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JP2009262436A - 発泡樹脂成形品並びにその成形方法 - Google Patents

発泡樹脂成形品並びにその成形方法 Download PDF

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JP2009262436A JP2008115587A JP2008115587A JP2009262436A JP 2009262436 A JP2009262436 A JP 2009262436A JP 2008115587 A JP2008115587 A JP 2008115587A JP 2008115587 A JP2008115587 A JP 2008115587A JP 2009262436 A JP2009262436 A JP 2009262436A
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Abstract

【課題】材料供給時と発泡反応時に型クリアランスを調整する成形工法を使用する発泡樹脂成形品及びその成形方法であって、縦壁部におけるコーナー部でのR垂れを解消する。
【解決手段】ラゲージサイドトリム10はトリムアッパー(発泡樹脂成形品)20とトリムロア(樹脂成形品)30とを接合一体化して構成され、トリムアッパー20は可動側金型50と固定側金型60とで画成される一般部用キャビティC1、縦壁部用キャビティC2に発泡樹脂材料Mを射出充填した後、可動側金型50を型開操作し発泡スペースSを確保して、発泡反応を行なわせる際、縦壁部用キャビティC2に臨む可動側金型50の型面に絞深さ80μm以上の深絞模様52を刻設しておき、絞模様の吸着作用により、可動側金型50に追従させる。
【選択図】図3

Description

この発明は、発泡樹脂材料の射出充填工程と発泡成形工程とで成形金型の型クリアランスを可変させる成形工法により成形してなる発泡樹脂成形品並びにその成形方法に係り、特に、製品一般部と縦壁部との間の境界コーナー部でのR垂れを低減して、外観意匠性並びに合わせ精度を向上させた発泡樹脂成形品並びにその成形方法に関する。
図8は車両のラゲージルームにおける側壁パネルの室内面側に装着されるラゲージサイドトリム1を示す正面図であり、ラゲージサイドトリム1は、トリムアッパー2とトリムロア3との上下二分割体を接合固定して構成されている。この従来例においては、トリムアッパー2は、軽量で耐衝撃性に優れた発泡樹脂成形品を採用し、トリムロア3は合成樹脂の射出成形体、あるいはモールドプレス成形体からなる樹脂成形品が採用されている。そして、トリムアッパー2とトリムロア3の突き合わせ構造は、図9に示すように、トリムアッパー2の縦壁部2aとトリムロア3の縦壁部3aとを突き合わせ、トリムアッパー2の縦壁部2aの先端から水平方向に延びる接合用フランジ4に対してトリムロア3の縦壁部3aの先端を載置するように縦壁部2a,3a同士を突き合わせて、接合用フランジ4上に縦壁部3aの先端を支持することで、精度の良い突き合わせを行なっている。尚、トリムアッパー2とトリムロア3との固定については、トリムロア3に溶着用ボス5を立設し、トリムアッパー2の接合用フランジ4に取付孔4aを対応して設ける。そして、溶着用ボス5を取付孔4a内に挿入した後、溶着用ボス5の先端を超音波溶着等によりカシメ加工することで、トリムアッパー2とトリムロア3とを強固に溶着一体化することができる。
次いで、上記トリムアッパー2の成形に使用する成形金型の構成について図10を基に説明する。成形金型6は、可動側金型7と固定側金型8とから大略構成され、可動側金型7は、駆動シリンダ7aの駆動により、固定側金型8に対して型開き、型締めが行なわれ、可動側金型7と固定側金型8との間に画成されるキャビティC内に発泡樹脂材料Mを供給する供給系として、射出機8aが固定側金型8に連結され、この射出機8aから供給される発泡樹脂材料Mは、固定側金型8に設けられたホットランナ8b、バルブゲート8cを通じてキャビティC内に射出充填される。次いで、発泡樹脂材料Mの射出充填工程が完了すれば、図11に示すように、可動側金型7を微小ストローク後退操作させて、型クリアランスを拡げた後、発泡樹脂材料Mの発泡反応を行なわせることで製品表面はスキン層a、内部は発泡層bの二層構造からなるトリムアッパー2の成形が完了する。尚、発泡樹脂材料Mの射出充填工程と、型クリアランスを大きく確保した発泡成形工程の二つの工程を採用した発泡樹脂成形品の成形方法の従来例としては、特許文献1に詳細に記載されている。
