ダウンタウン熱血物語SP 公式ダウンタウン熱血物語SPのレビュー行くぞオラッッッ!
メーカー:アークシステムワークス
機種:3DSパッケージソフト
ジャンル:熱血2Dアクション
発売日:2016年10月27日
価格:税込み3780円
くにおくんシリーズ30周年記念作品!
人気の高かったファミコンの「ダウンタウン熱血物語」をリメイクした作品だ。
開発はエープラス。不具合修正で発売を散々延期してやっと発売された!
結局不具合が修正できず、ローカルプレイを使ったストーリーモードでの協力プレイが削除に。
その辺のお詫びを込めて定価が1000円引きになるというなかなか珍しい展開である……!
ファミコン版は街を歩き回って不良を倒して情報とお金を集め、
ショップで買い物をしてキャラを強化。
最終的に敵の本拠地に乗り込んでボスを倒せばクリアというアクション+RPGな流れ。
2人プレイも盛り上がるしキャラも個性的。
とにかく街をうろついて敵倒して買い物してくにおくんをどんどん育てていくのが楽しい名作だった。
3DS版は基本は同じだが3日+1日という時間の流れと時間制限があり、
クリアしたイベントによって最終日である4日目の内容とエンディングが変化するという構成になっている。
また、敵がレアな装備アイテムをランダムで落とす要素が加わり、
戦闘システムも操作方法の変更や超必殺技の追加などで大きく変化。
比べ物にならないほど増量された必殺技、キャラ、イベントにストーリー。
大きく手の入ったマップに一新されたグラフィックなど。
リメイク作品ではあるがほぼベツモノと言っていい内容になっている。
発売前のゴタゴタで大分不安にさせられたが、
フタを開けてみたら過去に3DSで発売されたくにおくんとは
比べ物にならないほどあらゆる部分に気合が入っていて、
「面白い」という言葉より先に「嬉しい」という言葉が出てくる。そんな内容だったぜ。
まず今回は過去作以上にアクションが爽快。
ザコ敵が8体同時に登場する場面など、とにかく大量の敵との乱戦が頻繁に発生。
それを大量に追加された必殺技でバッタバッタと薙ぎ倒す!
お馴染みのマッハキックで蹴り飛ばしてもいいし、
プロレス技でぶん投げてもいい。地獄車で複数のザコ敵を薙ぎ倒してもいい。
武器で敵をボコってもいい。
必殺技を上手く組み合わせてコンボを決めていく自由度がいいね。
通常攻撃でもコンボがガンガン伸びるし、
投げ技とガードをLRボタンで行う操作に変更されたのでガンガン投げられる。
敵を攻撃した時に溜まるSPゲージを消費して必殺技を繰り出すシステムになったので、
確実に当てる必要があるのは良いアクセント。
複数の敵からボコられた時はゲージを消費しての「熱血カウンター」で緊急回避も可能だ。
ゲージを大量に消費して超必殺技も発動可能になった。
直線状の敵すべてに大ダメージを与えるアクセルマッハパンチや、
回転キックで動き回って高速でダメージを与えるマッハキックターボなどなど。
どれも強力でここぞという場面で非常に有効。
店で購入したり、敵が落としたりする6種類の装備品でステータスが変化する要素も。
装備アイテムは同じものでも付属しているスキルが違っていて、
この組み合わせでステータスが全然違ってくる。
例えばキックのパラメータに倍率補正が掛かる「蹴ノ魂」のスキルがついたアイテムを沢山装備すると、
最大でキックのダメージが4.5倍に!
