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JP2017056489A - 光加工装置及び光加工物の生産方法 - Google Patents

光加工装置及び光加工物の生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加工対象物に対する光照射位置を光走査手段によって移動させる光加工装置において、比較的大きな加工対象物に対しても加工処理しやすくすることを課題とする。【解決手段】光源11と、前記光源による光を走査する光走査手段21と、前記光走査手段によって走査された光を加工対象物35へ向けて集光させる集光手段22とを有する光加工装置において、前記集光手段は、前記加工対象物に対して移動する移動手段25に搭載され、前記光源は、前記移動手段に非搭載であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、光加工装置及び光加工物の生産方法に関するものである。
従来、光源からのレーザ光(加工光)を光走査手段により走査し、走査されたレーザ光をワーク(加工対象物)へ集光させて加工する光加工装置が知られている。
例えば、特許文献1には、光源からのレーザビーム(加工光)をガルバノミラー(光走査手段)により2次元方向へ走査してワークに照射し、ワーク上のITO薄膜をパターニング加工したり、金属薄板からなるワーク自体を切削加工したりするレーザ加工装置が開示されている。このレーザ加工装置において、ワークはロール状に巻かれた状態でワーク供給部に保持されており、そのワーク供給部からワークを引き出してワークの被加工部分をレーザ加工装置の加工領域(ワークに対するレーザ光の走査範囲)へ移動させ、その被加工部分を加工処理する。加工処理後、ワークを更に引き出して次の被加工部分をレーザ加工装置の加工領域へ移動させ、当該次の被加工部分を加工処理する。
特許文献1によれば、従来の光加工装置と比較して、ワークに対する光照射位置を光走査手段によって移動させる方が高速移動できるため、生産性を高めることができるとされている。ここでいう従来の光加工装置とは、加工対象物へのレーザ光の光軸を固定した状態で、その光軸(Z軸)に対して直交するX軸及びY軸のそれぞれの方向へ載置台を移動させることにより、加工対象物に対する光照射位置を移動させて加工処理を行うものである。
ところが、ワークに対する光照射位置を光走査手段によって移動させる光加工装置は、その加工光の走査範囲を広くすることが難しい。そのため、大きな加工対象物に対して加工処理を行うことが困難である。
上述した課題を解決するために、本発明は、光源と、前記光源による光を走査する光走査手段と、前記光走査手段によって走査された光を加工対象物へ向けて集光させる集光手段とを有する光加工装置において、前記集光手段は、前記加工対象物に対して移動する移動手段に搭載され、前記光源は、前記移動手段に非搭載であることを特徴とする。
本発明によれば、加工対象物に対する光照射位置を光走査手段によって移動させる光加工装置において、比較的大きな加工対象物に対しても加工処理しやすいという優れた効果が奏される。
実施形態1におけるレーザパターニング装置の主要部の構成を示す模式図である。 同レーザパターニング装置におけるレーザ発振器の一構成例を示す模式図である。 同レーザパターニング装置における光走査手段の一変形例を示す模式図である。 同レーザパターニング装置におけるワーク搬送部の一構成例を示す模式図である。 同レーザパターニング装置におけるワーク搬送部の他の構成を示す模式図である。 同レーザパターニング装置におけるキャリッジが主走査方向の異なる位置にそれぞれ位置するときのレーザ光の光路を示す説明図である。 ガルバノスキャナがキャリッジに非搭載である変形例において、キャリッジが主走査方向の異なる位置にそれぞれ位置するときのレーザ光の光路を示す説明図である。 実施形態1のレーザパターニング装置によるパターニング加工処理の一例を示すフローチャートである。 ワーク上の被加工領域を12個のピースに分割して順次加工処理を行う場合の加工順序を示す説明図である。 ピース(被加工部分)間で連続すべき配線パターンの一例を示す説明図である。 実施形態2のレーザパターニング装置によるパターニング加工処理の一例を示すフローチャートである。 レーザパターニング装置における他の構成例を示す模式図である。
〔実施形態1〕
以下、本発明に係る光加工装置をレーザパターニング装置に適用した一実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。
本実施形態1のレーザパターニング装置における加工対象物は、基材上にITO薄膜が形成されたワークであり、このワーク上のITO薄膜にレーザ光(加工光)を照射して部分的にITO薄膜を除去することにより、ITO薄膜をパターニング加工するものである。ただし、本発明に係る光加工装置は、本実施形態1に係るレーザパターニング装置に限定されるものではなく、他のパターニング加工を行う装置、切削加工などの他の加工処理を行う装置、非レーザ光を加工光として用いて加工する装置などにも、適用可能である。
図1は、本実施形態1におけるレーザパターニング装置の主要部の構成を示す模式図である。
本実施形態1のレーザパターニング装置は、レーザ出力部1と、レーザ走査部2と、ワーク搬送部3と、制御部4とを備えている。
レーザ出力部1は、光源としてのレーザ発振器11と、レーザ発振器11から出力される加工光としてのレーザ光Lのビーム径を拡大するビームエキスパンダ12とを有する。
レーザ走査部2は、レーザ光Lを反射するX軸方向走査用とY軸方向走査用の2つのガルバノミラー21aをステッピングモータ21bで回動させてX軸方向及びY軸方向にレーザ光Lを走査させる光走査手段としてのガルバノスキャナ21と、ガルバノスキャナ21で走査されたレーザ光Lをワーク35の表面(被加工面)又は基材とITO膜との界面等のワーク内部(ワーク表面から所定深さだけオフセットした箇所)に集光させる集光手段としてのfθレンズ22とを有する。
ワーク搬送部3は、ワーク35を副走査方向(Y軸方向)に移動させる搬送ローラ対32を備え、搬送ローラ対32で挟持したワーク35を副走査方向(Y軸方向)へ搬送する。
レーザ出力部1のレーザ発振器11は、レーザドライバ部10によって制御される。具体的には、レーザドライバ部10は、レーザ走査部2のガルバノスキャナ21の走査動作に連動してレーザ発振器11の発光を制御する。レーザ発振器11には、例えば、基材への熱影響によるダメージが少ない100[ns]以下のパルス発振によるパルスファイバレーザを用いることができるが、他の光源を用いてもよい。
図2は、本実施形態1のレーザ発振器11の一構成例を示す模式図である。
本実施形態1のレーザ発振器11は、MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)と呼ばれるパルスファイバレーザである。このレーザ発振器11は、シードLD74をパルスジェネレータ73でパルス発振させてシード光を生成し、光ファイバアンプで複数段階に増幅するパルスエンジン部70と、パルスエンジン部70から出力されるレーザ光Lを導光する出力ファイバ71と、平行光束化手段としてのコリメート光学系83により略平行光束としてレーザ光Lを出射する出力ヘッド部72とから構成されている。本実施形態1では、出力ヘッド部72のみがレーザ出力部1に設けられる。
パルスエンジン部70は、光ファイバ78、励起LD76及びカプラ77を有するプリアンプ部と、光ファイバ82、励起LD80及びカプラ81を有するメインアンプ部とから構成される。光ファイバには、コアに希土類元素をドープしたダブルクラッド構造のものが用いられ、励起LD76からの励起光の吸収によりファイバの出力端、入射端に設置されるミラー間で反射を繰り返しレーザ発振に至る。図2中符号75は、逆方向の光を遮断するアイソレータであり、図2中符号79は、ASE光を除去するバンドパスフィルタである。
本実施形態1では、シードLD74の波長を近赤外の1064[nm]としているが、第2高調波である532[nm]、第3高調波である355[nm]をはじめとして、ワーク材質に応じて好適な波長を選択できる。なお、レーザ発振器11には、イットリウム・バナデート結晶からなるレーザ媒質に励起光を照射することでレーザ発振を生じさせるYVOレーザ等の固体レーザを用いてもよい。
レーザ走査部2のガルバノスキャナ21は、X軸方向走査用とY軸方向走査用の各ガルバノミラー21aをそれぞれ回動させる各ステッピングモータ21bがガルバノスキャナ制御部20によって制御される。ガルバノスキャナ制御部20は、加工パターンを構成する線分要素データ(線分始点座標と線分終点座標)に応じて、ガルバノミラー21aの反射面に対する傾斜角度(反射面に入射してくるレーザ光の光軸に対する反射面の傾斜角度)がX軸方向に対応する方向あるいはY軸方向に対応する方向へ変化するように、各ステッピングモータ21bを制御する。これにより、線分要素の始点及び終点のX−Y座標に対応して、各ガルバノミラー21aを走査開始傾斜角度から走査終了傾斜角度まで回動させることができる。
