以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、説明が重複して冗長になるのを避けるため、各図において同一または相当する機能を有する要素には同一符号を付してある。
また、各実施の形態に用いられるトランジスタは、絶縁ゲート型電界効果トランジスタである。絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、ゲート絶縁膜中の電界により半導体層内のドレイン領域とソース領域との間の電気伝導度が制御される。ドレイン領域およびソース領域が形成される半導体層の材料としては、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ペンタセン等の有機半導体、単結晶シリコンあるいはIGZO(In-Ga-Zn-O)等の酸化物半導体などを用いることができる。
よく知られているように、トランジスタは、それぞれ制御電極(狭義にはゲート(電極))と、一方の電流電極(狭義にはドレイン(電極)またはソース(電極))と、他方の電流電極(狭義にはソース(電極)またはドレイン(電極))とを含む少なくとも3つの電極を有する素子である。トランジスタはゲートに所定の電圧を印加することによりドレインとソース間にチャネルが形成されるスイッチング素子として機能する。トランジスタのドレインとソースは、基本的に同一の構造であり、印加される電圧条件によって互いにその呼称が入れ代わる。例えば、N型トランジスタであれば、相対的に電位(以下「レベル」とも称する)の高い電極をドレイン、低い電極をソースと呼称する(P型トランジスタの場合はその逆となる)。
特に示さない限り、それらのトランジスタは半導体基板上に形成されるものであってもよく、またガラスなどの絶縁性基板上に形成される薄膜トランジスタ(TFT)であってもよい。トランジスタが形成される基板としては、単結晶基板あるいはSOI、ガラス、樹脂などの絶縁性基板であってもよい。
本発明のゲート線駆動回路は、単一導電型のトランジスタのみを用いて構成される。例えばN型トランジスタは、ゲート・ソース間電圧が当該トランジスタのしきい値電圧よりも高いH(ハイ)レベルになると活性状態(オン状態、導通状態)となり、同しきい値電圧よりも低いL(ロー)レベルで非活性状態(オフ状態、非導通状態)となる。そのためN型トランジスタを用いた回路においては信号のHレベルが「活性レベル」、Lレベルが「非活性レベル」となる。また、N型トランジスタを用いて構成した回路の各ノードは、充電されてHレベルになることで、非活性レベルから活性レベルへの変化が生じ、放電されてLレベルになることで、活性レベルから非活性レベルへの変化が生じる。
逆にP型トランジスタは、ゲート・ソース間電圧がトランジスタのしきい値電圧(ソースを基準として負の値)よりも低いLレベルになると活性状態(オン状態、導通状態)となり、同しきい値電圧よりも高いHレベルで非活性状態(オフ状態、非導通状態)となる。そのためP型トランジスタを用いた回路においては信号のLレベルが「活性レベル」、Hレベルが「非活性レベル」となる。また、P型トランジスタを用いて構成した回路の各ノードは、充電・放電の関係がN型トランジスタの場合と逆になり、充電されてLレベルになることで、非活性レベルから活性レベルへの変化が生じ、放電されてHレベルになることで、活性レベルから非活性レベルへの変化が生じる。
本明細書では、非活性レベルから活性レベルへの変化を「プルアップ」、活性レベルから非活性レベルへの変化「プルダウン」と定義する。つまり、N型トランジスタを用いた回路では、LレベルからHレベルへの変化が「プルアップ」、HレベルからLレベルの変化が「プルダウン」と定義され、P型トランジスタを用いた回路では、HレベルからLレベルへの変化が「プルアップ」、LレベルからHレベルの変化が「プルダウン」と定義される。
また本明細書においては、二つの素子間、二つのノード間あるいは一の素子と一のノードとの間の「接続」とはその他の要素(素子やスイッチなど)を介しての接続であるが実質的に直接接続されているのと等価な状態を含むものとして説明する。例えば二つの素子がスイッチを介して接続している場合であっても、それらが直接接続されているときと同一に機能できるような場合には、その二つの素子が「接続している」と表現する。
本発明においては、各々位相の異なるクロック信号(多相クロック信号)が用いられる。以下では説明の簡単のため、一のクロック信号の活性期間とその次に活性化するクロック信号の活性期間との間に一定の間隔を設けている(図5のΔt)。しかし本発明では各クロック信号の活性期間が実質的に重ならなければよく、上記の間隔は無くてもよい。例えば活性レベルをHレベルとすると、一のクロック信号の立ち下がり(HレベルからLレベルへの変化)タイミングとその次に活性化するクロック信号の立ち上がり(LレベルからHレベルへの変化)タイミングとが同時であってもよい。
<実施の形態1>
図1は、本発明に係る電気光学装置の構成を示す概略ブロック図であり、電気光学装置の代表例として液晶表示装置の全体構成を示している。なお、本発明は、液晶表示装置への適用に限定されるものではなく、電気信号を光の輝度に変換する表示装置であるエレクトロルミネッセンス(EL)、有機EL、プラズマディスプレイ、電子ペーパ等、あるいは光の強度を電気信号に変換する撮像装置(画像センサ)などの電気光学装置に広く適用可能である。
液晶表示装置100は、液晶アレイ部10と、正規のゲート線駆動回路(走査線駆動回路)30aと、救済用ゲート線駆動回路30bと、ソースドライバ40とを備える。
液晶アレイ部10は、行列状に配設された複数の画素15を含む。画素の行(以下「画素ライン」とも称する)の各々にはそれぞれゲート線GL1,GL2…(総称「ゲート線GL」)が配設され、また、画素の列(以下「画素列」とも称する)の各々にはそれぞれデータ線DL1,DL2…(総称「データ線DL」)がそれぞれ設けられる。図1には、第1行の第1および第2列並びに第2行の第1列および第2列の各画素15と、それらに対応するゲート線GL1、GL2およびデータ線DL1,DL2が代表的に示されている。
各画素15は、対応するデータ線DLと画素ノードNpとの間に設けられる画素スィッチ素子16と、画素ノードNpおよび共通電極ノードNcの間に並列に接続されるキャパシタ17および液晶表示素子18とを有している。画素ノードNpと共通電極ノードNcとの間の電圧差に応じて、液晶表示素子18中の液晶の配向性が変化し、これに応答して液晶表示素子18の表示輝度が変化する。これにより、データ線DLおよび画素スイッチ素子16を介して画素ノードNpへ伝達される表示電圧によって、各画素の輝度をコントロールすることが可能となる。即ち、最大輝度に対応する電圧差と最小輝度に対応する電圧差との間の中間的な電圧差を、画素ノードNpと共通電極ノードNcとの間に印加することによって、中間的な輝度を得ることができる。従って、上記表示電圧を段階的に設定することにより、階調的な輝度を得ることが可能となる。
ゲート線駆動回路30a(走査線駆動回路)は、多段のシフトレジスタで構成されており、所定の走査周期に基づきゲート線GLを順に選択して活性化させる。救済用ゲート線駆動回路30bは、液晶アレイ部10を挟んでゲート線駆動回路30aの反対側に配設され、ゲート線駆動回路30aの多段のシフトレジスタを構成する単位シフトレジスタと置き換え可能な救済用単位シフトレジスタにより構成されている。救済用ゲート線駆動回路30bの救済用単位シフトレジスタのそれぞれは、ゲート線駆動回路30aの単位シフトレジスタと同様にゲート線GLを駆動する能力を有している。
画素スイッチ素子16のゲート電極は、それぞれ対応するゲート線GLと接続される。特定のゲート線GLが選択(活性化)されている間は、それに接続する各画素において、画素スイッチ素子16が導通状態になり画素ノードNpが対応するデータ線DLと接続される。そして、画素ノードNpへ伝達された表示電圧がキャパシタ17によって保持される。一般的に、画素スイッチ素子16は、液晶表示素子18と同一の絶縁体基板(ガラス基板、樹脂基板等)上に形成されるTFTで構成される。
ソースドライバ40は、Nビットのデジタル信号である表示信号SIGによって段階的に設定される表示電圧を、データ線DLへ出力するためのものである。ここでは一例として、表示信号SIGは6ビットの信号であり、表示信号ビットDB0〜DB5から構成されるものとする。6ビットの表示信号SIGに基づくと、各画素において、26=64段階の階調表示が可能となる。さらに、R(Red)、G(Green)およびB(Blue)の3つの画素により1つのカラー表示単位を形成すれば、約26万色のカラー表示が可能となる。
また、図1に示すように、ソースドライバ40は、シフトレジスタ50と、データラッチ回路52,54と、階調電圧生成回路60と、デコード回路70と、アナログアンプ80とから構成されている。
表示信号SIGにおいては、各々の画素15の表示輝度に対応する表示信号ビットDB0〜DB5がシリアルに生成される。すなわち、各タイミングにおける表示信号ビットDB0〜DB5は、液晶アレイ部10中のいずれか1つの画素15における表示輝度を示している。
