行くぜ……!雷子のレビュー!
雷子 公式サイト雷子はクロンから2015年4月9日に5800円で発売された3DS用パッケージソフトだ。
ジャンルはシミュレーション+ノベルゲームってとこかな。
「もう一つの三国志」を描いた作品で、
2013年に3DSで発売された難攻不落三国伝のリメイクというかリベンジでもある。
リメイクと言っても難攻不落三国伝は「蜀」だけのシナリオで
残りの2陣営はダウンロード専用ソフトで外伝的に発売したのに対して、
今回の雷子は「蜀」「呉」「魏」の3陣営のシナリオを完全収録。
キャラデザを一新し、タワーディフェンスだった戦闘パートもターン制のシミュレーションゲームに変更。
新キャラも大量に追加され、シナリオも大筋は同じだがほぼ別物と言っても過言ではない。
3DS「難攻不落三国伝」レビュー!荒は多いが記憶に残る1本 : 絶対SIMPLE主義俺の前作レビューはこちらね。
「前作で表現できなかった部分をすべて盛り込みました」という公式サイトの言葉に偽りは無く、すべての要素が洗練されている。
シミュレーションパートはグッと面白くなっていて、
大幅にボリュームアップしたシナリオの盛り上がりも素晴らしく、
三国志知識があんまり無い俺でも引き込まれっぱなしだった!
俺が遊んだ今年の3DSソフト暫定1位に躍り出たぞ!
物語は主人公のキョウが不思議な鐘の力で三国志の時代にワープしてしまうところから始まる。
そこで出会ったなんかロリキャラになってる張飛と一緒に山賊退治をすることに。
次に美少女になってる関羽が登場!
そして美少女になってる劉備玄徳も登場!
そして金髪メガネっ娘になっている諸葛亮の元で
軍師見習いとして壮大な歴史の渦に身を投じていくことになるという色々と分かりやすいストーリー。
かなり豪快にアレンジされた三国志の武将達が次々に登場するぜ。
まあ三国志キャラの美少女化は昔からあるし、
最近は戦艦が女の子になるゲームとか、日本刀がイケメンになるゲームとか、
双葉理保が大美人になるゲームとかも大人気だし、今時このくらいで驚くことでもないかもね。
全員が美少女キャラになってるわけじゃなくて、ちゃんと男キャラも沢山いてバランスは取れてる。
「蜀」「呉」「魏」の3陣営で数十人のキャラが登場するが全キャラがフルボイス。
それぞれしっかりキャラが立っているし、会話もテンポ良く進むので見ていて非常に楽しい。
俺が好きなのは趙雲、朱桓、司馬懿、黄忠、魏延ちゃん、ホウ統、馬謖、孟獲辺りかなあ。
声優が前作から変更されて後藤邑子さんになった黄忠のカッコいいこと!
シリアスシーンの気合の入った演技と、ギャグシーンでの慌てっぷりが実に素晴らしい。
公式見て「また藤原啓治がいかにも藤原啓治が演じそうなキャラの声やってる!」ってなったホウ統は、
いかにも藤原啓治が演じるのにピッタリな
「主人公を導くいい感じのおっさんキャラ」だったぜ……!期待を裏切らない。
普段は酒ばかり飲んでる力バカだけど、
ここぞという場面では「さすが南蛮の王」と唸るキメっぷりを見せてくれる孟獲に
普段は頼りがいのある真面目キャラだけどある秘密に関連したエピソードでの慌てっぷりが大笑いだった趙雲さん。
有能ではあるんだけどヘタレキャラっぷりが物凄くいい味を出していて、
あの名セリフを叫ぶシーンは表情もあいまって100点満点だった司馬懿も最高だ。
自信家の美少年になっている馬謖は、
自信満々の態度で挑む主人公や諸葛亮との会話でニヤニヤしっぱなし。
合間合間で和ませてくれる朱桓と魏延ちゃんも外せないところだ。
この二人は展開的にどうしても俺の評価が甘くなる。壁ドン!
主人公のキョウも大好き。
2015年のゲームなのに「たはは」とか言ってやがる!?
いやリメイク前から言ってたんですけども!
