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JP2004360717A - ガスケット - Google Patents

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JP2004360717A
JP2004360717A JP2003156129A JP2003156129A JP2004360717A JP 2004360717 A JP2004360717 A JP 2004360717A JP 2003156129 A JP2003156129 A JP 2003156129A JP 2003156129 A JP2003156129 A JP 2003156129A JP 2004360717 A JP2004360717 A JP 2004360717A
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lip
gasket
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sealing
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JP2003156129A
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Yuichi Kuroki
雄一 黒木
Keiji Okada
啓二 岡田
Yoshihiro Kurano
慶宏 蔵野
Takeshi Mashita
岳士 真下
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Nok Corp
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Abstract

【課題】ガスケットの低反力化の要求に応えることができ、リップに倒れ現象が発生してもシール機能を維持することができ、しかも相手面に微小な凹凸や段差等があってもシール機能を維持することができるガスケットを提供する。
【解決手段】互いに対向する二部材2,8のうちの一方の部材2に取り付けられるとともに他方の部材8に密接するガスケット1であって、一方の部材2に取り付けられる取付部4と他方の部材8に密接するシール部5とを一体成形してなるガスケット1において、シール部5に、両方向シール性を備えるシールリップ6を設け、このシールリップ6の片側または両側に、一方向シール性を備えるシールリップ7を設けることにした。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密封装置の一種であるガスケットに係り、更に詳しくは、燃料電池用ガスケットまたはハードディスクドライブ(HDD)におけるトップカバー用ガスケット等として用いられるのに適したガスケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、燃料電池においては、その小型化・省スペース化が要求されるなか、その構成部品であるセパレータについても薄肉化が要求されており、特にセパレータがカーボンやカーボン含有樹脂等の脆性材料によって成形される場合には尚更、その破損を防止するために、ガスケットについて低反力化が要求される。
【0003】
これに対して、従来は、図7に示すように、ガスケットのリップ形状を薄肉化する(リップ51の厚さを例えば、同図(A)に示すdから同図(B)に示すdへと薄肉化する)ことにより低反力化を実現するのが一般的であるが、この場合にはセル組立時、上下のセパレータ52,53によってリップ51を圧縮したときに、リップ51に倒れ現象が発生し、これを原因として密封流体が漏洩する虞がある(リップ51が密封流体側(矢印x方向)へ倒れれば密封流体圧力によりセパレータ52に押し付けられるために或る程度のシール機能を確保することができるが、反対の大気側(矢印y方向)へ倒れるとシール機能を維持することができない、そして上記従来技術では、リップが方向性を持たない断面山形のビード状に成形されているため、倒れる方向を予め特定することができない)。
【0004】
また、リップ51が密接する相手面であるセパレータ52の表面には、以下の事情により、数μmないし数十μmの大きさの凹凸や段差等が形成されることがある。
▲1▼ 高充填カーボンセパレータでは、カーボン粒子の凝集粒界によって、表面の平滑性が損なわれ易い。
