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JP2015104424A - ワイヤ押し引き装置及び内視鏡 - Google Patents

ワイヤ押し引き装置及び内視鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】正確さを要するエリアでは微動調整を行い、微動調整が不要なエリアでは粗動を行う際の操作性を向上し、且つ簡単な構造を有するワイヤ押し引き装置を提供する。
【解決手段】内視鏡の先端部に設けられた起立台30は、牽引ワイヤ32が取り付けられ、牽引ワイヤ32はワイヤ押し引き装置40により押し引きされる。ワイヤ押し引き装置40は、操作レバー20、回転環、スライダ42、クランク板43、ガイド筒44、駆動伝達板46、カムピン47、カム板48を備える。操作レバー20を回転させると回転環、駆動伝達板46が一体となって回転し、カムピン47を介して連結されたクランク板43を移動させる。スライダ42は、一端がクランク板43に他端が牽引ワイヤ32に連結される。カムピン47は、カム板48に形成されたカム溝55に沿って移動する。カム溝55は、操作回転量に対するカムピン47の移動量を途中で変化させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、従動物を遠隔操作するワイヤ押し引き装置及び内視鏡に関する。
近年、医療分野において内視鏡を利用した診断が盛んに行われている。内視鏡は、患者の体腔内に挿入される挿入部と、挿入部の基端部分に連設された操作部とを備えている。
操作部には、操作入力部としての操作レバーや操作ノブなどが設けられており、操作入力部を操作することによって挿入部の先端部に設けられた従動物を遠隔操作する。遠隔操作する従動物としては、先端部から突出させる処置具の向きを変えて起立させるための起立台、観察部を構成するズーム光学系の可動レンズなどが一般的である。
特許文献1には、挿入部の軸線と直交する側視方向の視野範囲を観察する側視内視鏡に組み込まれ、起立台を遠隔操作するワイヤ押し引き装置について記載されている。このワイヤ押し引き装置では、粗動調整するときには、操作レバーの回転がワイヤを押し引きするプーリに減速せずに伝達されて起立台の位置が調整され、微動調整するときには、操作レバーの回転が歯車を介してプーリに伝達されるため、回転が減速して起立台の位置が精密に調整される。
特開2010−136737号公報
内視鏡の観察視野内では体内の病変部など目標の位置に処置具を正確に合わせる必要があるため、起立台を微動調整する必要があり、一方、観察視野外では、微動調整は不要であり、処置具を起立させた状態から処置具挿通チャンネルに合わせて伏せた状態に戻すためには、起立台を迅速に動作させることが求められている。
しかしながら、上記特許文献1記載の内視鏡では、粗動調整用ノブと微動調整用ノブとを備え、起立台を粗動及び微動する場合にそれぞれノブを切り換えて回す必要があり、操作性が良くない。また、特許文献1記載の内視鏡では、微動用の減速装置が必要になり、機構が複雑になる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、正確さを要するエリアでは微動調整を行い、微動調整が不要なエリアでは粗動を行う際の操作性を向上し、且つ簡単な構造を有するワイヤ押し引き装置及びこれを備えた内視鏡を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明のワイヤ押し引き装置は、回転操作部材と、回転操作部材を回転自在に保持する保持部と、回転操作部材に取り付けられて揺動するレバー部材と、牽引ワイヤが一端に連結され、牽引ワイヤの軸方向に移動自在なスライダと、一端がレバー部材に、他端がスライダの他端に、取付軸によりピン結合で連結されるリンク部材と、リンク部材とレバー部材との間の取付軸を、レバー部材の回転中心に対する径方向で変位させるカム溝を有するカム機構とを備える。
カム機構は、レバー部材の回転中心に対する径方向で、レバー部材に形成されるスライド溝と、保持部に取り付けられ、カム溝を有するカム板とを備え、カム溝は、レバー部材の回転中心を中心とする円弧状の第1溝部と、第1溝部に連続し、第1溝部に対して、レバー部材の回転中心の径方向内側に向かって斜めに交差する第2溝部とを有することが好ましい。
