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JP2009091211A - 球状シリカ系多孔体及びその製造方法、並びに球状カーボン系多孔体 - Google Patents

球状シリカ系多孔体及びその製造方法、並びに球状カーボン系多孔体 Download PDF

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JP2009091211A JP2007264795A JP2007264795A JP2009091211A JP 2009091211 A JP2009091211 A JP 2009091211A JP 2007264795 A JP2007264795 A JP 2007264795A JP 2007264795 A JP2007264795 A JP 2007264795A JP 2009091211 A JP2009091211 A JP 2009091211A
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Abstract

【課題】可視光域の波長の光を閉じ込めることができるコロイド結晶を形成することができ、細孔の利用効率が高い球状シリカ系多孔体およびその製造方法、および上記特性を持つ球状カーボン系多孔体を提供する。
【解決手段】キュービックの細孔配列構造を有し、X線回折における2nm以上のd値に相当する回折角度(2θ)の範囲に2本以上のピークを有し、下記式(i)及び(ii)を満足する、球状シリカ系多孔体。
100nm≦Rm≦400nm ・・・(i)
(σ(R)/Rm)×100≦20 ・・・(ii)
[式中、σ(R)は粒子径Rの標準偏差、Rmは粒子径Rの平均値を示す。]
【選択図】図2

Description

本発明は、球状シリカ系多孔体及びその製造方法、並びに球状カーボン系多孔体に関する。
近年、様々な物質を吸着、貯蔵等するための材料として、孔径1〜50nm程度のメソサイズの細孔(メソ孔)が非常に規則的に配列したシリカ系多孔体が注目されている。細孔が非常に規則的に配列した構造として、例えば、細孔の配置が立方構造である、キュービックの細孔配列構造がある。キュービックの細孔配列構造を有するシリカ系多孔体を製造する方法として、テトラエトキシシランをシリカ源、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを界面活性剤とし、水とエタノールの混合溶媒から合成する方法が知られている。(例えば、非特許文献1及び2)。また、キュービックの細孔配列構造を有する球状シリカ系多孔体を鋳型にした球状カーボン系多孔体の合成方法も知られている。(例えば、非特許文献3)。そして、粒子径の均一性が高い球状シリカ系多孔体の製造方法が特許文献1に記載されている。
一方、直径が50nm〜1μmで粒子径の良く揃った微粒子が3次元的に規則配列した構造体は、コロイド結晶と呼ばれる。コロイド結晶は、光の波長程度の長さの周期性を有していることから、ブラッグの式(λ=2d(neff −sinθ)1/2。d:格子面間距離、neff:有効屈折率、θ:入射角)に対応する波長λの光をブラッグ反射するという性質を持つ。
特開2005−89218号公報 シューマッハー(K. Schumacher)他、"アドバンスドマテリアルズ"(Advanced Materials)、1999、11、p.1194−1198 シューマッハー(K. Schumacher)他、"ミクロポラウスアンドメソポラウスマテリアルズ"(Microporous and Mesoporous Materials)、1999、27、p.201−206 テレス(E. Terres)他、"ケミカルフィジックスレターズ"(Chemical Physics Letters)、2005、403、p.363−366
しかし、従来の方法で合成されたキュービックの細孔構造を有する粒子は、粒子径のばらつきが大きく、粒子を規則的に配列させてコロイド結晶を形成することは困難であった。また、可視光域の波長の光をブラッグ反射するコロイド結晶の作製に必要な粒子径400nm以下の球状シリカ系多孔体を選択的に製造することもできなかった。
そこで、本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、可視光域の波長の光をブラッグ反射することができるコロイド結晶を形成することができ、細孔の利用効率が高い球状シリカ系多孔体及びその製造方法、並びに上記特性を持つ球状カーボン系多孔体を提供することを目的とする。
本発明のシリカ系多孔体は、キュービックの細孔配列構造を有し、X線回折における2nm以上のd値に相当する回折角度(2θ)の範囲に2本以上のピークを有し、下記式(i)及び(ii)を満足することを特徴とする。
100nm≦Rm≦400nm ・・・(i)
(σ(R)/Rm)×100≦20 ・・・(ii)
[式中、σ(R)は粒子径Rの標準偏差、Rmは粒子径Rの平均値を示す。]
本発明の球状シリカ系多孔体は粒子径が小さく、かつ細孔が3次元的に連結しているキュービック構造であるため、物質の拡散が極めて速やかであり、細孔の利用効率が高くなる。しかも、粒子径が極めて均一であるため、本発明の球状シリカ系多孔体からコロイド結晶を作製することも可能となる。また、平均粒子径Rmが100〜400nmの球状多孔体からコロイド結晶を作製することによって、可視光域の波長の光をブラッグ反射することができる。