▲2▼ 射出成形で得られるカーボン系セパレータでは、ウエルドの形成によって、表面の平滑性が損なわれ易い。すなわち、導電性粒子を高充填した組成物の型成形において、特に導電性粒子に炭素繊維のような流動により配向し易い粒子が配合されている場合には、流れの先端部、流れ方向が変化している部分、流れが合流する部分において凹凸が形成され易い。
▲3▼ 成形型による成形では、パーティングラインによる段差が形成され易い。
▲4▼ ペレット成形では、ペレット痕による凹凸が形成され易い。
▲5▼ 機械加工では、ツールマークによる段差が形成され易い。
▲6▼ ハンドリングによって傷痕が形成されることがある。
▲7▼ カーボン系セパレータでは、反りやうねりが生じ易い。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−049949号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、低反力化の要求に応えることができ、リップに倒れ現象が発生してもシール機能を維持することができ、しかも相手面に微小な凹凸や段差等があってもシール機能を維持することができるガスケットを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のガスケットは、互いに対向する二部材のうちの一方の部材に取り付けられるとともに他方の部材に密接するガスケットであって、前記一方の部材に取り付けられる取付部と前記他方の部材に密接するシール部とを一体成形してなるガスケットにおいて、前記シール部に、両方向シール性を備えるシールリップを設け、前記シールリップの片側または両側に、一方向シール性を備えるシールリップを設けたことを特徴とするものである。
【0008】
上記構成を備えた本発明のガスケットにおいては、両方向シール性を備えるシールリップの密封流体側に一方向シール性を備えるシールリップが密封流体に向けて配置され、後者を一次シール、前者を二次シールとする複数段のシール構造が形成される。したがって、二次シールを構成する両方向シール性を備えるシールリップ(以下、二次リップとも称する)を薄肉化することによりそのシール性能が若干低下することがあってもその低下分を、一次シールを構成する一方向シール性を備えるシールリップ(以下、一次リップとも称する)が補完するためにトータル的に密封流体に対するシール機能を維持することが可能となる。
【0009】
また、上記により、二次リップはその薄肉化が許容されるため、組立後における反力を低下させることができる。また、一次リップは一方向性シール性を備えるものであって、例えば取付部から斜め方向に向けて一体成形されており、組立時、二部材によって挟まれると倒れ込むように弾性変形する。したがって上記従来のビード状リップがスクイーズ状に圧縮変形するのみであったのに対して、弾性変形し易く、よってこの二次リップは組立後における反力の低いものである。したがって、一次リップおよび二次リップとも反力が低いため、トータル的にガスケットの低反力化を実現することが可能となる。
【0010】
また、上記により、二次リップの低反力化が実現されるため、相手面に微小な凹凸や段差等があっても、二次リップがこれらに追随して相手面に密接する。したがって、これらの凹凸や段差等を原因とする密封流体の漏洩を抑えることが可能となる。
【0011】
尚、本件出願には、以下の実施形態が含まれる。
【0012】
(A) 燃料電池用セルシールに用いるガスケットでセパレータや電解質膜等の取付部材と一体化するガスケットにおいて、リップ先端を鋭角(先鋭)とし、リップの片側もしくは両側にリップを支える目的の圧力保持リップを配置したことを特徴とするガスケット。このようにリップ先端を鋭角(先鋭)とすることで、リップ体積が小さくなり変形し易くなることから低反力が実現され、かつ相手面の凹凸や段差等に追随し易くなり、リークが軽減できる。また、内圧やセット時でのリップの潰しによる倒れに対して、片側もしくは両側の保持リップにより倒れが防止され、かつ常に適正な面圧を得ることが可能となる。
【0013】
(B) 上記(A)項の圧力保持リップが片側のみの場合において、圧力保持リップ配置側がその反対側より鈍角となるようにリップ形状の頂角を設定したことを特徴とするガスケット。
【0014】
(C) 上記(A)または(B)項の圧力保持リップを、リップ先端頂角の体積を増やさずにリップの片側もしくは両側に配置したことを特徴とするガスケット。