本発明の内視鏡では、ワイヤ押し引き装置と、体内へ挿入される挿入部と、挿入部の軸線方向に配される処置具挿通チャンネルと、挿入部の先端部に設けられ体内を観察するための観察手段と、先端部に形成され、処置具挿通チャンネルに挿入された処置具が突出する処置具出口と、処置具出口と処置具挿通チャンネルの間に設けられ、観察手段の観察視野内へ処置具を導出させるために該処置具を案内するガイド面を有し、ワイヤ押し引き装置の牽引ワイヤの先端が取り付けられて、該牽引ワイヤの押し引きにより起立動作を行う起立台とを備える。
また、本発明の内視鏡では、ワイヤ押し引き装置と、体内へ挿入される挿入部と、挿入部の軸線方向に配される処置具挿通チャンネルと、挿入部の先端部に設けられ、体内を観察するための観察手段と、先端部に形成され、処置具挿通チャンネルに挿入された処置具が突出する処置具出口と、処置具出口と処置具挿通チャンネルの間に設けられ、観察手段の観察視野内へ処置具を導出させるために該処置具を案内するガイド面を有し、ワイヤ押し引き装置の牽引ワイヤの先端が取り付けられて、該牽引ワイヤの押し引きにより起立動作を行う起立台とを備え、観察視野内に処置具が入り始める時の進入開始位置で、取付軸が第1溝部から第2溝部に移る。
また、本発明の内視鏡では、ワイヤ押し引き装置と、体内へ挿入される挿入部と、挿入部の先端部に設けられ、体内を観察するためのズーム光学系を有する観察手段とを備え、ズーム光学系は、ワイヤ押し引き装置の牽引ワイヤの先端が取り付けられて、該牽引ワイヤの押し引きにより移動する可動レンズを有し、ズーム光学系による被写界深度の深い広角側での移動を取付軸が第1溝部に位置するときに行い、被写界深度の浅い望遠側での移動を取付軸が第2溝部に位置するときに行う。
本発明によれば、リンク部材とレバー部材との間の取付軸をカム溝によりレバー部材の回転中心に対する径方向で変位させているため、正確さを要するエリアでは微動調整を行い、微動調整が不要なエリアでは粗動を行う際、1つのレバー部材の操作だけで切り換え可能であり、操作性が向上する。また、カム溝を有するカム機構により切り換えを行うため、簡単な構造で実施することができる。
内視鏡システムの概略を示す斜視図である。 先端部の縦断面図である。 先端部の斜視図である。 ワイヤ押し引き装置を示す斜視図である。 ワイヤ押し引き装置の分解斜視図である。 起立台とワイヤ押し引き装置を示す側面図である。 起立台が退避位置の時のワイヤ押し引き装置を示す側面図である。 起立台が進入開始位置の時のワイヤ押し引き装置を示す側面図である。 起立台が起立位置の時のワイヤ押し引き装置を示す側面図である。 操作レバーの操作角度に対する起立台の動作回転量の比率を示すグラフである。 操作レバーの操作角度に対する起立台の動作角度を示すグラフである。 超音波内視鏡に適用した他の実施形態を示す斜視図である。 カム溝の別の実施形態を示す平面図である。 ズームレンズの可動ズームの移動にワイヤ押し引き装置を用いた他の実施形態を示す要部断面図である。
図1に示すように、内視鏡システム2は、電子内視鏡10と、プロセッサ装置11と、光源装置12と、処置具13とを備えている。電子内視鏡10は、体内に挿入される挿入部14と、挿入部14の基端部分に連設された操作部15と、プロセッサ装置11や光源装置12に接続されるユニバーサルコード16とを有する。ユニバーサルコード16の先端には、コネクタ17が取り付けられている。コネクタ17は複合タイプのコネクタであり、プロセッサ装置11及び光源装置12がそれぞれ接続されている。
挿入部14は先端から順に先端部14a、湾曲部14b、可撓管部14cに区画されている。湾曲部14bは、先端部14aの基端側に連設され、複数の湾曲駒を連結して構成されている。可撓管部14cは、可撓性を有し、湾曲部14bの基端側から操作部15の連結部まで設けられている。
電子内視鏡10は、主に十二指腸鏡として用いられる側視内視鏡である。この種の内視鏡は、口腔を介して挿入されて、食道から胃を経て十二指腸まで挿入されるようになっている。側視内視鏡は、十二指腸の胆道から総胆管内等に挿入されて、所定の検査や治療等の処置が行われる。このために、電子内視鏡10には、処置具13の挿入経路が設けられている。処置具13の挿入経路における入口部として、操作部15には処置具入口18が設けられている。処置具13は、例えば先端部に生体組織を採取可能なカップ13aを有する生検鉗子である。
