文字を用いたクラブカルチャーの表現を試みるインスタレーションクラブイベント『文字とクラブ』が9月14日(土)、代官山〈Saloon〉にて開催される。2024年5月に京都〈CLUB METRO〉で開催された『第1回 文字とクラブ』が反響を呼び、2度目の開催が東京で決定した。 本イベントの特徴は、タイポグラフィとクラブミュージックの共通性に着目していることにある。文字の配列を通して見る者の視覚に訴えかけるタイポグラフィと、楽曲の中で音を配列することでグルーヴを創り出すクラブミュージック。映像演出とDJのプレイが連動することにより、この掛け合わせが実現する。音楽と映像を組み合わせたライブパフォーマンスやインスタレーション自体は珍しいものではないが、文字と音楽の掛け合わせという観点は非常に新鮮といえる。 クラブは、不特定多数が集まる上に、ライブハウスに比べてそれぞれの過ごし方の自由度が高いため、非
オルタナティヴな夜の社交生活が東京でいちだんと活発化したのは、悪名高き1992年の夏を過ぎてから1〜2年後のことだった。アンダーグラウンド ・パーティの足場は築かれ、ナイトクラブ文化はドラスティックに変わろうとしていた。なによりも音楽、世代、着る服、踊り方、それ以外のすべても。踊るためにひとは集まり、朝が来て、明け方の、あのいい感じで汚れた渋谷の街を駅に向かって歩く足が軽かったのは、みんなまだ若かったからだ。20代後半のぼくがシーンのなかでは年上だったのだから、いかに若かったことか。 音楽の主役はテクノ/トランス。街の支配的なナイトクラブ文化も、ディスコの徒弟制も、ほとんどの音楽メディアもそのことをまだ知らなかった。まあ、これは一笑に付していただきたい話だが、ぼくたちはアニエスベーで気取った渋谷系とは違う惑星にいたわけだ。なにしろこちとら「808」と書いてあるTシャツだったりする。こりゃあ
クラフトワークの共同創設者、フローリアン・シュナイダーが2020年4月21日に73歳で亡くなった。ドイツが生んだテクノのパイオニアは、後世のポップミュージックにどんな影響をもたらしたのか? ele-king編集長の野田努が解説する。 ※この記事は『CROSSBEAT』2013年6月号に掲載されたものです。 ※2024年2月9日追記:クラフトワークがFUJI ROCK FESTIVAL'24に出演決定。詳細は記事末尾にて 「ロボット」という永遠のコンセプト そのときの衝撃は、30年以上経ったいまでも鮮明に覚えている。僕は中学生で、ラジオで初めてクラフトワークを聴いた。「Showroom Dummies」という曲だった。到底、この世界の音楽とは思えなかった。いままで聴いたことのない何かに感じた。その翌年、『The Man-Machine』が発売された。僕が最初に買ったクラフトワークのアルバムだ
「ジャングル/ドラム&ベースの始まりを辿ると、ふたつのカルチャーが源流にあることがわかる。ひとつは、90年代初頭にアシッド・ハウスに代わりハードコア・ブレイクビーツが主役に踊り出たレイヴ・カルチャー。もうひとつは、ジャマイカ移民が持ち込んだレゲエのサウンド・システム・カルチャー。このふたつがレイヴ・シーンの中で交錯して生まれたハイブリッド・ミュージック、それがジャングルだ」 『ベース・ミュージック ディスクガイド』 ニア・アーカイヴスはジャングルの申し子である。それは彼女がシャイFXやコンゴ・ナッティ、ロニ・サイズといったレジェンドたちと共演したこと、そして彼女自身がデビュー当初から、ジャングルにこだわり続けて楽曲をリリースし続けているだけが理由ではない。ニアがイギリス人とジャマイカ人のハーフであるという血統的事実がそのまま、ジャングルという音楽ジャンルの成り立ちと静かに重なり合っていると
時は1977年。ブライアン・イーノとデヴィッド・ボウイは、ベルリンで『Heroes』の制作に勤しんでいた。そんなある日、イーノは新発売の7インチ盤を興奮気味に掲げながらスタジオに駆け込み、ボウイにこう熱く語った。 「このシングルはこの先15年のあいだ、クラブ・ミュージックのサウンドを一変させるよ」 そのシングルこそがドナ・サマーの「I Feel Love」だった。彼の言葉は確かに正しかったが、このコメントには2点の訂正が必要だ。つまり、“この先15年のあいだ”を“永久に”、そして“クラブ・ミュージック”を“あらゆる音楽”に変える必要があったのだ。 <関連記事> ・夫ブルース・スダノが語るドナ・サマー「私の知る限り、誰よりもすばらしい人物」 ・ドナ・サマーの新EP『Any Way At All』が“国際女性デー”にあわせて配信 ジョルジオ・モロダーとピート・ベロッテ ドナ・サマーは、プロデュ