【0015】
(D) 通常のセルシールには概略60〜90度のリップ頂角が使用される。これはセットされた場合、逃げが小さく反力が高くなるが、差圧発生時にリップ倒れを発生させないための設計形状となる。反力を下げるためには、リップ部の体積を低下させながら、セパレータ段差を吸収するには、リップ先端を先鋭にし変形し易く設計する必要がある。しかしながら、片側もしくは両側より、0.3〜0.5PMaの差圧が発生し、リップの倒れもしくは吹き抜け現象が発生することから、リップの片側もしくは両側にリップを支える目的の圧力保持リップを配置することで、リップ頂角を30〜60度と先鋭にすることが可能となり、そのためリップが変形し易くなることからセパレータ段差を吸収することが可能となり、倒れのない低反力を実現したセルシールとなる。
【0016】
(E) ガスケットの低反力化はリップ部の体積で決定されるが、リップ部の先端頂角を小さくすると内圧や取付時に倒れ易くなるため、内圧を受ける保持リップを設ける構造とした。また、土台の固定リップは先端頂角を小さくすることにより低反力とし、内圧に対する対応は倒れのあるリップが受ける構造とした。
【0017】
(F) ガスケットとセパレータは、溝への充填、接着または含浸等で一体化されるが、ゴム単体とプレートとを組み立てるようにしても良い。
【0018】
(G) 中心部に一体成形する場合においては、接着性のゴム材料と樹脂フィルムとで一体化を図る、またはガス拡散層にゴムを含浸して一体化を図るなどの方法が考えられる。この場合、樹脂フィルムとしては、PET、PENまたはPI等が利用される。
【0019】
(H) ガスケット材料は特に限定されないが、シリコーンゴム、フッ素ゴムまたはEPDM等が好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0021】
第一実施例・・・
図1は、本発明の第一実施例に係るガスケット1の断面を示しており、また図2は同ガスケット1の組付後(スタック組立後)の状態の断面を示している。当該ガスケット1は燃料電池用ガスケットとして用いられ、図上右側の空間に存在する水素、酸素または冷却水等の密封流体(図示せず)が図上左側の空間へ漏洩するのを防止するものであって、以下のように構成されている。
【0022】
すなわち先ず、当該ガスケット1を取り付ける取付部材(請求項1における一方の部材)としての一のセパレータ2が設けられており、このセパレータ2の一面2aに当該ガスケット1が一体成形、接着剤による接着、加硫接着または嵌着等の取付手段によって取り付けられている。
【0023】
ガスケット1は、所定のゴム状弾性体により成形されて、セパレータ2の一面2aに設けた取付溝3内に配置された比較的幅広の取付部4と、この取付部4に一体成形されたシール部5とを一体に有しており、このシール部5に、両方向シール性を備えるシールリップ6と、一方向シール性を備えるシールリップ7とが設けられている。後者の一方向シール性を備えるシールリップ7は前者の両方向シール性を備えるシールリップ6の片側に配置され、かつ密封流体側(図上右側)に配置されるので、以下、後者の一方向シール性を備えるシールリップ7を一次リップ、前者の両方向シール性を備えるシールリップ6を二次リップとも称する。
【0024】
二次リップ6は、ビード状を呈して両方向シール性を発揮するよう形成されており、またその先端部6aにおいて接触の相手方(請求項1における他方の部材)である他のセパレータ8の相手シール面8aに押し付けられるように形成されている。また、この二次リップ6のリップ先端角度θは30〜60度と比較的小さく形成されており、これによりその薄肉化および低反力化が実現されている。
【0025】
一方、一次リップ7は、密封流体側へ倒れ込んだ図上左右非対称の形状を呈して一方向シール性を発揮するよう形成されており、またその内面7aにおいて密封流体の圧力を受けてその外面7bにおいて他のセパレータ8の相手シール面8aに押し付けられるように形成されている。また、この一次リップ7の外面7bには、断面略三角形状を呈するリブ(微小リップとも称する)9が設けられている。
【0026】