なお、本実施形態1では、光走査手段として、X軸方向走査とY軸方向走査のいずれもガルバノスキャナによって構成しているが、これに限らず、広く公知の光走査手段を用いることができる。また、X軸方向走査用の光走査手段とY軸方向走査用の光走査手段は、異なる構成の光走査手段であってもよい。例えば、図3に示すように、Y軸方向走査用の走査手段にはガルバノスキャナ21を用い、X軸方向走査用の走査手段にはポリゴンミラー91aをモータ91bで回転させるポリゴンスキャナ91を用いてもよい。X軸方向の光走査制御は、図3に示すように、ポリゴンミラー91aで反射したレーザ光Lをレンズ92を介して光学センサ93で受光する受光タイミングに基づいて行うことができる。
レーザ走査部2は、主走査方向(X軸方向)に移動可能なキャリッジ25上に搭載されている。キャリッジ25は、駆動プーリ27a及び従動プーリ27bに掛け渡されているタイミングベルト27上に取り付けられている。駆動プーリ27aに接続されているステッピングモータ26を駆動させることで、タイミングベルト27が移動し、主走査方向に延びるリニアガイド29(図4参照)に沿ってタイミングベルト27上のキャリッジ25が主走査方向(X軸方向)へ移動する。キャリッジ25の主走査方向位置は、リニアエンコーダ28からの出力信号(アドレス信号)に基づいて検出することができる。ステッピングモータ26は、主走査制御部24によって制御される。
なお、本実施形態1では、レーザ走査部2を搭載するキャリッジ25の移動手段として、タイミングベルトを利用した移動手段を採用しているが、これに限られず、リニアステージ等の直線移動可能な手段でも代用できるし、2次元方向へ移動させる移動手段を利用してもよい。
ワーク搬送部3は、駆動ローラ32aと従動ローラ32bとからなる搬送ローラ対32を備え、駆動ローラ32aは、タイミングベルト31aを介してステッピングモータ31によって駆動される。ステッピングモータ31は、副走査制御部30によって制御され、搬送ローラ対32で挟持したワーク35を副走査方向(Y軸方向)における目標送り位置へ移動させることができる。これにより、レーザ走査部2から照射されるレーザ光Lの走査範囲である加工領域36へワーク上の被加工部分を順次送り込む。
具体的には、ワーク搬送部3は、ワーク35の主走査方向両端付近におけるワーク表面に形成されているアライメントマーク37を撮像するモニタカメラ33,34を備えている。副走査制御部30は、ステッピングモータ31によってワーク35を微小量ずつワーク送り方向B(副走査方向)へステップ送りしながら、モニタカメラ33,34から出力される画像データを順次取り込む。そして、パターンマッチング処理等によりアライメントマーク37を検出して、目標送り位置までのワーク移動量を演算し、その演算結果に基づいてステッピングモータ31を制御して、ワーク35の副走査方向位置を目標送り位置まで移動させる。
図4は、ワーク搬送部3の一構成例を示す模式図である。
本実施形態1におけるワーク35は、スプール軸51上にロール状に巻かれており、そこから引き出されたワーク部分が入口ガイド板52に沿って搬送ローラ対32のニップに挟持され、搬送ローラ対32の駆動によって巻き出されて加工テーブル53上にセットされる。加工テーブル53には無数の細孔が形成されており、加工テーブル53の裏面に形成された空洞部57の空気をポンプ58が吸い出すことにより、ワーク35を加工テーブル53の表面に吸着させ、加工領域36におけるワーク35の平面性を確保している。加工後のワークは、カッター54を主走査方向へ移動させることにより所定サイズごとに裁断され、トレイ55に排出される。
なお、本実施形態1では、スプール軸51上に巻かれたロールからワークを巻き出し、加工後のワークをカットシートとして排出するロールtoシート方式を採用しているが、図5に示すように、加工後のワークをロール状に巻き取るロールtoロール方式でも同様である。
図5に示す例では、加工後のワークは、その表面に付着した加工塵を一対のクリーンローラ64によって取り除いた後、巻取軸67に巻き取られる。クリーンローラ64に吸着した加工塵は、粘着ローラ65に転写されて回収される。また、図5に示す例では、加工後のワーク表面を擦れ等の傷から保護するために、加工後のワーク35の表裏にラミネートフィルムを貼り合せてから巻取軸67に巻き取る。ラミネートフィルムは、ラミネートロール66から巻き出され、加工後のワークと一緒に巻取軸67に巻き込まれる。
制御部4は、本レーザパターニング装置の全体を統括して管理、制御する制御PC40を備えている。制御PC40は、レーザドライバ部10、ガルバノスキャナ制御部20、主走査制御部24、副走査制御部30等に接続されており、各々のステータスを管理したり、加工シーケンスを制御したりする。
レーザ出力部1のビームエキスパンダ12は、複数枚からなるレンズで構成され、レーザ光路上においてレーザ走査部2のfθレンズ22に最も近いレンズ39の位置がレーザ光の光軸方向へ移動可能に構成されている。レンズ39の位置を移動させることにより、レーザ走査部2を搭載したキャリッジが後述するように主走査方向の各停止目標位置に停止したときの集光距離が揃うように微調整することができる。すなわち、ビームエキスパンダ12は、ガルバノスキャナ21に入射するレーザ光Lが平行光束となるように微調整するフォーカシング機能を備える。
また、主走査方向の各停止目標位置に応じてレンズ39の位置を個別に移動調整するアクチュエータを備え、集光距離を各停止目標位置毎に可変することにより、被加工面に対するキャリッジの移動方向の平行度がわずかにずれている場合であってもfθレンズ22の結像位置を精度よく合わせることができる。
本実施形態1において、ワーク35に対するレーザ光Lの走査範囲である加工領域36のX軸方向及びY軸方向における各最大長Lは、fθレンズ22の焦点距離をfとすると、それぞれのガルバノミラー21aの最大傾斜角度θ(例えば±20°)を用いて、下記の式(1)より得られる。
L = f × θ ・・・(1)
この式(1)に示すように、加工領域36の広さは、ガルバノスキャナ21の走査範囲(ガルバノミラー21aの最大傾斜角度)によって制限されることになる。ここで、ガルバノスキャナ21の走査範囲が広がるほど、ワーク35上での適切な集光が困難となるため、加工領域36内における加工の均一性を維持することが難しくなる。そのため、ガルバノスキャナ21の走査範囲すなわちガルバノミラー21aの最大傾斜角度θを広げるにも限界がある。したがって、ガルバノスキャナ21の走査範囲(ガルバノミラー21aの最大傾斜角度θ)を広げて加工領域36の広さを拡げることには限界がある。
一方、前記式(1)によれば、fθレンズ22の焦点距離fを長くすれば、加工領域36の広さを拡げることができる。しかしながら、この焦点距離fを長くするほど、ワーク35からfθレンズ22を遠ざけて配置する必要があり、本レーザパターニング装置が大型化してしまうという問題が生じる。
加えて、X軸方向及びY軸方向における各加工分解能σは、ステッピングモータ21bのパルス数をPとすると、下記の式(2)より得られる。
σ = f × (2π/P) ・・・(2)
この式(2)に示すように、fθレンズ22の焦点距離fを長くするほど、加工分解能σが低くなる。よって、高い加工分解能σによる高精細な加工の実現と、より広い加工領域の実現とは、トレードオフの関係にある。したがって、加工分解能σを考慮すると、焦点距離fを長くして加工領域36の広さを拡げることにも限界がある。
他方、ワーク35を、ワーク搬送部3により副走査方向(Y軸方向)へ移動させるだけでなく、主走査方向(X軸方向)にも移動させる移動機構を設ける方法も考えられる。この方法であれば、加工領域36に対してワーク35の被加工部分を主走査方向に順次入れ替えながら、各被加工部分に対して加工処理を行うことができるので、加工領域36を超える主走査方向長さをもったワークに対しても加工処理が行うことが可能である。
しかしながら、ワークを副走査方向(Y軸方向)だけでなく主走査方向(X軸方向)にも移動させる移動機構を設けることは、本レーザパターニング装置の大型化を招く。特に、本実施形態1では、副走査方向におけるワーク長さが加工領域36を超えるほどの長さをもった大きなワーク35であるため、このような大きなワーク35を更に主走査方向(X軸方向)にも移動させるためには大型の移動機構を必要とする。しかも、このような大きなワーク35は重量も大きいため、慣性力が大きく、高速な移動が実現困難であり、生産性が低いという問題も生じる。
