[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

試作機

登録日:2011/06/16(木) 22:12:50
更新日:2024/10/03 Thu 10:42:54
所要時間:約 7 分で読めます





量産機専用機、戦艦や大型兵器等、不特定多数の「色」が混じり、潰しあう戦場。
その中に、歪な姿を晒しながらも必死で生き残ろうとする機体が居た。「多大な戦果を挙げ、自分の能力を認めてもらう」
と言う目標を持って。

「自分の存在を後世に伝える」為に。

そんな目標を持って頑張る彼ら彼女らは、試作機と呼ばれる、未来の戦力……になるかも知れない機体である。



■試作機あれこれ

専用機にも多数の種類があったように、試作機にも種類がある。フィクションでは

1つは、「新たな戦力の量産化をふまえ、問題点を洗い出すために試験的に生産(≠配備)された物」
大量生産した後に不具合が出たらシャレにならないので後に量産する予定のものと 同じ 試作機を作って
試験運用しても問題がなければ同じものを量産するが、普通は不具合が発見され、修正が何度も入る。

もう1つは、「新たな武装や新機能をテストする為に制作された物」

さらに、「能力の限界や、機体がパイロットや環境に与える影響等を実験する為の物」

等がある。
しかし、その全てが「何かを実験する」点で共通している。
現実では1つ目のみを「試作機」といい、後者2つは一般に「実験機」や「理論実証機」と呼ばれる。
多くの場合、形式番号に前者は「Y*1、後者2つは「X*2が入るため区別は容易だろう。

また民間では1つ目を「量産先行機」と呼んだり、1つ目と2つ目両方の性質を持たされていることの珍しくない「コンセプトカー」…自動車メーカーによる試作車という習わしがあったりと、実は明確な量産仕様との差異をわざと曖昧にしているケースも存在する。
公共性の高い乗り物であればそのまま実戦投入することが珍しくない*3、自動車におけるコンセプトカーの場合はそもそも作ることそのものが企業の広報・広告の色もあることから、あまり正式な販売版と離すのもよろしくないとそれぞれに理由があるのだ。
特にコンセプトカーについては、内装や駆動系がついていないだけでほぼ販売版のデザインは完成しているケースも珍しくない。国内だとスバル・BRZのコンセプトカーには販売版とほぼ同じ外装デザインの個体がある*4




■それぞれの歩む道

1つ目の機体は敵軍の機体に多く、まず敵軍のエースパイロット達に渡され、新型の脅威を主役側の陣営に知らしめる。
その後、パイロットに気に入られた場合、専用機に改造、さらに主役側を圧倒する事になる。

その活躍もあり、正式に生産される訳だか、今度は新たなやられ役として活躍する……活躍?
実際は強化改修されてる筈だが、恐らくパイロットの名有りとモブ補正有り無し練度の差だろうか?


それに対して2つ目の機体は、主役級のキャラの搭乗機になりやすく、しかも試験やテスト運用が終了した後にも搭乗され、そのまま専用機に昇格する事も。

また、このタイプの機体に搭載された装備や機能を巡って物語が進んでいく事もある。主役機に抜擢される、物語の鍵になる等、最も優遇されている。
また、このタイプから量産機が作られる場合、性能のデチューンや、一部装備のオミット等、試作機よりも弱体化させてコスト削減を図る事が多い。
もちろん『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ』のストライカーパック・シルエットシステム、というか「必要な時に必要な部分・不必要な部分だけ付け替えればいいんじゃない?」という考え方のように、作中ではむしろものすごく普及するケースもある。


最後に3つ目の機体だが、
主にデータの収集が目的であり、あまり戦闘に対しては考慮されておらず、データの収集が終了次第、バラされるか、倉庫で埃をかぶるかの運命を辿る事が多い。
しかし、戦力不足や緊急時等の際、何らかの形で戦場の表舞台に立ったり、専用機に選ばれたり、その後に見直され量産化したりする等、
大出世を遂げる事も。
また、収集したデータから、その機体の流れを汲む新たな機体が制作された場合、その機体のプロトタイプ兄弟機として扱われる。


■栄光の陰に

さて、これら試作機全てに専用機化や量産化等のチャンスがある。
しかし、残念な事に、中にはチャンスを掴めず、歴史に埋もれてしまった機体も存在する。
理由は様々で、

  • 機体に致命的な欠陥が発覚(暴走や空中分解等)。
  • 機体性能が微妙。
  • 生産のコストが高い。
  • 主力量産機とパーツに互換性がない。
  • 高い性能にパイロットがついていけない(反応が敏感過ぎる高過ぎるG多彩な機能を使い分けられないなど)。
  • 運用出来る場が限られる。
  • 軍の戦術・戦略構想に合わない。
  • 同時期に生産された機体とのコンペティションに
  • 政治介入による工作
  • 設計や運用される前に生産ラインを攻撃される。
  • テスト中にパイロット死亡事故が起こる。
  • 武装が変態過ぎる。
  • 同時期に別方針で作られた技術がトレンドとなってしまった。
  • そもそも役立たずだった
  • そもそも初めからデータ収集用として作られており実戦運用や量産化など眼中に無かった。

