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JP2005089218A - 球状シリカ系メソ多孔体の製造方法 - Google Patents

球状シリカ系メソ多孔体の製造方法 Download PDF

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JP2005089218A JP2003322778A JP2003322778A JP2005089218A JP 2005089218 A JP2005089218 A JP 2005089218A JP 2003322778 A JP2003322778 A JP 2003322778A JP 2003322778 A JP2003322778 A JP 2003322778A JP 2005089218 A JP2005089218 A JP 2005089218A
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Abstract

【課題】 得られる全粒子の90重量%以上が平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有するという極めて粒径の均一性が高く、しかも中心細孔直径が1.8〜5nmと比較的大きい球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を提供する。
【解決手段】 溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程とを含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、前記界面活性剤として下記一般式(1):


[式中、R1、R2およびR3は炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、nは13〜25の整数をそれぞれ示す。]で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記溶媒としてアルコール含有量が45〜80容量%である水とアルコールとの混合溶媒を用いる球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ケイ素原子及び酸素原子を主成分として骨格が形成されているシリカ系材料からなる球状シリカ系メソ多孔体の製造方法に関する。
近年、様々な物質を吸着、貯蔵等するための材料として、孔径1〜50nm程度のメソサイズの細孔(メソ孔)が非常に規則的に配列したシリカ系メソ多孔体が注目されており、このようなシリカ系メソ多孔体の合成および機能開発の研究が積極的に行われてきた。
例えば、Andersonらは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等の界面活性剤と水酸化ナトリウムとを含む水/メタノール溶液中でテトラメトキシシランを反応させて多孔体を得る場合において、メタノールを特定の濃度にすることにより室温で簡単に多孔体を得ることができることを報告している(M. T. Anderson et al., Chem. Mater. 10, 1490-1500, (1998)(非特許文献1))。しかしながら、Andersonらの方法により得られる多孔体は、ファイバー状、紡錘状(回転楕円体状)および球状の多孔体の混合物となり形状および粒径の均一性に劣るために、多孔体を容器に充填した場合の充填率や、多孔体を圧粉して得られる圧縮成形物の密度を高くすることが困難となり、例えば、吸着材として用いる場合における単位体積当たりの吸着容量を大きくすることができないという問題があった。
また、Grunらは、アルキルアミンとテトラエトキシシランから球状多孔体を製造する方法を報告している(M.Grun et al.,Stud.Surf.Sci.Catal.,128,155(2000)(非特許文献2))。しかしながら、Grunらの方法により得られる多孔体は、球状の多孔体が得られるものの、その細孔の規則性は低く、粒径の均一性にも劣るため、吸着容量が小さいという問題があった。
更に、特開平10−328558号公報(特許文献1)には、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の界面活性剤を含む水溶液中で、アルコキシシランを酸性条件下で反応させることにより球状の多孔体が得られることが開示されている。しかしながら、同公報に記載の方法においても、球状以外の形状の多孔体が一部得られたり、粒径のばらつきが大きくなる場合があり、未だ十分なものではなかった。
また、特開2002−29733号公報(特許文献2)には、特定構造のアルキルアンモニウムハライドを界面活性剤として用い、この界面活性剤とシリカ原料を特定の濃度となるように水に溶解させ、塩基性条件下で反応させる方法により、球状多孔体の含有比率および球状多孔体の粒径の均一性を向上させることが可能であると記載されている。しかしながら、同公報に記載の方法であっても、真球度の高い多孔体が得られるようになるものの、得られる球状多孔体の粒径の均一性は必ずしも十分なものではなく、粒径の制御も容易ではなかった。
特開平10−328558号公報 特開2002−29733号公報 M. T.Anderson et al., Chem. Mater. 10, 1490-1500, (1998) M. Grunet al., Stud. Surf. Sci. Catal., 128, 155 (2000)
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、得られる全粒子の90重量%以上が平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有するという極めて粒径の均一性が高く、しかも中心細孔直径が1.8〜5nmと比較的大きい球状シリカ系メソ多孔体を効率良くかつ確実に得ることが可能であり、更に粒径の制御も容易な球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、長鎖アルキル基を有する特定のアルキルアンモニウムハライドを界面活性剤として用いると共にアルコール含有量の高い水/アルコール混合溶媒を用い、更に界面活性剤およびシリカ原料の濃度を緻密に制御することにより上記目的が達成可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、前記界面活性剤として下記一般式(1):