そこで、本実施形態1においては、主走査方向(X軸方向)について、ワーク35を移動させるのではなく、レーザ光Lの走査範囲を主走査方向へ移動させる構成を採用している。詳しくは、キャリッジ25上にレーザ走査部2を搭載し、レーザ走査部2を主走査方向へ移動可能に構成している。これにより、主走査方向(X軸方向)へワーク35を移動させることなく、ガルバノスキャナ21によって走査されたレーザ光Lがワーク表面を走査する範囲すなわち加工領域36をワーク35に対して主走査方向へ相対移動させることができる。これにより、ワーク35の被加工部分を加工領域36へ順次移動させて加工処理を行うことができ、主走査方向(X軸方向)における加工領域36の幅が狭くても、その幅を超える大きなワーク35に対して加工処理を行うことができる。
その結果、加工領域36を無理に拡げることなく、加工領域36を超える大きなワーク35に対して加工処理を行うことができることで、高い加工分解能σを維持できるので、大きなワーク35に対して高精細な加工を実現することができる。しかも、主走査方向(X軸方向)へ移動する移動手段としてのキャリッジ25に搭載される搭載物は、本実施形態1では、実質的には、レーザ走査部2のみ、すなわち、ガルバノスキャナ21とfθレンズ22のみである。この搭載物の重量は、ワーク35に比べて遙かに軽量であることから、キャリッジ25の主走査方向への高速移動が実現でき、高い生産性を得ることができる。
なお、キャリッジ25に搭載される搭載物は、少なくとも集光手段としてのfθレンズ22が搭載されていればよい。したがって、最軽量の構成は、fθレンズ22のみをキャリッジ25に搭載した構成である。一方、ワーク35に対して軽量な部品であれば、fθレンズ22とともに他の部品も一緒にキャリッジ25に搭載してもよい。例えば、本実施形態1のようにガルバノスキャナ21等の光走査手段をキャリッジに搭載してもよいし、レーザ出力部1の一部又は全部をキャリッジに搭載してもよい。
また、本実施形態1において、主走査方向へ移動するキャリッジ25に入射するレーザ光Lの光路、すなわち、レーザ出力部1から出力されたレーザ光Lの光路は、X軸方向に平行である。そのため、図6に示すように、キャリッジ25が主走査方向(X軸方向)のどの位置に移動しても、レーザ出力部1から出力されたレーザ光Lはキャリッジ25の同じ箇所から入射する。よって、キャリッジ25が主走査方向(X軸方向)に移動しても、キャリッジ25に入射後のレーザ光Lの光路は同じであり、主走査方向の互いに異なる加工領域36−1,36−2で加工処理を行う場合でも同じ加工処理を実現できる。
ただし、本実施形態1では、キャリッジ25が移動すると、キャリッジ25に入射するまでのレーザ光Lの光路長が変化することになる。そのため、キャリッジ25に入射するレーザ光Lが非平行収束であると、キャリッジ25の主走査方向位置によって、ワーク35に照射されるレーザ光Lの焦点が変化し、ワーク35上におけるレーザ光Lのスポット径が変化するなど、加工精度に影響が出てしまう。
本実施形態1では、レーザ発振器11から出力されるレーザ光Lは略平行光束であり、2つの反射ミラー14,15を介してビームエキスパンダ12から射出されて、反射ミラー16によって反射されてレーザ出力部1から出力されるレーザ光Lも略平行光束である。したがって、キャリッジ25に入射するレーザ光Lが略平行収束であれば、キャリッジ25が移動して主走査方向位置が変わっても、ワーク35に照射されるレーザ光Lの焦点が実質的に変化せず、ワーク35上におけるレーザ光Lのスポット径が変化するなどの影響が出ない。よって、主走査方向の互いに異なる加工領域36−1,36−2で加工処理を行う場合でも、焦点調整などの作業を行うことなく、同じ加工精度で加工処理を行うことができ、より高い生産性を実現できる。
ただし、レーザ走査部2のほかにレーザ出力部1の全部もキャリッジ25上に搭載する構成とすれば、すなわち、レーザ発振器11等の光源自体をキャリッジ25上に搭載する構成とすれば、キャリッジ25を移動しても、ワーク35に照射されるレーザ光Lの焦点が変化するようなことはない。しかしながら、キャリッジ25上の搭載物の重量が大きくなることから、キャリッジ25の高速移動の実現が難しくなる点を考慮する必要がある。特に、光源は、通常、他の部品よりも重量が大きいため、光源をキャリッジ25上に非搭載とすることにより、キャリッジ25の慣性力を効果的に小さくできるので、キャリッジ25の高速移動を実現でき、高い生産性を実現できる。
一方、キャリッジ25上の搭載物の重量をより軽量化するため、図7に示すように、ガルバノスキャナ21等の光走査手段をキャリッジ25に非搭載とする構成も考えられる。図7に示す構成では、レーザ出力部1’から出力したレーザ光Lを、固定配置されているレーザ走査部2’のガルバノスキャナ21によって、X軸方向に対応する方向及びY軸方向に対応する方向へ走査する。このようにして走査されるレーザ光Lは、コリメータレンズ61等の平行光束化手段によって、X軸方向に平行な平行光束となるように平行光束化されて、レーザ走査部2’から出力される。レーザ走査部2’から出力された略平行光束である走査後のレーザ光Lは、キャリッジ25に対してX軸方向から入射し、キャリッジ25上の反射ミラー16’で反射して集光手段としてのfθレンズ22に案内され、ワーク35に集光される。
図7に示すような構成であっても、キャリッジ25に入射するレーザ光Lが略平行収束であるため、キャリッジ25が移動して主走査方向位置が変わっても、ワーク35に照射されるレーザ光Lの焦点が実質的に変化せず、ワーク35上におけるレーザ光Lのスポット径が変化するなどの影響が出ない。よって、主走査方向の互いに異なる加工領域36−1,36−2で加工処理を行う場合でも、焦点調整などの作業を行うことなく、同じ加工精度で加工処理を行うことができ、より高い生産性を実現できる。
図8は、本実施形態1のレーザパターニング装置によるパターニング加工処理の一例を示すフローチャートである。
まず、制御PC40からの制御命令に従い、副走査制御部30がステッピングモータ31を制御して、ワーク35を副走査方向に沿ってワーク搬送方向Bへ移動させる(S1)。そして、ワーク35の表面に形成されているアライメントマーク37がモニタカメラ33,34の撮像領域へ移動すると、モニタカメラ33,34の画像データからアライメントマーク37が検出される(S2)。制御PC40は、アライメントマーク37の検出結果から目標送り位置までのワーク移動量を演算し、その演算結果に基づいて副走査制御部30にステッピングモータ31を制御させる。これにより、副走査方向へ移動するワーク35は目標送り位置で停止する。
その後、制御PC40は、ポンプ58を稼働させて加工テーブル53の裏面に形成された空洞部57の空気を吸い出し、加工テーブル53の表面にワーク35を吸着させて、ワーク35の位置が容易に動かないようにホールドする(S3)。そして、制御PC40は、ワーク35上の被加工部分を特定するための被加工部分番号Nをゼロにセットした後(S4)、主走査制御部24によりステッピングモータ26を制御して、待機ポジションに待機しているキャリッジ25を主走査方向に沿ってキャリッジ送り方向A(レーザ出力部1から離れる向き)へ移動させ、所定のホームポジションで停止させるキャリッジ位置のイニシャライズ処理を行う(S5)。
このイニシャライズ処理において、制御PC40は、ホームポジションで停止したキャリッジ25の主走査方向位置をリニアエンコーダ28からのアドレス信号に基づいて取得する。具体的には、リニアエンコーダ28からのアドレス信号に基づき、制御PC40が管理しているホームポジションと実際に停止したキャリッジ25の位置との差分を検出し、この差分をオフセット値として、その後のキャリッジ25の主走査方向位置制御に用いる。
次に、制御PC40は、ワーク35の被加工部分番号Nを1にセットする(S6)。その後、制御PC40は、主走査制御部24によりステッピングモータ26を制御して、ホームポジションに位置しているキャリッジ25をキャリッジ送り方向Aへ移動させ、最初に加工処理が行われるワーク35上の第一被加工部分N=1を加工処理するための第一加工位置で停止させる(S7)。
ここで、本実施形態1では、位置精度5μm以下の高い加工分解能を実現するために、ガルバノスキャナ21によって走査されるワーク上のレーザ光走査範囲すなわち加工領域36のサイズを150[mm]×150[mm]に設定してある。そのため、被加工領域が例えば450[mm](主走査方向)×600[mm](副走査方向)であるワーク35に対して加工処理を行う場合、当該被加工領域を、主走査方向へ3ピースに分割し、副走査方向へ4ピースに分割する。そして、これらの12個のピース(被加工部分N=1〜12)を順次加工処理することで、被加工領域全体の加工処理を行う。
