俺が始めて鬼ティと出会ったのはもう2010年の7月の事か……。
もう遠い昔の事のように感じる。
豪華絵師を使ったブロックくずしというなんとも言えないやる気の無さに惹かれて、
なんかショボそうなゲームだけどPSPじゃ珍しいブロックくずしだし
どうせ簡単にパッとクリア出来るだろうと軽い気持ちで買ったら
HELLOじゃなくてHELLだったというオチよ。
ハローキティという名の地獄がはじまる
バトル・オブ・ザ・ヘルキティ
ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!地獄の番人は残り5人
ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!地獄の番人は残り3人
ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!地獄の番人は残り2人
ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!地獄の番人はあと1人ッ!
我、鬼帝に勝利せり 2010年の12月31日にクリアするまで本当に長かったぜ……。
俺は勝ったのだ!この悪魔に!
というわけで随分と延び延びになっていたが
ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123こと鬼ティの最終レビュー行くぜ!
過去に書いた記事からステージ紹介などの部分をちょこちょこと抜粋。
この記事だけで全部が分かる総集編+最終版のレビューにする。
「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123」は、
サンリオの「ハローキティといっしょ!」をブロックくずしゲームにしたものだ。
よく勘違いされるが、
色んな絵師にそれぞれの持ち味を生かしたキティラーを描いてもらって商品化する
というサンリオのオタ向け企画が元々あって、それをゲーム化したものに過ぎない。
だから街中で猫村いろはのグッズを見かけても
「鬼ティ?!(ビクッ)」とか怯える必要はないのである。俺は怯えるが。
猫村いろははともかく水無瀬シズクの顔を見たら首を絞めてしまうかもしれん……!
いや、彼女達もまた被害者なんだからこんなことを言うのはやめよう。
クレーンゲームの景品にグッズがあったら金を入れるべきだし
ガチャポンでグッズが売られていたら回すべきだ。
つーか正直言ってクリアまで遊ぶとこのキティラー達が結構好きになってくるから困る。
一緒に地獄を戦い抜いた友だもの!
2月にガチャポンでキーチェーンマスコットが出るけどきっと買う。
ゲームに登場するキティラーは10人で全120ステージ+α。
キティラー1人につき12ステージ用意されており、
担当するキティラーによってルールが異なるという構成だ。
各キティラーのステージをすべてクリアする毎にCGが2枚手に入り、
こちらはオマケで入っている時計機能の背景などに仕様が可能。
全120ステージコンプでエンドレスのサバイバルステージも3ステージ登場する。
この手のブロックくずしによくあるパワーアップアイテムとパワーダウンアイテムもアリ。
多彩なルールのステージが登場するブロックくずし。
クリアするとご褒美にCGが貰える。
これだけの至極単純な内容のゲームが何故こんなことになってしまったのか……。
基礎がまったく出来ていないのに応用を凝ろうとして大失敗したような内容。
操作は方向キーでパドルを動かすだけなんだけど、
パドルのスピードが微妙に遅い上に高速化することが出来ないため。
「プレイヤーがボールに反応できているのにパドルが物理的に追いつけない」という現象が度々発生。
普通のブロックくずしならボタンを押すとパドルが高速化するとか、
それが出来ない場合は標準速度が速いとかそういう仕様になってるんだけど
このゲームはナシ!方向キーだけのお手軽操作が生んだ惨劇!
更にボールの反射挙動が明らかにおかしく、
ブロックに斜めからぶつけたボールがいきなり垂直に落ちて来たり、
ボールをパドルで弾いた時のブレが大きくて狙いをつけ辛かったりと、
二重、三重にもプレイヤーを苦しめる仕様。
一番キツいのがこれ。
こんな風にパドルの端でボールを弾くとボールが下方向に反射されることがあり、
もちろんこれは1ミスとなる。
普通に考えるとおかしくはないが、ブロックくずしの常識で考えるとトチ狂ってる。
サッカーの試合をしていたら
いきなり相手からボクシングのグローブで殴られるような反則っぷりですよ。
この反射に何度殺されたことか……ッ!
何回も何回もプレイしているとボールの制御もある程度は出来るようになってくるし、
パドルの端で弾く事も無くなってはくるが、それでも追いつけない時は追いつけないし、
落ちる時は落ちるし、死ぬ時は死ぬ。ああ、無常。
ブロックくずしの基本的なプログラムすらまともに出来ないとか……。
これだけなら……いや、これだけでも十分酷いんだが、
ステージ構成の悪質さが輪をかけてひどい!
「ボールとブロックが普通より小さい」「コンボを一定以上出せばクリア」
「矢印ブロックの矢印をすべて揃えればクリア」
「どんどん迫ってくるブロックを全部消せばクリア」など、
担当キティラーによってルールの違うステージ。
簡単なものもあるが、難しいものはあまりにも無慈悲である。
「オーソドックスなステージ」と紹介されている
猫村いろはの最終ステージにでは弾丸を発射してくる砲台ブロックが登場。
画面奥の星マークのブロックがそれね。
敵が弾を撃ってくるブロックくずしというのは珍しくないが、
複数のブロックが一斉にドカドカ弾を撃ってくる!
