大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-のレビュー行くぜ!
CAPCOM:大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險- 公式大逆転裁判は2015年7月9日にカプコンから6264円で発売された3DSソフト。
探偵パートで証拠を集めて事件を調査し、裁判パートでそれを元に無罪の被告人を弁護する!
裁判を題材にし、かつコミカルで勢いのある作風が人気のADVシリーズ最新作である。
シリーズの生みの親であり、逆転裁判1~3で企画、シナリオ、ディレクターを務め、4では原作と総監督。
レイトン教授vs逆転裁判でもシナリオを担当した
あのタクシューこと「巧舟」が再びディレクターを務めている作品だ。
今回は現在や近未来ではなく19世紀を舞台にした新シリーズで、
これまで主人公を務めてきたナルホドくんの先祖である「成歩堂龍ノ介」が活躍するというシナリオとなっている。
過去作をやってない人も入りやすい1本だろう。
逆転裁判シリーズは全部やってて好きなので、
ソフトもカプコン通販の一番高い限定セットを買うくらい期待していたんだが……。
タイトルは
「大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介 最初の冒險-」とでもするべきでしたね!
大日本帝国の学生である「成歩堂龍ノ介」がとある事件をきっかけに留学生として大英帝国へと赴き、
弁護士として様々な事件に立ち向かうゲーム内容。
あのシャーロックホームズを初めとする個性的なキャラもゾクゾクと登場する。
19世紀当時の倫敦の雰囲気も満点。
ゲームとしては最近ではすっかり少なくなってしまった昔ながらのADV。
画面をクリックして証拠品を集めたり、登場人物に聞き込みをしたりして事件を調査。
シナリオが進行すると裁判が始まって、
そこでは手持ちの資料と証人のコトバを照らし合わせ、おかしな点を見つけたらどんどん揺さぶる!
ムジュンを見つけたら叩きつける!こうやって真実に辿り着き、依頼人を無罪にしていく内容だ。
一度調べた場所にはチェックがつくし、
次に行く場所もそれとなくヒントが出たりと親切な作り。
舞台は霧の都!倫敦だ!
19世紀当時の文化を交えた空気感が凝っていて実にイイね。
今回素晴らしかった点はテキスト。
キャラ同士の会話や、何かを調べた時のちょっとした文章までとにかくキレ味が凄くて、
割とどうでもいいような描写や、失敗した時のピント外れなセリフでも笑わされてしまう。
タクシューが関わっていない逆転裁判5や逆転検事2も凄く好きなんだけど、
大逆転裁判をプレイするとやっぱ本物は違うな……!と感じてしまうぜ。
いつも以上に3D空間や3Dキャラをグリグリ動かして証拠を探す場面が多くて楽しかったし、
立体視のつけ方も見事でここはさすがにシリーズを重ねてるだけあるなと思った。
キャラのモーションも磨きが掛かっていて見ていて楽しいキャラばかり。
外せないのは夏目漱石さんだろう。キレッキレ過ぎるよ!
俺も夏目漱石さんを見習って「 双 葉 理 保 ッ!」とかやっていくべきだな……!
今回は登場キャラの「目の演技」を凝っている場面が印象的だったなあ。
緊張してるナルホドくんの目の泳ぎっぷりとか、あのより目とか。
ここも3Dキャラならではの表現かな。
逆転裁判シリーズは個性的な登場キャラが次々に登場するところが魅力でもあるんだが、
シリーズを重ねるごとに
「個性的」を通り越して
「ギャグマンガ」になってるキャラが増えてきてて、
嫌いじゃないし面白いんだけどさすがに少しクドい!面白いんだけども!と思っていた。
ビヨウインさん好きなんだけども!
今回はそこら辺もいい感じにリセットされていて、
19世紀っぽさがありつつも個性的で印象に残るキャラデザになっている。
ここはかなり気に入っている点だぜ。
まあ1章のあの人はギャグマンガではあったが!
登場キャラで好きなのはやはりシャーロックホームズ。
「天才なので真実に最速で辿り着くけど途中の式が斜め上」
というキャラクターで、行動や発言のハチャメチャっぷりがとにかく楽しい。
現場を調べてる時に、ホームズくんが画面の隅にいるだけで笑えるからずるい。
このバカにした笑い方が最高。
そのホームズの展開する、答えだけは合っているトンデモ推理の途中式をちょっと修正して、
キチンとした推理にする「論理と推理の実験劇場」が今回の新システム。
ドヤ顔でカッコいいBGMと共にピント外れの推理を展開するホームズくんの横から、
なんかナルホドくんがノリノリで割り込んできて一緒に推理するビジュアルが楽しい。
3D空間を動かしながら、間違った名推理を正しい名推理に修正していくのは色んな意味で斬新。
ホームズははた迷惑な変人だが、そこは「かの有名な名探偵」なので根っこは非常に有能だし、
決めるところではビシッとカッコ良く決めつつ、主人公であるナルホドくんをしっかりと立てる名キャラだぜ。
シャーロックホームズといえば欠かせないワトソンも登場するが、なんと10歳の女の子!
アイリス=ワトソン!
まあ三国志の武将が女体化されてるゲームが珍しくない昨今では、このキャラも珍しくないかもしれんが……!