本発明のシリカ系多孔体の製造方法は、下記一般式(1)で表されるヒドロキシアルコキシシランを含むシリカ原料と、下記一般式(2)で表されるアンモニウムハライドとを、20〜55容量%のアルコールを含む水とアルコールとの混合溶媒中で混合し、前記シリカ原料から生成したシリカと前記アンモニウムハライドとを含有する前駆体粒子を得る工程と、該前駆体粒子から前記アンモニウムハライドを除去して球状シリカ系多孔体を得る工程と、を備えることを特徴とする球状シリカ系多孔体の製造方法にある。
1 (4−n)−Si−(O−R−OH) (1)
[式中、R1は有機基、R2はアルキレン基、又はヒドロキシアルキレン基、nは3又は4を示す。]

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、mは11〜21の整数を示す。]
この製造方法では、シリカ原料として、水系溶媒への溶解性が高く加水分解速度が速いヒドロキシアルコキシシランをアルコキシシランの代わりに用いており、シリカ原料又はこれから生成したシリカが速やかに過飽和度に達して粒子析出に至る。そのため、粒子成長よりも核生成が有利となり、粒子径の小さな球状粒子が得られやすいと考えられる。ただし、本発明は係る作用を奏するものには限定されない。
本発明の球状シリカ系多孔体の製造方法においては、水、アルコール、界面活性剤、シリカ原料を適切な濃度で存在させることによって、粒子が析出する際に界面活性剤がキュービック相を形成し、細孔配列構造がキュービック構造となる。
本発明の球状カーボン系多孔体は、X線回折における2nm以上のd値に相当する回折角度(2θ)の範囲に2本以上のピークを有し、下記式(i)及び(ii)を満足することを特徴とする。
100nm≦Rm≦400nm ・・・(i)
(σ(R)/Rm)×100≦20 ・・・(ii)
[式中、σ(R)は粒子径Rの標準偏差、Rmは粒子径Rの平均値を示す。]
本発明の球状カーボン系多孔体は粒子径が小さく、かつ細孔が3次元的に連結しているので、物質の拡散が極めて速やかであり、細孔の利用効率が高くなる。しかも、粒子径が極めて均一であるため、本発明の球状カーボン系多孔体からコロイド結晶を作製することも可能となる。また、平均粒子径Rmが100〜400nmの球状多孔体からコロイド結晶を作製することによって、可視光域の波長の光をブラッグ反射することができる。
本発明によれば、メソ孔を有する球状シリカ系多孔体及びその製造方法、並びに上記特性を持つ球状カーボン系多孔体を提供することができる。また、可視光域の波長の光をブラッグ反射することができるコロイド結晶を、上記シリカ系多孔体又は上記球状カーボン系多孔体から作製することができる。球状多孔体からなるコロイド結晶は、細孔に導入する物質を変えることにより有効屈折率を任意に変化させることができるため、非多孔性粒子からなるコロイド結晶と比較して応用範囲が広くなる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の球状シリカ系多孔体は、キュービックの細孔配列構造を有し、X線回折における2nm以上のd値に相当する回折角度(2θ)の範囲に2本以上のピークを有し、下記式(i)及び(ii)を満足することを特徴とする。
100nm≦Rm≦400nm ・・・(i)
(σ(R)/Rm)×100≦20 ・・・(ii)
[式中、σ(R)は粒子径Rの標準偏差、Rmは粒子径Rの平均値を示す。]
上記シリカ系多孔体がキュービックの細孔配列構造を有することは、細孔の配置が立方構造であることを意味する。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを示唆する。そして、多孔体がキュービックの細孔構造を有していれば、X線回折パターンにおいて2nm以上のd値に相当する回折角度(2θ)の範囲に2本以上のピークを有する。
コロイド結晶には、液中で微粒子が規則的に配列し、微粒子同士が接触しているもの(接触型)と微粒子同士が接触していないもの(非接触型)とがある。接触型のコロイド結晶の場合、コロイド粒子の粒子径の大凡1.8〜2.4倍の範囲の波長λをブラッグ反射しやすい。従って、可視光線(380〜800nm)をより強くブラッグ反射するコロイド結晶を作製するには、平均粒子径Rmが150〜400nmであることが特に好ましい。
平均値Rm、標準偏差σ(R)は任意の粒数の粒子の直径(粒子径R)を測定した値から算出して求める。粒子径Rを測定する粒子数は100個以上であることが好ましい。なお、本発明でいう「球状」とは、真の球体に限定されるものではなく、最小直径が最大直径の80%以上(好ましくは90%以上)である略球体も包含するものである。また、略球体の場合、その粒子径は原則として最小直径と最大直径との平均値をいうものとする。
本発明の球状シリカ系多孔体の製造方法は、下記一般式(1)で表されるヒドロキシアルコキシシランを含むシリカ原料と下記一般式(2)で表されるアンモニウムハライドとを、20〜55容量%のアルコールを含む水とアルコールとの混合溶媒中で混合し、前記シリカ原料から生成したシリカと前記アンモニウムハライドとを含有する前駆体粒子を得る工程(第1の工程)と、該前駆体粒子から前記アンモニウムハライドを除去して球状シリカ系多孔体を得る工程(第2の工程)と、を備える。
1 (4−n)−Si−(O−R−OH) (1)
[式中、R1は有機基、R2はアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基、nは3又は4を示す。]