序盤こそヘタレだが戦いの中で徐々に成長していく姿がしっかりと描かれ、
そこに前作から続投しているロア健治さんの演技の使い分けがピタリとハマって終盤の漢っぷりは見事の一言。
やっぱキョウを演じるのはこの人しかいないわ
劇中では登場する女性キャラに次から次へとモテまくりだったり、
まさに王道中の超王道主人公である!
前作で黄忠役を演じて、
絶対SIMPLE主義というブログの管理人から「耳に棒が突き刺さった」とかひどいこと言われてた
藍原京子さんもホウ徳の役として続投。
演技の上達が感じられたしなかなかおいしいポジションのキャラで良かったよ!
他にも魅力的なキャラ揃いで挙げきれない!
とにかくこのゲームはカッコいいキャラは凄くカッコいいし、男気のあるキャラは凄く男気があるし、
可愛いキャラは凄く可愛いし、アホなキャラは凄くアホ可愛いんだよね。本当にいいキャラ揃い。
前作は「蜀」だけのシナリオだったので「呉」「魏」のキャラは描写不足に感じたが、
今回は3陣営のシナリオなのでそこも抜かりなし。呉の連中は頭の悪いヤツらばかりで楽しいな!
しかし基本的にはコミカルなノリで進むが、そこは三国志なので壮絶な展開が待ち受ける。
特にシナリオを引っ掻き回す新キャラ達が色んな意味で満点の働きっぷりで、
遊んでいて「頼むからもうやめてくれ!」と言いたくなる壮絶さ。
登場キャラの死亡シーンでは気合の入った一枚絵がドン!と表示されるのが色々と来るぜ……。
一枚絵だけ出して多くを語らないシーンもちょいちょいあって、それがまた凄く効果的に機能してる。
前作同様、悪ノリギャグ満載のサブストーリーも健在。
こちらも前作に引き続き本当に色んな意味でひどく、本編が壮絶な分笑えてよかった。
マジで呉の恥だよ!!!!あと赤壁の戦いが台無しだこれ!
ノベルパートはフルボイスでバックログやスキップ、早送り、オート機能アリ。
基本的には1シナリオに1回挟まれる戦闘パートは
味方と敵で交互にユニットを動かしていくオーソドックスなターン制のシミュレーションとなっている。
……で、見ての通りとても2015年のフルプライス作品とは思えないグラフィック!
前作もPS1かSS時代かと思うような見た目だったが、更に時代を遡っている?!
だがこれが悪くないデキ。
前作は三国志なのにタワーディフェンスを採用してしまった結果、
どんなシナリオ展開でも似たような場所で防衛戦をするというチグハグな作りになっていたが、
今回はちゃんとシナリオに沿った地形や陣形が表現されている。
成長要素は
「全陣営共通のプレイヤーレベル」のみとシンプル。
これはステージクリアに成功して失敗しても1上がるもので、これによってすべてのユニットが強くなる。
ただしステージには制限レベルがあるので極端なゴリ押しは不可能。
制限レベル16のステージにレベル100で挑んでもレベル16扱いでスタートってことね。
ユニットは剣兵、槍兵、戟兵、弓兵、術兵、騎馬、白騎馬、重騎馬の8種類。
これに名前アリのユニット特有の特技で個性付けがされている。
槍兵は反撃を受けない、剣兵は2回攻撃、白騎馬は並んでいる敵をすべて貫通して攻撃、などの特徴があるので、
敵ユニットの種類をしっかり見極めて効率良くぶつける必要がある。
また、ユニットの体力は「兵力」という概念で表記。カンタンに言うと「体力+攻撃力」ね。
ゼロになったら負けで、減ると敵に与えられるダメージも減少する。回復は無し!
なので、複数の敵をまとめて攻撃できるユニットは出来るだけダメージを受けないようにするとか、
兵力の少ない敵をあえて放置して、兵力の高い敵の移動を妨害するなどの立ち回りが重要になってくるぜ。
「○○マス以内の味方の○○を○○上げる」といった特技を持っているキャラもいるので、
地形効果と合わせてうまく活用していくと強力な敵も楽々倒せる。
特に重要なのが複数の敵を攻撃可能な術兵だ。
ほとんどのキャラが
「クリティカル時に相手を混乱状態にする」という特技を持っている。
混乱は「反撃不可能+1ターン行動不能」という強烈な効果。
クリティカル確率の高い地形や確率を上げるユニットと組み合わせれば無双!