日々是躍動三昧!クラブミュージック・リビューサイト“日々是躍動三昧!”へようこそ。 当サイトは90sテクノやトランスを中心に、クラブミュージックを紹介しています。 毎度様です。 ここ1週間ずっとパワーポイントでスライドを作成していまして、先日ようやく完成しました。 初めて作ったし実用性も皆無なので、それこそパワーポイントを作ること自体が目的になってしまっている本末転倒な代物ですが、取り敢えず終わってくれて良かったです。しかし、連日何時間もモニターを凝視しているせいで、ずっと眼痛と頭痛の抜けない日々が続くことになってしまったのでした。 今もまだ痛むのですが、ブログを放置するのはやぶさかでは無いし、我慢して文字を打っていきます。 さて、今回のお題目は… 1980年代末にアメリカからヨーロッパ中に広がったアシッド・ハウスの影響で、ファンク・バンドのべーシストからクラブ・ミュージックへと転身したベ
ゲーム音楽を追ってきた耳にとって、最初に大きなインパクトがあったのはLFOをはじめとするブリープ・ハウスでした。ものすごく音がそぎ落とされているところに、大昔のゲーム音楽や後のチップチューンに繋がるものを感じましたし、当時テクノ・ハウスと呼ばれていたものとも違う新しい波も感じていました。ただそのときはまだ〈Warp〉というレーベルを意識していたわけではなかったんです。 90年代初頭はクラブ系のテクノの知名度が日本でも高まってきた時期ですが、その頃いわゆるハードコアが中心だったところに、正反対ともいえるアンビエント志向のものが出てきた。正直なところ最初はピンと来なかったんですが、それでも新しさに惹かれて追いかけていくなかで、最初に愛聴したのは〈Apollo〉から出ていたエイフェックス・ツインの『Selected Ambient Works 85-92』(92)だったかな。それを経て『Arti
「デトロイト・テクノの名曲 TOP20」を英国の新聞ガーディアン紙が発表しています。 デトロイト・テクノの始祖、ホアン・アトキンス(Juan Atkins)のサイボトロン(Cybotron)が28年ぶりの新曲を引っ提げて帰ってきたことを祝して企画されています。 (写真はデトロイト・テクノのドキュメンタリー映画『God Said Give’em Drum Machines』) 20. Eddie Flashin’ Fowlkes – Time to Express (1989) 19. DJ Bone – Cultural Variance (2014) 18. Blake Baxter – When We Used To Play (1987) 17. Kenny Larkin – Azimuth (1994) 16. The Martian – Star Dancer (1992) 15
2022年6月17日、人気ラッパーのDrakeが7thアルバム『Honestly, Nevermind』をリリースしました。同作のほとんどの曲でハウスの要素が取り入れられていたことに注目が集まったのは、記憶に新しいところです。 またその翌週にはR&BシンガーのBeyoncéも、90年代のハウスクラシックとして知られるRobin S.の「Show Me Love」をサンプリングした新曲「Break My Soul」をリリースしました。 現在のポップ・シーンを代表するトップアーティストが同じタイミングでハウスを取り入れたことに衝撃を受けた音楽ファンは多いと思いますが、海外メディアの中にはそのアプローチを「90sハウス・リバイバル」的なものとして捉える向きもあります。今年はすでにフレンチハウスや2000年代のダンスポップ系エレクトロハウスがリバイバルする気配がありましたが、ここにきて新たにクラシ
西村公輝(監修)猪股恭哉+三田格(協力) 2023/6/6 本体 2,700円+税 ISBN:978-4-910511-48-1 Amazon 始めにハウスありき…… 全音楽ファンが知っておくべき、 ハウス・ミュージックの名盤900枚以上を紹介! 監修・執筆:西村公輝 編集協力・執筆:猪股恭哉/三田格 執筆:野田努/Nagi/島田嘉孝/DNG/Alex Prat/板谷曜子(mitokon)/Midori Aoyama/Shhhhh/Alixkun/水越真紀/SISI/小林拓音/木津毅 cover photograph by Bill Bernstein 装丁:真壁昂士 A5判/並製/オールカラー/304ページ contents 改訂版序文 (西村公輝) CHAPTER 1 Disco 1974–1983 CHAPTER 2 Chicago House 1984–1987 CHAPTER 3
立体音響でダンスミュージックはどう変わる? “テクノゴッド” Ken Ishiiが探るその可能性【インタビュー】 インタビュー ダンスミュージック 最新テック 2021年より、Amazon Music Unlimited、Apple Musicなど[※]で提供が開始され、日本でも徐々に身近になりつつある立体音響による音楽リスニング体験。 2022年5月には、日本におけるテクノシーンのパイオニアであり、”東洋のテクノ・ゴッド”として知られるテクノDJ/プロデューサーのKen Ishiiさんが、いち早くソニーの360立体音響技術を用いた新しい音楽体験・360 Reality Audioにリミックスした過去作品をリリース。7月には新曲「Liver Blow」を同フォーマットでリリースするなど、ダンスミュージックの分野から立体音響にアプローチするという新たな試みを行っています。 今回Soundma