操作部15には、処置具入口18と、湾曲操作ノブ19と、操作レバー20などが設けられている。湾曲操作ノブ19が操作されると、挿入部14内に挿設されたワイヤが押し引きされることにより、湾曲部14bが上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部14aが体内の所望の方向に向けられる。
図2に示すように、先端部14aは、先端部本体21と、先端部本体21に外嵌される先端キャップ22とを備える。
図3に示すように、先端キャップ22の外周面の上部には平坦部23が形成されている。平坦部23には、観察手段としての照明ユニット24及び観察ユニット25が設けられている。照明ユニット24及び観察ユニット25は、挿入部14の軸線方向に並んで配される。照明ユニット24及び観察ユニット25の側方で平坦部23には、処置具出口23aが、照明ユニット及び観察ユニット25の並びに対して平行に配される。図2に示すように、先端キャップ22の内部には、処置具出口23aに連通する処置具起立空間22aが形成されている。処置具起立空間22a内には、起立台30が起立自在に取り付けられている。
照明ユニット24には照明レンズが装着されており、この照明レンズにはライトガイドの出射端が面している。また、観察ユニット25には、挿入部の側視方向を観察するための側視観察光学系が設けられており、この側視観察光学系の結像位置には例えばCCDなどのイメージセンサが配されている。なお、照明ユニット24及び観察ユニット25については従来の側視内視鏡に用いられているものと同様であるため、詳しい説明を省略する。また、プロセッサ装置11は、伝送ケーブルを介してCCDから出力された撮像信号を取得し、各種画像処理を施して画像データを生成する。プロセッサ装置11で生成された画像データは、プロセッサ装置11にケーブル接続されたモニタ26に観察画像として表示される。
先端部本体21は、円柱部21aと取付ブラケット21bとを有する。円柱部21aの後端部分は、湾曲部14bに接続されている。取付ブラケット21bは、円柱部21aの先端から軸方向に突出し、処置具出口23aと対面している。この取付ブラケット21bには、取付軸31により起立台30が回転自在に取り付けられている。
取付ブラケット21bの上方で円柱部21aには、開口部21cとワイヤ挿通孔21dとが形成されている。開口部21cには、段部21eを介して、可撓性チューブから構成される処置具挿通チャンネル28が接続されている。処置具挿通チャンネル28は挿入部14から操作部15の内部を通り、軸線に沿って処置具入口18まで延在されている。ワイヤ挿通孔21dには、牽引ワイヤ32が挿通される。牽引ワイヤ32の先端は、取付軸32aにより、固定されている。
起立台30は、処置具出口23aと処置具挿通チャンネル28との間に配される。牽引ワイヤ32が押し引きされることにより、起立台30は、起立位置(点線表示)と退避位置(実線表示)との間で変位し、起伏動作が行われる。この起立位置と退避位置との間が起立台30の動作範囲となる。
起立台30は、処置具13のガイド面30aを有する。起立位置では、処置具挿通チャンネル28により挿入部14の軸線方向に導かれた処置具13が、ガイド面30aによって、処置具出口23aから挿入部14の外へ向けて案内される。このように、起立台30を退避位置と起立位置との間で回動変位させることによって、処置具13の導出方向が制御される。
起立台30の退避位置は、軸線CL1に平行な基準線BL1と、取付軸31,32aを結ぶ起立台30の中心線CL2との交差角度θ1が例えば8°である。また、起立台30の起立位置は基準線BL1と中心線CL2との交差角度θ2が例えば63°であり、本実施形態での起立台30の動作範囲は例えば55°である。
観察ユニット25の観察視野35は、図3の点線35a,35bで囲まれるハッチングを付したエリアである。この観察視野35に、処置具13が入り始めるときの進入開始位置(二点鎖線表示)では、起立台30の中心線CL2と基準線BL1との交差角度θ3は、例えば42°である。したがって、退避位置から進入開始位置までは、処置具が観察視野35内に入ることがなく、進入開始位置から起立位置までは、処置具が観察視野35内に入るようになる。
