2018年5月、31歳と半年そこそこを迎えた。キリが良いわけでも、人生の転機を迎えたわけでもないこのときに、自分がこれまで培ってきた何かを言葉に残しておきたいと、ふと感じた。 わたしは、約4年前に博士号を授かり、研究者の端くれとして歩み始めた。今回は、その博士号を取るまでに培ったなかでも、研究者として最も大切に感じている事柄のひとつについて書き記したい。 それは、「言葉」というものに対する認識だ。 わたしは、研究者の仕事とは結局のところ「自らが発見した真理に対して、それを指し示す言葉を与える」ということだと考えている。 人類がこれまでに発見してきたとされる真理は、言葉を与えられることでその存在が認知されてきた。そして、まだ言葉の与えられていない真理が「知」の空間には無限に満ちている。わたしは、あくまでイメージとしてこれを「真理の海」というふうに捉えている。真理の海の中では、人類に発見される