つまり、キャリッジ25を、ホームポジションから、第一加工位置、第二加工位置、第三加工位置に順次移動及び停止させ、各加工位置においてワーク35上の対応する被加工部分の加工処理を行い、第三加工位置での加工処理が終了したら、ホームポジションに戻るという動作を繰り返す(S6〜S9)。一方、副走査方向については、キャリッジ25が第三加工位置へ移動して加工処理を終了した後(S9のYes)、次に第一加工位置での加工処理を開始するまでに、制御PC40は、副走査制御部30によりステッピングモータ31を制御して、ワーク35をワーク搬送方向Bへ150[mm]だけ移動させ(S11)、ワーク35をホールドする(S12)。そして、再び、キャリッジ25を第一加工位置、第二加工位置、第三加工位置に順次移動させて加工処理を行う(S5〜S9)。このような動作を4回繰り返したら(S10のYes)、450[mm]×600[mm]の被加工領域全体の加工処理が完了する。被加工領域全体の加工処理が終了したら、ワーク35はカッター54により裁断され(S13)、トレイ55に排出される。
上記動作のなかで、キャリッジ25がホームポジションに戻る際には各加工位置での停止および加工を行わず、キャリッジ送り方向Aへの移動の際にのみ各加工位置での停止および加工を行う理由は、停止の際のキャリッジ25の姿勢のズレの影響を一定にするためである。このように一方向への移動の際にのみキャリッジ25の停止を行うことで、キャリッジの停止位置(加工位置)での姿勢のズレの影響を一定にして安定的な加工を行うことができる。
本実施形態1のようにロール状に巻き取れたワーク35を加工する場合には、キャリッジ25を第一加工位置、第二加工位置、第三加工位置に順次移動させて加工処理を行った後にワーク35をワーク搬送方向Bへ150[mm]だけ移動させるという動作をロールエンドまで繰り返し行えばよい(S14)。
図9は、ワーク上の被加工領域を12個のピースに分割して順次加工処理を行う場合の加工順序を示す説明図である。
図9において、各被加工部分36−1〜36−24に図示されている数字が加工順序を示している。
ワーク上における被加工部分がそれぞれ独立したものであれば、キャリッジ25の各加工位置は、それぞれの加工領域36が離間するような位置であってもよい。しかしながら、被加工部分が独立したものではなく、複数の被加工部分によって1つの加工対象となる場合には、キャリッジ25の各加工位置を、それぞれの加工領域36が隣接又は部分的に重複するような位置とする必要がある。特に、本実施形態1のように被加工部分間で配線パターンを連続させるようなパターニング加工を行う場合には、被加工部分間で連続すべき配線パターンがズレて不連続になることを避けることが必要になる。
本実施形態1において、キャリッジ25は往復移動に伴って移動方向(主走査方向)に直交する軸回りの姿勢誤差、いわゆるピッチング誤差によって、主走査方向の加工位置がキャリッジ25の停止のたびにずれることがある。また、ワーク35の副走査方向位置も誤差が生じるおそれがある。このような誤差が生じたまま加工処理を行うと、被加工部分間で連続すべき配線パターンがズレて不連続になるおそれがある。
そのため、本実施形態1では、12個のピース(被加工部分)間に数十[μm]程度のオーバーラップ領域を設け、隣り合う被加工部分が互いに部分的に重複するように、各ピース(被加工部分)を設定している。このようなオーバーラップ領域を設けることで、多少の誤差が生じても、配線パターンが不連続になることを抑制できる。
更に、本実施形態1では、図1に示すように、キャリッジ25上にモニタカメラ23を配備し、ピース(被加工部分)間のオーバーラップ領域における加工後のパターンを観察できるようになっている。本実施形態1では、モニタカメラ23によりオーバーラップ領域における加工後のパターンを撮像し、その撮像画像データと目標加工データとを比較して目標加工位置に対する加工後パターンのズレを検出する。この検出結果を利用し、その加工後のパターンに連続させるパターンを含む被加工部分を加工するときのX−Y座標オフセット値を微調整する。このような微調整により、キャリッジ25の停止目標位置ズレに加え、キャリッジ25の姿勢誤差に伴う加工位置ズレも補正され、高い加工精度を実現することができる。
図10は、ピース(被加工部分)間で連続すべき配線パターンの一例を示す説明図である。
図10には、被加工部分番号N=1,N=2,N=4の各ピースに跨る配線パターンが例示されている。図10中の斜線で示す領域はオーバーラップ領域であり、図10中の破線は目標加工データに基づく理想の加工位置を示し、図10中の実線は被加工部分番号N=1のピース(被加工部分)を加工処理した後の実際の配線パターンである。
図10に示すように、ピースN=1に対して主走査方向(X軸方向)に隣り合うピースN=2及びこれに対して主走査方向(X軸方向)に隣り合うピースN=3については、Y軸座標のオフセットを設定し、ワーク35の副走査方向位置を補正する。一方、ピースN=1に対して副走査方向(Y軸方向)に隣り合うピースN=4及びこれに並ぶピースN=7,10については、X軸座標のオフセットを設定し、キャリッジ25の主走査方向位置を補正する。これらのオフセット値は予め制御PC40のメモリに書き込んでおき、各ピースの加工処理時に読み出して、加工データの座標原点をオフセットさせる。
なお、主走査方向に配列されるピース、言い換えれば、同一キャリッジ送りによって加工されるピースは、リニアガイド29の真直度により直進性が担保されるため、Y軸座標のオフセットは一律となる。一方、副走査方向に配列されるピースについては、上述したようにキャリッジ25の姿勢によってズレが発生するため、副走査方向に隣接するピース加工後のパターンをモニタカメラ23により撮像し、その撮像画像に基づいて新たに得たオフセット値で、メモリに書き込まれているX軸座標のオフセットを最新値に更新するのが好ましい。
本実施形態1の説明では、ワーク35上の各被加工部分をレーザ光Lの走査によってパターニング加工する際、ワーク35及びキャリッジ25は停止した状態で加工処理が行われる例である。ただし、副走査方向へ移動中のワーク35に対して加工処理を行うことも可能であり、また、キャリッジ25を主走査方向へ移動しながらワーク35に対して加工処理を行うことも可能である。
また、本実施形態1の説明では、光走査手段が二次元走査する手段であったが、一次元走査する手段であってよい。
また、本実施形態1は、主走査方向(X軸方向)について、ワーク35と加工領域(ワーク35に対するレーザ光Lの走査範囲)とを相対移動させる相対移動手段として、キャリッジ25を主走査方向へ移動させて加工領域を移動させる手段を用いているが、ワーク35を主走査方向へ移動させる手段を用いてもよい。
〔実施形態2〕
次に、本発明に係る光加工装置をレーザパターニング装置に適用した他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態2」という。)について説明する。
以下の説明では、上述した実施形態1との共通部分についての説明は省略する。
本実施形態2のレーザパターニング装置における加工対象物は、基材上にITO薄膜および銀ペーストが形成されたワークであり、このワーク上のITO薄膜および銀ペーストにレーザ光(加工光)を照射して部分的にITO薄膜および銀ペーストを除去することにより、ITO薄膜および銀ペーストをパターニング加工するものである。レーザ発振器11には、例えば、基材への熱影響によるダメージが少ない100[ps]以下のパルス発振によるパルスファイバレーザ(ピコ秒ファイバレーザ)を用いるが、他の光源を用いてもよい。本実施形態2のコリメータレンズ61はカップリングレンズで構成される。
図8は、本実施形態のレーザパターニング装置によるパターニング加工処理の一例を示すフローチャートである。
ここで、本実施形態2においては、ワーク35上に形成されたITO薄膜と銀ペーストという異なる2つの材料をレーザ光Lによってそれぞれパターニング加工する。ITO薄膜と銀ペーストとでは、その材料の違いによって、適した加工条件(レーザ光Lの光量、レーザ光Lの波長、レーザ光Lの照射時間など)が異なっている。そこで、本実施形態2では、主走査方向の3ピースについて、まずITO膜のパターニング加工をITO膜用の加工条件で実施した後、その加工条件を銀ペースト用の加工条件へ切り替え、再度同じ3ピースについて、今度は銀ペーストのパターニング加工を実施する。このとき、ITO膜用の加工条件と銀ペースト用の加工条件とは、異なる加工条件に設定される。そして、主走査方向の3ピース(N=1〜3)についてITO膜および銀ペーストの双方に対するパターニング加工が終了したら、ワーク35がワーク搬送方向Bへ搬送されて、再度、主走査方向の3ピース(N=4〜6)への加工が開始される。
