オレの父は家庭内では理不尽な絶対的権威を振りかざしており、子供の頃からオレは全否定され続けてきた。両親の間で争いは絶えず、オレはどちらかの味方になることを常に強要された。そんなことから、ありのままの自分を全肯定されて受け入れられたい、と常に願うようになり、人の顔色を窺うことなく自由に自分の意志のみで行動したい、という望みを持っていた。 自分は天才なのだからいつかきっと、と無理矢理自分に言い聞かせたが、それでも常に劣等感に苛まれ、自分が最低の人間であるという思いもなかなか消えず、辛い学生時代を送った。 成人した頃、まったく幸運であったが、ありのままの自分を受け入れてくれる存在と出会った。この上なく幸せな気分であった。人生の中で生まれて初めて自分が認められ思い通りになったのだ。オレは有頂天になり調子に乗り徐々に傲慢になり、やがて慢心し、気づくとすべての仲間は去り、習得した技術も衰え、感覚も鈍り