[式中、R1、R2およびR3は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、nは13〜25の整数をそれぞれ示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記溶媒としてアルコール含有量が45〜80容量%である水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度を0.003〜0.03mol/L、前記シリカ原料の濃度をSi濃度換算で0.005〜0.03mol/Lとすることを特徴とする、粒径均一性の高い球状シリカ系メソ多孔体の製造方法にある。
本発明の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記シリカ原料がアルコキシシランであることが好ましく、また、前記溶媒中で前記シリカ原料と前記界面活性剤とを塩基性条件下で混合することが好ましい。
このような本発明の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法によれば、平均粒径が0.01〜3μm、中心細孔直径が1.8〜5nmであり、全粒子の90重量%以上が前記平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有している球状シリカ系メソ多孔体が効率良くかつ確実に得られるようになる。また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、水とアルコールとの比率を前記範囲内で変化させると、粒径の均一性は高水準に保持されたまま、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径が前記範囲内で変化する。
本発明によれば、得られる全粒子の90重量%以上が平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有するという極めて粒径の均一性が高く、しかも中心細孔直径が1.8〜5nmと比較的大きいためポルフィリン等の分子量の大きい色素を細孔内に確実に導入することが可能な球状シリカ系メソ多孔体を効率良くかつ確実に得ることが可能となる。更に、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法によれば、水とアルコールとの比率を変化させることにより、粒径の均一性は高水準に保持しつつ、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径を容易に制御することができるようになる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
(第1の工程)
本発明の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、先ず、溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る(第1の工程)。
本発明において用いられるシリカ原料は、反応によりケイ素酸化物(ケイ素複合酸化物を含む)を形成可能なものであればよく特に制限されないが、反応効率や得られるケイ素酸化物の物性の観点から、アルコキシシラン、ケイ酸ナトリウム、層状シリケート、シリカ、またはこれらの任意の混合物を用いることが好ましく、中でもアルコキシシランを用いることがより好ましい。
アルコキシシランとしては、アルコキシ基を4個有するテトラアルコキシシラン、アルコキシ基を3個有するトリアルコキシシラン、アルコキシ基を2個有するジアルコキシシランを用いることができる。アルコキシ基の種類は特に制限されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のようにアルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないもの(炭素数として1〜4程度のもの)が反応性の点から有利である。また、アルコキシシランが有するアルコキシ基が3または2個である場合は、アルコキシシラン中のケイ素原子には有機基、水酸基等が結合していてもよく、当該有機基はアミノ基やメルカプト基等の官能基をさらに有していてもよい。
テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等が挙げられ、トリアルコキシシランとしては、トリメトキシシラノール、トリエトキシシラノール、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、ジアルコキシシランとしては、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン等が挙げられる。
上記アルコキシシランは、単独で用いることもできるが2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。また、上記のアルコキシ基を2〜4個有するアルコキシシランは、アルコキシ基を1個有するモノアルコキシシランと組み合わせて使用することも可能である。このようにして用いることのできるモノアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
アルコキシシランは、加水分解によりシラノール基を生じ、生じたシラノール基同士が縮合することによりケイ素酸化物が形成される。この場合において、分子中のアルコキシ基の数が多いアルコキシシランは、加水分解および縮合で生じる結合が多くなる。したがって、本発明において、アルコキシ基の多いテトラアルコキシシランをアルコキシシランとして用いることが好ましく、テトラアルコキシシランとしては、反応速度の観点からテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを用いることが特に好ましい。
本発明においてシリカ原料として用いられるケイ酸ナトリウムとしては、メタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)、オルトケイ酸ナトリウム(Na4SiO4)、二ケイ酸ナトリウム(Na2Si25)、四ケイ酸ナトリウム(Na2Si49)等が挙げられる。ケイ酸ナトリウムとしては、このような単一物質の他、水ガラス(Na2O・nSiO2、n=2〜4)等のように組成が場合により異なるものを使用することもできる。
