『会社は誰も平岡に、会社に残って欲しいとは頼んでいないよ。』これはぼくが社会人1年目の頃に、上司に言われた言葉だ。それもずっとずっと役職が上の上司に。 新卒入社した会社の本社は東京・六本木。「東京で働くんだ。」そんな希望と憧れを持って大阪から出てきた。研修で仲の良い同期ができた。東京の電車にも、人の多さにも少し慣れてきた。 研修が終わって配属の内示で言い渡されたのは、縁もゆかりもない名古屋営業所だった。 会社で決まったことだから仕方がないこと。頭では理解できても、心では納得していなかった。 「採用時に東京勤務と聞いていたのに」 「採用部と事業部の連携ができていない結果だ」 「本人の意向が一切配慮されていない」 いかにも正論のように会社を批判することは簡単だった。地方配属になった新入社員の愚痴を、ほとんどの人は同情をもって聞いてくれた。 そんなときに上司との1on1で言われたのが、冒頭の言葉