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JP2009283753A - ウエーハのレーザー加工方法およびレーザー加工装置 - Google Patents

ウエーハのレーザー加工方法およびレーザー加工装置 Download PDF

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JP2009283753A
JP2009283753A JP2008135267A JP2008135267A JP2009283753A JP 2009283753 A JP2009283753 A JP 2009283753A JP 2008135267 A JP2008135267 A JP 2008135267A JP 2008135267 A JP2008135267 A JP 2008135267A JP 2009283753 A JP2009283753 A JP 2009283753A
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Yosuke Watanabe
陽介 渡辺
Kiyoshi Osuga
浄 大須賀
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Abstract

【課題】ウエーハの表面に形成された複数のデバイスに欠陥領域が存在しても、アブレーションを起こすことなく内部にストリートに沿って変質層を形成することができるウエーハのレーザー加工方法およびレーザー加工装置を提供する。
【解決手段】ウエーハ20のストリート21に沿って表面の高さ位置を検出し、所定の表面高さ位置より低下した欠陥領域220を検出する欠陥領域検出工程と、ウエーハの表面側から内部にレーザー光線の集光点を位置付けて該ストリートに沿ってレーザー光線を照射する際に、該欠陥領域にはレーザー光線の照射を停止することにより、ウエーハの内部に該欠陥領域を除いて該ストリートに沿って変質層201を形成する変質層形成工程とを含む。
【選択図】図13

Description

本発明は、表面に格子状に配列された複数のストリートによって複数の領域が区画されるとともに該区画された領域にデバイスが形成されたウエーハに、該ウエーハの表面側から内部にレーザー光線の集光点を位置付けてストリートに沿ってレーザー光線を照射し、ウエーハの内部にストリートに沿って変質層を形成するウエーハのレーザー加工方法およびレーザー加工装置に関する。
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することにより回路が形成された領域を分割して個々の半導体チップを製造している。また、サファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハもストリートに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
近年、半導体ウエーハ等の板状の被加工物を分割する方法として、その被加工物に対して透過性を有するパルスレーザー光線を用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせてパルスレーザー光線を照射するレーザー加工方法も試みられている。このレーザー加工方法を用いた分割方法は、被加工物の一方の面側から内部に集光点を合わせて被加工物に対して透過性を有する波長(例えば1064nm)のパルスレーザー光線を照射し、被加工物の内部にストリートに沿って変質層を連続的に形成し、この変質層が形成されることによって強度が低下したストリートに沿って外力を加えることにより、被加工物を分割するものである。(例えば、特許文献1参照。)
特許第3408805号公報
而して、微小電気機械システム(MEMS)等のデバイスが形成されたウエーハには、デバイスが形成されたデバイス領域にエッチング不良等により陥没して正規の表面より数μm〜数十μm低くなった欠陥領域が存在する場合がある。このような欠陥領域の表面は荒れているため、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を照射しても荒れた表面でアブレーションを引き起こしてデブリが発生し、このデブリが飛散してデバイスに付着することにより、デバイスの品質を低下させるという問題がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、ウエーハの表面に形成された複数のデバイスに欠陥領域が存在しても、アブレーションを起こすことなく内部にストリートに沿って変質層を形成することができるウエーハのレーザー加工方法およびレーザー加工装置を提供することにある。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、表面に格子状に配列された複数のストリートによって複数の領域が区画されるとともに該区画された領域にデバイスが形成されたウエーハに、該ウエーハの表面側から内部にレーザー光線の集光点を位置付けて該ストリートに沿ってレーザー光線を照射し、ウエーハの内部に該ストリートに沿って複数層の変質層を形成するウエーハのレーザー加工方法であって、
ウエーハのストリートに沿って表面の高さ位置を検出し、所定の表面高さ位置より低下した欠陥領域を検出する欠陥領域検出工程と、
ウエーハの表面側から内部にレーザー光線の集光点を位置付けて該ストリートに沿ってレーザー光線を照射する際に、該欠陥領域にはレーザー光線の照射を停止することにより、ウエーハの内部に該欠陥領域を除いて該ストリートに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハのレーザー加工方法が提供される。
また、本発明によれば、ウエーハを保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハにレーザー光線を照射するための集光器を備えたレーザー光線照射手段と、該レーザー光線照射手段の該集光器によって集光されるレーザー光線の集光点位置を変位せしめる集光点位置調整手段と、該チャックテーブルを加工送り方向(X軸方向)に移動するための加工送り手段と、該チャックテーブルを加工送り方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に移動するための割り出し送り手段と、該チャックテーブルの加工送り位置を検出するX軸方向位置検出手段と、該チャックテーブルの割り出し送り位置を検出するY軸方向位置検出手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハの上面高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、該高さ位置検出手段と該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号を入力し該レーザー光線照射手段と集光点位置調整手段と加工送り手段と割り出し送り手段に制御信号を出力する制御手段とを具備するレーザー加工装置において、