つまり、キャリッジ25を、ホームポジションから、第一加工位置、第二加工位置、第三加工位置に順次移動させ(S6,S7)、各加工位置においてワーク35上の対応するITO膜の被加工部分の加工処理を行い(S8)、第三加工位置での加工処理が終了したら(S9のYes)、ホームポジションに戻る。そして、今度は、銀ペーストについての加工を行うために(S10のNo)、ワーク35上の被加工部分を特定するための被加工部分番号NをN−3にセットする(S11)。その後、再び、キャリッジ25を、ホームポジションから、第一加工位置、第二加工位置、第三加工位置に順次移動させ(S6,S7)、各加工位置においてワーク35上の対応する銀ペーストの被加工部分の加工処理を行い(S8)、第三加工位置での加工処理が終了したら(S9のYes)、ホームポジションに戻る。
一方、副走査方向については、キャリッジ25が第三加工位置へ移動して銀ペーストの加工処理までを終了した後(S10のYes)、次に第一加工位置での加工処理を開始するまでに、制御PC40は、副走査制御部30によりステッピングモータ31を制御して、ワーク35をワーク搬送方向Bへ150[mm]だけ移動させ(S13)、ワーク35をホールドする(S14)。そして、再び、キャリッジ25を第一加工位置、第二加工位置、第三加工位置に順次移動させてITO膜及び銀ペーストの加工処理を順次行う(S5〜S11)。
このようにして主走査方向及び副走査方向への移動を行いながら、12個のピース(被加工部分N=1〜12)に対する加工処理を終了したら(S12のYes)、450[mm]×600[mm]の被加工領域全体の加工処理が完了する。被加工領域全体の加工処理が終了したら、ワーク35はカッター54により裁断され(S15)、トレイ55に排出される。本実施形態2のようにロール状に巻き取れたワーク35を加工する場合には、キャリッジ25を第一加工位置、第二加工位置、第三加工位置に順次移動させてITO膜及び銀ペーストの加工処理を行った後にワーク35をワーク搬送方向Bへ150[mm]だけ移動させるという動作をロールエンドまで繰り返し行えばよい(S16)。
本実施形態2によれば、ITO膜と銀ペーストという互いに適した加工条件が異なる材料からなる各種加工箇所に対し、同じ光源(レーザ発振器11)を用いて、それぞれに適した加工条件での加工を実現することができる。よって、加工箇所ごとに異なる加工装置を用いて加工する必要があった従来構成と比較して、ワークを別装置へ転載するなどの手間が必要なくなり、加工時間を短縮することができる。
本実施形態2において、ITO膜用の加工条件と銀ペースト用の加工条件とで異なるのは、同一ピースに対する加工回数(同一箇所に対するレーザ光Lの照射回数)である。これは、ITO膜のパターニング加工よりも、銀ペーストのパターニング加工の方が、より多くの加工エネルギーが必要なため、銀ペースト時の加工回数をITO膜加工時よりも増やしたものである。具体的には、本実施形態2では、ITO膜加工時の加工回数が1回であるのに対し、銀ペースト加工時の加工回数は二回に設定した。
なお、本実施形態2では、瞬間的に1M[W]以上の高いピークパワーを発生させるピコ秒ファイバレーザを用いることで、アブレーション加工を実現している。そのため、光吸収性の低い材料に対しても加工光(レーザ光L)の波長に依存しない光加工が可能であるため、ITO膜と銀ペーストという光吸収性の異なる材料に対する加工において、レーザ光Lの波長(加工条件)を変更せずに、それぞれ適した加工条件を実現できている。また、ピコ秒ファイバレーザのように、パルス幅が比較的短いレーザ光L(繰り返し周波数が比較的高いレーザ光L)を用いることで、ワーク上での熱拡散が低減され、加工箇所に隣接する非加工箇所への熱影響(例えば、膜剥がれ等)を抑制することもできる。
ただし、パルス幅が比較的長い加工光(パルスレーザ光の場合には繰り返し周波数が比較的低いもの)によって加工を行ってもよく、この場合には、必要に応じて、ITO膜用加工時と銀ペースト加工時とで、照射する加工光の波長(加工条件)を異ならせるようにしてもよい。具体的には、例えば、波長ごとの光源を搭載しておき、光路切り替え手段を用いるなどしてワークに照射される加工光を出射する光源を切り替えることにより、ITO膜用加工時と銀ペースト加工時とで、照射する加工光の波長を異ならせる。
また、ITO膜用加工時と銀ペースト加工時とで、レーザ光Lの単位時間当たりのエネルギー(加工条件)を異ならせるようにしてもよい。具体的には、本実施形態2のようにパルス発振によってレーザ光を出射するパルスレーザを光源として用いる場合には、1パルス当たりのエネルギー(加工条件)を異ならせるようにしてもよい。1パルス当たりのエネルギー(加工条件)を変更する方法としては、シードLD74への駆動電流を変更したり、パルスエンジン部70での増幅率を変更したりするなど、光源出力を変更する方法が挙げられる。また、光源から出射させる加工光の波長(周波数)を変更する方法でも、1パルス当たりのエネルギー(加工条件)を異ならせることができる。
1パルス当たりのエネルギーを高くするほど、また、レーザ光Lの繰り返し周波数を高くするほど(パルス周期を短くするほど)、加工箇所(ワーク上におけるレーザ光Lの照射位置)に隣接する非加工箇所や基材へのレーザLによるダメージが大きくなる。1パルス当たりのエネルギーもレーザ光Lの繰り返し周波数も、それぞれ、加工閾値以上であって、非加工箇所や基材へのレーザLによるダメージを許容範囲内に収めることができる上限値以下で設定する必要がある。この加工閾値や上限値は、ITO膜と銀ペーストとで異なるので、1パルス当たりのエネルギーやレーザ光Lの繰り返し周波数の設定可能範囲がITO膜と銀ペーストとで重複していない場合や、その重複範囲が非常に狭い場合には、ITO膜と銀ペーストとで、1パルス当たりのエネルギーやレーザ光Lの繰り返し周波数(加工条件)を異ならせる必要がある。
本実施形態2では、レーザ発振器11のシードLD74から出力されるシード光のパルス幅を10[ps]以上900[ps]以下の範囲内で可変とし、パルスエンジン部70におけるプリアンプ部の励起LD76の出力を適正化する制御を行う。これにより、ITO膜加工時と銀ペースト加工時とで、1パルス当たりのエネルギーやレーザ光Lの繰り返し周波数を異ならせ、それぞれの加工時に適したレーザ光Lで加工ができるようにしている。
以上のように、本実施形態2において、ITO膜加工時と銀ペースト加工時とで異なる加工条件は、同一ピースに対する加工回数(同一箇所に対するレーザ光Lの照射回数)、ワークに照射されるレーザ光Lの1パルス当たりのエネルギー、及び、レーザ光Lの繰り返し周波数であるが、適した加工条件が異なるワーク35上の各種加工箇所に対して加工を行うときに異ならせる加工条件は、これに限られない。例えば、加工回数、1パルス当たりのエネルギー、繰り返し周波数のうちの1つの加工条件を異ならせたり、これらのうちの2つの加工条件を異ならせたりしてもよい。あるいは、これに代えて又はこれとともに、ここに挙げられた加工条件以外の加工条件を異ならせるようにしてもよい。
特に、同一ピースに対する加工回数(同一箇所に対するレーザ光Lの照射回数)だけを異ならせる構成によれば、レーザ光Lに関する加工条件を変更する構成が不要となり、簡素な構成で、それぞれの加工箇所に適した加工条件での加工を実現できる。
また、1パルス当たりのエネルギー、繰り返し周波数など、レーザ光Lに関する加工条件を変更する場合、本実施形態2のように、制御PC40の記憶部に、ITO膜および銀ペーストの各々の加工条件(すなわちレーザ光Lの制御条件)を事前に記憶しておき、加工時には、制御PC40は、記憶部から読み出した各々の加工条件に従って、レーザドライバ部10を制御し、ITO膜加工時と銀ペースト加工時とで、使用するレーザ光Lが異なるものとなるように制御する。このとき、記憶部に記憶される各加工条件は、制御PC40がネットワークを介して取得する更新情報に従って更新できるようにしてもよい。この場合、適した加工条件が異なる加工箇所をもつ様々なワークに対して、それぞれの加工箇所に対応する好適な加工条件を柔軟に設定できる。
また、本実施形態2においては、主走査方向3つのピースに対してITO膜の加工処理を行った後、同じ3つのピースに対して銀ペーストの加工処理を行い、その後、ワーク35を副走査方向へ移動させて主走査方向3つのピースに対してITO膜及び銀ペーストの加工処理を繰り返すという構成をとっているが、これに限られない。
例えば、主走査方向3つのピースのうちの1つのピース(第一加工位置)に対し、ITO膜の加工処理後に銀ペーストの加工処理を行い、その後、主走査方向の次のピース(第二加工位置)においてITO膜の加工処理及び銀ペーストの加工処理を順次行い、同様に、主走査方向の次のピース(第三加工位置)においてITO膜の加工処理及び銀ペーストの加工処理を順次行うというような構成でも良い。この構成では、各加工位置におけるキャリッジ25の静止位置精度が加工精度に影響してくるが、キャリッジ25の静止回数を少なくできるので、全体として加工精度を良くすることが可能である。