図4に示すように、ワイヤ押し引き装置40は起立台30の上端部に取り付けられた牽引ワイヤ32を押し引きして、起立台30を起伏させる。ワイヤ押し引き装置40は、操作レバー20と、回転環41(回転操作部材;図5参照)と、スライダ42と、クランク板43(リンク部材)と、ガイド筒44と、連結ヘッド45と、駆動伝達板(レバー部材)46と、カムピン47と、カム板48と、支持部材49と、固定環50とを備える。
図5に示すように、回転環41は円筒状に形成され、支持部材49に設けられた回転軸51に対して同軸且つ回転自在に取り付けられている。支持部材49及び固定環50は、回転環41を保持する保持部を構成する。固定環50は、回転環41の外周面を支持して、支持部材49に固定されている。固定環50は、支持部材49からの回転環41の脱落を防止する。なお、回転操作部材としては、回転環41のように円筒状に限定するものではなく、保持部による保持が可能な形状であればよい。また、保持部としては、支持部材49及び固定環50を有する構成に限らず、例えば1つの部品から構成してもよい。
操作レバー20は、例えばネジ52によるネジ止めにより、回転環41に連結されている。支持部材49は、操作部15の外装を構成するケースに固定される。回転軸51は中空になっている。この回転軸51内に、湾曲操作ノブ19(図1参照)の取付軸が挿通して固定されることにより、湾曲操作ノブ19が取り付けられる。
図5に示すように、駆動伝達板46は、例えばネジ止めにより回転環41の底面に連結されており、この駆動伝達板46は操作レバー20及び回転環41と一体的に回動する。
駆動伝達板46は、上板46a、連結板46b、下板46cを有し、クランク状に折り曲げられている。上板46aが回転環41の底面に固定され、下板46cには、スライド溝53が形成されている。このスライド溝53は、カム板48とともにカム機構を構成する。スライド溝53は回転環41の径方向に配されており、一端53aが開口している。スライド溝53には、カムピン47がスライド自在に嵌合する。
支持部材49の底面側には、カム板48が配されている。カム板48は、直線部48aと円弧部48bとを有し、略L字形に形成されている。直線部48aは、回転環41の径方向に配され、一端が回転軸51の底面に固着されている。円弧部48bは直線部48aの他端に連続しており、円弧状のカム溝55を有する。カム溝55にはカムピン47がスライド自在に嵌合する。
カム溝55は、第1溝部55aと第2溝部55bとを有する。第1溝部55aは、回転軸51の筒芯CL3を中心とする円弧状に形成されている。第2溝部55bは、第1溝部55aに連続し、第1溝部55aに対して、回転環41の径方向内側へ向けて斜めに交差して配される。第1溝部55aは、駆動伝達板46の下板46cとカム板48とが組付けられた状態で、スライド溝53の他端53bと回転環41の径方向において同じ位置に配される。これにより、カム溝55とスライド溝53との貫通部分にカムピン47が挿入される。
カムピン47は、クランク板43の一端に、下側に向けて突出するように、固着されている。カムピン47の下端部外周には、E形止め輪56の取付溝47aが形成されている。スライド溝53及びカム溝55を貫通したカムピン47の取付溝47aにはE形止め輪56が取り付けられ、カムピン47の各溝53,55からの脱落が阻止される。カムピン47が各溝53,55にスライド自在に取り付けられることにより、カムピン47を介して駆動伝達板46及びカム板48及びクランク板43が連結される。
クランク板43の他端には連結孔43aが形成されている。この連結孔43aには、連結ヘッド45の連結ピン45aが挿入される。スライダ42は、一端に連結ヘッド45が取り付けられており、他端には牽引ワイヤ32が連結されている。スライダ42は、ガイド筒44に摺動自在に支持されている。ガイド筒44は、操作部15のケースに固定されている。