シフトレジスタ50は、表示信号SIGの設定が切り換わる周期に同期したタイミングで、データラッチ回路52に対して、表示信号ビットDB0〜DB5の取り込みを指示する。データラッチ回路52は、シリアルに生成される表示信号SIGを順に取り込み、1つの画素ライン分の表示信号SIGを保持する。
データラッチ回路54に入力されるラッチ信号LTは、データラッチ回路52に1つの画素ライン分の表示信号SIGが取り込まれるタイミングで活性化する。データラッチ回路54はそれに応答して、そのときデータラッチ回路52に保持されている1つの画素ライン分の表示信号SIGを取り込む。
階調電圧生成回路60は、高電圧VDHおよび低電圧VDLの間に直列に接続された63個の分圧抵抗で構成され、64段階の階調電圧V1〜V64をそれぞれ生成する。
デコード回路70は、データラッチ回路54に保持されている表示信号SIGをデコードし、当該デコード結果に基づいて各デコード出力ノードNd1,Nd2…(総称「デコード出力ノードNd」)に出力する電圧を、階調電圧V1〜V64のうちから選択して出力する。
その結果、デコード出力ノードNdには、データラッチ回路54に保持された1つの画素ライン分の表示信号SIGに対応した表示電圧(階調電圧V1〜V64のうちの1つ)が同時に(パラレルに)出力される。なお、図1においては、第1列目および第2列目のデータ線DL1,DL2に対応するデコード出力ノードNd1,Nd2が代表的に示されている。
アナログアンプ80は、デコード回路70からデコード出力ノードNd1,Nd2…に出力された各表示電圧に対応したアナログ電圧を電流増幅して、それぞれデータ線DL1,DL2…に出力する。
ソースドライバ40が、所定の走査周期に基づいて、一連の表示信号SIGに対応する表示電圧を1画素ライン分ずつデータ線DLへ繰り返し出力し、ゲート線駆動回路30aがその走査周期に同期してゲート線GL1,GL2…を順に駆動することにより、液晶アレイ部10に表示信号SIGに基づいた画像の表示が成される。
なお、図1には、ゲート線駆動回路30a、救済用ゲート線駆動回路30bおよびソースドライバ40が液晶アレイ部10と一体的に形成された液晶表示装置100の構成を例示したが、ゲート線駆動回路30a、救済用ゲート線駆動回路30bおよび液晶アレイ部10とを一体的に形成し、ソースドライバ40については液晶アレイ部10の外部回路として設けることも可能である。
図2は、実施の形態1に係るゲート線駆動回路30aおよび救済用ゲート線駆動回路30bの構成を示す図である。ゲート線駆動回路30aは、縦続接続(カスケード接続)した複数の単位シフトレジスタSR1,SR2,SR3,SR4…で構成される多段のシフトレジスタから成っている(以下、単位シフトレジスタSR1,SR2…の各々を「単位シフトレジスタSR」と総称する)。単位シフトレジスタSRは、1つの画素ラインすなわち1つのゲート線GLごとに設けられる。
救済用ゲート線駆動回路30bは、縦続接続した複数の救済用単位シフトレジスタSRB1,SRB2,SRB3,SRB4…(図2において太線で示している)で構成される多段のシフトレジスタから成っている(以下、シフトレジスタ回路SRB1,SRB2…を「救済用単位シフトレジスタSRB」と総称する)。各救済用単位シフトレジスタSRBは、各ゲート線GLに対し、単位シフトレジスタSRが接続する反対側の端に設けられる。
但し、ゲート線駆動回路30aの単位シフトレジスタSRに不良が無い場合には、救済用ゲート線駆動回路30bの出力端子OUTとゲート線GLとは電気的に接続されない。単位シフトレジスタSRに不良が発見され、それを救済用単位シフトレジスタSRBで置き換える不良救済処理が行われて、はじめて救済用単位シフトレジスタSRBとゲート線GLとが電気的に接続される。
以下に示す図では、不良救済処理による配線の接続および切断が行われる位置を四角で示す。黒四角は配線が接続している個所(あるいは切断される前の個所)を示し、白四角は配線同士が接続していない個所(あるいは切断された後の個所)を示している。例えば、図2において、各単位シフトレジスタSRの出力端子OUTとゲート線GLとの間は、接続しているが、不良救済処理によって切断可能な個所である。また各救済用単位シフトレジスタSRBの出力端子OUTとゲート線GLとの間は、接続していないが、不良救済処理によって接続可能な個所である。
不良救済処理における配線の接続および切断の方法としては、レーザ照射による配線加工が適用可能である。レーザ照射による配線加工では、配線を切断することはもちろん、予め2つの配線を立体交差(異なる高さで交差)させておけば、その交点をレーザ照射して2つの配線同士を接続させることができる。
クロック信号発生器31は、各々位相が異なる(活性期間が重ならない)3相のクロック信号CLK1,CLK2,CLK3を生成する。それらクロック信号CLK1〜CLK3は、ゲート線駆動回路30aの単位シフトレジスタSRおよび救済用ゲート線駆動回路30bの救済用単位シフトレジスタSRBに供給される。クロック信号CLK1〜CLK3は、表示装置の走査周期に同期したタイミングで、順番に繰り返して(即ち、CLK1,CLK2,CLK3,CLK1…の順に)活性化するように、クロック信号発生器31によって制御される(図5参照)。
各単位シフトレジスタSRは、第1入力端子IN1、第2入力端子IN2、出力端子OUT、クロック端子CKおよびリセット端子RSTを有している。図2のように、各単位シフトレジスタSRのクロック端子CKには、クロック信号CLK1〜CLK3のうち所定の1つが供給される。
具体的には、クロック信号CLK1は、第[3m−2]行目(mは自然数、以下同じ)のゲート線GL3m-2を駆動する単位シフトレジスタSR1,SR4,SR7…に供給される。クロック信号CLK2は、第[3m−1]行目のゲート線GL3m-1を駆動する単位シフトレジスタSR2,SR5,SR8…に供給される。クロック信号CLK3は、第[3m]行目のゲート線GL3mを駆動する単位シフトレジスタSR3,SR6,SR9…に供給される。クロック信号CLK1,CLK2,CLK3は、この順番で繰り返し活性化するので、シフトレジスタSR1,SR2,SR3…のクロック端子CKはその順番で活性化されることとなる。
なお、一般的な表示装置の走査線数は3の倍数ではないので、3相のクロック信号CLK1〜CLK3により制御されるシフトレジスタでは、最終行である第n行目の単位シフトレジスタSRnのクロック端子CKに供給されるクロック信号は、表示装置の走査線数によって変わる。図2の例では、単位シフトレジスタSRnのクロック端子CKにはクロック信号CLK3が供給されている。
各単位シフトレジスタSRの出力端子OUTには、それぞれゲート線GLが接続する。つまり各単位シフトレジスタSRの出力信号Gは、対応するゲート線GLを駆動する「ゲート線駆動信号」となる。なお、単位シフトレジスタSRの出力端子OUTとゲート線GLとの間は、不良救済処理によって切断可能になっている。
第1行目の単位シフトレジスタSR1の第1および第2入力端子IN1,IN2には、それぞれ第1および第2スタートパルスSP1,SP2が入力される。第1および第2スタートパルスSP1,SP2は、共に画像信号の各フレーム期間の先頭に対応するタイミングで活性化する(Hレベルになる)信号であるが、第2スタートパルスSP2は第1スタートパルスSP1よりも1水平走査期間(1H)、即ち1ライン分の走査期間だけ位相が遅れている。
従って、第1スタートパルスSP1は第2スタートパルスSP2よりも早いタイミングでHレベルになり、第2スタートパルスSP2は第1スタートパルスSP1がLレベルに戻った後にHレベルに遷移するよう制御される。ここでは、第1スタートパルスSP1はクロック信号CLK2と同位相のパルスであり、第2スタートパルスSP2はクロック信号CLK3と同位相であるとする(図5参照)。
第2行目の単位シフトレジスタSR2においては、第1入力端子IN1に上記の第2スタートパルスSP2が入力される。第2入力端子IN2には、第2スタートパルスSP2の活性期間とクロック端子CKに入力されるクロック信号CLK2の活性期間との間に活性化する(第2スタートパルスSP2から1水平走査期間遅れて活性化する)クロック信号CLK1が供給される。
第3行目以降の単位シフトレジスタSRk(k≧3)において、第1入力端子IN1は2行前のゲート線GLk-2に接続される。つまり第1入力端子IN1には、2行前のゲート線駆動信号Gk-2が入力される。またその第2入力端子IN2は、第1入力端子IN1の信号(2行前のゲート線駆動信号Gk-2)と活性期間とクロック端子CKに入力されるクロック信号の活性期間との間に活性化する(即ち、1行前のゲート線駆動信号Gk-1と同相の)クロック信号が供給される。つまり第2入力端子IN2には、1行前の単位シフトレジスタSRk-1のクロック端子CKと同じクロック信号が供給される。
一方、最後段を除く単位シフトレジスタSRk(1≦k≦n−1)のリセット端子RSTには、1行後のゲート線駆動信号Gk+1が入力される。最後段の単位シフトレジスタSRnのリセット端子RSTには、当該単位シフトレジスタSRnが出力するゲート線駆動信号Gnから1水平走査期間遅れて活性化するクロック信号CLK1を入力する。