また、例えば、被加工領域全体(12個のピース)に対してITO膜の加工処理を行った後に、その被加工領域全体(12個のピース)に対して銀ペーストの加工処理を行うという構成であってもよい。ただし、この構成では、ワーク35の搬送回数が多くなり、ワーク35の副走査方向における位置精度が安定しなかったり、ワーク35を傷めやすくなったりするデメリットが考えられる。
また、本実施形態2においては、ITO膜および銀ペーストが加工対象である例であったが、これに限られるものではなく、例えば銅ペーストなどの他の材料が加工対象に含まれる場合でも、同様に適用可能である。
なお、本実施形態2においては、ワーク搬送部3でワークを副走査方向へ移動させる構成を備えているが、この構成は必ずしも必要なく、ワークを移動させない構成であってもよい。
また、レーザ光Lによるワーク35上の加工箇所を変更する加工箇所変更手段は、レーザ走査部2による走査によってワーク35上の加工箇所を変更する手段、キャリッジ25の移動によってワーク35上の加工箇所を変更する手段、ワーク搬送部3によるワーク35の移動によってワーク35上の加工箇所を変更する手段、あるいは、これらの手段を組み合わせた手段など、レーザ光Lによるワーク35上の加工箇所を変更するものであればよい。
また、本実施形態2では、ITO薄膜と銀ペーストという材料が異なる加工箇所については、それぞれ異なる加工条件によりレーザ光Lによる加工を実施する例であったが、このように材料の違いによって適した加工条件が異なる場合に限らず、同じ材料であっても厚みが異なる等により適した加工条件が異なる場合でも、同様である。
本実施形態1、2では、光走査手段を用いてレーザ光(加工光)を走査してレーザパターニング処理を実施する例であるが、光走査手段を用いず、図12に示すように、キャリッジを主走査方向及び副走査方向へ移動させる移動機構を用い、移動機構によりレーザ光照射位置を変更しながらワーク35上の被加工部分をレーザパターニング処理する構成であってもよい。
具体的には、図12に示す構成では、レーザ走査部2は、主走査方向(X軸方向)に移動可能な主走査直動ステージ27’上に搭載されたキャリッジ25に支持される。直動ステージ27’は、副走査方向(Y軸方向)に移動可能な副走査直動ステージ21’上に搭載されている。レーザ出力部1からのレーザ光Lは、レーザ出力部1に固定した反射ミラー16から、主走査直動ステージ27’上の反射ミラー17で反射され、キャリッジ25上のレーザ走査部2に固定した反射ミラー18により集光レンズ22’に入射される。なお、図中符号19は、レーザ光Lの結像位置での強度分布やスポット形状を変換する回折光学素子であり、トップハット分布や矩形形状等を任意に設定することができ、例えば、薄膜太陽電池フィルムの有機膜等の加工に使用する。
このような構成により、主走査直動ステージ27’及び副走査直動ステージ21’を制御することで、レーザ走査部2の集光レンズ22’から射出されるレーザ光Lを二次元平面内で移動(走査)することができる。ガルバノスキャナ等の光走査手段を用いる構成では、キャリッジ25を、第一停止位置、第二停止位置、第三停止位置に順次移動、停止させ、それぞれの位置でレーザパターニング処理を実施する必要がある。このようにレーザ加工処理を断続的に実施する必要があったため、処理時間が比較的長くなる。これに対し、図12に示す構成であれば、レーザ光走査範囲が、ガルバノスキャナ等の光走査手段を用いて走査する場合よりも広いため、第一停止位置、第二停止位置、第三停止位置の各位置で実施していたレーザパターニング処理を、一度のレーザ加工処理で連続的に実施できる。すなわち、例えば450[mm](主走査方向)×600[mm](副走査方向)のワーク35に対して加工処理を行う場合、当該加工対象の全体を主走査方向へ分割する必要なく加工処理できる。
また、図12に示す構成であれば、副走査方向についても、レーザ光走査範囲がガルバノスキャナ等の光走査手段を用いて走査する場合よりも広くできるので、例えば450[mm](主走査方向)×600[mm](副走査方向)のワーク35に対して加工処理を行う場合、当該加工対象の全体を副走査方向へ分割する分割数を少なくできる。このような構造を用いてワークを副走査方向へ分割した加工を行うことにより、長尺の加工を行うことができ、生産性の向上も実現することができる。なお、ここでいうワークを副走査方向へ分割した加工とは、移動機構により主走査方向および副走査方向にわたる加工を行った後に、ワークを搬送して再度移動機構により主走査方向および副走査方向にわたる加工を行うような加工であって、実施形態1において記載したピースに分割して行う加工と同様に、搬送の前後でワークの被加工部の少なくとも一部がつながるように加工することをいう。すなわち、ワーク搬送部3は、当該加工対象の全体を副走査方向に分割した領域ごとに順次、キャリッジ25の移動範囲に重なるように、ワークを搬送する。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
レーザ光L等の加工光を出射するレーザ発振器11等の光源と、前記光源からの加工光を走査するガルバノスキャナ21等の光走査手段と、前記光走査手段によって走査された加工光をワーク35等の加工対象物へ集光させるfθレンズ22等の集光手段とを有するレーザパターニング装置等の光加工装置において、少なくとも前記集光手段を搭載して、前記加工対象物の被加工面に対して平行な方向に移動するキャリッジ25等の移動手段と、前記移動手段の移動を制御する主走査制御部24及び制御PC40等の移動制御手段とを有することを特徴とする。
本態様によれば、光走査手段によって走査された加工光を加工対象物へ集光させる集光手段が、移動手段により加工対象物の被加工面に対して平行な方向に移動することができる。そのため、光走査手段によって走査された加工光が加工対象物上の被加工面を走査する範囲すなわち加工領域36を、加工対象物を動かすことなく、加工対象物に対して相対移動させることができる。これにより、加工対象物上の別の被加工部分に対して本光加工装置の加工領域を順次移動させて加工処理を行うことで、加工領域を超えるような比較的大きな加工対象物に対して加工処理しやすくなる。
しかも、本態様において、加工領域と加工対象物とを相対移動させる相対移動手段は、少なくとも集光手段を搭載して移動する移動手段である。この移動手段であれば、その搭載物が加工対象物よりも軽量なものであるため、加工対象物を動かす移動手段を用いる場合よりも、慣性力が小さく、高速な移動を実現でき、高い生産性を実現できる。
なお、本態様は、加工対象物を特定の方向(本実施形態では副走査方向)へ動かす移動機構を併用する構成を排除するものではない。この構成であっても、当該特定の方向とは異なる方向については、加工対象物を動かす移動機構を用いずに加工領域を加工対象物に対して相対移動させることができる。よって、当該特定の方向とは異なる方向については、加工領域を加工対象物に対して高速に相対移動させることができ、その方向について加工領域を超えるような比較的大きな加工対象物に対して高い生産性をもって加工処理を行うことができる。
(態様B)
前記態様Aにおいて、前記光走査手段も前記移動手段に搭載されていることを特徴とする。
仮に光走査手段が移動手段に非搭載である場合には、加工対象物の被加工面に対して平行移動する移動手段に対して、光走査手段によって走査された後の加工光を入射させることになる。このような構成において、移動手段がどの位置に移動しても、加工対象物に照射される加工光の焦点を維持して加工精度を安定させるためには、走査された後の加工光を平行光束化することが必要である。走査される後の加工光を平行光束化することは、光走査手段に入射する走査前の加工光を平行光束化することよりも構成が複雑化する。本態様のように、光走査手段が移動手段に搭載されていれば、走査された後の加工光を平行光束化する必要がないため、簡易な構成を実現可能である。
(態様C)
前記態様Bにおいて、加工光を平行光束化するコリメート光学系83等の平行光束化手段を有し、前記平行光束化手段は、前記移動手段に非搭載であり、前記移動手段は、当該移動手段に入射する平行光束化後の加工光の光軸に平行な方向へ移動することを特徴とする。
これによれば、移動手段の移動方向が当該移動手段に入射する平行光束化後の加工光の光軸と平行であるため、移動手段がどの位置に移動しても、加工対象物に照射される加工光の焦点が実質的に変化せず、加工対象物上における加工光のスポット径が変化するなどの影響を抑えることができる。よって、移動手段をどの位置に移動させて加工処理する場合でも、焦点調整などの作業を行うことなく、同じ加工精度で加工処理を行うことができ、より高い生産性を実現できる。