上記構成のガスケット1においては、二次リップ6の密封流体側に一次リップ7が設けられて複数段(二段)のシール構造が形成されているために、上記したように二次リップ6を薄肉化することにより倒れ等が発生してシール性能が若干低下することがあっても、その低下分を一次リップ7が補完することが可能とされている(密封流体圧力を一次リップ7が受け、また密封流体を一次リップ7が一次的にシールするために、二次リップ6は予備的なものとされている。したがって少々のシール性低下が許容される)。したがって、ガスケット1全体としてはトータル的に密封流体に対するシール機能を維持することができる。
【0027】
また、上記したように二次リップ6は薄肉化されているために、組立後の反力が小さく設定されている。また、一次リップ7は一方向シール性を備えて取付部4から斜め方向に向けて一体成形されているために、図2に示したようにセル組立時、上下のセパレータ2,8によって挟まれて倒れ込むように弾性変形する。したがって従来のビード状リップが圧縮変形するのみであったのに対して弾性変形し易いために、組立後の反力が小さく設定されている。したがって、一次リップ7および二次リップ6とも反力が低く設定されているために、ガスケット1全体としてもトータル的に低反力化が実現されている。
【0028】
また、上記したように低反力化された二次リップ6は、相手シール面8aに微小な凹凸や段差等(図示せず)があっても、これらに追随して相手シール面8aに密接することが可能とされている。したがって、これらの凹凸や段差等を原因として密封流体が漏洩するのを抑えることができる。
【0029】
また、この微小な凹凸や段差等に対しては、一次リップ7の外面7bに設けられたリブ9もこれらに追随して相手シール面8aに密接することが可能とされている。したがって、このリブ9によってもこれらの凹凸や段差等を原因とする密封流体の漏洩を抑えることができる。
【0030】
第二実施例・・・
図3は、本発明の第二実施例に係るガスケット1の断面を示しており、また図4は同ガスケット1の組付後(スタック組立後)の状態の断面を示している。当該ガスケット1は燃料電池用ガスケットとして用いられ、図上右側の空間に存在する水素、酸素または冷却水等の密封流体(図示せず)が図上左側の空間へ漏洩するのを防止するとともに、図上左側の空間に存在する他の密封流体(図示せず)が図上右側の空間へ漏洩するのを防止するものであって、以下のように構成されている。
【0031】
すなわち先ず、当該ガスケット1を取り付ける取付部材(請求項1における一方の部材)としての一のセパレータ2が設けられており、このセパレータ2の一面2aに当該ガスケット1が一体成形、接着剤による接着、加硫接着または嵌着等の取付手段によって取り付けられている。
【0032】
ガスケット1は、所定のゴム状弾性体により成形されて、セパレータ2の一面2aに設けた取付溝3内に配置された比較的幅広の取付部4と、この取付部4に一体成形されたシール部5とを一体に有しており、このシール部5に、両方向シール性を備えるシールリップ6と、一方向シール性を備える図上左右一対のシールリップ7とが設けられている。後者の一方向シール性を備えるシールリップ7は前者の両方向シール性を備えるシールリップ6の両側に配置され、かつ各密封流体側に配置されるので、以下、後者の一方向シール性を備えるシールリップ7を一次リップ、前者の両方向シール性を備えるシールリップ6を二次リップとも称する。
【0033】
二次リップ6は、ビード状を呈して両方向シール性を発揮するよう形成されており、またその先端部6aにおいて接触の相手方(請求項1における他方の部材)である他のセパレータ8の相手シール面8aに押し付けられるように形成されている。また、この二次リップ6のリップ先端角度θは30〜60度と比較的小さく形成されており、これによりその薄肉化および低反力化が実現されている。
【0034】
一方、一次リップ7はそれぞれ、密封流体側へ倒れ込んだ図上左右非対称の形状を呈して一方向シール性を発揮するよう形成されており、その内面7aにおいて密封流体の圧力を受けてその外面7bにおいて他のセパレータ8の相手シール面8aに押し付けられるように形成されている。また、この一次リップ7の外面7bには、断面略三角形状を呈するリブ(微小リップとも称する)9が設けられている。
【0035】
上記構成のガスケット1においては、各密封流体に対して、二次リップ6の密封流体側に一次リップ7が設けられて複数段(二段)のシール構造が形成されているために、上記したように二次リップ6を薄肉化することにより倒れ等が発生してシール性能が若干低下することがあっても、その低下分を一次リップ7が補完することが可能とされている(密封流体圧力を一次リップ7が受け、また密封流体を一次リップ7が一次的にシールするために、二次リップ6は予備的なものとされている。したがって少々のシール性低下が許容される)。したがって、ガスケット1全体としてはトータル的に密封流体に対するシール機能を維持することができる。