なお、本実施の形態のようにゲート線駆動回路30aを3相のクロック信号CLK1〜CLK3を用いて駆動するのであれば、各単位シフトレジスタSRkのリセット端子RSTには2行後のゲート線駆動信号Gk+2を入力してもよい。また4相のクロック信号を用いる場合であれば、各単位シフトレジスタSRkのリセット端子RSTに3行後のゲート線駆動信号Gk+3を入力してもよい。
詳細は後述するが、ゲート線駆動回路30aを構成する単位シフトレジスタSRkの各々は、第1入力端子IN1に入力される信号(スタートパルスSP1、SP2あるいは1行前のゲート線駆動信号Gk-1)を2水平走査期間だけ時間的にシフトさせて、対応するゲート線GLk並びに2行後の単位シフトレジスタSRk+2へと伝達するように動作する。また第2行目の単位シフトレジスタSR2に入力される第2スタートパルスSP2は、第1行目の単位シフトレジスタSR1に入力される第1スタートパルスSP1より1水平走査期間だけ位相が遅れているので、結果としてゲート線駆動信号Gは、G1,G2,G3…の順番に活性化される。それによりゲート線駆動回路30aは、所定の走査周期に基づいたタイミングでゲート線GL1,GL2,GL3,GL4…を順に活性化させることができる。
図3は、実施の形態1に係る単位シフトレジスタSRの構成を示す回路図である。ゲート線駆動回路30aの各単位シフトレジスタSRの構成は実質的にどれも同じであるので、代表的に第k行目の単位シフトレジスタSRkを示している。本実施の形態の単位シフトレジスタSRkを構成するトランジスタは、全て同一導電型の電界効果トランジスタであるが、以下に示す実施の形態および変更例においては全てN型TFTであるものとする。
図3の単位シフトレジスタSRkは、図2に示した第1および第2入力端子IN1,IN2、出力端子OUT、クロック端子CKおよびリセット端子RSTの他に、低電位側電源電位(ロー側電源電位)VSSが供給される第1電源端子S1、高電位側電源電位(ハイ側電源電位)VDD1,VDD2がそれぞれ供給される第2および第3電源端子S2,S3を有している。
ハイ側電源電位VDD1,VDD2は、互いに同一レベルであってもよい。以下の説明ではロー側電源電位VSSを回路の基準電位(VSS=0V)として説明するが、実使用では、画素に書き込まれるデータの電圧を基準にして基準電位が設定され、例えばハイ側電源電位VDD1,VDD2は17V、ロー側電源電位VSSは−12Vなどと設定される。
単位シフトレジスタSRkは、出力回路20、プルアップ駆動回路21、プルダウン駆動回路22から構成されている。出力回路20は、当該単位シフトレジスタSRkが出力するゲート線駆動信号Gkの活性化および非活性化を行うものであり、ゲート線GLkの選択期間にゲート線駆動信号Gkを活性状態(Hレベル)にするトランジスタQ1(出力プルアップトランジスタ)と、ゲート線GLkの非選択期間にゲート線駆動信号Gkを非活性状態(Lレベル)に維持するためのトランジスタQ2(出力プルダウントランジスタ)とを含んでいる。
トランジスタQ1は、出力端子OUTとクロック端子CKとの間に接続しており、クロック端子CKに入力されるクロック信号を出力端子OUTに供給することによってゲート線駆動信号Gkを活性化させる。またトランジスタQ2は、出力端子OUTと第1電源端子S1との間に接続しており、出力端子OUTを放電して電位VSSにすることで、ゲート線駆動信号Gkを非活性レベルに維持する。ここで、トランジスタQ1のゲート(制御電極)が接続するノードを「ノードN1」、トランジスタQ2のゲートが接続するノードを「ノードN2」とそれぞれ定義する。
トランジスタQ1のゲート・ソース間(即ち出力端子OUTとノードN1との間)には容量素子C1が設けられている。この容量素子C1は、出力端子OUTとノードN1との間を容量結合し、出力端子OUTのレベル上昇に伴うノードN1の昇圧効果を高めるためのものである。但し、容量素子C1は、トランジスタQ1のゲート・チャネル間容量が充分大きい場合にはそれで置き換えることができるので、そのような場合には省略してもよい。
通常、1つの半導体集積回路内においては、容量素子の誘電体層となる絶縁膜の厚さは、トランジスタのゲート絶縁膜の厚さと同じになるので、容量素子をトランジスタのゲート容量に置き換える場合には、その容量素子と同一ゲート面積のトランジスタで代替することができる。よって図3の容量素子C1をトランジスタQ1のゲート・チャネル間容量で置き換える場合、トランジスタQ1のゲート幅を相当分だけ広くすればよい。
プルアップ駆動回路21は、トランジスタQ1(出力プルアップトランジスタ)を駆動する回路であり、トランジスタQ1を、ゲート線GLkの選択期間はオンにし、非選択期間はオフにするよう動作する。具体的には、プルアップ駆動回路21は、第1入力端子IN1に入力される2行前のゲート線駆動信号Gk-2(あるいは、第1または第2スタートパルスSP1,SP2)と第2入力端子IN2に入力されるクロック信号(CLK1、CLK2またはCLK3)の活性化に応じてノードN1(トランジスタQ1のゲート)を充電する。そして、リセット端子RSTに供給されるリセット信号としての1行後のゲート線駆動信号Gk+1(あるいは、クロック信号CLK1)の活性化に応じてノードN1を放電する。
プルアップ駆動回路21は、以下のトランジスタQ3〜Q5,Q8〜Q10により構成される。トランジスタQ3は、ノードN1と第2電源端子S2との間に接続し、第2電源端子S2の電位をノードN1に供給するものである。ここで、トランジスタQ3のゲートが接続するノードを「ノードN3」と定義する。
トランジスタQ4は、ノードN1と第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートはノードN2に接続する。トランジスタQ8は、ノードN3と第2電源端子S2との間に接続し、ゲートは第1入力端子IN1に接続される。
トランジスタQ10は、ゲートがノードN3に接続され、2つの電流電極(ソースおよびドレイン)は共に第2入力端子IN2に接続される。電界効果トランジスタは、ゲート電極にしきい値電圧以上の電圧が印加されたときに、半導体基板内におけるゲート絶縁膜を介したゲート電極の直下に形成される導電性チャネルによりドレイン・ソース間が電気的に接続されることにより導通する素子である。従って、導通状態の電界効果トランジスタは、ゲート・チャネル間に一定の静電容量(ゲート・チャネル間容量)を有することとなる。即ち、チャネルおよびゲート電極を両端子とし、ゲート絶縁膜を誘電体層とする容量素子としても機能することができる。従って、トランジスタQ10は、ノードN3と第2入力端子IN2との間の電圧に応じて選択的に容量素子として働く(ノードN3がHレベルの期間のみ容量素子として機能する)。
なお、第1行目の単位シフトレジスタSR1の第2入力端子IN2に供給される第2スタートパルスSP2は1フレーム期間に一回しか活性化されないため、選択的に容量素子として働く必要がない(常に容量素子として機能してもよい)。よって、単位シフトレジスタSR1ではMOS容量素子(トランジスタQ10)の替わりに通常の容量素子を用いてもよい。
またトランジスタQ5は、ノードN3と第1電源端子S1との間に接続し、ゲートはリセット端子RSTに接続される。トランジスタQ9は、ノードN3と第1電源端子S1との間に接続し、ゲートがノードN2に接続される。
一方、プルダウン駆動回路22は、トランジスタQ2(出力プルダウントランジスタ)を駆動する回路であり、ノードN3を入力端、ノードN2(トランジスタQ2のゲート)を出力端としている。つまりプルダウン駆動回路22は、ノードN3のレベル変化に応じてノードN2を充放電する。具体的には、ノードN3がHレベルになるとノードN2を放電し、ノードN3がLレベルになるとノードN2を充電するように動作する。それによりトランジスタQ2は、ゲート線GLkの選択期間にはオフになり、非選択期間にはオンになる。また、先に述べたように、プルダウン駆動回路22の出力端であるノードN2にはプルアップ駆動回路21のトランジスタQ4,Q9のゲートも接続されている。
プルダウン駆動回路22は、第3電源端子S3と第1電源端子S1との間に直列接続したトランジスタQ6,Q7から構成されている。トランジスタQ6は、ノードN2と第3電源端子S3との間に接続し、そのゲートは第3電源端子S3に接続されている(即ちトランジスタQ6はダイオード接続されている)。トランジスタQ7はノードN2と第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートはノードN3に接続している。
トランジスタQ7は、トランジスタQ6よりもオン抵抗が充分小さく(つまり駆動能力が大きく)設定されている。よって、トランジスタQ7のゲート(ノードN3)がHレベルになりトランジスタQ7がオンするとノードN2は放電されてLレベルになり、逆にノードN3がLレベルになりトランジスタQ7がオフするとノードN2はHレベルになる。
即ちプルダウン駆動回路22は、トランジスタQ6およびトランジスタQ7のオン抵抗値の比によってその動作が規定されるレシオ型インバータを構成している。当該インバータにおいて、トランジスタQ6は負荷素子、トランジスタQ7は駆動素子として機能する。
以下、本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRの具体的な動作を説明する。ここでも代表的に、第k行目の単位シフトレジスタSRkの動作を説明する。単位シフトレジスタSRkでは、クロック端子CKにクロック信号CLK1が入力されているものとする(例えば図2における3m−2段の単位シフトレジスタSR1,SR4…がこれに該当する)。