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、mは11〜21の整数を示す。]
以下工程ごとに説明する。
(第1の工程)
本発明において用いられるシリカ原料は、上記一般式(1)で表されるヒドロキシアルコキシシランを含む。ヒドロキシアルコキシシランとは、アルコキシシランのアルコキシ基の炭素原子にヒドロキシ基が結合したものを指す。ヒドロキシアルコキシシランとしては、上記一般式(1)において、nが4であるテトラキス(ヒドロキシアルコキシ)シラン、又はnが3であるトリス(ヒドロキシアルコキシ)シランを用いることができる。ヒドロキシアルコキシ基の種類、及びヒドロキシ基の数は特に制限されないが、上記一般式(1)のR2がアルキレン基の場合は、2−ヒドロキシエトキシ基、3−ヒドロキシプロポキシ基、2−ヒドロキシプロポキシ基、R2がヒドロキシアルキレン基の場合は、2,3−ジヒドロキシプロポキシ基等のようにヒドロキシアルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないもの(炭素数として1〜3程度のもの)が反応性の点から有利である。
1は炭化水素のみから構成されてもよく、官能基を含んでもよい。好ましくは、官能基(R1’−)(例えば、アミノ基、メルカプト基、シアノ基など)と連結基(−R1”−)(例えば、アルキレン基)とが結合した構造(R1’−R1”−)を有する基(例えば、アミノアルキル基、メルカプトアルキル基、シアノアルキル基)である。テトラキス(ヒドロキシアルコキシ)シランとしては、テトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、テトラキス(3−ヒドロキシプロポキシ)シラン、テトラキス(2−ヒドロキシプロポキシ)シラン、及びテトラキス(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)シラン等が挙げられる。トリス(ヒドロキシアルコキシ)シランとしては、上記一般式(1)のR1がアルキル基であるメチルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、エチルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、R1がアリル基であるフェニルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、R1がメルカプトアルキル基である3−メルカプトプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、R1がアミノアルキル基である3−アミノプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、R1がハロゲン化アルキル基である3−クロロプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、及びRがシアノアルキル基である3−シアノプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン等が挙げられる。これらヒドロキシアルコキシシランは、アルコキシシランをエチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコールと反応させることにより合成することができる。合成方法は、例えば非特許文献(Dois Brandhuber et al., Chem. Mater. 2005, 17, 4262.)に開示されている。上記ヒドロキシアルコキシシランは、単独で用いることもできるが2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
シリカ原料は、上記ヒドロキシアルコキシシランに加えて、アルコキシシランを更に含んでいてもよい。アルコキシシランとしては、アルコキシ基を4個有するテトラアルコキシシラン、アルコキシ基を3個有するトリアルコキシシランを用いることができる。アルコキシ基の種類は特に制限されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、及びブトキシ基等のようにアルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないもの(炭素数として1〜4程度のもの)が反応性の点から有利である。また、アルコキシシランが有するアルコキシ基が3個である場合は、アルコキシシラン中のケイ素原子には有機基、水酸基等が結合していてもよく、当該有機基はアミノ基やメルカプト基等の官能基をさらに有していてもよい。
テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、及びジメトキシジエトキシシラン等が挙げられる。トリアルコキシシランとしては、トリメトキシシラノール、トリエトキシシラノール、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。上記アルコキシシランは、単独で用いることもできるが2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