層状シリケートとしては、カネマイト(NaHSi25・3H2O)、二ケイ酸ナトリウム結晶(α、β、γ、δ−Na2Si25)、マカタイト(Na2Si49・5H2O)、アイアライト(Na2Si817・xH2O)、マガディアイト(Na2Si1417・xH2O)、ケニヤイト(Na2Si2041・xH2O)等が挙げられる。また、セピオライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、雲母、カオリナイト、スメクタイト等の粘土鉱物を酸性水溶液で処理してシリカ以外の元素を除去したものも層状シリケートとして使用可能である。
本発明においてシリカ原料として用いられるシリカとしては、Ultrasil(Ultrasil社)、Cab-O-Sil(Cabot社)、HiSil(Pittsburgh Plate Glass社)等の沈降性シリカ;コロイダルシリカ;Aerosil(Degussa-Huls社)等のフュームドシリカを挙げることができる。
上記のシリカ原料は、単独で用いることもできるが2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。但し、2種類以上のシリカ原料を用いる場合は、製造時の反応条件が複雑化することがあるため、本発明においてはシリカ原料は単独のものを使用することが好ましい。
本発明において用いられる界面活性剤は、下記一般式(1)で表されるアルキルアンモニウムハライドである。

そして、一般式(1)におけるR1、R2、R3は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示す。このようなアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、これらが一分子中に混在してもよいが、界面活性剤分子の対称性の観点からR1、R2、R3は全て同一であることが好ましい。界面活性剤分子の対称性が優れる場合は、界面活性剤同士の凝集(ミセルの形成等)が容易となる傾向にある。更に、R1、R2、R3のうち少なくとも1つはメチル基であることが好ましく、R1、R2、R3の全てがメチル基であることがより好ましい。
また、一般式(1)におけるnは13〜25の整数を示し、13〜17の整数であることがより好ましい。前記nが12以下であるアルキルアンモニウムハライドでは、球状の多孔体は得られるものの、中心細孔直径が1.8nmより小さくなってしまい、ポルフィリン等の分子量の大きい色素を細孔内に導入することができなくなる。他方、前記nが26以上のアルキルアンモニウムハライドでは、界面活性剤の疎水性相互作用が強すぎるため、層状の化合物が生成してしまい、球状の多孔体を得ることができなくなる。
更に、一般式(1)におけるXはハロゲン原子を示し、このようなハロゲン原子の種類は特に制限されないが、入手の容易さの観点からXは塩素原子または臭素原子であることが好ましい。
したがって、上記一般式(1)で表される界面活性剤としては、R1、R2、R3の全てがメチル基でありかつ炭素数14〜26の長鎖アルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウムハライドであることが好ましく、中でもテトラデシルトリメチルアンモニウムハライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムハライド、エイコシルトリメチルアンモニウムハライド、ドコシルトリメチルアンモニウムハライドがより好ましい。
このような界面活性剤は、シリカ原料と共に溶媒中で複合体を形成する。複合体中のシリカ原料は反応によりケイ素酸化物へと変化するが、界面活性剤が存在している部分ではケイ素酸化物が生成しないため、界面活性剤が存在している部分に孔が形成されることになる。すなわち、界面活性剤はシリカ原料中に導入されて孔形成のためのテンプレートとして機能する。本発明において、界面活性剤は1種類もしくは2種類以上を組み合わせて用いることが可能であるが、上記のように界面活性剤はシリカ原料の反応生成物に孔を形成させる際のテンプレートとして働き、その種類は多孔体の孔の形状に大きな影響を与えるため、より均一な球状多孔体が得るためには、界面活性剤は1種類のみを用いることが好ましい。
本発明においては、前記シリカ原料および前記界面活性剤を混合するための溶媒として、水とアルコールとの混合溶媒を用いる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコール、グリセリンが挙げられ、シリカ原料の溶解性の観点からメタノールまたはエタノールが好ましい。
そして、本発明においては、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を合成する際に、アルコールの含有量が45〜80容量%の水/アルコール混合溶媒を用いることが重要であり、アルコールの含有量が50〜70容量%のものを用いることがより好ましい。このように比較的多量のアルコールを含有する混合溶媒を使用することにより、均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径が高度に均一に制御されることとなる。アルコールの含有量が45容量%未満の場合は、粒径及び粒径分布の制御が困難となり、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。他方、アルコールの含有量が80容量%を超える場合も、粒径及び粒径分布の制御が困難となり、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。
また、本発明においては、前記の水とアルコールとの比率を変化させることにより、粒径の均一性は高水準に保持しつつ、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径を容易に制御することができる。すなわち、水の比率が高い場合は多孔体が析出し易くなるために粒径が小さくなり、逆にアルコールの比率が高い場合は大きい粒径の多孔体を得ることができる。
