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JP2017082101A - 難燃性樹脂組成物、及び難燃性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

難燃性樹脂組成物、及び難燃性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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JP2017082101A JP2015212217A JP2015212217A JP2017082101A JP 2017082101 A JP2017082101 A JP 2017082101A JP 2015212217 A JP2015212217 A JP 2015212217A JP 2015212217 A JP2015212217 A JP 2015212217A JP 2017082101 A JP2017082101 A JP 2017082101A
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Abstract

【課題】植物性廃棄物を利用した難燃性に優れた難燃性樹脂組成物、及び難燃性樹脂組成物の製造方法の提供。【解決手段】本発明の難燃性樹脂組成物は、合成樹脂と、ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物からなる担体に難燃剤を担持させてなる担持型難燃剤とを含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物、及び難燃性樹脂組成物の製造方法に関する。
合成樹脂に難燃剤を添加した難燃性樹脂組成物が知られている。この種の難燃性樹脂組成物では、有機系難燃剤、無機系難燃剤等の様々な種類の難燃剤が利用されている。また、特許文献1に示されるように、環境負荷低減等を目的として、植物由来物質(例えば、トマトの茎の粉砕物)からなる難燃剤が用いられる場合もある。
特開2011−241261号公報
難燃剤を合成樹脂に添加する際、難燃剤の溶解性が問題となることがある。難燃剤の溶解性が低いと、難燃剤が合成樹脂中に均一に分散されず、難燃剤が合成樹脂表面から浮き出る等の不具合が生じることがあった。そのため、この種の難燃剤としては、合成樹脂の種類毎に、溶解性が高く相溶性に優れるものが適宜、選択されている。したがって、溶解性(相溶性)の観点より、特定の合成樹脂に対して使用可能な難燃剤は、ある程度限られてしまうのが実情であった。
また、合成樹脂に対して難燃剤を添加し過ぎると、合成樹脂が増粘等することで成形不良等の問題が発生することがあった。つまり、難燃剤は、合成樹脂に対して無制限に添加できるものではなく、限られた添加量の範囲で、合成樹脂に難燃性を付与する必要がある。そのため、難燃剤によっては、合成樹脂に対して最大限に添加しても、得られる難燃性の効果に限界があった。
例えば、合成樹脂に添加する難燃剤として、上記植物由来物質を使用した場合、最終的に得られる樹脂組成物の難燃性は、UL94規格でHB程度(遅燃性)であり、更なる難燃性の向上が求められていた。
本発明の目的は、植物性廃棄物を利用した難燃性に優れた樹脂組成物(難燃性樹脂組成物)、及び前記樹脂組成物(難燃性樹脂組成物)の製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、難燃剤を、ナス科の植物の茎等を粉砕して得た粉砕物に予め付着させた状態で合成樹脂に添加すると、難燃剤を効率的に合成樹脂中に分散配合できると共に、合成樹脂に難燃性を付与できることを見出し、本発明の完成に至った。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 合成樹脂と、ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物からなる担体に難燃剤を担持させてなる担持型難燃剤とを含有する難燃性樹脂組成物。
<2> 前記担持型難燃剤を、前記合成樹脂100質量部に対して、5〜40質量部の割合で含有する前記<1>に記載の難燃性樹脂組成物。
<3> 前記担持型難燃剤は、前記難燃剤を、前記担体100質量部に対して、10〜250質量部の割合で含有する前記<1>又は<2>に記載の難燃性樹脂組成物。
<4> 前記担体の大きさは、1000μm以下である前記<1>〜<3>の何れか1つに記載の難燃性樹脂組成物。
<5> 前記合成樹脂100質量部に対して、5質量部以下の範囲で相溶化剤を含有する前記<1>〜<4>の何れか1つに記載の難燃性樹脂組成物。