表面に格子状に配列された複数のストリートによって複数の領域が区画されるとともに該区画された領域にデバイスが形成されたウエーハに、該ウエーハの表面側から内部にレーザー光線の集光点を位置付けて該ストリートに沿ってレーザー光線を照射し、ウエーハの内部に該ストリートに沿って変質層を積層して形成する際に、該制御手段は、
該高さ位置検出手段と該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号に基づいてウエーハのストリートに沿って表面の高さ位置を検出し、所定の表面高さ位置より低下した欠陥領域を検出し、該欠陥領域の座標値を記憶手段に格納する欠陥領域検出工程と、
該レーザー光線照射手段を作動してウエーハの表面側から内部にレーザー光線の集光点を位置付けて該ストリートに沿ってレーザー光線を照射する際に、該記憶手段に格納された該欠陥領域にはレーザー光線の照射を停止することにより、ウエーハの内部に該欠陥領域を除いて該ストリートに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、を実行する、
ことを特徴とするレーザー加工装置が提供される。
本発明においては、ウエーハのストリートに沿って表面の高さ位置を検出することにより欠陥領域を検出し、ウエーハの表面側から内部にレーザー光線の集光点を位置付けてストリートに沿ってレーザー光線を照射する際に、欠陥領域にはレーザー光線の照射を停止することにより、ウエーハの内部に欠陥領域を除いて該ストリートに沿って変質層を形成するので、表面が荒れている欠陥領域にレーザー光線が照射されないため、アブレーションを起こしデブリを発生させることはない。従って、表面が荒れている欠陥領域にレーザー光線が照射されることにより、アブレーションを起こして発生したデブリがデバイスに付着することを未然に防止することができる。
以下、本発明に従って構成されたウエーハのレーザー加工方法およびレーザー加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
図1には、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図が示されている。図1に示すレーザー加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に配設され被加工物を保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2に上記矢印Xで示す方向(X軸方向)と直角な矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構4と、該レーザー光線照射ユニット支持機構4に矢印Zで示す方向(Z軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット5とを具備している。
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上に矢印Xで示す加工送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上に矢印Xで示す加工送り方向に(X軸方向)移動可能に配設された第一の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上に矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持されたカバーテーブル35と、被加工物保持手段としてのチャックテーブル36を具備している。このチャックテーブル36は多孔性材料から形成された吸着チャック361を具備しており、被加工物保持面としての吸着チャック361上に被加工物である例えば円盤状の半導体ウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。このように構成されたチャックテーブル36は、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回転せしめられる。なお、チャックテーブル36には、後述する環状のフレームを固定するためのクランプ362が配設されている。
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動させるための加工送り手段37を具備している。加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第一の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動せしめられる。
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記チャックテーブル36のX軸方向位置を検出するためのX軸方向位置検出手段374を備えている。X軸方向位置検出手段374は、案内レール31に沿って配設されたリニアスケール374aと、第1の滑動ブロック32に配設され第1の滑動ブロック32とともにリニアスケール374aに沿って移動する読み取りヘッド374bとからなっている。このX軸方向位置検出手段374の読み取りヘッド374bは、図示に実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36のX軸方向位置を検出する。
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動させるための第1の割り出し送り手段38を具備している。第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめられる。
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記第2の滑動ブロック33のY軸方向位置を検出するためのY軸方向位置検出手段384を備えている。Y軸方向位置検出手段384は、案内レール322に沿って配設されたリニアスケール384aと、第2の滑動ブロック33に配設され第2の滑動ブロック33とともにリニアスケール384aに沿って移動する読み取りヘッド384bとからなっている。このY軸方向位置検出手段384の読み取りヘッド384bは、図示に実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36のY軸方向位置を検出する。
