プラトンは自己抑制について、素晴らしいことを言ひ、内面の統制は貴族的でなければならないことを示してゐる。つまり、優れたものが劣るものを統治するのだ。「優れたもの」で彼がさしたのは、私達の一人ひとりが内に持つ、知り、理解する力である。私達の内にある民衆、それは怒りであり、欲望であり、欲求だ。私はプラトンの『国家』を読んで欲しいと思ふ。それについておしやべりをするため、つまり、普通に言はれてゐるところを再確認するためではなく、自らを統治する術を学び、自らの内に正義を打ち立てるために。 彼の主な考へは、かういふものだ。人が自らをうまく統治できれば、さうしようと考へなくても、他人のためにも善き人、役に立つ人になる。これは全ての倫理の理念だ。それ以外は、野蛮人の取締りに過ぎない。諸君が恐怖といふ手段だけで、人々が争ひを避け互ひに助け合ふやうにすれば、確かに国の中にある種の秩序を築いたことになる。しか