<6> 前記合成樹脂は、ポリオレフィン系樹脂からなり、前記ナス科植物は、トマトからなり、前記難燃剤は、リン酸塩からなる前記<1>〜<5>の何れか1つに記載の難燃性樹脂組成物。
<7> 合成樹脂を軟化させる軟化工程と、軟化した合成樹脂に、ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物からなる担体に難燃剤を担持させてなる担持型難燃剤を添加して、前記合成樹脂と前記担持型難燃剤とを混練する混練工程とを有する難燃性樹脂組成物の製造方法。
<8> 前記担体に前記難燃剤を溶媒に分散又は溶解させてなる難燃剤溶液を含浸させて、前記担体に前記難燃剤を担持させる担持工程を有する前記<7>に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
本願発明によれば、植物性廃棄物を利用した難燃性に優れた樹脂組成物(難燃性樹脂組成物)、及び前記樹脂組成物(難燃性樹脂組成物)の製造方法を提供することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物を模式的に表した説明図 担体の製造方法の手順の一例を示すフロー図 担持型難燃剤の製造方法の手順の一例を示すフロー図 難燃性樹脂組成物のペレットの製造方法の手順の一例を示すフロー図 ドリップ装置の構成を模式的に表した説明図 樹脂組成物からなる各試験片における応力とみずみの関係(s−s曲線)を示すグラフ 植物材料からなる試験片の断面写真を示す図 試験片の検出部位I(表皮)におけるEDXの結果を示すグラフ 試験片の検出部位II(表皮と維管束の境界付近)におけるEDXの結果を示すグラフ 試験片の検出部位III(維管束)におけるEDXの結果を示すグラフ 試験片の検出部位IV(維管束と髄との境界付近)におけるEDXの結果を示すグラフ 試験片の検出部位V(髄)におけるEDXの結果を示すグラフ
〔難燃性樹脂組成物〕
本発明の難燃性樹脂組成物は、合成樹脂と、担持型難燃剤とを含有するものからなる。図1は、本発明の難燃性樹脂組成物1を模式的に表した説明図である。図1には、担持型難燃剤5が、合成樹脂2中に分散されている状態の難燃性樹脂組成物1が模式的に示されている。
(担持型難燃剤)
担持型難燃剤は、担体に難燃剤を担持させたものからなる。担体は、ナス科植物に由来する茎及び/葉を粉砕した粉砕物からなる。
(担体)
担体は、難燃剤を担持する部材であり、担体の表面や内部に難燃剤が固定される。
担体として利用されるナス科植物は、果実等の有用な部分が収穫された後に残された状態のものであり、主として、茎、葉、根等からなる。そのような状態のナス科植物から、植物材料として、茎、葉が利用される。なお、担体に利用されるナス科植物の部位としては、茎のみでも良いし、葉のみでも良いし、茎と葉の双方であっても良い。担体に利用されるナス科植物の部位としては、難燃剤を担持させ易い等の理由により、特に茎が好ましい。
ナス科植物に由来する茎等の植物材料(以下、単に「植物材料」と称する場合がある)としては、植物中に含まれる水溶性成分が除去されたものが好ましい。植物中には、糖類(単糖類、二糖類、多糖類等)、植物酵素、アミノ酸等の有機成分、カリウム等の無機成分等の各種水溶性成分が含まれている。このような水溶性成分は、担持型難燃剤が添加されている製品の変色等の原因となる場合があるため、植物材料から、除去することが好ましい。
植物材料から水溶性成分を除去する方法としては、例えば、水、アルコール等の水系溶媒に植物材料を浸漬又は植物材料を前記水系溶媒で洗浄して、植物材料から水溶性成分を抽出除去する方法、凍結乾燥(フリーズドライ)法等が挙げられる。なお、水溶性成分を除去した後の植物材料は、適宜、乾燥される。
後述するように、植物材料を水系溶媒中に浸漬した状態で解砕(粉砕)することで、解砕と同時に水溶性成分の抽出除去を行ってもよい。
また、ナス科植物としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、ナス科ナス属の植物が好ましく、ナス、トマトがより好ましく、トマトが特に好ましい。
担体は、ナス科植物由来の茎等の植物材料が、粉末状に粉砕されたものからなる。植物材料の粉砕方法としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、機械的な方法で、圧縮力、せん断力、摩擦力、衝撃力等を加えて、植物材料を粉砕する方法(機械的粉砕方法)、爆砕等が挙げられる。
なお、機械的粉砕方法では、例えば、高速回転ミル、各種ボールミル(転動ボールミル,振動ミル、遊星ミル)、媒体撹拌式ミル、気流式粉砕機等が利用される。
また、植物材料を、水等の水系溶媒中に浸漬した状態で、水中解砕装置(例えば、ホモジナイザー)を利用して、粉砕(解砕)してもよい。
