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JP2019011815A - 半割軸受 - Google Patents

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JP2019011815A
JP2019011815A JP2017128682A JP2017128682A JP2019011815A JP 2019011815 A JP2019011815 A JP 2019011815A JP 2017128682 A JP2017128682 A JP 2017128682A JP 2017128682 A JP2017128682 A JP 2017128682A JP 2019011815 A JP2019011815 A JP 2019011815A
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慎吾 井口
Shingo Iguchi
慎吾 井口
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Abstract

【課題】回転軸と半割軸受との間に異物が入るのを抑える。【解決手段】溝17は、合せ面15とクラッシリリーフ13との間に設けられた溝であり、合せ面15から凹み、合せ面15より−x方向側に形成されている。溝17は、y軸方向に沿って設けられている。溝18は、合せ面16とクラッシリリーフ14との間に設けられた溝であり、合せ面16から凹み、合せ面16より+x方向側に形成されている。溝18は、y軸方向に沿って設けられている。溝17の軸側の壁の高さは、軸方向の中央から軸方向の端面側へ向かって低くなっており、溝18の軸側の壁の高さは、軸方向の中央から軸方向の端面側へ向かって低くなっている。【選択図】図2

Description

本発明は、半割軸受に関する。
内燃機関では、コネクティングロッドを回転可能に支えるために、一対の半円筒形の軸受(半割軸受という)を突き合せたすべり軸受が用いられている。この軸受においては、潤滑油が回転軸と軸受の間に供給され、回転軸の回転に伴って油膜が形成されて回転軸が軸受から離れ、回転軸が油膜で支持されて回転する。
供給される潤滑油には異物が混ざることがあり、この異物が半割軸受の摺動面と回転軸との間に入り込むと焼き付きに至る。このような焼き付きを防ぐ発明として、例えば、特許文献1に開示されたすべり軸受がある。このすべり軸受は、クラッシリリーフ内から円周方向にわたってダストポケットを有しており、潤滑油内の異物は、ダストポケットに収まる。
特許第5234107号公報
特許文献1に開示されたすべり軸受においては、潤滑油内の異物はダストポケットに収まるが、異物が半割軸受の摺動面と回転軸との間に入るのを防ぐために、半割軸受の形状について改善の余地があった。
本発明は、回転軸と半割軸受との間に異物が入るのを抑えることを目的とする。
本発明は、軸を支える内周面および対となる他の半割軸受に突き合される二つの合せ面を有する半円筒形状の半割軸受であって、前記合せ面より内周面側に形成されたクラッシリリーフと、少なくとも一方の前記合せ面と当該合せ面に近い前記クラッシリリーフとの間に形成され、当該クラッシリリーフの当該合せ面側の端より当該合せ面と反対方向へ凹み、軸方向の両端面の少なくとも一方の端面に通じる溝を有し、前記溝の前記軸側の壁の高さは、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面に向かって低くなり、前記溝の底は、前記軸方向の一方側が他方側より低い、前記軸方向の端面側が両端面の間の予め定められた位置より低い、または水平である半割軸受を提供する。
本発明においては、前記合せ面に平行な仮想面を前記溝の底から引いた際に、前記壁において前記仮想面と前記内周面側で交わる点を点A、前記壁において前記仮想面と前記溝側で交わる点を点Bとし、前記仮想面において前記点Aから伸ばした垂線と前記合せ面を延伸した仮想面との交点を点Cとし、前記仮想面において前記点Bから伸ばした垂線と前記合せ面を延伸した仮想面との交点を点Dとした場合、前記壁の頂点は、前記点A、前記点B、前記点Cおよび前記点Dで囲まれた範囲内にある構成であってもよい。
また、本発明においては、前記溝の底から前記クラッシリリーフまでの距離は、前記軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端に向かうにつれて短い構成であってもよい。