終盤の高難易度ステージはこれが必須テクだぞ!
見た目こそチープでやや淡々としているが、
キャラの特性や敵の配置、地形効果を考えた詰め将棋的な楽しさはしっかりあるし、
オーソドックスなターン制のシミュなのでルールも分かりやすい。結構サクサク進むところもいいね。
「高火力で3マス同時攻撃できる上に2回攻撃の関羽やべえ!」
「高火力で反撃食らわない張飛は最初の1発として頼りになる!」
「趙雲さんの突進力マジ凄い」
「序盤は弱いけど終盤の特技がハンパないキョウはやっぱり主人公だわ……!」
などキャラ毎の個性も体感できる。
前作と違ってノベルパートと戦闘パートがしっかりかみ合ってるな。
グラフィックがショボいと書いたが一部のステージでは「おおっ!」ってなるところも。
ウソつきました「ホァァァァーーーッ?!」ってなりました。
凄くよく出来てるってほどではないが、
プレイしていくとしっかり考えてあるのが実感出来る作りになっているぜ。
前作の大味なタワーディフェンスパートよりも格段に良くなっている。
シナリオ上重要なステージではイントロから盛り上がる専用BGMがあったりするのもイイ。
欠点としては敵の移動範囲が確認出来ない点と、シミュレーションパートでセーブが出来ない点。
個人的にはちょうど良かったけど、
終盤の高難易度ステージはレベルを上げても結構苦戦するのでシミュ苦手な人はちょっと大変かも。
公式が最難関ステージの攻略動画をアップロードしてたりもするんだが、
ストーリー部分が濃いゲームなのでイージーモードがあっても良かったな。
あとは序盤のステージの作りが結構ひどい点だな……。
趙雲さんと訓練するステージ2が全ステージ通して一番デキが悪くて、
「趙雲さんとまともに戦っても勝てないから無視して砦を落とすぞ!」という、
力より戦略が大事!的な話の流れなのに、趙雲さんがマジで強くて速いので
10回くらいゲームオーバーになってレベル稼いで力押しをしないと物理的にクリア不可能。
そして次のステージは孔明先生による初見殺しである。
その後もちょっと味気ないステージが続くのでしばらくは気楽に遊んで欲しい!
魅力的なキャラクターに、大分よくなったシミュレーションパート。
そして何より素晴らしいのがシナリオだ。
中盤からは怒涛の展開だらけで、
前作を遊んでいる俺でも唖然とさせられつつも続きが気になって仕方がなかった。
盛り上がる展開は全部やるぞ!という勢いで俺の血液も沸騰しっぱなしでしたよ!
「何をどうやったらこの一枚絵がCERO Cに収まるんだよ?!」と言いたくなるような壮絶な展開もあるので心折れそうになる人もいるかもしれないが、
是非とも最後まで遊んでもらいたい。
っていうか本当になぜ雷子はCERCがC判定なんだ……。
パッケ裏のアイコンを見ると「犯罪」「暴力」「言葉・その他」「セクシャル」で引っ掛かったそうだが、
これ全部含んだ上で「せめてD判定じゃないとおかしいだろ?!」って一枚絵ありますからね!
とにかく作り手の「熱」がすさまじい1本。
圧巻のシナリオ、フルボイス、書き込まれた数十枚の一枚絵にスタッフロールに至るまで気合入りまくり。
前作未プレイでもまったく問題ないし、
変更点が非常に多くて洗練された作りなので前作プレイ者でも新鮮な気持ちで挑める。
三国志知識があんまりない俺でもストーリーに引き込まれっぱなしだったのでそこも安心だ。
分からない単語や人名が出たらちょっと検索して調べる程度でも十分ワクワクしながら楽しめた。
あまりにこっちを引き込んでくるのでクリアするのが寂しくて仕方が無かったぜ……。
シミュパートの古臭すぎる作りなど人を選ぶところがあるので万人にオススメとは言えないが、
それでもみんなに遊んで欲しい1本!
オープニングが「三国志だからネタバレとか別にいいよね」と言わんばかりの死亡シーンラッシュな点と、
スタッフロールを絶対に飛ばさないこと。この2点に注意してプレイしてみてくれ!
これが雷子だ!
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酷いこと言うやつだな!どこのどいつだよ!