとも一種を含む。オーバレイ層は、さらに固体潤滑材を含んでもよい。固体潤滑材は、摩擦特性を改善するために添加される。固体潤滑剤は、例えば、MoS2、WS2、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、グラファイト、h−BN、およびSB2O3のうち少なくとも一種を含む。例えばMoS2は、良好な潤滑性を与える。また、PTFEは分子間凝集力が小さいので、摩擦係数を低減する効果がある。さらに、グラファイトは濡れ性を向上させ、初期なじみ性を向上させる。初期なじみ性とは、摺動開始後に相手材と摺接する際、摺動面が摩耗して平滑になり、摺動性を向上させる性質である。初期なじみ性の発現により摺動性が向上すると、摺動層全体としての摩耗量が低減される。
2…コネクティングロッド
10…主軸受
11…半割軸受
111…軸受本体
112…内周面
113…外周面
114…合せ面
115…合せ面
116…油溝
1161…太溝
1162…細溝
117…油孔
12…半割軸受
20…コンロッド軸受
30…クランクワッシャ
Claims (10)
- 軸と摺動する摺動面となる内周面および他の半割軸受と接触する合せ面を有する半円筒形状を有する軸受本体と、
前記摺動面に設けられ、前記軸の回転方向に伸びる油溝と
を有し、
前記軸が伸びる軸方向に平行な断面において前記油溝が曲線形状を有し、
前記軸方向に垂直な断面における前記摺動面に内接する仮想円の中心から見て前記軸受本体の中心を基準として少なくとも±30°の範囲において、前記摺動面側から見た前記油溝の幅が均一であり、
前記範囲の外の領域のうち少なくとも前記回転方向の下流側において、前記油溝の幅が当該範囲における当該油溝の幅よりも狭い
半割軸受。 - 前記油溝は、前記範囲を越えると前記合せ面に向かって浅くなる
ことを特徴する請求項1に記載の半割軸受。 - 前記軸受本体はクラッシリリーフを有し、
前記軸の回転方向の下流側において、前記油溝の深さが、前記クラッシリリーフよりも前記軸受本体の中央側の位置において最小となる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半割軸受。 - 前記軸受本体はクラッシリリーフを有し、
前記軸の回転方向の下流側において、前記油溝の深さが、前記クラッシリリーフ内の位置において最小となる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半割軸受。 - 前記軸の回転方向の下流側において、前記油溝の深さが、前記合せ面内の位置において最小となる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半割軸受。 - 前記軸受本体はクラッシリリーフを有し、
前記油溝は、少なくとも前記軸の回転方向の下流側の、前記クラッシリリーフから前記合せ面までの範囲において、前記軸受本体の中央部における当該油溝の幅よりも狭い均一の幅を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半割軸受。 - 前記油溝は、前記軸の回転方向の上流側の、前記クラッシリリーフから前記合せ面までの範囲において、前記軸受本体の中央部における当該油溝の幅よりも狭い均一の幅を有する
ことを特徴とする請求項6に記載の半割軸受。 - 前記軸の回転方向の上流側において、前記油溝が前記合せ面まで達していない
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の半割軸受。 - 前記油溝の幅が、前記範囲を越えた位置から前記合せ面に向かって徐々に細くなる
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の半割軸受。 - 前記油溝の深さが、前記範囲を越えた位置から前記合せ面に向かって徐々に浅くなる
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の半割軸受。
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