本発明によれば、回転軸と半割軸受との間に異物が入るのを抑えることができる。
本発明の第1実施形態に係る半割軸受10の平面図。 半割軸受10の正面図。 半割軸受10の周方向の端部を内周面側から見た図。 半割軸受10の断面と合せ面近傍を拡大した図。 半割軸受20を半割軸受10側から見た図。 半割軸受20の正面図。 半割軸受20の周方向の端部を内周面側から見た図。 半割軸受10と半割軸受20をコネクティングロッドに組み付けたときの溝17と溝27の付近の断面の拡大図。 第2実施形態に係る半割軸受10Aの平面図。 半割軸受10Aを内周面側から見た図。 第3実施形態に係る半割軸受10Bの平面図。 半割軸受10Bを内周面側から見た図。 溝の壁の形状の変形例を示した図。 溝の変形例を示した図。 溝の変形例を示した図。
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態に係る半割軸受10について図を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る半割軸受10の平面図であり、図2は、半割軸受10の正面図である。また、図3は、半円筒形状の半割軸受10の周方向の端部を内周面側から見た図である。図においては、直交するx軸、y軸およびz軸で方向を示している。図において座標系を表す記号のうち、円の中に交差する2本線が描かれた記号は、紙面手前側から奥側に向かう矢印を表し、円の中に黒の円が描かれた記号は、紙面奥側から手前に向かう矢印を表す。また、図面の座標系においては、x軸に沿う方向をx軸方向という。また、x軸方向のうち、x成分が増加する方向を+x方向といい、x成分が減少する方向を−x方向という。y、z成分についても、上記の定義に沿ってy軸方向、+y方向、−y方向、z軸方向、+z方向、−z方向と定義する。なお、図面においては、形状や位置関係を容易に理解できるように実際の寸法とは異ならせてある。
半割軸受10は、半円筒形状に成形されており、後述する上側の半割軸受20と突き合せて円筒状のすべり軸受を形成し、回転軸を支える。つまり、半割軸受10は、すべり軸受の下側となる半割軸受であり、本発明に係る半割軸受の一例である。本実施形態に係る半割軸受10と半割軸受20は、内燃機関におけるコネクティングロッドに装着され、クランクピンを把持し、コネクティングロッドを支える。なお、半割軸受10と半割軸受20に支持される回転軸は、y軸方向に沿って支持され、図2においては時計方向に回転する。
半割軸受10は、半円筒形状の外面となる外周面11と、回転軸を支える内周面12を有する。半割軸受10は、外周面11側から内周面12側に向かって裏金、ライニング層およびオーバレイ層の3層構造となっている。なお、図においては、図面が煩雑になるのを防ぐため、裏金、ライニング層およびオーバレイ層を区別した図示を省略している。裏金は、ライニング層の機械的強度を補強するための層である。裏金は、例えば、鋼で形成される。
本実施形態においては、半割軸受10の肉厚は均一ではなく、図1のx軸方向の中心部ほど厚く、中心部から周方向の端部(合せ面)に向かうにつれ薄くなっている。これは、内径仕上円(内周面12の描く円)の中心が、外径円(外周面11が描く円)の中心から外側に偏心している(ずれている)ためである。この偏心により、いわゆるオイルリリーフが形成される。オイルリリーフとは、内径仕上円と、原点を外径円と同じとして外径円より半径が短い円である内径基準円との隙間をいう。オイルリリーフの深さ(量)は、合せ面から所定の高さ(例えば6〜13mm)を基準として測定され、例えば、0.005〜0.025mmである。オイルリリーフは、合せ面付近のオイルクリアランスを拡大し、くさび膜圧力の形成を助ける。また、さらに、オイルリリーフは、油膜の形成を助け、油量を増加させ軸受を冷却させる。
ライニング層は、軸受としての特性、例えば、摩擦特性、耐焼付性、耐摩耗性、なじみ性、異物埋収性(異物ロバスト性)、および耐腐食性等の特性を与えるための層である。ライニング層は、軸受合金で形成されている。ライニング層は、軸との凝着を防ぐため、軸と同じ材料系は避け、軸とは別の材料系が用いられる。例えば、鋼で形成された軸の軸受として半割軸受10が用いられる場合、アルミニウム合金が軸受合金として用いられる。なおアルミニウム合金以外にも、銅合金など、アルミニウム以外の金属をベースにした合金が用いられてもよい。
