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JP2005003181A - ガスケット - Google Patents

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Abstract

【課題】接着剤を用いることなくガスケットをセパレータ等の相手取付部材に比較的強固に取り付けることができ、しかも貫通穴の形成による不都合が発生することがないガスケットを提供する。
【解決手段】互いに対向する二部材のうちの一方の部材2に取り付けられるとともに他方の部材に密接するガスケット1であって、一方の部材2に設けた装着溝3に取り付けられる取付部5と他方の部材に密接するシール部6とを一体に有するガスケット1において、装着溝3の溝底部に、ガスケット1と一方の部材2との接触面積を増大させる非貫通形状の接触面積拡大部4を設け、ガスケット1に、接触面積拡大部4に充填配置される被充填部7を設けることにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密封装置の一種であるガスケットに係り、更に詳しくは、燃料電池用ガスケットまたはハードディスクドライブ(HDD)におけるトップカバー用ガスケット等として用いられるのに適したガスケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、燃料電池に使用されるガスケットには、様々なタイプのものが提供されているが、中でもセパレータに一体化されたガスケットは、スタックの組付作業を容易にし、コストを削減する点から有望視されている。
【0003】
図9に示すように、セパレータ51にガスケット52を一体化するには、セパレータ51に設けた装着溝53にゴム状弾性体等よりなるガスケット52を一体成形する方法が採用されている。
【0004】
しかしながら、単にセパレータ51の装着溝53にガスケット52を一体成形しただけでは、成形直後の離型時やスタックの組付時にガスケット52が装着溝53から脱落する虞がある。
【0005】
これに対して、ガスケット52の脱落を防止するには、成形前のセパレータ51の装着溝53に予め接着剤を塗布してから固定化する方法がある。
【0006】
しかしながら、接着剤を使用すると製造工数が増えるためにコスト負担が大きくなる不都合があり、また、接着剤を使用してガスケット52を完全に固定しようとすると、接着剤の塗布量が増加するために、この増加した接着剤からの不純物の溶出が問題となることがある。
【0007】
そこで、図10に示すように、セパレータ51の装着溝53の溝底部にセパレータ51の反対面51bまで貫通する貫通穴54を設けることにより、ガスケット52の脱落を防止する方法が考えられている(例えば、特許文献1または2参照)。
【0008】
しかしながら、このような貫通穴54の形成によるガスケット52の脱落防止は、同図(A)に示すように、セパレータ51の表裏両面51a,51bに同時にガスケット52を成形する場合には有効であるが、同図(B)に示すように、特にセパレータ51の片面51aのみにガスケット52を設けるタイプでは、以下のような不都合も存在する。
【0009】
▲1▼ガスケット52成形後に、貫通穴54内のガスケット52にヒケが発生し、これを原因として、シール性の低下を招くことがある。
▲2▼万一、ガスケット52とセパレータ51の接着に不具合が発生すると、貫通穴54を介してセパレータ表裏面51a,51b間でガスリークが生じることがある。
▲3▼セパレータ51の加工が煩雑化する。また、セパレータ51溝部の肉厚が薄くなるために、この部分に破損が生じることがある。
▲4▼図10(B)の片側ガスケットタイプでは、ガスケット52の反対側に貫通穴54の封止部分55が存在する。このため、別体のガスケットによってこの面51bをシールする場合、この貫通穴封止部分55とセパレータ51の異種材質面を同時にシールすることとなり、これがリーク発生の原因となることがある。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−185174号公報
【特許文献2】
特開2002−050369号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、接着剤を用いることなくガスケットをセパレータ等の相手取付部材に比較的強固に取り付けることができ、しかも貫通穴の形成による不都合が発生することがないガスケットを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のガスケットは、互いに対向する二部材のうちの一方の部材に取り付けられるとともに他方の部材に密接するガスケットであって、前記一方の部材に設けた装着溝に取り付けられる取付部と前記他方の部材に密接するシール部とを一体に有するガスケットにおいて、前記装着溝の溝底部に、前記ガスケットと前記一方の部材との接触面積を増大させる非貫通形状の接触面積拡大部を設け、前記ガスケットに、前記接触面積拡大部に充填配置される被充填部を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
