C.H.ダグラスが提唱するベーシックインカムにしても、シルビオ・ゲゼルが提唱する減価貨幣にしても、一般人受けする分かりやすいアイデアなので、私のような経済学の素人でもこれについて何か言えそうな気にさせられますが、当然のことながら分かりやすさということと、実現のしやすさということはまったく別ものです。ゲゼルの著作を読むと、この人がいかに過激な革命思想家だったかに驚くことがあります。ゲゼルはマルクスにむき出しの敵意を抱いていました。彼は単に減価貨幣というものの理論的効能を説いただけではありません、一国の通貨を丸ごと減価貨幣(自由貨幣)に転換し、全国の土地をすべて国有地(自由土地)にするというのが彼の改革プログラムでした。その背景には燃えるような理想主義と人類愛とがあって、それがこの人の思想の魅力なのですが、一方で経済学の正統派からは非現実的なユートピアンのように扱われて来たのも事実です。ダグラ