オーバレイ層は、軸を支持する内周面を形成し、ライニング層の摩擦係数、なじみ性、耐腐食性、および異物埋収性(異物ロバスト性)等の特性を改善するための層である。オーバレイ層は、例えば、少なくともバインダー樹脂を含む。バインダー樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂が用いられる。具体的には、バインダー樹脂は、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルケーテルケトン樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂のうち少なくとも一種を含む。オーバレイ層は、さらに固体潤滑材を含んでもよい。固体潤滑材は、摩擦特性を改善するために添加される。固体潤滑剤は、例えば、MoS2、WS2、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、グラファイト、h−BN、およびSB23のうち少なくとも一種を含む。例えばMoS2は、良好な潤滑性を与える。また、PTFEは分子間凝集力が小さいので、摩擦係数を低減する効果がある。さらに、グラファイトは濡れ性を向上させ、初期なじみ性を向上させる。初期なじみ性とは、摺動開始後に相手材と摺接する際、摺動面が摩耗して平滑になり、摺動性を向上させる性質である。初期なじみ性の発現により摺動性が向上すると、摺動層全体としての摩耗量が低減される。なお、本実施形態においては、半割軸受10は、オーバレイ層を備える構成であるが、オーバレイ層を備えず裏金とライニング層の2層構造であってもよい。
半割軸受10は、クラッシリリーフ13、クラッシリリーフ14、合せ面15、合せ面16、溝17および溝18を有する。合せ面15は、上側の半割軸受20の合せ面に突き合される面であって、半割軸受10が支える回転軸の回転方向上流側の合せ面であり、合せ面16は、上側の半割軸受20の合せ面に突き合される面であって、半割軸受10が支える回転軸の回転方向下流側の合せ面である。
溝17は、合せ面15から凹んだ溝であり、合せ面15とクラッシリリーフ13との間に形成されている。図3(a)に示したように、溝17は、y軸方向(軸方向)に沿って設けられ、底のz軸方向の位置は、軸方向に均一となっており、軸方向の両端面に達している。溝17の+x方向側の縁は、合せ面15の−x方向側の縁となっている。溝17の縁の位置をz軸方向で見ると、溝17の−x方向側の縁の位置は、溝17の+x方向側の縁の位置より低い位置となっている。
図4(a)は、図3(a)のA−A線断面図、図4(b)は、図3(a)のB−B線断面図、図4(c)は、合せ面15の近傍を−y方向から+y方向へ見た図である。図4(a)〜(c)に示したように、溝17の底から溝17の−x方向側の縁までの高さは、y軸方向の中央部からy軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。換言すると、溝17の軸側の壁w1の高さは、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。なお、壁w1の高さの基準は、溝17の底としている。
溝18は、合せ面16から凹んだ溝であり、合せ面16とクラッシリリーフ14との間に形成されている。図3(b)に示したように、溝18は、y軸方向に沿って設けられ、底のz軸方向の位置は、軸方向に均一となっており、軸方向の両端面に達している。溝18の−x方向側の縁は、合せ面16の+x方向側の縁となっている。溝18の縁の位置をz軸方向で見ると、溝18の+x方向側の縁の位置は、溝18の−x方向側の縁の位置より低い位置となっている。
溝18の底から溝18の+x方向側の縁までの高さは、溝17と同じく、y軸方向の中央部からy軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。換言すると、溝18の軸側の壁w2の高さは、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。なお、壁w2の高さの基準は、溝18の底としている。
溝17と溝18は、例えば切削加工により形成される。合せ面15から溝17の底までの深さは、y軸方向に均一となっており、合せ面16から溝18の底までの深さも、y軸方向に均一となっている。本実施形態においては、溝17の深さと溝18の深さは同じとなっているが、異なる深さであってもよい。また、本実施形態においては、溝17のx軸方向の幅と溝18のx軸方向の幅は同じとなっているが、異なる幅であってもよい。