植物材料の粉砕は、徐々に粒径が小さくなるように、複数の段階に分けて行ってもよい。例えば、茎等の植物材料を、数センチ程度の大きさに粗粉砕し、その粗粉砕物を更に、数百ミクロン程度まで粉砕(微粉砕)してもよい。
また、植物材料の粉砕により得られた粉砕物は、篩等を利用して、適宜、分級されてもよい。
担体の形状、粒径等は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、担体の粒径(最大直径)は、1000μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましい。
なお、植物材料及びその粉砕物に対して、電磁波、温度、圧力及び薬品を利用した殺菌処理を施してもよい。
ここで、担体の製造方法の一例を、図2を参照しつつ説明する。図2は、担体の製造方法の手順の一例を示すフロー図である。
図2のS1に示されるように、植物材料の茎の粗粉砕が行われる。その後、図2のS2に示されるように、得られた粗粉砕物が水中解砕される。水中解砕後に得られた解砕物は、図2のS3に示されるように、ろ過装置を利用してろ過され、残渣が回収される。回収された残渣は、図2のS4に示されるように、乾燥される。なお、図2のS2〜S4の工程は、複数回繰り返して行ってもよい。乾燥されたろ過残渣は、図2のS5に示されるように、更に細かく粉砕(微粉砕)される。その後、得られた粉砕物を、図2のS6に示されるように、篩い分け(分級)して、目的の粒径範囲の粉砕物を回収することで、担体が得られる(図2のS7参照)。
(難燃剤)
難燃剤は、担体に担持可能な物質であれば、特に制限はないが、担体に担持させ易い等の理由により、所定の溶媒に分散又は溶解されて難燃剤溶液を調製できるものが好ましい。後述するように、難燃剤溶液を、担体に含浸させ、その後、適宜、乾燥することで、担体に難燃剤を担持させることができる。
難燃剤溶液に利用される溶媒としては、水、アルコール等の水系溶媒、有機溶媒等が挙げられ、特に、水系溶媒が好ましい。前記溶媒が、水系溶媒の場合、難燃剤としては、水溶性難燃剤が好ましく、特に、リン酸アンモニウム等のリン酸塩が好ましい。難燃剤は、1種類のものを単独で用いても良いし、2種以上のものを用いてもよい。
難燃剤溶液中の難燃剤の濃度は、担体に担持させる難燃剤の量を考慮して、適宜、設定される。
担体に、難燃剤溶液を含浸させる方法としては、特に制限されないが、例えば、後述するドリップ装置を用いて含浸させてもよい。
担持型難燃剤は、難燃剤を、担体100質量部に対して、10〜250質量部の割合で含有することが好ましく、50〜250質量部の割合で含有することがより好ましく、100〜200質量部の割合で含有することが更に好ましい。担持型難燃剤における難燃剤の含有割合がこのような範囲であると、合成樹脂に対して、効果的に難燃性を付与することができる。
ここで、担持型難燃剤の製造方法の一例を、図3を参照しつつ説明する。図3は、担持型難燃剤の製造方法の手順の一例を示すフロー図である。
図3のS11に示されるように、難燃剤を溶媒に溶解等させて難燃剤溶液が作製される。次いで、図3のS12に示されるように、別途、作製した担体(例えば、図2参照)を、難燃剤溶液に含浸させる。含浸後の担体は、図3のS13に示されるように、所定の水分率となるまで乾燥され、溶媒が除去される。乾燥後、担体に難燃剤が担持された担持型難燃剤が得られる(図3のS14参照)。
なお、他の担持型難燃剤の製造方法においては、粗粉砕の状態で、難燃剤溶液を用いた含浸処理、乾燥処理を行い、その後、粉砕処理を施して、担持型難燃剤を得ても良い。
(合成樹脂)
難燃性樹脂組成物に含まれる合成樹脂としては、担持型難燃剤が配合されることで、難燃性が向上するものであれば、特に制限はないが、担持型難燃剤と混合し易い等の観点より、熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、変性ポニフェニレンエーテル等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
難燃性樹脂組成物は、合成樹脂100質量部に対して、担持型難燃剤を、5〜40質量部の割合で含有することが好ましい。担持型難燃剤の含有割合がこのような範囲であると、難燃性樹脂組成物の難燃性が確保され易い。
(その他の成分)
難燃性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない限り、必要に応じて、相溶化剤、熱安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、染料、離型剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤等の各種成分が添加されてもよい。