特開2002−120252号公報
このように、従来のラゲージサイドトリム1におけるトリムアッパー(発泡樹脂成形品)2の成形方法においては、可動側金型7と固定側金型8との間の型クリアランスを調整することで、精度の良い成形を行なっている。すなわち、発泡樹脂材料Mの射出充填時には、型クリアランスを小さくして、発泡反応を抑えた状態で発泡樹脂材料MをキャビティC内に迅速に供給するとともに、発泡反応時には、型クリアランスを大きく設定することで、最終製品形状にトリムアッパー2を精度良く成形することができる。
しかしながら、従来の成形方法により成形したトリムアッパー2において、縦壁部2aのコーナー部2bにR垂れが生じ易く(図9参照)、トリムアッパー2とトリムロア3との突き合わせ部分にスキや段差等が生じて外観意匠性を低下させるとともに、合わせ精度においても好ましいものではなかった。このことは、トリムアッパー2における縦壁部2aについては、可動側金型7を後退操作した時、型クリアランスを増大させることが難しく、充分な発泡スペースを確保できないことと、可動側金型7の後退時に半成形品が可動側金型7に追従しないことが要因と考えられる。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、相互に型開き、型締め可能な可動側金型、固定側金型とからなる成形金型を使用し、発泡樹脂材料の射出充填工程と発泡成形工程とで金型の型クリアランスを調整した発泡樹脂成形品の成形方法を採用した発泡樹脂成形品並びにその成形方法であって、製品一般部から縦壁部にかけての境界コーナー部において、充分な発泡反応が見込まれ、外観意匠性並びに合わせ精度を高めることができる発泡樹脂成形品並びにその成形方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、可動側金型と固定側金型との間で画成される一般部用キャビティ並びに縦壁部用キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、可動側金型を後退操作することにより、発泡スペースを確保して、一般部用キャビティ形状に沿って成形される製品一般部と、縦壁部用キャビティ形状に沿って成形される縦壁部とを有する発泡樹脂成形品において、前記縦壁部の外表面には、絞深さが80μm以上の深絞が可動側金型側から転写されており、上記可動側金型の後退時に縦壁部が絞係着することで、可動側金型に追従することにより、境界コーナー部でのR垂れを低減できるようにしたことを特徴とする。
更に、本発明に係る発泡樹脂成形品の成形方法は、可動側金型と固定側金型との間で画成される一般部用キャビティ並びに縦壁部用キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、可動側金型を後退操作することにより、発泡スペースを確保して、製品一般部とその周縁に縦壁部とを有する発泡樹脂成形品を成形する発泡樹脂成形品の成形方法において、前記縦壁部用キャビティ内に臨む可動側金型の型面に絞深さが80μm以上の深絞模様が刻設されており、一般部用キャビティ及び縦壁部用キャビティ内に発泡樹脂材料を射出充填した後、可動側金型を後退操作する際、可動側金型に刻設した深絞模様により絞吸着機能が作用し、半成形品における縦壁部分が可動側金型に追従することにより、発泡樹脂成形品の境界コーナー部において精度の良い形状出しが行なわれることを特徴とする。
ここで、成形金型における可動側金型は、固定側金型に対して型開き、型締めできるように、シリンダ、あるいはプレスラム等により所定ストローク可動できるとともに、特に、発泡樹脂材料の射出充填工程における可動側金型と固定側金型との狭い型クリアランスを確保する第1の金型位置と、第1の金型位置から所定ストローク可動側金型を後退させて発泡スペースを確保する第2の金型位置とが位置決めできるように、可動側金型のストロークが設定される。一方、固定側金型には、発泡樹脂材料をキャビティ内に供給するために、ホットランナ、バルブゲート等の樹脂通路が設けられている。