半割軸受10においては、内周面12側を切削加工して溝17と溝18を形成した後、例えば、内周面12側にパッド印刷によりオーバレイ層を形成する。これにより、溝17および溝18の部分にはオーバレイ層がなく、ライニング層が露出している。
クラッシリリーフ13は、回転軸の回転方向上流側のクラッシリリーフであり、溝17の−x方向側の縁に接している。クラッシリリーフ14は、回転軸の回転方向下流側のクラッシリリーフであり、溝18の+x方向側の縁に接している。クラッシリリーフとは、半割軸受10の内周面側において、半割軸受10のy軸方向の幅全体に設けた、幅の広い逃がしである。クラッシリリーフは、半割軸受10と半割軸受20をコネクティングロッドに組み付け、合せ面近傍の内周面12の回転軸側への倒れ込みが発生したときに、回転軸との接触を防ぐためのものである。また、クラッシリリーフは、潤滑作用を果たした潤滑油を合せ面近傍において排出してすべり軸受を冷却する効果や、内周面12側に侵入した異物を排出する効果を奏する。
次に、半割軸受20について説明する。図5は、半割軸受10と対となる上側の半割軸受20を半割軸受10側から見た図であり、図6は、半割軸受20の正面図である。半割軸受20も、半割軸受10と同様に半円筒形状に成形されており、中心部ほど厚く、中心部から端部(合せ面)に向かうにつれ薄くなっており、オイルリリーフが形成されている。
半割軸受20は、半円筒形状の外面となる外周面21と、回転軸を支える内周面22を有する。半割軸受20は、外周面21側から内周面22側に向かって裏金、ライニング層およびオーバレイ層の3層構造となっている。なお、図6においては、図面が煩雑になるのを防ぐため、裏金、ライニング層およびオーバレイ層を区別した図示を省略している。
半割軸受20は、クラッシリリーフ23、クラッシリリーフ24、合せ面25、合せ面26、溝27および溝28を有する。合せ面25は、合せ面15に突き合される面であって、半割軸受20が支える回転軸の回転方向下流側の合せ面であり、合せ面26は、合せ面16に突き合される面であって、半割軸受20が支える回転軸の回転方向上流側の合せ面である。
溝27は、合せ面25から凹んだ溝であり、合せ面25とクラッシリリーフ23との間に形成されている。図7(a)に示したように、溝27は、y軸方向に沿って設けられ、底のz軸方向の位置は、y軸方向に均一となっており、軸方向の両端面に達している。溝27の+x方向側の縁は、合せ面25の−x方向側の縁となっている。半割軸受20をコネクティングロッドに組み付けたときの溝27の縁の位置をz軸方向で見ると、溝27の−x方向側の縁の位置は、溝27の+x方向側の縁の位置より高い位置となっている。
溝27の底から溝27の−x方向側の縁までの高さは、溝17と同じく、軸方向の中央部から端面側へ向かって低くなる構成となっている。換言すると、溝27の軸側の壁w3の高さは、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。なお、壁w3の高さの基準は、溝27の底としている。
溝28は、合せ面26から凹んだ溝であり、合せ面26とクラッシリリーフ24との間に形成されている。図7(b)に示したように、溝28は、y軸方向に沿って設けられ、底のz軸方向の位置は、軸方向に均一となっており、軸方向の両端面に達している。溝28の−x方向側の縁は、合せ面26の+x方向側の縁となっている。半割軸受20をコネクティングロッドに組み付けたときのz軸方向で見ると、溝28の+x方向側の縁の位置は、溝28の−x方向側の縁の位置より高い位置となっている。
溝28の底から溝28の+x方向側の縁までの高さは、溝17と同じく、軸方向の中央部から端面側へ向かって低くなる構成となっている。換言すると、溝28の軸側の壁w4の高さは、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。なお、壁w4の高さの基準は、溝28の底としている。
溝27と溝28は、例えば切削加工により形成される。合せ面25から溝27の底までの深さは、y軸方向に均一となっており、合せ面26から溝28の底までの深さも、y軸方向に均一となっている。本実施形態においては、溝27の深さと溝28の深さは同じとなっているが、異なる深さであってもよい。また、本実施形態においては、溝27のx軸方向の幅と溝28のx軸方向の幅は同じとなっているが、異なる幅であってもよい。