更に、本発明においては、前記シリカ原料および前記界面活性剤を前記混合溶媒中で混合して多孔体前駆体粒子を得る際に、上述した界面活性剤の濃度を溶液の全容量を基準として0.003〜0.03mol/L(好ましくは、0.01〜0.02mol/L)とし、上述したシリカ原料の濃度を溶液の全容量を基準として0.005〜0.03mol/L(好ましくは、0.008〜0.015mol/L)とする必要がある。このように界面活性剤およびシリカ原料の濃度を厳密に制御することによって、前述の混合溶媒を使用することと相俟って均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径が高度に均一に制御されることとなる。界面活性剤の濃度が0.003mol/L未満の場合は、テンプレートとなるべき界面活性剤の量が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。他方、界面活性剤の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。また、シリカ原料の濃度が0.005mol/L未満の場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。他方、シリカ原料の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、テンプレートとなるべき界面活性剤の比率が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。
また、本発明においては、前記シリカ原料および前記界面活性剤を混合する際に、塩基性条件下で混合することが好ましい。シリカ原料は、一般に塩基性条件下においても酸性条件下においても反応が生じケイ素酸化物へと変化するが、本発明におけるシリカ原料と界面活性剤の濃度は従来技術の方法に比較してかなり低いものとなっているために、酸性条件下では反応がほとんど進行しない。したがって、本発明においては塩基性条件下でシリカ原料を反応させることが好ましい。なお、シリカ原料は、酸性条件で反応させる場合よりも塩基性条件で反応させる場合の方がケイ素原子の反応点が増加し、耐湿性や耐熱性等の物性に優れたケイ素酸化物を得ることができるため、塩基性条件下で混合することはこの点においても有利である。
上記混合溶媒を塩基性にするためには、通常、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性物質を添加する。反応時の塩基性条件に関しては特に制限されないが、添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.1〜0.9となるようにすることが好ましく、0.2〜0.5となるようにすることがより好ましい。添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.1未満である場合は、収率が低下してしまう傾向があり、他方、0.9を超える場合は、多孔体の形成が困難となる傾向がある。
前述の第1の工程における反応条件(反応温度、反応時間等)は特に制限されず、反応温度としては、例えば−20℃〜100℃(好ましくは0℃〜80℃、より好ましくは10℃〜40℃)とすることができる。また、反応は攪拌状態で進行させることが好ましい。具体的な反応条件は、用いるシリカ原料の種類等に基づいて決定することが好ましい。
すなわち、シリカ原料としてアルコキシシランを用いる場合は、例えば、以下のようにして多孔体前駆体粒子を得ることができる。先ず、水とアルコールの混合溶媒に対して、界面活性剤および塩基性物質を添加して界面活性剤の塩基性溶液を調製し、この溶液にアルコキシシランを添加する。添加されたアルコキシシランは溶液中で加水分解(または、加水分解および縮合)するために、添加後数秒〜数十分で白色粉末が析出する。この場合において、反応温度は0℃〜80℃とすることが好ましく、10℃〜40℃とすることがより好ましい。また、溶液は攪拌することが好ましい。
沈殿物が析出した後、0℃〜80℃(好ましくは10℃〜40℃)で1時間〜10日、溶液をさらに攪拌してシリカ原料の反応を進行させる。攪拌終了後、必要に応じて室温で一晩放置して系を安定化させ、得られた沈殿物を必要に応じてろ過および洗浄することによって本発明にかかる多孔体前駆体粒子が得られる。
また、シリカ原料として、アルコキシシラン以外のシリカ原料(ケイ酸ナトリウム、層状シリケートまたはシリカ)を用いる場合は、シリカ原料を、界面活性剤を含有する水とアルコールの混合溶媒に添加し、シリカ原料中のケイ素原子と等モル程度になるように、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性物質をさらに添加して均一な溶液を調製する。その後、希薄酸溶液をシリカ原料中のケイ素原子に対して1/2〜3/4倍モル添加するという方法により本発明にかかる多孔体前駆体粒子を作製することができる。塩基性物質は、シリカ原料中に既に形成されているSi−(O−Si)4結合の一部を切断する目的のために過剰分必要となるが、その過剰分を酸により中和する必要がある。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸等の有機酸のいずれを用いてもよい。
(第2の工程)
次に、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法においては、前記第1の工程で得られた多孔体前駆体粒子に含まれる界面活性剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る(第2の工程)。このように界面活性剤を除去する方法としては、例えば、焼成による方法、有機溶媒で処理する方法、イオン交換法等を挙げることができる。
焼成による方法においては、多孔体前駆体粒子を300〜1000℃、好ましくは400〜700℃で加熱する。加熱時間は30分程度でもよいが、完全に界面活性剤を除去するには1時間以上加熱することが好ましい。また、焼成は空気中で行うことが可能であるが、多量の燃焼ガスが発生するため、窒素等の不活性ガスを導入して行ってもよい。また、有機溶媒で処理する場合は、用いた界面活性剤に対する溶解度が高い良溶媒中に多孔体前駆体粒子を浸漬して界面活性剤を抽出する。イオン交換法においては多孔体前駆体粒子を酸性溶液(少量の塩酸を含むエタノール等)に浸漬し、例えば50〜70℃で加熱しながら攪拌を行う。これにより、多孔体前駆体粒子の孔中に存在する界面活性剤が水素イオンでイオン交換される。なお、イオン交換により孔中には水素イオンが残存することになるが、水素イオンのイオン半径は十分小さいため孔の閉塞の問題は生じない。
上述した本発明の製造方法により、平均粒径が0.01〜3μmである球状シリカ系メソ多孔体であって、得られる全粒子の90重量%以上(好ましくは95重量%以上)が平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有するという極めて粒径の均一性が高く、しかも中心細孔直径が1.8〜5nmと比較的大きい球状シリカ系メソ多孔体が効率良くかつ確実に得られる。このように本発明の方法により得られる球状シリカ系メソ多孔体は粒径が極めて均一であることから、フォトニッククリスタルをはじめとした光デバイス関係に用いる材料として非常に有用である。また、本発明の方法により得られる球状シリカ系メソ多孔体は比較的大きな細孔径を有することから、ポルフィリン等の分子量の大きい色素を細孔内に確実に導入することが可能となる。