上記レーザー光線照射ユニット支持機構4は、静止基台2上に矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該案内レール41、41上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられた装着部422とからなっている。装着部422は、一側面に矢印Zで示す方向に延びる一対の案内レール423、423が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動させるための第2の割り出し送り手段43を具備している。第2の割り出し送り手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ねじロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部421の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめられる。
図示の実施形態のおけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51と、該ユニットホルダ51に取り付けられたレーザー光線照射手段52を具備している。ユニットホルダ51は、上記装着部422に設けられた一対の案内レール423、423に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を上記案内レール423、423に嵌合することにより、矢印Zで示す方向(Z軸方向)に移動可能に支持される。
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51を一対の案内レール423、423に沿って矢印Zで示す焦点位置調整方向(Z軸方向)に移動させるための集光点位置調整手段53を具備している。集光点位置調整手段53は、一対の案内レール423、423の間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ532等の駆動源を含んでおり、パルスモータ532によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ51およびレーザー光線照射手段52を案内レール423、423に沿って矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ532を正転駆動することによりレーザー光線照射手段52を上方に移動し、パルスモータ532を逆転駆動することによりレーザー光線照射手段52を下方に移動するようになっている。
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット5は、レーザー光線照射手段52のZ軸方向位置を検出するためのZ軸方向位置検出手段55を具備している。Z軸方向位置検出手段55は、上記案内レール423、423と平行に配設されたリニアスケール551と、上記ユニットホルダ51に取り付けられユニットホルダ51とともにリニアスケール551に沿って移動する読み取りヘッド552とからなっている。このZ軸方向位置検出手段55の読み取りヘッド552は、図示に実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。
図示のレーザー光線照射手段52は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング521を含んでいる。このケーシング521内には図2に示すように加工用パルスレーザー光線発振手段6が配設されており、ケーシング521の先端には加工用パルスレーザー光線発振手段6が発振する加工用パルスレーザー光線を上記チャックテーブル36に保持される被加工物に照射せしめる集光器7が配設されている。加工用パルスレーザー光線発振手段6は、被加工物であるウエーハに対して透過性を有する波長の加工用パルスレーザー光線LB1を発振する。この加工用パルスレーザー光線発振手段6は、後述する被加工物に対して透過性を有する波長(例えば1064nm)の加工用パルスレーザー光線LB1を発振するYVO4パルスレーザー発振器或いはYAGパルスレーザー発振器を用いることができる。
上記集光器7は、上記加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1を図2において下方に向けて方向変換する方向変換ミラー71と、該方向変換ミラー71によって方向変換された加工用パルスレーザー光線LB1を集光する集光レンズ72とを具備しており、集光レンズ72は方向変換ミラー71によって方向変換された加工用パルスレーザー光線LB1を集光点Pに集光する。
なお、図示の実施形態におけるレーザー光線照射手段52は、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線の光軸を偏向する光軸変更手段60を備えている。この光軸変更手段60は、図示の実施形態においては加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線の光路に配設された音響光学素子61と、該音響光学素子61に印加するRF(radio frequency)を生成するRF発振器62と、該RF発振器62によって生成されたRFのパワーを増幅して音響光学素子61に印加するRFアンプ63と、RF発振器62によって生成されるRFの周波数を調整する偏向角度調整手段64を具備している。上記音響光学素子61は、印加されるRFの周波数に対応してレーザー光線の光軸を偏向する角度を調整する。なお、上記偏向角度調整手段64は、後述する制御手段によって制御される。
また、図示の実施形態における光軸変更手段60は、上記音響光学素子61に所定周波数のRFが印加された場合に、図2において破線で示すように音響光学素子61によって偏向されたレーザー光線を吸収するためのレーザー光線吸収手段65を具備している。
図示の実施形態における光軸変更手段60は以上のように構成されており、以下その作用について図2を参照して説明する。
光軸変更手段60を構成する偏向角度調整手段64に例えば0Vの電圧が印加され、音響光学素子61に0Vに対応する周波数のRFが印加された場合には、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1は、その光軸が集光器7の方向変換ミラー71に向けられる。一方、偏向角度調整手段64に例えば10Vの電圧が印加され、音響光学素子61に10Vに対応する周波数のRFが印加された場合には、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1は、図2において破線で示すようにレーザー光線吸収手段65に導かれる。