(態様D)
前記態様Aにおいて、前記光走査手段によって走査された加工光を平行光束化するコリメータレンズ61等の平行光束化手段を有し、前記光走査手段及び前記平行光束化手段は、前記移動手段に非搭載であり、前記移動手段は、前記平行光束化手段により平行光束化された加工光の光軸に平行な方向へ移動することを特徴とする。
本態様では、光走査手段が移動手段に非搭載であるため、光走査手段が移動手段に搭載されている構成よりも、移動手段の搭載物の重量が軽量になり、慣性力がより小さく、高速な移動を実現できるので、高い生産性を実現できる。また、移動手段の移動方向が当該移動手段に入射する平行光束化後の加工光の光軸と平行であるため、移動手段がどの位置に移動しても、加工対象物に照射される加工光の焦点が実質的に変化せず、加工対象物上における加工光のスポット径が変化するなどの影響を抑えることができる。よって、移動手段をどの位置に移動させて加工処理する場合でも、焦点調整などの作業を行うことなく、同じ加工精度で加工処理を行うことができ、より高い生産性を実現できる。
(態様E)
前記態様A〜Dのいずれかの態様において、前記集光手段による加工光の集光距離を調整するビームエキスパンダ12等の調整手段を有することを特徴とする。
これによれば、移動手段の移動によって前記集光手段による加工光の集光距離にズレが生じる場合でも、調整手段により集光距離を調整できるので、移動手段がどの位置に移動しても安定した加工精度を実現することが容易になる。
(態様F)
前記態様A〜Eのいずれかの態様において、前記移動手段は、前記加工対象物の被加工面上における加工光の走査方向に対して平行に移動することを特徴とする。
これによれば、光走査手段の走査範囲が狭くても、その走査範囲を超えるような比較的大きな加工対象物を加工処理できる。
(態様G)
前記態様A〜Fのいずれかの態様において、前記移動手段の移動が停止した状態で前記加工対象物の被加工面上を加工光が走査することを特徴とする。
これによれば、より高精細な加工処理を実現できる。
(態様H)
前記態様Gにおいて、前記移動制御手段は、前記移動手段を複数の停止位置でそれぞれ停止させた状態で前記加工対象物の被加工面上を加工光が走査するときの各光走査領域が、該移動手段の移動方向に隣り合うように、又は、該移動手段の移動方向に一部重複するように、該移動手段の停止位置を制御することを特徴とする。
これによれば、移動手段の移動方向において加工対象物上の各被加工部分間で連続する加工を施すことが可能である。これにより、移動手段の移動方向において、加工対象物の各被加工部分が独立したものではなく、複数の被加工部分によって1つの加工対象となるような加工対象物の加工処理を行うことが可能となる。
(態様I)
前記態様G又はHにおいて、前記移動手段は、所定の移動経路を往復移動するものであり、前記移動制御手段は、前記移動手段を往路方向又は復路方向のいずれか一方の方向に移動させて、前記複数の停止位置のそれぞれに該移動手段を停止させることを特徴とする。
これによれば、移動手段の移動時に生じる位置誤差を片寄せして、位置誤差が一定になるようにすることができ、当該位置誤差の補正等の対応が容易である。
(態様J)
前記態様A〜Iのいずれかの態様において、前記移動手段の移動方向に対して直交する方向へ前記加工対象物を搬送させるワーク搬送部3等の搬送手段と、前記加工対象物の被加工面上を加工光が走査するときの各光走査領域が、前記搬送手段による加工対象物搬送方向に隣り合うように、又は、該搬送手段による加工対象物搬送方向に一部重複するように、該搬送手段の停止位置を制御する副走査制御部30及び制御PC40等の搬送制御手段とを有することを特徴とする。
これによれば、加工対象物搬送方向において加工対象物上の各被加工部分間で連続する加工を施すことが可能である。これにより、加工対象物搬送方向において、加工対象物の各被加工部分が独立したものではなく、複数の被加工部分によって1つの加工対象となるような加工対象物の加工処理を行うことが可能となる。
(態様K)
前記態様A〜Jのいずれかの態様において、前記光走査手段は、前記光源からの加工光を二次元方向に走査することを特徴とする。
これによれば、より生産性の高い加工処理を実現することができる。
(態様L)
レーザ光L等の加工光を出射するレーザ発振器11等の光源と、前記光源からの加工光を走査するガルバノスキャナ21等の光走査手段と、前記光走査手段によって走査された加工光をワーク35等の加工対象物へ集光させるfθレンズ22等の集光手段とを有するレーザパターニング装置等の光加工装置において、少なくとも前記集光手段を搭載して、前記加工対象物の被加工面に対して平行な方向に移動するキャリッジ25等の移動手段と、前記移動手段の移動を制御する主走査制御部24及び制御PC40等の移動制御手段とを有し、前記加工対象物の被加工面上における加工光の走査方向は、少なくとも前記移動手段の移動方向を含む直交する2方向であることを特徴とする。
これによれば、より生産性の高い加工処理を実現することができる。
(態様M)
前記態様Lにおいて、前記2方向のうち少なくとも一方の走査方向へ加工光を走査する光走査手段も前記移動手段に搭載されていることを特徴とする。
仮に光走査手段が移動手段に非搭載である場合には、加工対象物の被加工面に対して平行移動する移動手段に対して、光走査手段によって走査された後の加工光を入射させることになる。このような構成において、移動手段がどの位置に移動しても、加工対象物に照射される加工光の焦点を維持して加工精度を安定させるためには、走査された後の加工光を平行光束化することが必要である。走査される後の加工光を平行光束化することは、光走査手段に入射する走査前の加工光を平行光束化することよりも構成が複雑化する。本態様のように、光走査手段が移動手段に搭載されていれば、走査された後の加工光を平行光束化する必要がないため、簡易な構成を実現可能である。
(態様N)
加工光を出射する光源と、前記光源からの加工光を走査する光走査手段と、前記加工対象物上における前記光走査手段による加工光の走査方向に対して交差する方向に前記加工対象物を搬送する搬送手段とを有する光加工装置において、前記加工対象物に対する加工光の走査範囲と該加工対象物とを、他方に対して前記走査方向に相対移動させる相対移動手段を有することを特徴とする。
本態様においても、加工対象物に対する加工光の走査範囲すなわち加工領域36と加工対象物とを、加工対象物に対する加工光の走査方向に相対移動させることができる。これにより、加工対象物上の別の被加工部分に対して本光加工装置の加工領域を順次移動させて加工処理を行うことで、加工領域を超えるような比較的大きな加工対象物に対して加工処理しやすくなる。
(態様O)
レーザ光L等の加工光を出射するレーザ発振器11等の光源と、前記加工光によるワーク35等の加工対象物上の加工箇所を変更するガルバノスキャナ21、キャリッジ25、搬送部3等の加工箇所変更手段とを有する光加工装置において、加工対象物の加工箇所に応じて、同一箇所に対するレーザ光Lの照射回数、ワーク35に照射されるレーザ光Lの単位時間当たりのエネルギー、レーザ光Lの繰り返し周波数等の加工条件を変更する制御PC40、レーザドライバ部10、主走査制御部24等の加工条件変更手段を有することを特徴とする。
本態様によれば、加工対象物の加工箇所ごとに異なる加工条件で加工を行うことができる。よって、適した加工条件が互いに異なる加工箇所が加工対象物上に存在する場合でも、加工対象物を別装置へ転載するなどの手間を要することなく、その加工対象物上の各加工箇所を、それぞれ適した加工条件で加工することができる。よって、適した加工条件が互いに異なる加工箇所ごとに異なる光加工装置を用いて加工する必要があった従来構成と比較して、手間が少なく、加工時間を短縮することができる。
(態様P)
前記態様Oにおいて、前記光源を制御する制御PC40、レーザドライバ部10等の光源制御手段を有し、前記加工条件は、前記光源制御手段による光源制御条件(ワーク35に照射されるレーザ光Lの単位時間当たりのエネルギー、レーザ光Lの繰り返し周波数等)を含むことを特徴とする。

これによれば、適した加工光の特性条件が互いに異なる加工対象物上の各種加工箇所をそれぞれ好適に加工することができる。
(態様Q)
前記態様Pにおいて、前記光源制御条件は、加工対象物に照射される加工光の単位時間当たりのエネルギーを含むことを特徴とする。

これによれば、適した加工光の単位時間当たりのエネルギーが互いに異なる加工対象物上の各種加工箇所をそれぞれ好適に加工することができる。
(態様R)
前記態様P又はQにおいて、前記光源は、所定の繰り返し周波数で加工光を断続的に出射するパルスファイバレーザ等であり、前記光源制御条件は、前記所定の繰り返し周波数を含むことを特徴とする。