複数回ボールをぶつけないと壊れないハードブロックと通常ブロックの鉄壁の守り。
これで挙動+操作に弾幕による撃墜死が加わってまさに地獄。
ボールと弾が重なって飛んできたり、
弾と弾のスキマにボールが入り込んでしまった場合は打ち返すのが絶対に不可能。
当たっても死亡、避けても死亡だ。初めてこのステージに来た時は唖然とした。
しかし、砲台ブロック自体は他のステージにも出てくるわけだから、
オーソドックスという言葉自体に偽りは無いんだよな……。
最初は絶望したが、鬼ティに慣れてくると
このステージも20~30分ほどリトライを繰り返す程度でクリア出来るから、
コンプしてから振り返るとまだ簡単な方だったわ。
パワーアップアイテムに貫通アイテムを
一定時間ブロックを貫通して破壊できるようになるアイテムもあるので、
これが出ればかなり楽。
上の画像の赤い矢印の軌道で頑張って打ち続ければなんとかなる
本当にこんなのは序の口。
「ブロックとボールの大きさが通常の半分!」というルールで
「一気に壊した時の爽快感がヤミツキに!」とか説明書に書かれているリオステージでは
3回ぶつけないと壊せないブロックをガン並べしただけという
爽快感から遥か遠く離れた構成のステージが出てきたり
「ぶつけるとボールが超加速して反射されるブロック」が、
プレイヤーがギリギリ反応出来ない位置に
大量にに置かれたステージが出てきたりする。
爽快感という日本語を勉強しなおせっ!
「ステージ中にあるすべてのつぼみにボールを当てて花を咲かせればクリア」一花麗流ステージ。普通こういうルールだったら、テクニックさえあれば
ブロックをあんまり壊さなくてもいいような構成にするようなもんなのに
外周部にビッチリつぼみが敷き詰められたステージだの
複数回ぶつけないと壊せないブロックでつぼみをガッチリ囲っただけの
手抜きな上に無駄に時間がかかりまくるだけのステージだの
ある意味芸術的なまでにストレスだけがひたすらに溜まるステージだの
俺の心の花も枯れ果てるわッ!
「ボスにボールを複数回当てて倒せば」クリアというルールの
マール・キサラギ最終ステージも鬼畜。
このゲームでも2番目くらいに厳しいステージだ。
「不規則に動き回る&ぶつけたボールが不規則に反射する&すれ違うと弾を撃ってくる」という性能のボスと、画面奥にある5台の砲台ブロックからの
援護射撃を避けながら戦うという気の狂ったステージ。
この条件だけでも厳しいのにボスの耐久力が
「ボール50発」。
神経を限界まですり減らして撃破した時に湧いた感情は
もう喜びとか悲しみとか空しさとかそういう次元のものではなかった。
どうでもいい話だがボスのグラフィックは全12ステージ全部一緒である。
どうでもいいね。
他にも嫌らしいステージは沢山あるが、これらのステージすべてよりも難しく、
何人ものプレイヤーが諦めた最後の難関ステージが水無瀬シズク12ステージ。
破壊不可能の砲台ブロックからの弾幕を避けながら、
ボールをぶつけるたびに向きの変わる矢印ブロックの方向をすべて揃えればクリア
矢印ブロックは6個存在する上に、
一度正しい方向にしてもボールをもう一度ぶつけると向きが変わってしまう最初にこのステージに到達して、勝利条件を理解した瞬間に血の気が引いた。
他のステージでは有効な貫通アイテムは通用しないし、1UPアイテムなども出現しない。
不規則に跳ね回り、常に事故死が付きまとう状況で、
運と根性と折れない心とガッツだけを燃料にただひたすらにクリアを目指し、
矢印がすべて揃うまで数えきれないほどのリトライを繰り返すステージ。
「矢印ブロックにボールを当てて道をつなげてね!」
というのがこの水無瀬シズクステージのクリア条件だが、
ここまで狂った難易度だと
「貴様らにつなげられる道など、進むべき道など、未来など存在しないッ!」
という製作者からのメッセージとしか思えない。圧倒的絶望感。
6時間プレイしてもクリア出来ないという人もいれば、
20分程度でクリア出来ちゃったという人もいるのでもう完全に運。
俺は何時間くらいかかったかなあ。
カウント出ないから分からないが、6時間以上は確実にかかってる。
クリアした時は……真っ白になったよ。何もかもが。ただ、白だけが美しかった。
理不尽な挙動と操作性に、
鬼畜なステージ構成が加わって生まれてしまったのがこの鬼ティ。
なんていうかこのゲーム、意図的に難易度を上げた部分と、
意図しない部分で難易度が上がっている部分の両方が
組み合わさった結果っぽいんだよね。公式サイトを見ると、
「見た目はキュート!ゲームはハード!?定番のブロックくずしが可愛く登場!!」という、クリアした後に見るとかなり色々な感情を持たされる文章があるので、
ステージ構成なんかはある程度狙ってやっていたと推測出来る。
問題は難易度を上げるための方向性がズレてることか……。
カレー作りに例えると
「凄く辛いカレーを作るぞ!」
「スパイスを変えてみた!」
「ラー油を入れてみるのはどうだろう!」
「パクッ……これは辛い!」
「完成だー!」これが普通。
「凄く辛いカレーを作るぞ!」
「画鋲を入れよう!」
「クギを入れよう!」
「カミソリの刃も入れちゃうぞ!」
「パクッ……これは辛い!」
「完成だー!」これが鬼ティである。
それ辛いじゃなくて痛いだから!