ヒドロキシアルコキシシラン又はアルコキシシランは、加水分解によりシラノール基を生じ、生じたシラノール基同士が縮合することによりケイ素酸化物が形成される。この場合において、分子中のヒドロキシアルコキシ基又はアルコキシ基の数が多いほど、加水分解及び縮合で生じる結合が多くなる。したがって、本発明において、ヒドロキシアルコキシ基又はアルコキシ基の多いシリカ原料を用いることが好ましい。本発明においては、溶媒への溶解性と反応速度の観点からテトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、テトラキス(3−ヒドロキシプロポキシ)シラン、テトラキス(2−ヒドロキシプロポキシ)シラン、及びテトラキス(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)シランからなる群から選択される少なくとも1種のヒドロキシアルコキシシランを用いることが特に好ましい。
本発明において、上記一般式(2)で表されるアルキルアンモニウムハライドが用いられる。(2)のアルキルアンモニウムハライドは界面活性剤である。
一般式(2)におけるR、R、Rは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示す。このようなアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、これらが一分子中に混在してもよいが、界面活性剤分子の対称性の観点からR、R、Rは全て同一であることが好ましい。界面活性剤分子の対称性が優れる場合は、界面活性剤同士の凝集(ミセルの形成等)が容易となる傾向にある。更に、R、R、Rのうち少なくとも1つはメチル基であることが好ましく、R、R、Rの全てがメチル基であることがより好ましい。また、一般式(2)におけるmは11〜21の整数を示し、13〜17の整数であることがより好ましい。その中でもテトラデシルトリメチルアンモニウムハライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、及びオクタデシルトリメチルアンモニウムハライドがより好ましい。
前記mが10以下であるアルキルアンモニウムハライドでは、球状の多孔体は得られるものの、中心細孔直径が1.8nmより小さくなってしまい、ポルフィリン等の分子量の大きい色素を細孔内に導入することができなくなる。他方、前記mが22以上のアルキルアンモニウムハライドでは、界面活性剤の疎水性相互作用が強すぎるため、層状の化合物又はロッド状の多孔体が生成してしまい、球状の多孔体を得ることができなくなる。
更に、一般式(2)におけるXはハロゲン原子を示し、このようなハロゲン原子の種類は特に制限されないが、入手の容易さの観点からXは塩素原子又は臭素原子であることが好ましい。
本発明において、界面活性剤は1種類もしくは2種類以上を組み合わせて用いることが可能であるが、上記のように界面活性剤はシリカ原料の反応生成物に孔を形成させる際のテンプレートとして働き、その種類は多孔体の孔の形状に大きな影響を与えるため、より均一な球状多孔体を得るためには、界面活性剤は1種類のみを用いることが好ましい。
本発明においては、前記シリカ原料及び前記界面活性剤を混合するための溶媒として、水とアルコールとの混合溶媒を用いる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン及びこれらの混合物が挙げられるが、キュービックの細孔配列構造を有する多孔体を得るにはエタノールを用いることが特に好ましい。
前駆体粒子を合成する際に、アルコールの含有量が20〜55容量%の水/アルコール混合溶媒を用いることが重要であり、アルコールの含有量が35〜50容量%のものを用いるのが好ましい。この場合更に、エタノールの含有量を30容量%以上とすることが好ましい。このような混合溶媒を使用することにより、均一な球状体の発生及び成長が実現されると同時に、界面活性剤が前駆体粒子中でキュービック構造をとることとなる。アルコールの含有量が20容量%未満の場合は、粒子径及び粒子径分布の制御が困難となり、得られる球状シリカ系多孔体の粒子径の均一性が低くなる傾向がある。他方、アルコールの含有量が55容量%を超える場合も、粒子径及び粒子径分布の制御が困難となり、得られる球状シリカ系多孔体の粒子径の均一性が低くなりやすい。
更に、本発明においては、前記シリカ原料及び前記界面活性剤を前記混合溶媒中で混合して前駆体粒子を得る際に、上述した界面活性剤の濃度を溶液の全容量を基準として0.003〜0.03mol/L(好ましくは、0.01〜0.02mol/L)とし、上述したシリカ原料の濃度を溶液の全容量を基準として0.005〜0.03mol/L(好ましくは、0.007〜0.012mol/L)とするのが好ましい。このように界面活性剤及びシリカ原料の濃度を厳密に制御することによって、前述の混合溶媒を使用することと相俟って均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる球状シリカ系多孔体の粒子径が高度に均一に制御されることとなる。界面活性剤の濃度が0.003mol/L未満の場合は、テンプレートとなるべき界面活性剤の量が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒子径及び粒子径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系多孔体の粒子径の均一性が低くなる傾向がある。他方、界面活性剤の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒子径及び粒子径分布の制御が困難となって、得られる球状シリカ系多孔体の粒子径の均一性が低くなりやすい。また、シリカ原料の濃度が0.005mol/L未満の場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒子径及び粒子径分布の制御が困難となって、得られる球状シリカ系多孔体の粒子径の均一性が低くなる傾向がある。他方、シリカ原料の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、テンプレートとなるべき界面活性剤の比率が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒子径及び粒子径分布の制御が困難となって、得られる球状シリカ系多孔体の粒子径の均一性が低くなりやすい。