きく2022.01.19 宇宙名盤 vol.10 ホアン・アトキンス。 text: Katsumi Watanabe 国内外問わず、宇宙や星をモチーフにした楽曲やアルバムはたくさんある。確かに、まだ見ぬ惑星に想像を膨らませるし、美しい星空はラブソングのテーマにぴったりだ。 しかし、海外の宇宙をテーマにした作品を調べてみると、音楽家のバックグラウンドや社会的、文化的な背景なども色濃く反映されていることがわかった。この連載では、宇宙をテーマにしたアーティストとジャケットを中心に調べてみよう。 今回は、アメリカポップス史上初のエレクトロファンク「Clear」(1983年)を発表したサイボトロンを解散させた後、デトロイトからテクノを発展させたホアン・アトキンス、デトロイトテクノの宇宙的なサウンドについて。 ピアノの美しい旋律と、シンセサイザーの荘厳なストリングス、そしてパーカッションの効いたビート
きく2022.01.06 宇宙名盤 vol.9 デトロイト・テクノ。 text: Katsumi Watanabe 国内外問わず、宇宙や星をモチーフにした楽曲やアルバムはたくさんある。確かに、まだ見ぬ惑星に想像を膨らませるし、美しい星空はラブソングのテーマにぴったりだ。 しかし、海外の宇宙をテーマにした作品を調べてみると、音楽家のバックグラウンドや社会的、文化的な背景なども色濃く反映されていることがわかった。この連載では、宇宙をテーマにしたアーティストとジャケットを中心に調べてみよう。 今回はクラフトワークなどの電子音楽、はたまたSF的映画や経済書から影響を受け、アフリカ・バンバータ「Planet Rock」以前に、アフリカンアメリカン初のエレクトロファンク「Clear」を発表していたデトロイト・テクノ界を代表するサイボトロンについて。 1970年代後半のアフリカンアメリカンのDJたちは、
ベルリン市内の、わりと街中の古いアパートメントの一室だったマニュエル・ゲッチングの家を訪れたのは、1995年7月のことだった。「外が騒がしくて申し訳ないね。ちょうどこの週末はラヴパレードをやっているから。ふだんのベルリンはもっと静かなんだけどね」と彼は苦笑しながら、日本から取材にやって来た数名を部屋に迎えい入れてくれた。「いや、ぼくらはそのラヴパレードのためにベルリンに来たんです」と正直に即答できなかったのは、それをあまり良きモノとは捉えていないのであろうゲッチングの表情を見てしまったからである。言うまでもなく当時彼の作品を強烈に欲していたのは、ラヴパレードの根幹にあるハウス/テクノの聴衆だったのだけれど。 すでにこの頃、ハウス/テクノの文脈で再評価された70年代以降のドイツのロックはいろいろあった。『フューチャー・デイズ』や『ゼロ・セット』、クラスターやハルモニア、初期のポポル・ヴーやタ
活動50周年を経た今なお、日本のみならず海外でも熱烈な支持を集め、改めてその音楽が注目されている細野晴臣。音楽ナタリーでは、彼が生み出してきた作品やリスナー遍歴を通じてそのキャリアを改めて掘り下げるべく、さまざまなジャンルについて探求する連載企画「細野ゼミ」を展開中だ。 ゼミ生として参加しているのは、氏を敬愛してやまない安部勇磨(never young beach)とハマ・オカモト(OKAMOTO'S)という同世代アーティスト2人。毎回さまざまなジャンルについてそれぞれの見解を交えながら語っている。10コマ目のテーマとしてピックアップするのは「テクノ」。Yellow Magic Orchestra(YMO)のメンバーとしてテクノを世界に普及したと言っても過言でもない細野は、このジャンルをどう捉えているのか。安部とハマの持つテクノのイメージとは? 複数回にわたる記事の前編では、それぞれの率直
はじめに・ご挨拶今は無くなってしまったテクノミュージックレコードショップ【テクニーク】スタッフ、冨永、須貝です。 渋谷でダンスミュージック専門のレコードショップとして営業し、特にテクノの品揃えは日本最大級。それ以外にもハウス、ディスコ、実験的なエレクトリックミュージックまで多くのジャンルの音楽を取り揃え、国内外のトップDJから音楽マニア、ヴァイナルジャンキーまで足繫く通う老舗ショップとして長らく多くのお客様からご愛顧頂いておりました。 2022年7月某日、西新宿の事務所に出勤した私達スタッフは突如、株式会社エナジーフラッシュが倒産、全員解雇となりテクニークが無くなる事を告げられました。 このページをご覧になっている方の中にも、営業が行われなくなった事に対する戸惑いや怒りや悲しみ、テクニークがどうなったのか知りたいという方がいらっしゃるかもしれません。 大変申し訳ございません。 流行り病の影
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