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、チャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出するための高さ位置検出手段8を具備している。高さ位置検出手段8は、検査用レーザー光線を発振する検査用レーザー光線発振手段81と、上記加工用パルスレーザー光線発振手段6の光軸変更手段60と集光器7と間の経路に配設され検査用レーザー光線発振手段81から発振された検査用レーザー光線を集光器7に向けて分光せしめるダイクロックミラー82と、検査用レーザー光線発振手段81とダイクロックミラー82との間に配設され検査用レーザー光線発振手段81から発振された検査用レーザー光線をダイクロックミラー82に向ける第1の経路83aに導く第1のビームスプリッター83を具備している。
検査用レーザー光線発振手段81は、後述する被加工物に対して反射性を有する波長(例えば635nm)の検査用レーザー光線LB2を発振するHe-Neパルスレーザー発振器を用いることができる。なお、検査用レーザー光線発振手段80から発振される検査用レーザー光線LB2の出力は、図示の実施形態においては10mWに設定されている。ダイクロックミラー82は、加工用パルスレーザー光線LB1は通過するが検査用レーザー光線発振手段81から発振された検査用レーザー光線LB2を集光器7に向けて反射せしめる。上記第1のビームスプリッター83は、検査用レーザー光線発振手段81から発振された検査用レーザー光線LB2を上記ダイクロックミラー82に向けた第1の経路83aに導くとともに、ダイクロックミラー82によって分光された後述する反射光を第2の経路83bに導く。
図示の実施形態における高さ位置検出手段8は、第2の経路83bに配設され第1のビームスプリッター83によって反射された反射光を分析し分析結果を後述する制御手段に送る反射光分析手段85を具備している。反射光分析手段85は、上記第1のビームスプリッター83によって反射された反射光を第3の経路85aと第4の経路85bに分光する第2のビームスプリッター851と、該第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aに分光された反射光を100%集光する集光レンズ852と、該集光レンズ852によって集光された反射光を受光する第1の受光素子853を具備している。第1の受光素子853は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。また、図示の実施形態における反射光分析手段85は、第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光された反射光を受光する第2の受光素子854と、該第2の受光素子854が受光する反射光の受光領域を規制する受光領域規制手段855を具備している。受光領域規制手段855は、図示の実施形態においては第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光された反射光を一次元に集光するシリンドリカルレンズ855aと、該シリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光された反射光を単位長さに規制する一次元マスク855bとからなっている。該一次元マスク855bを通過した反射光を受光する第2の受光素子854は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。
図2に示す実施形態における高さ位置検出手段8は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
検査用レーザー光線発振手段81から発振された検査用レーザー光線LB2は、第1のビームスプリッター83を通過してダイクロイックミラー82に達し、該ダイクロイックミラー82によって集光器7の方向変換ミラー71に向けて反射される。方向変換ミラー71に向けて反射された検査用レーザー光線LB2は、上記加工用パルスレーザー光線LB1と同様に集光レンズ72によって集光される。このようにして集光される検査用レーザー光線LB2は、チャックテーブル36に保持された被加工物Wの上面で反射し、その反射光が図2において破線で示すように集光レンズ72、方向変換ミラー71、ダイクロイックミラー82、第1のビームスプリッター83を介して反射光分析手段85の第2のビームスプリッター851に達する。第2のビームスプリッター851に達した検査用レーザー光線LB2の反射光は、第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aと第4の経路85bに分光される。第3の経路85aに分光された検査用レーザー光線LB2の反射光は、集光レンズ852によって100%集光され第1の受光素子853に受光される。そして、第1の受光素子853は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。一方、第4の経路に85bに分光された検査用レーザー光線LB2の反射光は、受光領域規制手段855のシリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光され、一次元マスク855bによって所定の単位長さに規制されて第2の受光素子854に受光される。そして、第2の受光素子854は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。
ここで、第1の受光素子853と第2の受光素子854によって受光される検査用レーザー光線LB2の反射光の受光量について説明する。
第1の受光素子853に受光される反射光は、集光レンズ852によって100%集光されるので受光量は一定であり、第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)は一定(例えば10V)となる。一方、第2の受光素子854によって受光される反射光は、受光領域規制手段855のシリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光された後、一次元マスク855bによって所定の単位長さに規制されて第2の受光素子854に受光されるので、図3の(a)および(b)に示すように検査用レーザー光線LB2が被加工物Wの上面に照射される際に、集光器7の集光レンズ72から被加工物Wの上面までの距離、即ち被加工物Wの高さ位置(厚み)によって第2の受光素子854の受光量は変化する。従って、第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)は、検査用レーザー光線LB2が照射される被加工物Wの上面高さ位置によって変化する。