なお、本発明でいう「球状」とは、真の球体に限定されるものではなく、最小直径が最大直径の80%以上(好ましくは90%以上)である略球体も包含するものである。また、略球体の場合、その粒径は原則として最小直径と最大直径との平均値をいう。更に、前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径である。なお、細孔径分布曲線は、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、シリカ系メソ多孔体粒子を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston−Inklay法、Pollimore−Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
本発明により得られる球状シリカ系メソ多孔体は、前記界面活性剤を鋳型として前記シリカ源を原料として作製されるものであり、ケイ素原子が酸素原子を介して結合した骨格−Si−O−を基本とし、高度に架橋した網目構造を有している。このようなシリカ系材料は、ケイ素原子及び酸素原子を主成分とするものであればよく、ケイ素原子の少なくとも一部が有機基の2箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成しているものでもよい。このような有機基としては、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、ベンゼン、シクロアルカン等の炭化水素から2以上の水素がとれて生じる2価以上の有機基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、有機基は、アミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルフォン基、カルボキシル基、エーテル基、アシル基、ビニル基等を有するものであってもよい。
また、本発明により得られる球状シリカ系メソ多孔体は、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれることが好ましい。この条件を満たすシリカ系メソ多孔体粒子は、細孔の直径が非常に均一であることを意味する。また、かかる球状シリカ系メソ多孔体の比表面積については特に制限はないが、700m2/g以上であることが好ましい。比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
さらに、本発明により得られる球状シリカ系メソ多孔体は、そのX線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
また、本発明にかかる球状シリカ系メソ多孔体が有する細孔は、多孔体の表面のみならず内部にも形成される。かかる多孔体における細孔の配列状態(細孔配列構造又は構造)は特に制限されないが、2d−ヘキサゴナル構造、3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造であることが好ましい。また、このような細孔配列構造は、ディスオーダの細孔配列構造を有するものであってもよい。
ここで、多孔体がヘキサゴナルの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が六方構造であることを意味する(S.Inagaki,et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,680,1993;S.Inagaki,et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.,69,1449,1996、Q.Huo,et al.,Science,268,1324,1995参照)。また、多孔体がキュービックの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が立方構造であることを意味する(J.C.Vartuli,et al.,Chem.Mater.,6,2317,1994;Q.Huo,et al.,Nature,368,317,1994参照)。また、多孔体がディスオーダの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が不規則であることを意味する(P.T.Tanev,et al.,Science,267,865,1995;S.A.Bagshaw,et al.,Science,269,1242,1995;R.Ryoo,et al.,J.Phys.Chem.,100,17718,1996参照)。また、前記キュービック構造は、Pm−3n、Im−3m又はFm−3m対称性であることが好ましい。前記対称性とは、空間群の表記法に基づいて決定されるものである。なお、本発明においては、用いる界面活性剤が前記一般式(1)で表される化学構造を有しており、前記のような条件でシリカ原料を反応させるため、前記中心細孔直径を有する細孔が2次元ヘキサゴナルに配列したものが得られやすい。また、本発明によれば、メソ細孔が規則性を保ちながら粒子中心から球状粒子の外側に向かって配置されている球状シリカ系メソ多孔体を得ることが可能となり、そのようなメソ多孔体を用いればエネルギー、電子の移動をその方向にだけ正確に起こさせることが可能となる。
本発明により得られる球状シリカ系メソ多孔体は、粉末のまま使用してもよいが、必要に応じて成形して使用してもよい。成形する手段はどのようなものでも良いが、押出成形、打錠成形、転動造粒、圧縮成形、CIPなどが好ましい。その形状は使用箇所、方法に応じて決めることができ、たとえば円柱状、破砕状、球状、ハニカム状、凹凸状、波板状等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