半割軸受20は、内周面22側を切削加工して溝27と溝28を形成した後、例えば、内周面22側にパッド印刷によりオーバレイ層を形成する。これにより、溝27および溝28の部分にはオーバレイ層がなく、ライニング層が露出している。
クラッシリリーフ23は、回転軸の回転方向下流側のクラッシリリーフであり、溝27の−x方向側の縁に接している。クラッシリリーフ14は、回転軸の回転方向下流側のクラッシリリーフであり、溝18の+x方向側の縁に接している。
図8は、半割軸受10と半割軸受20をコネクティングロッドに組み付けたときの溝17と溝27の付近を拡大した図である。クランクピン1から供給される潤滑油に異物2が混ざっていても、図8に示したように異物2が溝17に収まるため、異物2がクランクピン1とすべり軸受との間に入るのを抑えることができる。また、溝17、溝18、溝27および溝28は、軸方向の端面に通じているため、溝に収まった異物2を軸方向の端面から半割軸受の外部に排出することができる。また、溝17、溝18、溝27および溝28は、形成が容易な形状であるため、加工に手間がかかることがなく、製造のコストを抑えることができる。また、溝17、溝18、溝27および溝28については、クランクピン1(回転軸)側にある壁の高さは、軸方向(y軸方向)の端面側に向かうにつれて低くなっているため、クランクピン1(回転軸)が壁の縁により傷つけられにくくなる。
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について説明する。図9は、本発明の第2実施形態に係る半割軸受10Aの平面図であり、図10は、半割軸受10Aを内周面側から見た図である。第2実施形態に係る半割軸受10Aは、すべり軸受の下側となる半割軸受であり、本発明に係る半割軸受の一例である。半割軸受10Aは、異物2が収まる溝の構成が第1実施形態の半割軸受10と異なる。なお、以下の説明においては、半割軸受10と同じ構成については、図面において同じ符号を付し、その説明を省略する。
第2実施形態に係る半割軸受10Aは、溝17Aと溝18Aを有する。溝17Aは、合せ面15から凹んだ溝であり、合せ面15とクラッシリリーフ13との間に形成されている。図10(a)に示したように、溝17Aは、−x方向側から見ると、y軸方向の中央位置からy軸方向の端面に向かって傾斜しており、底のz軸方向の位置は、y軸方向の中央の位置が高く、y軸方向の端の位置が低くなっている。換言すると、溝17Aの軸方向の一方の端の底から合せ面15までの距離をta、溝17Aの軸方向の他方の端の底から合せ面15までの距離をtbとした場合、溝17Aの軸方向の両端の間の底から合せ面15までの距離tcは、ta≧tb≧tcである。また、溝17Aの+x方向側の縁は、合せ面15の−x方向側の縁となっている。溝17Aの縁の位置をz軸方向で見ると、溝17Aの−x方向側の縁の位置は、溝17Aの+x方向側の縁の位置より低い位置となっている。溝17Aの底から溝17Aの−x方向側の縁までの高さは、溝17と同じく、y軸方向の中央部からy軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。換言すると、溝17Aの軸側の壁w1Aの高さは、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。なお、壁w1Aの高さの基準は、溝17Aの底としている。
溝18Aは、合せ面16から凹んだ溝であり、合せ面16とクラッシリリーフ14との間に形成されている。図10(b)に示したように、溝18Aは、+x方向側から見ると、y軸方向の中央位置からy軸方向の端面に向かって傾斜しており、底のz軸方向の位置は、y軸方向の中央の位置が高く、y軸方向の縁側の位置が低くなっている。換言すると、溝18Aの軸方向の一方の端の底から合せ面15までの距離をta、溝18Aの軸方向の他方の端の底から合せ面15までの距離をtbとした場合、溝18Aの軸方向の両端の間の底から合せ面15までの距離tcは、ta≧tb≧tcである。また、溝18Aの−x方向側の縁は、合せ面16の+x方向側の縁となっている。z軸方向で見ると、溝18Aの+x方向側の縁の位置は、溝18Aの−x方向側の縁の位置より低い位置となっている。溝18Aの底から溝18Aの−x方向側の縁までの高さは、溝18と同じく、y軸方向の中央部からy軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。換言すると、溝18Aの軸側の壁w2Aの高さは、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。なお、壁w2Aの高さの基準は、溝18Aの底としている。