図6に示すように、牽引ワイヤ32は可撓性スリーブ57内に挿通されている。この可撓性スリーブ57は、例えば密着コイルに熱収縮性チューブを被せて構成されている。スライダ42及びクランク板43は、操作レバー20の操作によるカムピン47の移動を牽引ワイヤ32の直線運動に変換する。操作レバー20が回転操作されると、この回転角度に応じたスライド溝53とカムピン47との連動により、カムピン47がカム溝55内を移動する。カムピン47は、第1溝部55aを通過中は操作レバー20の単位回転角度に応じた移動量で移動する。この移動量に応じて連動するクランク板43は、スライダ42の直線運動に変換する。そして、カムピン47が第2溝部55bを通過中は、第1溝部55aに対して第2溝部55bが内側に傾斜して配されている分、操作レバー20の単位回転角度に応じたカムピン47のスライダ42移動方向における移動量が第1溝部55aの時の移動量よりも少なくなる。これにより、第1溝部55aと第2溝部55bをカムピン47が通過する時のスライダ移動方向における移動量が変動する。
本実施形態では、牽引ワイヤ32の先端を電子内視鏡10の起立台30の先端に固定している。したがって、操作レバー20を回転操作すると、これに応じて、ワイヤ押し引き装置40を介して牽引ワイヤ32が押し引きされて、起立台30が揺動することができる。この起立台30の揺動により、処置具13が起伏動作する。
起立台30の起伏動作中において、カムピン47が第1溝部55aにある時は操作レバー20の回転角度に略比例して、起立台30が起立する。また、カムピン47が第2溝部55bにある時は、第1溝部55aにあるときよりも牽引ワイヤ32の移動量が少なくなる。したがって、カムピン47が第1溝部55aを通過中の時よりも起立台30はゆっくりと起立する。この第1溝部55aと第2溝部55bとの切り換えタイミングを、起立台30に案内される処置具13が観察視野35に入るタイミングに合わせておくことで、観察視野35外では操作レバー20の操作に略比例して速やかに起立させることができ、観察視野35に処置具13が入ってからは、それまでよりもゆっくりと起立が行われる。このため、起立操作を精度良く行うことができ、処置具13を狙った患部等の目的部位に精度よく位置決めすることができる。
図7A,7B,7Cを参照して、ワイヤ押し引き装置40の動作について説明する。上述したように、ワイヤ押し引き装置40では、カムピン47がカム溝55に嵌合するとともに、スライド溝53と嵌合している。従って、操作レバー20を操作して、回転環41を回転させると、カムピン47がカム溝55の両端に当接する位置の間で動作する。
図7Aに示すように、カムピン47が第1溝部55a側の一端55cと当接する位置にある時は、起立台30が退避位置になっている。図7Bに示すように、カムピン47が第1溝部55aから第2溝部55bに移動する時は、起立台30が進入開始位置になる。図7Cに示すように、カムピン47が第2溝部55b側の他端55dと当接する位置にある時は、起立位置となる。
カムピン47が円弧状の第1溝部55a内を移動するときは、スライド溝53の一端に当接して径方向の位置が一定のまま回転環41が回転する。これにより、カムピン47が第1溝部55a内を通過し、起立台30が退避位置から進入開始位置になるまでは、カムピン47は、軸線方向及び径方向の両方に対してスライダ42とは離反する方向へ移動する。
一方、カムピン47が直線状の第2溝部55b内を移動するときは、スライド溝53に沿って径方向の内側へ移動しながら回転環41が回転する。これにより、カムピン47が第2溝部55b内を通過し、起立台30が進入開始位置から最大起立位置になるまでは、カムピン47は、軸線方向に対してはスライダ42と離反する方向へ引っ張られるが、径方向に対してはスライダ42と近接する方向へ移動するので、起立台30が最小起立位置から進入開始位置にあるときよりも、移動する量が少ない。
このように、操作レバー20とクランク板43との間にカム機構を介在させることで、操作レバー20の回転途中、すなわちカムピン47が第1溝部55aと第2溝部55bとの境目を通過したとき、カムピン47と連結されたクランク板43の一端は、操作レバー20の操作回転量に対する移動量が変化する。これにより、クランク板43と連動するスライダ42、及び牽引ワイヤ32の移動量も変化するので、操作レバー20の操作回転量に対する起立台30の動作回転量の比率が、退避位置から起立位置に回転する途中で変化する。そして、カムピン47が第1溝部55aを通過するときは、操作レバー20の操作回転量に対する起立台30の動作回転量の比率が大きくなり、カムピン47が第2溝部55bを通過するときは、操作レバー20の操作回転量に対する起立台30の動作回転量の比率が小さくなる。なお、図7A〜7Cでは、起立台30を退避位置から起立位置に回転する途中の動作について説明したが、起立台30を起立位置から退避位置に回転させる途中についても同様にカム機構が動作し、操作レバー20の回転途中、すなわちカムピン47が第1溝部55aと第2溝部55bとの境目を通過したとき、操作レバー20の操作回転量に対する起立台30の動作回転量の比率が変化する。