例えば、図3の(a)に示すように被加工物Wの高さ位置が低く(被加工物Wの厚みが薄く)集光器7の集光レンズ72から被加工物Wの上面までの距離(H)が大きい場合には、検査用レーザー光線LB2は被加工物Wの上面に照射されるスポットS1で反射する。この反射光は上述したように第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aと第4の経路85bに分光されるが、第3の経路85aに分光されたスポットS1の反射光は集光レンズ852によって100%集光されるので、反射光の全ての光量が第1の受光素子853に受光される。一方、第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光されたスポットS1の反射光は、シリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光されるので断面が略長方形となる。このようにして断面が略長方形に絞られた反射光は、一次元マスク855bによって所定の単位長さに規制されるので、第4の経路85bに分光された反射光の一部が第2の受光素子854によって受光されることになる。従って、第2の受光素子854に受光される反射光の光量は上述した第1の受光素子853に受光される光量より少なくなる。
次に、図3の(b)に示すように被加工物Wの高さ位置が高く(被加工物Wの厚みが厚く)集光器7の集光レンズ72から被加工物Wの上面までの距離(H)が小さい場合には、検査用レーザー光線LB2は被加工物Wの上面に照射されるスポットS2で反射する。この環状のスポットS2は上記スポットS1より大きい。このスポットS2の反射光は上述したように第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aと第4の経路85bに分光されるが、第3の経路85aに分光されたスポットS2の反射光は集光レンズ852によって100%集光されるので、反射光の全ての光量が第1の受光素子853に受光される。一方、第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光されたスポットS2の反射光は、シリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光されるので断面が略長方形となる。この略長方形の長辺の長さは、反射光のスポットS2が上記環状のスポットS1より大きいのでスポットS1の場合より長くなる。このようにして断面が略長方形に集光された反射光は、一次元マスク855bによって所定の長さに区切られ一部が第2の受光素子854によって受光される。従って、第2の受光素子854によって受光される光量は、上記図3の(a)に示す場合より少なくなる。このように第2の受光素子854に受光される反射光の光量は、集光器7の集光レンズ72から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち被加工物Wの高さ位置が低い(被加工物Wの厚み(T)が薄い)程多く、集光器7の集光レンズ72から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち被加工物Wの高さ位置が高い(被加工物Wの厚み(T)が厚い)程少なくなる。
ここで、上記第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比と、集光器7の集光レンズ72から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ちチャックテーブル36に保持された被加工物Wの厚み(T)との関係について、図4に示す制御マップを参照して説明する。図4において横軸は第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)で、縦軸は集光器7の集光レンズ72から被加工物Wの上面までの距離(H)を示している。なお、図4に示す制御マップは、焦点距離が30mmの集光レンズを使用したもので、集光器7の集光レンズ72から被加工物Wの上面までの距離(H)が30mmのとき上記第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)が“1”で、集光器7の集光レンズ72から被加工物Wの上面までの距離(H)が小さくなる程、即ち被加工物Wの厚み(T)が厚くなる程上記比(V1/V2)が大きくなる。従って、上述したように第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)を求め、この電圧値の比(V1/V2)を図4に示す制御マップに照合することにより、集光器7の集光レンズ72から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ちチャックテーブル36に保持された被加工物Wの厚み(T)を求めることができる。なお、図4に示す制御マップは、後述する制御手段のメモリに格納される。
図1に戻って説明を続けると、上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部には、レーザー光線照射手段52によってレーザー加工すべき加工領域を検出する撮像手段9が配設されている。この撮像手段9は、可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、図5に示す制御手段10を具備している。制御手段10はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)101と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)102と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)103と、入力インターフェース104および出力インターフェース105とを備えている。制御手段10の入力インターフェース104には、上記X軸方向位置検出手段374の読み取りヘッド374b、Y軸方向位置検出手段384の読み取りヘッド384b、Z軸方向位置検出手段55の読み取りヘッド552、第1の受光素子853、第2の受光素子854および撮像手段9等からの検出信号が入力される。そして、制御手段10の出力インターフェース105からは、上記パルスモータ372、パルスモータ382、パルスモータ432、パルスモータ532、加工用パルスレーザー光線発振手段6、検査用レーザー光線発振手段81、上記光軸変更手段60の偏向角度調整手段64等に制御信号を出力する。なお、記憶手段としての上記ランダムアクセスメモリ(RAM)103は、上述した図4に示す制御マップを格納する第1の記憶領域103aや後述する被加工物の設計値のデータを記憶する第2の記憶領域103b、後述するウエーハ10の高さ位置を記憶する第3の記憶領域103cや他の記憶領域を備えている。
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
図6の(a)にはレーザー加工される被加工物としてウエーハ20の斜視図が示されており、図6の(b)にはウエーハ20の断面図が示されている。
