ヤンキースからFAとなったフアン・ソト外野手(26)が、メッツに移籍した〝決め手〟となったのはスイートルームや「家族サービス」にあったのではと24日(日本時間25日)、米メディアで報じられた。

 プロスポーツ史上最高額となる15年総額7億6500万ドル(約1147億5000万円)でメッツがソトの獲得に成功。同じニューヨークを本拠にするヤンキースも16年総額7億6000万ドル(約1140億円)でメッツに遜色のないオファーをしたが、再契約を逃した。

 ソトが決断した裏に何があったのか。米紙「ワシントン・ポスト」のジョン・ヘイマン記者によると、「メッツはソトの家族にスイートルーム以上のものを提供」と見出しをつけて報道。メッツは選手契約ではめったにみられないような超異例の「家族特典」を提供したという。

 これまでの報道では15年間のシティ・フィールドでのスイートルームの「プレミアム」チケット4枚と家族の警備が含まれていたことが判明していたが、それだけではなかった。同紙が入手した契約概要によると、「ホームゲーム全試合の豪華なスイートルームのプレミアムシート4席とソトの家族の警備。ビジターでの選手と家族の警備。さらに家族向けサービス」を受けることになっているという。

 この「家族向けサービス」が何を示しているかは明らかにされていないが、ソトやその家族が飛行機の補助金や衣服を受け取るなど、きめ細かな〝おもてなし〟とみられる。

 同紙によると、ヤンキースはメッツに劣らぬ金額を提示したものの、ヤンキー・スタジアムのスイートルームを条件に含めることは断っていた。それを追加しなかったのはヤンキース最大のスター選手であるアーロン・ジャッジ外野手や現役時代のデレク・ジーターがヤンキー・スタジアムのスイートルームにお金を払っていたという前例があるから。ソトにだけ年間100万ドルにもなるスイートルームを無償化する特例を認めるわけにはいかなかったようだ。

 ちなみにシティ・フィールドのスイートルーム料金は、試合日と対戦相手によるが1試合3250ドル~1万3000ドルという。

 ソトを巡っては、ヤンキー・スタジアムの警備員が家族とシェフ兼運転手を特定エリアから締め出したことに憤慨したとも報じられたが、これはソト本人も否定。ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMもウインターミーティング中に「そんなことが起きないと言っているわけではないが、そんなに大きな問題なら(代理人の)スコット・ボラスから話を聞いていたはずだ。本当にそうだったのだろうか」と改めてこれらの〝事件〟を否定したが、メッツにスイートルームや「家族サービス」の差でソト争奪戦に敗れたとしたら何ともやり切れない思いだろう。