また説明の簡単のため、以下では特に示さない限り、クロック信号CLK1〜CLK3、第1および第2スタートパルスSP1,SP2のHレベルの電位は全て等しいと仮定し、そのレベルをVDDとする。またVDDはハイ側電源電位VDD1,VDD2のレベルとも等しいとする(即ち、VDD=VDD1=VDD2)。またクロック信号CLK1〜CLK3、第1および第2スタートパルスSP1,SP2のLレベルの電位はロー側電源電位VSSと等しいものとし、その電位を0Vとする(VSS=0)。さらに、各トランジスタのしきい値電圧は全て等しいと仮定し、その値をVthとする。なおクロック信号CLK1〜CLK3は、図5に示されるように、互いに1水平走査期間(1H)の位相差を持つ繰り返し信号である。
図5は、実施の形態1に係る単位シフトレジスタSRの動作を説明するためのタイミング図である。単位シフトレジスタSRkの動作を、同図を参照しつつ説明する。
まず初期状態として、ノードN1,N3がLレベル(VSS)、ノードN2がHレベル(VDD−Vth)であると仮定する(以下、この状態を「リセット状態」と称す)。また第1入力端子IN1(2行前のゲート線駆動信号Gk-2)、第2入力端子IN2(クロック信号CLK3)、クロック端子CK(クロック信号CLK1)およびリセット端子RST(1行後のゲート線駆動信号Gk+1)は何れもLレベルであるとする。
リセット状態では、トランジスタQ1がオフ(遮断状態)、トランジスタQ2がオン(導通状態)であるので、クロック端子CK(クロック信号CLK1)のレベルに関係なく、出力端子OUT(ゲート線駆動信号Gk)はLレベルに保たれる。即ち、この初期状態では、単位シフトレジスタSRkに対応するゲート線GLkは非選択状態にある。
その状態から、時刻t1で2行前のゲート線駆動信号Gk-2(第1行目の単位シフトレジスタSR1の場合には第1スタートパルスSP1)がHレベルになると、当該単位シフトレジスタSRkのトランジスタQ8がオンになる。このときノードN2はHレベルなのでトランジスタQ9もオンしているが、トランジスタQ8はトランジスタQ9よりもオン抵抗が充分低く設定されており、ノードN3はトランジスタQ8を通して供給される電荷により充電され、そのレベルが上昇する。つまりトランジスタQ8は、第1入力端子IN1に入力される信号に基づいて、トランジスタQ3のゲートが接続するノードN3を充電する充電回路として機能する。
ノードN3のレベルが上昇するとトランジスタQ7が導通し始め、ノードN2のレベルは下降する。そうなるとトランジスタQ9の抵抗が高くなり、ノードN3のレベルが急速に上昇する。それに応じてトランジスタQ7が充分にオンになる。その結果ノードN2はLレベル(VSS)になり、トランジスタQ9がオフになってノードN3がHレベル(VDD−Vth)になる。
ノードN3のレベルを上昇させるにはトランジスタQ10およびトランジスタQ3のゲート・チャネル間容量(ゲート容量)を充電する必要があるが、それらの容量値は出力回路20のトランジスタQ1および容量素子C1の約1/5〜1/10程度と小さいため、ノードN3は高速に充電可能である。
ノードN3がHレベルになると、それに応じてトランジスタQ3がオンする。このときノードN2はLレベルになっているのでトランジスタQ4はオフしており、ノードN1のレベルが上昇する。
ノードN1のレベルを上昇させるためには、容量素子C1およびトランジスタQ1のゲート容量を充電する必要があるが、前述のとおりそれらの容量値は比較的大きいため、ノードN1の高速充電は困難である。さらにトランジスタQ3はソースフォロアモードで動作するため、短時間でノードN1のレベルを理論値(VDD−2×Vth)まで上昇させることは難しい。従って、2行前のゲート線駆動信号Gk-2のパルス幅が充分広くなければ、このときのノードN1のレベルは、理論値よりも低いレベルまでしか上昇しない。
時刻t2で、2行前のゲート線駆動信号Gk-2がLレベルに戻るとトランジスタQ8はオフするが、ノードN1,N3はフローティング状態になり、またトランジスタQ7,Q9がフリップフロップの働きをするので、ノードN1,N3のレベルは維持される。
そして時刻t3でクロック信号CLK3(第1行目の単位シフトレジスタSR1の場合には第2スタートパルスSP2)がHレベルになると、単位シフトレジスタSRkの第2入力端子IN2がHレベルになる。このときノードN3はHレベルになっているのでトランジスタQ10のソース/ドレイン側(IN2側)にはチャネルが形成される。従って、トランジスタQ10は容量素子として働き、それを介する容量結合によりノードN3が昇圧される。即ち、トランジスタQ10は、第1入力端子IN1に入力される信号に基づいて、充電されたノードN3を昇圧する昇圧回路として機能する。
トランジスタQ10のMOS容量素子としての容量値に比べ、ノードN3の寄生容量が充分小さいと仮定すると、トランジスタQ10による昇圧後のノードN3は、昇圧前の電位から、クロック信号CLK3の振幅VDDだけ上昇する。即ち、昇圧後のノードN3の電位は、2×VDD−Vthとなる。しかも立ち上がり速度の速い外部信号であるクロック信号CLK3に応じて昇圧されるため、ノードN3の電位の上昇速度は、クロック信号CLK3の立ち上がり速度とほぼ同じ程度に高速である。
ノードN3が昇圧されると、トランジスタQ3のゲート(ノードN3)・ソース(ノードN1)間の電圧が充分高くなるので、トランジスタQ3は、非飽和領域で動作してノードN1を充電する。よってノードN1は高速に充電され、且つ、トランジスタQ3のしきい値電圧(Vth)の損失もなく、ノードN1は電位VDDに到達する。このようにしてノードN1,N3がHレベル、ノードN2がLレベルの状態(以下、この状態を「セット状態」称す)になると、トランジスタQ1がオン、トランジスタQ2がオフになる。
時刻t4でクロック信号CLK3がLレベルに戻ると、MOS容量素子としてのトランジスタQ10により、ノードN3の電位は引き下げられ、昇圧前のVDD−Vthに戻る。このときノードN1は電位VDDなのでトランジスタQ3はオフになるが、ノードN1はフローティング状態で電位VDDに維持される。従って単位シフトレジスタSRkのセット状態は維持される。
時刻t5でクロック信号CLK1がHレベルになると、その電位変化がオン状態のトランジスタQ1を通して出力端子OUTへと伝達され、ゲート線駆動信号Gkのレベルが上昇する。このとき容量素子C1およびトランジスタQ1のゲート容量を介する容量結合により、ノードN1のレベルが特定の電圧だけ昇圧される。
そのため、ゲート線駆動信号Gkのレベルが上昇する過程においても、トランジスタQ1のゲート・ソース間電圧は大きく保たれ、当該トランジスタQ1は非飽和領域で動作する。よって出力端子OUTは高速に充電され、ゲート線駆動信号Gkのレベルはクロック信号CLK1の立ち上がりに追随して高速に上昇する。その結果、ゲート線駆動信号Gkのレベルは、トランジスタQ1のしきい値電圧Vth分の損失を伴わず、クロック信号CLK1と同じVDDに達する。
なお、トランジスタQ1のゲート容量と容量素子C1との容量値の和に比べ、ノードN1の寄生容量値が充分小さいと仮定すると、このときのノードN1の昇圧幅は、クロック信号CLK1およびゲート線駆動信号Gkの振幅と同じVDDとなる。よって昇圧後のノードN1の電位は、2×VDDになる。
その後クロック信号CLK1がHレベルである間(時刻t5〜t6)、ゲート線駆動信号GkはHレベルに維持される。よってその間、ゲート線GLkは活性化されて選択状態となる。
そして時刻t6でクロック信号CLK1がLレベルに戻ると、出力端子OUTがトランジスタQ1を通して放電され、ゲート線駆動信号GkはLレベルになる。よってゲート線GLkは非活性化され、非選択状態に戻る。このときノードN1のレベルも昇圧前のVDDに戻る。
なお、このとき単位シフトレジスタSRk+1はセット状態に移行しているので、続く時刻t7でクロック信号CLK2がHレベルになると、1行後のゲート線駆動信号Gk+1がHレベルになる。
よって単位シフトレジスタSRkでは、トランジスタQ5がオンする。それによりノードN3は放電されてLレベルになり、それによりトランジスタQ7がオフするので、ノードN2がHレベルになる。応じてトランジスタQ4,Q9がオンになり、ノードN1がLレベルになる。つまり単位シフトレジスタSRkはリセット状態に戻り、トランジスタQ1がオフ、トランジスタQ2がオンとなる。
その後、時刻t8でクロック信号CLK2がLレベルになるのと共に、1行後のゲート線駆動信号Gk+1はLレベルになる。応じて、単位シフトレジスタSRkのトランジスタQ5はオフになる。
時刻t8以降は、トランジスタQ7,Q9がフリップフロップの働きをしてノードN2をHレベル、ノードN3をLレベルに維持する。なお、ノードN3がLレベルに期間、トランジスタQ10はチャネルが形成されず容量素子として機能しないので、時刻t8以降に第2入力端子IN2のクロック信号CLK3が活性化してもノードN3は昇圧されずにLレベルに維持される。従って、次のフレーム期間で2行前のゲート線駆動信号Gk-2が活性化するまで、単位シフトレジスタSRkはリセット状態に維持される。