図6の(a)および図6の(b)に示すウエーハ20は、例えば直径が200mmのシリコンウエーハからなっており、表面20aに格子状に配列された複数のストリート21によって複数の領域が区画されるとともに該区画された領域にデバイス22としての微小電気機械システム(MEMS)が形成されている。なお、ウエーハ2の外周には、シリコンウエーハの結晶方位を示す切り欠き23が形成されている。このように形成されたウエーハ20には、デバイスの欠陥領域220が存在しているものとする。なお、欠陥領域220は、図6の(b)に示すようにウエーハ20の正規の表面20aより陥没している。
上述したレーザー加工装置を用い、上記ウエーハ20のストリート21に沿ってレーザー光線を照射し、ウエーハ20の内部にストリート21に沿って変質層を形成するレーザー加工の実施形態について説明する。
なお、上述したウエーハ20の内部にストリート21に沿って変質層を形成するレーザー加工を実施するには、ウエーハ20を図7に示すように環状のフレームFに装着された粘着テープTに貼着する。このとき、ウエーハ20は、表面20aを上にして裏面側を粘着テープTに貼着する。
上述したウエーハ20の表面側からレーザー光線を照射してウエーハ20の内部に変質層を形成する際に、上記欠陥領域220の表面は荒れているためにレーザー光線が照射されると、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線であってもアブレーションが起きてデブリが発生し、このデブリがデバイス22に付着してデバイスの品質を低下させる。そこで、本発明においては、欠陥領域220におけるレーザー光線の照射を停止する。このため、レーザー加工を施す前に、上述した高さ位置検出装置8によってチャックテーブル36に保持されたウエーハ20の高さ位置を計測して、ウエーハ20の正規の表面20aより陥没して低下している欠陥領域220を検出する欠陥領域検出工程を実施する。
欠陥領域検出工程を実施するには、先ず上述した図1に示すレーザー加工装置のチャックテーブル36上にウエーハ20を載置し、該チャックテーブル36上にウエーハ20を吸引保持する。このとき、ウエーハ20は、粘着テープT側をチャックテーブル36上に載置する。従って、ウエーハ20は、表面20aを上側にして保持される。そして、環状のフレームFはチャックテーブル36に配設されたクランプ362によって固定される。このようにしてウエーハ20を吸引保持したチャックテーブル36は、加工送り手段37によって撮像手段9の直下に位置付けられる。
ウエーハ20を吸引保持したチャックテーブル36が撮像手段9の直下に位置付けられると、撮像手段9および制御手段10によってウエーハ20のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段9および制御手段10は、ウエーハ20の表面21aに所定方向に形成されている複数のストリート21と、集光器7との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、アライメントを遂行する。また、ウエーハ20の表面21aに形成されている所定方向と直交する方向に形成されているストリート21に対しても、同様にアライメントが遂行される。
上述したようにアライメントが行われると、チャックテーブル36上のウエーハ20は、図8の(a)に示す座標位置に位置付けられた状態となる。なお、図8の(b)はチャックテーブル36即ちウエーハ20を図8の(a)に示す状態から90度回転した状態を示している。
なお、図8の(a)および図8の(b)に示す座標位置に位置付けられた状態におけるウエーハ20に形成された各ストリート21の送り開始位置座標値(A1,A2,A3・・・An)と送り終了位置座標値(B1,B2,B3・・・Bn)および送り開始位置座標値(C1,C2,C3・・・Cn)と送り終了位置座標値(D1,D2,D3・・・Dn)は、その設計値が上記ランダムアクセスメモリ(RAM)103の第2に記憶領域103bに格納されている。
上述したようにチャックテーブル36上に保持されたウエーハ20に形成されているストリート21を検出し、欠陥領域検出位置のアライメントが行われたならば、チャックテーブル36を移動して図8の(a)において最上位のストリート21を集光器7の直下に位置付ける。そして、更に図9の(a)で示すようにストリート21の一端(図9の(a)において左端)である送り開始位置座標値(A1)(図8の(a)参照)を集光器7の直下に位置付ける。そして、高さ位置検出手段8を作動するとともに、チャックテーブル36を図9において矢印X1で示す方向に移動し、送り終了位置座標値(B1)まで移動することにより、ウエーハ20の表面(上面)の高さ位置を検出する(欠陥領域検出工程)。即ち、制御手段10は、上記X軸方向位置検出手段374およびY軸方向位置検出手段384からの検出信号と、上記第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)に基づいて、上記図4に示す制御マップからストリート21に沿った高さ位置を求め、この値を上記ランダムアクセスメモリ(RAM)103の第3の記憶領域103cに格納する。このようにして、ウエーハ20に形成された全てのストリート21に沿って境界位置検出工程を実施し、各ストリート21における高さ位置および境界位置を上記ランダムアクセスメモリ(RAM)103の第3の記憶領域103cに格納する。
上述したようにウエーハ20に形成された各ストリート21に沿って実施する欠陥領域検出工程において、欠陥領域が存在しない場合には上記第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)の変動は極めて小さい。例えば、上記集光器7の集光レンズ72(焦点距離が30mm)からウエーハ20の表面20aまでの距離(H)を29.5mmに設定して上記欠陥領域検出工程を実施した場合には、図9の(b)に示すように上記第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)は“5”前後で推移する(図4に示す制御マップ参照)。
しかるに、図10の(a)に示すようにウエーハ20の表面20aに陥没した欠陥領域220が存在する場合には、欠陥領域220は高さが低く集光器7の集光レンズ72(焦点距離が30mm)からウエーハ20の表面20aまでの距離(H)が長くなる(但し、集光レンズ72の焦点距離より短い)ので、第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)は変化しないが第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)は急激に増加するため、図10の(b)に示すように上記第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)は欠陥領域220において急激に減少する。従って、制御手段10は、上記比(V1/V2)が急激に減少した始点E1から終点E2までの領域を欠陥領域と判断し、上記始点E1と終点E2の座標値を上記ランダムアクセスメモリ(RAM)103の第3の記憶領域103cに上記高さ位置とともに格納する。