そして、本発明に係る発泡樹脂成形品の使用形態については、樹脂成形品と組み合わせて使用することが多い。例えば、ドアトリム、リヤサイドトリム、ラゲージサイドトリム等の車両の側壁パネルの室内面側に装着される比較的大型の内装部品であって、トリムアッパーとトリムロアの上下二分割体、あるいはトリムアッパー、トリムセンター、トリムロアの上下三分割体等の各パーツのいずれかの構造に適用される。トリムアッパーとトリムロアの上下二分割体を例にとると、トリムアッパーを発泡樹脂成形品、トリムロアを樹脂成形品で構成し、トリムロアの裏面に突設した溶着用ボスをトリムアッパーの取付孔に挿入して、先端をカシメ加工等で締結操作することで両者が一体化される。
また、ドアトリム本体にポケットカバーを取り付ける構造にも適用できる。この場合、ドアトリム本体を発泡樹脂成形品、ポケットカバーを樹脂成形品で構成し、ポケットカバーのボスをドアトリム本体の取付孔に挿入して、ボスをカシメ加工することで、両者を組み付ければ良い。
また、製品一般部の周縁に位置する縦壁部は、その外表面に絞深さが80μm以上の深絞が可動側金型から転写されている。深絞の深さとしては、例えば金型の抜き角度や収縮方向により若干深さが相違するが、絞深さを80μm以上に設定した縦壁部外表面のアンダー形状により、金型と発泡樹脂成形品との間で絞模様による吸着作用が期待できる。尚、通常の射出成形品では、絞かじりを懸念して浅めの絞を使用するか、意匠面以外には絞を入れないことが多い。また、無理に入れる必要もない。そして、発泡成形品については圧をかけている時間が通常の射出成形より短く、また、製品が充分に冷却される前に可動側金型は後退するため、かじりが発生しないものと考えられる。ここで、上記深絞の絞深さが80μm未満の場合には、可動側金型の後退動作時に縦壁部が可動側金型に追従しないため、境界コーナー部にR垂れが生じる傾向がみられる。更に、深絞は縦壁部の外表面全体に転写するのが望ましいが、少なくとも境界コーナー部付近のみに深絞を転写しても効果が認められる。
そして、本発明に係る発泡樹脂成形品並びにその成形方法によれば、発泡樹脂成形品は製品一般部とその周縁に連接する縦壁部とを備えており、特に、縦壁部の外表面には、可動側金型から絞深さが80μm以上の深絞が転写されているため、可動側金型が後退動作する際、可動側金型と発泡樹脂成形品との間で相互吸着により発泡樹脂成形品が可動側金型に追従することから、製品一般部から縦壁部にかけての境界コーナー部でのR垂れを低減することができる。
以上説明した通り、本発明に係る発泡樹脂成形品並びにその成形方法によれば、可動側金型と固定側金型との間で一般部用キャビティと縦壁部用キャビティとが画成され、特に縦壁部用キャビティに臨む可動側金型の型面に絞深さ80μm以上の深絞模様が刻設されているため、可動側金型と固定側金型とを型締めした後、一般部用キャビティ及び縦壁部用キャビティ内に発泡樹脂材料を充填し、その後、発泡スペースを確保するために可動側金型を後退操作する際、可動側金型の型面と発泡樹脂成形品における縦壁部との間の係着作用により、縦壁部が可動側金型の後退動作に追従するため、境界コーナー部においてR垂れが発生することを回避でき、外観意匠性並びに合わせ精度を高めることができるという効果を有する。
以下、本発明に係る発泡樹脂成形品並びにその成形方法の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
図1乃至図7は本発明の一実施例を示すもので、図1は本発明に係る発泡樹脂成形品をトリムアッパーに適用した上下二分割構造のラゲージサイドトリムを示す正面図、図2は同ラゲージサイドトリムにおけるトリムアッパーとトリムロアとの接合部分の構成を示す断面図、図3は同ラゲージサイドトリムにおけるトリムアッパーの側縁部分を示す断面図、図4は同ラゲージサイドトリムにおけるトリムアッパーの成形に使用する成形金型の概略構成を示す説明図、図5乃至図7は同ラゲージサイドトリムにおけるトリムアッパーの成形方法の各工程を示す説明図である。
図1,図2において、ラゲージサイドトリム10は、車両のラゲージルームにおける側壁パネルの室内面側に取り付けられる内装部品であり、トリムアッパー20とトリムロア30の上下二分割体から構成されている。トリムアッパー20及びトリムロア30には、それぞれ各種機能部品、例えば、備品を吊り下げるための多機能型フックや、空調用のエアグリル、あるいはスピーカグリル等がトリムアッパー20、あるいはトリムロア30と別体、あるいは一体に設けられているが、本発明の要旨ではないため、ここではこれら機能部品やその取付構造については省略する。