水5L及びメタノール5Lの混合溶媒に対して、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(界面活性剤)35.2g(0.014mol/L)および1規定水酸化ナトリウム22.8mLを添加した。これにテトラメトキシシラン(シリカ原料)13.2g(0.011mol/L)を添加して攪拌を続けたところテトラメトキシシランは完全に溶解し、約200秒後に白色粉末が析出してきた。室温で更に8時間撹拌して一晩(14時間)放置した後、ろ過と脱イオン水による洗浄を3回繰り返して白色粉末(多孔体前駆体粒子)を得た。この白色粉末を熱風乾燥機で3日間乾燥した後、550℃で6時間焼成することによって界面活性剤を含む有機成分を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得た。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線回折パターンを図1に示す。図1に示されたX線回折パターンより、得られた多孔体は高次のピークを有しており、この粉末が規則性の高いハニカム多孔体であり、ヘキサゴナルの細孔配列構造を有していることが確認された。また、中心細孔直径は2.1nmであった。
次に、この球状シリカ系メソ多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。得られたSEM写真を図2に示す。SEMにより観察された多孔体はいずれも粒子径が均一な球状粒子の形状を有しており、任意の100個の粒子の粒径分布は0.60〜0.67μmであった。また、平均粒径は0.64μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の100重量%であった。
更に、実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体を、クロロフィル濃度が10mMであるベンゼン溶液に室温で24時間浸漬した後、ろ過分別を行なった。その結果、球状シリカ系メソ多孔体100mgに対して約10mgのクロロフィルが吸着していることが確認された。
テトラメトキシシランの代わりにテトラエトキシシラン18.0g(0.011mol/L)を用いたこと以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、この場合は完全に溶解してから約17分後に白色粉末が析出してきた。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真から求めた任意の100個の粒子の粒径分布は0.85〜0.90μmであった。また、平均粒径は0.89μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の100重量%であった。更に、中心細孔直径は2.01nmであった。
水3.5L及びメタノール6.5Lの混合溶媒を用い、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドの代わりにオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド38.3g(0.014mol/L)を用いたこと以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、この場合は完全に溶解してから約170秒後に白色粉末が析出してきた。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真から求めた任意の100個の粒子の粒径分布は0.89〜0.98μmであった。また、平均粒径は0.97μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の95重量%であった。更に、中心細孔直径は2.43nmであった。
水3L及びメタノール7Lの混合溶媒を用い、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドの代わりにドコシルトリメチルアンモニウムクロリド41.4g(0.014mol/L)を用いたこと以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、この場合は完全に溶解してから約190秒後に白色粉末が析出してきた。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真から求めた任意の100個の粒子の粒径分布は1.1〜1.25μmであった。また、平均粒径は1.2μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の92重量%であった。更に、中心細孔直径は3.2nmであった。
水4.5L及びメタノール5.5Lの混合溶媒を用い、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドの代わりにテトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド33.1g(0.014mol/L)を用いたこと以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、この場合は完全に溶解してから約140秒後に白色粉末が析出してきた。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真から求めた任意の100個の粒子の粒径分布は0.81〜0.86μmであった。また、平均粒径は0.84μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の100重量%であった。更に、中心細孔直径は1.83nmであった。
比較例1
水6.5L及びメタノール3.5Lの混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、この場合は完全に溶解してから約100秒後に白色粉末が析出してきた。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真から求めた任意の100個の粒子の粒径分布は0.08〜0.25μmであった。また、平均粒径は0.2μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の60重量%であった。更に、中心細孔直径は2.05nmであった。
比較例2
水1L及びメタノール9Lの混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、この場合は完全に溶解してから約300秒後に白色粉末が析出してきた。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真から求めた任意の100個の粒子の粒径分布は0.45〜1.26μmであった。また、平均粒径は0.72μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の18重量%であった。更に、中心細孔直径は1.92nmであった。