上記構成を備えた本発明のガスケットのように、一方の部材における装着溝の溝底部に、ガスケットと一方の部材との接触面積を増大させる接触面積拡大部を設けるとともに、ガスケットに、接触面積拡大部に充填配置される被充填部を設けると、一方の部材とガスケットとが新たに接触面積拡大部と被充填部とにおいて接触する。したがって、上記図9のように一方の部材に装着溝のみを形成した場合と比較してガスケットと一方の部材との接触面積を増大させることが可能となり、よってこの分、ガスケットと一方の部材との接合力を増大させることが可能となる。
【0014】
また、一方の部材に新たに設ける接触面積拡大部は、一方の部材の反対面に貫通しない非貫通形状のものとして形成されるため、上記図10のように貫通穴を形成した場合に発生する種々の不都合が発生するのを未然に防止することが可能となる。
【0015】
上記接触面積拡大部は、穴状または溝状等の凹部として形成されるが、このほか例えば、装着溝の溝底部に表面粗さを施すことにより形成されるものであっても良く、その形状や構造は特に限定されない。
【0016】
尚、本発明には、以下の実施形態が含まれる。
【0017】
(A)セパレータ溝にガスケット脱落防止用のための溝底面部より深く貫通することのない複数の穴または第二の溝を設けたことを特徴とするセパレータ一体シール。
【0018】
(B)ガスケットを成形するセパレータ溝に、この溝底面よりも更に深く、反対面まで貫通しない穴または第二の溝を設け、セパレータとガスケットの接触面積の増大を図る。
【0019】
(C)上記(B)で穴を設ける場合には、穴をセパレータ溝に沿って多数配置する。穴の形は、円形穴、長穴、楕円穴または多角形穴など、どのような形の穴であっても良い。
【0020】
(D)本発明のガスケットは、射出成形などでセパレータにガスケットを一体成形する場合に、より有効な構造である。
【0021】
(E)セパレータの溝面に、従来必要とされた接着剤の塗布は特に必要とされないが、よりガスケットの接着性を出すためには、従来手法よりは少量の接着剤を塗布することにしても良い。
【0022】
(F)また、本発明の以下に示す実施例では、セパレータの片面へのガスケット形成を示しているが、セパレータの表裏両面にガスケットを設けるタイプであっても良い。
【0023】
(G) ガスケット材料は特に限定されないが、シリコーンゴム、フッ素ゴムまたはEPDM等が好適である。
【0024】
(H)上記(A)ないし(G)項によれば、セパレータとの間に接着剤を用いることなくガスケットを強固に固定することができ、よって著しく工期、工数、コスト等を削減することができる。また、ガスケットとセパレータとの接触面積が大きくなることにより、密着性、食い付き性を増大させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施例に係るガスケット1の断面を示している。また、図2は同ガスケット1の一部切欠した斜視図、図3は同ガスケット1の組付後(スタック組立後)の状態の断面図をそれぞれ示している。当該ガスケット1は燃料電池用ガスケットとして用いられるものであって、以下のように構成されている。
【0027】
すなわち先ず、当該ガスケット1を取り付ける取付部材(請求項1における一方の部材)としての一のセパレータ2が設けられており、このセパレータ2の一面2aに当該ガスケット1が一体成形により取り付けられている。この場合、一体成形は、ガスケット1を成形するゴム成形型にセパレータ2をインサートした状態でガスケット1を射出成形等により成形するものであって、ガスケット1はその成形と同時にセパレータ2に接着される。但し、セパレータ2側に予め接着剤は塗布しないことにする。
【0028】
セパレータ2には、その一面2aに、ガスケット1を取り付けるための装着溝3が設けられており、この装着溝3は、断面矩形状に形成されるとともにガスケット1の平面配置形状に沿って長く形成されている。また、この装着溝3の溝底部には、セパレータ2とガスケット1との接触面積を増大させるための非貫通形状の接触面積拡大部4が設けられており、この接触面積拡大部4は、図2に示すように、装着溝3に沿って多数が並べられた平面円形状の穴によって形成されている。この穴状の接触面積拡大部4は、セパレータ2の反対面2bに貫通しておらず、一面2a側から見て先止まりとされている。装着溝3の断面形状や接触面積拡大部4の平面形状は上記に限られるものではない。
【0029】
また、接触面積拡大部4の幅寸法(穴の径寸法)wは、装着溝3の幅寸法wよりも小さく形成されており(w<w)、例えば実寸で0.5mm以上5mm以下、好ましくは1mm以上の大きさに形成されている。また、接触面積拡大部4のセパレータ一面2aからの深さ寸法dは、装着溝3の深さ寸法dよりも大きく形成されており(d>d)、例えば実寸で1mm以上5mm以下、好ましくは2mm以上の大きさに形成されている。
【0030】
ガスケット1は、所定のゴム状弾性体により成形されて、セパレータ2の装着溝3内に充填配置された取付部5と、この取付部5の上面側に一体成形されたリップ状のシール部6とを一体に有しており、更に取付部5の下面側に、接触面積拡大部4内に充填配置される被充填部(アンカー部とも称する)7が一体成形されている。
【0031】