また、本発明においては、前記シリカ原料及び前記界面活性剤を混合する際に、塩基性条件下で混合することが好ましい。上記混合溶媒を塩基性にするためには、通常、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性物質を添加する。反応時の塩基性条件に関しては特に制限されないが、添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.05〜0.9となるようにすることが好ましく、0.10〜0.35となるようにすることがより好ましい。添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.05未満である場合は、収率が低下してしまう傾向があり、他方、0.9を越える場合は、多孔体の形成が困難となる傾向がある。
シリカ原料の濃度を溶液の全容量を基準として0.007〜0.012mol/Lとし、塩基性物質のアルカリ当量を0.10〜0.35とすることが特に好ましい。これにより、得られるシリカ系多孔体の細孔がキュービック構造になりやすくなる。
(第2の工程)
次に、本発明の球状シリカ系多孔体の製造方法においては、前記第1の工程で得られた前駆体粒子に含まれる界面活性剤を除去して球状シリカ系多孔体を得る(第2の工程)。このように界面活性剤を除去する方法としては、例えば、焼成による方法、有機溶媒で処理する方法、イオン交換法等を挙げることができる。
焼成による方法においては、多孔体の前駆体粒子を300〜1000℃、好ましくは400〜700℃で加熱する。加熱時間は30分程度でも良いが、完全に界面活性剤を除去するには1時間以上加熱することが好ましい。また、焼成は空気中で行うことが可能であるが、多量の燃焼ガスが発生するため、窒素等の不活性ガスを導入して行っても良い。また、有機溶媒で処理する場合は、用いた界面活性剤に対する溶解度が高い良溶媒中に前駆体粒子を浸漬して界面活性剤を抽出する。イオン交換法においては前駆体粒子を酸性溶液(少量の塩酸を含むエタノール等)に浸漬し、例えば50〜70℃で加熱しながら攪拌を行う。これにより、前駆体粒子の孔中に存在する界面活性剤が水素イオンでイオン交換される。なお、イオン交換により孔中には水素イオンが残存することになるが、水素イオンのイオン半径は十分小さいため孔の閉塞の問題は生じない。
次に、本発明によるキュービックの細孔配列構造を有する球状シリカ系多孔体を鋳型として、球状カーボン系多孔体を製造する方法について説明する。球状カーボン系多孔体の製造方法は、球状シリカ系多孔体の細孔内に有機物を吸着させる吸着工程と、細孔内に吸着された有機物を重合させる重合工程と、重合させた有機物を細孔内において炭化させる炭化工程と、細孔内にカーボンが生成したシリカ・カーボン複合体からシリカを除去する除去工程とを備えることを特徴としている。製造方法によっては、吸着工程と重合工程とを、あるいは、吸着工程と、重合工程と、炭化工程とを一工程で実施する場合がある。
吸着工程において、有機物は、炭素源となるものであり、熱分解によって炭素を生成可能なものであれば良い。このような有機物としては、具体的には、
(1)常温で液体であり、かつ、熱重合性のポリマー前駆体(例えば、フルフリルアルコール、アニリン等)、
(2)炭水化物の水溶液と酸の混合物(例えば、スクロース(ショ糖)、キシロース(木糖)、グルコース(ブドウ糖)などの単糖類、あるいは、二糖類、多糖類と、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの酸との混合物)、
(3)不飽和結合を有する重合性のガス(例えば、アセチレン、プロピレン等)、
(4)2液硬化型のポリマー前駆体の混合物(例えば、フェノールとホルマリン等)、
などがある。
これらの中でも、ポリマー前駆体は、溶媒で希釈することなく球状シリカ系他孔体の細孔内に含浸させることができるので、相対的に少数回の含浸回数で、相対的に多量の炭素を細孔内に生成させることができる。また、重合開始剤が不要であり、取り扱いも容易であるという利点がある。
液体又は溶液の炭素源を吸着させる場合、球状シリカ系多孔体に所定量の液体又は溶液を加えるだけで良い。球状シリカ系多孔体は、極めて吸着特性に優れているので、これに液体又は溶液を加え、室温で外部から軽く振動を加えるだけで、細孔内に液体又は溶液を含浸させることができる。
また、球状シリカ系多孔体を密閉可能な容器内に入れ、容器内を排気した後、容器に液体又は溶液の炭素源の蒸気を導入しても良い。これにより、球状シリカ系多孔体の細孔内に炭素源を吸着させることができる。