小説の「シャーロックホームズ」はこのワトソンが描いているという設定で、
ホームズ以上では?!と思わせる天才っぷりと可愛さが魅力的だが、
年相応の顔を見せる時もあってそこがグッと来る。
法務助士としてナルホドくんをサポートする、
一応今回のヒロイン?な御琴羽 寿沙都(ミコトバ スサト)さん。
イカニモ、日本の大和撫子といった出で立ちと性格なんだけど、
ちょいちょいすっとぼけた会話を挟んで来る。
懐から本を取り出してパラパラめくる仕草とガッツポーズがめっちゃ可愛いんですよ。
落ち着いてからのナルホドくんとの掛け合いはなかなかの安定感。
まあ、たまにナルホドくんが死に掛けたりするが……!
ナルホドくんの親友である亜双義一真(アソウギ カズマ)の熱さも実にイイ。
常にハチマキが風になびいているのが完全にギャグなのに妙にカッコよく見えてしまう。
レイトン教授vs逆転裁判でも担当した北川保昌と前馬宏充によるBGMも絶品で、
まさに新章開廷!というスケール感。
お気に入りはやはりアレグロ、追求、異議あり!辺り。ここは過去作でもハズレ無いな。
今回、追求はここぞという場面以外で流れないところがむしろ良い。
キャラ、音楽、テキスト良し。
これまでとガラリと変わった世界観も良し……。
そんな本作だが難点も山盛り!
まずはなんと言っても未完結で終わってしまうところだ!
最後の事件で重大な謎が1つ残ってそれで続編に…!とか、
新キャラが少し顔を出して次回に引き…!とかならまだしも、
とにかく「あれもこれも続編にぶん投げる気かよ?!」ってくらい、
キャラもシナリオも各方面に渡って持ち越し伏線だらけなので印象が非常に悪い。
完全に前後編の前編だけを遊んだ気持ちだ。
特に今回のライバル検事であるバンジークス検事はこの構成の最大の被害者。
キャラの掘り下げに関わってくる要素をすべて謎として続編に持ち越してしまった上に、
ダメージ描写も薄く、割と協力的な態度も見せるしで、
対戦相手としてはめちゃくちゃ薄いキャラになってしまった。
法廷でワイン飲むわ、形勢が不利になってくるとワインの瓶を傍聴席に投げたり、足を投げ出したりと、
どんどん態度が悪くなってくるところは面白かったんだけども……。
マント開いた瞬間に攻撃したらダメージ与えられそうなこのポーズもお気に入り。
「本当に、生命を吸い込まれそうな“闇“の冷気をまとっている…」って検事を表現する説明じゃなさすぎる!
ただ、面白いのはそこくらいで、
正直言ってライバルキャラとしては逆転裁判4のガリュー検事の方がまだマシかもしれん……。
長所と短所の両方が「話の分かるイケメン」なガリュー検事。
逆転裁判シリーズといえば
証言のムジュンをビシバシ指摘して真犯人を法廷まで引っ張り出し、
決定的な証拠品をくらえ!と叩きつけて無罪獲得やったああああああああああああ!!
という爽快感が一番の魅力だったんだけど、なんと今回、そういう要素が非常に薄い!
「大逆転裁判」なのにいつもより逆転する爽快感が薄い!
4話なんかは依頼人である夏目漱石さんのキャラもあってなかなか良かったんだが、
他のシナリオとのバランス考えるとこれももうちょっとスカッとさせて欲しかった。
新たに導入された陪審員システム。
シナリオが進むと陪審員全員が有罪判決を下してしまうので、
最終弁論を行って説得する必要がある。
ここでは複数の陪審員の意見を聞いてムジュンした意見同士をぶつけ、
陪審員を説得していくという、
レイトン教授vs逆転裁判でもあったシステムを更にブラッシュアップしたものなんだが……。
「最終弁論」なのに1回の裁判の間に複数回挟まれるせいでどうにも緊張感に欠けるしテンポも悪い。
陪審員もさすがにコロコロ意見が変わりすぎかなと……。
また、無作為に選ばれたという前提がある陪審員から
重要すぎる情報がザクザク出てきてどうにかなる展開が多くて、
ここは過去の逆転裁判シリーズよりも更にご都合主義に感じてしまったな。
逆転裁判シリーズはシリーズを重ねるごとに1話の長さがどんどん長くなってきていて、
ここはもうちょっとコンパクトにして欲しいと常々思っているんだが今回も変わらず。
特に1話は軽いチュートリアルのはずなのにシリーズ屈指のテンポの悪さで、
真犯人の粘りっぷりにはただただウンザリ。そしてあのオチである。シリーズでもワーストの1話だぞこれ!
何がビフテキだバカバカしい!おいしそう!
デキが悪いわけじゃないし、良いところも一杯ある。
個人的には並以上には楽しめたんだが、
やっぱ売り方にもシナリオにもどうにもモヤモヤが残る内容だったな……。
じっくり描いてるだけあってナルホドくんの成長っぷりは悪くないし、
メインキャラが出揃う辺りから面白くなってくるのにいいところで終わってしまう。
「未完結」「逆転裁判シリーズなのに爽快さが薄い」
っていう1つでも賛否分かれそうなことを2つもやってるのが辛いとこだね!
続編は買うから次は頼むよ……。
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酷評を各所でわりと見てそこまで酷くないと言いたくなるんだけども、未完、テンポが悪いとこがある、カタルシスが薄いの不評ポイント三本柱がまったくその通りなので辛い
音楽や雰囲気作りが良かったとか言うとクソゲーに良くあることとか言われそうで・・・
1作目が「冒険」なら2作目は「最後の事件」を収録した「思い出」ですかね。ホームズ的に