以上の動作をまとめると、単位シフトレジスタSRkは、第1入力端子IN1の信号が活性化されるまではリセット状態にあり、ゲート線駆動信号GkをLレベルに維持する。そして第1入力端子IN1の信号がHレベルになると、ノードN3が充電されるので、トランジスタQ3がオンしてノードN1を充電し、単位シフトレジスタSRkはセット状態に移行する。続いて第2入力端子IN2の信号がHレベルになると、ノードN3が昇圧され、トランジスタQ3が非飽和領域で動作するのでノードN1の電位はVDDにまで上昇する。続いてクロック端子CKの信号がHレベルになると、オン状態のトランジスタQ1を通して出力端子OUTが充電され、ゲート線駆動信号Gkが活性化される。そして、リセット端子RSTの信号がHレベルになると、単位シフトレジスタSRkはリセット状態に戻り、再びゲート線駆動信号GkをLレベルに維持する。
このように動作する単位シフトレジスタSRkを図2のように接続させてゲート線駆動回路30aを構成すると、各単位シフトレジスタSRkは、2行前のゲート線駆動信号Gk-2の活性化に応じてセット状態になり、その1水平走査期間後にノードN1の電位がVDDにまで高められ、2水平走査期間後にゲート線駆動信号Gkを活性化する。つまり各単位シフトレジスタSRkは、2行前のゲート線駆動信号Gk-2に対して2水平走査期間だけ遅れて自己のゲート線駆動信号Gkを活性化させるように動作する。
従って、奇数行の単位シフトレジスタSRkは、単位シフトレジスタSR1に入力される第1スタートパルスSP1の活性化を切っ掛けにして、2水平走査期間ごとに奇数行のゲート線駆動信号G1,G3,G5…を順次活性化する。一方、偶数行の単位シフトレジスタSRkは、単位シフトレジスタSR2に入力される第2スタートパルスSP2の活性化を切っ掛けにして、2水平走査期間ごとに偶数行のゲート線駆動信号G2,G4,G6…を順次活性化する。
第2スタートパルスSP2は第1スタートパルスSP1に対し1水平走査期間だけ位相が遅れているので、単位シフトレジスタSR2は単位シフトレジスタSR1よりも1水平走査期間だけ遅れて動作を開始する。ゲート線駆動回路30aの全体では、第1および第2スタートパルスSP1,SP2の活性化に続いて、1水平走査期間ごとにゲート線駆動信号G1,G2,G3,G4…がこの順に活性化され、ゲート線GL1,GL2,GL3,GL4…が順次選択されることになる。
次に、救済用単位シフトレジスタSRBについて説明する。図4は、実施の形態1に係る救済用単位シフトレジスタSRBの構成を示す回路図である。救済用ゲート線駆動回路30bの各救済用単位シフトレジスタSRBの構成は実質的にどれも同じであるので、代表的に第k行目の救済用単位シフトレジスタSRBkを示している。
図4に示すように、本実施の形態の救済用単位シフトレジスタSRBkは、図3と同じ回路構成である。また救済用単位シフトレジスタSRBkの第1入力端子IN1、第2入力端子IN2、出力端子OUT、クロック端子CKおよびリセット端子RSTの接続先も、それぞれ同じ行の単位シフトレジスタSRkと共通している。
但し、出力端子OUTとそれに対応するゲート線GLkとの間、並びに、第1入力端子IN1と2行前のゲート線GLk-2(救済用単位シフトレジスタSRB1では第1スタートパルスSP1の配線、救済用単位シフトレジスタSRB2では第2スタートパルスSP2の配線)との間は、それぞれ不良救済処理によって接続される。つまりレーザ照射によって接続可能なように、出力端子OUTに接続した配線とそれに対応するゲート線GLkとを立体交差させ、同様に、第1入力端子IN1に接続した配線と2行前のゲート線GLk-2とを立体交差させている。
本実施の形態では、不良救済処理前の救済用単位シフトレジスタSRBにおいて、第1入力端子IN1はロー側電源電位VSSに接続させている。これにより救済用単位シフトレジスタSRBのトランジスタQ8はオフ状態に維持され、救済用単位シフトレジスタSRBはリセット状態に維持される。トランジスタQ1の電流が許容できる程度である場合や、第1入力端子INが開放状態(フローティング状態)であってもノードN3のレベル上昇が生じない場合であれば、第1入力端子INは開放状態であってもよい。
救済用ゲート線駆動回路30bを用いたゲート線駆動回路30aの不良救済方法について説明する。ここではその例として、第3行目の単位シフトレジスタSR3に動作不良が生じたものとして説明する。単位シフトレジスタSR3が正常に動作しなければ、第4行目以降の単位シフトレジスタSRも正常に動作しないため画素ラインの第4行目以降の全てが表示不良となる。動作不良の原因としては、例えば、製造工程中の混入した異物による断線などが考えられる。
図6は、ゲート線駆動回路30aおよび救済用ゲート線駆動回路30bの回路図である。同図では、単位シフトレジスタSR3に不良が生じ、それを同じ行の救済用単位シフトレジスタSRB3で置き換える不良救済処理が行われた例を示している。この置き換えは以下の手順で行うことができる。
まず、単位シフトレジスタSR3の出力端子OUTとゲート線GL3との間をレーザ照射により切断し、両者間を電気的に分離する。そして救済用単位シフトレジスタSRB3において、第1入力端子IN1とロー側電源VSSとの間の配線をレーザ照射により切断すると共に、第1入力端子IN1に接続した配線と2行前のゲート線GL1との交点をレーザ照射して第1入力端子IN1とゲート線GL1とを電気的に接続させる。さらに、救済用単位シフトレジスタSRBの出力端子OUTに接続した配線とゲート線GL3との交点をレーザ照射して、出力端子OUTとゲート線GL3とを電気的に接続させる。
その結果、単位シフトレジスタSR3が、救済用単位シフトレジスタSRB3に置き換えられる。つまり救済用単位シフトレジスタSRB3が単位シフトレジスタSR3の代わりに動作して、ゲート線GL3へゲート線駆動信号G3を出力することになる。これによりゲート線駆動回路30aは第4行目以降の単位シフトレジスタSRが正常に動作するようになり、ゲート線駆動回路30aが修復される。
なお、単位シフトレジスタSR3の第1入力端子IN1に入力されるゲート線駆動信号G1は、ゲート線駆動信号G1を経由して入力されるので、ゲート線駆動信号G1の抵抗成分および容量成分の影響による遅延を有している。よってその分だけ救済用単位シフトレジスタSRB3のノードN3の充電が遅延することになる。しかしノードN3の電位は、第2入力端子IN2に入力される遅延の無いクロック信号CLK2の活性化時に昇圧され、トランジスタQ3が非飽和領域で動作するので、ノードN1の充電には上記遅延は殆ど影響しない。よって救済用単位シフトレジスタSRB3において、ゲート線駆動信号G1の信号遅延による動作マージンの低下は抑制される。
以上では、単位シフトレジスタSR(図3)および救済用単位シフトレジスタSRBk(図4)がそれぞれ3相のクロック信号を用いて動作させる例を示したが、それらは4相以上のクロック信号を使用して動作させることも可能である。
また本実施の形態では、単位シフトレジスタSRと救済用単位シフトレジスタSRBとは一の回路構成のものを使用したが、単位シフトレジスタSRは他の構成の回路を用いてもよい。例えば、特開2007−207411号公報の図3に示されるような2相のクロック信号でも動作可能な単位シフトレジスタSRを用いてもよい。その場合、単位シフトレジスタSRだけを2相のクロック信号を用いて動作させてもよいが、そのために2相のクロック信号の発生器が必要となる。本実施の形態のように単位シフトレジスタSRと救済用単位シフトレジスタSRBに、3相以上のクロック信号を共通して供給する方が装置構成の簡略化の観点から好ましい。
[第1の変更例]
図7は、実施の形態1の第1の変更例に係るゲート線駆動回路30aおよび救済用ゲート線駆動回路30bの構成を示す回路図である。同図においても、第3行目の単位シフトレジスタSR3を同じ行の救済用単位シフトレジスタSRB3で置き換えた例を示している。
本変更例では、救済用単位シフトレジスタSRBそれぞれの第1入力端子IN1を、当初(不良救済処理の前)から2行前のゲート線GLk-2に接続させている。この場合、単位シフトレジスタSRkを救済用単位シフトレジスタSRBkに置き換えるための配線加工としては、単位シフトレジスタSRkの出力端子OUTとゲート線GLkとの間の切断と、救済用単位シフトレジスタSRBkの出力端子OUTとゲート線GLkとの接続のみを行えばよい。つまり図6よりも不良救済を容易に行うことが可能になる。
但し、救済用単位シフトレジスタSRBの全てが、正規の単位シフトレジスタSRと同じように動作するため、消費電力が増大する点に留意すべきである。
[第2の変更例]
本変更例では、単位シフトレジスタSRの不良ではなく、液晶アレイ部10内のゲート線駆動信号Gの断線による不良が生じた場合の救済処理について説明する。
例えば図8のように、第3行目のゲート線GL3に断線が生じたとする。断線が生じた第3行目では、単位シフトレジスタSR3から断線箇所までの画素は正常表示を行うが、そこから救済用単位シフトレジスタSRB3までの画素では表示不良が生じる。