液体又は溶液の炭素源を用いる場合、1回あたりの液体又は溶液の吸着量は、多いほど良く、球状シリカ系多孔体内の全ての細孔が液体又は溶液で満たされる量が好ましい。また、炭素源として炭水化物の水溶液と酸の混合物を用いる場合、酸の量は、有機物を重合させることが可能な最小量とするのが好ましい。さらに、炭素源として、2液硬化型のポリマー前駆体の混合物を用いる場合、その比率は、ポリマー前駆体の種類に応じて、最適な比率を選択する。
重合工程においては、例えば、有機物が、ポリマー前駆体、炭水化物の水溶液と酸の混合物、又は、2液硬化型のポリマー前駆体の混合物である場合、有機物の重合は、有機物を吸着させた球状シリカ系多孔体を所定温度で所定時間加熱することにより行う。最適な重合温度及び重合時間は、有機物の種類により異なるが、通常、重合温度は50℃〜400℃、重合時間は5分〜24時間である。
炭化工程は、重合させた有機物を細孔内において炭化させる工程である。有機物の炭化は、非酸化雰囲気中(例えば、不活性雰囲気中、真空中など)において、球状シリカ系多孔体を所定温度に加熱することにより行う。加熱温度は、具体的には、500℃以上1200℃以下が好ましい。加熱温度が500℃未満であると、有機物の炭化が不十分となりやすい。一方、加熱温度が1200℃を超えると、シリカと炭素が反応するので好ましくない。加熱時間は、加熱温度に応じて、最適な時間を選択する。
一方、不飽和結合を有する重合性のガスを炭素源として用いる場合、これを不活性ガス(N、アルゴン、ヘリウム等)で希釈して、球状シリカ系多孔体を設置した流通型反応管に流し、所定温度で所定時間加熱する(いわゆる「熱CVD法」)。これにより、細孔内への炭素源の吸着と同時に重合と炭化が起こる。同様の方法で、液体の炭素源を不活性ガスでバブリングし、一工程で球状シリカ系多孔体内に炭素を析出させることもできる。加熱温度は、ガスの種類に応じて、最適な温度を選択する。
なお、細孔内に生成させる炭素量は、シリカを除去した時に、形状を維持できる量以上であれば良い。従って、1回の吸着工程、重合工程及び炭化工程で生成する炭素量が相対的に少ない場合には、これらの工程を複数回繰り返すのが好ましい。この場合、繰り返される各工程の条件は、それぞれ、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
また、吸着、重合及び炭化の各工程を複数回繰り返す場合、各炭化工程は、相対的に低温で炭化処理を行い、最後の炭化処理が終了した後、さらにこれより高い温度で、再度、炭化処理を行っても良い。最後の炭化処理を、それ以前の炭化処理より高い温度で行うと、複数回に分けて細孔内に導入されたカーボンが一体化しやすくなる。
除去工程は、細孔内にカーボンが生成したシリカ・カーボン複合体から、シリカを除去する工程である。これにより、本発明に係る球状カーボン系多孔体が得られる。シリカの除去方法としては、具体的には、
(1)複合体を水酸化ナトリウム中で加熱する方法、
(2)複合体をフッ化水素酸水溶液でエッチングする方法、
などがある。
以下、実施例、比較例、及び参考例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
テトラエトキシシランとエチレングリコールをモル比1:4で混合し、乾燥窒素気流中で140℃に加熱した。このとき、エステル交換反応で生成するエタノールを蒸留により取り除き、テトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シランを得た。
水520mL及びエタノール360mLの混合溶媒(エタノール濃度40.9容量%)に対して、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)3.52g(0.0125mol/L)及び1規定水酸化ナトリウム1.14mLを添加した。これに室温で前記テトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン(シリカ原料)2mLを添加したところ、テトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シランは速やかに溶解し、約25秒後に白色粉末が析出してきた。さらに8時間撹拌して一晩放置した後、ろ過と脱イオン水による洗浄を3回繰り返して白色粉末(前駆体粒子)を得た。この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で6時間焼成することによって界面活性剤を除去し、球状シリカ系多孔体を得た。
得られた球状シリカ系多孔体のX線回折パターンを図1に示す。図1に示されたX線回折パターンより、d値が2nm以上に相当する回折角度(2θが4.4°以下)の位置に2本以上のピークが確認され、得られた多孔体は、Ia3dの空間対象性を有しており、細孔配列構造がキュービック構造であることが確認された。また、窒素吸着測定結果から計算により求めたBET比表面積は1186m/g、中心細孔直径は2.0nmであった。
次に、この球状シリカ系多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。得られたSEM写真を図2に示す。SEMにより観察された多孔体は球状であり、任意の100個の粒子から計算した平均粒子径は232nm、単分散度は17.6%であった。
(実施例2)
水480mL、エタノール410mLの混合溶媒(エタノール濃度46.1容量%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、球状シリカ系多孔体を得た。実施例1と同様に、X線回折パターンにより、得られた多孔体は細孔配列構造がキュービック構造であることが確認された。また、窒素吸着測定結果から計算により求めたBET比表面積は1164m/g、中心細孔直径は2.0nmであった。SEMにより観察された多孔体は球状であり、任意の100個の粒子から計算した平均粒子径は329nm、単分散度は7.1%であった。