これによれば、適した加工光の繰り返し周波数が互いに異なる加工対象物上の各種加工箇所をそれぞれ好適に加工することができる。
(態様S)
前記態様O〜Rのいずれかの態様において、前記加工条件は、加工光の照射回数を含むことを特徴とする。
これによれば、同一箇所に対するレーザ光Lの適した照射回数が互いに異なる加工対象物上の各種加工箇所をそれぞれ好適に加工することができる。また、加工光の特性を変更せずに加工条件を変えることができるので、簡易な構成を実現できる。
(態様T)
前記態様O〜Sのいずれかの態様において、前記加工箇所変更手段は、前記光源からの加工光を走査するガルバノスキャナ21等の光走査手段を含むことを特徴とする。
これによれば、高速かつ高精度な加工を実現できる。
(態様U)
前記態様Tにおいて、主走査方向等の所定方向に複数回の移動と停止を繰り返すキャリッジ25等の移動手段を有し、前記光走査手段は、前記移動手段に搭載され、前記移動手段の停止中に前記加工光を走査することを特徴とする。
これによれば、比較的大きな加工対象物に対しても、光走査手段で走査した加工光によって加工処理を行うことができる。
(態様V)
前記態様O〜Uのいずれかの態様において、前記加工箇所変更手段は、前記加工対象物に向けて加工光を照射する光照射位置と加工対象物とを相対移動させるキャリッジ25、搬送部3、XYテーブル等の相対移動手段を含むことを特徴とする。
これによれば、より加工時間の短い加工の実現が容易である。
1 レーザ出力部
2 レーザ走査部
3 ワーク搬送部
4 制御部
10 レーザドライバ部
11 レーザ発振器
12 ビームエキスパンダ
14,15,16 反射ミラー
20 ガルバノスキャナ制御部
21 ガルバノスキャナ
21a ガルバノミラー
21b ステッピングモータ
22 fθレンズ
23 モニタカメラ
24 主走査制御部
25 キャリッジ
26 ステッピングモータ
28 リニアエンコーダ
29 リニアガイド
30 副走査制御部
31 ステッピングモータ
32 搬送ローラ対
33,34 モニタカメラ
35 ワーク
36 加工領域
37 アライメントマーク
51 スプール軸
52 入口ガイド板
53 加工テーブル
54 カッター
55 トレイ
57 空洞部
58 ポンプ
61 コリメータレンズ
67 巻取軸
91 ポリゴンスキャナ
91a ポリゴンミラー
91b モータ
特開2003−205384号公報

Claims (20)

  1. 光源と、
    前記光源による光を走査する光走査手段と、
    前記光走査手段によって走査された光を加工対象物へ向けて集光させる集光手段とを有する光加工装置において、
    前記集光手段は、前記加工対象物に対して移動する移動手段に搭載され、
    前記光源は、前記移動手段に非搭載である
    ことを特徴とする光加工装置。
  2. 請求項1に記載の光加工装置において、
    前記光走査手段は、前記移動手段に搭載されている
    ことを特徴とする光加工装置。
  3. 請求項1または2に記載の光加工装置であって、
    前記移動手段に対して前記加工対象物を相対移動させるように搬送する搬送手段を有する
    ことを特徴とする光加工装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光加工装置において、
    前記移動手段は、第一の方向に移動し、
    前記搬送手段は、前記第一の方向と交わる第二の方向に、前記加工対象物を相対移動させる
    ことを特徴とする光加工装置。
  5. 請求項4に記載の光加工装置において、
    前記移動手段は、第一の軸に沿う方向にのみ移動し、
    前記搬送手段は、前記第一の軸と直交する第二の軸に沿う方向にのみ、前記加工対象物を相対移動させる
    ことを特徴とする光加工装置。
  6. 請求項4または5に記載の光加工装置において、
    前記光源による光を平行光束化する平行光束化手段を有し、
    前記移動手段へ入射する光は、前記移動手段へ入射する前に平行光束化され、前記移動手段が移動する方向に沿う方向から前記移動手段へ入射する
    ことを特徴とする光加工装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光加工装置において、
    前記移動手段は、少なくとも2以上の停止位置で停止し、
    前記光走査手段は、前記移動手段が停止している状態において前記光源による光を走査する
    ことを特徴とする光加工装置。
  8. 請求項7に記載の光加工装置において、
    前記移動手段は、往復移動し、往復移動における一方向の移動のときにのみ前記停止位置で停止する
    ことを特徴とする光加工装置。
  9. 請求項7または8に記載の光加工装置において、
    前記移動手段は、隣接する各停止位置における前記加工対象物上の光の走査の範囲が互いに重なるような停止位置で停止する
    ことを特徴とする光加工装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光加工装置において、
    前記光走査手段は、前記光源による光を2次元走査する
    ことを特徴とする光加工装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光加工装置において、
    前記集光手段の集光距離を調整する調整手段を有する
    ことを特徴とする光加工装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光加工装置において、
    前記光走査手段が走査する箇所に応じて、前記光源の光の単位時間あたりのエネルギー、前記光源の光の繰り返し周波数、前記光源の光の照射回数のうち少なくとも1つを変更する
    ことを特徴とする光加工装置。
  13. 光源と、前記光源による光を走査する光走査手段と、前記光走査手段によって走査された光を加工対象物へ集光させる集光手段とを有する光加工装置を用いて前記加工対象物を加工することによる光加工物の生産方法において、
    前記光源を移動手段に搭載しない状態で、前記集光手段を前記移動手段に搭載して前記加工対象物に対して移動させ、前記加工対象物を加工する
    ことを特徴とする光加工物の生産方法。
  14. 光源と、
    前記光源からの光を加工対象物へ向けて集光させる集光手段と、
    前記集光手段を搭載し、前記加工対象物に対して第一の方向および前記第一の方向と交わる第二の方向に移動する移動手段と、
    前記移動手段に対して前記加工対象物を前記第二の方向に相対移動させるように搬送する搬送手段を有し、
    前記移動手段の移動範囲は、前記加工対象物における被加工部を前記第二の方向に分割した領域である
    ことを特徴とする光加工装置。
  15. 請求項14に記載の光加工装置において、
    前記光源は、前記移動手段に非搭載である
    ことを特徴とする光加工装置。
  16. 請求項14または15に記載の光加工装置であって、
    前記搬送手段は、前記第二の方向に分割した領域が前記移動手段の移動範囲に重なるように、順次、前記加工対象物を搬送する
    ことを特徴とする光加工装置。
  17. 請求項14乃至16のいずれか1項に記載の光加工装置において、
    前記光源による光を平行光束化する平行光束化手段を有し、
    前記移動手段へ入射する光は、前記移動手段へ入射する前に平行光束化され、前記移動手段が移動する方向に沿う方向から前記移動手段へ入射する
    ことを特徴とする光加工装置。
  18. 請求項14乃至17のいずれか1項に記載の光加工装置において、
    前記集光手段の集光距離を調整する調整手段を有する
    ことを特徴とする光加工装置。
  19. 請求項14乃至18のいずれか1項に記載の光加工装置において、
    前記集光手段が集光する箇所に応じて、前記光源の光の単位時間あたりのエネルギー、前記光源の光の繰り返し周波数、前記光源の光の照射回数のうち少なくとも1つを変更する
    ことを特徴とする光加工装置。
  20. 光源と、前記光源からの光を加工対象物へ向けて集光させる集光手段と、前記集光手段を搭載し、前記加工対象物に対して第一の方向および前記第一の方向と交わる第二の方向に移動する移動手段と、前記移動手段に対して前記加工対象物を前記第二の方向に相対移動させるように搬送する搬送手段と、を有する光加工装置を用いて前記加工対象物を加工することによる光加工物の生産方法において、
    前記移動手段の移動範囲は、前記加工対象物における被加工部を前記第二の方向に分割した領域である
    ことを特徴とする光加工物の生産方法。
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