【0036】
また、上記したように二次リップ6は薄肉化されているために、組立後の反力が小さく設定されている。また、一次リップ7はそれぞれ一方向シール性を備えて取付部4から斜め方向に向けて一体成形されているために、図4に示したようにセル組立時、上下のセパレータ2,8によって挟まれて倒れ込むように弾性変形する。したがって従来のビード状リップが圧縮変形するのみであったのに対して弾性変形し易いため、組立後の反力が小さく設定されている。したがって、一次リップ7および二次リップ6とも反力が低く設定されているために、ガスケット1全体としてもトータル的に低反力化が実現されている。
【0037】
また、上記したように低反力化された二次リップ6は、相手シール面8aに微小な凹凸や段差等(図示せず)があっても、これらに追随して相手シール面8aに密接することが可能とされている。したがって、これらの凹凸や段差等を原因として密封流体が漏洩するのを抑えることができる。
【0038】
また、この微小な凹凸や段差等に対しては、一次リップ7の外面7bに設けられたリブ9もこれらに追随して相手シール面8aに密接することが可能とされている。したがって、このリブ9によってもこれらの凹凸や段差等を原因とする密封流体の漏洩を抑えることができる。
【0039】
第三実施例・・・
図5は、本発明の第三実施例に係るガスケット1の断面を示しており、また図6は同ガスケット1の組付後(スタック組立後)の状態の断面を示している。当該ガスケット1は燃料電池用ガスケットとして用いられ、図上右側の空間に存在する水素、酸素または冷却水等の密封流体(図示せず)が図上左側の空間へ漏洩するのを防止するものであって、以下のように構成されている。
【0040】
すなわち先ず、当該ガスケット1を取り付ける取付部材(請求項1における一方の部材)としての高分子電解質膜電極複合体10が設けられており、この複合体10の端部10aに当該ガスケット1が一体成形、接着剤による接着、加硫接着または嵌着等の取付手段によって取り付けられている。
【0041】
ガスケット1は、所定のゴム状弾性体により成形されて、複合体10の端部10aに固定された取付部4と、この取付部4に一体成形されたシール部5とを一体に有しており、このシール部5に、両方向シール性を備える図上上下一対のシールリップ6と、同じく図上上下一対の一方向シール性を備えるシールリップ7とが設けられている。後者の一方向シール性を備えるシールリップ7は前者の両方向シール性を備えるシールリップ6の片側に配置され、かつ密封流体側(図上右側)に配置されるので、以下、後者の一方向シール性を備えるシールリップ7を一次リップ、前者の両方向シール性を備えるシールリップ6を二次リップとも称する。
【0042】
二次リップ6はそれぞれ、ビード状を呈して両方向シール機能を発揮するように形成されており、またその先端部6aにおいて接触の相手方(請求項1における他方の部材)である上下一対のセパレータ8の相手シール面8aに押し付けられるように形成されている。また、この二次リップ6のリップ先端角度θは30〜60度と比較的小さく形成されており、これによりその薄肉化および低反力化が実現されている。また、この二次リップ6の一次シール側斜面6bは反対側斜面6cよりも複合体10に対する傾斜角度が小さく形成されている。
【0043】
一方、一次リップ7はそれぞれ、密封流体側へ倒れ込んだ図上左右非対称の形状を呈して一方向シール機能を発揮するように形成されており、またその内面7aにおいて密封流体の圧力を受けてその外面7bにおいてセパレータ8の相手シール面8aに押し付けられるように形成されている。また、この一次リップ7の外面7bには、断面略三角形状を呈するリブ(微小リップとも称する)9が設けられている。
【0044】
上記構成のガスケット1においては、二次リップ6の密封流体側にそれぞれ一次リップ7が設けられて、上下それぞれにおいて複数段(二段)のシール構造が形成されているために、上記したように二次リップ6を薄肉化することにより倒れ等が発生してシール性能が若干低下することがあっても、低下分を一次リップ7が補完することが可能とされている(密封流体圧力を一次リップ7が受け、また密封流体を一次リップ7が一次的にシールするために、二次リップ6は予備的なものとされている。したがって少々のシール性低下が許容される)。したがって、ガスケット1全体としてはトータル的に密封流体に対するシール機能を維持することができる。