この場合は、単位シフトレジスタSR3の出力端子OUTとゲート線GL3との間の切断は行わずに、救済用単位シフトレジスタSRB3側の配線加工だけを行う。即ち救済用単位シフトレジスタSRB3において、第1入力端子IN1とロー側電源VSSとの間の切断、第1入力端子IN1と2行前のゲート線GLk-2との接続、出力端子OUTとゲート線GL3と接続だけを行う。
その結果、単位シフトレジスタSR3から断線箇所までの画素は、単位シフトレジスタSR3により駆動され、その断線箇所から救済用単位シフトレジスタSRB3までの画素は、救済用単位シフトレジスタSRB3によって駆動されることになる。よって第3行目の全ての画素が、正常な表示をすることが可能になる。
[第3の変更例]
図9は、実施の形態1の第3の変更例に係るゲート線駆動回路30aおよび救済用ゲート線駆動回路30bの構成を示す回路図である。本変更例では、救済用単位シフトレジスタSRBの各々において、第2入力端子IN2と2行前のゲート線GLk-2(救済用単位シフトレジスタSRB1においては第2スタートパルスSP2の配線)との間、および、クロック端子CKとクロック信号(信号CLK1〜CLK3の何れか)の配線との間を、当初(不良救済処理の前)は接続させず、不良救済処理によって接続可能にしている(2つの配線を立体交差させている)。
図6、図7、図8に示した構成では、全ての救済用単位シフトレジスタSRBの第1および第2入力端子IN1,IN2にクロック信号CLK1〜CLK3の何れかが入力されており、これにより無駄な電力が消費される(この電力消費は主にトランジスタQ1のゲート・ドレイン間容量の充放電によって生じる)。図9の構成では、不良救済処理が行われない救済用単位シフトレジスタSRBにはクロック信号CLK1〜CLK3が入力されないので、電力消費の低減を図ることができる。
また図9の救済用単位シフトレジスタSRBでは、第2入力端子IN2はロー側電源電位VSSに接続させており、その間は不良救済処理によって切断される。第2入力端子IN2が開放状態(フローティング状態)であると、ノイズの影響などによりノードN3の電位が不安定になり、トランジスタQ3に電流が流れることが懸念されるためである。トランジスタQ3の電流が許容できる程度である場合には、第2入力端子IN2は開放状態であってもよい。
例えば図9のように単位シフトレジスタSR3に動作不良が生じ、それを救済用単位シフトレジスタSRB3に置き換える場合は、不良救済処理として、次のようなレーザ照射による配線加工が行われる。
まず単位シフトレジスタSR3の出力端子OUTとゲート線GL3との間を切断する。そして救済用単位シフトレジスタSRB3において、第2入力端子IN2をロー側電源VSSから切り離すと共にクロック信号CLK2の配線に接続させ、さらにクロック端子CKとクロック信号CLK3の配線とを接続させる。また救済用単位シフトレジスタSRB3の第1入力端子IN1を、ロー側電源VSSから切り離すと共にゲート線GL1に接続させる(図7のように当初から入力端子INがゲート線GL1に接続している場合は、この工程は不要である)。これにより、単位シフトレジスタSR3が、救済用単位シフトレジスタSRB3に置き換えられる。
[第4の変更例]
図10は、実施の形態1の第4の変更例に係る救済用単位シフトレジスタSRBkの回路図である。当該救済用単位シフトレジスタSRBkは、図4の構成に対し、トランジスタQ8のドレインを第1入力端子IN1に接続させたものである。この構成によれば、救済用単位シフトレジスタSRBkのトランジスタQ8にハイ側電源電位VDDを供給するための配線が不要になり、回路のレイアウト設計が容易になる。
図10の回路は、もちろん正規の単位シフトレジスタSRとして使用してもよい。
[第5の変更例]
図11は、実施の形態1の第5の変更例に係る救済用単位シフトレジスタSRBkの回路図である。当該救済用単位シフトレジスタSRBkは、図10の構成に対し、トランジスタQ8のゲートを2行前のゲート線駆動信号Gk-2と同位相のクロック信号(即ち2行前の単位シフトレジスタSRk-2のクロック端子CKに入力されるもの)が供給される第2のクロック端子CK1に接続させたものである。
クロック信号発生器31から供給されるクロック信号CLK1〜CLK3は、ゲート線駆動信号Gよりもレベルの上昇速度が速い。そのため図11の回路では、2行前のゲート線駆動信号Gk-2の活性化に応じてトランジスタQ8がノードN3の充電を開始するとき(ゲート線駆動信号Gk-2のレベルが充分に上昇するまでの間)、トランジスタQ8は非飽和領域で動作する。そのためノードN3の充電を高速化でき、救済用単位シフトレジスタSRBの動作マージンを大きくできる。
ただし、トランジスタQ8に所定のクロック信号を供給するため配線が必要になる点、クロック信号発生器31の電力消費が増大する点に留意すべきである。
図11の回路は、もちろん正規の単位シフトレジスタSRとして使用してもよい。
[第6の変更例]
図12は、実施の形態1の第6の変更例に係る救済用単位シフトレジスタSRBkの回路図である。当該救済用単位シフトレジスタSRBkは、図10の構成に対し、トランジスタQ8のゲートの充電および放電を所定のタイミングで行う充放電回路を設けたものである。
充放電回路は、ノードN2を入力端とする第1のインバータと、第1のインバータの出力端であるノードN4を入力端とする第2のインバータと、第2のインバータの出力端であるノードN5とトランジスタQ8のゲートが接続するノードN6との間に介在するトランジスタQ15とから構成されている。トランジスタQ15のゲートは、第3電源端子S3に接続される。
第1のインバータは、トランジスタQ11,Q12から成るプッシュプル型のインバータである。トランジスタQ11は、第1入力端子IN1に接続したゲートを有し、ノードN4と第3電源端子S3との間に接続する。トランジスタQ12は、ノードN2に接続したゲートを有し、ノードN4と第1電源端子S1との間に接続する。
第2のインバータは、トランジスタQ13,Q14から成るレシオ型のインバータである。トランジスタQ13は、第3電源端子S3に接続したゲートを有し、ノードN5と第3電源端子S3との間に接続する。トランジスタQ14は、ノードN4に接続したゲートを有し、ノードN5と第1電源端子S1との間に接続する。トランジスタQ14は、トランジスタQ13よりもオン抵抗が充分小さく設定されている。
ここで、不良救済処理によって、救済用単位シフトレジスタSRBkの第1入力端子IN1が2行前のゲート線GLk-2に接続されていると仮定して、図12の救済用単位シフトレジスタSRBkの動作を説明する。
図12の単位シフトレジスタSRkの基本的な動作は、図4の救済用単位シフトレジスタSRBkの動作とほぼ同じである(つまり図5に示した単位シフトレジスタSRの動作とほぼ同じである)。但し、2行前のゲート線駆動信号Gk-2が活性化したときに、トランジスタQ8が非飽和領域で動作してノードN6を充電するため、図4の回路よりもノードN3の充電速度が高速化される。
救済用単位シフトレジスタSRBkの非選択期間では、当該救済用単位シフトレジスタSRBkはリセット状態であり、そのノードN2はHレベルになっている。よってトランジスタQ12がオンしているためノードN4はLレベル(VSS)であり、トランジスタQ14がオフしているためノードN5はHレベル(VDD−Vth)である。トランジスタQ15のゲート電位はハイ側電源電位VDDに固定されているので、ノードN5はHレベル(VDD−Vth)であれば、ノードN6もHレベル(VDD−Vth)に充電される。そのためトランジスタQ8はオン状態になっている。
よって2行前のゲート線駆動信号Gk-2がHレベルになると、ノードN3は充電されてHレベルになる。このときトランジスタQ8のゲート容量(ゲート・チャネル間容量、ゲート・ドレイン間容量およびゲート・ソース間容量)を介する結合により、ノードN6が昇圧される。その結果、トランジスタQ8が非飽和領域で動作してノードN3を高速に充電する。
またノードN3の充電が進みHレベルになると、トランジスタQ7がオンしてノードN2がLレベルになる。応じてトランジスタQ12がオフになりノードN4はトランジスタQ11を通して充電されHレベルになる。それによりトランジスタQ14がオンし、ノードN5がLレベルに変化する。するとノードN6はトランジスタQ15,Q14を通して放電されてLレベル(VSS)になり、応じてトランジスタQ8がオフになる。トランジスタQ8がオフすることにより、その後に2行前のゲート線駆動信号Gk-2がLレベルに戻っても、ノードN3はHレベルに維持されることになり、救済用単位シフトレジスタSRBkは図4の回路と同様に動作することができる。
つまりトランジスタQ11〜Q15で構成される充放電回路は、2行前のゲート線駆動信号Gk-2の活性化に先んじてノードN6を充電しておき、2行前のゲート線駆動信号Gk-2が活性化した後、それが非活性化する前にノードN6を放電するように動作する。なお、2行前のゲート線駆動信号Gk-2の活性化タイミングとノードN6の放電タイミングとの間隔は、ノードN4の充電およびノードN5の放電に要する時間によって決まる。
なお図12の回路では、2行前のゲート線駆動信号Gk-2がHレベルになったときトランジスタQ13,Q14に貫通電流が流れる。しかしトランジスタQ13は、救済用単位シフトレジスタSRBがリセット状態の期間にノードN6をHレベルに充電できる程度の駆動能力を持っていればよく、オン抵抗は高く設定できる。そうすることにより貫通電流による消費電力の増大を抑えることができる。