なお、本実施形態においては、溝17Aの深さと溝18Aの深さは同じとなっているが、異なる深さであってもよい。また、本実施形態においては、溝17Aのx軸方向の幅と溝18Aのx軸方向の幅は同じとなっているが、異なる幅であってもよい。
本実施形態においても、クランクピン1から供給される潤滑油に異物2が混ざっていても、異物2が溝17Aに収まるため、異物2がクランクピン1とすべり軸受との間に入るのを抑えることができる。また、溝17Aと溝18Aは、形成が容易な形状であるため、加工に手間がかかることがなく、製造のコストを抑えることができる。また、溝17Aと溝18Aは、軸方向の中央から端面に向かって傾斜しているため、溝に収まった異物2を潤滑油とともに軸方向の端面から半割軸受の外部に排出することができる。また、溝17および溝18については、回転軸側にある壁の高さは、軸方向(y軸方向)の端面側に向かうにつれて低くなっているため、回転軸が壁の縁により傷つけられにくくなる。なお、半割軸受10Aと組となる上側の半割軸受20においても、溝27に替えて溝17と同じ構成の溝を形成し、溝28に替えて溝18と同じ構成の溝を形成してもよい。
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態について説明する。図11は、本発明の第3実施形態に係る半割軸受10Bの平面図であり、図12は、半割軸受10Bを内周面側から見た図である。第3実施形態に係る半割軸受10Bは、すべり軸受の下側となる半割軸受であり、本発明に係る半割軸受の一例である。半割軸受10Bは、異物2が収まる溝の構成が第1実施形態の半割軸受10と異なる。なお、半割軸受10と同じ構成については、図面において同じ符号を付し、その説明を省略する。
第3実施形態に係る半割軸受10Bは、溝17Bと溝18Bを有する。溝17Bは、合せ面15から凹んだ溝であり、合せ面15とクラッシリリーフ13との間に形成されている。図12(a)に示したように、溝17Bは、−x方向側から見ると、y軸方向の一方の縁側から他方の縁側に向かって傾斜しており、底のz軸方向の位置は、+y方向側が高く、−y方向側が低くなっている。換言すると、溝17Bの軸方向の一方の端の底から合せ面15までの距離をta、溝17Bの軸方向の他方の端の底から合せ面15までの距離をtbとした場合、溝17Bの軸方向の両端の間の底から合せ面15までの距離tcは、ta≧tc≧tbである。また、溝17Bの+x方向側の縁は、合せ面15の−x方向側の縁となっている。溝17Bの縁の位置をz軸方向で見ると、溝17Bの−x方向側の縁の位置は、溝17Bの+x方向側の縁の位置より低い位置となっている。溝17Bの底から溝17Bの−x方向側の縁までの高さは、溝17と同じく、y軸方向の中央部からy軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。換言すると、溝17Bの軸側の壁w1Bの高さは、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。なお、壁w1Bの高さの基準は、溝17Bの底としている。
溝18Bは、合せ面16から凹んだ溝であり、合せ面16とクラッシリリーフ14との間に形成されている。図12(b)に示したように、溝18Bは、+x方向側から見ると、y軸方向の一方の縁側から他方の縁側に向かって傾斜しており、底のz方向の位置は、−y方向側が高く、+y方向側が低くなっている。換言すると、溝18Bの軸方向の一方の端の底から合せ面16までの距離をta、溝18Bの軸方向の他方の端の底から合せ面16までの距離をtbとした場合、溝18Bの軸方向の両端の間の底から合せ面15までの距離tcは、ta≧tc≧tbである。また、溝18Bの−x方向側の縁は、合せ面16の+x方向側の縁となっている。溝18Bの縁の位置をz軸方向で見ると、溝18Bの+x方向側の縁の位置は、溝18Bの−x方向側の縁の位置より低い位置となっている。溝18Bの底から溝18Bの−x方向側の縁までの高さは、溝18と同じく、y軸方向の中央部からy軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。換言すると、溝18Bの軸側の壁w2Bの高さは、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。なお、壁w2Bの高さの基準は、溝18Bの底としている。