等の理由が挙げられる。
中には、存在した事自体を抹消されてしまう機体も存在する。
どんなに性能が良くても、どんなに活躍しようとも、どこぞのお偉いさんの、

「鶴の一声」

によって歴史の闇に葬られ、消し去られてしまうのだ。
開発者にとっては散々である。

しかし……しかしである。
機体が失われても、存在した事がなかった事にされたとしても、「技術」「経験」は失われる事はない。
そして何より、その機体に乗ったパイロットや制作に関わったスタッフにはその機体への「忘れられない思い出」が残るのだ。







【主な試作機】

<フィクション>
ガンダムガンキャノンガンタンクアッザムザクレロギャンジオングなど(機動戦士ガンダム)※ガンダムシリーズではガンダムタイプMSの多くが該当する
ガンダムMk-Ⅱ百式メタスΖガンダムアッシマーギャプランガブスレイハンブラビキュベレイなど(機動戦士Ζガンダム)
ΖΖガンダムバウザクⅢなど(機動戦士ガンダムΖΖ)
リ・ガズィヤクト・ドーガ(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
ガンダムNT-1(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争)
ガンダム試作1号機等のガンダム開発計画で造られた機体(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
ガンダムF91フォーミュラ計画で開発された機体の幾つか(機動戦士ガンダムF91機動戦士ガンダムF90)
シャッコーリグ・コンティオなど(機動戦士Vガンダム)
トールギス(新機動戦記ガンダムW)
ヒルドルブヅダ(機動戦士ガンダム MS IGLOO)
ガンダムTR-1[ヘイズル]など(ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗の下に)※ヘイズルは元はジム
ストライクガンダム等のGAT-Xシリーズ、プロヴィデンスガンダムなど(機動戦士ガンダムSEED)
アストレイシリーズドレッドノートガンダムハイペリオンガンダムシグー・ディープアームズなど(機動戦士ガンダムSEED ASTRAY)
インパルスガンダム等セカンドステージシリーズ、ザムザザーなど(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
スターゲイザー(機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER)
オーガンダムティエレンタオツーマスラオ/スサノオなど(機動戦士ガンダム00)
ガンダムアストレア等のCB第2世代ガンダムユニオンブラストなど(機動戦士ガンダム00外伝)
ブレイヴ(劇場版 機動戦士ガンダム00-A wakening of the Trailblazer-)
レコードブレイカー(機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人)
サウザンド・カスタム全般(機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト)
ユニコーンガンダムなど(機動戦士ガンダムUC)
シナンジュ・スタインガンダムデルタカイなど(機動戦士ガンダムUC-MSV)
モビルワーカー01式、ヴァッフ、ブグ、ガンキャノン最初期型など(機動戦士ガンダム THE ORIGIN)
エルフ・ブル、ビフロン、アーマーザガン、ガイトラッシュなど(ガンダム Gのレコンギスタ)
ナラティブガンダム(機動戦士ガンダムNT)
F89MSA-0120(機動戦士ガンダムF90 FastestFormula)
ダリルバルデガンダム・ルブリス、ガンダム・キャリバーンなど(機動戦士ガンダム 水星の魔女)
VF-X(超時空要塞マクロス)
YF-19YF-21ゴーストX-9(マクロスプラス)
VF-0 フェニックス、プロトタイプ・モンスターなど(マクロスゼロ)
YF-25 プロフェシーYF-29 デュランダル(劇場版マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜)
YF-30 クロノス(マクロス30 銀河を繋ぐ歌声)
ストライクドッグ(装甲騎兵ボトムズ)
ブラッドサッカー(装甲騎兵ボトムズ ザ・ラストレッドショルダー)
ダンバイン、ゲド、バストールなど(聖戦士ダンバイン)
アモンデュール・スタック、ヌーベルディザード(重戦機エルガイム)※スタックは後にエルガイムMk-Ⅱに改修される
レイズナー、バルディ、ベイブル、ザカールなど(蒼き流星SPTレイズナー)
D兵器、ファルゲン、ゲイザム、ギルガザムネなど(機甲戦記ドラグナー)
カゲロウ(勇者警察ジェイデッカー)
エヴァンゲリオン初号機エヴァンゲリオン零号機(新世紀エヴァンゲリオンヱヴァンゲリヲン新劇場版)
アーバレスト、ファルケ(フルメタル・パニック!)
ティターンモデル(蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT)
ランスロットガウェイン(コードギアス 反逆のルルーシュ)
月虹影(コードギアス 復活のルルーシュ)
プロトゲッター(ゲッターロボシリーズ)
マジンカイザー(マジンガーシリーズ)※媒体によってはマジンガーZの改造機だったり、Zやグレートより後から作られた機体だったりする
エネルガーZ(真マジンガー 衝撃! Z編)
テレスターレ、ツェンドルグ(ナイツ&マジック)
ゲシュペンストヒュッケバイン、ビルトラプター、Rシリーズグルンガスト零式など(スーパーロボット大戦シリーズ)
バイパー540SH、プロトスラッシャー(電脳戦機バーチャロンシリーズ)
ゼプツェン(ゼノギアス)
YF-23 ブラックウィドウⅡ(マブラヴ オルタネイティヴ)
HMX-12マルチ(ToHeart)*5
ブルース(ロックマンシリーズ)