比較例3
テトラメトキシシランの添加量を52.4g(0.044mol/L)としたこと以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、この場合は完全に溶解してから約150秒後に白色粉末が析出してきた。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真から求めた任意の100個の粒子の粒径分布は0.45〜0.81μmであった。また、平均粒径は0.62μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の75重量%であった。更に、中心細孔直径は2.1nmであった。
比較例4
テトラメトキシシランの添加量を3.0g(0.002mol/L)としたこと以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、この場合は完全に溶解してから約300秒後に白色粉末が析出してきた。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真から求めた任意の100個の粒子の粒径分布は0.15〜0.95μmであった。また、平均粒径は0.71μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の22重量%であった。更に、中心細孔直径は2.05nmであった。
比較例5
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドの添加量を3.52g(0.0014mol/L)としたこと以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、この場合は完全に溶解してから約580秒後に白色粉末が析出してきた。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真から求めた任意の100個の粒子の粒径分布は0.24〜0.75μmであった。また、平均粒径は0.51μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の58重量%であった。更に、中心細孔直径は2.02nmであった。
比較例6
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドの添加量を126g(0.05mol/L)としたこと以外は実施例1と同様にして球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、この場合は完全に溶解してから約170秒後に白色粉末が析出してきた。
得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真から求めた任意の100個の粒子の粒径分布は0.28〜0.65μmであった。また、平均粒径は0.52μmであり、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の78重量%であった。更に、中心細孔直径は2.1nmであった。
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、全粒子の90重量%以上が平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有するという極めて粒径の均一性が高く、しかも中心細孔直径が1.8〜5nmと比較的大きい球状シリカ系メソ多孔体を効率良くかつ確実に得ることが可能となる。従って、本発明の方法により得られる球状シリカ系メソ多孔体は、粒径が極めて均一であることから、フォトニッククリスタルをはじめとした光デバイス関係に用いる材料として非常に有用である。
また、本発明の方法により得られる球状シリカ系メソ多孔体は比較的大きな細孔径を有することから、ポルフィリン等の分子量の大きい色素を細孔内により確実に導入することが可能となる。従って、本発明の方法により得られる球状シリカ系メソ多孔体は、その大きさが波長サイズであることによる効果に加え、その細孔内に導入した色素の効果も同時に利用できるようになる点においても有用である。
実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体のX線回折パターンを示す図である。 実施例1で得られた球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真である。

Claims (3)

  1. 溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
    前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、
    を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、前記界面活性剤として下記一般式(1):

    [式中、R1、R2およびR3は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、nは13〜25の整数をそれぞれ示す。]
    で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記溶媒としてアルコール含有量が45〜80容量%である水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度を0.003〜0.03mol/L、前記シリカ原料の濃度をSi濃度換算で0.005〜0.03mol/Lとすることを特徴とする、粒径均一性の高い球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  2. 前記シリカ原料がアルコキシシランであり、前記溶媒中で前記シリカ原料と前記界面活性剤とを塩基性条件下で混合することを特徴とする請求項1記載の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  3. 前記球状シリカ系メソ多孔体の平均粒径が0.01〜3μm、中心細孔直径が1.8〜5nmであり、全粒子の90重量%以上が前記平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
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