ところで、上記トリムアッパー20は、発泡樹脂成形品が使用されており、この発泡樹脂成形品は、合成樹脂中に発泡剤が混入された素材を使用している。例えば、使用できる合成樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等から適宜選択される。尚、合成樹脂に対して混入される発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤、あるいは重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤が使用できる。更に、成形方法は後述するが、射出成形工法が採用されている。一方、トリムロア30は、射出成形工法を採用した通常の樹脂成形品が使用され、トリムアッパー20に使用する素材から発泡剤を省略した合成樹脂材料を射出成形することにより所要形状に成形されている。
次に、図2に基づいて、トリムアッパー20とトリムロア30との接合構造について説明する。まず、トリムアッパー20は、図2に示す断面図から明らかなように、表面のスキン層21と、その内部の発泡層22の二層構造体から構成されており、表面側の製品一般部23の周縁には、剛性を強化するとともに、製品に質感を与えるために縦壁部24が連接形成されている。更に、トリムアッパー20とトリムロア30との突き合わせ部分においては、トリムロア30の対トリムアッパー20側に縦壁部31が形成され、トリムアッパー20の縦壁部24とトリムロア30の縦壁部31とを突き合わせることで、良好な外観意匠性が確保されている。この時、トリムアッパー20においては、縦壁部24の外表面に絞深さ80μm以上の深絞25が設けられており、この深絞25の吸着作用により、製品一般部23から縦壁部24にかけて境界コーナー部26はR垂れすることがなく、合わせ部分の外観意匠性並びに合わせ精度が向上している。ここで、上記深絞25の絞深さが80μm未満の場合には、境界コーナー部26にR垂れが生じる傾向がみられる。更に、深絞25は縦壁部24の外表面全体に転写するのが望ましいが、少なくとも境界コーナー部26付近のみに深絞25を転写しても効果が認められる。
そして、トリムアッパー20とトリムロア30との接合固定構造については、トリムロア30に溶着用ボス32が立設され、トリムアッパー20は縦壁部24の先端から水平方向に延在する接合フランジ27が形成され、接合フランジ27の取付孔28内に溶着用ボス32を挿入して、溶着用ボス32の先端を超音波溶着、熱溶着等によりカシメ加工することで、トリムアッパー20とトリムロア30とが強固に一体化されている。また、溶着用ボス32の周囲に立設する補強リブ33がトリムアッパー20における接合フランジ27面に突き当たり、トリムアッパー20並びにトリムロア30はグラツクことがない。尚、トリムアッパー20の製品一般部23の表面には、一般の絞23aが可動側金型50側から転写されている。
また、トリムアッパー20の両側縁並びに上端縁側の端末については、図3に示すように、製品一般部23の周縁に連接するように下方向に延びる縦壁部24が一体形成されている。そして、このトリムアッパー20における両側縁並びに上端縁に沿う縦壁部24についても、その外表面には絞深さ80μm以上の深絞25が設けられているとともに、製品一般部23と縦壁部24との境界コーナー部26についてはシャープなハイライト線が形成できるように精度の良い形状出しが行なわれている。また、この縦壁部24の厚みは、2.5mmに設定されている。
このように、本発明に係る発泡樹脂成形品を適用したトリムアッパー20は、製品一般部23の周囲4辺には、下方向に延在する縦壁部24が形成されており、特に縦壁部24の外表面に絞深さ80μm以上の深絞25を形成することで、製品一般部23から縦壁部24にかけての境界コーナー部26の形状出しを精度良く行なえ、外観意匠性並びに合わせ精度(トリムロア30に対する精度)を良好に維持できるが、トリムアッパー20を成形する際に使用する成形金型40の構成について以下に説明する。尚、トリムアッパー20を横方向に切断した断面図を基に説明する。