相溶化剤としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン(例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(「カヤブリッド」、化薬アクゾ株式会社製))が挙げられる。本発明の場合、相溶化剤の含有量は、合成樹脂100質量部に対して、5質量部以下の範囲とすることが可能であり、好ましくは3質量部以下の範囲とすることが可能である。
(難燃性樹脂組成物の製造方法)
難燃性樹脂組成物は、合成樹脂に、担持型難燃剤を添加し、それらを互いに混練することで得られる。なお、担持型難燃剤に起因する変色を抑制等するために、予め加熱により軟化させた状態の合成樹脂に、担持型難燃剤を添加して混合(混練)することが好ましい。
ここで、難燃性樹脂組成物の製造方法の一例を、図4を参照しつつ説明する。図4は、難燃性樹脂組成物のペレットの製造方法の手順の一例を示すフロー図である。
先ず、図4のS21に示されるように、混練押出機を用いて、合成樹脂(熱可塑性樹脂)を軟化させる。続いて、図4のS22に示されるように、加熱軟化した合成樹脂に、担持型難燃剤が添加される。なお、相溶化剤等の他の成分を添加する場合、S22において、担持型難燃剤と共に、添加される。その後、図4のS23に示されるように、合成樹脂、担持型難燃剤等が加熱されながら混練され、難燃性樹脂組成物が得られる。そして、図4のS24に示されるように、難燃性樹脂組成物は混練押出機から押し出されてストランド化される。ストランド化された難燃性樹脂組成物は、冷却された後、ストランドカッターにより、所定長さに切断されて、ペレット状の難燃性樹脂組成物が得られる(図4のS25参照)。
なお、合成樹脂等を混練する装置としては、特に制限はなく、例えば、押出機(一軸、二軸等)、ラボプラストミル等の公知の混練装置が利用される。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
(担体の作製)
実の収穫を終えたトマト(ナス科植物の一例)の茎を、粗粉砕装置(リョービ株式会社製)を利用して、1cm程度の大きさに切断及び粉砕し、茎の粗粉砕物を得た。次いで、得られた粗粉砕物(500g)を、水(2リットル)中に入れ、ホモジナイザーを利用して2分間水中解砕した後、ろ過した。ろ過したもの(ろ過残渣)に対し再び同様に水中解砕処理を2回繰り返し、計3回の水中解砕を行った。
その後、最終的に得られた残渣に対して、乾燥処理を行った。なお、乾燥処理は、二段階で行った。先ず一段階目の乾燥処理は、温度を130℃、時間を8時間に設定して、殺菌も目的として行った。二段階目の乾燥処理は、温度を105℃、時間を12時間に設定して行った。
乾燥処理後のろ過残渣を、微粉砕装置(大阪ケミカル株式会社製)を利用して、500μm程度に粉砕し、微粉砕物を得た。その後、微粉砕物を篩い分け装置により、篩い分けして、500μm以下の微粉砕物からなるトマト由来の担体を得た。
(リン酸アンモニウム溶液の作製)
リン酸アンモニウムに水を加えて、リン酸アンモニウム水溶液(リン酸アンモニウム濃度:30質量%)を作製した。
(担持型難燃剤の作製)
図5に示されるドリップ装置10を利用して、トマト残渣の粉砕物からなる担体に、リン酸アンモニウム水溶液(30質量%)を含浸させた。ここで、先ずドリップ装置10について説明する。
ドリップ装置10は、所謂コーヒードリッパーとして市販されているものであり、主として、ホルダ部11、ドリップ部12、フィルタ13、及びろ液回収容器14より構成されている。ホルダ部11は、フィルタ13が設置される部分であり、円錐を逆さにしたような上方に開口した漏斗のような形をなしている。なお、フィルタ13は、円錐を逆さにしたような上方に開口したろ紙からなる。ドリップ部12は、ホルダ部11の下部に配置し、ホルダ部11内の液体を下方へ滴下させるための貫通孔(不図示)を備えている。ろ液回収容器14は、ドリップ部12より滴下する液体を下方から受ける形で回収する容器である。なお、ホルダ部11は、ろ液回収容器14の上部に図示されない固定部材を利用して固定される。
続いて、ドリップ装置10を利用して、担体にリン酸アンモニウム水溶液を含浸させる方法を説明する。先ず、ホルダ部11内にフィルタ13を設置し、そのフィルタ13内に、担体3(30g)を入れた。次いで、リン酸アンモニウム水溶液(30質量%)15(150ml)を、フィルタ13内に注ぎ入れて、担体3をリン酸アンモニウム水溶液15に浸漬させた。その後、リン酸アンモニウム水溶液15の滴下が終わるまで約1分間放置した。