なお、本実施形態においては、溝17Bの深さと溝18Bの深さは同じとなっているが、異なる深さであってもよい。また、本実施形態においては、溝17Bのx軸方向の幅と溝18Bのx軸方向の幅は同じとなっているが、異なる幅であってもよい。
本実施形態においても、クランクピン1から供給される潤滑油に異物2が混ざっていても、異物2が溝17Bに収まるため、異物2がクランクピン1とすべり軸受との間に入るのを抑えることができる。また、溝17Bと溝18Bは、軸方向の一方の端から他方の端に向かって傾斜しているため、溝に収まった異物2を潤滑油とともに軸方向の端面から半割軸受の外部に排出することができる。また、溝17Bと溝18Bは、形成が容易な形状であるため、加工に手間がかかることがなく、製造のコストを抑えることができる。また、溝17Bおよび溝18Bについては、回転軸側にある壁の高さは、軸方向(y軸方向)の端面側に向かうにつれて低くなっているため、回転軸が壁の縁により傷つけられにくくなる。なお、半割軸受10Bと組となる上側の半割軸受20においても、溝27に替えて溝17Bと同じ構成の溝を形成し、溝28に替えて溝18Bと同じ構成の溝を形成してもよい。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態および以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
上述した実施形態においては、溝の底からクラッシリリーフまでのx軸方向(水平方向)の距離は、y軸方向の中央部からy軸方向の端面側に向かうにつれて短くなる構成、即ち、溝の底の位置が、y軸方向の中央部からy軸方向の端面側に向かうにつれてクラッシリリーフ側に近づく構成であってもよい。
上述した実施形態においては、半割軸受10は、回転軸の回転方向下流側に溝18を備える構成であるが、溝18を備えていない構成であってもよい。また、半割軸受10Aについても溝18Aを備えていない構成としてもよく、半割軸受10Bについても溝18Bを備えていない構成としてもよい。
上述した実施形態においては、半割軸受20は、回転軸の回転方向下流側に溝27を備える構成であるが、溝27を備えていない構成であってもよい。また、半割軸受10Aと組となる半割軸受においても、回転軸の回転方向下流側に異物2が収まる溝を備えていない構成としてもよく、半割軸受10Bと組となる半割軸受においても、回転軸の回転方向下流側に異物2が収まる溝を備えていない構成としてもよい。
本発明においては、溝17、溝18、溝27および溝28の部分にも、上述したオーバレイ層を備える構成であってもよい。
本発明においては、異物2が収まる溝の底の形状や溝の内周面側の縁の形状は、上述した実施形態の形状に限定されるものではない。図13は、異物2が収まる溝の底の形状や溝の内周面側の縁の形状の変形例を示した図であり、変形例に係る半割軸受をx軸方向に切断したときの合せ面15近傍の断面図である。図13(a)に示したように、溝17のクラッシリリーフ13側の縁を鋭角ではなく曲面としてもよい。また、図13(b)に示したように、溝17のクラッシリリーフ13側の縁を鋭角ではなく平坦としてもよい。また、図13(c)に示したように、溝17の底を平坦としてもよく、図13(d)に示したように、溝17の底を曲面としてもよい。また、上述した実施形態においては、異物2が収まる溝は底が鋭角となっているが鋭角でなく鈍角であってもよい。また、図13(e)に示したように、合せ面15に平行な仮想面f1を前記溝の底から引いた際に、壁w5において、仮想面f1と内周面側で交わる点を点A、仮想面f1と溝17で交わる点を点Bとし、仮想面f1において点Aから伸ばした垂線と合せ面15を延伸した仮想面f2との交点を点Cとし、仮想面f1において点Bから伸ばした垂線と合せ面15を延伸した仮想面f2との交点を点Dとした場合、壁w5の頂点が点A、点B、点Cおよび点Dで囲まれた範囲内になる構成としてもよい。この構成によれば、クラッシリリーフ13より軸側に壁w5の頂点が位置しないため、壁w5の頂点で軸を傷つけることがない。また、壁w5の頂点が点Bと点Dを結ぶ線より外周面側に位置しないため、壁w5が溝17を覆うことがない。