図8は、本実施形態の電子内視鏡10における操作レバー20の操作角度に対する起立台30の動作回転量の比率の一例を示すものであり、図8の実線で示すグラフ61は、操作レバー20の操作回転量2°毎の起立台30の動作回転量を示している。なお、図8の点線及び一点鎖線で示すグラフ62,63は、従来の内視鏡、及び従来の内視鏡に対して操作回転量を半分に、すなわち操作レバーの操作回転量に対する起立台の動作回転量の比率を2倍にした場合の操作回転量2°毎の起立台の動作回転量である。一方、図9の実線で示すグラフ64は、電子内視鏡10における操作レバー20の操作角度に対する起立台30の動作角度を示し、図9の点線及び一点鎖線で示すグラフ65,66は、従来の内視鏡、及び従来の内視鏡に対して操作回転量を半分にした場合の操作レバーの操作角度に対する起立台の動作角度である。なお、図8及び図9のいずれにおいても、横軸に示す操作レバーの操作角度の値は、起立台が起立位置のときを0°とする操作レバーの回転角度であり、縦軸に示す測定結果は、起立台を起立位置にした状態から操作レバーを回転させ、順次測定した測定値である。
図8及び図9に示すように、本実施形態の電子内視鏡10では、起立台30を起立位置から進入開始位置、すなわち、操作レバー20の操作角度を0°から8°まで回転させた場合、操作レバー20の操作角度に対する起立台30の動作回転量の比率が小さく、且つ一定である。なお、ここでいう比率が「一定」とは、ほぼ一定である場合を含む。そして、起立台30を進入開始位置から退避位置、すなわち、操作レバー20の操作角度を8°から18°まで回転させた場合、操作レバー20の操作角度に対する起立台30の動作回転量の比率が大きく、且つ徐々に増加していく。一方、従来の内視鏡では、起立台を起立位置から退避位置まで回転させた場合、操作レバーの操作角度に対する起立台の動作回転量の比率は、本実施形態よりも小さく、且つ一定である。そして、従来の内視鏡では、起立台を起立位置から退避位置まで動作させたときの操作レバーの操作回転量が本実施形態よりも大きい。また、従来の内視鏡に対して操作回転量を半分にした場合では、操作レバーの操作角度に対する起立台の動作回転量の比率は、本実施形態よりも大きく、且つ徐々に増加する。そして、この場合、起立台を起立位置から退避位置まで動作させたときの操作レバーの操作回転量が本実施形態よりも小さい。
本実施形態の電子内視鏡10を使用し、挿入部14を患者の体腔内に挿入してモニタ26で目的部位を確認しながら処置を行う際には、先ず、操作部15に設けた処置具入口18から処置具挿通チャンネル28へ処置具13を挿入する。このとき、操作レバー20は操作されておらず、起立台30は退避位置で静止している。そして、処置具13の先端部が起立台30のガイド面30aの位置まで到達したとき、操作レバー20を反時計方向に回転させると、ワイヤ押し引き装置40が動作して、起立台30を退避位置から起立位置に向かって変位させることができる。このとき、起立台30が進入開始位置から起立位置にある状態では、操作レバー20の操作回転量に対する起立台30の動作回転量の比率が小さくなるため、処置具13が観察視野内に進入したとき、起立台30が微動調整され、処置具13が導出される方向を精度良く制御することができる。
一方、起立台30が起立位置にある状態で、操作レバー20を時計方向に回転させると、ワイヤ押し引き装置40が動作して、起立台30を起立位置から退避位置に向かって変位させることができる。このとき、起立台30が起立位置から進入開始位置にある状態では、カム機構により操作レバー20の操作回転量に対する起立台30の動作回転量の比率が小さくなるため、処置具13が観察視野内に進入したとき、起立台30が微動調整され、処置具13が導出される方向を精度良く制御することができる。