以上のようにしてウエーハ20に形成された全てのストリート21に沿って欠陥領域検出工程を実施したならば、ウエーハ20の内部にストリート21に沿って変質層を形成するレーザー加工を実施する。
レーザー加工を実施するには、先ずチャックテーブル36を移動して図8の(a)において最上位のストリート21を集光器7の直下に位置付ける。そして、更に図11の(a)で示すようにストリート21の一端(図11の(a)において左端)である送り開始位置座標値(A1)(図8の(a)参照)を集光器7の直下に位置付ける。制御手段10は、集光点位置調整手段53を作動して集光器7から照射される加工用パルスレーザー光線LB1の集光点Pをウエーハ20の表面20a(上面)から所定の深さ位置に位置付ける。次に制御手段10は、加工用パルスレーザー光線発振手段6の加工用パルスレーザー光線発振手段6を作動するとともに、光軸変更手段60を構成する偏向角度調整手段64に例えば0Vの電圧を印加する。この結果、上述したように加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1は、その光軸が集光器7に向けられて集光器7から照射される。そして、制御手段10は、チャックテーブル36を矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる(変質層形成工程)。そして、上記欠陥領域220が存在していない場合には、ストリート21に沿って加工用パルスレーザー光線LB1の照射を継続し、図11の(b)で示すように集光器7の照射位置がストリート21の他端(図11の(b)において右端)である送り終了位置座標値(B1)(図8の(a)参照)に達したら、制御手段10は光軸変更手段60を構成する偏向角度調整手段64に例えば10Vの電圧を印加するとともにチャックテーブル36の移動を停止する。この結果、上述したように加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1は、図2において破線で示すようにレーザー光線吸収手段65に導かれる。このようにして変質層形成工程を実施することにより、ウエーハ20の内部には図11の(b)で示すように変質層201が形成される。
なお、上記変質層形成工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
レーザー :YVO4 パルスレーザー
波長 :1064nm
繰り返し周波数 :100kHz
パルス出力 :2.5μJ
集光スポット径 :φ1μm
加工送り速度 :100mm/秒
なお、上記加工条件において形成される変質層201の厚みは50μm程度であり、従ってウエーハ20をストリート211に沿って容易に分割するためには、ウエーハ20の厚み方向に複数層の変質層を形成する必要がある。ウエーハ20の厚み方向に複数層の変質層を形成するには、集光点位置調整手段53を作動してレーザー光線照射手段52を段階的に順次上昇させることにより集光器7から照射される加工用パルスレーザー光線LB1の集光点を段階的に順次上側に変位して上記変質層形成工程を実施しり、図12に示すようにウエーハ20の厚み方向に複数層の変質層201を積層して形成する。
次に、図13の(a)に示すようにウエーハ20の表面20aに陥没した欠陥領域220が存在する場合の変質層形成工程について説明する。
先ず上記図11に示す実施形態と同様にチャックテーブル36を移動して所定のストリート21を集光器7の直下に位置付ける。そして、更に図13の(a)で示すようにストリート21の一端(図13の(a)において左端)を集光器7の直下に位置付ける。制御手段10は、集光点位置調整手段53を作動して集光器7から照射される加工用パルスレーザー光線LB1の集光点Pをウエーハ20の表面20a(上面)から所定の深さ位置に位置付ける。次に制御手段10は、加工用パルスレーザー光線発振手段6の加工用パルスレーザー光線発振手段6を作動するとともに、光軸変更手段60を構成する偏向角度調整手段64に例えば0Vの電圧を印加する。この結果、上述したように加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1は、その光軸が集光器7に向けられて集光器7から照射される。更に制御手段10は、チャックテーブル36を矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図13の(b)に示すようにチャックテーブル36に保持されたウエーハ20に存在する欠陥領域220の始点E1の座標値が集光器7の直下に達したら、制御手段10は光軸変更手段60を構成する偏向角度調整手段64に例えば10Vの電圧を印加し、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振される加工用パルスレーザー光線LB1を図2において破線で示すようにレーザー光線吸収手段65に導かれるように制御する。更にチャックテーブル36が矢印X1で示す方向に移動し、図13の(c)に示すようにチャックテーブル36に保持されたウエーハ20に存在する欠陥領域220の終点E2の座標値が集光器7の直下に達したら、再度光軸変更手段60を構成する偏向角度調整手段64に例えば0Vの電圧を印加する。この結果、上述したように加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1は、その光軸が集光器7に向けられて再度集光器7から照射される。そして、図13の(d)で示すように集光器7の照射位置がストリート21の他端(図13の(d)において右端)に達したら、制御手段10は光軸変更手段60を構成する偏向角度調整手段64に例えば10Vの電圧を印加するとともにチャックテーブル36の移動を停止する。この結果、上述したように加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1は、図2において破線で示すようにレーザー光線吸収手段65に導かれる。このようにして変質層形成工程を実施することにより、ウエーハ20の内部には図13の(d)で示すように欠陥領域220を除いてストリート21に沿って変質層201が形成される。
なお、ウエーハ20の厚み方向に複数層の変質層を形成するには、集光点位置調整手段53を作動してレーザー光線照射手段52を段階的に順次上昇させることにより集光器7から照射される加工用パルスレーザー光線LB1の集光点を段階的に順次上側に変位して上記変質層形成工程を実施し、図14に示すようにウエーハ20の厚み方向に複数層の変質層201を積層して形成する。
このように本発明においては、ウエーハ20に存在する欠陥領域220へは加工用パルスレーザー光線LB1の照射を停止して荒れた表面の欠陥領域220にはレーザー光線を照射しないので、アブレーションを起こしデブリを発生させることなく、ウエーハ20の内部には欠陥領域220を除いてストリート21に沿って変質層201を形成することができる。