(実施例3)
水480mL、エタノール306mL、メタノール100mLの混合溶媒(アルコール濃度45.8容量%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、球状シリカ系多孔体を得た。実施例1と同様に、X線回折パターンにより、得られた多孔体は細孔配列構造がキュービック構造であることが確認された。また、窒素吸着測定結果から計算により求めたBET比表面積は1145m/g、中心細孔直径は2.2nmであった。SEMにより観察された多孔体は球状であり、任意の100個の粒子から計算した平均粒子径は272nm、単分散度は9.0%であった。
(実施例4)
テトラエトキシシランとプロピレングリコールをモル比1:4で混合し、実施例1と同様の方法により、テトラキス(3−ヒドロキシプロポキシ)シランを得た。シリカ原料としてテトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン2mLの代わりにテトラキス(3−ヒドロキシプロポキシ)シラン2.4mL、1規定水酸化ナトリウムを2.28mL用いること以外は実施例1と同様にして、シリカ系多孔体を得た。X線回折により、得られた多孔体は細孔配列構造がキュービック構造であることが確認された。任意の100個の粒子から計算した平均粒子径は325nm、単分散度は9.8%であった。
(実施例5)
水480mL、エタノール410mLの混合溶媒(エタノール濃度46.1容量%)を用い、界面活性剤としてオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド3.83g(0.012mol/L)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、球状シリカ系多孔体を得た。実施例1と同様に、X線回折パターンにより、得られた多孔体は細孔配列構造がキュービック構造であることが確認された。また、窒素吸着測定結果から計算により求めたBET比表面積は1222m/g、中心細孔直径は2.1nmであった。SEMにより観察された多孔体は球状であり、任意の100個の粒子から計算した平均粒子径は294nm、単分散度は7.0%であった。
(実施例6)
水480mL、エタノール204mL、メタノール202mLの混合溶媒(アルコール濃度45.8容量%)を用い、界面活性剤としてオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド3.83g(0.012mol/L)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、球状シリカ系多孔体を得た。実施例1と同様に、X線回折パターンにより、得られた多孔体は細孔配列構造がキュービック構造であることが確認された。また、窒素吸着測定結果から計算により求めたBET比表面積は1150m/g、中心細孔直径は2.2nmであった。SEMにより観察された多孔体は球状であり、任意の100個の粒子から計算した平均粒子径は304nm、単分散度は6.7%であった。
(実施例7)
実施例1で得られた球状シリカ系多孔体0.2gにフルフリルアルコール0.15mLを加え、シリカ細孔中に含浸させた。これを150℃で24時間加熱し、細孔内でフルフリルアルコールを重合させた後、窒素気流中500℃で6時間焼成して、ポリフリルアルコールを炭化した。この粉末にフルフリルアルコール0.09mLを追添加し、再び150℃、24時間加熱と窒素気流中500℃、6時間焼成をおこなった。その後、窒素気流中900℃、6時間焼成をおこない完全に炭化した。この粉末を48%HF溶液中に浸し、室温で3時間撹拌してシリカを溶解後、ろ過、洗浄して球状カーボン系多孔体粉末を得た。
得られた球状カーボン系多孔体のX線回折パターンを図3に示す。図3に示されたX線回折パターンより、d値が2nm以上に相当する回折角度(2θが4.4°以下)の位置に2本以上のピークが確認され、得られた多孔体は3次元の規則配列細孔を有していること(空間対称性はI4/a)がわかる。また、窒素吸着測定結果から計算により求めたBET比表面積は1187m/g、中心細孔直径は1.8nmであった。
この球状カーボン系多孔体の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図4に示す。球状の粒子内部に規則配列構造が観察された。
次に、この球状カーボン系多孔体のSEMによる観察を行った。SEMにより観察された多孔体は球状であり、任意の100個の粒子から計算した平均粒子径は202nm、単分散度は16.3%であった。
(実施例8)
実施例3で得られた球状シリカ系多孔体を水に分散し(2wt%)、超音波を照射することにより球状シリカ系多孔体分散液を調整した。この分散液を用いて、非特許文献(M.Ishii et al., Langmuir, 21, 5367, 2005)に開示されている方法により、球状シリカ系多孔体からなる配列体膜を作製した。得られた配列体膜は青緑色の構造色を呈した。この配列体のSEM写真を図5に示す。図5より、球状シリカ系多孔体が3次元的に最密充填し、コロイド結晶が形成されていることが確認された。さらに、このコロイド結晶の反射スペクトルを測定したところ、ブラッグ反射に対応するピークが観察された。