センスと能力の無い人間が変にやり応えを出そうとした結果がご覧の有様だよッ!
理不尽さと運の要素があまりに強すぎてクリアしても徒労感が溜まるだけだ!
これでキャラゲーとしてマシな内容なら話は違うが、キャラゲーとしても論外。
キティラー10人にセリフや会話などは一切なくただの背景。BGMは全ステージ一緒。
ステージの背景も各キティラーに1種類ずつしかない。
しかも恐ろしい事にゲーム内で使われているCGはすべて既存のもの。
「
このゲームのために書き下ろされたCGなどは一切存在しない」
ダメ押しで、ゲーム内で手に入るものと同じCGのPSP用テーマが
1枚50円で売られているのでこっちを買った方が何倍もいい。
上がゲーム内の時計で下PSP用テーマね。
ゲーム内で手に入れたCGは時計のカスタマイズにしか使えないし、
時計を表示させている間は何も出来ない。
50円のテーマはPSPのメニュー画面に設定出来るから
使い勝手もこっちの方がずっといい。
よく見ると切り抜き方もPSP用テーマの方が上という気がする……。
SIMPLE2500のTHEどこでもギャル麻雀は手に入れた壁紙や撮影したスクショを
メモリースティックに出力できるナイス機能があったが鬼ティにはそういう機能は無いのだ
本当に……キャラゲーとしてもブロックくずしとしても存在価値がゼロ。
褒められる点があるとすればリトライが手軽に出来る点か。
ダメだと思ったらスタートボタンからすぐにリトライが可能で、読み込み時間もゼロ
このお手軽さのおかげでクソゲーだと分かっていてもついついプレイを続けてしまい、
でもやっぱりクリア出来なくていつまでたっても地獄から抜け出せない。
「地獄への道は善意で舗装されている」とはよく言ったもんだ。
2010年に俺が戦ったクソゲーだと
どんだけスポーツ101とアームズハートの2本がある。
まさに百鬼夜行「どんだけスポーツ101」
受け継がれたシャドウハーツの血「アームズハート」クリアレビュー! どちらも2010年のクソゲーを語る上で外せない作品だと思う。
しかしどんだけスポーツ101が
スポーツゲームの歴史に残るクソゲーかと聞かれればNOだし
アームズハートがRPGの歴史に残るクソゲーかと聞かれればこれまたNO。
だが断言出来る。この鬼ティはブロックくずしの歴史に残るクソゲーだ!
ブロックくずしという何十年も前に基本が完成されたゲームでありながら
基本部分の出来てなさとステージ構成の捻じ曲がり方が最悪。
キャラゲーとしても
「会話やストーリーナシで黙々とブロックくずしをクリアしてCGをゲットしていく
同人ゲームみたいな内容なのに、このゲームならではの新規CGゼロ」という信じられない内容の薄さ。
極限まで薄いのに切れ味バツグンという、匠の手で鍛え上げられた刃物のようなゲーム。
さすがに同人ゲームや携帯アプリを含めると分からないが、
据え置き・携帯ゲーム機で発売されたものでここまで酷い作品は過去に例が無い
鬼畜ステージを除けば普通に遊べるという意見も聞いたが、
根本部分の挙動と操作が狂ってるわけだから
苦戦しないというだけで遊んでて楽しくはないし、
そもそもブロックくずしなんて定番中の定番ジャンルなんだから
どんなに適当でも普通に遊べるのが当たり前なんだよ!
マイナーな作品だったのであんまり売れなかったことだけが救いか。
このゲームに出会ってしまった自分の不幸を嘆き、
そしてこのゲームをクリアすることが出来た自分の幸運に感謝をしながら――。
もうこんなゲームが出ませんようにと、ただそれだけを祈る。
- 関連記事
-
「からい」じゃなくて「つらい」なんですね。
ところでこのゲーム、中古で見かけないんだが…。