滴下が終了した後、フィルタ13内の担体3を回収し、水分率が約6質量%程度となるまで、担体3を乾燥させた。このようにして、担体にリン酸アンモニウム水溶液を含浸させることで、担体にリン酸アンモニウムを担持させて、担持型難燃剤を得た。
(難燃性樹脂組成物の作製)
溶融混練機としてラボブラストミルを使用して、ポリプロピレン(商品名「PMA20V」、サンアロマー社製)70質量部と、上記担持型難燃剤30質量部の割合で混練した。具体的には、先ずポリプロピレンのみを180℃で約2分間加熱して、ポリプロピレンを軟化させた。その後、軟化した状態のポリプロピレンに、上記担持型難燃剤を添加し、180℃で10分間、30rpmの条件で、ポリプロピレンと担持型難燃剤(リン酸アンモニウム付き粉砕物)とを混練した。
なお、相溶化剤として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(「カヤブリッド006PP−N」)を1質量部、上記担持型難燃剤と共にポリプロピレンに添加した。
その後、得られた混練物をプレス成形(加熱温度:180℃、プレス時間:約8分間)して、難燃性樹脂組成物からなシート状の成形品(厚み:1mm)を得た。
そして、更に上記成形品を所定の大きさに切り出して、試験片(長さ125mm、幅13mm、厚み1mm)を得た。
〔実施例2〕
ポリプロピレンと担持型難燃剤との配合割合を、ポリプロピレン90質量部、担持型難燃剤10質量部に変更したこと以外は、基本的に、実施例1と同様にして、難燃性樹脂組成物からなるシート状の成形品、及び試験片を得た。
〔比較例1〕
担持型難燃剤を配合せず、ポリプロピレンのみを用いること以外は、基本的に、実施例1と同様にして、ポリプロピレンからなるシート状の成形品、及び試験片を得た。
〔比較例2〕
担持型難燃剤に代えて、リン酸アンモニウムを担持させていない担体(トマト残渣の粉砕物)を用いつつ、ポリプロピレンと担体との配合割合を、ポリプロピレン70質量部、担体30質量部に変更したこと以外は、基本的に、実施例1と同様にして、シート状の成形品、及び試験片を得た。
〔比較例3〕
ポリプロピレンと担体との配合割合を、ポリプロピレン90質量部、担体10質量部に変更したこと以外は、基本的に、比較例2と同様にして、シート状の成形品、及び試験片を得た。
〔燃焼試験による難燃性評価〕
実施例1,2及び比較例1〜3の各試験片について、UL94規格に基づいて、燃焼試験を行い、難燃性を評価した。結果は、表1にまとめた。
Figure 2017082101
表1に示されるように、実施例1については、UL94の垂直燃焼試験を行い、V0等級という高い難燃性を示すことが確かめられた。
これに対し、実施例2及び比較例1〜3については、V0等級の難燃性は得られなかった。そのため、表1に示されるように、UL94HBの水平燃焼試験を行った。その結果、実施例2及び比較例1〜3では、何れの場合も、1分当たりの燃焼速度が、76.2mm/min以下であり、HB等級の難燃性を備えることが確かめられた。
ただし、表1に示されるように、担持型燃焼剤を含む実施例2の試験片では、燃焼速度が56.8mm/minであり、各比較例の燃焼速度と比べて、燃焼速度が遅く、難燃性に優れることが確かめられた。また、難燃性試験中のドリップ数についても、実施例2の場合が最も少なく、ドリップ防止性にも優れることが確かめられた。なお、比較例1のドリップ数については、試験片から絶えずドリップが発生する状態であり、約300回という結果となった。
〔実施例3〕
リン酸アンモニウム水溶液のリン酸アンモニウム濃度を、20質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、トマト残渣の粉砕物からなる担体に、リン酸アンモニウム水溶液を含浸させることで、担体にリン酸アンモニウムを担持させて、担持型難燃剤(20質量%)を得た。
担持型難燃剤(30質量%)に代えて、担持型難燃剤(20質量%)を用いつつ、ポリプロピレンと担持型難燃剤(20質量%)との配合割合を、ポリプロピレン90質量部、担持型難燃剤(20質量%)10質量部に変更したこと以外は、基本的に、実施例1と同様にして、シート状の成形品、及び試験片を得た。
〔実施例4〕
リン酸アンモニウム水溶液のリン酸アンモニウム濃度を、40質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、トマト残渣の粉砕物からなる担体に、リン酸アンモニウム水溶液を含浸させることで、担体にリン酸アンモニウムを担持させて、担持型難燃剤(40質量%)を得た。
担持型難燃剤(30質量%)に代えて、担持型難燃剤(40質量%)を用いつつ、ポリプロピレンと担持型難燃剤(40質量%)との配合割合を、ポリプロピレン90質量部、担持型難燃剤(40質量%)10質量部に変更したこと以外は、基本的に、実施例1と同様にして、シート状の成形品、及び試験片を得た。