さらに、処置具13による処置が終了し、操作レバー20を時計方向に回転させると、起立台30が進入開始位置から退避位置にある状態では、操作レバー20の操作回転量に対する起立台30の動作回転量の比率が大きくなるため、処置具13が観察視野外に出たとき、起立台30が租動し、処置具13を挿入部14の軸線方向に素早く戻して処置具挿通チャンネル28から処置具13を引き抜くことができる。
上述したように、従来の内視鏡では、操作レバーの操作角度に対する起立台の動作回転量の比率は、本実施形態よりも小さいため、処置具13が観察視野外にあるときでも起立台の動作が遅い。一方、従来の内視鏡に対して操作回転量を半分にした場合では、操作レバーの操作角度に対する起立台の動作回転量の比率は、本実施形態よりも大きいため、観察視野内で処置具13を微動調整することができない。これに対して、本実施形態では、板カムを用いた簡単な構造で、処置具13が観察視野内では起立台30が微動調整され、且つ観察視野外では起立台30を粗動させることができる。さらに、1つの操作レバーを操作するだけで、処置具13の観察視野内での起立台30の微動調整と、観察視野外での粗動を切り換えることができるため、操作性が向上する。
なお、上記実施形態では、牽引ワイヤ32の押し引きにより起立台30を起立位置と退避位置との間で変位させているが、これに加えて、取付軸32aにトーションバネを取り付けて、退避位置に起立台30を付勢してもよい。
上記実施形態では、側視内視鏡に設けられた起立台を起立回転させる構成を例示しているが、本発明はこれに限るものではなく、図10に示す超音波内視鏡においても適用することができる。この場合、超音波内視鏡の挿入部70の先端部71には、複数の超音波トランスデューサをアレイ状に配列した超音波断層画像取得部72と、この超音波断層画像取得部72の基端側に位置する処置具出口73と、処置具13を処置具出口73から挿入部70の外へ起立させる方向に向けて方向転換させる起立台74と、観察手段としての観察ユニット75及び照明ユニット76が設けられており、起立台74を起伏動作させる構成として、上記実施形態と同様の操作レバー20、牽引ワイヤ32及びワイヤ押し引き装置40を備える構成が好ましい。
上記各実施形態では、ワイヤ押し引き装置40を操作する操作入力部として、操作レバーを用いて回転操作を行っているが、ダイヤル方式のノブにより回転操作を行ってもよい。また、処置具13としてカップ型の生検鉗子を例に上げているが、これに限らず、クリップ型の鉗子、高周波ナイフ、スネアワイヤ、注射器など他の処置具でもよい。また、上記各実施形態では、医療用内視鏡を例に上げて説明したが、工業用途などの他の用途に使用される内視鏡などにも本発明を適用することができる。
また、上記各実施形態では、操作入力部の回転角度に応じて、ワイヤで牽引させる従動物を粗動から微動に切り換えるようにしているが、微動から粗動に切り換えることもできる。この場合、例えば、図11に示すワイヤ押し引き装置を構成するカム機構のように、直線状の第1溝部81aと円弧状の第2溝部81bとを有し、カムピン82がスライド自在に嵌合するカム溝81をカム板83に形成する。第1溝部81aは、操作入力部の回転中心に対する径方向外側へ向けて斜めに配され、第2溝部81bは、第1溝部81aに連続し、操作入力部の回転中心に対して円弧状に形成する。これにより、カムピン82に連動する従動物は、カムピン82が第1溝部81a内を移動するときは操作入力部の単位回転角度に対する移動量が小さく、カムピン82が第2溝部81b内を移動するときは操作入力部の単位回転角度に対する移動量が大きくなる。
上記各実施形態では、ワイヤ押し引き装置を起立台の起立動作に用いた場合について説明したが、ワイヤ押し引き装置は起立台に限らず、内視鏡において、ワイヤ操作により従動物を動かす場合に適用することができる。特に、段階的に移動速度を変更する場合に有効となる。例えば、図12に示す体内を観察するためのズーム光学系90の可動レンズ91をワイヤ押し引き装置により移動させる場合には、被写界深度の深い広角エリア92では粗動し、浅い望遠エリア93では微動調整することができる。なお、図12において符号94は、可動レンズ91に固定され、ワイヤ押し引き装置により押し引きされる牽引ワイヤであり、符号95は、可動レンズ91をガイドするガイド棒である。このようなズーム光学系90を有する観察手段と、ワイヤ押し引き装置とを備える内視鏡としては、上記実施形態と同様の挿入部14、操作部15を備える構成が好ましい。また、牽引ワイヤ94の押し引きにより可動レンズ91を広角側と望遠側との間で変位させているが、これに加えて、牽引ワイヤ94にコイルバネを取り付けて、望遠側または広角側に可動レンズ91を付勢してもよい。