パンチ、投げ、武器、防御など他のステータスにも同様のスキルが存在するし、
敵が落とす金やアイテムが良くなるスキルもある。
時間経過でSPゲージが回復するスキルや、特定の攻撃からのダメージを下げるスキル、
武器攻撃でダメージを与えると体力が回復するスキルなんてのもある。
手に入れた装備アイテムとにらめっこしながら
プレイヤーのバトルスタイルに合わせてカスタマイズするのが楽しい。
解放倉庫……じゃなかった、入江倉庫というショップでは
高額だが強力なスキルを持ったアイテムがランダムで入荷するし時間経過で品ぞろえが変化。
最終的には敵ボコって金貯めて何度もここに出入りしてアイテム吟味するようになるかな。
ちなみにゲーム難易度は「軟派」「硬派」の2種類で更にその上の隠し難易度も存在。
敵はどんどん強くなるし装備が弱いとまともにダメージが通らない過酷さだが、
難易度を上げるほど良いスキルの付いた装備アイテムが登場するお約束の作り。
良い装備アイテムを探して敵を狩りまくるのがハマるまさにハクスラだ。
多彩な必殺技を駆使して連続コンボで敵をボコり、手に入れた装備アイテムを吟味しつつキャラを強化!
従来のくにおくんのケンカアクションを拡充しつつ、新たに加わったハクスラ要素もしっかり機能。
やり込むとかなり長く遊べるしアクションも爽快な作りだぜ。
ダッシュ技が使い辛いのが気になったくらいかな。
一新されたドット絵も実にいい。
パッと見はファミコン版と同じに見えるが
細かい動きや表情の変化など大幅にパターンが増えていて印象が全然違う。
くにおくんが椅子に座るモーションとかちょっとしたところでもしっかり動くし、
登場するボスキャラ達もみんな表情豊かで素晴らしい。
名前の付いたモブキャラやザコキャラも顔がみんな違うという凝りっぷり。
また、これまで3DSで発売されたくにおくんは3Dの背景がのっぺりしてたんだが、
今回はそちらもしっかり書きこまれているしドット絵と並んでも違和感のない処理がされている。
くにおくんがボス戦前でよく見せる、
この両手を軽く広げてニヤッと笑う動きがめっちゃカッコイイ!
ストーリーの分量もファミコン版とは比べ物にならない。
冷峰四天王はもちろん西村&沢口や上条&山本コンビ、五代に豪田と、
登場するキャラ一人一人がしっかり掘り下げられていてめっちゃキャラが立ってるし、
それでいてみんなどこか憎めないキャラなのがくにおくんシリーズらしいトコロ。
ラスボスの掘り下げっぷりは特に力入っててライバルとしての魅力がグッと上がった。
原作をしっかりリスペクトしつつ世界観を広げることに成功してる。
シリアスなノリは強まってるんだけど、ギャグも忘れてない良いバランスだ。
くにおくんに貴重な情報を提供してくれる冷峰OBの篠田とか脇役もいい味出してるぜ。
くにおくんがすげぇカッコイイのも良いんだよなあ。
過去には「くにおくん、なんかムリしてカッコつけたセリフ言ってない?」って作品もあったが、
今回はラスボスとのやり取りとかちょっとしたセリフ回しが
クサくなり過ぎないレベルに抑えてあってそれでいて熱い。
これこそ熱血硬派くにおくんだ!
ダウンタウン熱血物語といえばマップの探索が魅力だったがそこも超パワーアップ。
膨大なイベントとモブキャラが存在するマップは探索していてめっちゃくちゃ楽しい。
マップは広いがタクシーを使ってショートカットも出来るぞ。
メインストーリーに関係ないサブイベントや小ネタが沢山あるし、
モブキャラにも「3日間」という時間の流れがしっかり反映されている。
時間経過でテキストや居る場所が細かく変化。
じっくり探索していると、メインストーリーに一切関係ないところでドラマが進んでたり、
メインストーリーに一切関係ないキャラの人間関係が見えてきたりと非常に凝った作り。
会話にいちいちズッコケたくなるようなオチが用意してあったりコミカルなノリが笑える。
ちゃんと「街が生きている」と感じられる作り込みが素晴らしい。
ショップで食事するとよく分からないテキストが表示される新要素も。
孤独のグルメかよ!
食事によって全部違うというムダな凝りっぷりである!