この成形金型40は、図4に示すように、可動側金型50と固定側金型60と射出機70とから大略構成されている。更に詳しくは、上記可動側金型50はプレスラム51の動作により、型開き位置、型締め位置に加えて発泡成形位置の3つのポジションをとるように駆動される。一方、固定側金型60は、射出機70から供給される発泡樹脂材料Mの樹脂通路となるホットランナ61、バルブゲート62を通じて型面に発泡樹脂材料Mが供給されるとともに、成形後の発泡樹脂成形品であるトリムアッパー20を突き出すためのエジェクタピン63が内装されている。
このように、可動側金型50と固定側金型60との間で画成されるキャビティC形状に沿ってトリムアッパー20が成形されるが、トリムアッパー20は製品一般部23の周縁に縦壁部24が一体化されているため、キャビティ形状についても一般部用キャビティC1に対して縦壁部用キャビティC2が連通形成されている。
更に、本発明においては、製品一般部23と縦壁部24との間の境界コーナー部26での形状出しを精度良く行なえ、外観意匠性並びに合わせ精度を高めるために、縦壁部用キャビティC2に臨む可動側金型50の型面に絞深さ80μm以上の深絞模様52が刻設されている。従って、成形金型40を使用して発泡樹脂材料Mを発泡成形した場合、縦壁部24の外表面に絞深さ80μm以上の深絞25が可動側金型50側から転写されるとともに、特に、本実施例においては、縦壁部24での発泡を有効に行なわせるために、厚みが2.5mmのように増厚に設定されているが、通常通り縦壁部用キャビティC2の板厚を2.0mmに設定したままでも良い。
次いで、図5乃至図7に基づいて、上記トリムアッパー20を精度良く成形する成形方法について逐次説明する。まず、図5に示すように、プレスラム51により可動側金型50は固定側金型60に対して型締めされ、成形金型40が型締め位置にある時、射出機70からホットランナ61、バルブゲート62を通じて一般部用キャビティC1及び縦壁部用キャビティC2内に発泡樹脂材料Mが射出充填される。この時、図示はしないが、外部からキャビティC1,C2内にエアを強制導入し、発泡樹脂材料Mが発泡反応を行なわないようにキャビティC1,C2内に発泡樹脂材料Mを充填するカウンタープレッシャー工法を採用することもできる。
そして、この発泡樹脂材料Mの射出充填時、一般部用キャビティC1の板厚は2.0mmであり、また、縦壁部用キャビティC2の厚みが若干増厚している分、後述する発泡効果が有効に行なわれるとともに、可動側金型50の型面から一般の絞23aが半成形品Pにおけるスキン層に形成されるが、この時、縦壁部用キャビティC2に臨む可動側金型50には、絞深さ80μm以上の深絞模様52が刻設されているため、この部位におけるタック力は強化されている。
次いで、発泡樹脂材料Mの射出充填固定が完了すれば、図6に示すように、可動側金型50が型開き方向に微小ストローク後退動作を行なう。この可動側金型50の後退動作では、一般部用キャビティC1、縦壁部用キャビティC2内には、未発泡状態の半成形品Pが収容されており、可動側金型50の後退動作により発泡スペースSが確保される。この可動側金型50の後退動作時には、可動側金型50の深絞模様52により可動側金型50と半成形品Pとのタック力が強化されており、半成形品Pの縦壁部24及び境界コーナー部26においては、可動側金型50と追従するため、R垂れの原因となる隙間が生じることがない。その後、図7に示すように、未発泡状態の半成形品Pは発泡反応が誘起され、型クリアランスを大きく設定した発泡スペースS内でスキン層21と発泡層22とが所望の厚みを備えるように成形される。この発泡反応時においては、一般部用キャビティC1と縦壁部用キャビティC2との接合部分おいて、発泡反応が有効に行なわれ、トリムアッパー20の発泡成形時における境界コーナー部26において形状出しが精度良く行なわれ、外観意匠性並びに合わせ精度を向上させることができる。
このように、本発明によれば、トリムアッパー20の周縁部の形状を精度良く成形でき、トリムアッパー20の下縁においては、トリムロア30の縦壁部31とトリムアッパー20の縦壁部24との突き当て部分においてシャープなラインが形成でき、スキ、段差等が生じることがなく、外観意匠性、合わせ精度が向上する。また、トリムアッパー20の両側縁、及び上端縁についても、境界コーナー部26の精度の良い成形が可能になるため、周縁部分の外観意匠性、並びに隣接部品に対する合わせ精度も良好なものとなる。
