かねて静かに温めていた、起業への思い 「順調にいけば卒業は2000年。2000年問題もあることだし、就職に困ることはないだろうなどと、のんきなことを考えていました」 いたずらっぽく微笑みながらこんなことをいうが、ジョークに決まっている。実のところは当時から、起業への思いを温めていたようだ。紙問屋を営む家で育った彼は、小さくとも自分の会社を作った方が好きなことができるし、いい暮らしもできることを知っていた。だからサラリーマンになるつもりは、基本的になかった。 在学中に「サーチエンジンGoogle」という論文を書いたことも、起業への意欲を大いに励ますきっかけになったという。 後に学会の賞を受けたこの論文は、技術論だけでなく、むしろスタンフォード大学の学生2人が30億円という資金を集め、起業にこぎつけるまでのプロセスに紙幅を割いたことで脚光を浴びた。当時はGoogleも、起業したラリー・ペイジと