<リアル>
性質上「実験機」パターンが多いが、先述したようにこちらでも「量産検討用のお試し」パターンも存在する。
下に挙げたもので言えば新幹線N700系や同N700S系はこちらで、類似の立ち位置の編成は東北系統の新幹線の車種にも存在している(400系、E3系秋田新幹線用編成など)。

特殊攻撃機 橘花
局地戦闘機 秋水
局地戦闘機 震電
1000形新幹線電車
951形新幹線電車
961形新幹線電車
962形新幹線電車
500系900番台新幹線電車『WIN350』
952・953形新幹線電車『STAR21』
955形新幹線電車『300X』
N700系9000番台新幹線電車(→Z0編成→N700A系X0編成)*6
N700S系9000番台新幹線電車(現J0編成)
E954/E955形新幹線電車『FASTECH360S/FASTECH360Z』
E956形新幹線電車『ALFA-X』
E991系交直流試験電車『TRY-Z』
E993系直流試験電車『ACトレイン』
E995系直流試験電車『NEトレイン』
DE50形ディーゼル機関車
EF200形直流電気機関車
EF500形交直流電気機関車
ED500形交直流電気機関車
プロトタイプRX-8『ゴキブリカー』(日本)
ホンダ・S360(日本)*7
パンジャンドラム(イギリス)
Bv141(ドイツ)
XB-70(アメリカ)
変態銃(世界各国)




追記・修正はコンペディションに勝利、または試作機で重大な事故を起こしてからお願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ロボット
  • 鉄道
  • 試作機
  • 実験機
  • 主人公機
  • プロトタイプ
  • ロマン
  • 漢のロマン
  • ガンダム
  • ヅダ
  • ヒュッケバイン
  • バニシングトルーパー
  • GP01
  • GP02
  • YF-XX
  • トールギス
  • ブレイヴ指揮官用試験機
  • ロボット項目
  • 時代
  • 不遇
  • 優遇
  • アーキタイプ
  • 採算度外視
  • みんな大好き
  • 欠陥はステータス←創作では
  • 欠陥
  • 乗り物
  • 男の子ってこういうのが好きなんでしょ?

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年10月03日 10:42

*1 実在機ではYF-23ブラックウィドウⅡ、架空機ではYMS-07Bラル専用グフなどが該当

*2 実在機ではベルX-1、架空機ではRX-77-2ガンキャノンなどが該当。ガンダムの作中設定でも、ガンプラ説明書などで「RXナンバーになっている機種は実験機」と言及されることもある

*3 つまり、あまりに量産決定版との違いが大きいと不都合が出る。新幹線車両は基本的にこれ

*4 2つめのみが無いわけではなく、マツダ・風籟のようにメーカー側も「こいつを量産するわけではない。文字通り『実物を作っての実験』」としているコンセプトカーや、「量産よりもデザイン上の実験、社会的な新世代の考え方の取入れがメイン」としている日産・IDxのようなコンセプトカーも普通にいるが

*5 本人は「試作機」を自称しているが、形式番号の「X」や感情を再現したAIという新機軸の機構の存在から実際は実験機ではないかと推測される。

*6 リニア・鉄道館に展示されているのはこの編成からの個体。

*7 モーターショー出品時は「量産検討車」だったが、実際には「実験車」となったケース。結局S360はボツになり、再度ブラッシュアップをかけたS500が、そしてさらに未来ではこの兄弟のコンセプトを受け継ぐS2000やS660が市販された。