また図4の構成に比較して、使用するトランジスタの数が多いため回路の形成面積が増大することに留意すべきである。なお、図12の回路においてトランジスタQ15は省略してもよい(トランジスタQ8のゲートを直接ノードN5に接続させてもよい)。トランジスタQ15はノードN6が昇圧されるときにオフになって、ノードN5,N6間を分離する働きをしている。この働きにより、ノードN6が昇圧されるときにおける当該ノードN6の寄生容量を小さくでき、ノードN6がより大きく昇圧されるようになる。
図12の回路は、もちろん正規の単位シフトレジスタSRとして使用してもよい。
[第7の変更例]
例えば図3の救済用単位シフトレジスタSRBでは、ノードN3を昇圧する昇圧素子として、トランジスタQ10(MOS容量素子)を用いたが、比較的大きな容量値が必要なため、大きな形成面積を確保する必要がある。そこで本変更例では、ノードN3を昇圧する昇圧素子として、トランジスタQ10を用いずに、トランジスタQ3のゲート容量を利用する例を示す。
図13は、実施の形態1の第7の変更例に係る救済用単位シフトレジスタSRBkの回路図である。当該救済用単位シフトレジスタSRBkにおいて、出力回路20は、図3の構成に対し、後述するノードN7に接続したゲートを有し、出力端子OUTと第1電源端子S1との間に接続するトランジスタQ16を設けたものである。
プルアップ駆動回路21は、以下のトランジスタQ3,Q4,Q17〜Q22により構成される。トランジスタQ3は、ノードN1(トランジスタQ1のゲート)と第2入力端子IN2との間に接続される。トランジスタQ4は、ノードN2(プルアップ駆動回路21の出力端)に接続した制御電極を有し、ノードN1と第1電源端子S1との間に接続される。
トランジスタQ17は、第2電源端子S2に接続したゲートを有し、トランジスタQ3のゲート(ノードN3)と所定のノードN7との間に接続する。トランジスタQ18は、ノードN7と第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートはノードN2に接続される。トランジスタQ19は、第1入力端子IN1に接続したゲートを有し、ノードN7と第1入力端子IN1との間に接続する。トランジスタQ20は、ノードN7と第1電源端子S1との間に接続する。トランジスタQ20のゲートが接続するノードを「ノードN8」と定義する。
トランジスタQ21は、ノードN1に接続したゲートを有し、ノードN8と第2電源端子S2との間に接続する。トランジスタQ22は、ノードN2に接続したゲートを有し、ノードN8と第1電源端子S1との間に接続する。
プルダウン駆動回路22は、ノードN2を出力端とするインバータと、当該インバータの入力端であるノードN9のレベルを制御する入力回路とから構成される。
インバータは、トランジスタQ6,Q7により構成される。トランジスタQ6は、第2電源端子S2に接続したゲートを有し、ノードN2と第3電源端子S3との間に接続する。トランジスタQ7は、ノードN9に接続したゲートを有し、ノードN2と第1電源端子S1との間に接続する。
入力回路は、トランジスタQ23〜Q25により構成される。トランジスタQ23は、第1入力端子IN1に接続したゲートを有し、ノードN9と第3電源端子S3との間に接続する。トランジスタQ24は、リセット端子RSTに接続したゲートを有し、ノードN9と第1電源端子S1との間に接続する。トランジスタQ25はノードN2に接続したゲートを有し、ノードN9と第1電源端子S1との間に接続する。トランジスタQ25は、トランジスタQ23よりもオン抵抗が大きく設定されている。
この入出力回路は、第1入力端子IN1の信号(2行前のゲート線駆動信号Gk-2)の活性化に応じて、ノードN9(インバータの入力端)をHレベルにし、リセット端子RSTの信号(1行後のゲート線駆動信号Gk+1)の活性化に応じて、ノードN9をLレベルにするように動作する。またトランジスタQ25は、当該救済用単位シフトレジスタSRBkがリセット状態のとき(ノードN2がHレベルのとき)に、ノードN9をLレベルに維持するように機能する。
ここで、不良救済処理によって、救済用単位シフトレジスタSRBkの第1入力端子IN1が2行前のゲート線GLk-2に接続されていると仮定して、図13の救済用単位シフトレジスタSRBkの動作を説明する。説明の便宜上、救済用単位シフトレジスタSRBkのクロック端子CKにはクロック信号CLK1が、第2入力端子IN2にはクロック信号CLK3が入力されているものとする。
救済用単位シフトレジスタSRBkの非選択期間において、当該単位シフトレジスタSRkは、ノードN1がLレベル、ノードN2がHレベルのリセット状態である。このときトランジスタQ1はオフ、トランジスタQ2はオンであるので出力端子OUT(ゲート線駆動信号Gk)は低インピーダンスでLレベルになっている。またトランジスタQ18,Q22,Q25がオンしており、ノードN7,N8,N9も低インピーダンスのLレベルになっている。
ノードN7がLレベルなので、ゲート電位がVDDに固定されているトランジスタQ17はオン状態であり、ノードN3はLレベルになっている。よってトランジスタQ3はオフ状態であり、クロック信号CLK3が活性化してもノードN1はLレベルに維持される。
そして所定のタイミングで2行前のゲート線駆動信号Gk-2がHレベルになると、トランジスタQ23がオンし、ノードN9は充電されてHレベルになる。応じてトランジスタQ7がオンし、ノードN2は放電されてLレベルになる。よってトランジスタQ2,Q4,Q18,Q22,Q25はオフになる。またこのときトランジスタQ19がオンし、ノードN7は充電されてHレベル(VDD−Vth)になる。するとトランジスタQ17を通してノードN3が充電されてHレベル(VDD−Vth)になり、トランジスタQ3はオン状態になる。
なお、ノードN2がLレベルになったときトランジスタQ2はオフするが、ほぼ同時にノードN7がHレベルになりトランジスタQ16がオンするので、出力端子OUTは低インピーダンスのLレベルに維持される。
その後2行前のゲート線駆動信号Gk-2はLレベルに戻るが、ダイオード接続したトランジスタQ19がオフになるため、ノードN7はHレベルに維持される。
続いてクロック信号CLK3がHレベル(VDD)になると、ノードN1は、オン状態のトランジスタQ3を通して充電されてHレベルになる。このときトランジスタQ3のゲート容量(ゲート・チャネル間容量、ゲート・ソース間容量、ゲート・チャネル間容量)を介する結合によりノードN3が昇圧され、トランジスタQ3は非飽和領域で動作してノードN1を充電する。よってノードN1は高速に充電され、そのHレベル電位はVDDになる。つまり救済用単位シフトレジスタSRBkは、ノードN1がHレベル、ノードN2がLレベルのセット状態になる。
ノードN1がHレベルになると、トランジスタQ21がオンし、ノードN8が充電されてHレベルになる。応じてトランジスタQ20がオンし、ノードN7が放電されてLレベル(VSS)になる。するとノードN3はトランジスタQ17,Q20を通して放電されてLレベル(VSS)になり、応じてトランジスタQ3がオフになる。よってクロック信号CLK3がLレベルに戻っても、ノードN1はHレベルに維持される。ノードN7がLレベルになったことで、トランジスタQ16もオフになる。
その後、クロック信号CLK1がHレベルになると、オン状態のトランジスタQ1を通して出力端子OUTが充電され、ゲート線駆動信号GkがHレベルになる。このときトランジスタQ1のゲート容量を介する結合によりノードN1が昇圧され、トランジスタQ1は非飽和領域で動作する。よってゲート線駆動信号GkのHレベル電位はVDDになる。
クロック信号CLK1がLレベルになると、出力端子OUTがトランジスタQ1により放電され、ゲート線駆動信号GkはLレベルに戻る。
その後、1行後のゲート線駆動信号Gk+1がHレベルになると、トランジスタQ24がオンしてノードN9はLレベルになる。応じてトランジスタQ7がオフになり、ノードN2がHレベルになる。よってトランジスタQ2,Q4,Q18,Q22,Q25がオンし、ノードN1,N3,N7,N8および出力端子OUTは低インピーダンスのLレベルになる。つまり救済用単位シフトレジスタSRBkは、リセット状態に戻る。
その後は、次に2行前のゲート線駆動信号Gk-2が活性化されるまで、トランジスタQ6,Q7,Q25で構成されるハーフラッチ回路がノードN2をHレベルに維持するので、救済用単位シフトレジスタSRBkはリセット状態に維持される。
以上の動作から分かるように、トランジスタQ17〜Q22で構成される回路は、2行前のゲート線駆動信号Gk-2の活性化に応じてノードN3を充電しておき、ノードN1が充電されたのに応じてノードN3を放電する充放電回路として機能する。この充放電回路において、トランジスタQ17は省略してもよい(トランジスタQ3のゲートを直接ノードN7に接続させてもよい)。トランジスタQ17はノードN3が昇圧されるときにオフになって、ノードN3,N7間を分離する働きをしている。この働きにより、ノードN3が昇圧されるときにおける当該ノードN3の寄生容量を小さくでき、ノードN3がより大きく昇圧されるようになる。
<実施の形態2>