〔強度評価〕
実施例2〜4、及び比較例1,3の各試験片について、引張圧縮試験機を用いて、応力σとひずみεとの関係(s−s曲線)を求めた。結果(グラフ)は、図6に示した。そして、得られた結果(s−s曲線)より、各試験片について、曲げ弾性率(MPa)及び曲げ強さ(MPa)を求めた。求めた曲げ弾性率(MPa)及び曲げ強さ(MPa)は、表2にまとめた。
Figure 2017082101
図6及び表2に示されるように、実施例3,2,4の各試験片では、担体に含浸させるリン酸アンモニウムの濃度が高くなるにつれて、曲げ弾性率が向上することが確かめられた。また、実施例3,2,4の各試験片の曲げ強さについては、殆ど差が見られなかった。
〔トマト残渣に担持されるリン酸アンモニウムの検証〕
トマトの茎(フリーズドライ済み)を、1センチ程度の長さで切断したものを試験片Tとした。この試験片Tに、リン酸アンモニウム水溶液(リン酸アンモニウム濃度:40質量%)に、5分間浸漬した。その後、水分率が約6%となるまで試験片Tを乾燥させた。乾燥後の試験片Tを、EDX(エネルギー分散型X線分光法、装置名「電界放出型操作電子顕微鏡(FE−SEM)」、日本電子株式会社製)を用いて、試験片の各部位に含まれる各成分を検出した。試験片の各検出部位は、図7の符号1〜5で示される部分である。図7には、試験片(茎)の断面写真が示されている。図7の検出部位Iは表皮であり、検出部位IIは表皮と維管束の境界付近であり、検出部位IIIは維管束であり、検出部位IVは維管束と髄との境界付近であり、検出部位Vは髄である。
各検出部位における各成分の検出スペクトルの結果は、それぞれ図8〜図12に示した。図8〜図12に示されるように、検出部位III(維管束)を除くすべての部位において、リン(P)成分が検出された。このことから、各検出部位に、リン酸アンモニウムが存在していることが確認された。リン酸アンモニウムは、茎の表皮のみならず、表皮(外皮)と維管束との境界部分や、維管束と髄との境界部分でも確認され、リン酸アンモニウムが茎の内部にも浸透していることが確かめられた。
1…難燃性樹脂組成物、2…合成樹脂(母材)、3…担体、4…難燃剤、5…担持型難燃剤、10…ドリップ装置、11…ホルダ部、12…ドリップ部、13…フィルタ、14…ろ液回収容器、15…リン酸アンモニウム水溶液(難燃剤溶液)

Claims (8)

  1. 合成樹脂と、ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物からなる担体に難燃剤を担持させてなる担持型難燃剤とを含有する難燃性樹脂組成物。
  2. 前記担持型難燃剤を、前記合成樹脂100質量部に対して、5〜40質量部の割合で含有する請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記担持型難燃剤は、前記難燃剤を、前記担体100質量部に対して、10〜250質量部の割合で含有する請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記担体の大きさは、1000μm以下である請求項1〜3の何れか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記合成樹脂100質量部に対して、5質量部以下の範囲で相溶化剤を含有する請求項1〜4の何れか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 前記合成樹脂は、ポリオレフィン系樹脂からなり、
    前記ナス科植物は、トマトからなり、
    前記難燃剤は、リン酸塩からなる請求項1〜5の何れか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 合成樹脂を軟化させる軟化工程と、
    軟化した合成樹脂に、ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物からなる担体に難燃剤を担持させてなる担持型難燃剤を添加して、前記合成樹脂と前記担持型難燃剤とを混練する混練工程とを有する難燃性樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記担体に前記難燃剤を溶媒に分散又は溶解させてなる難燃剤溶液を含浸させて、前記担体に前記難燃剤を担持させる担持工程を有する請求項7に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
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