以上のようにして、ウエーハ20の所定方向に延在する全てのストリート21に沿って上記変質層形成工程を実行したならば、チャックテーブル36を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直角に延びる各ストリート21に沿って上記変質層形成工程を実行する。このようにして、ウエーハ20に形成された全てのストリート21に沿って上記加工工程を実行したならば、ウエーハ20を保持しているチャックテーブル36は、最初にウエーハ20を吸引保持した位置に戻され、ここでウエーハ20の吸引保持を解除する。そして、ウエーハ20は、図示しない搬送手段によって分割工程に搬送される。
本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図。 図1に示すレーザー加工装置に装備されるレーザー光線照射手段およびチャックテーブルに保持された被加工物の高さ位置検出手段の構成を示すブロック図。 図2に示す高さ位置検出装置によってチャックテーブルに保持された厚みが異なる被加工物に検査用レーザー光線を照射する状態を示す説明図。 図2に示す高さ位置検出手段を構成する第1の受光素子から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子から出力される電圧値(V2)との比と、集光器から被加工物の上面までの所定距離(H)との関係を示す制御マップ。 図1に示すレーザー加工装置に装備される制御手段を示すブロック図。 本発明によるウエーハのレーザー加工方法によってレーザー加工されるウエーハの斜視図および断面拡大図。 図6に示すウエーハを環状のフレームに装着された粘着テープの表面に貼着した状態を示す斜視図。 図6に示すウエーハが図1に示すレーザー加工装置のチャックテーブルの所定位置に保持された状態における座標位置との関係を示す説明図。 本発明によるウエーハのレーザー加工方法における欠陥領域検出工程(欠陥領域が存在しない場合)の説明図。 本発明によるウエーハのレーザー加工方法における欠陥領域検出工程(欠陥領域が存在する場合)の説明図。 本発明によるウエーハのレーザー加工方法における変質層形成工程(欠陥領域が存在しない場合)の説明図。 図11に示す変質層形成行程においてウエーハの内部に変質層を積層して形成した状態を示す説明図。 本発明によるウエーハのレーザー加工方法における変質層形成工程(欠陥領域が存在する場合)の説明図。 図13に示す変質層形成行程においてウエーハの内部に変質層を積層して形成した状態を示す説明図。
符号の説明
2:静止基台
3:チャックテーブル機構
36:チャックテーブル
37:加工送り手段
374:X軸方向位置検出手段
38:第1の割り出し送り手段
384:Y軸方向位置検出手段
4:レーザー光線照射ユニット支持機構
42:可動支持基台
43:第2の割り出し送り手段
5:レーザー光線照射ユニット
55:Z軸方向位置検出手段
6:加工用パルスレーザー光線発振手段
60:光軸変更手段
7:集光器
71:方向変換ミラー
72:集光レンズ
8:高さ位置検出装置
81:検査用レーザー光線発振手段
82:ダイクロックミラー
83:第1のビームスプリッター
85:反射光分析手段
9:撮像手段
10:制御手段
20:ウエーハ

Claims (2)

  1. 表面に格子状に配列された複数のストリートによって複数の領域が区画されるとともに該区画された領域にデバイスが形成されたウエーハに、該ウエーハの表面側から内部にレーザー光線の集光点を位置付けて該ストリートに沿ってレーザー光線を照射し、ウエーハの内部に該ストリートに沿って複数層の変質層を形成するウエーハのレーザー加工方法であって、
    ウエーハのストリートに沿って表面の高さ位置を検出し、所定の表面高さ位置より低下した欠陥領域を検出する欠陥領域検出工程と、
    ウエーハの表面側から内部にレーザー光線の集光点を位置付けて該ストリートに沿ってレーザー光線を照射する際に、該欠陥領域にはレーザー光線の照射を停止することにより、ウエーハの内部に該欠陥領域を除いて該ストリートに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、を含む、
    ことを特徴とするウエーハのレーザー加工方法。
  2. ウエーハを保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハにレーザー光線を照射するための集光器を備えたレーザー光線照射手段と、該レーザー光線照射手段の該集光器によって集光されるレーザー光線の集光点位置を変位せしめる集光点位置調整手段と、該チャックテーブルを加工送り方向(X軸方向)に移動するための加工送り手段と、該チャックテーブルを加工送り方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に移動するための割り出し送り手段と、該チャックテーブルの加工送り位置を検出するX軸方向位置検出手段と、該チャックテーブルの割り出し送り位置を検出するY軸方向位置検出手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハの上面高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、該高さ位置検出手段と該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号を入力し該レーザー光線照射手段と集光点位置調整手段と加工送り手段と割り出し送り手段に制御信号を出力する制御手段とを具備するレーザー加工装置において、
    表面に格子状に配列された複数のストリートによって複数の領域が区画されるとともに該区画された領域にデバイスが形成されたウエーハに、該ウエーハの表面側から内部にレーザー光線の集光点を位置付けて該ストリートに沿ってレーザー光線を照射し、ウエーハの内部に該ストリートに沿って変質層を形成する際に、該制御手段は、
    該高さ位置検出手段と該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号に基づいてウエーハのストリートに沿って表面の高さ位置を検出し、所定の表面高さ位置より低下した欠陥領域を検出し、該欠陥領域の座標値を記憶手段に格納する欠陥領域検出工程と、
    該レーザー光線照射手段を作動してウエーハの表面側から内部にレーザー光線の集光点を位置付けて該ストリートに沿ってレーザー光線を照射する際に、該記憶手段に格納された該欠陥領域にはレーザー光線の照射を停止することにより、ウエーハの内部に該欠陥領域を除いて該ストリートに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、を実行する、
    ことを特徴とするレーザー加工装置。
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