最近のくにおくんではショップでの食事がただの回復になってしまっていたが、
今回は回復に加えて「一定時間特定のステータスが大きく上昇する」というドーピング効果が追加。
孤独のグルメ的なテキストと合わせて新しい個性を出すことに成功している。
くにおくんというと昭和のヤンキーモノっぽい雰囲気が強い作品だけど、
今回は昭和のヤンキー観と現代的な要素が融合していてもはやファンタジー。
スマホが出てくるしセーブポイントはマンガ喫茶だし、カラーギャングもうろついてる。
でも敵の不良連中は昭和ノリだしパー券も出てくる。ここもこれまでにない雰囲気で面白い。
ちょっとネットスラング的なノリも多いのは好き嫌い分かれそうだけどね。
「すまいる」と「いやらしぼん」の現代仕様は笑ったわ。
全方位で気合が感じられる内容のダウンタウン熱血物語SPだが見逃せない欠点も多い。
まず序盤のゲームバランス。
序盤は敵が金を全然落とさない上に敵の体力も高いため、
1戦が長引く上に金も全然貯まらず回復がし辛いバランスになっている。
実はレベルアップで運を重点的に上げると敵が普通に金やアイテムを落とすようになるので、
ショップの牛丼やハンバーガーでドーピングして
ザコを狩ってレベルを上げればすぐに普通に進めるようになる。
が、逆に言うと運を重点的に上げることに気付かないとかなり長期間苦戦を強いられる作り。
ここは不親切に感じた。
本作最大の欠点がイベントフラグの分かり辛さ。
膨大なイベントが存在していて、
クリアしたイベントによって真エンド含めてエンディングが5つに分岐する仕様だが、
とにかくイベントの発生条件とエンディングの条件が分かり辛い。
一応、1周クリアするとイベントリストが解禁されて、
それを見るとメインイベントが発生する時間や関連するイベント含めてすべて掲載されている親切設計。
……が、あくまでも「リスト」が見れるだけだし穴も多い。
複数のイベントが同時進行する構成なのに現在進行中のイベントがどれか分からないし、
失敗して消滅したイベントがあっても分からないし、
「リストに載っているイベントを発生させるために、リストに載っていないイベントをクリアする必要がある」
みたいなトラップもあったりで大変分かり辛い。
その上で真エンドルートのフラグが超絶シビア。
攻略情報を見ることが前提レベルのシビアさで、
しかもフラグが複雑なのか攻略情報通りにやっても見れない時があったりする。
真エンド目指すために4周するハメになって心折れそうになったぜ……。
ある程度遊んだら攻略情報入れながら周回プレイするくらいでちょうど良いと思う。
他にもハクスラ要素があるのにショップでアイテムを1個ずつしか売れないとか、
周回プレイ前提の作りなのにイベントやスタッフロールがスキップ出来ない(Rボタンで早送りは可)とか、
細かい部分の作りが残念な内容だ。
アイテムのまとめ売りとイベントスキップはこれまでの3DSのくにおくんでは普通に出来てたのになあ。
というわけでダウンタウン熱血物語SP。
残念な部分はかなり残念な作りだったが、
それでも随所から新しいくにおくんを作ろうという制作陣の気合がビシバシ伝わってくる内容。
そこが本当に嬉しくて……
どっくーんときたよ!!!!
ストーリーもアクションもマップの作り込みもドットも良くて、リメイクではあるが
やっと
「アークシステムワークスが送る新しいくにおくん」が爆誕したと言える内容だったぜ!
今回のデキはスタッフに感謝したいし、今後のくにおくんの展開にも期待させてもらうぞ!
※追記■『ダウンタウン熱血物語SP』更新データ(Ver.1.1)配信のお知らせ2017年4月12日にアップデート!
まさかのローカル協力プレイの追加の他に、イベントの発生が分かりやすくなる、
アイテムのまとめ売りとまとめ買いが可能になるなど、色々と快適になったぞ。
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今回はなかなか良さげであるな