上述した第3実施形態においては、合せ面とクラッシリリーフとの間に設けられる溝は、y軸方向の一方の縁側から他方の縁側に向かって直線的に傾斜しているが、図14(a)に示した溝17Fや、図14(b)に示した溝17Gのように曲線的に傾斜している構成であってもよい。また、図14(c)に示した溝17Hのように、段階的に傾斜した構成であってもよい。また、図14(d)に示した溝17Mのように、合せ面とクラッシリリーフとの間に設けられる溝は、溝の一方の端が軸方向の一方の端面に通じ、溝の他方の端が軸方向の端面に達しておらず、合せ面に達している構成であってもよい。溝17F、溝17G、溝17Hおよび溝17Mのいずれにおいても、軸側の壁の高さは、溝の底を基準とし、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。
上述した第2実施形態においては、合せ面とクラッシリリーフとの間に設けられる溝は、y軸方向の中央部からy軸方向の端面側に向かって直線的に傾斜しているが、図15(a)に示した溝17Jのように曲線的に傾斜している構成であってもよい。また、図15(b)に示した溝17Kのようにy軸方向の中央部分では傾斜せず、y軸方向の端面に近い部分から傾斜している構成であってもよい。また、図15(c)に示した溝17Lように、y軸方向の中央部からy軸方向の端面に向かって段階的に傾斜した構成であってもよい。また、図15(d)に示した溝17NAと溝17NBのように、溝の一方の端がy軸方向の一方の端面に通じ、溝の他方の端がy軸方向の端面に達しておらず、合せ面に達している構成の溝を二つ備える構成であってもよい。溝17J、溝17K、溝17L、溝17NAおよび溝17NBのいずれにおいても、軸側の壁の高さは、溝の底を基準とし、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面側へ向かって低くなる構成となっている。
上述した実施形態においては、溝17、溝18、溝27および溝28は、軸方向の両端面に達しているが、軸方向の両端面に達せず、端面の手前まで形成されている構成であってもよい。
本発明においては、溝17、溝18、溝27および溝28は、軸方向の両端面に向かうにつれて幅が広くなる構成であってもよい。
上述した実施形態においては、コネクティングロッドへ半割軸受10と半割軸受20を適用した場合について説明したが、クランクシャフトを支える半割軸受に対して上述した実施形態や変形例の構成を適用してもよい。
1…クランクピン
2…異物
10…半割軸受
11…外周面
12…内周面
13…クラッシリリーフ
14…クラッシリリーフ
15…合せ面
16…合せ面
17、17A、17B、17F、17G、17H、17J、17K、17L、17M、17NA、17NB…溝
18、18A、18B…溝
20…半割軸受
21…外周面
22…内周面
23…クラッシリリーフ
24…クラッシリリーフ
25…合せ面
26…合せ面
27…溝
28…溝
w1、w1A、w1B、w2、w2A、w2B、w3、w4、w5…壁

Claims (3)

  1. 軸を支える内周面および対となる他の半割軸受に突き合される二つの合せ面を有する半円筒形状の半割軸受であって、
    前記合せ面より内周面側に形成されたクラッシリリーフと、
    少なくとも一方の前記合せ面と当該合せ面に近い前記クラッシリリーフとの間に形成され、当該クラッシリリーフの当該合せ面側の端より当該合せ面と反対方向へ凹み、軸方向の両端面の少なくとも一方の端面に通じる溝を有し、
    前記溝の前記軸側の壁の高さは、軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端面に向かって低くなり、
    前記溝の底は、前記軸方向の一方側が他方側より低い、前記軸方向の端面側が両端面の間の予め定められた位置より低い、または水平である
    半割軸受。
  2. 前記合せ面に平行な仮想面を前記溝の底から引いた際に、前記壁において前記仮想面と前記内周面側で交わる点を点A、前記壁において前記仮想面と前記溝側で交わる点を点Bとし、前記仮想面において前記点Aから伸ばした垂線と前記合せ面を延伸した仮想面との交点を点Cとし、前記仮想面において前記点Bから伸ばした垂線と前記合せ面を延伸した仮想面との交点を点Dとした場合、前記壁の頂点は、前記点A、前記点B、前記点Cおよび前記点Dで囲まれた範囲内にある
    請求項1に記載の半割軸受。
  3. 前記溝の底から前記クラッシリリーフまでの距離は、前記軸方向の両端面の間の予め定められた位置から軸方向の端に向かうにつれて短い
    請求項1または請求項2に記載の半割軸受。
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