以上説明した実施例は、上下二分割タイプのラゲージサイドトリムにおけるトリムアッパー20の構成及びトリムアッパー20の成形方法に関するものであるが、本発明はこれに限定されることなく、トリムアッパー20とトリムロア30とからなるラゲージサイドトリム10以外にも、ドアトリム、リヤサイドトリム等の分割構造を採用した内装トリムは勿論、発泡樹脂成形品からなるドアトリム本体に対して樹脂成形品からなるポケットカバーを接合一体化する構造にも適用できる。更に、発泡樹脂材料Mの射出充填時、キャビティC1,C2内に圧空エアを供給するカウンタープレッシャー工法を採用することもできる。また、トリムアッパー20に形成する深絞25は、必ずしも縦壁部24の全体に設ける必要はなく、少なくとも境界コーナー部26付近にのみ転写しても良い。
本発明に係る発泡樹脂成形品を適用して製作したトリムアッパーを使用した上下二分割構造のラゲージサイドトリムを示す正面図である。 図1中II−II線断面図である。 図1中III −III 線断面図である。 図1に示すラゲージサイドトリムにおけるトリムアッパーを成形する際に使用する成形金型の全体構成を示す概要図である。 図1に示すラゲージサイドトリムにおけるトリムアッパーの成形方法における発泡樹脂材料の射出充填工程を示す説明図である。 図1に示すラゲージサイドトリムにおけるトリムアッパーの成形方法における可動側金型の後退操作状態を示す説明図である。 図1に示すラゲージサイドトリムにおけるトリムアッパーの成形方法における発泡成形工程を示す説明図である。 従来のラゲージサイドトリムを示す正面図である。 図8中IX−IX線断面図である。 従来のラゲージサイドトリムにおけるトリムアッパーの成形に使用する成形金型の全体構成を示す説明図である。 従来のラゲージサイドトリムにおけるトリムアッパーの成形工程を示す説明図である。
符号の説明
10 ラゲージサイドトリム
20 トリムアッパー(発泡樹脂成形品)
21 スキン層
22 発泡層
23 製品一般部
24 縦壁部
25 深絞
26 境界コーナー部
27 接合フランジ
28 取付孔
30 トリムロア(樹脂成形品)
31 縦壁部
32 溶着用ボス
33 補強リブ
40 成形金型
50 可動側金型
51 プレスラム
52 深絞模様
60 固定側金型
61 ホットランナ
62 バルブゲート
63 エジェクタピン
70 射出機
C1 一般部用キャビティ
C2 縦壁部用キャビティ
M 発泡樹脂材料
P 半成形品
S 発泡スペース

Claims (2)

  1. 可動側金型(50)と固定側金型(60)との間で画成される一般部用キャビティ(C1)並びに縦壁部用キャビティ(C2)内に発泡樹脂材料(M)を射出充填した後、可動側金型(50)を後退操作することにより、発泡スペース(S)を確保して、一般部用キャビティ(C1)形状に沿って成形される製品一般部(23)と、縦壁部用キャビティ(C2)形状に沿って成形される縦壁部(24)とを有する発泡樹脂成形品(20)において、
    前記縦壁部(24)の外表面には、絞深さが80μm以上の深絞(25)が可動側金型(50)側から転写されており、上記可動側金型(50)の後退時に縦壁部(24)が絞係着することで、可動側金型(50)に追従することにより、境界コーナー部(26)でのR垂れを低減できるようにしたことを特徴とする発泡樹脂成形品。
  2. 可動側金型(50)と固定側金型(60)との間で画成される一般部用キャビティ(C1)並びに縦壁部用キャビティ(C2)内に発泡樹脂材料(M)を射出充填した後、可動側金型(50)を後退操作することにより、発泡スペース(S)を確保して、製品一般部(23)とその周縁に縦壁部(24)とを有する発泡樹脂成形品(20)を成形する発泡樹脂成形品(20)の成形方法において、
    前記縦壁部用キャビティ(C2)内に臨む可動側金型(50)の型面に絞深さが80μm以上の深絞模様(52)が刻設されており、一般部用キャビティ(C1)及び縦壁部用キャビティ(C2)内に発泡樹脂材料(M)を射出充填した後、可動側金型(50)を後退操作する際、可動側金型(50)に刻設した深絞模様(52)により絞吸着機能が作用し、半成形品(P)における縦壁部分が可動側金型(50)に追従することにより、発泡樹脂成形品(20)の境界コーナー部(26)において精度の良い形状出しが行なわれることを特徴とする発泡樹脂成形品の成形方法。
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