(比較例1)
シリカ源としてテトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン2mLの代わりにテトラメトキシシラン1.3mLを用いること以外は実施例4と同様にして、シリカ系多孔体を得た。得られた多孔体のX線回折パターンを図6に示す。キュービック構造特有のピークが観測されず、またピーク強度も低いことから、得られた多孔体の細孔構造は規則性の低いヘキサゴナル構造であることがわかった。SEMにより観察された多孔体は球状であり、任意の100個の粒子の粒子径から計算した平均粒子径は388nm、単分散度は12.0%であった。
(比較例2)
シリカ原料としてテトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン2mLの代わりにテトラメトキシシラン1.3mLを用いること以外は実施例5と同様にして、シリカ系多孔体を得た。X線回折パターンにより、得られた多孔体の細孔構造は規則性の低いヘキサゴナル構造であることがわかった。SEMにより観察された多孔体は球状であり、任意の100個の粒子の粒子径から計算した平均粒子径は483nm、単分散度は4.0%であった。
(参考例1)
1規定水酸化ナトリウム水溶液添加量を2.28mL、テトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン添加量を4mLとすること以外は実施例5と同様にして、シリカ系多孔体を得た。得られた多孔体のX線回折パターンを図7に示す。図7より、得られた多孔体の細孔構造は規則性の高いヘキサゴナル構造であることがわかった。SEMにより観察された多孔体は球状であり、任意の100個の粒子の粒子径から計算した平均粒子径は221nm、単分散度は20.8%であった。
(参考例2)
参考例1で得られた球状シリカ系多孔体を用いて、実施例7と同様の方法で配列体膜を作製した。得られた配列体膜は、221nmの粒子径から予測される紫色の構造色を呈さなかった。
以上説明したように、本発明の球状シリカ系多孔体、及び球状カーボン系多孔体は、粒子径が小さく、かつ細孔が3次元的に連結しているので、物質の拡散が極めて速やかであり、細孔の利用効率が高くなる。しかも、粒子径が極めて均一であるため、応用に際して構造体を作製する場合、あるいはカラムに充填する場合に充填密度を著しく向上させることができる。また、粒子径の均一性を利用して、本発明により得られる球状シリカ系多孔体、及び球状カーボン系多孔体からコロイド結晶を作製することが可能である。さらに、粒子径が400nm以下であるので、コロイド結晶は可視光域の波長の光をブラッグ反射することができ、センサやナローバンドフィルターなどの光デバイスとして極めて有用である。
また、本発明により得られる球状シリカ系多孔体、及び球状カーボン系多孔体は、ポルフィリン等の分子量の大きい色素や、種々のナノ粒子材料を細孔内により確実に導入することが可能となる。従って、本発明の方法により得られる球状シリカ系多孔体、及び球状カーボン系多孔体は、その大きさが波長サイズであることによる効果に加え、その細孔内に導入した色素の効果も同時に利用できるようになる点においても有用である。
球状シリカ系多孔体のX線回折パターンを示す。 球状シリカ系多孔体のSEM写真を示す。 球状カーボン系多孔体のX線回折パターンを示す。 球状カーボン系多孔体のTEM写真を示す。 球状シリカ系多孔体からなる配列体膜のSEM写真を示す。 球状シリカ系多孔体のX線回折パターンを示す。 球状シリカ系多孔体のX線回折パターンを示す。

Claims (3)

  1. キュービックの細孔配列構造を有し、X線回折における2nm以上のd値に相当する回折角度(2θ)の範囲に2本以上のピークを有し、下記式(i)及び(ii)を満足する、球状シリカ系多孔体。
    100nm≦Rm≦400nm ・・・(i)
    (σ(R)/Rm)×100≦20 ・・・(ii)
    [式中、σ(R)は粒子径Rの標準偏差、Rmは粒子径Rの平均値を示す。]
  2. 下記一般式(1):
    1 (4−n)−Si−(O−R−OH) (1)
    [式中、R1は有機基、R2はアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基、nは3又は4を示す。]
    で表されるヒドロキシアルコキシシランを含むシリカ原料と下記一般式(2):

    [式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、mは11〜21の整数を示す。]
    で表されるアンモニウムハライドとを、20〜55容量%のアルコールを含む水とアルコールとの混合溶媒中で混合し、前記シリカ原料から生成したシリカと前記アンモニウムハライドとを含有する前駆体粒子を得る工程と、
    該前駆体粒子から前記アンモニウムハライドを除去して球状シリカ系多孔体を得る工程と、
    を備える、球状シリカ系多孔体の製造方法。
  3. X線回折における2nm以上のd値に相当する回折角度(2θ)の範囲に2本以上のピークを有し、下記式(i)及び(ii)を満足する、球状カーボン系多孔体。
    100nm≦Rm≦400nm ・・・(i)
    (σ(R)/Rm)×100≦20 ・・・(ii)
    [式中、σ(R)は粒子径Rの標準偏差、Rmは粒子径Rの平均値を示す。]
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