【0045】
また、上記したように二次リップ6はそれぞれ薄肉化されているために、組立後の反力が小さく設定されている。また、一次リップ7はそれぞれ一方向シール性を備えて取付部4から斜め方向に向けて一体成形されているために、図6に示したようにセル組立時、上下のセパレータ8によって挟まれて倒れ込むように弾性変形する。したがって従来のビード状リップが圧縮変形するのみであったのに対して弾性変形し易いために、組立後の反力が小さく設定されている。したがって、一次リップ7および二次リップ6とも反力が低く設定されているために、ガスケット1全体としてもトータル的に低反力化が実現されている。
【0046】
また、上記したように低反力化された二次リップ6はそれぞれ、相手シール面8aに微小な凹凸や段差等(図示せず)があっても、これらに追随して相手シール面8aに密接することが可能とされている。したがって、これらの凹凸や段差等を原因とする密封流体の漏洩を抑えることができる。
【0047】
また、この微小な凹凸や段差等に対しては、一次リップ7の外面7bに設けられたリブ9もこれらに追随して相手シール面8aに密接することが可能とされている。したがって、このリブ9によってもこれらの凹凸や段差等を原因とする密封流体の漏洩を抑えることができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0049】
すなわち、上記構成を備えた本発明のガスケットによれば、両方向シール性を備えるシールリップ(二次リップ)の密封流体側に一方向シール性を備えるシールリップ(一次リップ)が密封流体に向けて配置され、後者を一次シール、前者を二次シールとする複数段のシール構造が形成される。したがって、二次リップを薄肉化することによりそのシール性能が若干低下することがあっても、その低下分を一次リップが補完することができるために、トータル的に密封流体に対するシール機能を維持することができる。
【0050】
また、二次リップはその薄肉化が許容されるために、組立後における反力を低下させることができる。また、一次リップは一方向性シール性を備えるものであって、例えば取付部から斜め方向に向けて一体成形されており、組立時、二部材によって挟まれると倒れ込むように弾性変形する。したがって従来のビード状リップが圧縮変形するのみであったのに対して弾性変形し易く、よってこの二次リップは組立後における反力の低いものである。したがって、一次リップおよび二次リップとも反力が低いために、トータル的にガスケットの低反力化を実現することができる。
【0051】
また、二次リップの低反力化が実現されるために、相手面に微小な凹凸や段差等があっても、二次リップがこれらに追随して相手面に密接する。したがって、これらの凹凸や段差等を原因とする密封流体の漏洩を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係るガスケットの断面図
【図2】同ガスケットの組付後の状態を示す断面図
【図3】本発明の第二実施例に係るガスケットの断面図
【図4】同ガスケットの組付後の状態を示す断面図
【図5】本発明の第三実施例に係るガスケットの断面図
【図6】同ガスケットの組付後の状態を示す断面図
【図7】従来例に係るガスケットの断面図
【符号の説明】
1 ガスケット
2 セパレータ(一方の部材)
3 装着溝
4 取付部
5 シール部
6,7 シールリップ
6a 先端部
6b 一次リップ側斜面
6c 反対側斜面
7a 内面
7b 外面
8 セパレータ(他方の部材)
9 リブ
10 高分子電解質膜電極複合体(一方の部材)

Claims (1)

  1. 互いに対向する二部材(2)(8)のうちの一方の部材(2)に取り付けられるとともに他方の部材(8)に密接するガスケット(1)であって、前記一方の部材(2)に取り付けられる取付部(4)と前記他方の部材(8)に密接するシール部(5)とを一体成形してなるガスケット(1)において、
    前記シール部(5)に、両方向シール性を備えるシールリップ(6)を設け、
    前記シールリップ(6)の片側または両側に、一方向シール性を備えるシールリップ(7)を設けたことを特徴とするガスケット。
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