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[月別過去ログ] 2019年12月

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2019年12月02日

北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター(CHAIN)に異動します/ポスドク研究者募集します

こんど北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター(CHAIN)に異動することになりました。今度の1月着任の予定で手続きを進めているところです。1月から3月までは生理研と兼任、4月からはいよいよ実験再開という段取りです。

北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター(CHAIN)というのは、人文社会科学・脳科学・AI研究の3つを融合させた学際的研究と教育を行っていこうとするセンターです。北大の文学部が主な母体ですが、複数の学部からのコアメンバーと兼務教員から構成されていて、センター長は文学部教授で現象学者の田口茂さんです。

今年の7月に公募がありましたが、そこで人文社会科学・脳科学・AI研究のそれぞれから合計3人の教員を募集しておりました。私はそちらに応募して、脳科学部門についての特任准教授として採用されたというわけです。とりあえず期間は5年間(1月からだと4年と3ヶ月)ですが、このセンターをもり立ててさらに延長させていこうという目論見です。

Webサイトにある設立の目的の文章を読んでもらえるとわかりますが、人文社会科学・脳科学・AI研究がちょうど交差する4つのテーマ(意識・自己・社会性・合理性)に関わる教育・研究ユニットとなっております。

ここでこそ、わたしが目指していた「意識」の研究、さらに言えば、生きていることと心を持つことを繋げるような「結びつけるバターン」を明らかにしようという私のライフワークが可能になるのではないかと思ったわけです。(以前のブログの文章「マニフェスト20180311」で少し書きました。)

それで私が今までそしてこれから目指していこうとしていることを、ざっくり形式的なところだけ表現すると、こんな感じになると考えてます。


まず最初の対象としては、我々が眼を動かしながら視覚シーンを構成してゆくという「アクティビジョン」の解明を進めてゆきます。

(1) 現在進めているマーモセットを使ったECoG記録やCaイメージング、光遺伝学による局所刺激などによる操作脳科学を行います。さらにアイトラッカーを使ってヒトを対象とした実験も行ってゆきたい。形式的に言えばこれは「観察と介入」です。

(2) そしてそれを自由エネルギー原理とそれに派生する計算論モデルによってモデル化してゆきます。ここがいわばAIパート。形式的に言えば「形式化と予測」です。

(3) そしてそれを意識経験の構造についての現象学の知見と対応付け、さらに(1)の脳科学と相互に拘束条件を与えるように用いる「経験の構造」です。

これがまさに私がこれまで田口茂さんと一緒に書いた「自由エネルギー原理と視覚的意識」でやろうとしたことだし、これから進めてゆこうという方向です。

でもってこれってすでに「人間知・脳・AI研究教育センター」が目指してることじゃん?って思うわけです。これを新しく採用されたもう二人の教員の方といっしょにさらに加速していけるんではないかと思っているのです。

ご存じの方には、この図式がVarelaの神経現象学(下の図)を現代の水準にアップデートして再始動させようとしているのがわかることでしょう。



そういうわけで、これから吉田ラボを立ち上げてゆくので、興味のある方はぜひ吉田までお知らせください。

さて本題ですが、吉田ラボでマーモセット研究をメインでやっていただくポスドク研究者を1名募集します。以前6/30締切で募集を行いましたが(生理研webサイトおよび吉田ブログ記事)、あのときは目的に叶う方が見つかりませんでしたので、採用は行いませんでした。

今度はふたたび同じ内容、同じ研究予算にて、ただし研究場所だけ北海道大学に変更した上で研究を行います。研究場所は北海道大学 医学部附属動物実験施設で、研究期間は革新脳が終了する2024年3月までです。

募集に関する詳しい情報についてはこれからwebサイトやjrec-inなどでお知らせしますが、早ければ1月から雇用開始、おそくとも4月開始を目指しています。決定次第募集は終了します。もし札幌近郊にお住まいの方で興味のある方いましたら、お早めにご連絡ください。今度12/16-17に北大に行く用事がありますので、そこで詳しいお話をすることができます。

もちろんこの機会に札幌行くぞって方、留学中で帰国予定の方も大歓迎。博士号取得見込みで4月から参加したいという方も大歓迎。ともあれstay tuned!


お勧めエントリ

  • 細胞外電極はなにを見ているか(1) 20080727 (2) リニューアル版 20081107
  • 総説 長期記憶の脳内メカニズム 20100909
  • 駒場講義2013 「意識の科学的研究 - 盲視を起点に」20130626
  • 駒場講義2012レジメ 意識と注意の脳内メカニズム(1) 注意 20121010 (2) 意識 20121011
  • 視覚、注意、言語で3*2の背側、腹側経路説 20140119
  • 脳科学辞典の項目書いた 「盲視」 20130407
  • 脳科学辞典の項目書いた 「気づき」 20130228
  • 脳科学辞典の項目書いた 「サリエンシー」 20121224
  • 脳科学辞典の項目書いた 「マイクロサッケード」 20121227
  • 盲視でおこる「なにかあるかんじ」 20110126
  • DKL色空間についてまとめ 20090113
  • 科学基礎論学会 秋の研究例会 ワークショップ「意識の神経科学と神経現象学」レジメ 20131102
  • ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会レジメ 20130628
  • Marrのrepresentationとprocessをベイトソン流に解釈する (1) 20100317 (2) 20100317
  • 半側空間無視と同名半盲とは区別できるか?(1) 20080220 (2) 半側空間無視の原因部位は? 20080221
  • MarrのVisionの最初と最後だけを読む 20071213

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