また、上記各実施形態では、カム溝は第1溝部と第2溝部とにより二段階に変化させるようにしたが、第3溝やそれ以上の溝を増やすことで、ワイヤの移動速度を更に多段階で変更することができる。また、第1溝部を円弧状にし第2溝部を直線状に構成したが、これら限定されることなく、任意の形状としてもよく、この場合には、更に複雑なワイヤの移動速度変更が可能になる。
また、内視鏡におけるワイヤ駆動部を有する部分に本発明のワイヤ押し引き装置を用いたが、各種装置におけるワイヤ駆動部に対して本発明のワイヤ押し引き装置を用いてもよい。
2 内視鏡システム
10 電子内視鏡
13 処置具
16 挿入部
16a 先端部
20 操作レバー
40 ワイヤ押し引き装置
41 回転環
42 スライダ
43 クランク
46 駆動伝達板
47 カムピン
48 カム板
51 回転軸
55 カム溝
90 ズーム光学系

Claims (5)

  1. 回転操作部材と、
    前記回転操作部材を回転自在に保持する保持部と、
    前記回転操作部材に取り付けられて揺動するレバー部材と、
    牽引ワイヤが一端に連結され、前記牽引ワイヤの軸方向に移動自在なスライダと、
    一端が前記レバー部材に、他端が前記スライダの他端に、取付軸によりピン結合で連結されるリンク部材と、
    前記リンク部材と前記レバー部材との間の取付軸を、前記レバー部材の回転中心に対する径方向で変位させるカム溝を有するカム機構とを備えるワイヤ押し引き装置。
  2. 前記カム機構は、前記レバー部材の回転中心に対する径方向で、前記レバー部材に形成されるスライド溝と、前記保持部に取り付けられ、前記カム溝を有するカム板とを備え、
    前記カム溝は、前記レバー部材の回転中心を中心とする円弧状の第1溝部と、前記第1溝部に連続し、前記第1溝部に対して、前記レバー部材の回転中心の径方向内側に向かって斜めに交差する第2溝部とを有する請求項1記載のワイヤ押し引き装置。
  3. 請求項1または2記載のワイヤ押し引き装置と、
    体内へ挿入される挿入部と、
    前記挿入部の軸線方向に配される処置具挿通チャンネルと、
    前記挿入部の先端部に設けられ体内を観察するための観察手段と、
    前記先端部に形成され、前記処置具挿通チャンネルに挿入された処置具が突出する処置具出口と、
    前記処置具出口と前記処置具挿通チャンネルの間に設けられ、前記観察手段の観察視野内へ前記処置具を導出させるために該処置具を案内するガイド面を有し、前記ワイヤ押し引き装置の牽引ワイヤの先端が取り付けられて、該牽引ワイヤの押し引きにより起立動作を行う起立台とを備える内視鏡。
  4. 請求項2記載のワイヤ押し引き装置と、
    体内へ挿入される挿入部と、
    前記挿入部の軸線方向に配される処置具挿通チャンネルと、
    前記挿入部の先端部に設けられ、体内を観察するための観察手段と、
    前記先端部に形成され、前記処置具挿通チャンネルに挿入された処置具が突出する処置具出口と、
    前記処置具出口と前記処置具挿通チャンネルの間に設けられ、前記観察手段の観察視野内へ前記処置具を導出させるために該処置具を案内するガイド面を有し、前記ワイヤ押し引き装置の牽引ワイヤの先端が取り付けられて、該牽引ワイヤの押し引きにより起立動作を行う起立台とを備え、
    前記観察視野内に前記処置具が入り始める時の進入開始位置で、前記取付軸が前記第1溝部から前記第2溝部に移る内視鏡。
  5. 請求項2記載のワイヤ押し引き装置と、
    体内へ挿入される挿入部と、
    前記挿入部の先端部に設けられ、体内を観察するためのズーム光学系を有する観察手段とを備え、
    前記ズーム光学系は、前記ワイヤ押し引き装置の牽引ワイヤの先端が取り付けられて、該牽引ワイヤの押し引きにより移動する可動レンズを有し、
    前記ズーム光学系による被写界深度の深い広角側での移動を前記取付軸が前記第1溝部に位置するときに行い、被写界深度の浅い望遠側での移動を前記取付軸が前記第2溝部に位置するときに行う内視鏡。
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