上記構成のガスケット1は、上記したようにセパレータ2に対して一体成形されるが、セパレータ2の一面2aに装着溝3が設けられるとともに装着溝3の溝底部に多数の穴よりなる接触面積拡大部4が設けられているために、一体成形されると、取付部5が装着溝3の内面に接触し、更に成形圧力により装着溝3の内面に押し付けられるとともに、被充填部7が接触面積拡大部4の内面に接触し、更に成形圧力により接触面積拡大部4の内面に押し付けられる。したがって、セパレータ2に装着溝3のみを形成した場合と比較してガスケット1とセパレータ2との接触面積を増大させることが可能となるために、この分、ガスケット1とセパレータ2との接合力を増大させることが可能となる。したがって、接着剤を使用しなくてもガスケット1がセパレータ2の装着溝3から脱落しにくい構造のガスケット1を提供することができる。
【0032】
また、上記接触面積拡大部4がセパレータ2の反対面2aに貫通しない非貫通のものとして形成されているために、貫通穴を形成した場合に発生する種々の不都合が発生するのを未然に防止することができる。
【0033】
また、上記構成のガスケット1によると、図3に示したように、スタックが組み立てられてガスケット1がセパレータ2と相手側のセパレータ(請求項1における他方の部材)8との間で弾性的に圧縮されたときに、図上矢印の向きの押付け力が発生する(接触面積拡大部4内でガスケット1が広がるように応力がかかる)ために、被充填部7が接触面積拡大部4の内面(側面)に強く押し付けられる。したがって、被充填部7に、抜け止めのための所謂アンカー効果が発揮されるために、これによってもガスケット1がセパレータ2の装着溝3から脱落するのを有効に防止することができる。
【0034】
尚、上記実施例において、接触面積拡大部4はこれを円形穴としたが、そのほか例えば、以下のようなものとしても良い。
【0035】
(A)長穴、楕円穴または多角形穴とする。
【0036】
(B)穴に代えて、図4に示すように、装着溝3に沿って延びる溝状とする。
【0037】
(C)穴であるか溝であるかにかかわらず、図5に示すように、接触面積拡大部4の底面部に微細な凹凸9を設けて、これによりアンカー効果を拡大する。
【0038】
(D)穴であるか溝であるかにかかわらず、図6に示すように、接触面積拡大部4の底面部の幅寸法(円形穴の場合はその径寸法)wを開口部の幅寸法(円形穴の場合はその径寸法)wよりも幅広に形成して、これによりアンカー効果を拡大する。
【0039】
(E)穴であるか溝であるかにかかわらず、図7に示すように、接触面積拡大部4の底面部中央に凸部10を設ける。このように凸部10を設けると、図3で説明したガスケット1圧縮時の接触面積拡大部4内面(側面)への押付け力を増大させることができる。
【0040】
(F)上記各図に示した接触面積拡大部4は何れもシール部6の直下位置に設けられているが、図8に示すように、接触面積拡大部4はこれをシール部6からずらすように配置しても良い。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0042】
すなわち、上記構成を備えた本発明のガスケットにおいては、一方の部材における装着溝の溝底部に、ガスケットと一方の部材との接触面積を増大させる接触面積拡大部が設けられるとともに、ガスケットに、接触面積拡大部に充填配置される被充填部が設けられているために、一方の部材とガスケットとが新たに接触面積拡大部と被充填部とにおいて接触する。したがって、一方の部材に装着溝のみを形成した場合と比較してガスケットと一方の部材との接触面積を増大させることが可能となるために、この分、ガスケットと一方の部材との接合力を増大させることが可能となる。したがって、接着剤を使用しなくてもガスケットが一方の部材の装着溝から脱落しにくい構造のガスケットを提供することができる。
【0043】
また、接触面積拡大部が一方の部材の反対面に貫通しない非貫通形状のものとして形成されているために、貫通穴を形成した場合に発生する種々の不都合が発生するのを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るガスケットの断面図
【図2】同ガスケットの一部切欠した斜視図
【図3】同ガスケットの組付後の状態を示す断面図
【図4】本発明の他の実施例に係るガスケットの一部切欠した斜視図
【図5】本発明の他の実施例に係るガスケットの断面図
【図6】本発明の他の実施例に係るガスケットの断面図
【図7】本発明の他の実施例に係るガスケットの断面図
【図8】本発明の他の実施例に係るガスケットの断面図
【図9】従来例に係るガスケットの断面図
【図10】(A)(B)ともそれぞれ他の従来例に係るガスケットの断面図
【符号の説明】
1 ガスケット
2 セパレータ(一方の部材)
2a 一面
2b 反対面
3 装着溝
4 接触面積拡大部
5 取付部
6 シール部
7 被充填部
8 セパレータ(他方の部材)
9 微細凹凸
10 凸部

Claims (1)

  1. 互いに対向する二部材(2)(8)のうちの一方の部材(2)に取り付けられるとともに他方の部材(8)に密接するガスケット(1)であって、前記一方の部材(2)に設けた装着溝(3)に取り付けられる取付部(5)と前記他方の部材(8)に密接するシール部(6)とを一体に有するガスケット(1)において、
    前記装着溝(3)の溝底部に、前記ガスケット(1)と前記一方の部材(2)との接触面積を増大させる非貫通形状の接触面積拡大部(4)を設け、前記ガスケット(1)に、前記接触面積拡大部(4)に充填配置される被充填部(7)を設けたことを特徴とするガスケット。
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