図14は、本発明の実施の形態2に係るゲート線駆動回路30aおよび救済用ゲート線駆動回路30bの構成を示すブロック図である。本実施の形態では、ゲート線駆動回路30aを構成する単位シフトレジスタSRと、救済用ゲート線駆動回路30bを構成する救済用単位シフトレジスタSRBとが、液晶アレイ部10を挟んで千鳥状に配置される。
つまり図14に示すように、ゲート線駆動回路30aの単位シフトレジスタSRは、奇数行のゲート線GLの左端側と、偶数行のゲート線GLの右端側とに配設される。救済用ゲート線駆動回路30bの救済用単位シフトレジスタSRBは、奇数行のゲート線GLの右端側と、偶数行のゲート線GLの左端側とに配設される。
ゲート線駆動回路30aの単位シフトレジスタSRは、液晶アレイ部10を挟んで千鳥状に配置可能であれば任意の構成でよい。但し、ゲート線GLによる信号遅延の影響を避けるため、各単位シフトレジスタSRは、2行前のゲート線駆動信号Gを受け、その活性化から2水平走査期間だけ遅れて自己が出力するゲート線駆動信号Gを活性化させるもの、例えば図3、図10〜図12に示した構成のものを用いることが好ましい。
一方、救済用ゲート線駆動回路30bの救済用単位シフトレジスタSRBとしては、1行前のゲート線駆動信号Gを受け、その活性化から1水平走査期間だけ遅れて自己が出力するゲート線駆動信号Gを活性化させるものを使用する。救済用単位シフトレジスタSRBの各々から見て、その1行前のゲート線駆動信号Gは液晶アレイ部10に対して同じ側に配設された単位シフトレジスタSRから出力されるので、不良救済処理を行ったときにゲート線GLによる信号遅延の影響を受けない。本実施の形態では、救済用単位シフトレジスタSRBとして、図15に示す回路を使用する。
図15は、本実施の形態に係る救済用単位シフトレジスタSRBkの回路図である。実施の形態1で示した救済用単位シフトレジスタSRBkは、2つの入力端子(第1および第2入力端子IN1,IN2)を有する構成であったが、本実施の形態の救済用単位シフトレジスタSRBkは、1行前のゲート線駆動信号Gk-1(第1行目の救済用単位シフトレジスタSRB1においては第2スタートパルスSP2)が入力される1つの入力端子INのみを有する。
図15の救済用単位シフトレジスタSRBkにおいて、出力回路20は図4と同様の構成である。またプルダウン駆動回路22は、図13と同様の構成であるが、トランジスタQ23のゲートは入力端子INに接続される。
プルアップ駆動回路21は、ノードN1(トランジスタQ1のゲート)と入力端子INとの間に接続するトランジスタQ30と、トランジスタQ30のゲート(「ノードN30」と定義する)とノードN2(プルダウン駆動回路22の出力端)との間に接続するトランジスタQ31とから構成される。トランジスタQ31のゲートは第2電源端子S2に接続される。
ここで、不良救済処理によって、救済用単位シフトレジスタSRBkの入力端子INが1行前のゲート線GLk-1に接続されていると仮定して、図15の救済用単位シフトレジスタSRBkの動作を説明する。説明の便宜上、救済用単位シフトレジスタSRBkのクロック端子CKにはクロック信号CLK1が入力されているものとする。
まず救済用単位シフトレジスタSRBkの非選択期間において、当該単位シフトレジスタSRkは、ノードN1がLレベル、ノードN2がHレベルのリセット状態である。このときトランジスタQ1はオフ、トランジスタQ2はオンであるので出力端子OUT(ゲート線駆動信号Gk)は低インピーダンスでLレベルになっている。またトランジスタQ25がオンしており、ノードN4(トランジスタQ7のゲート)も低インピーダンスでLレベルになっている。
ノードN2がHレベル(VDD−Vth)なので、ノードN30は、ゲート電位がVDDに固定されているトランジスタQ31を通して充電されてHレベル(VDD−Vth)になっており、トランジスタQ30はオン状態である。
所定のタイミングで1行前のゲート線駆動信号Gk-1がHレベルになると、ノードN1は、オン状態のトランジスタQ30を通して充電されてHレベルになる。このときトランジスタQ30のゲート容量(ゲート・チャネル間容量、ゲート・ソース間容量、ゲート・チャネル間容量)を介する結合によりノードN30が昇圧され、トランジスタQ30は非飽和領域で動作してノードN1を充電する。よってノードN1は高速に充電され、そのHレベル電位はVDDになる。よってトランジスタQ1はオンになる。
一方、プルダウン駆動回路22では、トランジスタQ23がオンになり、ノードN4は充電されてHレベルになる。応じてトランジスタQ7がオンし、ノードN2は放電されてLレベル(VSS)になる。このときトランジスタQ2,Q25はオフする。
ノードN2がLレベルになると、トランジスタQ31がオン状態になるので、ノードN30はトランジスタQ31,Q7を通して放電されてLレベルになる。よってトランジスタQ30はオフする。よってこの後、1行前のゲート線駆動信号Gk-1がLレベルになるが、ノードN1はHレベル(VDD)に維持される。
続いて、クロック信号CLK1がHレベルになると、オン状態のトランジスタQ1を通して出力端子OUTが充電され、ゲート線駆動信号GkがHレベルになる。このときトランジスタQ1のゲート容量を介する結合によりノードN1が昇圧され、トランジスタQ1は非飽和領域で動作する。よってゲート線駆動信号GkのHレベル電位はVDDになる。
クロック信号CLK1がLレベルになると、出力端子OUTがトランジスタQ1により放電され、ゲート線駆動信号GkはLレベルに戻る。
その後、1行後のゲート線駆動信号Gk+1がHレベルになると、トランジスタQ24がオンしてノードN4はLレベルになる。応じてトランジスタQ7がオフになり、ノードN2がHレベル(VDD−Vth)になる。よってトランジスタQ2,Q25がオンになる。またノードN30がトランジスタQ31を通して充電されてHレベル(VDD−Vth)になり、トランジスタQ30はオンになるので、ノードN1は放電されてLレベルになる。つまり救済用単位シフトレジスタSRBkは、リセット状態に戻る。
その後は、次に1行前のゲート線駆動信号Gk-1が活性化されるまで、トランジスタQ6,Q7,Q25で構成されるハーフラッチ回路がノードN2をHレベルに維持するので、救済用単位シフトレジスタSRBkはリセット状態に維持される。
以上の動作から分かるように、プルダウン駆動回路22とトランジスタQ31から成る回路は、1行前のゲート線駆動信号Gk-1の活性化よりも前にノードN30を充電しておき、1行前のゲート線駆動信号Gk-1が活性化した後、それが非活性化する前にノードN30を放電する充放電回路として機能する。なお、1行前のゲート線駆動信号Gk-1の活性化タイミングとノードN30の放電タイミングとの間隔は、ノードN4の充電およびノードN2の放電に要する時間によって規定される。
この充放電回路において、トランジスタQ31は省略してもよい(トランジスタQ30のゲートを直接ノードN2に接続させてもよい)。トランジスタQ31はノードN30が昇圧されるときにオフになって、ノードN30,N2間を分離する働きをしている。この働きにより、ノードN30が昇圧されるときにおける当該ノードN30の寄生容量を小さくでき、ノードN30がより大きく昇圧されるようになる。
図16は、本実施の形態に係るゲート線駆動回路30aおよび救済用ゲート線駆動回路30bの回路図である。同図では、単位シフトレジスタSR3に不良が生じ、それを同じ行の救済用単位シフトレジスタSRB3で置き換える不良救済処理が行われた例を示している。この置き換えは以下の手順で行うことができる。
まず、単位シフトレジスタSR3の出力端子OUTとゲート線GL3との間をレーザ照射により切断し、両者間を電気的に分離する。そして救済用単位シフトレジスタSRB3において、入力端子INとロー側電源VSSとの間の配線をレーザ照射により切断すると共に、入力端子INに接続した配線と1行前のゲート線GL2との交点をレーザ照射して入力端子INとゲート線GL2とを電気的に接続させる。さらに、救済用単位シフトレジスタSRBの出力端子OUTに接続した配線とゲート線GL3との交点をレーザ照射して、出力端子OUTとゲート線GL3とを電気的に接続させる。
その結果、単位シフトレジスタSR3が、救済用単位シフトレジスタSRB3に置き換えられる。つまり救済用単位シフトレジスタSRB3が単位シフトレジスタSR3の代わりに動作して、ゲート線GL3へゲート線駆動信号G3を出力することになる。これによりゲート線駆動回路30aは第4行目以降の単位シフトレジスタSRが正常に動作するようになり、ゲート線駆動回路30aが修復される。
なお、本実施の形態の救済用ゲート線駆動回路30bに対しても、実施の形態1の第1〜第3の変更例を適用することが可能である。例えば、第1の変更例を適用し、救済用単位シフトレジスタSRBkの各々において、入力端子INと1行前のゲート線GLk-1を当初から接続させてもよい。またゲート線GLkの断線を救済する場合は、第2の変更例と同様に、単位シフトレジスタSRkとゲート線GLkとを接続させたまま、救済用単位シフトレジスタSRBkに対して不良救済処理を行えばよい。さらに、第3の変更例を適用し、救済用単位シフトレジスタSRBkの各々において、クロック端子CKとそれにクロック信号を供給する配線との間を当初は接続させず(立体交差させる)、不良救済処理によって接続させるようにしてもよい。